【人】 天原 珠月[湖の畔から、こちらを見つめる姿。>>26 街灯からは逆光になっていたが不思議なほど鮮明に目に映る。 星の光を映すような銀白色の髪。 レンズ越しでも何故か分かる、瞳の青。 ああ、と息が零れそうになった。 胸の内がいっぱいになり、溢れそうに苦しい。 ――、と、心が名前を呼ぶ。 予感はしていたのかもしれない。 自分とそっくりな少女が現れたときから。 その少女と強い縁で結ばれている相手なら、並んだ番はと思えば、目の前の彼の姿は泣きたいほど理解できた。 しかしそれも此方からの勝手な見方だとも分かっていた。 昔ならいざ知らず、驚きも動揺も今は覆い隠せるし、長年の巫女として身につけてきた表情と仕草も使いこなせる。 優雅ともいえる挨拶はそうして出てきたものだった。] (57) 2023/03/05(Sun) 19:59:40 |
【人】 天原 珠月[きっと彼は事態が分からず、少女のことを心配している。 少しでも落ち着いてもらうのが先決だった。 自分でもよく分からないことだらけではあるが、ここは心を強く持ってしっかり者らしくせねばならない。 堂々とした豪胆さなどは『彼』の方が上手だったのだけれど。 ふっと思い浮かべた姿に内心で緩く首を振る。] 多分、その私にそっくりな女の子に会っているわ。 ついさっきね。私のいた場所に迷い込んできたの。 [引きずり込まれてきた、が正しい気もするが。] 関係は確実にある……から、ゆっくり説明させてくれる? [ほんのり困ったように首を傾げたのは、湖から上がって、彼と同じ場所にとりあえず行きたかったから。 ここがどんな世界のどんな場所か分からないが、周りに関係のない巻き込みかねない人がいなさそうなのは幸いだった。] (59) 2023/03/05(Sun) 20:03:12 |
【人】 天原 珠月まず、何から説明しましょうか。 そうね……私はこの世界とは別の世界の人間なの。 お伽噺みたいだけれど、ね。 [此処の世界のことは何も知らないけれど、と前置きした上で。 自らの世界では、遠い昔に大地や海というものは滅び、点在する空に浮かぶ島に人々は暮らしていること。 人々の一部には不思議な力を生まれつき持つ者がいて、自分はそれであり、島では『巫女』の役目を担っていたこと。 巫女とは島そのものが浮遊するための力を補助する者であり――自分はつい先日力を使い切り、役目を終えたこと。 正直3行で説明する方が難しい情報量ではある。 どうにか頑張ってはみたが、彼の反応はどうだったろう。 質問があればその都度、言葉を尽くすつもりだけれど。] (60) 2023/03/05(Sun) 20:04:22 |
【人】 天原 珠月[しかし一番彼が気になるのはここだろう、と。 一際真剣な表情に変わると、まっすぐに彼の瞳を見つめた。] あなたの探している女の子は、役目を終えた私がいた、狭間の世界のようなところに突然やってきたの。 正直、理由は分からない。 私は急いで元の世界に帰してあげようとしたのだけれど……ごめんなさい、まだ力が戻っていなくて、無理だった。 [自分の力さえあればどうにかなったはず、と。 静かに語る声には、強がりではない、誇張でもない、長年連れ添った、長年修行により磨いてきた、自分の一部である能力に対する確固たる自信が表われていることだろう。] あのままだと、全く知らない世界に飛ばされる可能性があったから、私の独断で……私が元いた世界に行ってもらったわ。 その時に唯一、行く道の分かる世界がそこだった。 [ゆっくりと落ち着いた声音を心がける。 どんな反応をされようと、視線は逸らさずにいよう。] (61) 2023/03/05(Sun) 20:05:18 |
【人】 天原 珠月私のいた世界には……、 [片方の耳に艶めく真珠の耳飾り。 もう片方を持つのは――誰よりも大切なひと。 役目を終えた自分が置いてきてしまった、愛するひと。] 誰よりも、一番、信頼している人がいて。 女の子には彼の元へ行くようにと背を押したから。 だから身の危険はないわ。大丈夫。 彼なら絶対に……彼女を守ってくれる。 [はっきりと言い切った。 それでも完全に安心できるものではないだろう。 しかし正直に話すと、これしか言葉にならないのだ。*] (62) 2023/03/05(Sun) 20:06:24 |
【人】 片連理 “椿”[裸足のまま、ウッドデッキから外に出た。 外は相変わらず気持ちの良い天気だ。 どこへ行こうか考えて、湖とは反対の方を選ぶ。 歩けども歩けども、他のロッジには辿りつかない。 途中に似たような建物が他にもあるのは見ていたし、夜には明かりも見えていた。しかしそれも、そういうものだと受け入れられている。] (63) 2023/03/05(Sun) 20:20:35 |
【人】 黒崎柚樹[台所の棚にあった直火式のホットサンド型を取り出して、冷蔵庫内のマーガリンを出していたところで、どこか慌てふためいた武藤に、手を取られ、耳に触れられ。 言われて初めて、自分の左手指に銀色の輝きが、両の耳朶にも同系色の銀の光が戻っていたことに気がついた。] …………あ……、 [武藤も戻ったの?と左手で左手を掴めば、私とは色の異なる金色の、でも同じデザインの光る輪が指先に触れてきて。 お互い、相手に金色が似合うから、銀色が似合うからと相手に合わせたいと選んだ指輪。 金と銀が絶妙に入り混じるデザインが、私たちらしいと選んだ品だった。 将来の約束を誓ったものとかではないけれど、互いの名前が刻まれている、大事な指輪。] ……そ、か…………。 [耳に触れれば、無い方がもはや不自然に感じられていた銀の輪がついていて。] (65) 2023/03/05(Sun) 20:30:16 |
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