人狼物語 三日月国


74 五月うさぎのカーテンコール

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……そか。

[青年の深い想いを軽く扱ってしまった。
 苦しくなります、の言葉が、ずるい大人の胸に深く刺さった。]

それは、俺がいいよって言っても?
――言ってもだよなぁ。分かるからなー。

[分かってしまう、その苦しさが。
 相手の知らぬところで、相手の知らぬ痴態を思い描く、その狂おしさ。]

そーね。
せめて、俺が受け入れられるようになるまで、たくさんは我慢して。
俺もしないよーに気をつける。

[深いキスを、あげたくなる。自分の許容範囲の中だから。
 けれどそれは、こちらも我慢すべきだろう。
 せめて、互いの境界線を探り合うような今の間は。]

んじゃ、触っていい?

[はじめは、なんてことない触れ合いから。
 頬に触れて、笑いかけて、髪を撫でる。
 徐々に、耳を擽って、唇を指先でなぞってと粘膜の近くへ。
 首筋のラインに手を添わせて、首後ろで両手を組む。うっとりと目を細めて、顔を近づけてみる。
 唇は重ねずに、しなだれかかるように体重をかけた。]

……あ。

[そのまま背中をたどり、腰に、叶うなら臀部に至ろうとしたが、手が届かない。
 せっかく雰囲気は出ていた気がするのに、締まらない。]

背高いねえ、麦は。

[ぽん、ぽん、背中を叩いてみた*]

[寂しかったと聞いて、胸の奥が甘く疼く。
背中を抱き締める腕に微かに力が入って。
大切な宝物を腕の中に閉じ込める。]


寂しい思いをさせて、ごめんね。
教えてくれてありがとう。


[そんな嵐が、嬉しいと笑ってくれるから。
自分も目を細めて、嵐に笑いかける。]


幸せの重さだから……
全く重く無いよ。


[事実、重いとか意識したこと無かった。
ぴたりとくっついて、抱き締め合える。
その距離の近さに、痺れるような快感を感じる。]

[キスを強請ると、啄むようなキスが降って来て。
顔中に降るキスに、小さく声をあげて笑う。
睦み合う時間に心からの満足を感じて居れば……]


ふっ。動こうか。

……嵐も。無理のない範囲で動いてみて?
後。俺にちゃんと、つかまってて。


[背筋を伸ばして、嵐の唇に口付けて。
下から突き上げるように腰を動かす。
微かに揺れる嵐の身体を、倒れないようしっかり抱き締めて。
低い吐息を零しながら、甘やかな夜に溶け行った。*]

 はい、じゃあ少しだけ。

 基依さんは日本酒お好きなんですか?

[グラスで冷酒を受けてから、彼のグラスと合わせる。
おそるおそると口を付けてみた。
思ったよりも辛くない。これなら飲めそうだ。]

 ……あ、あんまり辛くないですね。
 これならお付き合いできるかも。

[喉元を通る熱さはあれど、甘口とあって飲みやすい。
グラスを傾ける手が、少し早くなる。]

[お鍋がぐつぐつと煮えてきて、美味しそうな匂いがしてくる。
お鍋に温野菜と野菜の多さが嬉しい。
鍋奉行を彼に自然と任せてしまいながら、茹で上がったお肉とお野菜を貰った。]

 お鍋に入れる豚肉いいですよね。
 牛肉よりさっぱりしていて、お野菜に合う感じ。

 私は水菜も好きです。食感がシャキシャキで。

[取皿に息を吹きかけて冷まして、お肉を頬張る。
さすがブランド豚、柔らかく溶けて無くなっていくみたいだ。
野菜も湯は通してあるけれど、程よく芯が残っていて歯ごたえが良く、甘い。]


 ん〜……、夏のお鍋もいいかも。


[湯上がりの熱さに、お鍋の温かさ。身体がほこほこと温まっていく。*]


 飲みやすいからってペース早めたら一気に来るからな〜ほどほどで。

[とはいえ彼女はきっと、自分と飲めるのが嬉しいのだと思えば忠告も強くは言えないのだが。]

 詳しくはないけど大体飲むよ。
 熱燗よりは冷酒が好き。
 年末に予約して年始にだけ出るにごり酒は絶対買うから、初詣の帰りは一緒に呑もうな。

[一緒に過ごす予定がどんどん具体的な色を帯びる。
その頃までには「約束」を形にしたいという誓いは今は胸に仕舞って。]


 水菜も好きだよ。煮過ぎてなければ。

[くたっとなった水菜は歯に挟まる率が高い気がする。
味が苦手な訳ではないから食べるが、火を通さない方が好きなので、出汁にくぐらせた程度ですぐ器に引き取った。

アクを取り、お玉を持ち替えて豆腐を掬う。
彼女の器にも入れて、自分の器にも。]

 豆腐は塩水に30分くらいつけて水を抜いてから煮ると食感がねっとりになって美味いから今度食ってみて。

[この豆腐はふるふると崩れやすく、これはこれで美味いけれど。

そんな風に会話をしながら二人で鍋をつついて。
温野菜は味噌をつけて味わった。
刺身にはたっぷり目の山葵。

〆に鍋で雑炊まで作って、最後には流石の卯田も満腹になる。
酒も良い感じに回って、片づけて貰う間、少しうとうとしそうになっていた。]


 あ〜今風呂入ったら確実にオチるな。
 鍋食って酒飲んで、汗かいてんだけどー、



 ………



 ……あれ?寝てた?いや、寝てない………


[座卓に額がつきそうな気がする。]


 や、キスすんなら木じゃなくて紫亜がいーわ。


[何を言っているのだか。*]

はい。


[笑って。
ウィスキーを飲む。氷は溶けてしまっていて、飲み干してからもう少し注いで舐めた。
冷えていないストレートが直接喉を灼いて、でもその強さも海の香りも好きだなと思う。
思ってから、溶けた氷で水割りにすればよかったのではと思い付いた。チェイサーチェイサー。]


ん。きもちい……


[髪を撫でる指にとろんと瞬いて。
耳をくすぐられて息を抜く。]

……ふ


[急所。首に触れられてぞわりと粟立つ感覚。
でも嫌じゃないから、背中に回した腕が下がりすぎないよう肩の骨を柔らかく撫でた。

近づく顔に、やっぱり綺麗だと思う。
まつ毛が絡まってしまうんじゃないかという距離。]


  は、 …、

ん…ン



[額をすりすりと合わせて、ゆっくり瞬きをする。]


背──早く、はやく大きくなりたくて。
魔法をかけすぎました……


[恩返しのうさぎは身長の秘密を暴露した。]

は…ジンさ


[預けてくれる体重を支えたまま、重心の位置を変え。
伸び上がるように体を起こした。
顔が離れ、頭を胸へ抱きこむ。後頭部の髪で指先を遊ばせた。]


もっと、ためして…


[これなら届きますか?
手のひらを強請って、腰を小さく揺らした。*]



 はぁい。

[ペースを窘められたら、ちょっぴり首を竦めて。
それでもともう一口だけ口にした。]

 にごり酒?
 飲んだことないです。気になります。

[彼と話していると知らないことを覚えていくのが楽しい。
新しい味を覚えると共に、知識も増えていく。

お昼間に話していた初詣は、早速次の予定が決まって。
「楽しみにしてます」と期待を顕に口にした。]


 分かります。柔らかいと歯に挟まるので。

[くすくすと笑いを堪えて。
今し方話題に上がったばかりの水菜がお皿に移る。

お玉を差し出されたら、器を手に取って寄せて。
湯気の上がる豆腐が届けられたら、お箸で崩す。
ふわっと崩れていく豆腐はかなり柔らかく、口の中で溶ける。]

 塩水ですか?
 そんなことしたことなかった。
 今度試してみますね。

[お豆腐は基依さんが初めて出してくれた料理にも入っていたから、何だか感慨深い。
元より好きな食べ物だし、もしかしたらそのことも覚えていてくれているのだろうか、なんて考えが脳裏を過ぎった。

基依さんが作ったわけじゃないけど、今日のご飯も私の好きなものが散りばめられている。
そのことに密かに気づいて、また彼が愛おしくなる。

お刺身の山葵も、最初は敬遠していたけれど。
いざ食べてみたら新鮮さが勝って、辛味のない味がした。

また一つ新しい味を覚えて、好きなものが増えていく。]

[二人で料理を食べ尽くして。
片付けに来た仲居さんにお礼を告げて、ふと基依さんの方を見ればゆらゆらと彼の身体が揺れていた。]


 お酒も入っていますし、
 今はお風呂はやめておいた方がいいですよー?


[お酒が随分回っているのか、独り言のような声に笑って。
滅多に見れない姿を、可愛い。と感じながら、
船を漕ぐ様子に歩み寄り、隣にしゃがんで顔を覗き込む。]


 お風呂は明日も入れますから、
 お布団、行きましょ?*


 

[幸せの重さとか。
その言い方がほんとにタラシだなぁ、なんて赤くなりつつ。
もっとくっつきたいのも事実だから遠慮なく抱きしめて。
隙間なくくっつきながら、
幸せな充足感に心が体がふわふわと蕩けていく。

声をあげて笑う彼に、また胸の奥が小さく鳴って
もっと、と求める気持ちに抗えずに、続きをねだれば。

笑いながら応えてくれる口付けに、そっと瞼を伏せ。
彼に合わせて、腰を動かそうとしてみる。
けれど。]


  ……んんっ、 ぁ、
  きもちい、とこ…… あたって……───ッ!!

[下からの突き上げに揺さぶられながら
指で寸前まで昂っていた体はすぐに軽く達してしまい。
貫く熱を締めつけながら、
ぎゅっと蓮司さんの腰に脚を絡めた。]

  ぁ、ふ…… れんじ、さ…ァあっ ああン

[止まらない動きに、ゆるやかに達し続けたまま
首に縋るように腕を絡め、抱きしめれば。
ぴたりとくっついた肌の間レース地が胸の先端を刺激し、
引っ張られたショーツもまた敏感な部分に擦れて。

昇ったまま揺蕩い続けて降りてこれない快感に、
溶けていく夜はひたすら甘く。
ゆるやかな分だけ愛してくれる彼の腕とか、温もりとか
息遣いなんかをずっと長く感じていられて。]



  ふ、 
……ぁ、いしてます。



[低い吐息を、重ねた唇で受け止めながら。
囁くように告げれば、幸せに満ちるままはにかんだ。*]

[どこから夢を見ていたのかがわからない。

にごり酒は飲もうと約束した、はず。
豆腐の塩水浸けはどうせ試すなら一緒に今度うちですき焼きをしよう、とは誘ったかどうだったか。

風呂は止められて。
前に座っていたはずの紫亜が、すぐ隣で笑っている。

ぐーっと内側から幸せが広がって、へへ、と締まりのない顔で笑った。]


 んー?
 すげ、紫亜とがいーって思ってたら、居るじゃん……


[覗き込んできたその唇に、ちゅーっと、唇を尖らせた初心者みたいなキスを。]


 布団、布団なー……
 一緒に寝るかぁ……


[頭はふわふわしているが、足は覚束ない程ではない。
彼女に重い思いはさせずに済むだろう。
ゆっくりと移動して襖を開け]


 ……閉め切ってたから、まだちょっとやらしー匂いがする。
 ファブらな、 きゃ……


[と言ったところまでは覚えている。

紫亜の溢れさせた蜜と自分が放った白でぐちゃぐちゃになったバスタオルは、紫亜によって剥がされた後だったか。
とにかくそれを確認する間もなく、卯田はこてんと布団に横になってしまった。

無意識の内、ぱたぱたと布団を叩く手は、そこに収まる柔らかな身体を求めて。**]

[腕の中で乱れる嵐を、離さないように抱き締めて。
彼女の脚が腰に絡みついて来ると、腰を動かす。
うねる中は熱く絡みつくようで、一つに溶けて行き。
キスの合間に、幸せで頭が熱くなるようだった。

その囁き声に、意識ごと持っていかれるかと思った。
口付けの合間に囁かれた言葉。
はにかんだ笑顔に、同じ表情で微笑み返す。]


俺も。愛してる。嵐。



[吐息と共に囁いた声は、夜に溶けて。
幸せな時間は、ゆっくりと過ぎて行った。*]

[甘さを交えた吐息が、鼻にかかって漏れるのを聞く。
 それが官能的なのは、男でも女でも同じだなと思う。
 下腹が反応する程には至らないけれど、胸の奥をずくりと跳ねさせるくらいには。]

魔法で大きくなるもの?
俺も魔法使いになれたらよかった。

[ふは、と吐息で笑う。
 麦のうなじを、呼気がくすぐった。]

ん。

[身体の触れ合う形が変わる。
 麦の指先が髪と遊ぶのを感じる。]

触って、いーの。

[なら、遠慮はすまい。
 届くようになった臀部を、やわく揉む。そろり、Tシャツの裾から素肌に触れて、腰のラインを撫で上げる。
 胸元に、熱ぼったい吐息がかかる。胸元に、頬を擦り付ける。
 麦はどんな顔をしているだろうと、顔を上げて覗き込んだ*]



 はい、紫亜はここにいますよー


[机に寄り掛かりそうになる基依さんの身体を起こして、適度に相槌を返していたら唇を突き出されて、]

 
 ……んっ、……


[笑いながら、ちゅ、と音を立てて触れ合わせる。
もう一度触れたいけれど、そこはぐっと堪えて。
なんとか立ち上がってもらって、彼の脇に身体を寄せて。布団の敷いていある部屋へと向かう。]


 はい、一緒に寝ますよ。
 起きたら散歩にも行きましょうね。

 
[ゆらゆらと揺れる身体を支えて。
ようやく布団の前まで来たら、彼の身体を先に横たえる。

残り香を突付かれたら、気恥ずかしさに咳払いをして。
先程お風呂に行く際にバスタオルは脱衣所に運んだし、布団には先程の情事の名残はない。はず。

先に消臭スプレーを散布しようと鞄を探っていたら、
布団を叩く音に振り返って、誘う手に気づく。]


 ふふっ、かわい


[我慢できずに漏れた声はもう夢の中に居る彼にはきっと届かないだろう。
手早く後始末を終えてから、彼の元へ向かう。
片手を持ち上げて、身を滑り込ませて彼の隣に落ち着いた。

静かに寝息を立てる表情を覗き見て、幸せを噛みしめる。
重力に流れるままの前髪をそっと掻き分けてから、頬にそっと口づける。]




 おやすみなさい。
 また、明日。


[明日も、ずっとその先も一緒に。**]

 




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