人狼物語 三日月国


74 五月うさぎのカーテンコール

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しんどいですけど……構って欲しいです。
好きですから。

我慢できます。それでは駄目ですか?


[俺がもっとずっと子供だったら、こんなに困らせなかっただろうか。]

俺がいつか貴方に慣れて、ああいう…風にならなくなるか
貴方が俺にいつか慣れて、答えてくれるっていう気持ちに体が追いついたら。
何か変わるかもしれないですけど。

段階を踏もうって言ってくれたじゃないですか?


[水のグラスを口に当てる。
もうやめようって結論にだけはどうしてもしたくない]

そばに居させてくれます。
触ってもいいし撫でてくれます。
キスも──してくれますね。俺も、普通のなら平気です。
嬉しい。


[そっと頬に触れた。指1本。それを滑らせて耳へ]


えーと…そしたら境界線を見つけましょうか。
これ以上はやめとこうってとこがお互いに見つかれば、もっと振る舞いやすくなりませんか?

俺の方からされるキスは、どうですか?


[片手で耳朶に触れながら、さっき一度したように、顔を寄せて。
唇の手前2cm、一度止まらずに通り過ぎて、重ね合わせた。*]

――そして恋バナ――

はは。
ごめんね?

[ずっと片想いで青春を奪ってしまった。しかもこんな年上の男が。
 それに答えられればいいんだろうが、なんとそれもあやういときたものだ。]

まー、年上っていったら年上かな。
学校の先輩だったからね。

[暴露話の代金として語られる、過去の遍歴
 幼稚園の先生は女性だろう。次は5つ上のダニエル。
 憧れの感情とはまた可愛らしい話じゃないか。チェイサーを飲むのにもいい肴。]

けっこー年上が好きなんだね、麦は。
俺もタイプだったりしたらいいんだけど。

[一目惚れっていうのは、タイプとかを飛び越えるから。
 どうだったのかと思うのは興味本位。]

[軽口に乗せるなら、俺とはしたいの、と聞いてしまいたくなるけれど。
 さっきの生理現象がすべてを語ってくれている。]

ん。じゃー、俺も喋んなきゃだなあ。
長くなるからテキトーに聞いてて。寝てもいーよ。

[人生の黒歴史を晒すのだ、もうチェイサーではやっていられない。
 またタリスカーをワンフィンガー。勢いで呷ってしまってもいいように、水割りにして一口。]

俺はね、正直、分類的にはどっちかわかんない。
聞いといてなんだけどさ。

最初の恋は多分、涼だろうな。近所によく遊ぶ女子がいてさ。
小学校も同じで、中学まで腐れ縁。
けど、中学ともなるとマセてくるやつがいて、付き合ってんだろなんて噂されんの。
お互いそんな訳ないって否定するけど、言われると意識するってやつ?
否定する材料を探そうとして、涼のことを目で追って――

まあ、でも、自然消滅ってやつだ。高校違ったしね。

[さて、それから問題の話。
 高校の先輩に、一目惚れした話だ。]

そんな事があったから、高校では彼女欲しいとかそういう話に、あんま積極的になれなくてさ。
まあ、ただ、聞いて。たまに中学の話を盛って話して。
別にいつか勝手に好きな人ができるまで、それ以上はしなくていいかなって思って。
けど、来たんだな、その時が。

[はー、と深めに息を吐く。
 自分からはじめた話のくせ、いざ話すとなったら思い返すだけでもだいぶ恥ずかしい。
 助けてくれタリスカー。水割りをごくりと、大きめの一口。
 喉が熱くて、頭の芯が痺れだす。]

……制服着た先輩が近所で発声練習してんの見かけてさ。
セリフっぽいことやってたから、演劇部だろーなって思って。
学祭近かったから自主練だったんだろうけど、正直演劇部ってのが学祭のそういう時期以外何やってるかも知らなかったから、年イチしか出番ないのに必死になってよくやるなー、って思ってたんだけど。

なんか目離せなくて、ずっと見てたんだよ、その練習。
それから何日か、その練習見ててさ。いざ本番見に行ったら、これがまたそんなにうまくねーの。
やる気が空回りってか、悪目立ち? 浮いてる? 発声やってたから声はデカいんだけど、他のメンバーとテンションが合ってない、みたいな。

[喋りはじめれば、昨日のことのように語れる。
 昔の恋の話は、麦の耳にはどう届くだろう。]

だけどさ、なのに、もっと見ていたくなったんだよな。
カリスマ、とかそーゆーんじゃなくて。
全然かっこよくないけど、かっこよかったんだよ。スベってるのに光って見えた。
多分俺はあんなに全力で何かに打ち込んだことねーな、みたいな。

それからずっと、部活の練習とか影で見てたり、発声練習見に行ったり。
その時くらいにやっと、最初に見たときから俺惚れてたんだなって気づいたかな。
会えるだけで嬉しくてまともに話したことすらないのに、劇の相手役になった想像でヌいたりしてさ。

[興味のつもりが恋愛だったと気づいた瞬間、高校生の熱というのは簡単に燃え上がる。
 たいして顔もいいわけじゃなかった。喋ったこともなかった。同じ部活に入って、同じ舞台に立つ勇気すらなかった。
 けれど隣で応援しているだけで、恋心というのは育つ。まるで少女漫画だ。]

けど、先輩だから卒業すんだろ、先に。
そんで卒業式の日にさ、なるべく女子っぽい文字練習して、超丁寧に『大好きでした』って手紙書いて下駄箱に突っ込んで、それで終わり。

――終わりに、した。

[あの手紙は何らかの物議を醸したのか。その顛末すら知らない。
 或いは自分の存在がとっくに気づかれていて、嫌悪のままに破り捨てられたかもしれない。
 想像はできるが、それだけだ。]

こんなお話でよろしい?
ま、だから俺はさ、麦がずっと想い続けてくれたのすごいなって思うし、それを知ったからにはなんか応えたくなるん、だよなぁ。

[年寄りは長話をしました。
 反省とともに、水割りを飲み干してグラスを置く。
 ソファにとろんともたれかかって、そのまま麦の方に体重を寄せる**]

タイプはジンさんです。
他のこは好みじゃないし。
ダンはちょっとだけジンさんに似てたかも。


[ジンさんがダニエルに似てるんじゃなくて逆だからね。好みのタイプは時空を超越する。]


寝ませんよ。
じゃあ…パン食べてていいですか?


[バケットを手元に手繰り寄せた。
そのままでも齧れるが、アヒージョの残ったオイルがある。つまり美味しい。]

[もくもくとパン食う。
一度回りきった悪い酔いは、トイレで吐き出してしまったのかふわりと肌の上に温かな膜が張ったような感覚だけ。]


演劇部の、先輩。


[全力で何かに打ち込む姿に、光を感じた。
聞く話に胸が苦しくなる。どんな気持ちだっただろう、どんな思いで見ていたんだろう。
それは少しわかる気がして。]

[グラスが空になる。
体重と体温が近づいて、もたれかかる体を抱きしめた。]


きっと、すごく嬉しかったと思いますよ。その先輩。
相手が誰だかわかんなくても。
きっと想いは伝わったし、努力する姿が素敵だなんて、誰だって言われたら嬉しいです。


ジンさんは、一目惚れの特別な恋を終わりにしたの、
きっと辛かったですね。
でも、だから優しいんですね?

こんなに俺に応えてくれようとするのが、その経験の影響なら。俺はその恋に感謝します。



[キスは、しても平気だった。

触れるのは?
髪に、顔に、腕に、背中に。撫でるだけなら彼は緊張しない。
境界線はどこだろう。]


大丈夫ですか?
まだ潰れないで。起きててください。


[手のひらを胸に押し当てる。鼓動を皮膚で感じ取るように。
それから上へ滑らせて、鎖骨の輪郭を辿る。
ぎゅっと抱き寄せて、服の上から触れてるだけだ。
でもただ撫でているのとは違う、そういう動きで。]



[息を呑むなら、緊張を押し殺すなら、それ以上はしない。
すりすりして、許されるなら寄り添って、もっと飲んで。一緒に眠ってしまうのもいいかも。

だから無理やり応えようとしてくれなくてもいい。
体が、触れて平気ならむしろ、それでいい。

胸を滑り降りて、脇腹から背中へ。
ソファにもたれかかっているから、腰の上あたりでやんわりと円を描くように撫でた。**]


 驚く、で済めばいーけど。
 まー、反対されても説得するだけだ。

[正直まったく想像がつかないが、どんな反応が返ってきても、自分がすることは如何に紫亜が今の、そしてこれからの自分の人生に必要不可欠かを説くだけだ。

成長具合を見て貰うなら、その日の夕食を作らせて貰うのもありかもしれない。
ビーフシチューを煮込む時間はないから、お子様舌の友人に合わせたハンバーグとか。
手が温かいから苦手など言っている場合ではない。
練習せねば。]

[うとうとと微睡む彼女がそのまま眠りに落ちるなら、それを見届けてからシャワーに向かおうと。
呼吸に合わせて撫でていた手は、相変わらず無自覚に男を煽る台詞で固まる。
流石にすぐに復活する程サルではないが、胸をドスッと突かれた感覚があった。

参ったな、と苦笑を胸に仕舞って、彼女の息が深くなるのを待ってから立ち上がった。
彼女の下に敷いたままのバスタオルは、後で洗うことにしよう。**]

[乱れる嵐が可愛くて。つい、意地悪をしてしまう。
指を締め付ける強さが、彼女の様子を物語るのに。
指を引き抜けば、蕩けた瞳が物足りな気に此方を見詰めた。
愛おしくて、たまらなくて、口付けを交わして。]


そ。自分で。


[彼女からも求めて欲しくて、導くけれど。]


……ん。入った。上手。


[身に着けたままの下着が邪魔する中。
腰を落としてくれる彼女をじっと見詰めて。
でもその声に涙が混じったら……]

怖かった?

俺に抱き着いてて。大丈夫だから。


[嵐の腕を、自分の首に絡めて。
頭と背中を抱き寄せて、身を委ねさせる。
それから彼女の腰を抱いたまま、身を進めて。
ゆっくりと、嵐と一つになった。
膝の上に座り込むような嵐に、顔を覗き込むように微笑む。]


全部入った。……身体は大丈夫?


[背中をさすって。自分を抱き締める嵐を見上げて。
落ち着くまで、そうしていよう。]



ねえ、嵐。キスして?


[今朝のような渇望とも違う。
でも酷く満ち足りた気持で。
見上げた彼女に、口付けを強請った。*]

そう?
ま、言われて悪い気はしないねえ。

[タイプはジンさんです、と言い切られて。
 若い子だしもっといろいろあるんじゃないかな、と思ってしまうのは、癖づいた自己評価の低さのせいか。
 いやいや、それだけじゃないだろうよ。こちとらいい歳だし。]

――嬉しかったかね。そうだったらいーけどさ。
努力する姿が素敵のところまで、伝わってたらそうかもな。

[たった6文字のラブレターには、それ以上の情報はない。
 いっそそうした思いも綴ればよかっただろうか。
 いや、きっと書けなかった。知られるのが、怖かったから。]

そーだねぇ。辛かったんだと思うな。
事実、あれからあれ以上の恋は、してないと思うしなぁ。

[セックスはした。女を抱いて、甘く囁いて、この腕の中に抱きしめて。
 照れくさそうに顔を逸らす仕草が好きだ。愛おしくてたまらなくなる。
 まっすぐ立っている女が好きだった。凛とした横顔が蕩ける瞬間を知っている、その事実が欲をくすぐる。
 けれどその日々が光っていたかと言えば――やめよう。]

はは。感謝か。
そう言ってもらえるなら、青臭い黒歴史も、悪くないね。

[目を伏せる。
 アルコールを含んだ呼気を吐いて、感傷を払う。]

我慢させたくないから、悩んでんだよなぁ。

[境界線を探るやり取り。
 いつか慣れて、欲を失わせるのはしたくない。
 かといって、今はその欲に応えられそうにない。
 段階を踏むとは言ったが、段の大きさの測り方がわからない。]

[許容範囲は、それなりに広いつもりだった。
 耳朶に触れられる、熱い手が胸元をなぞる、抱きしめられる。
 食み合うようなキス。もし歯列を割られるなら、きっと迎え入れた。それは対等な行為で、女とするのと大して変わらない。]


      
――   
は 、



[微かに吐息が震えたのは、服の上からなぞるその手が腰に向かってゆるく撫ぜられたときだ。
 舌を絡められるのにこれにぞくりと震えてしまうのは、自分でもどうかと思う。
 自分が『暴かれる対象』になるかどうか。そこに越えがたい壁がある。
 好きな相手に欲情することは笑い飛ばせるくせにな。]

[小さな震えは麦の手を止めるには十分すぎたろう。]

……ごめん。

[小さく謝って、擦り寄ってくるなら抱きしめた。]

なんだろーなー。オカズになるくらいだったらヘーキかなー。

[なるべく空気を変えたくて、そんな風に冗談めかした*]

――夕食――

[襖を閉めて、シャワーで洗い流した後、露天風呂へ。
かけ流しの風呂は数時間前の名残をすっかり消してくれていたので安心して入ることができた。
背中や腕が浸みるのは紫亜に愛された甘い痛み。

新しい下着に着替えて備え付けの寝巻用浴衣に袖を通す。
此方は袖が洋服のようになっている、スーパー銭湯でよく見るタイプだった。
今日だけで下着は3枚目。
念の為多めに持ってきているとはいえ、携帯用の洗濯バッグで洗って絞り、クローゼットに干させてもらうことにした。

お食事です、と仲居が運んでくれたのは、固形燃料を燃やす小型の卓上コンロと鉄鍋、鍋の材料と。
紫亜の好みを優先して選んだ蒸籠蒸しの温野菜。
船盛の刺身は自分の憧れで選んだ。

所狭しと並んだ料理は圧巻で、ついスマホで写真を撮ってしまう。]

[起きて身支度を整えた紫亜が向かい側に座ったら、二人で手を合わせて固形燃料に火をつけた。
蒸籠の蓋を取ると、ブロッコリーやかぼちゃ、オクラ、レンコンなど多くの野菜がつやつやと並んでいる。]

 紫亜は日本酒大丈夫なんだっけ?

[自分の分は手酌で注いだが、彼女も飲めるなら用意しよう。
甘口だから飲みやすいとは思う、と銘柄が書かれたラベルを見て説明した。*]

 




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