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【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里[一番じゃなくてもいいやって、一度は確かに思ったの。 だってちゆには届かないと思ったから 彼には奥さんがいて、リカちゃんがいて、 そこに入り込む隙間を見つけられなかったから。 ――――だけど今は違う。 目の前に彼がいて、彼の愛する奥さんはもういない。 タイガさんをちゆだけのものにして ちゆがタイガさんだけのものになって、 二人で「普通の」幸せな恋をするのに 邪魔なのは小さなあの子だけ。 期待しちゃうの、タイガさんのせいだよ。 そうやってちゆの目の前で泣いて 他の人に見せられないような弱いところを晒すから。 手が届くような気がして、欲しがってしまうんだ。] (63) 2021/07/16(Fri) 15:24:23 |
【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里ふぅん、そうなんだ。 [タイガさんがリカちゃんの話を始めたら 鼻歌を歌うように暢気な声で相づちを打った。 今が夜で良かった。外が暗くて良かった。 目だけは笑えない、可愛くない笑みを浮かべてしまうのも 本当はそんな話をすこしも楽しいと思えない本心も 全部暗がりが隠してくれるから。] おしゃべり好きなんだ、可愛いね 一人でお世話するのは大変だろうけど…… [遠くの景色を見つめたままで返事した。 顔を見ない割に、絡めた指だけはぎゅっと握って。] (64) 2021/07/16(Fri) 15:24:35 |
【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里[ごめんね、ちゆはやっぱり子どもが好きじゃないみたい。 彼が笑うのを聞けばつられて笑って、 「タイガさんの子どもだもんね」なんて零して。 知ってるよ。 目のかたちも鼻筋も、 笑い方もよく似てるって。 それであなたに似てないところは 奥さんの面影を残しているんでしょう? 彼がちゆの方を向けば、笑ってみせる。 あの日より静かな笑みを浮かべてみせる。] 覚えてくれてたんだね、嬉しい。 連絡先も交換してなかったから、 もう忘れちゃって会えないと思ってた…… [ちゆはこっそり知ってたんだけどね。 さっさと掛けちゃえば良かったな、電話。] (65) 2021/07/16(Fri) 15:26:19 |
【人】 ぶろーくんはーと 真白 千由里[そうして彼が一つ、また一つ語り出す。 後悔だとか嘆きだとか、それと少しの愛だとか。 繋いだ手はちゆより冷たくて震えてた。 それでも熱は溶け合って、同じ温度に染まる。 あの夜みたいに寂しさを分け合って――だけど、 彼が知らない本心を伝えるつもりはなかった。 「愛」の形なんて知らない。 リカちゃんがどんなに大切かなんて知りたくない。 あの子がどんなに可愛くて 無邪気でかけがえのない存在だとしても ちゆにとってはタイガさんと誰かの子どもで いらない存在でしかないの。 ひどい?ひどいよね、分かってるよ。 でも、だって、だってさ、] (66) 2021/07/16(Fri) 15:26:39 |
【人】 大学生 廣岡 珠莉[至近距離でゆらゆら見つめながら、 また交わしたキスははじめての味。 柔らかな微笑みを向けてくれるから、 それが嬉しくて首をすこし傾けて、 もう一度重ねて、ちゅ、と音を立てた。 からん、と口の中で鳴った飴玉は甘くて、 だけど少し喉に絡む。 じわ、と口内をうるおす唾液を飲み込んで、 その問いかけににっこり笑って頷く。 忘れてしまいそうになる、この関係が 今日、このとき限りであることを。 男性にこんなふうに甘やかされることは、 今までなくて。はじめての心地は、なんだか 中毒性すらあるように感じた。] (67) 2021/07/16(Fri) 19:47:39 |
【人】 大学生 廣岡 珠莉[彼が、ルームサービスをコールしているその間 一人、ベッドの上でその姿を見つめる。 ずっとくっついていたから、なんだか 一人でいることが、違和感で。すこし、寂しくて。 はやく帰ってこないかなって思いながら 体を包む薄い布の中で、ころころしていた。 何が食べたい?と聞かれても、すぐには 思い浮かばなくて、とりあえず、スムージーが 飲みたいとお願いしただろう。 あとは、彼が注文したサンドイッチに、 わたしも、と同調して。 やっとこちらに向いた視線に至極嬉しそうに 微笑みかけて、頷く。 すると、その腕が背中と膝裏に周り、 ふわりと持ち上げられるから、 首に腕を回して、引き寄せて頬にキスをひとつ。] んー……お父様に小さい頃、 運んでもらったことはあるけれど…… こんなふうにしてもらうのは、はじめて。 [と答えてもう一つ、今度は唇に、キスを。 彼が歩むたびに少し揺れる体。 そのリズムが心地よくて、自然と口元は綻んだ。] (68) 2021/07/16(Fri) 19:48:05 |
【人】 大学生 廣岡 珠莉[たどり着いた浴室は、自宅にあるものと 似た作りになっていて、ふむ、と頷く。 ガラス張りの壁の向こうは、夜景がよく見えた。 けれど、彼の感想はどうやら違ったようで。 困っている様子の彼を見ながら、 楽しそうに笑っただろう。 ぱらぱら降ってくる温かな霧雨。 少し上を向いて、汗をかいていた額を流す。] ふふ、そうかも。 なんか……体に良さそう……? [くすくす笑いながらそんな返事をして、 心地よさに目を細めた。 清潔感のある花の香りが鼻腔をくすぐる。 彼の問いかけに、「んー」と間延びした 思考時間のあと ] とくには、ないです [と答えると、その指が耳裏をなぞる。 急な刺激にゾクゾク、としたものが 駆け巡ってびくん、と体が震える。] (69) 2021/07/16(Fri) 19:48:22 |
【人】 大学生 廣岡 珠莉くすぐ、ったい [閉じかけていた目蓋を開いて 見つめれば、目は合っただろうか。 合ったならば、じぃ、と見つめよう。 彼の手のひらが体を滑って 洗ってくれるから、その度に微かに震えながら その瞳の奥を、覗き込むように。 前面が洗えたのがわかれば体を捻り、 首に腕を回して軽くその胸板に擦る。 ぬる、とした石鹸で滑った素肌同士 胸の蕾がひっかかって、その刺激に また主張を始めるのが自分でもわかった。] ……はじめさ、ん [体を滑っていた指が敏感な箇所に触れるなら、 びくん、っとまた跳ねて、同時に、 見つめた瞳がとろりととろける。 舌を差し出すようにして近づけば、 それを吸ってキスしてくれないか、と。]* (70) 2021/07/16(Fri) 19:48:43 |
【人】 星条 一 → スタンリー[膝上の珠莉はこの浴室を見ても動じてはいなかった。 男の反応を見て笑う姿に少しばかり唇をへの字にして見せたが別段腹を立てていたわけでもない。 改めて感じるのは住む世界の違いというものだ。 如何ほどにこの場で親しくなったとしても外に出てしまえば大学の講師と教え子という関係に戻ってしまう。 見つめてくる視線はそれを見通すかのようで男は小さく笑みを浮かべて見せた。 覗き込まれると弱ってしまう。 齢を重ねれば自然と減ってくる真っすぐに見つめるという行為を自然と行えるのは羨ましくもあった] 詮無い事か。 [男は小さく愚痴ると指先で珠莉の身体を愛でていった。 細かな泡を身に纏わせ肌の上を指先でなぞりすべらせていた。 掌で、指先で。 触れる度に震える身体は男を求めてくれているようであり、 狂おしい程に愛おしさを覚えてしまう。 身体の前を洗い終わってもそれは乳房以外だけである。 首筋に回る腕に、背に回している手を引き寄せると華奢な身体を抱き寄せた] (71) 2021/07/16(Fri) 20:54:11 |
【人】 星条 一 → スタンリー 珠莉――愛してあげるのは。 まだ続いているからな。 ["まだ"終わっていないと言として。 男は蕩ける瞳を見つめながら差し出された舌に己の舌を絡めた。 唇が触れ合う前の舌だけのキスは留めるものがない唾液を滴らせていった。 濃厚に舌を絡め合うと漸くと唇を重ねあい、貪るようにその柔らかさを堪能していく。 男の手もまた漸くと乳房に触れる。 下乳のラインに手を這わせて弾ませるようにしながら汗をかきそうな場所を撫でていく。 そうして胸板に感じたひっかかりへと指をかけると二本の指で交互に爪弾いていった] そう――教えることは山程あるんだ。 教え終わるまでは、まだ、な。 ["まだ"と"まだ"。 時間の違いを掛け違えていきながら男は股間の盛り上がった熱を柔らかな尻肉に押し付けた] (72) 2021/07/16(Fri) 20:54:19 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[話を聞いてくれるのが嬉しくて ついつい梨花のことばっかり話してしまって きっと俺が千由里の様子に気がつくのは ちらりと見た彼女の表情が 思っていたより静かなのに気付く頃。] 忘れたり、しないよ。 [なんだろ、女の子と会話してて 他の女の子の話しちゃった時みたいな ぞわっとした感覚。 でもちょっと、可愛いって思ってしまう。 張り合わなくていいんだよ。] (73) 2021/07/16(Fri) 21:01:48 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[問いかけには、じっと黙って言葉を探す。] 俺にとってのちゆはね───── [もちろん「一夜限りの相手」ではない。 もちろん「ママ」でもない。 「お嫁さん」なんて、望んでいいの? いろんな言葉に当てはめようにも 上手く当てはまる言葉が浮かばなかった。] 今一番、幸せでいて欲しい人、かな。 [近しい言葉が、それだった。] (74) 2021/07/16(Fri) 21:04:03 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙もしあの日、ちゆと一緒に駆け落ちして 家から逃げ出しちゃったとしても、 俺はまた結局ちゆからも逃げたと思う。 子どもができても殺させて、 そんでごちゃごちゃ言わなさそうな子を探す。 それがどんなに酷いことかも知らないで。 [握った手は、まだそこに居てくれたかな。 顔を上げたら、幻滅の顔があったりしないか。 また視線をスニーカーに落として 自分の心を吐き出していく。] (75) 2021/07/16(Fri) 21:04:27 |
【人】 三月ウサギ…… 少し考えたのは、俺の家族だった人のこと。 「そんなこと考えてなかったのよ、どうしよう?」 ほわんとした笑顔で搾取する。 そんな悪意は、俺が偽物だったからで。 君が晒されることがないといい。 心からの願いを浮かべて。 (76) 2021/07/16(Fri) 23:52:38 |
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