人狼物語 三日月国


52 【ペアソロRP】<UN>SELFISH【R18G】

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  [────月が、味方しているのだろうか。]

  [幾ら空に、
  映る水面に手を伸ばしても届くことの無かった幻想。

  つがいの獣を喰らい、自らの運命を呪った夜も、
  寄り添い合って安らぎを得た夜も、
  熱を与え、痛みを分け合い混じりあった夜も、

  ……すべてを見守っていた、
  どこまでも大嫌いで憎たらしかった呪いの元凶が。]


 

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム




 砕けた彗星の欠片と纏う残り火、
 飛び散った血痕が大理石の上に散る。
 これ迄辿った血塗りの路を示唆する様に。


  薄闇の最中で僅かに煌めいた短剣の誓いは、
  女が姿を変えつつあっても決して身から離れず。
  白銀の残影を、その身体ごとだって両断してしまいたい。


   命に届くか紙一重の斬撃が捉えたのは
    ────僅かに血が付着した石畳でしかなかった。


       
空を仰ぎ……


 
(43) 2020/12/12(Sat) 4:29:38

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム




 月明かりの消えた舞台に舞ったのは、
 ヒトの四肢と貌を取り戻した女の姿。
 撥ね付けられた瓦礫と塵埃が其れを隠せば
 最後の抵抗として振るった腕が形を捕らえる事はなく。



     霧中を跳躍する漆黒の旗めき。
    其れが悪魔の視た最期の光景となる。



 
(44) 2020/12/12(Sat) 4:29:57

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム




 胸を穿った聖なる刃の痛みを享受する前に、
 突き刺さった箇所から錬成された肉体が解けていく。
 黒い煙へと変わり、空気に混じって消失する。

 藻掻けど足掻けど終焉の針が止まる事はなく、
 本分を得る前に全ては拡散して行った。


     十余年を経て成就する筈だった悪魔の目論見は、
     此処で終わりを迎える。実体を完全に無くして。




  其の最中をゆっくりと落ちて行く身体、
  制御を奪われ、悪しき存在に覆われていたヒトの身は
  今は未だ、見付けだす事は叶わない。 


 
(45) 2020/12/12(Sat) 4:30:16

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム





         ────……



 [ 重力に引かれて往くのとは裏腹に、
   緩やかに意識が浮上する。

     燃える様な痛みと共に目覚めれば、
     此処が死後の世界で無い事くらい理解出来た。 ]


   (    嗚呼、終わったのだと。
      同時に……免れない死を感じる。 )


 
[ 激痛に漏れ出そうとする叫びを流動体と共に抑え込む。
  空になった瓶が落ち、足許で粉々に砕け散った。
  懐剣が同様に叩き付けられる音に混じって、
  きっとその存在を誰も気に止めることはない。 ]

 
(46) 2020/12/12(Sat) 4:31:23

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム

 

[ 床に足が着くと共に霧と驚異は去ったが、
  体重を支える事も当然叶わずに崩れ落ちる。
  生まれて初めて膝を折ったのが宮中だとは、
  歴史書でさえ語る事のない、一人だけが知る事実。


  視覚を取り戻していけば、追い縋る様にして腕を伸ばした。
  幕を閉じる場所は其の腕の中でありたいから。 ]



     [ 死に物狂いで血の海を這い、
       よく知った温度に辿り着く頃には
       既に足の先が感覚を失くしている。

        燃える様な痛みは寒さへと変わり、
        平等で残酷で耐え難いものが
        背後に迫る恐怖に襲われる。 ]


  ( 終わりが、来る────……其の前に。 )


 
(47) 2020/12/12(Sat) 4:31:50

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム

 


 [ 温もりを頼りに破れた衣服の上を掌で辿り、
   震える指先で首筋と垂れ落ちた髪に触れる。
   最期の力はこの為だけに使う。
   その顱が引かれる儘に下がり、距離が零になれば。




   
────噛み付く様に、渇いた唇を奪った。
 ]



   [ からん、からんと音を立て、
     黄金の冠が血濡れた階段を転がり落ちていった。 ]



 
(48) 2020/12/12(Sat) 4:34:31

【人】   ヴィルヘルム

 

[ 柔らかな肉を貪ると同時に、舌を突き入れて。
  上から覆い被さる様にして首を伸ばした。
  甘い、何処までも甘い蜜を口端から零しながら
  血と唾液の混ざり合った其れを咥内へ注ぎ込む。


   快楽等ある筈もないが、逃がす積もりもない。
    喉が上下する迄、確実な死を飲み下す迄。
     引き寄せた小さな頭を抱き込んだ儘、
   嚥下する音が耳許を撫ぜるまで決して離さない。



  込み上げる喀血の味を、呼吸を共有すれば
  安らかな死など鮮血と酸素を求め喘ぐ苦しみに塗れる。
  合わさった唇から漏れ出すのはどうあっても苦悩の声。 ]


    [ 其れはサロメの狂気にも勝る、破滅のくちづけ。

        彼女自身が作り出した『罰』を今この場で、
            自らの命と臨終の時を以て返す。 ]


 
(49) 2020/12/12(Sat) 4:35:16

【人】   ヴィルヘルム





( 身を灼く熱情の炎が執着に依るものと知ってしまえば、
  抱く願いなど唯一つ。
  遺言を放棄し、死の運命を秘密として守り通し、
  剰え醜く足掻き、苦痛を増やす道を選ぶ程度には

                
こい

  ────如何しようもない程に
してしまっていた。 )



 
(50) 2020/12/12(Sat) 4:43:00

【人】   ヴィルヘルム




( 死を目前にしてやっと気付いたのは、
  おまえを何処にだってやってしまいたくないという事。

  ずっと満たされなかった奇妙な心地の正体は、
  同じ死の苦しみを味わう事になったとしても
  共に在り続けたいと叫ぶ秘めた想いだった。
  蓋をし続けたのは己だったのだ。


          だから、どうか…………どうか。 )



 
(51) 2020/12/12(Sat) 4:51:29

【人】   ヴィルヘルム





       
     ────……傍に居てくれ、リヴ。

       
   ( Egal was kommt, ich werde dich nie verlassen )



 [ 凍える身体が全身で紡いだ、たった九文字の願い。
   ずっと痛んでいた、空白ばかりが胸を占めた、
   <利己>に限らぬ想いの応えを導き出した。 ]


 
(52) 2020/12/12(Sat) 4:55:23

【人】   ヴィルヘルム

 


[ 互いの唇を結んだのは泡を含んだ赤い糸。
  伏せていた瞳が揺らぎながら愛しい貌を見詰めては、
  散々血に穢した口許を歪めて、弱々しく笑った。


  其れを最後に、とうとう全身の膂力を失い
  首元に回した両腕さえ零れ落ちて、躰は沈んで行く。
  抱き留めてくれると言うのなら、其の温もりの傍で。
  唯独り、死後でさえ離れたくはないと望んだ者の元にて。



   空気を喘ぎ求める事もなく、痛みに喚く事もせず、
   死を受け入れる支度が調えばいっそ穏やかに、
   かんばせを見上げ続けていた瞳を閉じた。 ]

 
(53) 2020/12/12(Sat) 4:55:43

【人】   ヴィルヘルム




[ 其の表情は苦悩に塗れた最期を示すものではなかった。 ]*



 
(54) 2020/12/12(Sat) 4:56:04
 
[焦るような声を上げてから、あっという間だった。
 強く吸い付かれるのと同時

 
ドクン!


 死んじゃうんじゃないかってくらい
 ものすごく大きな
 心臓の鼓動みたいなのが来て]



   
あっ、 んああっ……!!




[おしっことは違う
 なんかドロっとした熱い塊みたいなのが
 溢れ出る感覚があって、

 それが、
 今まで感じた事のない
 めちゃめちゃに強烈な快感で。]
 

 
[だけど、その余韻に
 浸れるような状況じゃなかった。

 また、
 胸がギュッて痛くなるような
 真昼くんの、あの
 消えちゃいそうな儚い微笑みが見えて、

 それから、その後は────…]
 

 

[後悔の嵐だった。]

 

 
[夜端のヤロウが言った”持て成し”の意味。

 こうなることが分かってて
 真昼くんは、オレを身代わりにさせまいと
 懸命にしてくれたんだってこと。

 何も分かってなくて
 ただただ気持ちよくなってしまった
 自分の浅はかさ。

 全部、全部、理解できた。
けど遅かった。遅すぎた。

 

 
[ぐちぐち、と
 汚いモノが真昼くんの体を引き裂くのを
 至近距離で見せつけられて

 悔しさが、憤りが
 目から零れ落ちてくる。]



   
………ぅ、 …………っく、…




[殺しきれない嗚咽が
 キツく噛んで血の滲んだ唇の奥で、鳴る。]
 



   (オレも、あいつらと
    何にも変わらないじゃないかッ!

    助けるなんて言ってたくせに
    自分勝手に気持ちよくなって
    真昼くんをあっさり生贄に差し出して、…

    最低だ、最悪だ、ッ

    オレも、アイツらも皆、死ねばいい!!)


                         ]

 
[蟀谷が痛くなるくらい泣き腫らして
 視界が狭くなっても
 睨み付けることを止めなかった。

 視線で殺せるなら
 全員、焼き殺してやったのに。
無力だった。

 

 
[ふたり、残された教室。

 青臭い匂いも
 残された水風船も
 意味を伴ってしまえば、吐き気を催す代物だ。

 そして、自分もまた同じものを
 彼に飲ませたんだと思えば、殴り倒してやりたくなる。
 なのに、痺れた腕では
 拳を固く握ることすらままならない。]



   真昼くん… ごめん、 ごめんね…

   オレ、あいつらと同じだった。
   ほんと最低だ、
   死ねばいいと思うよ、

   ……けど、
 
   このまま死んだら、ただの犬死になる。
   あいつら全員 殺してからだ。



[憎悪の滲む低い声が
 冷たい教室の空気を震わせた。]*
 

 
[枯れた声が地を這い鼓膜を震わせる。
 深い後悔の一部が伝わってくるようだった。

 最中も、そちらを見ずとも
 伝わってきていた。

 僕が持つ前に諦めた憤り、殺意が。

 君も彼らと同じだと思った。
 ――だけど、違うと思っていい?

 手足の縄を解いてあげた指先を
 残る跡へとそっと伸ばし、優しくさする。]
 

 
[君は感じなくて良い筈の
 痛みに触れて苦しんでいる。

 心も、身体も。

 解放してあげるべきだろう。
 きっと、そうした。]
 

 
[ 僕に人の心があったのならば。 ]
 

 

   ────…ダメだよ、空澄くん

 

 
[僕は引き止める。
 君が見せてくれるかも知れない未来に期待して。
 ……そう、どこまでも身勝手に。]


   僕のそばに、いてくれないの
   そんなことをしたら

   僕はまたひとりになっちゃう……

   空澄くんは、僕といてくれなきゃダメ


[放っておかないという
 君の言質を利用する。

 ……今日の奴らだけじゃだめなんだ。
 この先僕を傷つけうる全てから
 守ってくれなきゃ。守り続けてくれなきゃ。]
 

      
共有者

[ 君は僕のものだから。** ]
 




[雲隠れした月明かり。その隙間から光が差し込まれるのが見えた。
朦朧とする視界の中で、自身が最初に手を下した傷だらけの姿が歩いてくる。
「迎えにきたよ」と弱々しい手が差し伸べられた気がしたから、腕を伸ばして────……]


              ………………噫。


[ゆっくりと、その手を下ろす。
腕の中の赤い髪を、傷つけないように梳き下ろした。]


 



  ………君が許してくれても、
  私は君の元へ行く資格なんてないんだ。
  何より君の友人が許してくれないだろう。
  
(私はひとごろしなんだから。)


     ……それに、此奴を放っておけない。
       傍にいてやらないと安心できん。
       独りぼっちは、寂しいからな。
     
(寂しいのは一体どっちなのか。)



[輝くステンドグラスが見下ろしている。
嵐の前触れのように心地よい空気に包まれた世界の中で、死にゆく彼を包み込んでいた。
優しい手先で幼児にするように頭を撫でながら、自分の生命のカウントダウンを刻んでゆく。]

  

【人】   ヴィルヘルム



[ 生涯の最後に浴びる雨がこんなにも暖かいものだとは
  想像だにしなかった。
  返答の代わりに降ったのは、獲物を仕留める様な愛咬。
  獣化の兆候が色濃く残る其れは鋭い痛みを齎して。


    吸い込んだ息は終ぞ言葉にはならず、
    痛覚に呻くこともなかった。但し…… ]


      
人間として見ていてくれた

  ( 俺をヒトの儘終わらせてくれるおまえは、
    向こうでも必ず俺を見つけるのだろう。 )


 
(71) 2020/12/12(Sat) 9:59:43