人狼物語 三日月国


124 【身内P村】二十四節気の灯守り【R15RP村】

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【人】 “観測者” 処暑

 
[ 私が『処暑の灯守り』になって、長い時が過ぎた。
 “彼”は私に民を託し、処暑域の魂の管理を任せた。
 けれど、私はそんな彼の思いを延々と踏みにじり続けている。
 統治の殆どは職員任せであるし、魂の送り迎えさえ……私には、他の灯守りのような慈愛はないだろう。
 唯、義務的に生まれ行く魂を迎え、死に行く魂を送っている。
 私が初めて送った魂の中には、ユラの魂もあったのだと思う。
 しかしそれも分からない程、気にもしない程、無関心だった。

 ずっと変わらず、責務に従って淡々と熟している。

 処暑域の人間に対して、不義理を働いているという自覚はある。
 唯、それに対する申し訳なさなんて、最初から持ち合わせていなかった。 ]
 
(245) 2022/01/30(Sun) 18:30:00
 
[ ――灯守りになった当初、無気力な私に対し、職員は「灯守りを務めるつもりがないのならば、さっさと灯りを他に譲ればいい」という事を口にしていた。
 私はそれに応じるどころか、返答をする事もしなかったのだけど、
 そうすると、「先代はどうしてあれを後継に選んだのか」という話が聞こえてくるようになった。
 彼は、立派な統治者であり、灯守りであった。それは未来永劫語られる事だろう。
 ……が、私の存在によって、彼の尊厳が危ぶまれている。それは、あってはならない事だと思った。

 彼の願い、彼の尊厳、それを守るために、きちんと継がなくてはという思いはあった。
 ――けれど、私には出来なかった。
 向いていないというのもあるけれど、どうしても、この世界を愛そうとすると吐き気を覚えてしまう心地がした。
 
 それならば、他の人間に灯守りの位を譲るべきだった。
 けれど、私はそれも出来なかった。
 彼が私に託したものを、他の人に渡したくなかった。
 彼が残してくれた想いを、中途半端に、自分に都合の良いように解釈しながら、私は今も、この地位にいる。
 最初から、私はずっと彼のことばかりで、民の事など何も考えていなかった。
 ]
 

 
[ 『処暑の灯守り』が代々継ぐ能力『風星』。

 先々代の処暑様は、人前での演説等以外では、一般市民の前に姿を見せる人ではなかった。
 けれどその代わり、この能力で、人々を近いところで見守っていた、らしい。

 先代の彼は、自らが人々の近い所へ行く人だったため、この能力は、先々代程は使ってはいなかったらしい。
 とはいえ、彼の足が及ばないところや、目の届かないところまでも気遣うために、風を“目”としていたようだ。

 ……私はというと、灯守りになった当初は、領域の外へ出る事が出来なかった。
 彼へと悪意を向けた世界。そんな悪意に私も殺されるのではないか、と怖かったからだ。
 故に、人の手の入ったものも、長く口に出来なかった。

 そのため『風星』で“外”を見て回るのが常だった訳だけれど。
 彼の愛した処暑域。けれど、そんな彼を裏切った世界。
 見れば見る程に、分からなくなってしまう。
 この地は、この人間達は、守る価値があるのだろうか、と。
 彼が命を賭してまで守るものであったのかと。
 ]
 

 
[ 降り募っていく不信感。
 全他者に対しての嫌悪感。
 故に私は、部下になった行政職員に対しても心を開くことが出来なかった。
 
 それでも右も左も分からない状態であった頃は、職員の助けがなくてはならず、領域へ入る事は許可していた。
 しかしあの事件――私の個人的な日記を勝手に持ち出されて以来、私は領域へも人を入れなくなった。
 ――やはり人間はどうしようもないのだと、私はその時点で心を閉ざしてしまったから。

 蛍は当然置こうと思わなかった。
 『処暑号の蛍』そのものを私は憎んでいて、到底受け入れられなかった。

 だから私の領域へは、灯守り以外誰も入れないままに、
 今日も私は世界との関わりを絶って、領域へと引きこもっている。 ]
 

【人】 “観測者” 処暑

 
[ 長い時が過ぎた。
 本来ならば、彼と二人、穏やかに過ごしているはずの時まで。

 だけど、私は未だに彼の事を忘れられない。
 自分の灯りのように、心は未だ、何時かの
夕焼け
の海にある。

 普通の人間であれば、そろそろ寿命、と言える歳。
 もし苦しみと言えるものから解放される事を願うなら、『証』を受け渡せば死ぬ事は出来る。そんな、二重の意味で絶好の機会。
 ……だけど私は、そうする事も選べない。
 私が死んだところで彼に会えないことは分かっているのだから、意味を感じない。
 それならば、私は彼との思い出を抱いて共に“生きて”いたいと思ってしまう。
 彼を思い返し、その度に彼を殺して、それでも彼の影を追いかけ続ける。


 もうひとつの理由は、『処暑の灯守り』を託せる人間が居ないこと。
 彼が死の際に触れた悪意。
 そうでない人間に託す事が彼の想いだとして、私には、人間の全てが悪意に見える。
 ――人間にきちんと向き合うことを放棄しているのだから、当然のことだ。

 だから、それならば、私が持ち続けていたいと思う独善。
 私は、私の選択で世界が悪意に曝されるのを、酷く恐れている。
 ]
 
(246) 2022/01/30(Sun) 18:33:07

【人】 “観測者” 処暑

 
[ しかし灯守りも万能ではない。
 いずれ私も、魂への負荷で苦しむ時が来るのだと思う。
 そうなれば私は『証』を投げ出すだろうか?
 ……否、きっと、灯りが負荷に食いつぶされるまで、“生きる”ことを選ぶのだろう。

 ――そうして苦しみながら死んでいく、というのは、報いとして相応しい最期であるのだろうと思う。
 ]
 
(247) 2022/01/30(Sun) 18:33:53

【人】 “観測者” 処暑

 

[ しかし私は、長い生の中で、    
  他の“灯守り”という存在に触れた。 ]


 
(248) 2022/01/30(Sun) 18:34:23

【人】 “観測者” 処暑

 
[ 世界にある24の統治域、そこに座す、24人の灯守り。そしてその下に付く蛍達。
 魂の管理者たる彼彼女らは、世界を守るために、人々を守るために、存在しているように見えた。

 しかし、私は“灯守り”にも様々な事情があることを知った。
 世界を愛する人も居れば、世界を疎む人も居る。
 普通の人間とは一線を画しながらも、普通の人間とは変わらない心の動きをすることもある。

 だから、“灯守り”を知ろうと思った。
 彼彼女らが“世界”へと向ける想いを知れば、何か分かるのではないかと思ったから。

 「人々を守る」と称される灯守りは、何を考え、何を思いながら、その位に就いているのか。
 それを知ることが出来れば、私は、―――― ]
 
(249) 2022/01/30(Sun) 18:35:19

【人】 “観測者” 処暑

 

[ ―― 世界をまた、
きになれるのではないか、と ]


 
(250) 2022/01/30(Sun) 18:35:47

【人】 “観測者” 処暑

 
[ 元々の
カナミ
は、世界や人間を研究する学者だった。
 だから、本当は、私はこの世界が好きだった。
 けれど、“灯守り”となってからは、世界への興味も、すっぱりと失くしてしまっていた。

 ……そこに、答えがあるのかは分からない。
 もう数十年も続けている事。未だに、はっきりとしたものは見つからないのだから。
 けれど、もう一度世界を好きになれれば、私はまた笑える日が来るのかもしれない。

 それに私は、灯守りと蛍を見守る事が好きだった。
 好奇心が強いという、自己さえ喪失していた私に、灯火ひかりをくれた人たち。
 答えを探すだけではなくて、その日々は、単純に楽しいものだった。
 だから私は、何時しか心穏やかに過ごせるようになった。 ]
 
(251) 2022/01/30(Sun) 18:36:21

【人】 “観測者” 処暑

 
[ 私は“観測者”だ。
 故に傍観者でもある。
 積極的に灯守り観測対象に近付くつもりはなかったけれど、
 ……『処暑の灯守り』としての繋がりも、増えているように思う。
 それは、嫌ではない。これを、嬉しいと表現するかは、分からないけれど。

 そして何時か、唯の『カナミ』として、誰かと向き合う日が、来るのかもしれない。 ]

 
(252) 2022/01/30(Sun) 18:37:25

【人】 “観測者” 処暑

 
[ “灯守り”というものは、これからも代替わりを続けながら、世界と共にあるのだろう。
 私の灯りいのち尽きるその時までは、その時々の灯守りたちを、見守り続けたいと願う。

 ――それが出来るのなら、それは“私”の幸福と言える。 ]
 
(253) 2022/01/30(Sun) 18:37:48

【人】 “観測者” 処暑

 
[ 白かった手帳は、随分とインクで黒く染まった。
 そんな分厚い記録思い出
と、それから2通の手紙
を手に、私は中央域を後にした。 ]
 
(254) 2022/01/30(Sun) 18:38:15

【人】 “観測者” 処暑

 
[ “外”は夜であっても、今はまだ、
夕景
に染まる、
黄金色
の領域。
 そこを、一際強い風が吹いて行く。

 さて、“会合後”の灯守り達はどうしているだろうかと、
 今日も私は“観測”する。** ]
 
(255) 2022/01/30(Sun) 18:38:55
ーー先代の記憶ーー


「ねー、ゆきちゃん。」


[旅に出て冬至の温泉に入っていた頃だっか
またしばらく経って寄った時だったか。
何かを思いついたような、悪戯っ子のような顔で
一緒に入っている冬至の君へと顔を向けた。]
 




「月が綺麗だねー。」



[珍しいほどの満面の笑みで、彼女を見ながらそう宣う。
一瞬たりとも月なんか見ちゃいないくせに!]

  

 

[それがどういう意味だったのか、誰に訪ねても。
ーーもう、誰にも語れない。*]

 


    
( 雪の冷たさすらよく知らなかった )

 


[ まるで故郷の長い冬のように、
 閉じた屋根の下で過ごす時間が長かった。

 
(どこかの灯守りや蛍のように)

 閉じ込められていたとかそういうわけではなく、
 必要火急でもないと外出することが難しかった。

 風が吹けば消えてしまいそうな灯りは
 尋常でない移ろい方をしていたものだから
 おそらく、能力があると
 それ以外の原因を考えられなかったのだけれど

 何を起因として発動するものであるのか、
 当初、誰も特定することができなかったのだ。 ]
 


[ 自覚のないまま行使される、

 “あと少し”なんてありふれた望みが
 そのたびに灯りいのちを削っていく。

 その瞬間を捉えるなんて難しいに決まっていた
 何せわたし自身、何もわかっちゃいなかったのだから ]
 


[ 冬の入口をくぐったような
 冷たくて、からっとした凩の吹く日
 収穫を終え春まで眠りに就く畑で枯れ草を燃やす人々

 よくある風景だ。
 ぱちぱち散る火花。

 風に乗せられて飛んでいって、
 あ、とめなきゃ、って、

 ――その後のことは何も覚えていない。 ]

 


[ その性質が明るみになってからは
 いたずらに削られることはなくなったけれど
 容赦する必要もなくなってしまったから
 結局のところ、あまり良い思い出はない。

 扱いづらい厄介事は放棄してしまって、
 都合のいいことだけ利用していきたいだなんて

 そんなの、疲れてしまうもの。 *]
 

【人】 “観測者” 処暑

 
『 立春 』 
“ 雪の寒さを身に浴びながらも、小さな春のはじまりを確かに見つけられるひと ”


『 雨水 』 
“ これまで積もった雪を溶かし、春を迎える強さのあるひと ”


『 菜虫化蝶 』 
“ 春の暖かさの中で、美しい蝶となるために一歩を踏み出せるひと ”


『 春分 』 
“ 春の陽光のように、皆を穏やかに見守ってくれるひと ”


『 雀始巣 』 
“ 陽光に照らされて、空へと飛び立つ、始まりの美しさのあるひと ”

 
(309) 2022/01/30(Sun) 23:27:49

【人】 “観測者” 処暑

 
『 立夏 』 
“ 新緑の爽やかさを身に纏う、優しい眩しさを持つひと ”


『 小満 』 
“ 成長の恵みを与える陽の煌きのような、皆に愛を振りまくひと ”


『 麦秋至 』 
“ 麦畑を吹く風のように、遠くから知らない景色を運んでくれるひと ”


『 芒種 』 
“ 梅雨の陰のある空気と、息苦しさと、そして愛を訴え掛けるひと ”


『 夏至 』 
“ 雨空の向こうに、眩しいぐらいに君臨する陽を秘めるひと ”


『 小暑 』 
“ 熱い想いと遊び心で、皆を開けた世界へ誘えるひと ”


『 蓮始華 』 
“ 蓮の花のように、可憐で美しくそこにある華やかなひと ”

 
(310) 2022/01/30(Sun) 23:28:12

【人】 “観測者” 処暑

 
『 立秋 』 
“ 夏の陽の明るさと、秋の夜の寂しさを併せ持つひと ”


『 白露 』 
“ 涼しくなる朝にも前を向き、朝露の美しさを見つけられるひと ”


『 霜降 』 
“ 眠りに向かう人々を見送り、自身は夜の中で哀しみを背負うひと ”

 
(311) 2022/01/30(Sun) 23:28:33

【人】 “観測者” 処暑

 
『 小雪 』 
“ 凛とする冬の始まりに、しっかり立ちながら、皆を導くひと ”


『 大雪 』 
“ 降り続く雪に大切なものを失くして、それでも生きていこうとするひと ”


『 冬至 』 
“ 夜闇に全てを覆い隠して、人を救おうと笑う人 ”


『 大寒 』 
“ 終わりの哀しさを感じさせつつも、そこに確かに春への小さな光があるひと ”

 
(312) 2022/01/30(Sun) 23:28:54

 
 ────どうか、幸せに、お眠り下さい。

          
悪夢は、私が全て喰らうから。


*

 

  
―――いつか、貴方と見た月


[ 温泉にくゆる月を見上げていた

 何も無い夜にともるそれは
 そのひと時は 私にとっての陽であった ]


    ?


[ 隣りで 名を呼ぶ声がして
 ふっと見上げた先の満月 ]


  ――…そうですね。

[ 小さく笑って また月を見る。

 このひと時が 続いてほしい
 そんな叶わぬ願いを 天にとかしながら ] *