人狼物語 三日月国


221 Pledge ~sugar days~

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【人】 田臥 志麻

[仕事として接してくれている女性スタッフたちは
 例え可笑しいと思っていても
 プロだから態度に出すことはないだろう。

 Ω性の男性であっても大半は揃えてタキシードを着る。
 披露宴の時に自身も対外的に着るみたいに。

 LGBTやトランスジェンダーの問題は今や、
 公言しても蔑まれることは少なくなってきているが、
 志麻が消極的なのはそういった根本的な問題以前に、
 骨格が細いとはいえ女性的な丸みのない成人男性である
 自身が可愛いものを着ても似合わないのでは、
 と、誰よりも自分自身が思ってしまうからだった。]
(61) 2023/08/31(Thu) 21:28:04

【人】 田臥 志麻

[威優の可愛いを切っ掛けに視線が上向けば、
 接してくれる女性スタッフたちの表情も良く見えた。
 話を親身に聞いてくれる様子は決して嘲笑うものではない。
 そう気づいたら、随分と気持ちが楽になった。
 最初から拘っていたのは自身だけだったかも知れない。
 そう思えば、少しずつ相談に前向きになれた。

 二人で一から作っていくウェディング。
 ドレスから小物、式場、時期まで。
 たった二人だけで挙げるために。

 話が進んでいくにつれて一生に一度のものが、
 最高になると確信していく。

 リボンのアプローチも一度じゃなくて、
 正式な発表の場でも「お揃い」に拘れるように。]


  そうしたい。
  
  挙式の気持ちを持って披露宴に挑めるなら、
  緊張しないで済みそう。


[もう一つの予定が組み込まれるからには、
 素材選びはまた慎重になりハードルが上がりそうだ。]
(62) 2023/08/31(Thu) 21:29:57

【人】 田臥 志麻

[「愛情」が意味として含まれる花々達の中に
 「かわいらしさ」と「信じ合う心」が含まれる。
 
 自身が選んだピンクに、彼の好みを足せば
 「恋の誓い」が生まれた。
 互いに初めての恋を知った二人によく似合う。]


  知ってる?
  星座の中で一番輝く星って"α星"って言うんだって。
  南十字星には二つもあるらしいよ。


[十字架の前で愛を誓った後、見られるであろう
 夜空の十字に思いを馳せる。
 その中には、威優と同じ意味を持つ星がある。
 
 自身の中でもたった一つだけ、
 誰よりも輝く一番星が────すぐ傍に。*]
  
(63) 2023/08/31(Thu) 21:30:31

【人】 田臥 志麻

[威優が居なければ相談もまともにできないまま、
 既製品でいいと言っていたかもしれない。

 「志麻さま」と呼ばれ続ける中で、
 たった一度だけ「ご新婦様」と言いかけた
 スタッフが恐縮して名前に呼び替えた。


 「大丈夫です、呼びやすい方で。」


 と、照れくさいながらもそう答えられるくらいには
 余裕も生まれて、打ち解けていく。]


  無理。
  リボン見たら絶対ニヤけちゃうもん。

  その時は一緒に笑って。


[どんな思い出になっても
 威優となら良い思い出になることは間違いないから。
 挙式も、披露宴も、笑顔で迎えられたら良い。]
(68) 2023/09/01(Fri) 1:46:26

【人】 田臥 志麻

[街灯が綺麗に並ぶ中を手を繋いで歩く帰り道。
 海の近くのように星は見えないけれど、
 その代わりに冬のライトアップが美しい。]


  Ω星はないんだ。

  オメガ星雲ってΩの形をしたやつならあるけど。
  星雲は星じゃなくて、塵やガスの集まり。

  ああ、でも恒星の光を反射するんだよ。


[冬の空気に冷えていた手が彼の手で暖かくなる。
 自身の星はなくとも、一番星の。
 彼の光を受けて、光ることなら出来るだろうか。]
(69) 2023/09/01(Fri) 1:46:35

【人】 田臥 志麻

── 来たる挙式当日 ──

[初めての海外に戸惑いながらも、
 現地の天気は心を映し出すように晴れやかで。
 一人前の食事の量の多さに感動しながら、眠った翌日。

 最終調節のためになんどか試着を重ねた
 完成されたドレスをお披露目するときがきた。

 ウェディングドレスを着るのなら、
 素っぴんとは行かない。
 ドレスに見合うようにメイクを施されて。
 ベイスメイクはもちろんのこと、
 薄いのチークにマスカラ、色づいたピンクのリップ。

 鏡の中の白いドレスにメイクをした人物は
 まるで自分じゃない、ドラマの中の人みたいだ。

 憧れていた『お嫁さん』の形になっている。
 想像していたよりも遥かに美しく、
 立派なドレスを纏っていた。

 メイクを施された後も、
 鏡の前から離れられずに入れば、ノックが響く。]
(70) 2023/09/01(Fri) 1:47:00

【人】 田臥 志麻


  どうぞ。


[威優かと思い、促して扉の先を見てみれば。
 威優と共に、父の姿がそこにあった。

 みるみる志麻の目が見開かれていく。]


  ……と、うさん……、?

  え、なんで。
  ……えっ、……


[二人だけと聞いていたからその姿を見たときは、
 本当に驚いて、咄嗟に声も出なくて。
 説明を求めるために父と現れた威優を見つめる。]
(71) 2023/09/01(Fri) 1:47:17

【人】 田臥 志麻

[彼の前では穏やかな父がにこやかに笑顔を浮かべて、
 綺麗だね、と感極まったように呟くから。]


  そ、それは威優の言うやつだろ……!?


[嬉しいけど、……
嬉しいけど!

 混乱と照れ臭さと嬉しさでつい親子の素が出てしまう。
 だって二人きりだって!言ったから!
 その台詞は威優から先に聞きたかった。
 
 その父から母と弟も一緒に来ていることを伝えられ、
 更に困惑を広げながらも、
 最終的には威優の方へと眉尻を下げて。]


  
こ、こんなの……聞いてない……、



[と、気恥ずかしさを浮かべながらも。
 複雑な表情を浮かべて、花嫁とは思えぬ動揺を見せた。**]
(72) 2023/09/01(Fri) 1:48:17

【人】 田臥 志麻

[エステもマッサージも綺麗になる為の準備。
 一人で受けるのではなく、二人で施術を受けたから、
 気分も楽ですっかり気持ちも解れていた。

 その時も威優は全くいつも通りに話していたのに
 裏でこんな下準備をしていたとは驚かされた。

 「連れてきてくれてありがとう、威優くん」
 なんて、嬉しそうに感謝を伝える父。

 父の傍らに立った威優が、
 期待していた言葉を口にする。
 (しかもさらっと奥さんって言った!)]


  …………〜〜〜〜〜ッ、

  あー、もうっ……!
二人共ありがとっ!



[ヴェールを下ろした後では
 乱雑に髪を掻き乱すこともできない。
 頬に触れるのもメイクを崩してしまいそうで。
 二人の視線から逸らすみたいに顎を逸らして
 上を向く天に投げかけるみたいにお礼を告げた。

 そうしないと瞳がまた潤んでしまいそうだったから。]
(77) 2023/09/01(Fri) 21:35:51

【人】 田臥 志麻

[バージンロードの意味は威優の口から語られるまで
 調べたことはなくて、初耳だった。

 ドラマや映画ではそのシーンを何度も見てきたけど。
 父親役の人と腕を組んで、
 新婦が新郎の元まで送り届けられる意味。
 それは、家族のバトンを受け渡す意味があるのだろう。

 ────家族から新しい家族へ。

 そのバトンをちゃんと受け取りたいと
 考えてくれた威優と、役目を担ってくれる父に。
 堪えていた涙腺がまた瓦解しそうになってしまって。
 唇を噛み締めて二人の話を聞き、
 彼らの言葉が途切れた後、
 自身の返事を待つように少し沈黙が、落ちた。]
(78) 2023/09/01(Fri) 21:36:35

【人】 田臥 志麻

[今日は笑っていたいから。
 深く、息を吐きだして感情が落ち着くのを待つ。

 それから、二人を見て。]


  ……威優のところまで、
  父さんが、エスコートしてくれる?


[頷く代わりに目尻に皺を作ってみせれば、
 やっぱり、少しだけメイクが崩れてしまった。]
(79) 2023/09/01(Fri) 21:36:51

【人】 田臥 志麻

 

  母さんも、莉久も呼んで。

  ……うちの家族が来るなら、
  威優のお義母さんも呼べばよかったな。


[最後は威優にそう言って笑った。

 赤く燃えていた空が夜空に変わっていく。
 青と緑に囲まれた中で白いチャペルが一層映える。

 立ち上がると威優と拘った
 トレーンの刺繍が綺麗に床に広がった。*]
(80) 2023/09/01(Fri) 21:37:23

【人】 田臥 志麻

[二人だけの挙式にしたいと言ったのは、自身の方。
 威優もその意図を汲み取ってくれていた。
 
 人に見られるのが恥ずかしいというところから
 始まった挙式への準備。
 二人で作り上げてきた計画は
 ウェディングドレスの素材から式場、
 どれもこれも拘って選んできたものだった。

 威優が「可愛い」と言ってくれたことは、
 己を卑下していた自己肯定にも繋がる。

 当初からの計画が二人で、だっただけに。
 家族には見せることはないと思っていたけれど。

 いざ目の前に家族が現れたなら、
 見て居て欲しいという想いに繋がっていく。

 苦労や心配をかけてきた自身が、
 自ら選んで番となった人と手を取り合っていく瞬間を。
 小さい頃からの夢であった
 「およめさん」になった姿を──。]
(86) 2023/09/01(Fri) 23:16:10

【人】 田臥 志麻

 
  わかった。
  威優とオレが一番気に入ったやつを送ろう。


[長男の門出の涙につられて涙腺が緩んだ
 父の背中を撫でて微笑む。

 威優と父を送り出したら、
 母と莉久が入れ替わりでやってきた。

 メイクを直してもらいつつ鏡越しに莉久と視線が合えば、
 父と全く同じセリフを口にしたので
 また笑ってフェイスパウダーがよれそうになった。

 フラワーボーイなんて出来るのか?と揶揄えば、
 威優から聞いたのだろう役目を誇らしげに語る。
 
 「威優さんの元に辿り着くまでしっかり護るよ」

 庇護の対象だった弟からそんな言葉が出てくるのが感慨深い。]
(87) 2023/09/01(Fri) 23:16:51

【人】 田臥 志麻

[元の唇がほんのりと色づくくらいのピンクのリップ。
 最後に仕上げてもらえば、鏡に映るのは最高の自分。

 祭壇で待つ彼の隣に立っても恥じない姿で、
 胸を張っていられるようになりたい。

 母が目の前に立ち、ヴェールを両手に取った。


 「志麻、夢が叶って良かったわね」

 
 レース越しに見える母が口にしたその言葉に、
 覚えていたのかと僅かに目を見開いた。]

 
  ……もう、メイクを直したばかりなのに。


[外で待つ威優と父を、
 更に少し、待たせることになってしまっただろう。]
(88) 2023/09/01(Fri) 23:17:41

【人】 田臥 志麻

[荘厳な音と共に扉が開けば、
 真っ直ぐ続いていく真っ赤なアイルランナー。
 莉久が散らしていく「清め」の花が絨毯に落ちる。

 隣に立つ父と目線を合わせ、
 腕を添えて、一歩、一歩、進んでいく。
 人生を歩んできたみたいに。
 
 十字架に近づけば母の姿が見える。
 また、震えそうになる唇を引き結んだ。

 愛している家族に見守られながら、
 愛しい番の元へ、導かれて。
 祭壇の前、白いタキシードに身を包む威優と目が合う。]
(89) 2023/09/01(Fri) 23:17:53



  [父の腕から手を離して、最愛の人の元へ──。*]


 

[
 二十四歩、


            ――己と出逢った。
                     ]



 ――Yes, I will.


[意思の籠った言葉で誓う。**]

【人】 田臥 志麻

[自身の人生の数だけの歩幅を歩む。
 
 十九歩、二十歩、  ──まだ藻掻いていた時期。

 二十一歩、二十ニ歩、──妥協を知った。

 二十三歩、     ──全てを諦めたようとした。


 威優が少し立ち位置を変える。

                そして──、]
(93) 2023/09/02(Sat) 1:53:51
[
 二十四歩、


            ――威優と出逢った。
                      ]

【人】 田臥 志麻

[少しだけ足を止めて、目を見合わせて微笑む。
 レースの手袋に包まれた手を彼の腕に添えて。

 二十五歩、二十六歩、その先も。

 これからの人生のように、威優と並んで歩いて。
 
 たった三人しかいない参列者。
 静謐な空気の中で、儀式が行われていく。

 威優が誓いを立てれば、自身の名前を呼ばれた。]


  "Will you love him, comfort, hornor and keep him
so long as you both shall live?"
(94) 2023/09/02(Sat) 1:55:10
 

  ――Yes,はい I will.誓います


[ブーケを持つ手に力が籠もる。
 ヴェールに覆われた中で、また唇が震えた。**]

【人】 田臥 志麻

[同じ方向を向いて、同じ言葉を並べて。
 神に誓いを立てる。

 十字架の奥に海から顔を出す月が見える。

 いつかの日にも見た丸い形をした満月が
 太陽の代わりに、細やかな明るさを齎していく。

 神父の言葉が終わり、彼と向かい合う。
 威優の手がヴェールを持ち上げれば、
 倣って視線を上げ、愛おしい翠緑の瞳を見つめた。

 少し、潤んでいただろうか。
 気づきはしたけれど、自身も同じくらい。
 それ以上に、視界が滲んでいたから笑うだけに留める。]
(97) 2023/09/02(Sat) 21:12:48

【人】 田臥 志麻


 
  オレも、──愛してる。


[何度もつっかえた言葉を、
 今はもう澱みなく伝えられる。

 距離が狭まっていくのに、そっと瞼を下ろして。
 誓いのキスを交わす。]
(98) 2023/09/02(Sat) 21:13:14

【人】 田臥 志麻


[月が海から完全に顔を出して、空に浮かぶ頃。
 教会を出て、ガーデンを歩く。
 夜でも写真が撮れるように照明が点いている。

 家族との記念写真を威優に促され、]


  ……うん、そうだな。
  せっかくだし。


[頷いて両親と弟に声をかけた。
 三人とも笑顔で喜んでくれた。

 ブーケを手にしたままアーチの下に立つと、
 傍らに母が、その隣に父が。
 そして、自身を挟んで反対側に弟が立つ。
 
 プロのカメラマンが撮ろうとする前に、
 莉久がスマホでも撮りたい!と新郎である
 威優にお願いしに行ったことには、
 こらっ!と兄の顔をして叱った。]
(99) 2023/09/02(Sat) 21:14:04

【人】 田臥 志麻

[少し気恥ずかしい、一生に一度の記念写真。
 何枚か納めた後は、家族の代わりに威優が喚ばれる。

 スマホを威優から受け取った莉久が、
 ちゃっかりカメラマンの横を陣取り、
 自身もカメラマン気取りでレンズを構える。


 「ほらもっと、威優さんの傍に寄って。
  新婚らしく、ほっぺにちゅうとかする?

  大丈夫、ここ海外だから!」


 ポーズまで指定してくるはしゃぎっぷりに、
 呆れながらも、誓いのキスとは違う写真用は 
 些か嬉しさよりも、照れ臭さのほうが前に立つ。]
(100) 2023/09/02(Sat) 21:14:17

【人】 田臥 志麻

 

  ……ごめん、莉久が浮かれてる。


[隣に立つ威優を見上げつつ、
 指定通りに隣の距離を詰めながら、
 何とも言えない表情を浮かべて眉根を寄せる。

 
 「せっかくだからリングも見せて!」


 更にもう一つ、注文がついた。]


  お前ね……プロの人に任せなさいよ。


[言いながらも注文に答えるように、
 左手を胸元に持ち上げながら。*]
(101) 2023/09/02(Sat) 21:17:38

【人】 田臥 志麻

[撮影会は弟の注文のお陰で賑やかになった。
 
 お姫様抱っこは自宅でもされているが、
 人前で、しかも家族の前とあっては
 さすがに照れが勝ってしまう。

 けれど、腕の中で暴れたらドレスを汚してしまいそうで、
 莉久を睨みつけながら渋々大人しくした一場面もあった。

 翌日からは家族は観光に回るという。
 ガイドも威優が手配してくれていたらしく
 それならば、と安心もした。]
(105) 2023/09/02(Sat) 22:17:38