人狼物語 三日月国


71 【R18】歪んだ愛の形【身内】

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視点:


[犠牲者リスト]
とある書物

二日目

本日の生存者:榊原 皇仁、井達 海、大御門 清玄、葛葉 桜子、汐見 海斗、宮内 理子以上6名


[ 高校生活はたくさんの習い事で
  とても忙しいものでした。
  勉強もありますから、
  過酷、と言われればそうなのかもしれません。
  ですが、大御門家にいさせてもらっているのです。
  そう思えば、人から見たら過酷でも
  辛いとは思いませんでした。
  素質があったのかは…… 
  書道やピアノなんかはよく褒められていましたが、
  華道はよく活け方をを直されていましたので
  難しい…といつも思っていました。      ]
 


   …清玄さんが分かったのならいいのです。
   何色、ですか……?
   清玄さんはどんな色が好きですか?

[ 清玄さんはいつも褒めてくれるので
  彼が喜ぶ色がいい、なんて思うのです。
  何色でもいいと言われてしまうのなら、
  青とか紫とか寒色系の色をあげていくことでしょう。
  モダンな柄も興味がありますが、
  正統派のものを選んだほうが
  もし成人式以外で着る機会があるのなら
  役に立つのではないか、なんて思うのです。 ]
 


[ メイドさんに深く頭を下げられると
  少し今でも困ってしまいます。
  お嬢様としてふるまうのなら
  気にしなくていいのでしょうけれど、
  清玄さんはともかく、私は普通の生まれなのです。
  それでもありがとう、とお嬢様らしく
  振舞おうと努力したことでしょう。 ] 
 


   ふふ、仲良しですよね、直哉さんと。

   わぁ…凄いです…!
   私は会話には自信がなくて……
   海外旅行で困ってしまいますね……

[ 清玄さんのご友人は何度かお見かけした気がします。
  仲がよさそうなのを見ると
  にこにこしてしまうのです。
  何故でしょう、嬉しくなってくるのです!

  海外旅行を、と言われたら
  断りはしませんが、少し不安なそぶりは
  隠せないでしょう。文化も違いますし
  言葉が違うのは心配なのです。      ]
 


   わかりました!
   卒業式の日が楽しみですー!

[ 中学までは見に来る人がいませんでした。
  だから、卒業式に見に来てくれる人がいるのは
  とっても嬉しいのです!
  何か言いかけたようで首をかしげますが、
  特に大事なことでないのなら
  深くは追及しなかったでしょうね。 ]*
 


   うん、そうして?
   お昼も別に、
   どっかで買ったっていいわけだしさ。

[ 実際自分なら昼はどこかで適当に買って
  食べる気がする。お弁当を毎日作るって
  すごい大変だと思うし。
  まりんの料理を食べれると思うと
  今から期待してしまうけど。

  荷物については、料理をしてもらうのだから
  それくらい持たせて、と譲るつもりはない。
  てか一応力はある方だから苦じゃないし。 ]
 


   え、でも折半……
   その、両親に相談しますね。

[ ベッドとかを見に行こう、
  なんて話になりつつ、美味しく
  夕食を食べていた。

  家賃の話は……俺の一存で決められることじゃない。
  両親に相談すると言っておいた。
  多分俺が出せない分を親が出すことになった…
  んじゃないかなと思うけど、
  親同士の話し合いだからそれを聞くのは後の話。 ]
 

 ―――――

   だーかーらー!
   2つ要るって言ってるだろ?
   なんでそんなこと言うんだよ……

[ 休みの日。
  認識のずれが明らかになって、
  滅多にしない喧嘩をしそうになっていた。

  二部屋ある場所、っていう条件からして
  一緒に寝るのをまりんのご両親が
  想定してるわけもないし、
  何より俺が寝れないから嫌だ。

  ……まりんがどこまで思ってるのか知らないけど
  俺はそんなすぐ手を出すような奴になりたくないし。

  まさかまりんが譲らないとは思わなくて
  ほとほと困り果てていた。
  とりあえず一緒に寝るかはさておいて
  二つ買おう、じゃないと困る
  なんて宥めようとして…それでもだめなら
  ちょっと子供っぽいことを口にしただろう。

  俺たち以外にも少し大人っぽいカップルがいるし、
  あんまり口論したくないんだけど…。    ]*
 

【人】 大学生 井達 海

・あの日の回想・


   あ、あの…お隣、いいですか?

[ まりんは、ある日1人で講義を受けに行きました。

  海斗くんがアルバイトに行くということで
  フリーで受けていいものが興味を惹かれて
  珍しく、1人で…そうです。
  まりんにしては珍しく1人で行動を…

  でも、人気だったのか、
  座席がそんなに見当たらなくて、
  まりんは女の人の隣に一席見つけ、
  勇気を出して声をかけました。

  その女の人はすぐに返事をしてくれなくて
  少ししてから、まりんに気づいたみたいで
  どうぞって言ってくれました。     ]



(0) 2021/05/04(Tue) 0:52:04

【人】 大学生 井達 海



   またお会いできるかなぁ…

[ 講義が終わって、ありがとうございましたって
  声をかけましたが、やっぱりお返事がなくて
  何かあったのかなぁって
  1人とぼとぼとおうちに帰りながら
  ぼんやりと思うのでした。

  これは、まりんとあの女の人の出会いの日。 ]*




(1) 2021/05/04(Tue) 0:53:07


    僕自身は……紫とか、好きだよ。
    でも、理子が好きな色が1番。

[ 彼女が悩んでいるのなら、
  沢山見繕うことにしたことだろう。
  4年の間に、彼女が振袖を着ることは
  ないだろうけれど、もしかしたら
  着せてどこかに連れて行きたがる
  彼の母親が舞い戻るかもしれない。 ]



    まぁあれは……腐れ縁のような感じ。

    僕と一緒にいるなら大丈夫だよ。


[ 不安そうな彼女の顔を見れば、
  彼は安心して、と髪を撫でてあげた。
  卒業式の日は二手で別れていくか、と
  考えながらのんびりとその日を過ごして。 ]




────────


   ………卒業した。卒業証書貰った。


[ 卒業式途中、彼は隣にいる友人に確認をとった。
  晴れて彼女は高校から卒業した。
  待ちきれない気持ちを抑えて、
  彼女がこちらを見つけて駆け寄ってくるのを
  彼女の教室前の廊下で待っていた。

  彼女には、チェーンを渡しているから
  エンゲージリングは今制服の下にあるはず。
  彼の薬指には、それがあるけれど。     ]*






   ……名前というか名字、かな。
   ぐずな葛葉…って。

  ひどい、なんて言われれば苦笑いして。
  まあ許さないとは思っているけれど
  過去の事ですから。
  引きずっているわけでもないのです。

  連絡先はそのまま登録されたようです。
  デートをしようなんて囁かれて
  ドキッとしてしまいました。
  ……遊びでってこと、ですよね?
  真意がよくわからなくて
  わからないまま、頷いてしまうのです。

  ―――断れないのが私の悪いところです。

  ジュースとサンドイッチを渡されて
  私がそれを食べる間に
  彼はシャワーを浴びに行ったようです。
  食べ終わったら入れ替わりに
  シャワーを浴びることになるでしょう。
                     ]
 

  *

   ……わかり、ました。


  いつも軽い口調の彼が
  真面目に言うものだから、思わず敬語に。
  結果から言えば、お金を渡されてしまったので
  産婦人科に行って薬をもらうことになります。
  そのおかげか、運がよかったのか
  妊娠はしなかったのです。

  ……責任感があるのかないのか
  よくわからない対応で、混乱してしまいます。
  彼は何を思っているのでしょうか……。 
                         ]
 


   おうじくん。
   私……恋人に愛されてなかったんですね。
   気づかせてくれて、ありがとう。


  部屋を出る前にお礼を言うのです。
  ええ、お礼を言うどころか
  文句を言っても多分、一般的には許されることを
  彼にはされましたけれど。
  それでも……私にとって
  ひと時の救いになったのは
  ごまかしようのない事実なのです。

  
―――あの優しさまで嘘だと思いたくないのです。


  両手を頬に添えて唇を軽く重ねて
  私なりに感謝を伝えたのでした。
                      ]


   ……また、ね?


  またたくさんしようなんて言われて
  返答に詰まってしまいましたが
  にこにこと手を振られて
  手を振り返すのでした。
                   ]
 



  誕生日の出来事としては散々、でしたが。
  でも、怪我の功名といえばいいのか。
  元恋人への未練はすっかり断ち切れていました。
  彼のおかげ、かもしれません。

  ……別に連絡先を交換したからといって
  会う義務なんてないですし、こちらから消せば
  それでおしまいのはずです。
  それなのに、私は……
                    ]


    『来週の土曜日、空いてますか?』



  なんて電話をしてしまうのです。
  理由は……もう一度だけ、なんて
  思ってしまったから。
  それが一度になるわけがないと
  薄々思ってはいても、そういい聞かせて
  連絡を取ってしまうのでした。

  案の定、一度きりで済まなくなるのですが。 ]*
 

【人】 大学生 葛葉 桜子

  ― 可愛らしい女の子との話 ―

   ……あ、どうぞ。


  ちょっと薄めの髪色の
  女の子に声をかけられたのは>>0
  ほぼ上の空で大学の講義を
  受けていたあの日。振られた直後のこと。
  たぶん目に見えて私は落ち込んでいたでしょうし
  眠れていないのが顔にも出ていたでしょう。

  それを気づかれたかは定かではありませんが。
  講義が終わって声をかけられても
  返事をせずにいたので
  失礼な人と思われた可能性もあります。
  
  余裕のなかった私は、
  そんな出会いをすっかり忘れてしまっていました。
  再び、席が隣になるまでは。
                         ]*
(2) 2021/05/04(Tue) 1:31:11


   うん、わかった!
   お昼も、一緒に食べてくれる…?



[ お休みの日にアルバイトがあるなら、
  全く問題ないけれど、大学では
  出来るだけお昼も一緒に食べたいな、なんて。

  海斗くんがおうちに帰った後、
  まりんのお父さんは誰かに電話をかけて
  お金のお話をしていました。
  結局、家賃が8万円のお部屋を
  借りることになりました!       ]




──────────

   海斗くんと一緒に住むのに1人嫌!


[ 意固地になって、まだ声のトーンは
  抑えていますが限界ギリギリです。
  まりんは海斗くんと一緒に住むのに
  一緒に眠れないの嫌です。

  むうぅっっとしかめた表情でいると
  近くを通った緑の髪のお兄さんが

  『とりあえずふたつ買って、
   寂しくなったらひとつでええやん』

  と、呟いて過ぎていきました。  ]


    ……ダブルベッド、ふたつ…
    買っても、いいかな?


[ まりんは海斗くんにごめんなさいをして
  そう提案するのです。
  海斗くんにお兄さんの呟きが聞こえていたか
  分からないのですが、聞こえてなければ
  それで全然よくって。         ]*
  



   そういうこと言う人間ぼく嫌い。
   ……人の名前とかで遊ぶやつは、最悪。

[ 

  ムッとした表情を見られただろうか。
 
  しかし彼はすぐに表情を戻して、
  デートに了承の頷きを見れば
  楽しみ、なんて単語を口にしたり。
  シャワーを上がれば、
  彼女は少し動けるようになったみたいで
  ゆっくりしておいで、なんて
  声をかけて入れ替わりに
  彼女がシャワーを浴びるのを見守った。

                     ]




   *


   ん………そんなやつのこと、忘れるんだ。
   ワンコちゃんの時間の無駄になるから。



  言われなくても忘れたかもしれないけれど
  気になって仕方がなくて。
  彼女が背伸びをして唇を重ねれば
  優しく頭を撫でて、よくできました、と
  褒めてあげた。

  またね、と言われればにこにこ笑顔で。

                     ]







  彼から連絡を入れる前に、
  彼女から土曜日に会えないかと電話が来た。
  勿論、即OKを出して。

  その時は彼女に似合いそうな布製の首輪が
  セットになっている下着を渡して着てもらったり
  また5回戦まで楽しませてもらったり。
  でも、その前にいっしょに食事もしたり。

                       ]





    今日は、何か気になるものでもある?




  また別の日のこと。
  今日は昼から彼女とデート。
  指を絡めて恋人繋ぎをしても
  彼女が怒らないのでさせてもらっている。

  甘いものでもなんでも、
  彼女が気になるなら付き合う彼はまず
  彼女が行きたいところがあるのかどうか
  確認をとりながらぶらつくのが楽しくなっていた。

  運命のその時はもう近づいているのだけれど。

                        ]*





   もちろん、一緒に食べよう。

[ 大学内で彼女をできるだけ一人にはしたくない。
  そもそも講義が全部同じだから
  別々に食べるほうが面倒なことだと思うけど。

  どうやらうちの親と話し合ったみたいで
  8万円を折半して、さらにその半分の2万円を
  俺が出すことになった…みたいだ。
  話し合いの内容までは教えてくれなかったから
  よくわかんないけど。            ]
 

 ―――――
  
   
俺は1人がいいんだけど……


[ あ、だめっぽい。お互い意地になってるから
  これこのままじゃ決まんないな、って思っていたら。
  大人っぽいカップルのお兄さんの方が
  
  『とりあえずふたつ買って、
   寂しくなったらひとつでええやん』

  なんて呟いてどこかに。
  会話、聞かれてた……なんて思ってたら、
  まりんはそれを聞いて考え直したらしい。
  ……救世主だなあの人、と
  お兄さんが行った方をふと見ると
  目があったのはこげ茶色の髪の女の人。
  不思議そうにこちらを見てから

  『何してたの?……何でもない?
   ならいいけど…。……ってベッド一つ?!
   二つじゃないの?!』

  なんてお兄さんのほうに話しかけているようだ。
  
……ああ、救世主のお兄さん、まりん側かよ

  と思ったけど感謝はしておこう。 
  
  まりんが謝ってきて、俺もごめんな?
  なんて言って。とりあえずその場は収まった。 ]*
 


   うん、そうだね。
   そういうこと言う人は最低。
   

[ 
  彼は一瞬ムッとした表情をしました。
  ……人の名前で遊ぶ、ね。
  されたことはあるのかもしれません。
  
  私が名前をバカにする人が嫌いなのは
  勿論自分が笑われたのもあるのですが。
  都恋(みやこ)ちゃんという友達が
  名前でいじめられているのを見たから、でも
  あったりします。名前は読んでもらえなくて
  その当てつけか何かのように
  色々と言われていたのを、身近で見ていました。
  勿論、止められる範囲で止めようとは
  していたのですが。  
                         ]
 


   ふふ、心配してくれてる…?
   ありがとう、もう大丈夫。


  優しいな、と思ってしまいました。
  どうしてそんな言葉をかけるのは
  やっぱりわからなかったけれど。

  唇を重ねると、頭をなでられて  
  よくできました、なんて褒められるのです。
  
……胸がざわつくのはきっと、気の所為。

                      ]
 

  *


  連絡にはすぐに了承の返事が返ってきました。
  ……この人暇なんでしょうか、なんて少し。
  
  まさか、彼が布製の首輪付きの下着を用意してる
  などとは思わず、びっくりしながらも
  押し負けて着てしまって、肌を重ねて。
  その前の食事でいくつか質問したりしましたが、
  彼のことを知ることは出来たでしょうか?

  恋人はつくらないの?とか
  仕事は何してるの、とか。
  そんな質問を、したと思います。
                        ]
 

   
   気になるもの……
   ケーキ、食べたい気分かも。


  結局誕生日にケーキを食べ損ねてしまったので
  その原因の一つの彼に奢ってもらうくらいは
  許されるかもしれない、と思ったのです。

  恋人つなぎをして歩くのは……
  断れずそうしていましたが、
  ……それはダメと言うべきだったかも。

  何故なら―――
                        ]


   
『桜子、お前もう彼氏作ったのかよ?

    
案外軽い女だったんだな??』


  



  ―――元恋人に、遭遇してしまったから。
  気づかなかったんです、彼のほうを見ていたから
  元恋人がいることにも、こっちに来ていることにも。
  
  
彼との時間が楽しかったから

  
周りなんて、見てなかったんです。


  声をかけられて、固まってしまいました。
  ぎゅうっと反射的に彼の手を
  握って俯いて。何も言えなくなったのです。
                         ]*
  
 





  名前をきちんと読んでもらえないことは
  彼の中で許容範囲のことだった。
  でも、そこから派生して
  名前をつけた両親を揶揄したり、
  全く違う呼び方を悪意を持ってしたり、
  そういうことをする奴らがいて
  彼は自分の名前が嫌いだった。

  セフレをセフレで止めてるのは、
  彼女たちもまた笑ったから。
  本名だよっていうと笑った彼女たち。
  だから、穴として使うだけ。
  そこに優しさなんてものはなくて。
  
                    ]





   失恋した女の子だから、心配。
   その様子なら、大丈夫みたいだね。




  勿論、一夜を楽しんだけれど
  それ以上に彼女の涙を見たから
  そっちのほうが心配になっていた。
  だから、彼女が泣いていないのを
  しっかり確認してから、彼女とは分かれた。

                      ]





    *


   フリーランスでシステムエンジニア。
   だから、お願いされたら
   忙し過ぎなければ会えるよ。
   ……恋人は、いらないなぁ。



  恋人の段階は要らないけれど、
  結婚願望はある。
  そこまで彼女には言ったかな。
  もしかしたら言わなかったかもしれないが
  そんな大事なピースではなかったはず。
  勿論、彼にとっては、の話。

                      ]






   ケーキ?いいよ、何か買っていこう。




  ふふっと笑いながら、
  恋人のように最近の出来事を話していると
  男の声が聞こえ、彼女の手の力が強くなった。

  彼女が立ち止まれば、
  彼もその場に立ち止まって、
  声の主の方を見たけれど、ふと思う。

  『別れて正解』

  どう考えてもチャラそうで、
  頭が悪そうで、恋人を不幸せにするタイプ。

                      ]





   この子に恋人がいて、
   なんで自分には恋人がいないんだって
   僻んでるの?小さい男だね。
   桜ちゃんにはそれだけの魅力があって
   君にはそれがないってことでしょ。




  ケラケラと彼女の前ではやらないような
  相手を蔑むような笑い方をした彼。
  恋人が出来ることに気持ちが軽い重いは
  全くもって関係性がないだろうと
  彼は全面的に攻める姿勢をやめなかった。

                      ]*






  なんだか、新婚さんみたいだねぇ。


[ だって一緒に住んで、一緒に家具を選んで。
  こんなことって普通はしないでしょう?

  関西弁のお兄さんも、
  お姉さんといっしょだったみたいで
  楽しそうだなぁって思いました!

  家具は直接お引越し先に届くようにして
  お引っ越しの日はまりんの両親も
  海斗くんの両親もお手伝いしてくださって
  2人での生活が始まりました!   ]





   紫、ですか?
   私も好きです!青とか紫が好きなんです!

[ あげていこうかと思っていた色を
  清玄さんも好きだと知れば
  とっても嬉しくなるのです。
  たくさんある中から選ぶのは大変ですけれど
  清玄さんと一緒に選ぶのなら
  きっと楽しいのです!           ]


   清玄さんから離れなければ
   旅行の時も大丈夫でしょうか…?
   もしそうなら離れません!

[ 髪をなでられて少しホッとするのです。
  もちろん話せるようになれば
  それが一番よいのですが、
  勉強と実践は別物なのです。
  私には難しく感じてしまいます。   ]
 

────────


   海斗くん、……やっぱり、
   一緒におやすみしちゃ…ダメ?

[ ある日の夜のことです。
  少し寂しくなって、電気を落とした
  海斗くんのお部屋に
  枕を持ってお邪魔します。

  お引っ越ししてからは、
  1人で頑張って眠っていたのです。
  でも、やっぱり広いせいか寂しくて。
  それに、海斗くんにおやすみって
  言ったから別々の部屋に行くのも
  なんだか…モヤモヤしてしまって。  ]

   あ、でも…海斗くん、ひとりが…
   よかったんだった、ごめん……
   寝てるときに、ごめんね?

   *





 ―――――

   
[ 今日は高校を卒業する日です!
  学校なので髪は結っています。
  エンゲージリングは、チェーンに通して
  服の下に隠れています。
  学校を出たら指につけ直すつもりなのです!

  教室前の廊下に清玄さんの姿を認めれば
  笑顔で駆け寄っていくのです。     ]*


   卒業しましたー!
   


   システムエンジニア……
   プログラミングとか……?

   ……そっか、なんか………
   ううん、やっぱりなんでもない。


  プログラミング?なんて聞いたのは
  大学の講義でそんな内容のものをとって
  いたからでした。あんまりきちんと理解できなくて
  単位をあきらめようかなと思っていたので
  一瞬教えてもらおうか、なんて考えましたが
  ……ちょっと虫のいい話ですよね。

  おうじくんは恋人はいらないみたいです。
  ……勿体ないと言おうとしてやめました。
  私が勝手に思っただけの事ですし、ね。
  胸がチクリと痛むのです。
  ……恋人がいらないのなら私もきっと、
  遊び相手の一人なのでしょう、ね。

  少し考えてしまったせいで、
  彼が結婚願望を持っている話は
  たとえしていたとしても
  聞きそびれてしまうのです。
  
私にとっては、大事な話だったのに。

                     ]
 



  ケーキを買おう、なんて和やかに
  話していたのに。
  楽しい時間は簡単に壊されました。

  元恋人はそれなりに顔はいい方でしたが
  成績はそんなに良くなかった気がします。
  ……頭は良くなかったかもしれませんが
  でも、私に“恋人”だと思い込ませるだけの
  口のうまさと、人を丸め込むための観察力は
  持っていたようです。
  それは立ち直ってから、気づいたことでしたが。
                     
  ともかく、私が何も返せずに黙ってしまったのを
  あの人はきちんと見ていました。
  
―――何かを、察したような顔をしました。

  何か言われる前に無視して通り過ぎなければ
  と思って彼のほうを見ましたが
  彼は何故か反論していて。  
  蔑むような笑い方をしているのです。
                         ]
 

   
   『僻む?そいつに?
    まさか。なんか勘違いされてるみたいだけど
    そいつはハナから本命じゃねーし、
    今、本命のコとは付き合えてるし?
    そいつは性欲満たすためだけに付き合ってたけど
    思ったより何倍もめんどくさい女だったわ。
   
    そいつの魅力?
    体だけだろ、そんなの。
    たかだか学生の付き合いで
    将来まで考えようとするとか重すぎて
    誰も付き合いたくねーよ。』



  馬鹿にされたのに苛立ったのか
  なおも彼は何か言い募っているようでしたけれど
  正直聞くだけ無駄です。
  彼の手を少し引っ張って、もう行こう
  と促そうとしましたが……
  彼は動いてくれたでしょうか。
                     ]*
 


   ……そう、だな。

[ 今はまだ、みたい、で合ってる。
  そのうち本当に新婚になるつもりでいるけど。
  
  あのカップルはもしかしたら
  新婚だったのかもな、なんて
  少し思ったりして。

  引っ越しは両親の手伝いもあって
  難なく終わった。
  二人暮らしは俺から見たら 
  特に何も問題なさそうだったんだけど…? ]
 


 ―――――

   ……それさ、前から思ってたんだけど。
   男と一緒に寝ることの意味、
   わかってて言ってる?

   わかってないなら、嫌だ。
   意味を教えてもいいけど…… 
   
   
傷つけそうで、やっぱり嫌、かも。



[ せっかくベッドは二つで
  部屋も分けたのに。
  自分の部屋にまりんが入ってきて
  俺は多分困った顔をしていたと思う。
  ベッドに座って、彼女のほうを見ながら言った。

  手を出したくない、
  二人で暮らしていてすごく近い距離で
  二人とも大学生だから……
  そういうことしてもいいのかもしれないけど
  ……まだ学生だから。
  悪影響が出たら、と思うとそれも嫌で。


  ―――自分がすごく臆病なだけなんだけど。 ]*
 


   プログラミングもやるよ、勿論。
   あとはそういう開発の取りまとめとか。
   興味があるならいつかそんな時間取ろうか?
   建築系だから関係ないかもだけど。




  偶に、頼まれて小学生向けの講座もやるから
  人に教えるのは下手ではないはず。
  大学生をダメにするほどのクズではない。

  彼女が、彼の答えに顔を少しだけ歪ませた。
  でも何にひっかかったのか
  彼には到底予想ができない。
  だって、話すことは話した筈だったから。

                       ]





   まぁ別にさぁ、学生の若気の至りもいいけど
   桜ちゃんが将来見据えるって
   結構女の子としては当たり前だと思うよ。

   だって、大学生で出会った人が
   そのまま奥さんとか旦那さんになる確率知ってる?
   脅威の38%だよ?
   分かる?この可能性の高さ。
   小中高それぞれからの付き合いで
   結婚する確率を足してそれに満たないよ?

   残念だなぁ……







  完全なるはったり。
  でも、人間は自分の知らないことを
  理路整然と話されると、
  そうなのだと思い込んでしまう。
  だから彼は、目の前の相手を
  そういう感じに追い込んで、
  疲れたからと彼女の手を引いて
  その横を通り過ぎるだろう。

  もし、止められたなら、
  彼はこういうはず。

  『僕みたいに年収1000万になってから
   また話しかけてね。』

                    ]*
   




   ……単位がその…
   そういう科目があって……


  ちょっと目をそらしつつそんなことを言って
  もし時間があるのなら教えて欲しいと
  頼んでみたことでしょう。
  
  思ったことをそのままいえば
  もしかしたら何か違ったのかもしれません。
  でも、言えなかった。
  聞けなかった意気地なしの私は
  こう思ったんです。

  
“恋人がいらないのなら好きになったら嫌われる”


                         ]

 *


  おうじくんは何か理路整然と話しています。
  ……なんでそこまでかばってくれるのか
  わかりませんけれど。
  きっと優しいから、ですよね…?

  はったりだとは分からず聞いていましたが
  元恋人の方はといえば
  めんどくさいと思ったのか。
  私たちが動くのとほぼ同時に
  通り過ぎようとしました。
  
  ……私の横を通ったあの人は
  私にだけ聞こえるような小声で
  最後にこんなことを言い残して。
                      ]


  思わず元恋人のほうを見ました。
  何も、言えなくて動揺してしまって。

  私の反応を見たあの人はふぅん、と
  それはそれは嫌な笑みを浮かべました。
                     ]


   『馬鹿な女だな、ほんと』



  どちらにも聞こえるように言って
  今度こそ去っていきました。
  ……そう、私がいくら意気地なしでも
  ここまで何も言い返さなかったのは
  私を知っているあの人にとっては
  私たちの関係性を推しはかるには十分な情報で。

  その一言が、何より私には辛かったのです。
  何を言われたのか聞かれても
  おうじくんに教えるつもりはありません。
  先ほどかばってくれたお礼を言いましょう。
                        ]

   あの、ありがとう……
   ごめん、ね、巻き込んで……

   * 



   紫の振り袖か……似合いそう。
   入っていてほしいモチーフはある?


[ 蝶や花。色んなものがあるだろうから
  彼はひとつひとつ彼女がいうことに
  耳を傾けてメモを残していく。

  反物を選ぶのは、まだ少し先だが
  もしかしたら、彼女はそれを使って
  大学の卒業式に出るかもしれない。
  そう考えると、尚更。
  彼は真剣に話を聞いたことだろう。  ]






   僕としては、いつか自分で話せるように
   なるところを見てみたいけれど、
   無理強いはしないでおこうかな。


[ 成績が悪いわけではないけれど、
  彼女にはそれを使う環境がない。
  だから、実際に使う環境に一緒に出向いて
  練習するお手伝いでもしてみたいもの。

  クスッと笑ってほっとしている彼女を
  優しく包み込んで。          ]





────────────


   おめでとう理子。
   チェーンを外してごらん。
   直哉に写真撮らせるから。


[ 彼女に渡そうとしたバラの花束を
  彼の友人に任せて、彼は廊下で指輪を
  彼女の薬指につけようとした。

  それは多分、欲にまみれた考えで
  花束を抱え指輪をはめた彼女と
  写真を撮りたいだけ。
  しかも、外ではなくこの廊下で。  ]


   『きぃよぉ……眩しいんだけど』


[ 一眼レフを肩にかけていた友人は
  花束を使って、隣に並ぶ彼らを
  視界に入れないようにしていたかも。 ]*





   え、?……一緒に、寝たいだけじゃ…
   ダメなの?ねぇ、海斗くん?

   まりんは、…海斗くん好き、だよ?


[ 大人しくお部屋の扉のところで、
  枕を抱っこしたまま海斗くんの話を聞きます。

  分からないことばっかり海斗くんは言います。
  まりんは何かおかしなことを言っているのですか?
  誰が正解で、何が正解なのか。
  さっぱりわかりません。

  夜で、2人で暮らしてるのに寂しいから
  まりんはまた泣き出しそうです。
  海斗くんはまりんが泣くと困った顔をしますが
  もう既に、困った顔をしていました。   ]*






   そうですか?嬉しいです!
   モチーフ……
   紫なら藤の花が好きです!
   動物ならうさぎさんの柄も可愛いと思います!

[ ちょっと紫というには色が薄いかもしれませんが
  すぐ思い浮かんだお花を言ってみるのです。
  あと浮かんだのは兎、でしょうか。
  七宝文も派手さはないけどいいかなあとか
  思ったりするのです。

  うさぎの柄には子孫繫栄だとかツキを呼ぶ意味が
  あるらしい、なんて知るのはモチーフの意味を
  調べようとしたときになるのですけれど。    ]
 



   やはり話せた方がいいです、よね…?
   清玄さんが一緒にいるなら頑張れる気がします!

[ 優しく包み込まれると
  何でもできる気がしてきます。
  清玄さんのためならなんだって
  頑張ろうって思うのですよ!  ]
 

 ―――――

   ありがとうございます!嬉しいですー!
   お写真ですか?
   はい、わかりましたっ!

[ 制服の下に隠れていたチェーンをはずして
  清玄さんに指輪を付けてもらえば
  清玄さんのご友人の直哉さんに
  お写真を撮ってもらうことになるのです。
  バラの花束を抱えて
  清玄さんとぴったりくっついて。

  撮ってもらった後は
  直哉さんにお礼を言うのです!    ]*
  



   単位かぁ。おっけー、あんまり難しいのは
   いらなさそうな気がするね。



  彼女が単位と口にすると、
  彼は納得した感じで頷く。

  大学でプログラミングをとるとは
  面白い子だな、と感じつつ
  仕事の詰まり具合を確認して
  彼女の考査前に週一でも教える時間を作った。

                        ]





   *

   気分が悪い……
   ホテル行こうかと思ったけど、
   うちに来てくれる?



  ケーキはまた今度にして、
  お礼と謝罪をする彼女の手を
  ぐっと引っ張ってしまったなら、
  彼女は体勢を崩さなかっただろうか。

  彼の家は偶然にもここから近くて、
  徒歩5分くらいのところにある。
  地上何階建てだろうかという
  タワーマンションにたどり着けば
  彼女とずっと繋いでいた手を離しただろう。
  凄くイライラした表情を、
  彼女の前では見せないようにしたけれど
  果たして出来ていただろうか。

                      ]*




   ……ダメかなあ、
   小学生くらいまでなら別によかったけど。
   
   まりんはさ、なんで二部屋あるとこ
   選ばなきゃいけないのか、わかってないんだろ?
   ……まりんの親御さんはさ、  
   たぶん、俺とまりんが一緒に寝るの
   すっごい嫌がると思う。
   まりんがいいと思ってるからいいとか
   そういう問題じゃない。

[ まりんのご両親の意図を
  まりん自身は理解していないようだから
  とりあえずその話をしつつ……
  たぶんこんなのじゃ
  ピンときたりしてくれないだろう。
  どこまでも真っ白で純粋な子だから。

  立ち上がって、彼女に近づいて。
  髪をそっとなでた。        ]*
 


   花で紫を入れるのか…そっちは考えてなかった。

   藤の花、たしかに綺麗だ。
   …うさぎ?可愛い柄を考えるね、理子は。


[ 彼女の発言をメモしているうちに
  色んな色の色んな柄を用意する必要があると
  多分2人で納得していたのではないか。   ]


   話せるに越したことはないし、
   いつか海外のお客さんが来た時に
   いつも僕がそばにいるとは限らないから。

   大学4年間で、しっかり話せるように
   頑張っていこうね?

[ 彼の婚約者、ひいては妻になるということは
  会食へ一緒に参加することも
  大いにあるわけで。だからその為にも
  多少の無理を彼女に強いることになるかもしれない。 ]



────────


  『はーいカメラ見て、……清玄顔ゆるい』

   うるさい。……さ、挨拶する人いる?
   いないようなら、直哉のリムジンで
   移動を開始しようか。


[ 花束を抱えた彼女は最高に可愛かったらしく
  彼は背中を向けて少しため息を漏らした。
  でも、すぐに切り替えて、
  彼女の背中に手を添えれば
  まだまだ歓談の続く学校を去ろうと促す。

  友人はというと、可愛い自分の恋人に
  メロメロになっていて
  腕を組んで離そうとはせず、
  彼女にもそろそろ関係が知られてしまうか。 ]*
  




   そりゃおうじくんにとっては
   簡単でしょう……

[ 
  少しだけ拗ねてしまいました。
  私の理解力がないのかもしれませんが
  余裕そうなおうじくんをみると
  少し悔しくなってしまったのです。

  プログラミングを取った理由は
  時間割表と相談して空いてたからっていうのと……
  
  出来たらかっこいいなって思ったんです。
  だから、教えてもらった時は
  ちょっとおうじくんがかっこよく見えました。
  ……わかりやすかったです、悔しいことに。
                        ]
 

 *

   気分…私の、せいで……
   ごめんね……。

   うちって、おうじくんの?

[ 
  ぐっと引っ張られて
  ぐらりとよろめいてしまいます。
  転びはしなかったけれど、
  おうじくんに抱きついてしまいました。

  タワーマンションにたどり着くと
  ここ……?と思わず彼のほうを見てしまいます。
  普通のアパートに住んでいた私にとって
  びっくりしてしまうのは仕方のないことだと
  そう思うのです。

  ……おうじくんはどこか
  機嫌が悪そうな気がします。
  いつもにこにこしているけれど…
  どこか表情がいつもと少しだけ違うような…。
                       ]


   ……おうじくん、その、
   私、だいじょうぶ、だから……。


[ 
  覗き込むようにしてそういったら
  彼はどんな反応を見せたでしょうか。
  部屋に招き入れられるのなら
  少しだけ躊躇してから、
  お邪魔することになるのです。]*
 


   わかって、ない…です………

   ……なんで?
   なんで、まりんの両親は、
   海斗くんとまりんが一緒に寝るの
   嫌がるの?こんなに海斗くん優しいのに。

   やだ、まりん海斗くんとおやすみしたい。


[ 髪そっと撫でられますが、
  まりんはベッドを決めた時のように
  段々と拗ね始めまして、
  意固地になり始めていました。

  海斗くんと一緒に眠っちゃいけないなら
  最初からダメっていうはずなのに。
  
  海斗くんが優しくしてくれても、
  暫く不貞腐れて、まりんはその場から動かずに
  彼を更に困らせてしまうのでした。   ]*






   勿論紫色の布地も素敵だと思います!
   茶道で使っていた袱紗ばさみが
   うさぎさんで可愛かったから…

[ うさぎ柄を思いついた理由を言いつつ
  色々な色や柄を用意しようと話すのは
  とても楽しかったのです!      ]


   お客さん…そうですね。
   大学生のうちに少しずつ頑張ります!

[ 大学では第二外国語を学ぶと聞いています。
  清玄さんがフランス語を話せるのなら
  私もフランス語を、なんて思うのです。

  清玄さんにふさわしい女性であれるように
  常に努力しなければいけませんね!    ] 
 

 ―――――

   今日は予定があるからと言ってあるので
   挨拶はもう済ませました!
   行きましょうー!

[ 清玄さんが嬉しそうだと
  嬉しさがさらに増すのです!
  今日の予定は前々からわかっていましたので
  親しい人には挨拶を済ませてあります。
  なので、特に思い残すことも無く
  お世話になった学校に感謝しつつ
  去ることになるのでした。

  直哉さんは、私のお世話をしている
  メイドさんと腕を組んでいます。
  ……知りませんでした。
  でもでも、直哉さんはとっても明るい方ですし
  メイドさんも幸せそうなのです!
  いいことなのです!!           ]*
  


   女の子はさー、力が弱いから
   ……男に襲われると大抵、
   抵抗できなくて―――
   怖い目に遭うの、わかる?
   俺だって男だから、例外じゃない。
 
   俺、別に優しいわけじゃないし。

[ ……言わないと分からないかと思ったけど
  言ったところでだめな気がしてきた。
  頬を撫でながら、小さい子に言うように
  諭してみるけど……。

  その場から動く気配がないのなら
  少しため息をついて、ベッドに戻った。 ]


   …………どうしてもって言うなら
   来てもいいけど、
でも―――




    
怖い思いしても、知らないから

 
 
     *



  ここら辺は初歩的なものだよ?
  わんこちゃんさては、こう言うの苦手?



  教えてる時も呼び方はそんなに変わらず。
  でも彼の仕事までの領域は教えなくても
  彼女の単位には支障がなさそうなので
  彼女が慣れてきて教えてほしいって
  お願いしてくるまでは何度も反復練習の
  繰り返しだったような。

                      ]




   *


   あ、ごめん。大丈夫?



  彼女の重みが体に伝われば、
  冷静さを少しだけ取り戻すものの
  いつもなら彼女の柔らかさに
  ニヤついてもおかしくない彼が
  反応を示さず、家を目指した。

  マンションの前に着けば、
  彼女から驚きの声が聞こえたような。
  気にせず、部屋に向かえば
  リビングにあるソファでも座るよう促した。

                       ]






    あぁいう男は、地獄を見るから。
    ………わんこちゃんが初めてだよ。
    今まで誰も入れたことない。




  大丈夫という彼女に顔を向けた。

  セフレたちとは絶対ホテル。
  例外なく、どこかしらのホテルで会っていた。
  だから必要以上の会話をしたことも
  一緒に食事をすることもなく。

  イライラしている時に
  ホテルに行ってしまえば、
  彼は必ず彼女を傷つけると思って
  タバコの匂いが染みつきかけの家に
  舞い戻ることを選択した。

                     ]





    ごめんちょっとタバコ吸ってくる。

    ……甘いもの、冷蔵庫にあるから
    よければ食べて。



  そう言って、彼はリビングから離れ
  扉をパタンと閉めてしまった。

  別に彼女が甘いものを食べたいと
  彼が知っていたわけではなく、
  彼がただ仕事の合間に食べようかと
  買っていただけだが、
  彼女が冷蔵庫を開けることはあったか。

                      ]*




    …怖い目って、なに……?

    海斗くんも、まりんに怖いことするの…?
    脅かすのは、ダメだよ?


[ 頬を撫でられながら、すりすりと
  その手を押さえて頬擦りをしました。
  怖いことって、脅かすこと、でしょう?

  たしかに、まりんは怖がりですが、
  海斗くんがそんな、ことしませんよね……
  じっと見つめていると、
  海斗くんは頬を撫でるのをやめて
  またベッドに戻って行きました。

                      ]




    ……海斗くんは──────


    まりんのこと、知ってるから…
    優しい、よね?


[ 脅かされてもいいから、
  まりんは海斗くんと一緒に眠りたかったのです。

  ちょっとだけ、海斗くんの表情が
  怖いなって思ってしまったけれど、
  部屋の中に入って扉を閉めると、
  海斗くんのベッドに近付いて、
  彼が中にいるなら枕を置いて
  まりんも入れてもらうのでした。
  まだお座りしてるだけなら、
  枕を持ったまま海斗くんの横に座って。

                     ]*




   ……にがて、かも
   
[ 
  あんまり要領がいいわけではないので
  繰り返しやって、少しずつ理解していくことに。
  慣れてくると、少し面白いな、
  と感じるようになったのと
  ……一緒にいる口実にちょうど良くて
  単位に関わらない部分まで教えて欲しい、
  なんてお願いをするようになったのでした。
                       ]
 


  *


  抱きついてしまって、いつもなら
  嬉しそうというか、そんな反応をする彼が
  今日は反応しませんでした。様子が少し変です。

  煙草の匂いがする部屋に通されて
  促されるまま、ソファに座ります。

  ……誰も入れたことがない、などと言われては
  私は特別なのか、なんて期待してしまいます。
  頬がほんのり染まったような。
                       ]


   はじ、めて……
   あ、いってらっしゃい…?


  煙草を吸ってくると言われて
  引き止めることも出来ず、そのまま見送るのです。
  冷蔵庫に甘いものがある、と言われても
  私は立ち上がりませんでした。
  ……冷蔵庫って、その人の生活がよく見える気がして
  見ていいのか、迷ってしまったんです。

  
恋人じゃないから
、遠慮が先に出てしまって。
                          ]
 


  おうじくんが出ていってから、
  先ほど言われた言葉を反芻していました。
  ……本当に付き合っているわけではなくて
  だったら、彼にとっての私は
  何なのでしょうか。

  ―――特別な何かを期待したいのに。

  恋人はいらないならそれは違うんだろうな
  と思ってしまいます。
  ……好意を伝えることだって
  きっと迷惑なんだろうって思うのです。

  あぁ、私は確かに―――
                       ]

   馬鹿、だよね……
  



  体だけの関係というには一緒にいすぎたんです。
  愛されているって錯覚が
  錯覚じゃないような気がしてきてしまって
  
  錯覚じゃないと、思いたくて。

  一人になるとそんなことが頭をよぎってばかりです。
  一人だからこんなことを考えてしまうんです。
  ……泣きたくなってしまいます。

  きっとおうじくんがいれば忘れられる…
  全部忘れさせてくれる……

  そう思って、リビングの扉を開けて
  どこにいるのか、探そうと歩き始めたのです。
                        ]*
  



    色々と、想像力豊かなことはいいこと。
    絶対に理子が気にいるものを見つけようね。


[ 色の話から彼は反物の色しか考えていなかった。
  だから、柄で色を入れることを話されると
  ハッとするのだった。
  2人しかいないから、いつもこんな風に
  どこか兄妹のような会話ができている。   ]


   いい子だね。もし、分からないことがあれば
   わかる範囲で教えてあげられると思うし、
   無理だけはいけないからね?


[ 大学の講義を選ぶ時に、
  フランス語を選ぶのがわかれば
  彼は率先して彼女を手伝うと決め。

  たまには講師を呼ぶのもありかな、と
  彼女が決めた第二言語の講師を
  彼は多分見繕うのだろう。      ]



────────


    あんまり浮かれすぎて
    うちに返すの忘れるなよ。


[ リムジンの中で彼は友人に釘を刺す。

  3泊4日の間はいいけれど、
  その後はきちんと返してもらわなければ
  支障が出かねない。
  友人はわかってる、といいながら
  恋人に膝枕をしてもらっているので
  彼からは疎まれたような視線が注がれて。  ]






    このまま、中に入る?


[ 世の中では制服で楽しむことが
  トレンドらしいと言うのを彼は見ていた。
  リムジンから降りて、
  それを見送れば彼女の手を握って。

  今の彼女は高校の制服で、
  今の彼は群青のスーツ。

  既に荷物はホテルに届いているはずなので
  着替えることも可能ではある。
  特に着替えを必要としないなら、
  ゲートに向かって閉園まで1日目を楽しもうか。 ]*






   脅かす、ね…………。
   

[ ここまでわかってないと
  なんかもう……困る。
  頬擦りしているのは可愛いけどさ…。

  ベッドに戻って、寝ころぶと
  まりんは無警戒でやってきた。  ]
 


   ……知ってるよ。 
   まりんが思ってる以上に、知ってる。
   
   だからこそ、優しくないんだよ、俺。


[ 横にいる彼女に馬乗りになるような体勢。
  手首をぐっと握ってベッドに押し付けてたけど
  まりんは痛がったりしたかな。

  怖がるのなら力を緩めて
  逃げられるようにしてあげるつもりだけど。
  じっと見つめて、反応を伺うことにした。 ]*
 


   はいっ!清玄さんとお写真も撮りたいですー!

[ 成人式といえば写真を撮るのも定番なのです。
  ちゃーんと二人で写りたいのです!
  欲を言えば、清玄さんのお父様とお母様も
  ご一緒したいです。
  家族写真みたいでとっても素敵だと思うのです。
  でも、お二人はご多忙ですから、
  私はわがままを言わないのです!      ]


   清玄さんに教えてもらえるのなら
   とっても心強いです!

[ 教えてもらえるなんてわかれば
  フランス語以外の選択肢はありません!
  大学の科目になかったら諦めざるを得ませんが
  あるのなら絶対に
  フランス語を履修することでしょう。 ]
 



[ 清玄さんがご友人に注意しているのを見て
  私はといえばメイドさんに笑顔を向けるのです。
  おやすみを楽しんでくださいね、
  なんて声をかけたら
  お返事してもらえるでしょうか? ]


   ……もう制服とはお別れですよね 
   なら、このまま入りますー!

[ 三年間お世話になったこの制服には
  とっても愛着があります。
  可愛いなあ…と中学生の頃憧れていたので
  合格が分かった時は跳ね上がって喜びました。

  そういうわけで、着替えはせずに
  ゲートをくぐるのです。
  まずはお揃いのカチューシャを
  入手するところからです!       ]*
 


   ひぁっ…!

   だからこそ、優しくない……?

[ 彼のベッドに入り込むと
  まりんの上に海斗くんがいます。
  何故、でしょう…?
  
  まりんのことをよく知ってるから
  優しくできないってなんでしょう… ]


   海斗くん、あの…
   おやすみするんじゃないの?

[ 動けないことはあまりなんとも思わなくて
  でも、彼が眠るはずなのに
  こうやってまりんに馬乗りになっているのが
  少しふしきだったのでつい…

  彼の手は大きくて、まりんの腕は
  簡単に押さえ込まれてしまいました…
  やっぱり彼はまりんと違うのですね。   ]*





    写真か…前撮りしよう。
    お父さんとお母さんもそれちらつかせたら
    多分帰ってくるよ。


[ 反物を探して、作ってもらうから
  両親にも報告をしなければいけない。
  報告をしたら成人式はいつだの
  色々と聞いてくるだろうから、
  その時に前撮りの日取りを決めることに
  なると彼は読んでいた。        ]


    僕もわからないことあるかもしれないから
    過信はいけないからね?


[ 彼女の輝いた瞳が見えただろうか。
  彼女の前では失態を見せたくないけれど
  言語となればまた話は別で。
  彼も長年話しているけれど
  自信がない部分が多々ある。

  色んなことが、これから起こると考えると
  彼としても生きる糧になっていくのだった。  ]






[ 彼女がメイドに声をかけているのを見ると、
  メイドの方はありがとうございます、と
  膝を貸している友人の髪を優しく撫でていた。
  その顔はどこか朗らかで、
  これから先、どこまで人間としての尊厳を
  持てるようになるのか、なんてことを考えた。  ]


   ふふ、それじゃぁ…何から買おうか。


[ 彼女の制服は本当に可愛い。
  彼女が高校を選ぶ時に制服も要素として
  えらぶように言ったか、彼女が選んだか。
  とりあえず毎日毎日彼がその制服を
  汚してしまわないかと心配だった。

  ゲートを一緒に潜れば、
  近くにあったショップで
  カチューシャを買うことになった。
  勿論、お揃いにして写真も撮った。
  アトラクションへ行くか
  ショーへ行くか、彼女に聞きつつ
  ひとつひとつフードを通りで買ったはず。 ]*





   そ、優しくない。
   
   ……男はこの状況で
   普通おやすみしないの、
   まりんは知らないんだろうけどさ。

[ 寝たいのかもしれないけど、
  全くと言っていいほどわかってないみたいだし
  全然怖がられてないのがちょっと……
  なんだろう、男として見てくれてるのかって
  心配になってしまった。

  ゆっくりと顔を近づけていって
  軽く触れるだけのキスを落とす。
  勿論それだけで済むわけもなくて
  何度もついばむようにしながら
  深くキスを…息が苦しくなるまで。

  片手でつぅっと白い首筋をなぞったら
  くすぐったがるかな、
  やめるつもりはないけど。 ]*
 





  そもそも、プログラミングを教えるのは
  タダでやっていないんだから、
  対価を払ってもらわなければいけない。
  彼の知識もタダではないから。

  彼女に対価を払ってもらっているとしたら、
  それは体なのか、やさしさなのか。
  彼にとっても徐々に分からなくなった。

                       ]







  ほんのり染まった頬が視界に入れば
  彼女がその待遇を受けて嬉しいんだと
  彼は簡単に理解することができた。
  でも、それをするに値する人だから
  彼はそれ以上考えることをやめた。

  薬物のような扱いをしているタバコを
  リビング隣の部屋で吸うために
  離れれば、すぐに火をつけて
  ふぅっと長めの息を吐き出して。

                    ]

    …………──────────






  1本を長く吸うわけではないので、
  1/3くらい吸って灰皿に。
  それを3本くらい繰り返すのが彼。
  ひどく勿体無いけれど、
  長くひとつを吸うのが得意ではない。

  気持ちを落ち着かせて、
  頭の中を冷静にしたあたりで
  扉の音が立った気がして
  そちらを確認すると見える彼女の姿。

                    ]

    あれ、ケーキ食べなかった?
    ……頼りないもんね、ぼく。



  そんなことを言いながら彼女を抱きしめ
  ゆらゆらと、ゆりかごのように
  体を横に動かして。

  いつもよりトーンはすごく落ち着いて
  何もしないかのような無害さが
  その時だけは伺えただろうか。

                    ]*



   それって、どうい、っ…!


[ こと?と聞こうとしたら、
  海斗くんの唇がまりんの唇を塞ぐのです。
  突然のことで、目を見開いたしまいましたが
  何度も繰り返されていくと、
  まりんは呼吸が上手くできなくなって
  解放された片手でトントンと
  彼の肩を叩くのでした。

  離れた彼の手は、首筋をなぞって
  くすぐったさもあり少し悶えてしまうのです。 ]


    は、っ……海斗、くん………?


[ この日のまりんは、程よい暖かさだったので
  ショートパンツとパーカーのパジャマセットで
  海斗くんのお部屋にお邪魔していたので、
  彼の吐息とかが凄く伝わりやすかったような。

  呼吸が上手くできなかったのもあり
  涙目で彼を見つめ、何をするの?と
  聞いたような気がします。         ]*




[ 
  プログラミングを教える講座を
  していたという話を聞く機会はあったでしょうか。
  聞けていなかったとしても、対価まで
  私は考えていませんでした。

  ……体で対価になるのなら喜んで払うけれど
  抱かれたいと思っているのに、果たしてそれは
  対価になりうるのでしょうか。
  教えて欲しいと頼んだのは私ですが、
  何故教えてくれるのか、
  私にはわかりませんでした。
                      ]
 


[ 
  部屋を出ていったおうじくんを
  探そうときょろきょろしていると
  彼はは隣の部屋から出てきました。
  何か言う前に抱きしめられるのです。
  ゆらゆらと体を揺らされて、
  私は身体を預けて返事をします。 
                     ]


   ……一人で食べても、寂しいから。
   どうして、そんな……
   頼りないことと私がケーキを食べないの、
   関係あるの……?
  



  冷蔵庫を開けてすらいませんが、
  開けたとしても、きっと私は食べなかったでしょう。
  ただ甘いものが食べたかったんじゃないんです。
  
“おうじくんと”食べることに意味があったから。


  彼の声はいつもよりずっと落ち着いていて
  年相応、というと変かもしれませんが
  私よりずっと大人に聞こえました。
  とても、落ち着く声で
  もっと、聞いていたい声。

  
……その声で名前を呼んでくれるのなら

  
それだけで幸せになれそうな、声。

                         ]


   おうじくんは頼りなくなんてない。
   さっきだって私の事、守ってくれた…
   そうじゃない、の……?
  
   *


   ……!
   お父様とお母様もですか!?
   ぜひ撮りたいですー!

[ 私が考えていることを 
  見透かされたのでしょうか?
  帰ってくるよと言われて笑みがこぼれます。
  たくさん可愛がって貰っているので
  少しでもお二人にも喜んでもらえたら
  嬉しいなあ、と思うのです。       ]


   その時は2人で一緒に考えたいです!
   ……だめ、でしょうか?

[ 清玄さんがそういうのなら
  あまり期待をしすぎてもご迷惑でしょうか。
  でも、分からないことがあったとしても
  清玄さんに教えてもらえることがあるというだけで
  モチベーションに繋がるのです。        ]
 


   カチューシャは買ったから……
   ショーを見たいです!

[ ショーの場所までいく道すがら、
  ポップコーンを買って食べることにしました!
  抹茶ホワイトチョコ味だそうで、
  とっても美味しいです!
  あーん、なんてお互いに食べさせたり…
  したかもしれませんね。

  ショーを見られる場所にたどり着けば
  目を大きく見開いて見入っていたでしょう。
  水上の船でキャラクターたちが
  ご挨拶をしています…!
  テレビの画面越しに見ていたものが
  目の前で見られるのです!
  興奮せずにはいられませんよね!     ]*
 


[ 解放したほうの手で肩を叩かれて
  ようやく唇を離した。
  自分だって息が苦しくなってるから
  少し呼吸は荒い。

  悶えているまりんも可愛い。
  もっと、もっと…と思ってしまうけど。
  あんまり求めるのも…壊してしまいそうで。

  首筋をなぞっていた手はゆっくりと降りていく。
  鎖骨を通って胸元まで。
  パーカー越しでも女の子らしい柔らかさが
  伝わってきて、少しずつ体が熱くなる。   ]


   ……気持ち良くて、
   たぶんまりんにとっては痛いこと。
   逃げたいなら逃げてもいいけど…
   どうする?

[ 上手い人なら初めてでも痛くないように
  出来たりする……かどうかは知らないけど
  自分には無理だから。
  まりんが動かないのなら、
  服越しに触っていた手は服の中へと。
  やわやわと双丘を触っていたと思う。 ]*
 





  多分の話、彼にとってのこの時間の対価は
  彼女という存在そのもの。
  だから、彼女に教えている時間は
  すでに対価も払ってもらっているようなもの。
  でもまぁ、その後に楽しいベッドタイムがあれば
  それはオプション代として楽しんでいる節有り。

                         ]






    んー…さみしいかぁ…ごめんごめん。

    ぼくがきちんとしてたら、
    ワンコちゃん寂しい思いしなかったでしょ。
    だから、関係あるんだよ。



  あの時、彼女の横にいたのが
  きちんと彼女に告白をして
  付き合っていた人物なら、こんなことにはならず。
  彼との関係は真っ当なものではなくて
  本当なら何を言われてもぐうの音もでないもの。

                         ]






    女の子が泣いてる姿とか見たくないし。

    ………ケーキ、食べる?
    ぼくも甘いもの欲しくなっちゃった。



  優しく語りかける彼は、毒牙を抜かれた毒蛇のよう。
  彼女の頬に口付けを落とせば、
  軽めに彼女のお尻を撫でるけれど
  盛んな猿のような彼にはならなくって。

  冷蔵庫の中にはガトーショコラなどの
  ケーキが数種類あるから、
  彼女の希望があればそれを渡そうと
  まずは冷蔵庫に移動したことだろう。

                     ]*




  ― とある日の事 ―

  
   ……いた、い…………。


  人より生理が重い体質で痛みに苦しんでいた日。
  周期より早く来てしまったせいで、
  彼との約束に被ってしまった時の事です。
                      ]

   ごめんね……体調良くないから行けない……。


  一度電話をかけてみて出てくれるようなら
  直接、だめならメッセージを送って
  布団に潜り込みます。
  高校の時は鎮痛剤とかを飲んで誤魔化しては
  いたものの、あまり効きがよくなくて。
  飲まない選択をしたらしたで
  動けなくなってしまうのです。

  ……こんな時、恋人なら
  傍にいてくれたりするのでしょうか。
  それをねだることが許されるのでしょうか。
  
  私にはきっと、許されないだろうけれど
  つい、今日会うはずだったおうじくんのことが
  頭によぎるのでした。
                        ]


  *


   ……傍にいてくれるんでしょう?
   それなら、寂しくない、よ。


  嘘です。本当はこの関係のままでずっといるのは
  寂しくて苦しい。
  でも、恋人がいらない彼に告白することなんて
  出来るはずないじゃないですか。
  だから、作り笑いを浮かべて嘘をつくんです。
  
  
……恋人になりたい、のに。

  
恋人になれたなら、その先だってきっと考えるのに。

                           ]
  


   ――――――……。


  名前を呼んでほしいとすら、言えないのです。

  ほら今だって。彼は優しいから、
  “女の子が”泣いてる姿なら
  きっと私じゃなくたって守ってたんです。

  
とくべつには、なれないんです。


  それでもその優しさに縋ってしまう私は
  馬鹿だと、思います。
                      ]


   一緒に食べよう?
   コーヒーか紅茶があるなら一緒に。


  柔く微笑んで、ケーキを食べようと
  誘えば、冷蔵庫の方へと移動することに。
  数種類の中から、ミルクレープのほうを
  じっと見てしまったけれど
  そもそもこれはおうじくんが食べる予定だったもの。
  希望を言う前に、おうじくん自身が食べたいものを
  聞くことにするのです。
                          ]*
  


    だって愛娘の晴れ姿だよ?
    見たがるに決まってるさ。

[ 彼の両親は、彼女のことを認識した後
  本当の娘のように大切に扱って
  彼女といつか夫婦になると宣言していたので
  母親の方は更に大切にしている。
  だからこそ、彼女に何かあったといえば
  どちらかは飛んで帰ってくる。
  息子よりも娘がいいとはこういうことかと
  感じた時もあった気がする。       ]


    理子がそう望むなら、勿論。
    一緒に答えを導こうね。

[ まだまだ始まったわけでもないけれど
  こうやって彼女が少しでも願うなら
  叶えてあげたくなるのが惚れた弱み。

  彼女のモチベーションになるなら、
  彼はどれだけでも彼女に時間を割くことになる。 ]






    ショーは…あっちのほうだね。


[ 道すがらに買ったポップコーンは
  抹茶ホワイトチョコ。
  変わったポップコーンだな、と思いながら
  彼女に何度か食べさせてもらった彼。
  広げたマップを見ながら、
  ショースペースを2人で目指し、
  出来るだけ見やすいところを探して
  彼女と一緒にショーを楽しんだ。

  というより、彼は楽しんでいる彼女を
  眺めて、その場を楽しんでいたのだが。
  その間、彼はポップコーンをもぐもぐと。 ]





    *


    ずっと食べて動いたな……


[ 閉園になるまで、楽しむことができただろうか。

  彼女を連れてホテルに行けば
  ラウンジでチェックインをすることに。
  スイートだからというわけではないだろうが
  コンシェルジュが色々と気を利かせてくれる。

  部屋に入れば寝室に行くまでに
  いくつ扉を開けただろうか。
  楽しかった気持ちを忘れないうちに
  彼女をベッドに押し倒し、
  彼は優しく唇を重ねたことだろう。    ]*






[ 彼にくすぐられると、声が我慢できなくて
  息の乱れも落ち着かないまま、
  なんだか彼のおもちゃになった気分です。

  でも、嫌な気分にはならないので
  体のラインをなぞられれば好き?なんて聞いて。 ]


    気持ちいいけど、痛い、の?
    ……海斗くんとなら、いいよ?


[ 海斗くんの言っていることが
  しっかりとわかったわけでもないのですが、
  海斗くんとなら何でもやれると思って
  まりんは逃げるという選択肢を見ませんでした。
  だって、いつかは乗り越えなければいけないこと、
  なのかもしれないのでしょう?

  そう言っていると、海斗くんの手が服の中に。
  少し暖かい手が、入ってくると
  更にくすぐったそうに軽く悶えて。
  優しく触ってくれる海斗くんの手は
  とても気持ちの良いものでした。        ]*





   ……ふふ、清玄さんと一緒だから
   楽しいですねっ!


  にこにことショーの合間に
  清玄さんの方を見てそんなことを言います。
  私はショーを見ている間表情が
  ころころと変わっていたことでしょう。
  清玄さんがショーを見ていたのか
  私を見ていたのかは……
  夢中でショーを見ていた私には
  わからなかったのです。   ]


   すごく楽しかったですー!
   いっぱい食べましたっ!
   ショーも見られて、アトラクションも…!

[ 閉園までめいっぱい楽しむことが出来ました!
  これも計画していたおかげなのです!

  ホテルにチェックインをして
  部屋へと向かいます。
  扉を開ければ、とても豪華な部屋。
  清玄さんに色々な場所へ
  連れて行ってもらっているので
  人よりその豪華さに驚きはしないのですが、
  ところどころにキャラクターモチーフの物もあり
  可愛い!とはしゃいでしまいます。

  そんなことをしているといつの間にか
  押し倒されていました。         ]

   
   ん……清玄さん……
   愛してます……

[ 清玄さんのほうをじっと見つめて
  キスを受け入れるのです。
  今日は……“最後”までするのでしょうか。 ]*
  

──ある日の彼


   …家行こうか?何か作るよ。

[ ある日、彼女と約束をしていた時のこと。
  ドタキャンされてしまった。
  ドタキャン自体は慣れているけれど、
  彼女がそんなことをするのは
  珍しいことだから、
  電話越しに聞いてしまった。

  彼女に住所をもらえたのなら
  財布と鍵だけ持ってとりあえず
  彼女の家を目指したのだが、
  家に行った時の彼女は血色が悪かっただろう。

  そして、そんな彼女を見たなら、
  彼は不安に駆られて大丈夫?から入ったはず。

                        ]



   *

   嘘はダメだよ。
   ……うん、そばにいてあげられる。
   それは、…ぼくも望むこと。



  何を言いたいのか、よく分からなくて。
  でも彼女のことをぎゅっと抱きしめたまま
  逃げさせるつもりもないから
  優しく彼女にこえをかけるのだけれど。

  もっと良い人にもらわれたほうが
  彼女の今後の人生も薔薇色になると考え、
  彼は偶に虚無を覚える。

                      ]






   さくらちゃんとうちで何か食べるのって
   久しぶりだね。あ、ほらワンコちゃんの家
   行った時あったじゃん?


[  

  彼はガトーショコラを冷蔵庫から
  取り出して、選んで良いよと促す。
  チョコはよく糖分摂取で選ぶ癖があり
  それで今日もガトーショコラを選んだ。
  コーヒーはアイスでよければ
  ペットボトルのものもあったので
  彼女に聞いてOKならグラスを用意して
  ダイニングテーブルに持っていった。

                     ]*






    大学生になったら、
    少しは遊びやすくなるかな。
    本場に行ってもいいな……


[ 百面相をしているのかと思うほど
  彼女の表情は沢山変わり、
  彼女を見ている彼も飽きることはなく。

  今回の1回だけでは終わることがないだろうから
  また、予定を合わせて遊びにくるはず。
  だから、心の中のシャッターと
  携帯カメラのシャッターは押し忘れない。
  抹茶チョコのポップコーンは
  食べ過ぎて彼女に怒られなかっただろうか。  ]




──────────


    理子が怖いもの知らずということが
    今日よく分かったよ。
    でも、楽しんでるのもよく伝わった。

[ 彼女の髪をそっと撫でながら、
  アトラクションでたくさん叫ぶ彼女や
  終わった後に満面の笑みの彼女を
  思い出しながら1日が終わる。

  部屋の中を散策するように
  彼女と奥へ進んで
  部屋の中を楽しむ彼女を楽しんだ。  ]






    僕も、心の底から…愛しているよ。

    箱庭の中に収めていたいほどに。


[ 頬を撫でながら、何度か唇を重ねると
  彼はブレザーのボタンを外し、
  ベスト、ブラウスとボタンを
  ひとつひとつ丁寧に外していった。
  それを開くと見えるのは
  汚れを知らない艶やかな白い肌。

  彼は腹部に優しく口づけをすると
  徐々に上の方へとずれていき、
  下着のホックを外せば
  躊躇うことなく頂に吸い付いた。   ]*




【人】 SE 榊原 皇仁

────ちいさいころのおはなし




  昔は、好きな名前だった。
  だっておうじさまだから。
  キラキラした夢の舞台に立つ人。
  それが、幼い彼が知っているおうじさま。

  でも現実では、そう簡単にはいかず。
  小学生というのは良くも悪くも純粋で、
  素直に物事を言ってしまう。

                     ]



(3) 2021/05/07(Fri) 14:17:07

【人】 SE 榊原 皇仁



  『おうじって、なんか変な名前ー』


「お前の親、変なやつー」


             “にあってねー”


[ 

  流石に、彼もまだ幼くて。
  両親のことを悪くいう言葉も
  彼の名前を悪くいう言葉も
  全てが耳に入って、脳まで届いていた。

  だから、彼は恰好のイジメの対象だった。
  多分、顔が良かったことも相まって。

                      ]


(4) 2021/05/07(Fri) 14:17:41

【人】 SE 榊原 皇仁



    母さん、ぼく……
    高校通信制にするから。




  高校の進路を決める時、
  彼は引きこもることを決めた。
  最初は反対されたけど、
  通信制の良さと大学は対面に行くことを
  きちんと話して、OKを貰った。

                     ]


(5) 2021/05/07(Fri) 14:18:20

【人】 SE 榊原 皇仁



    ……女の人って、どういう感じなんだろ。




  あの場所を使い始めるきっかけは、
  まさにそんな感じだった。
  大学生になってあの場所を見つけて、
  彼は足を踏み込んだ。
  でも誰とも心の底から仲良くなるなんてことは
  一切なくて、あの時もまた
  そうなるんだろうと彼の中では思っていた。

                        ]



(6) 2021/05/07(Fri) 14:18:48

【人】 SE 榊原 皇仁




       
運命って、あるのかな。






*
(7) 2021/05/07(Fri) 14:19:51

[ 体のラインをなぞっていると
  好き?なんて問いかけが。
  嫌いなわけがない。    
  まりんの全てが好き、と耳元で囁いて、
  ついでにふぅっと息を吹きかける。  ]


   ……もう、まりんはほんとに……
   可愛いけど、だめだろそんなこと言ったら…

[ なんで煽るようなことを平気で言うのか…
  知らないって敵なしだな、とか思うわけで。
  まりんのご両親にはちょっと申し訳ないけど
  ……彼女が悪いと思う、これは。

  膨らみをさわさわと撫でて柔らかさを感じていた。
  気持ち良さそうにしているのを見れば 
  さらに気持ち良くしてあげたい、と思う。
  下着の隙間から先端をきゅっとつまんだりしつつ
  再び唇を重ねていって。             ]*
 

   ― 自室にて ―

   食欲ない からそれは……
   …………○○大学の近くの―――


  来て、とは言わなかったですし、
  来るなんて思ってはいませんでしたが
  住所を教えたのは、心のどこかで
  会いたいと思っていたからでしょう。

  ……本当に来た時は驚いたけれど。
                    ]

   ……だいじょうぶ、だよ


  あんまり心配をかけたくないというか
  病院に行く、なんて言われたくなかったので
  ついそうやって強がってしまいました。
  あがって、と小さく言って招き入れれば
  グラスに麦茶を入れて差し出しました。
  白とピンクを基調としたワンルームには
  ミニテーブルと座布団、勉強机と椅子が
  それぞれ置いてあり、座れる場所はどちらかなので
  適当に座って、なんて言えば再びベッドへと。

  布団の中で丸くなって、彼にあまり
  顔を見られないように背を向けていたことでしょう。
                          ]


 *
 
   ……うそじゃないよ。
   そばに、いてほしい。
   
いまだけで、いいから……。




  彼も望んでくれるのは…
  やっぱり体が目的でしょうか?
  ……傍にいて欲しいけれど
  もしそうであるなら、束縛は出来ません。
  だから、今だけなんて言うのです。

  
―――嘘ばっかり、なんて心のどこかで

  
泣いている私がいるのは見ないふり―――

                      ]



   あった、ね。
   本当に来るとは思ってなかったけど……


  おうじくんはガトーショコラを選ぶようです。
  特に気を遣っている様子もなかったので
  私も遠慮なくミルクレープを選ぶことに。
  コーヒーもあると言われて欲しいと頷きました。
  ダイニングテーブルに持っていくのを手伝えば
  二人でケーキを食べ始めることになるのです。
  
……来年の春、同じことが出来たらいいなと

  夢見るくらいは、許されるでしょうか。
  彼にはもちろん、言わないのだけれど。
                         ]*
  


   でも、清玄さんは忙しいのでは…
   本場……!

[ 予定が合うのなら、また是非遊びたいのです!
  季節限定のフードやお土産もありますし
  またこれたらいいなと思っています。

  時々撮られていても、ショーに夢中の私は
  最後のほうまで気づかなかったのですが
  気づいた時は、後で見せて欲しいです!
  なんてお願いしていました。
  ポップコーンはいつの間にかすごく減っていて
  びっくりしましたが、なくなるということは
  お口に合わなかったということではないはずなので
  怒ったりはしないのですよ!
  残った分はもらいます!なんて子供っぽいことは
  言ってしまいましたけれど。          ]
 


   だって、高いところから落ちる前の景色
   とってもきれいでしたから!
   楽しかったです!

[ 所謂、絶叫系のアトラクションで
  思いっきり叫んでいた私ですが
  とっても楽しんでいました。
  全てが新鮮で、
  終始にこにことしていたことでしょう。 ]
  



   嬉しいです…!
   今日は……今日こそは、
   
清玄さんと一緒になりたい、です…


[ 慈しむように頬を撫でられて
  幸せでいっぱいになります。
  私も同じように清玄さんの頬に
  手を伸ばして撫でるのです。

  ひとつひとつボタンをはずされて
  傷一つない白い肌を晒すと
  直接空気を感じるからか、少し寒く感じて
  ぴくりと動いてしまいます。

  優しい口づけが上の方へずれていって
  頂に吸い付かれると
  少し大きめの嬌声をあげてしまうのです。
  声は我慢しないように教えられているので
  教えられた通り、ですね。       ]*
 

【人】 婚約者 宮内 理子

   ― ひとりだった時のこと ―
  

      
かぞくがほしかった



[ 幼い頃から施設で育った私は
  ずっとひとりだった。
  友達はいても家族はいない。

  学校に行くようになってから
  家族がいないという事実はより強く
  突きつけられていた。
  例えば、運動会の親子競技では、先生か
  善意で組んでくれる他の子の親と
  組むことばかりで。
  
  親子で楽しそうにしている同級生が
  たまらなく羨ましかった。
  そこには私がもらえなかった
  愛情があったから。

  ずっと家族は出来ないと思っていたから――― ]
  
(8) 2021/05/07(Fri) 16:36:08

【人】 婚約者 宮内 理子




     あの日は、私にとって
運命
だったんですよ
 
 
 
*
(9) 2021/05/07(Fri) 16:37:07

【人】 大学生 葛葉 桜子

   ― ぐずな女の子のお話 ―

  

  私はとてもぐずな子でした。
  かけっこはいつもびりで、
  ハンバーグとオムライスどっちがいい?
  なんてちょっとした選択に
  延々と悩んでしまうような、ぐずだったんです。
  だから、でしょうか。

  ぐずな葛葉、なんて言われたことは
  数知れずありました。
                       ]
 
(10) 2021/05/07(Fri) 17:03:27

【人】 大学生 葛葉 桜子



   ……お母さん、名字って変えられないの?

 『どうして?……何か言われた?』

   ぐずなのはくずは、だからだろうって

 『……あのね、桜子。そんな言葉は気にしなくて
  いいのよ、それを言った子達は失礼なことを
  言っていて、あなたが気に病むことはないの。
  変えたいなんて思う必要もないのよ?』

   ……私は、悪くない?

 『そう、悪くないの。
  名前にはね、誰かが込めた思いがある。
  それをバカにすることは許されないこと。
  だから、桜子がもし自分と同じ目に遭っている
  そんな子を見つけたら……
  味方でいてあげるといいわ。
  きっと、その子も救われるから。』

 
(11) 2021/05/07(Fri) 17:04:17

【人】 大学生 葛葉 桜子


  都恋(みやこ)ちゃんに出会ったのは
  そんなことをお母さんに言われてからでした。
  その子は名前を読んで貰えないことを
  寂しがっていて…いじめられていました。

  変な名前、とか言われたり、
  話しかけても無視されたり。
  直接的ではないけれど、そんな悪口の積み重ね。

  見える範囲で、止めようとしたけれど――


  
彼女は結局、心を病んで

  
転校していってしまったのです。

                       ]


   
……守れなかった




  ぐずな私は、見えてないことが多すぎて
  彼女に寄り添えてなかったんだと思います。
  次なんて、あって欲しくはないけれど
  もしあるのならその時は絶対に
  その人に寄り添いたいと、思っていました。
                       ]
 
(12) 2021/05/07(Fri) 17:05:26

【人】 大学生 葛葉 桜子


   
   素敵な名前だよ


  あの時の言葉は、心からのものです。
  彼の容姿は本当に王子様みたいですし
  ……あの時のキスは、あまりに優しくて
  おうじさまみたい、って思ったんです。
  彼にとても似合っている名前だと思います。
  
  
だからこそ、あなたの言葉が、苦しかった。

  
名前が嫌いなんだろうと推しはかれる

  
あなたの言動が、くるしくて。


  もう一度、と思ったのは
  そんなあなたに寄り添いたいって、
  思ってしまったのもきっとあって……。
                     ]*
  
(13) 2021/05/07(Fri) 17:06:25

【人】 大学生 葛葉 桜子




    
ねえ、おうじくん、


             
私の―――

 
 
 
(14) 2021/05/07(Fri) 17:08:07


    ひぁっ、か、海斗くんっ……!


[ 全部が好きって、彼が…!
  耳に息を吹きかけられると
  少し目を閉じて、
  きゅっと体が縮まってしまいます。
  でも、嫌だっていうわけではなくて
  また目を開けると、
  じっと海斗くんを見つめてその先があるのか
  まだ訴えかけたかもしれません。    ]


    ダメ、なの?どーして?


[ 彼が服の中で優しく包むように
  まりんの柔らかいお胸を触ってくるのが
  とっても気持ちよくて、
  は、っと吐息が漏れてしまいます。  ]






   ん、っぁ……


[ まりんは何が起きているのかわからないまま
  きゅっと彼の手が摘んでくると
  もっと声が漏れて、その声を抑えるように
  海斗くんの唇が重なりました。
  今度は、頑張って呼吸をしようとしましたが
  うまく出来ていたのか心配です。
  
  段々と、むずむずしてきて彼の服を握ったかも。 ]*





[ じっと見つめられて
  目を合わせてふ、と微笑んだ。反応が可愛い。
  耳たぶを食んでみたりすれば
  まりんはどう反応したかな、
  どんな反応であれ、それを楽しんだことだろう。 ]


   ……止められなくなるから。
   言っとくけど、俺は止めたから。
 

[ たぶん明日は休むことになるだろうな
  と頭の片隅で考えながら。

  どうやら彼女は気持ち良くなってくれている
  みたいで、それにどこか安堵しつつ。
  唇を重ねるとまりんの声を閉じ込めたようで
  優越感からつい深く求め過ぎてしまう。
  さっきよりはまりんも上手く呼吸出来ていた
  ようだけど、俺のせいでまた呼吸は
  荒くなっていたかも。           ]
 


   ん、どうした?
   
[ 服を握られて、胸を触っていた手を止めて
  まりんの方を見た。
  すぅっと服から手を抜いて、 
  ショートパンツへ手を伸ばす。
  白い太ももを撫でつつ
  脱がせていい?と聞いてから膝あたりまで下げれば、
  下着越しに柔らかい秘裂をなぞっていく。     ]*
  



    なら…会いに行くね。



  彼女から住所を聞けば
  急いで準備をすると出来るだけ早く
  その場所に向かおうとした。

  ちょっと離れていたから
  すぐには着かなかったけれど
  彼女に迎え入れられると
  様子を彼の中で確認した。

                 ] 






   ………さくらちゃん?
   病院行こう?
   ぼくがお金全部出すから、
   産婦人科に行こうか?




  麦茶を一口飲んで勉強机に置くと、
  ベッドで丸くなる彼女に掛け布団越しに
  跨って、優しく言い聞かせた。
  生理が重いのは一種の病気だと
  誰かに教えてもらったから、
  彼は彼女がうんというまで
  ずっと、いこう、いこうと耳元で囁いた。

                      ]
  



    *


   ……いつか、綺麗なウェディングドレスを
   君が着ているところをこっそり見たいな。




  抱きしめた彼女の顔を見ると、
  ふと頭に浮かんでしまったそんなこと。
  彼女にはもっといい人がいるはずだから
  そう、こっそりでいい。
  出席もしないし、日時も教えなくていい。
  ただ、人伝に聞けたらそれでいい。

  でもそんな話は長くは続かなかったかな。

                       ]

  





    んー…美味しい。
    だって心配だったから。
    少しでも僕が助けられることあれば
    なんだってやりたかったし。




  ガトーショコラを口にしながら、
  アイスコーヒーにも口をつけ。
  過去の話は、あまりしない気がするけど
  彼女との思い出の話なら
  話はまた違うらしくて。

  さっきまで何にイライラしていたのか
  飛んでしまったような気さえするので、
  段々といつもの彼に戻っていったような。

                      ]*






   理子のためなら予定くらい変更できるよ。

   だから、勉強頑張るんだよ?


[ 結局のところ、彼女の成績が良くなければ
  長期の休みは彼の家で追加授業をするだろうから
  彼女のなら大丈夫と思いつつ、
  つい口走った一言。息抜きついでに
  ある程度の頻度で遊びたいな、なんて思った。

  彼女の写真を撮っていたことに気づかれると
  彼ははい、と携帯を渡して写真をみせた。
  横顔だけなのに、表情がたくさんで
  いい写真は何枚くらいになったか
  後で数えようと考えていた。
  ショーが終われば、あと1/3くらいの
  ポップコーンが入ったボックスを
  彼女に渡して、次の味でも、と
  次の場所を目指す流れで
  新たな挑戦へと打って出たことだろう。  ]






    いつも、飛行機とかで高いところの景色は
    目にしているはずなのにね。
    やっぱり、ここだからまた違うのかな。


[ 彼としては、怖すぎて泣いている彼女も
  見てみたかったのだが、それは叶わず。
  その代わりのように、
  ずっと笑顔で中を楽しんでいる彼女を
  夜まで見られたのでそれはそれで
  よしとしようと決めたのだった。    ] 




────────


    随分と待たせてしまったかな。
    3年間、よく頑張ったね。
    さ、今からは本当の時間。

[ 今日こそは、と言われてしまうと
  彼女が手つきになってからのことを思い出す。
  彼女が彼に愛されるための準備と
  言い聞かせて、彼女の体を開発した。
  だから、彼女が感じると声を出すことも
  そう言い聞かせていたからに他なく。
  スイート系の広い部屋にしか
  泊まる予定もないから、彼女が感じているのを
  聞き取れるように声を我慢しないようにと
  声を押し殺していた最初らへんに
  教え込んでいたのだ。            ]

  





    すぐに反応してしまう体に
    なっているなんて、本当にいい子だ。
    可愛い声をもっと聞かせてごらん?


[ 初夜とは思えないほどに、
  彼は彼女の体を一気に弄って
  はやる気持ちが彼女にも伝わりそうなほど。
  頂の硬さに上々と心の中で呟けば
  からだを下の方にずらして
  スカートを捲り、ショーツを眺める。
  彼女の感度を高校3年間であげたせいか
  可愛いショーツにはシミがくっきりと。
  何より、割れ目に食い込んでしまっている。 ]







    こんなに食い込ませて、
    理子の体は我慢が効かないね。
    まぁ、そう育てたのは僕なんだけど。


[ ぺろりと下唇を舐めた彼は、
  ネクタイを解いて彼女の視界を遮り
  ズボンのベルトを解いて
  彼女の手首に巻きつけ頭上に両手を追いやった。

  ふぅ、っと深呼吸をすると
  彼はショーツをずらし、舌を這わせ
  溜まっている甘酸っぱい彼女の愛液を
  一滴残さず吸い付いていくのだった。  ]*






   んんッ…くすぐ、った…!


[ 視線が交わると自然と頬が緩んで、
  耳たぶに吐息と彼の舌の感触が感じられると
  ぴく、っと眉間が動いたり、
  肩が自然と動いたりしたことでしょう。
  それを彼が楽しんでいるとは
  まりんには分からなかったけれど、
  嫌がられていないのだけは
  なんとなく分かるのでした。       ]






   止められなく、ても…いいんじゃ……?


[ これから先何があるのか分からないのですが
  止めて悪いことはないと思うのです。

  海斗くんの唇が重なると、
  最初は良かったのですが途中から
  さっきよりも深く求められて
  また呼吸がしにくくなってしまいました。
  唇が離れると胸が上下してしまうほどに
  息が荒くなってしまいました。     ]






    な、んだか…むずっと……!
    ん、んんっ……


[ 服から彼の手が抜けて、
  ショートパンツに移ると脱がせていい?と
  聞かれてしまいました。
  まりんは何も考えずに首を縦に振るのです。
  すると、下着に彼の指が這って。
  自然と脚が開いて行きましたが
  海斗くんとまりんの距離は近くなりましたか? ]*




【人】 大学生 井達 海

*またあるとき*


   あ、あの!
   この間は、ありがとうございました…!


[ この間隣の席に座っていらっしゃった人を
  海斗くんと一緒にいる時に見つけたので
  勇気を振り絞って声をかけました。

  あの時は、空返事のようでしたが
  今回はどうだったのでしょう…
  もし、聞けたのなら何かありましたか?なんて
  その方に聞いたかもしれません。     ]*



(15) 2021/05/08(Sat) 12:41:41

   …病院はいや……。


  行きたくない、と首を振っていたのに
  おうじくんは全然引いてくれません。
  耳元に囁かれる声はとても優しいもので
  恋人に宥められているかのように
  錯覚してしまいます。
  ずっと囁かれて、根負けした私は……
                    ]

   行く、から…
   おうじくん、キス、いっぱいして…?


  病院に行く代わりに
  おうじくんにそんなことをねだってみるのです。
  体が弱っていると心まで弱くなってしまうのか
  甘えたくなってしまったのです。
  満足するまでキスしてもらえるなら
  私は渋々パジャマから着替えて病院へ
  おうじくんと行くことにするのです。
                        ]


  *

   
   ウェディング…?!
   ……近くだとだめなの?

[ 
  ドレス姿を見たいなんて言われて
  顔が熱くなってしまいます。
  でも……こっそり、なんて。

  相手になっている可能性どころか
  招待すらされないような言い方に
  きゅうっと心が締め付けられるような
  気分になるのです。
  あなたの隣で着たい、とは言えずとも
  近くで、なんて言ったらどう思うのでしょうか。
  彼を困らせてしまうのなら、
  その話は切り上げたことでしょう。
                        ]



   美味しい、ね。
   おうじくん、甘いの好きなんだ。

   ……私が何してても
   おうじくんには、関係ないと思うけど。


  ガトーショコラを美味しそうに食べている姿を
  見ていると、この人はバレンタインにはチョコを
  沢山もらえていそうだな、と想像してしまいます。
  
  心配してくれているような言葉なのに、
  その優しさの意図がわかっていない私は
  冷たい響きを持つ言葉を言ってしまうのです。
  
……ただのやさしさであそこまでするとは

  
思えないけれど、だとしたらその意図は

  
何なのか、なんてわからないのです。


  少し微妙な顔をする私とは対照的に
  彼は機嫌が戻ってきたようです。
                         ]*
  


   まりんはずる休み、好き?
   それなら止められなくてもいいけど

[ まあ、一日くらいならいいってなるのかな。
  ずる休みとは違うかもだけど
  こんなことしなきゃ休むことも無いし
  似たようなものだろう。
  まりんは休むことに躊躇しそうかなとも思うから
  そんなことを聞いてみたりする。

  胸が上下しているのをじっと見つつ。      ]
 


   そう?……痛かったら言って?

[ 脱がせても特に恥ずかしかったりはしない、のか?
  脚を開かれたらそこに体を割り込ませていく。
  下着越しに這わせていた指を
  いったん離して、下着をずらして今度は直接
  ゆっくりと傷つけないように触れる。
  そこが潤っていくまで何度も指を
  往復させて、もし痛がっていたらわかるように
  まりんの方を見ていた。          ]*

 


   む、無理がないなら行きたいです!
   清玄さんと遊べるように
   お勉強頑張ります!

[ 大学はまた高校までとは勝手が違うでしょうから
  気を抜かずに頑張らなければいけないのです。
  
  清玄さんに携帯を渡されて確認してみると
  沢山写真を撮ってもらっていたみたいです。
  私はてっきりショーの写真もあるのかと
  思っていたので目を丸くしていたでしょうね。

  ポップコーンのボックスを受け取って
  残りは頂くことにするのです。
  甘くてとっても美味しいので
  残っている分もすぐなくなってしまい
  次の味を楽しむことになるのです!
  ブラックペッパーだったりカレーだったり
  甘くないのもあるので今度はそういう
  ものになりそうな気がします!       ]
  


   アトラクションから見る景色は
   ここだけのものです!
   飛行機の景色も好きですよ?

[ 飛行機に乗り慣れていなかった頃は
  少し怖いなと思ったこともありましたが
  今は全然怖くないのです。
  そうやって慣れていたことが関係あったのか
  アトラクションも思ったほど怖くなかったのです! ]
  

 ―――――

   ずっと、待っていました……
   
[ 3年間ずっと体に色々な事を教えられて
  気持ち良くなれるようにしてきました。 
  やっと、この日が来たのです。
  
  最初の頃は声を押し殺していました。
  はしたないかな?と思ってしまったのです。
  でも清玄さんが声を我慢しないようにと
  言うのでそれからは声を我慢していません。 ]
  

 
   んぅ…気持ちいい、からです…

[ 私の体を触る手つきは
  どこか急いているようにも感じられて
  求められているようでうれしいのです。
  
  清玄さんに触られてまだ下の方には触れられて
  いないのに、ショーツは割れ目に食い込むほど
  濡れてしまって、清玄さんにも
  それを指摘されてしまいます。        ]

   清玄さんだから、です……
   そ、それに今日はもらえるからっ…!
  


[ 別に咎められているわけではないのですが
  言い訳のように聞こえる言葉を言ってしまうのです。
  清玄さんがネクタイを解く姿に見入っていると
  それで視界が遮られてしまいます。
  ベルトを外す音が聞こえたかと思うと
  それは手首に巻き付けられてしまって
  両手が頭上に追いやられます。

  閉ざされた視界は、感覚を過敏にしてしまうのです。
  ぐっしょりと濡らしている場所に吸い付かれて
  たまらず声をあげ続けることしか
  できませんでした。           ]*


   んーーーーっ!っふぁ……はあっ
   き、よはるさんっ……

  



   ずる、やすみ…?
   海斗くんと一緒なら、…いい……かな?


[ 本当は嫌だけれど、
  海斗くんも一緒におやすみなら
  あんまり考えません。
  息はまだ落ち着かないけれど、
  へにゃっと彼に笑顔を向けてみるのです。 ]






   わ、わかった…!

   んんっ…か、いとくっ……
   ほわ、っと、するよ…ぉ……


[ 脱がされたこと自体は恥ずかしいのですが
  海斗くんになら、いいのかなって。
  ただただ力が入りにくくなって
  脚を開いたのですが、彼のと距離は
  少し近くなりまして、
  海斗くんの体温が伝わり始めた気がします。

  指が直接まりんの分からない場所を
  触り始めるとさっきよりももっと
  びくっと反応しながら、
  じっとまりんを見つめる海斗くんのほうを
  まりんも見つめ返して、
  痛いなんて気持ちはないことを示すのです。 ]*





    無理なんかじゃないよ。
    理子のためなら、大丈夫。
    そうだね、理子は頑張り屋さんだから
    大丈夫だと信じているよ。

[ 大学での友人選びも大切。
  出来るだけ彼女を毎日送り迎えをしたいけれど
  できない可能性もあるから、
  そういうときにどうしようかと
  考えなければいけないことに気づいた。

  目を丸くして自分が写っている写真を
  見ている彼女は、とても可愛らしい。
  他の人間の目に晒すのが惜しくて堪らない。

  1日だけで、ポップコーンを何種類も食べるなんて
  初めての経験だったから、
  彼の友人にも報告してしまった。
  彼女は誰かに遊びに来ていることを
  伝えたりしたのか、少し気になった。   ]






    確かに。……また見に行こうね。


[ 彼女を引き取ってからほぼ毎週、
  飛行機に乗せてどこかに遊びに行った。
  旅行に行くことで彼女のことを知り
  彼のこと教えていたつもり。

  だから、飛行機からの景色も好き、と
  言ってもらえるのなら、
  彼にとっても幸いだった。     ]




────────


    これからは、うちでも、旅行でも
    たくさん深く愛していくから。


[ 衝動を抑えていた3年間。
  それはとても長くて、大変なもの。
  彼女の表情を見ればその抑えていたものは
  徐々に枷が外れていく気がした。

  可愛い声が彼の枷を外していく。
  ひとつひとつを聞き入れると
  彼の熱が一点に集中していくのが
  彼自身よくわかっているのだった。   ]







   っ、…は……理子、いい子だ……


[ 可愛い言い訳のような返事を聞きながら
  彼は秘裂に隠れる秘芽に吸い付き、
  準備を整えるために指を挿れ
  濡れ具合を改めて確認する。

  本当は彼女の口で濡らそうかと思った彼だが
  しっかり濡れているので指を抜いてから
  ズボンのチャックから生身を取り出し
  秘裂にその熱を擦り合わせたことだろう。  ]*






    そんなにしんどそうなサクラちゃん
    ぼく見てられない。



  頑なに嫌だと言う彼女に
  ずっと、いこうと言い続けていると
  彼女は条件を提示した。

  彼女が満足するまでのキス。

  そんなもので行ってくれるのなら、
  彼は喜んで口づけをするのだった。

                   ]






    っ、ふ…は………




  彼女のよしの声は暫く出ず、
  跨ったまま唇を重ねた後は
  舌を絡め、指を絡めながら、
  くちゅ、っと水音が立ち小さな部屋には
  口づけをかわす2人の声だけが響くのだった。

  漸くOKが出ると、彼女は着替えて。
  その間に近くの産婦人科を見つけた彼は
  彼女と一緒にそこまで行くのだった。
  幸い、低容量ピルの使用を勧められて
  彼女の両親に内緒にするために
  彼が薬代まで全部現在に至るまで
  毎月払ってあげているような状態。

                     ]





   *


   近くで見られるほどの人間なら
   喜んで、近くで見るよ。



  なんて彼は言って、
  彼女の頬を軽く指で撫でた。
  隣で見ること以外は近くない。
  だから、それは叶わないことと
  彼の中では完結してしまっている。

  彼女に新しい人が見つからないように
  彼女のことを汚しているのは
  見付かればと願っているはずの彼なのだが。

                      ]

 




    …ワンコちゃん?
    あーんとごっくん。



  ────関係ないこと。
  そう言われると戻っていた機嫌が
  徐々に悪くなって、彼は何かを取り出して
  彼女の口を開かせ、
  半ば無理矢理に彼女に飲み込ませる。

  彼女に何、と聞かれたら彼の口は
  にやりと開いてこういうのだ。

                       ]






   んー……オクスリ。
   もうちょっとしたらワンコちゃんは
   ぼくに犯されたくなるの。
   ぐしょぐしょに濡れてさぁ、
   いっつも我慢できる声も我慢できなくなって
   自分から腰振ってねぇ。

   早くクスリがキマったさくらちゃんが
   見てみたいなぁ。




  勿論、嘘。プラシーボ効果を期待しただけ。
  彼女はそういうものを信じやすいから
  キメてしまうかもしれないと思うと
  彼はソワソワして彼女を寝室へと連れていく。

  抵抗されるならベッドの上に押し倒し
  彼女に跨ってその時を待つだけ。
  服を脱がすかどうか悩みつつ、
  ひとまず彼女に更に追い討ちをかけようか。

                       ]






    ワンコちゃんがさぁ、
    ぼくのこと蚊帳の外にするの
    すっげー不愉快なんだよね。
    何、ワンコちゃんぼくに隠れて…

   
 誰かと寝てんの?




  彼女には言ってない。
  彼はもうセフレが誰もいなくて
  彼女だけが今関係を持っていること。

  でも、彼女が他の男と寝ているなんて言ったら
  自分だけにしときなって、彼は言うだろう。

                        ]*
  




   ……なるほどな。
   それが毎日続いてもいいんだ?

[ へにゃっとした笑みを浮かべる彼女は
  当たり前に休まなければならなくなる意味には
  気づけていないんだろう。
  こんなことした以上、
  男女が一緒に寝ることの意味くらいは
  知ってもらって同じところで寝たいと
  言わないようにしたいから……
  一緒なら、と言われるのであれば
  敢えて自分だけ出席するのもありかもな。
  大学で男がまりんのこと見てるの、
  実はだいぶ嫌だし。

  笑顔には笑顔で…と思ったけど
  考えてることのせいで
  上手く笑えてなかったかもな。 ]
 


   ……気持ちいい?

[ 流石にずっと想い続けていた相手だから
  体温は高くなっていて、まりんにも
  その熱が伝わっていたかも。

  びくっと反応はしているものの見つめ返すまりんは
  痛いというわけではなさそう。大丈夫だと判断して
  蜜を絡めながら、中に指を一本沈めていく。
  緩やかに中を擦るような動きをして
  誰も受け入れたことがないそこをほぐしていく。
  彼女が気持ち良さそうにし始めるなら
  中に入れる指を増やそうかと思いつつ。    ]*
 


   嬉しいです!
   清玄さんのためなら何でも頑張りますから!

[ 大学ではお友達は出来るでしょうか。
  送り迎えは出来ないと言われるなら
  一人でも平気なのですよ!
  でも大御門家に住んでいるわけですから
  もしかしたら一人は危ないのでしょうか…
  ちょっと困ってしまいますね。

  清玄さんは私と違ってずっとお屋敷で
  質の高い生活をしていますから、
  少しだけポップコーンだったり  
  パークのフードが口に合わなかったらどうしようと
  内心思っていたのですが
  私と一緒に楽しんでいる風に見えたので一安心です!
  ちなみに用事があるといっただけで
  遊びに来ていることは誰にも言っていないのです。
  お泊りまでセットですもの、他の人には
  少し言いにくいのです……。           ]
  


   はいっ!また見たいですー!

[ 旅行といえば修学旅行くらいだった私に
  色々なものを見せてくれたのも清玄さんでした。
  神社やお寺を見るのも好きで色々回りましたが
  年の割にはちょっと渋い好みだったかもしれません。 ]
  

 ―――――

   ほんと、ですか…?
   たくさんしたいです……!

[ 3年間はとても長かったのです。
  気持ちいいところを刺激されて
  ずっとお預けをされていたような形でしたから。
  もう我慢しなくてよいのなら、
  毎夜のように求めてしまう気がします…    ]
  


   ひぁっ…きよはるさ…
   そこ……んんっ!

[ 特に敏感な秘芽を吸われるとひとたまりもなくて
  自由な脚をばたつかせてしまいます。
  指が中に入るとびくり、としてしまいますが
  気持ちいいですし、もちろん痛くもないのです。

  清玄さんの熱を擦り合わせられて
  ついつい、秘芽に当たるように動いてしまって
  怒られないか心配になってきました…。    ]*
  



   ん、ま、まいに、ち?
   それはっ、おかあさんに…おこられちゃう、よ?


[ なぜ彼は毎日と言うのでしょう。
  最悪、1日くらいはお休みしてしまっても
  いいかなと思うけれど、
  毎日ズル休みをする理由が
  今この時間にはあるのでしょうか?

  海斗くんの笑みを見つめて、
  まりんは小さく首を傾げるのです。

  彼があえて1人だけ行こうかなんて
  考えていると知ったなら、
  頬を膨らませたでしょうが
  全くわからないので
  びくっとただただ感じているのでした。 ]






    き、もちぃ……
    かい、とくっん……
    まりん、だいじょ、ぶなの…?


[ 気持ちよくなっています。
  今まで感じたことのないことなので
  まりんは、少しだけ不安になりますが、
  海斗くんが大丈夫って言ってくれるなら
  指が入ったとしても気持ちよさだけが
  まりんには感じられるのです。

  勿論、指が中で増えるなら
  きゅぅっと締め付けるでしょうが
  痛いと言うわけではないので
  大丈夫、と彼に伝えるのです。     ]*





   ん……でも…お金払ってもらうのは…


  しんどそうなのは確かに一目瞭然でしょう。
  汚れたシーツだったり生理用品を
  目に付くところに置きっぱなしだったりして
  余裕がないのがわかるでしょうし。

  キスしてほしいというお願いは答えてくれるようです。
                           ]
 

   
   ふ、ぅ……


  恋人みたいに指を絡めた状態でのキス。
  煙草の味が少しだけするような、
  それでも甘いキス。
  頑なにしてた心が溶けていく。
  もっともっと、と求めてしまって
  暫くは水音だけが耳に届いていたのです。

  それからようやく一緒に産婦人科に行って
  低用量ピルを勧められて
  それを服用することになるのでした。
  彼が毎月、薬代まで払ってくれているのは
  申し訳なく思うけれど、
  両親に言えないから強く拒否も出来なくて。
                       ]
  


  *

   ……な、何…?


  突然の事で素直に口を開けてしまって
  そこに何かを入れられてしまいました。
  こくり、と飲み込んでしまったものが何か
  と聞くと、彼はにやりと笑うのです。
                      ]

   クスリ……?
   な、なんでそんな…!
   いや、離して!


  クスリを飲まされた、などと言われて
  焦り始めたのが彼にも伝わるでしょうか。
  そんな状態でするなんて嫌です。
  でも抵抗しても寝室まで連れていかれて
  組敷かれてしまうのです。

  ……なんで、急に。
  そう思っていると理由は教えてくれました。
                       ]
  


   蚊帳の外……

   …………だったら何だって言うの?
   別に他の男の人に抱かれてたって
   
あなたには関係ないでしょう?!


  きちんと否定すればいいのにしなかったのは
  きっと怒りと苛立ちからです。
  あの時の言葉に上手く返せなかったけれど
  自分がいい人じゃないと貶めているようで
  苦しくて、私が隣にいてはいけないと
  言われたような気すらしてきて。
  それなのに、干渉するようなことを言われたって
  怒りが増すだけです。

  ………頬に赤みがさしていって
  下のほうが疼くのは気のせいです…
  脚をもぞもぞと動かしてしまったのは
  見られてしまったでしょうか……
                     ]*
  



   僕のため、って考えすぎないように。
   大学では自分の好きなようにしていいんだよ。


[ 彼が無理なら友人に行かせればいいかと、
  彼はすぐに考えついたので
  いつかのタイミングで話をしようと思った。
  大御門の家に帰るには車が1番よくて
  それには信頼のおける人物にしか頼めない。

  
  映画に行くこともあったので、
  ポップコーンなどを食べることに
  抵抗自体はなかったけれど
  他のものは友人のおかげでなんとか。
  友人と一緒に庶民的なものを
  高校の時に食べていたから、
  彼女とシェアして食べることができた。 ]






[ 多くは神社仏閣で、
  彼女の年齢を少し考えてしまったけれど
  彼女が楽しそうに1ヶ所1ヶ所
  歩き回っているのを見ていたら、
  やっぱり年相応だと感じたことを
  今でも彼は覚えている。       ]




────────


    本当だよ。
    予定が入っていなければ
    いつでも、愛し合おう?


[ 大学4年にあがる彼。
  就職先はもう決まっているから、
  殆ど学業自体は終わりを迎える。
  予定が入っていなければと言うことは
  彼女が大学に入るまでなら
  彼女が求めるだけ相手をできるはず。

  彼女がそれに気づくかどうか分からないけれど
  また後で聞かれたなら優しく答えようと
  思いながら、唇を重ねるのだった。  ]






    ここは、理子が特別反応する場所だね?
 

[ バタつく脚が可愛らしく感じたのか
  唇を離すと、ちゅっちゅっと
  何度かつま先や内腿に口づけを落とす。
  
  聞こえる音はとでも良くて、
  彼女が自分で体を動かしていると
  感じ取ればいい子だ、と
  先端を彼のほうから秘芽に当ててみる。 ]



    そろそろ挿れてあげないといけないね。


[ 彼女の同意さえあれば、
  本当の初めては何も壁を作らずに
  彼女とひとつになっただろう。
  いとも容易く奥まで到達するなら、
  暫く動かずに、その中を感じてみて。  ]*
   




   そう、だよな。
   ……まりんが俺と寝たいって毎日言ったら
   毎日休むことになるな。

[ やっぱりそうなると嫌がるよな。 
  まりんはいい子だからそういうのは
  知ってて聞いたけど。
  
  首をかしげるまりんの頬にキスをして
  からそんなことを言ってみたり。    ]
  


   だいじょうぶ、
   気持ち良くなってるのはいいこと。

[ 指を入れてもまりんは痛くないみたいで。
  不安げな彼女をなだめながら
  抜き差しを繰り返していく。
  指を増やしても、痛いわけじゃないと
  伝えてくれたから、止めずに続けていたけれど… ]

   ……ちょっと待っててな。
   
[ そろそろ自分も限界だった。
  いったん離れて、避妊具を取ってくる。
  スウェットのズボンと下着を脱いで
  付けてから再びまりんの方へと向きなおった。

  秘部に熱を擦り付けていって
  先端を入り口に当てて一言言ってから
  中に少しずつ入れていこうかと。     ]*

   まりん、多分痛いと思うけど…
   ごめんな?


   ……?
   でも、清玄さんがいなければ
   大学にもいけなかったんです。
   だから大丈夫ですよ…?

[ 清玄さんのご友人に、と話をされたら
  少し目を丸くしたでしょう。
  ご厚意に甘えていいのかと聞いてしまうかも
  しれませんが、いいと言われれば素直に
  お迎えしてもらうのです。         ]
  


[ 神社やお寺の建物の装飾であったり
  四季折々の景色だったり。
  そういった落ち着いた風景が好きで
  私は目を輝かせていたのでした。
  勿論、その土地縁のものを食べるのも
  楽しみにしていましたよ!      ]
  



    学生なんだから、甘えていいよ。
    将来返してくれればそれでおあいこでしょ?



  彼女だって将来働くだろうから、
  その時にいくらか返してくれればそれでいい。
  別に返さなくてもいいから、
  何か彼女のためになることにつかってほしくて
  彼はあまりお金のことになると
  彼女との会話をやめたがるところがあっただろう。

                          ]



 ―――――

   
   な、なら毎日、したいです…!

[ 大学四年生だと学業があまりないということを
  まだ知らないので、夜だけでしょうか、
  とこの時は考えていました。

  ともかく、優しく唇を重ねられると
  あまり深くは考え事をできず
  気持ち良さに溺れていくのです。     ]
  



    少しは行きたくない気持ち溶けた?




  気持ちよさそうな声と舌の絡み合う音、
  それが彼の耳にも入って
  こんなのもありか、なんて思ってしまった。

  最初はやっぱりお金を出されることに
  抵抗を示していたけれど、
  軽く彼女の両親の話を出すと
  大人しく払われてくれている。
  彼女がピルを服用してくれているおかげで
  彼としても生理の時期も分かったり、
  避妊になっているという安易な理由で
  生でするようになったりと
  すでに見返りはもらっているのだった。

                      ]




   *


    なんでそんな、ねぇ…




  焦り出した彼女は最高に可愛い。
  まぁ、彼も別に本物のヤクを
  手に入れていたわけでもなくて
  タバコの匂い消しとして
  タブレットを持ち歩いていたので
  それを食べさせただけ。

                   ]




   
   は、い…すき、そこすき、です…!

[ つま先や内腿にまで口づけが落ちると
  それにも反応して足が動いてしまいます。
  
  濡らしすぎて、くちゅくちゅと音が
  よく鳴ってしまっていますが
  気持ち良いのでいいのです。
  先端を秘芽に当てられると
  気持ち良さからさらに蜜が溢れていきます。 ]


   ん……清玄さん…
   ね、くたい……

[ 一つになるときは彼のほうを見たい、
  というつもりでそれだけ言えば伝わったでしょうか。
  特に私の中は抵抗もなく清玄さんをうけいれて
  ひくひくと締め付けているのです。      ]*
  



    ………まー関係ないといえば
    関係ないんだけどさぁ。
    ぼくワンコちゃん共有とか無理。

    今日はもう帰さないから。
    明日講義あるとか言われても
    返すつもりないから。




  関係ないとか言われたけれど、
  彼の本音と欲が出る。

  頬が赤くなって、
  彼の背中側でもぞとぞと
  彼女の足が動いたのが感じ取れたら
  にやりと口角を上にあげ、
  体をずらし、ワンピースのスカート部分を
  めくってしまえば、前戯もなしに
  ショーツをずらし、すでに熱持った
  彼の精塊を錯覚している彼女の体に
  埋め込んでいった。
 
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