人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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視点:


フィオレ拷問吏 ネロに投票した。
アリーチェ拷問吏 ネロに投票した。
ルチアーノ拷問吏 ネロに投票した。
リヴィオ拷問吏 ネロに投票した。
エルヴィーノ拷問吏 ネロに投票した。
ネロ拷問吏 ネロに投票した。
ダニエラ拷問吏 ネロに投票した。
ダヴィード拷問吏 ネロに投票した。
ペネロペ拷問吏 ネロに投票した。
ロメオ拷問吏 ネロに投票した。

ネロは村人の手により処刑された。

ルチアーノ! 今日がお前の命日だ!

月が姿を変え、新たな一日が始まった。村人は集まり、互いの姿を確認する。
アリーチェが無残な姿で発見された。
ルチアーノが無残な姿で発見された。

幽界の歪み
突如として空間が歪み、この世とあの世の境界が曖昧になってしまった! 今日に限り、生者も死者の声や姿をハッキリと捉える事が出来るだろう。

現在の生存者は、フィオレ、リヴィオ、エルヴィーノ、ダニエラ、ダヴィード、ペネロペ、ロメオの7名



天のお告げ(村建て人)

本日の処刑投票先:
ダヴィード
(#0) 2023/09/23(Sat) 21:05:04


フィオレは、覚悟を決めていたから、泣いたりしなかった。でも。
(a0) 2023/09/23(Sat) 21:22:57

「置いていかないって言ったじゃない」

「うそつき」

そう言うだけに留めるのだ。
本気で詰ったりするつもりはないのだから。

【人】 路地の花 フィオレ

留置所内を女が1人。
面会の手続きを踏んで、今日は茶髪のウィッグに丸メガネ。
まるでお堅い記者のような見た目。片手には少し大きなトートバッグ。

着いた先の牢には、皮肉屋の警部補の姿が見えただろうか。
Ciao、と笑みを浮かべて手を振った。

「テオ、生きてる?」
(0) 2023/09/23(Sat) 22:06:01

リヴィオは、リヴィオ・アリオストはいつも通りだ。
(a1) 2023/09/23(Sat) 22:20:17

リヴィオは、変わらない笑顔を浮かべている。
(a2) 2023/09/23(Sat) 22:20:29

【人】 路地の花 フィオレ

>>+0 テオ
「それはよかった。
 万が一にでも、死刑なんて罷り通るようだったら」
「ここら一帯を爆破させてたところだわ」

暴行の痕には目を細めて。
けれど、あなたの口調が変わらないのなら。
大丈夫なのだろうと信じている。

「あら、根回しの早いこと」
「今日はあなたの好きな食べ物について聞きに来たのよ」

よいしょ、と牢の前にしゃがみこんだ。
収容人数も増えてきただろうから、ある程度雑に振る舞ってもばれやしないだろうし。
(1) 2023/09/23(Sat) 22:22:19

【置】 無敵の リヴィオ

朝礼を終えた後、署内廊下にて。

人の減っていく署内では今も混乱が続いている。
お上はこれを見て尚法を撤回する気はないらしい。
嘆かわしいと口にしたあの代理はどこに目を付けているんだろうか。

思うことは多くあっても、声に出すことは許されない。

「……はは、馬鹿げているな」

壁に体を預けながら、男は確かにそう呟いた。
それを耳にした者はきっと周囲にはいない。
そこは人通りの少ない廊下で、分かっているから声にした。

「……………さぁ、仕事をしようか」

異様に熱い体で、痛む頭で。
引き継ぎもなく増えた仕事を終わらせようとする。
食欲もなく食べたと口にするだけでろくに摂取していないが、
だからなんだという話だ。やるしかないんだ。

今日も医者に向かう足はない。
疼く傷痕は後回しだ、まだ
問題ない


こんな場所で仕事をする価値があるかと問われれば
きっとそうだとは頷けないだろうが、
全てがそうだと言えないからこそ、やり遂げなくてはならない。
(L0) 2023/09/23(Sat) 22:32:59
公開: 2023/09/23(Sat) 22:40:00

短い仮眠の中で見る夢。

その夢は、やはりと言うべきか、随分と静かになって。

けれど拾った声が、景色がある。

この夢に残されたものは、まだあって。
ならばやらねばならない事も、まだ残っている。

もう次は、決めている。決まっている。

これは【A.C.A.】としての決定ではなく、
N.N.として意志のない決定ではなく、
"リヴィオ・アリオスト"としてでもなく、

友人として向き合いたい一人の提案に乗った
"リヴィオ"という一個人としての決定だった。

この決定はアリソン女史にとっては不満な点かもしれないが、
Alberoはきっと、それでいいと頷いてくれるだろう。
いや、案外アリソン女史だって頷いてくれるかもしれない。

「……………終わったら、有給届を叩き付けるとしよう。
 戻ることがあればの話だが」

最初は破滅願望からの逃避だった。
──まぁ本当はそれは2つ目の理由というところで。

断れば可愛い後輩達に声をかけると口にされれば、
動かざるも得ないと言う訳だ。
ついでに、自身の目的を絡めてしまえば、
その道を進むしかない。進まざるを得ない。

脅しなら仕方がないと口にされるのは勘弁だ。

だったらこれでいい。ひとりで落ちてしまおう。
リヴィオ・アリオストという人間を
丁度終わらせたい殺してやりたいと思ったのは、嘘じゃなかった。

【人】 路地の花 フィオレ

>>+2 テオ
「やっぱり爆破しておくべきだったかしら」

これもまた、冗談。
本当だったら、警察は子供の遊び場にでもされたのかと思っていたところだ。

「まあ、運がいい」
「そんなあなたにぴったりのものを用意してきたのよ」

もっとこっちに寄って、と手招きしつつ。
トートバッグから一つのサンドイッチを取り出した。
とはいえ、食パンではなくなぜかホットドッグ用のパンに具材が挟まれているのだが。

「じゃん、ローストビーフサンド〜」
「……具材は出来合いのものだから、安心して」
(2) 2023/09/23(Sat) 23:05:24
「…………。」

アジトのデスク。女は今日もひとり膝を抱えていた。
耳につけていたイヤホンを外す。
ふうと浅い息を吐き天を仰いだ。

…知りたくなかったなあ。


素直な気持ちをぽつりと零す。
誰に聞かれることもなく霧散した。
それでも胸の蟠りは簡単に解けてくれそうにない。

「……取り敢えずう」
「出勤、しましょおかあ。」

徹夜明けの身体を持ち上げて。
なるほど確かにこれは眠れないと、カフェインの香りを思い出していた。

【置】 花浅葱 エルヴィーノ

エルヴィーノ・ルカ・バディオリ


男の印象は、良く言えば落ち着いている。悪く言えば冷淡。
警察署内であまり親しい人間を作らず、淡々と仕事をし、昼休みは同僚たちに食事を取らされ、シエスタは時間いっぱいまでだらだら休んでいる。
そんな、何処にでも居る現代の人間だ。

「はは、色々やってたら寝るのを忘れてしまってね」
「……? そういえば昨日の夜から何も食べてないかもしれない」

生活のズボラさは折り紙付きで、いつも同僚の頭を悩ませている。
そもそも胃が小さいのだろう、彼が物を食べている様子は、昼に促されている時くらいしか補足することは出来ない。
仕事をさせれば普通だが、私生活に置いては最悪の人間。
そういう印象を持たれていたことだろう。

(L1) 2023/09/23(Sat) 23:15:06
公開: 2023/09/23(Sat) 23:20:00

【置】 花浅葱 エルヴィーノ

だけどその実は。
男は睡眠障害を患っていた。
過去に事件で幼馴染を一時的に失い、初恋の少女が交通事故で半身不随になって、今も廃人状態。
特に後者に於いては薬物中毒であることを知っていたのに見て見ぬふりをしていたとして、酷く心を病んでしまっていた。

愛情は時に、歪に混ざり合い、変質する。

既に恋などという感情はないが、重い執着が、そこにある。
男は自分のことなどどうでも良かった。もっと言えば、関係のない人間のこともどうでも良かった。

ただ、幼馴染には普通の、安全で幸せな生活を送って欲しいと思っているし
少女には、普通に生きるだけの力を与えたいと思っている。
それが二人の人生を強制的に変えてしまう自分勝手なものであってでもというもので、

それはただの自己満足で欺瞞だった。

(L2) 2023/09/23(Sat) 23:16:27
公開: 2023/09/23(Sat) 23:20:00
エルヴィーノは、もう、大事な人は、作りたくなかった。
(a3) 2023/09/23(Sat) 23:16:51

エルヴィーノは、大事な人が居ると、その人に不幸が訪れて、僕は一人になるから。
(a4) 2023/09/23(Sat) 23:17:21

エルヴィーノは、自ら独りになりながら、独りになることに酷く怯えていた人間だ。
(a5) 2023/09/23(Sat) 23:17:35

【置】 花浅葱 エルヴィーノ

「……。署内も静かになったね」
「全く、キミ達が全員いなくなったら……僕は昼すら食べなくなってしまうよ」

いつもはここで、犬のような後輩に捕まって。
呆れたように同期に皮肉を言われて。
忙しない同期に厄介事を持ち込まれて。
シエスタになれば一番弟子とチェスの勝負をする。
穏やかな上司と世間話だってしたし。
しわくちゃ顔の同僚に、書類の間違いだって指摘したり……してたはずで。

「おかしいな。
 最初からあまり付き合わなければ問題ないって思ってたのに……皆居なくなってしまった」

力なくつぶやかれた言葉は静かに宙に消え、手に残った爪痕だけが、皆大事な人になってたのだと語っているかのようだ。


「……僕に何かを託すなんて、本来おかしいんだけど」

でも約束をした。
僕は、やらなければならない。
たとえ失敗したって、声を上げることが大事だと……背中を押してもらったから。

これで僕が逮捕されることになったとしても、構わない。
命を狙われようとも、構わない。
大事な人達に正しく幸を与えられたら、それでいい。


今、それができるのは……自分しかいないのだ。
(L3) 2023/09/23(Sat) 23:19:09
公開: 2023/09/23(Sat) 23:25:00
疼く傷痕は、後回し。医者に向かう足はない。
午後は仕事を休むよう約束があったけど、
残念ながら、休みを取った午後は午後で忙しくなりそうだ。

頭はまだ冴えている。
思い込みだとしても、体は動くんだ。まだやれる。
今日が終わった後のことは何も分からないが、
それでもすべきことは、やり遂げなくてはならない。

「………ルチ、ルチアーノ。
 案外遠くない未来で君に会いに行ってやろう」

だから大人しく待っているといい。
きっとその時の俺は、酷いものだとは思うが。

名残惜しいと感じたあの時間を思うと、
案外、リヴィオとして生きていくのも悪くないのかもしれない。
無敵なんかじゃない、本当にただのリヴィオして。

そう思えるようになったのはきっと。
もう一人の狂犬を思い浮かべて、リヴィオは笑った。

2023/09/23(Sat) 23:28:35

【人】 路地の花 フィオレ

>>+3 テオ
「違うわよ、ホントは手作りしたかったんだけど」
「全部焦がしちゃったから」


まずくはないという事が伝えたかっただけらしい。
そんなことを言いながら、もう一つサンドを取り出した。
分厚い鶏モモ肉の挟まったもの。

「ローストチキンサンドもあります」
「いくつか持ってきたから、好きそうなの差し入れしようと思って」

そういえば家に行った時も、食べ物買いこんでいったなあ……と思っている。
食いしん坊だと思ったことはないし、グルメな印象もないのだけど。なんとなくそういう風向きなのかも。
美味しいものをたくさん食べられるのは良いことだ。

「バカなこと言わないでよ。あげなーい、って自分で食べるような女に見える?」
「ほら、口開けて」

今日も手が不自由そうなら、食べさせるつもりで来ている。
というか。そうじゃなくても自分の手で食べさせるつもりのように見える。
(3) 2023/09/23(Sat) 23:48:31
路地の花 フィオレは、メモを貼った。
(a6) 2023/09/24(Sun) 0:08:30

【人】 路地の花 フィオレ

>>+4 テオ

「何よ」

そう上手くはいかないか。
分かっていて仕掛けてはいるのだけど。

「嫌よ、痕跡残したくないもの」
「直に食べ物置くのも嫌だし、欲しいなら手出して」

あなたが一向に手を出そうとしていないことを知っていて、そう言ってのける。
見られたくないものがあるのか、動かしたくない事情があるのかは知らないけれど。

「それが嫌なら、口開けて。どっちかよ」
(4) 2023/09/24(Sun) 0:30:07
フィオレは、ていうか今バカって言った?
(a7) 2023/09/24(Sun) 0:33:48

【人】 門を潜り ダヴィード

朝。
起き出して、顔を洗って、着替えて、朝食。
そこまではいつも通り。

家を出て鍵をかけ、街中を歩きだす。
背中に嫌な視線を感じた。
悪意ある、棘のある視線。
ひりつくようなそれを引き連れてアジトへのこのこと向かうわけにもいかない。

「さて、頑張るかあ……」

男はため息をついて、とりあえずは人の多い街中へと足を向けた。

#街中
(5) 2023/09/24(Sun) 0:37:50
ダヴィードは、約束を守れる男になりたい。
(a8) 2023/09/24(Sun) 0:40:35

【人】 路地の花 フィオレ

>>+5 テオ

「そう。……分かったわ。
 テオが気を遣ってくれるなら、それ以上突かないでおいてあげる」

あっさりと引く。どうしても共有してほしいわけではない。
耐えられるものであるなら、自分だけで背負っている方が楽なのだろうし。

女も、その一線を踏み越えたりはしない。
気遣っているんだとしても、拒絶していたんだとしても。
あなたが線を引き直すまでは。

「何度も言わなくたって分かってるわよ」
「世話を焼くのが性分で、お節介を焼くのも性分だって言ったでしょ?
 物好きが勝手にやってる事なんだから、感謝しろなんて言わないわ」

牢の隙間からサンドを差し込んでいる。
そうしながら、普段は聞かないであろう内容のそれに。
ぱち、と眼鏡の奥で瞬きを一つ。そして、にまと唇が弧を描く。

「そういうのは、女に言わせるものじゃないのよ」
「でも、テオがこういうこと聞いてくれることなんてもうないだろうから…答えてあげる」

ふ、と微笑んで。

「花を愛してくれる人を、好きにならないわけないでしょ?」

首元のネックレスを取り出して、揺らしてみせた。
(6) 2023/09/24(Sun) 1:41:21
フィオレは、これじゃ足りないかしら、なんて言って。首を小さく傾けたりして。
(a9) 2023/09/24(Sun) 1:41:50

corposant ロメオ(匿名)は、メモを貼った。
2023/09/24(Sun) 1:51:46

corposant ロメオは、メモを貼った。
(a10) 2023/09/24(Sun) 1:56:45

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

仕事帰り。
いつものジェラート屋。
近くバタついてあまり訪れられなかったここを、数日ぶりに訪れる。

イチゴfragola をお、コーンでえ」

間の抜けた明るい声。
会計を済ませ暫しして、薄紅色のジェラートが差し出された。
通り雨もあるかもしれないと聞く女の手には傘がひとつ。
食べ歩かずに今日は食べて帰ろうと、パラソルの下のテラス席にちょこんと座った。

#specchio
(7) 2023/09/24(Sun) 2:27:51
イチゴfragola のジェラート。
アジトに置いたバスボムを思い出す。

これ、間に合うのかなあ。
少し時間がかかるようなことを言っていたような気もしている。
…間に合うといいなあ。
そう浮かべながら、ジェラートを口へ。

【人】 無敵の リヴィオ

>>7 ダニエラ

今日は君との
約束通り
、男は午後から休みを取っていた。
そうして約束通り、
明日に君へ元気な姿を見せる──訳ではなく。

「……やぁ、ダニエラ君」

何の要件か。
こうして今、君の元を訪れたのだった。
名を呼びながら身を屈め、パラソル下の君に微笑みかける。
そこに浮かぶ笑顔はやはり、いつもと変わらない姿。

「偶然だね。いや、出会うのは必然だったのかな。
 こうして午後も君に出会えて嬉しいよ」

「……あぁ、すまない。こうして話していては、
 せっかくのジェラートが溶けてしまうね。
 ここでさようならをするのもひとつだが」

──少し、君と話がしたいんだ。

そう付け足して、
図々しくも同じパラソル下の席へ座ろうとする。
最もここで嫌な顔をされようが座る気満々。
どこかへ立ち去る様子もないのでどうか許して欲しい。

#specchio
(8) 2023/09/24(Sun) 2:51:49
リヴィオは、ダニエラから
最初に
貰ったヘアピンを前髪に付けている。 #specchio
(a11) 2023/09/24(Sun) 2:55:24

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>8 リヴィオ

「…あー。リヴィオさあん。」

到底上司に見せるとは思えない仏頂面。
尖らせた唇でその名を呼んで、前髪を見て、ジェラートを見て。
そのヘアピンは、何の変哲もなければ飾り気のひとつもないシンプルなヘアピンで。
だけど不思議と他の似たヘアピンでなく、
それ
なんだろうと思えた。


「あたしは明日お会い出来た方が嬉しかったですけどお。」

拗ねた顔のまま拗ねた声でいう。
こういうとき、女が告げるのは本心だ。
けれど、まあ。察しが悪いわけでも決してなかったわけだから、自分を納得させるための溜息だけついてまたその顔を見上げた。

「…まあ、いいですう。」
「なんですかあ、話ってえ」

微かに形作った笑顔は歓迎の証。
どうぞどうぞ、寧ろお座りくださいな。
それに関しては本当に、嫌な顔ひとつせず。

#specchio
(9) 2023/09/24(Sun) 3:12:29


懐から月桂樹の葉をモチーフにしたブローチを取り出す。
つける勇気はなかったんだ。
だけど、お守り代わり生きる希望にはなっていたよ。
未来が、
それなりに
惜しくなるほどに。

「狡をしている気分だな……」

それだけではないとしても、破滅願望を理由にここにいる。
誰かを傷つけるように選択した人間が、
何かを掴むことなど、許されるとは思わない。

……だけど。

「…俺を甘やかす人間に文句を言って欲しいね」

冗談めかすように笑いながら、独り言ちる。
その言葉を聞く者はいないから、本当にただの独り言。

手の内でブローチを弄んで、考えるように手を止めた後、
テーブル上に置かれた小箱の中にそっと仕舞う。
お守り代わりではあったが、この先に持っていくには壊れそうだ。
家主の留守を任せるように、それは置いていくとしよう。

代わりに、彼女から最初に貰ったヘアピンで前髪を飾り、
さっさと床にでも
寝転がってしまいたい気分を抑えて立ち上がる。



「……エルにはなんて謝ろうか」

手伝うって言ったのにな。また嘘を吐いてしまった。
まぁ、彼は優秀だし上手くやるだろう。
そう思っておかないと許容範囲超えで頭がおかしくなりそうだ。

おかしくなるついでにぶっ倒れてそのまま、
最悪目を覚まさない可能性がある。
もうかなり約束からの気力だけで何とかしている。
これがアドレナリンってやつ?医者に怒鳴られそうだ。

考えるのはやめよう。頭の痛さが増してしまう。

懐から電源を落とした端末、
それから素敵な最低の先輩が渡してきたマフィアから押収した銃。
それらをもう一度確認してからスーツ内部に押し込んだ。
ポケットの中の袋も……ある。忘れ物はなさそうだ。

流石にこれを持って面会はまずいので、
午後の予定を片付けてから取りに戻るとしよう。

「………どの面下げて、という話だが」

己を慕ってくれている後輩を思い浮かべて、
深いため息が零れていく。
今更会いに行くのもそうだが、彼にも沢山嘘を吐いた。

【人】 路地の花 フィオレ

>>+12 テオ

「それもまた、今更でしょ」

言い続けてきたことだ。
花を丁寧に育てるあなたに惹かれたと。
変わらない。ずっと変わらないことだ。

「そうね」
「でも、あなたのその言い分はちょっと変だわ。
 だって静かに咲いていようとしていた花に近付いてきたのもあなたじゃない」

ちょっとだけの言いがかり。
けれど、あなたの方から歩み寄ってきたこともあったでしょう?

柔らかなパンとしっとりした肉が噛み千切られるのを見て、嬉しそうにくすくすと笑って。
この女はやっぱり、あなたがそうやって拗ねていたって楽しそうにしているのだ。

「あら、それって」
「私のこと、特別に見てくれるってこと?」

嬉しい、と都合よく受け取るのもいつも通り。
甘い甘い毒を押し付けて、絡めとってしまって。
いつか、その毒が回り切ってしまえばいいと思う。

面倒を見ることを放り投げないのは優しさなのか、使命感なのか。
どちらにせよ、こちらには得しかないことだ。
だからこちらは笑って。

「本当に、難儀な人!」
(10) 2023/09/24(Sun) 4:51:05

【人】 無敵の リヴィオ

>>9 ダニエラ

「はは、そう言われるんじゃないかとは思ったよ。
 だけどね、今日
だったから
必然なんだ」

仏頂面にも怯まず笑顔のまま席へと座る。
そうして腕を組み、首を僅かに傾けながら口を開いて。

「……で、だ。こういうのは単刀直入に話そうと思う」

ジェラートは食べながらで構わないよ。
溶けてしまってはジェラート屋の店主が可哀想だ。
話しかけた側が何を言っているのかという話だが。

いつもと同じスーツのポケットの内側、
そこから小さな袋を取り出して、
君にも見やすいようテーブル上へと置いて見せる。
万が一のため、その袋に左手は添えたままだ。

きっと君には──いや、君なら、見覚えがあるはずだ。

#specchio

(11) 2023/09/24(Sun) 8:05:45

【人】 無敵の リヴィオ

>>9 >>11 ダニエラ

その透明な袋の中には『銀のヘアピン』が入れられている。
勿論、知らないとただ首を振るのも簡単だろうが。

「……俺は、嘘つきでどうしようもない人間だが。
 君が言葉を渋り、いつもとは違う様子を見せたのなら、
 近付かれても間抜けに笑っているほど無能じゃない」

「最も、無能な人間は上に沢山居そうだけどね」

目が飾りの代理様とかね。
口にはせずとも態度に出していく。

「まぁ、それに……君と俺は案外似ているらしい。
 本当の意味で仲良くやって行けそうな程にね。
 俺としては、あー……犬カフェに行きたいのは本音だ」

単刀直入と言いながらいつもの声色で、
いつもの……とは異なる柔く弱々しい笑顔を浮かべて、
まるで会話を早々に終わらせるのは惜しいというように
語り続け、その翠眼は揺れることなく君を見ていた。

#specchio
(12) 2023/09/24(Sun) 8:08:49


「………考えても無駄だな」

会いに行かなくてはならない。
彼が今どうしているか、この目で見て、知りたかった。

出来ることなら、傷付いていて欲しくはないが。
そう思うならもっと、ちゃんと、会いに行くべきだった。
リヴィオ・アリオストは嘘つきだが、
けれど君を想う心は嘘じゃなかったんだ。

「………あー、ニコやルチに会いに行くのはやめておこう。
 今顔を見たらみっともなく崩れ落ちそうだ」

こちらは流石に嘘だが、全くの嘘とも言いきれない。
先に入ったニコの様子は気になるが……止めよう。
気にならない。変に怪我をしていたら逃げ出したくなる。
何なら想像だけで嫌になってきた。止めておこう。

「……言っている場合じゃないな。そろそろ行こうか」

時間もそう多くはない。
彼女のお迎えダニエラ君の検挙を思うとゆっくりしてはいられないんだ。

玄関付近にスーツの上着を置いて、
男はその日の午後、
足を運ぶことが出来なかった収容所へと向かう。

そうして夕方、彼女が仕事を終える頃────。

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>11 >>12 リヴィオ

「……。」

匙ですくったジェラートを口に運ぶ。
そのまま流すような視線であなたの取り出したものを見た。

…最後の最後に、賭けに負けたのだ。女は。
但し賭けに負けたという事実はこの一晩のうちに確定しており、こうなることを女も薄々勘づいていたわけであるが。

「…そおですねえ。」

日頃の暢気な空気をまとわりつかせたまま女は頷く。
今日この日も会話の内容さえ加味しなければ、平和で平穏な日常の1ページであるようだった。

「本当に無能な人って、存在するんですねえ。」

よく顔も覚えていない代理様とか。
こちらはそれは態度には示さなかった。
多少の棘だとかいうレベルで済ませられる気がしなかったのだ。

#specchio
(13) 2023/09/24(Sun) 8:48:37

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>11 >>12 >>13 リヴィオ

「…あたしも、行きたかったんですけどねえ。犬カフェ。」

『銀のヘアピン』について、女は言い訳のひとつもしなかった。
それには女なりの理由があるが、少なくとも今口にする気はない。

「でも、やっぱり似てるそうなんですかあ。」
「……残念ですう。」
「やっとリヴィオさんのこと、少しは分かってきたような気がしてましたのにい。」

女が惜しむらくはそこだ。
いつもと違う笑みを浮かべるあなたに、少しだけ困ったように笑いかける。
…そっちの方がいいですよなんて、果たしてどの口でいえばいいのやら。

「――それで」

場違いにジェラートを食べ進めながら。
もう少しだけ、踏み込んでみる。

リヴィオさんは

あたしにどうして欲しいんですかあ?


#specchio
(14) 2023/09/24(Sun) 8:50:02


「……さて、最後の仕事だ」

お互いに標的とするなら
肩を組んで仲良く自首出来たらいいんだけどね。
残念ながらそう簡単には行かないのが人生ってやつだ。

「……頑張ろう、あと少し」

檻の中ならようやくまともに休めるだろうか。
出来ればゆっくりと寝かせて欲しいものだね。

俺も──……彼女も。


その行い法の施行を受けたものからすれば
到底許されるものではないかもしれないが、
等しく人間である以上、眠りというものは平等だ。
安らかすぎる眠りは御免だが、
少しくらい休めるといいなとは考えずにはいられなかった。

 

2023/09/24(Sun) 8:56:35

【人】 無敵の リヴィオ

>>13 >>14 ダニエラ

銀のヘアピンこれ』を壊さずにいた理由は
単に壊したところで怪しまれるだろうという点と、
君に疑われるのならそれもいいかと考えてしまったから。

流石にルチアーノとのやり取りの際には上着を脱ぎ、
ベンチへと放り投げて会話の一部を隠していたが、
それ以外は敢えてずっとポケットの中に仕舞いこんでいた。

君がこれを贈り物とせずにいてくれたことが、
男にとって何よりの救いなんだろうと思う。
男は今まで何かを受け取る側にはなれなかったからこそ。


言い訳がないことに安堵したのか。あるいは胸を痛めたのか。
どちらとも言えるし、どちらとも言えない表情を浮かべて、
少し伏せた視線は、また君へと戻されていく。

「……はは、残念がってくれるのかい?
 それは嬉しいものだね、惜しまれるとは思わなかった」

こんな男だが、何故か慕ってくれる後輩は居た。
嘘ばかりで、嘘の自分を慕われることが苦しかったが、
彼らとの日常は、とても楽しい日々だった。

それは確かに、嘘じゃない。心からの本音だ。

#specchio

(15) 2023/09/24(Sun) 9:48:24
リヴィオは、リヴィオ・アリオストは嘘吐きだ。
(a12) 2023/09/24(Sun) 9:49:24

リヴィオは、別に、無敵なんかじゃあない。
(a13) 2023/09/24(Sun) 9:49:46

【人】 リヴィオ

>>13 >>14 >>15 ダニエラ

「どうして欲しい、か……そうだね」

考えるような素振りを見せるが、答えは既に決めている。
任されたから為すのではなく、それは男が決めた答えだ。
わざとらしい笑顔に切り替え、一呼吸置いてから。

一緒に自首俺とデートをしよう、ダニエラ君」

「その一度きりのデートでは満足とは言えないだろうから、
 全てが終わったその先で犬カフェにいこうもう一度デートしよう

未来はいらない。ここで破滅してしまいたい。
そう考えていた過去を思えば、
未来の話をする男はきっと、少しは前を向いている。
お節介で、お人好しで、物好きなやつらのおかげせいで。

それにきっと、終わることを許してくれないんだ。
仲間の一人を思い浮かべて、思わずため息が出そうになった。

「……そういうのは、駄目かな?」

わざとらしい笑顔は外して、何処か伺うように、
やっぱり弱々しさのある表情で君を見る。
傍から見れば君に振られた失恋男って感じだ。

まだ振られてはいない。色気のない口説き文句ではあるが。

#specchio
(16) 2023/09/24(Sun) 9:50:56
リヴィオは、ただのひとりの人間だ。
(a14) 2023/09/24(Sun) 9:52:02

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>15 >>16 リヴィオ

きっと女が昔のままの女だったなら。
あなたに贈られたものは『銀のヘアピン』であり、愛らしいヘアクリップは今も女の手元に残されていた。
そもそも、いつも通りに何の脈絡もなく突然ヘアピンを贈りつけるだけで全ては事足り、今こうして共にパラソルの落とす影の下語り合うことだってなかったはずだ。

そうしなかったことそうできなかったことが、女の敗因であり。
そして、あなたの救いであるらしかった。


女の手が止まる。
しゃくり、と匙をジェラートとコーンの隙間に刺した。
ミントブルーの瞳がそんなあなたを映す。
だけど女にはどうしても口にしなければならないことがあった。

「…リヴィオさん。」

#specchio
(17) 2023/09/24(Sun) 11:07:50
2023/09/24(Sun) 11:09:21

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>15 >>16 >>17 リヴィオ

「あたし、捕まる訳にはいかないんですよねえ。」

女は、中途半端な蝙蝠だった。
獣の仲間にも鳥の仲間にもなれないままの、そんな本物の半端者だった。
それでも、女の心だけはいつだってひとつであったつもりだ。
だから女の言葉はその通りで。
ただやっぱり少し困ったような顔で、あなたのことを見つめている。

「…見逃してあきらめてくれませんかあ?」

そんな甘言。
法を悪用した罪人の、それは最後の足掻きであるはずだった。
そして女は足掻かなければならないはずだった。
空浮かぶ雲の色濃く深い曇り空。パラソルの影と同じだけ、周囲の景色も暗くなる。

#specchio
(18) 2023/09/24(Sun) 11:10:00
ダニエラは、「…でも。」 #specchio
(a15) 2023/09/24(Sun) 11:11:11

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>15 >>16 >>17 >>18 リヴィオ

匙をとり、ジェラートをそっと口に運ぶ。

「そおいうわけには行きませんよねえ。」
「そおしたら、また別の人が逮捕されちゃうかもしれませんしい」

それはあたしも困ります、と。
女はここにきてようやく、いつものようにけらけらと控えめに笑った。

「ただひとつだけえ、聞かせてくださあい。」
「あたしはずうっと、
あなたたち
を探していたんですけどお。」

「…リヴィオさんは、最後のひとり…ですかあ?」

それだけは、聞けないと安心だってできないもので。
でも、もし違っていたら、どうしようか。
もう少し足掻かないといけないな、そのときは。

#specchio
(19) 2023/09/24(Sun) 11:12:42
自分が捕まった時、波及する人間を考える。

直属の上司。昔馴染み。
1番守りたいのはその2つなのに、それではなんの意味もない。
であれば2つとも、そしてマフィアとも何も関係のない愉快犯として捕まるのが妥当であろう。

…この法案がそれを許してくれるなら、だ。
そしてその秘密を、自分はその後絶対に守り抜き続けなければならなくなる。

【人】 リヴィオ

>>17 >>18 >>19 ダニエラ

こんな口説き文句だけじゃ、
君はきっと落ちてくれないだろうとは考えた。

自分の裏は隠し、『証拠』を突きつけ笑って、
君だけを責めてしまうことは簡単だったが……。
だけどそれが出来なかったからこそ、
まずは真っ直ぐな言葉で伝えるしかなかったんだ。

その後にどうするかなんて、その時考えるしかない。
お姫様抱っこでもして警察署お城に向かうのも悪くはないけどね。
そうじゃないと、彼の呆れ顔を見ることになってしまう。
まぁ、辿り着く前にお巡りさんへ通報されかねないが。

「……俺個人ではなく、
頼み
でもなければ、
 俺は多分君を見逃してしまっていたんだろう」

誰でも良かった。でも、誰でもいい訳じゃなかった。
知っている人間も、知らない人間も。
誰も彼も、無実の人間はあの狭い場所に行くべきじゃない。

本当はずっと分かっているし、
選ばないってのは責任逃れに過ぎない。
狡い人間なんだ、本当は。

#specchio

(20) 2023/09/24(Sun) 12:34:12

【人】 リヴィオ

>>17 >>18 >>19 >>20 ダニエラ

まぁだから、君が見逃して欲しいと口にするなら、
それもいいかと代わりに俺も見逃してくれと笑って、
きっとその後は自己嫌悪に陥っていたんだろう。

そんな過去も未来も、なかった訳だが。

「…だから、すまないね。見逃される諦められることを諦めてくれ。
 君を休ませて座らせてやりたいと言った
のためにもね」

誰が言ったかまで教える必要はないだろうが、
ヒントくらいはいいだろう。
あとはその当人が後で問い質されればいい。

座る場所はどうにも心地がいいとはいえなさそうだが、
仕事を休むって意味でも悪くはない。
しかしもしも彼女に何かをする輩がいるなら、
俺が殴っても噛み付いても許されるだろう。

彼女に何かを思う人間だった場合は?
…どうしようか、特に何も考えていない。
出来ることならそうならなければいいと願うだけ。

代わりに俺を殴る案でどうにかならないだろうか。
別にマゾヒストじゃないが。

#specchio

(21) 2023/09/24(Sun) 12:35:48

【人】 リヴィオ

>>17 >>18 >>19 >>20 >>21 ダニエラ

問いに誤魔化すことなく頷いて。

「あぁ、そうだよ。
俺達
は俺が最後のひとりだ。
 だからね、君がこれ以上に頑張る必要はないんだ。
 安心していいよ、俺は嘘吐きだが──そういう嘘は吐かない」

自分さえ食い殺したかった凶狼【A.C.A】一匹ひとりは笑う。

こんなにも綺麗にひとりになるとは思わなかったな。
最後が俺ってのもどうなんだって話だけどね。

「という訳でだ、ダニエラ君。
 『この街の執行役が全員いなくなれば平和だと思わないか』」

だってさ、これも君を座らせたいやつの言葉。

表舞台は残る人間に任せよう。幸い、そこに宛はある。
というか、黙って隠していたからでもあるが、
【A.C.A】のひとりに協力を頼む有能なやつがいるんだ。

それだけじゃなくて、流石にやり過ぎなこの状態じゃ
あの目がない代理様も残り僅かの天下になるだろう。

そうなって欲しいからそう願っておく。

#specchio
(22) 2023/09/24(Sun) 12:36:56

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>20 >>21 >>22 リヴィオ

「頼み…彼?……あー。」

わかるような、わからないような。
でもわかる寄り。理由なんかがそれらしい。
女が抱いた
協力者
への印象は、ひとつめのアジトを放棄したときからあまり変わりはないらしい。

だからそのことに腹を立てることはなかった。
彼に伝えた言葉に嘘なんてなかったから。
女は裏切られてもいいと思える相手だけを、信じていた。

それにしても、その
はさておきだ。
ではどうしてあの人は、あなたのことを知っていたのだろう。
…こっちには少し腹が立つ。
顔を合わせぬ間に、伝えたい文句ばかりが増えていく。
それはそれで、女の信頼の証ではあったけど。


#specchio
(23) 2023/09/24(Sun) 14:36:42

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>20 >>21 >>22 >>23 リヴィオ

コーンを崩して、口の中。
歯触りに微かな香ばしさとイチゴfragolaの味が少しして。
ふう、と一息。口元にはいつもと同じ笑み。

「…でも、そおですかあ。」
「リヴィオさんで、ほんとおに、最後…。」

そんな中、沁みるような声に滲んだのは、安堵だっただろうか。
少しだけ、違うような気もしている。
でも肩の荷がひとつ降りたのだけは、紛れもない事実であったらしい。

あなたの胸中こそ知らないが、女はずっと、早く地獄に堕ちればいいと思っていた。
静かに座る権利なんてどこにも残っていないと思っていた。
だからこれから往く先が、冷たく狭い地獄だとしても構わない。
そういう場所に、女はあの優しい人たちを送り込んできたのだから。
手錠をかけたとき、誰一人として、女を責めた人はいなかった。
女は本当にそのことが、ずっとずっと、哀しかった。


左手小指のエナメルを撫でる。
いつもはつるりと陶器みたいな感触なのに、その表面は傷だらけで少しざらついて感じる。

「…わかりましたあ。」
「デートのお誘い、お受けしますう」

そうして女は、歌うような声で、朗らかに告げた。

#specchio
(24) 2023/09/24(Sun) 14:37:33

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>20 >>21 >>22 >>23 >>24 リヴィオ

女の虚実は意図しない限り曖昧だ。
今こうして晴れた心地でいることが、本当なのか嘘なのか、女にだってもうよくわかりはしなかった。

でも、ひとつだけ。

「――ところでリヴィオさん。」
「そんなお身体で、まさかエスコートなんて言いませんよねえ。」

半日休むって、言ったくせに。
それについて抱いた感情は本物だろう。
まだあと少しコーンが残っていたけれど席を立つ。
座るあなたを、見下ろして。

「病院でも、風邪薬でも、何でもいいですけどお。」
「雨が降る前に、少し寄り道しませんとお。」

「…デート相手が素直だった分」
「時間に余裕は、まだありますよねえ。」

…聞くところによると、今日は通り雨が降るらしい。
そんなものに、今のあなたを晒すわけにもいかないだろう。
…これが、女が『銀のヘアピン』について、言い訳ひとつしなかった理由だ。

きっと、してやったりと、女はにこりと笑っていた。
#specchio
(25) 2023/09/24(Sun) 14:38:28

【人】 門を潜り ダヴィード

街中を歩きながら端末を引っぱり出し、アジトにいるであろう幾人かに向けて連絡をする。
道中に屋台に寄ってアランチーニを買い、はふはふと食べながら。
近況を上に報告するなんていつも通りの日常だ。なにもおかしくない。

『昨日から付けられてるみたいです
 今日はアジトに顔を出せなさそうです』

「ううん。
 この際温泉でも行こうかなあ……
 見つかったらサボってるって思われないかなあ……」

観光客に紛れられると思って、とか。
街がこのザマじゃあ言い訳っぽいなあ。
次はどこへ行こう。
油の染みた包み紙をゴミ箱に放り投げて、またため息をついた。

#街中
(26) 2023/09/24(Sun) 17:28:31

【人】 コピーキャット ペネロペ

入っていた連絡に舌打ち一つ。
やっぱり車で刑務所にでも突っ込んでやろうか。
今はできない最終手段、
もとい単なる憂さ晴らしをふと思い返しながら。

夕暮れの街を行く。
ペネロペ・ベリーニは知っている。
今この街にいつも通りなんて無い事を。
そして、それはいつかは終わるという事を。

今はいつも通りを装うのが、きっと大嘘吐きの役目だろう。

#街中
(27) 2023/09/24(Sun) 18:55:46
ペネロペは、いつも通りだ。
(a16) 2023/09/24(Sun) 19:21:42


薄闇の街を行く。

本当は不安で仕方ない。
自称博愛主義は誰が逮捕されるか気が気じゃない。
逮捕された後どうしているかだって心配で、
仮に自分が逮捕された後の事だって気が気じゃない。

自分の素顔もわからないけれど、この不安は確かに自分のもので。
そんな事でわからなくたっていいのに、なんて思う。

きっと立場と肩書がなくなってしまえば、
あの連絡ひとつにだって取り乱してしまえたのだろう。
立場と肩書とうわべの顔、それだけで支えられている。

ペネロペ・ベリーニは知っている。

自分がそれほど強い人間ではない事を。

ペネロペは、知っている。
(a17) 2023/09/24(Sun) 19:38:46

【人】 リヴィオ

>>23 >>24 >>25 ダニエラ

君はやっぱりどこか、自分によく似ていると思った。

どんな理由であれ【A.C.A】に所属していたんだ。
地獄にひとりで落ちてしまえばいい、落ちてしまいたい。
そう思う心はまだ、ずっと、胸の内にあるまま。
だと言うのに、お迎えがなかなか来ないから
こんなに留守番して、ここまで残ってしまった。

まぁ最後そうじゃなきゃ、未来の話はきっとなかった。
誰かとの未来に笑う自分が、許せなかったから。

別に、今も許せているわけじゃあないが──。
あの物好き達の顔を思い浮かべてまたため息が零れかけた。
多分、惜しいと口にしたのが自分の敗因だった。

案外、責められるよりも責められない方が苦しむらしい。
暫くはそこに身を下ろして、生きていこうと思う。

勿論、石や罵詈雑言も歓迎しているよ。
マゾヒストじゃないけどね。

#specchio

(28) 2023/09/24(Sun) 20:18:57

【人】 リヴィオ

>>23 >>24 >>25 >>28 ダニエラ

「…あぁ、最後だよ。本当の、本当にね」

繰り返すのは、嘘じゃないよともう一度伝えたくて。
君の本当の心までは理解出来ないが、
そのひとつの事実に、男はひとつ安堵する。

もしもまだ心配なら二人の名を伝えようかとも考えたが、
問題なさそうなので浮かべた顔に頭を振ってかき消した。

「………ありがとう」

こんな色気のない口説き文句で、
落とせるとは考えていないし思いもしない。
それでも、真っ直ぐに伝えることが今出来る全てだったから、
君が誘いに乗ってくれたその事実にまた安堵して、
強ばっていた肩の力を抜いた。

──瞬間、意識が一瞬点滅する。

まだ全てが終わった訳ではないというのに、
どうやら力を抜きすぎたらしい。
再び君の様子を確認すれば、既に君は立ち上がって。

#specchio

(29) 2023/09/24(Sun) 20:19:55

【人】 リヴィオ

>>23 >>24 >>25 >>28 >>29 ダニエラ

…まずい。意識が飛んでも何を言いたいかは大体分かる。

「…………はは」

分かるのだが、まずは笑って誤魔化そうとする。
誤魔化す必要はないが、感じた圧から逃げたくなったせいで。
体を逸らして少しだけ距離を取り、悪足掻きをする。

「……いや、えっと。あー………はい、そうだね。
 それについては、うん……俺も諦めるとするよ………」

そのまま少しだけ悪足掻きを続けようとするが、
流石に君が諦めたのに、諦めないのはどうかと思った。
病院に行ったら長めに拘束されそうだが──。

「…病院へのデートも付き合ってくれるかい?」

仕方がない。医者に怒られるよりも君の方が恐いんだ。
デートの前にデートに誘って、
君の時間を長めに頂戴するとしよう。

熱の本当の理由を向かう途中で明かそうか。
出来れば、怒らないでいてくれると助かるよ。

…あぁ、そうだ。語るついでに言いたいことがもうひとつあった。
多分、辿り着くまでに時間はまだあるだろうから。


#specchio
(30) 2023/09/24(Sun) 20:20:49
リヴィオは、「ねぇ、ダニエラ君。俺と友人になって欲しいんだ」 #specchio
(a18) 2023/09/24(Sun) 20:21:15

リヴィオは、少し照れるようにそう言って、言葉を続ける。 #specchio
(a19) 2023/09/24(Sun) 20:21:22

リヴィオは、「きっと仲良くなれると思うんだ。…これから、もっとお互いに知っていこう」 #specchio
(a20) 2023/09/24(Sun) 20:21:33

リヴィオは、君と友人として、犬カフェに行くのがこの先の夢だ。 #specchio
(a21) 2023/09/24(Sun) 20:21:42

リヴィオは、そうして「通り雨の後、虹が見れたらいいね」と笑って。 #specchio
(a22) 2023/09/24(Sun) 20:22:30

リヴィオは、曇り空の下君とふたり、同じ足並みで歩んでいくのだった。 #specchio
(a23) 2023/09/24(Sun) 20:22:53

そういえば。
女はこの日、勤務中、このアジトに1人だけ人間を招いた。
部屋の隅に置かれたボストンバッグを預け、
自分のことを何一つ告げぬまま
、2人は別れ、今に至る。

結果として、その後のリヴィオ・アリオストとの対面を思えば、正しい判断だったのだろう。
女が不在の今も、この一室の明かりはついたまま。
デスクの上には、女がもらった大切な贈り物たちが並んでいた。

【置】 傷入りのネイル ダニエラ


マフィアを幇助する目的で、
【A.C.A】のメンバーを探り盗聴器を仕掛けた


出頭し、そのように己の罪を告白した女が逮捕された。
女もまた波魔【A.C.A】であったために、余罪は多いとされ尋問の手配がとられることとなる。
それを待つまでの暫しの時間、檻の中での待機を命じられた女は落ち着いた様子だった。

ただ痛いだけならいくらでも我慢してやれる自信はあったけれど、
爪を剥がれるのは少し嫌だなと小指の爪を撫でていた。
(L4) 2023/09/24(Sun) 22:23:53
公開: 2023/09/24(Sun) 22:30:00

【置】 リヴィオ


ダニエラとの病院での診察一度目のデートの後、
男もまた出頭し己の罪を告白する。

様子の可笑しい人間で、職務態度も良いとは言えないが、
渡された仕事をきっちり熟す点においては知る人ぞ知る。
勿論、仕事を遣り遂げるのは当たり前のことではあるが、
その速度は人並み以上のものであった。

さて、そんな男の罪は何かと言うと、

マフィアからの押収品である銃の所持だ


どうやら押収品として保管される前のものを
持ち出したらしいが……直接的に行ったのは、
同部署に所属する警部補の一人だと語っている。

実際、やり取りの証拠となる音声が録音された
ボイスレコーダーを所持していたことや、
リヴィオ・アリオストによる証言から
その警部補へも詳しい事情を確認する運びとなったらしい。

そうして肝心のリヴィオ・アリオストもまた、
詳しい事情の確認が必要となるため、
ダニエラ・エーコと共に檻の中での待機を命じられていた。
 
(L5) 2023/09/25(Mon) 2:36:15
公開: 2023/09/25(Mon) 2:40:00

【置】 リヴィオ

檻の中での男は横になり、動く様子がない。
一見そのまま死んでしまったのではないか、
そう思うほどに微動だにしなかった。

しかしそれもそのはず。

限界を超えた体はすべきことを成し遂げたことで、
電池切れのロボットのようにスイッチオフ状態。

出来ればそのまま起こさないで欲しいと
意識を落とす前に考えはしたものの、
そう上手くいくはずもないと理解していた。

せめてそうなるまでは休息していたい。
それが今の男の願いだ。

何かあった時の世話は
に任せた。

約束通り会いに来たんだ。
それくらいのことは任せて許されるだろう。

増えた仕事の見返りってやつだ。


#収容所
(L6) 2023/09/25(Mon) 2:38:21
公開: 2023/09/25(Mon) 2:45:00

【人】 路地の花 フィオレ

>>+55 テオ

「花にも蔦があるばっかりに、見誤ったわね?」

可憐な花も、絡めとる蔦も、侵さんとする毒も。迂闊にふれれば傷付ける棘も持っている。
そんな花を相手にした時にはもう手遅れだったのかも。
あなたが突き放そうとするたびに、強固になるものだから。
やはり、どうしたってろくでもない。

「危険な花こそ美しく見えるというものね」

食べさしのサンドを揺らしながら。
満足気に笑ってみせている。内容がどうあれ、特別視されるのは嬉しいものなのだ。
枯葉剤をまかれたって枯れてなんかやらないつもりだ。

「逮捕されてるのによくそんなこと言えるわねえ」
「でも、そうね。
 テオに捕まえられるのなら、それはそれで」

良いかもしれないわね。なんて。
嫌な気がしないどころか、楽しげに笑ってみせるのだ。
(31) 2023/09/25(Mon) 9:38:00

【人】 門を潜り ダヴィード

「うお〜、こんな人少ないことあるんだ。
 ラッキー?」

こうなればヤケだの思いで有言実行、男は温泉にいた。
白くもくもくと湯煙が立ち込める中、いつもは観光客でごった返すここにも遠くに人がまばらに見えるのみ。

そこらで売っていた水着に着替え浅い湯に足を浸ける。
丸腰になることが躊躇われたのか、背後に感じる視線は遠い。

「でもまあ、低温調理されるわけにもいかないし」

数時間はのんびりとしていてもおかしくないだろう。
これはただの休日、平穏な日常だった。

#温泉
(32) 2023/09/25(Mon) 10:02:57
ダヴィードは、メッセージを送ってから、やっぱりちょっと恥ずかしくなった。
(a24) 2023/09/25(Mon) 22:02:54

ロメオは、生きとし生ける人間は皆病気だと思っている。
(a25) 2023/09/25(Mon) 22:38:58

ペネロペは、約束をした。
(a26) 2023/09/25(Mon) 23:37:01

フィオレは、結局ローストチキンの方は、そのまま差し入れしてあげた。
(a27) 2023/09/26(Tue) 12:49:57

リヴィオは、叩き起された後、その場から姿を消していた。
(a28) 2023/09/26(Tue) 14:01:16

【人】 花浅葱 エルヴィーノ

――その日男は、朝礼の後姿を消した。
一箇所牢屋に立ち寄ったけれど、それを知るのは本人のみだ。

「じゃあ、そろそろ始めましょうか」

人気のない会議室でノートパソコンを開き、協力者に指示をする。それは事前に手を回した、マスコミの折り紙付きの情報発信者インフルエンサー

僕はこれから、警察としては褒められない手を使って、ある人物を告発する。

(33) 2023/09/26(Tue) 14:54:51

【置】 花浅葱 エルヴィーノ



『反社会組織取締法』施行の立役者、
ヴェスペッラ警察署長代理、ナルチーゾ・ノーノ氏。
使用された多額の献金は、違法献金!
資産家、アリソン・カンパネッロ女史の正体は、
アレッサンドロ・ルカーニア
マフィアのカポ・レジーム、
”黒眼鏡”
だ!

これを皆は許せるだろうか?
あの署長代理を即刻更迭せよ!

(L7) 2023/09/26(Tue) 14:58:18
公開: 2023/09/26(Tue) 15:00:00

【人】 花浅葱 エルヴィーノ

SNSで唐突に発信されたニュースは、瞬く間に広く拡散された。
発信者が何万ものフォロワーを抱えるインフルエンサーだからというのもあるが、その内容があまりにも衝撃的だったからだ。
拡散され、炎上し、その矛先はすぐに警察へ向かう。
今頃きっと、署の電話はなりっぱなしに違いない。

その状況をしかと見届けた僕は、直ぐに告発文を手にして署長代理の部屋へ移動する。
そこに前日約束した彼は居ない。
ずっとSNSに齧り付いていたから、彼が自首をしたことは……まだ知らない。
それでもともに来てくれた警官と、どさくさに紛れて逃げられぬよう、すぐに取り押さえることができる場所に陣取っていた。

逮捕令状?
そんなものは必要ない。……と、思っている。
自分が施行した法律をもって、今はまだその男を逮捕可能のはずだ。
証拠の証言もしっかりと抑えてあるから、取締法がなくなったとしても署長代理を勾留することは可能だろうし。
警察はそもそもがこういったスキャンダルを重く捉える組織だから、
罪はどうあれ、彼を署長代理に据えたままにはもう、出来ないはずだ。

(34) 2023/09/26(Tue) 15:00:45

【人】 花浅葱 エルヴィーノ



―――そうしてその日、銃声がひとつ、鳴った。



これはヴェスペッラ警察署長代理、ナルチーゾ・ノーノが
電光石火で逮捕されることになる少し前の出来事だ。
(35) 2023/09/26(Tue) 15:03:03
ダニエラは、笑っている。
(a29) 2023/09/26(Tue) 15:37:02

【置】 コピーキャット ペネロペ

「あーーーー、……ハハハ……無茶苦茶するな」

街中に燎原の火のように広がっていく報せ。
反社会組織取締法に則って、署長代理を告発せよ。
そのさまを見て、猫被りは一人笑っていた。

確かに、何か考えあっての事だろうとは思っていたが。

「……車回すか」
(L8) 2023/09/26(Tue) 15:50:32
公開: 2023/09/26(Tue) 15:50:00
リヴィオは、「ほら、もうすぐ外は晴れるよ。───」
(a30) 2023/09/26(Tue) 16:08:24

リヴィオは、どこかでそう、呟いた。
(a31) 2023/09/26(Tue) 16:08:36

【置】 門を潜り ダヴィード


「アハハッ」

お行儀悪く端末をいじりながらの街歩き。
鬼ごっこに時間制限が追加されそうだ、という知らせ。
それなら張り合いも出ようと言うもの。

「こんなの、頑張れちゃうじゃないですか。
 はあ〜……かっこいい……」

足取りが軽くなる。
まだ、歩ける。
(L9) 2023/09/26(Tue) 16:26:48
公開: 2023/09/26(Tue) 16:25:00
いつか描いた、出来すぎた未来をまた描く。
Inutile piangere sul latte versato.こぼした牛乳をどれだけ悔やんでも無駄だ
…それなら、自分には何が出来るだろう。

細い穴に糸を通す。通していく。
心だけは、もう決めていた。

叩き起され、お呼び出しを食らった後。

目的の場所へ向かいながら、
ふと、浮かんだ連絡先について首を傾ける。

"忘れ物"とされたあれは、
一体どこに繋がったというのだろうか。
どうせなら出頭前に確かめておくんだったな。

頭の中で数字をタップしていく。
勿論そんなことじゃああの先には繋がらないが、
確認出来る機会があるなら確認したいと呑気にも思う。

熱は引かない。痛みも変わらず残る。
しかし"隠すことは得意"なんだ。

そんな呑気さを抱えながら、外が晴れることを気長に待とう。

「…………虹、見えるといいな」

任せたよ、エルヴィーノ。
手伝いが出来なかった埋め合わせは、また、いずれ。

フィオレは、インフルエンサーの発表で聞いた名前に、ええ!?と声が出た。色々な意味で。
(a32) 2023/09/26(Tue) 18:02:18

ダニエラは、真実を、自白した。
(a33) 2023/09/26(Tue) 20:46:12

ダニエラは、嘘を、自白した。
(a34) 2023/09/26(Tue) 20:47:11

ダニエラは、笑っている。
(a35) 2023/09/26(Tue) 20:47:35

【置】 門を潜り ダヴィード

「はっ、はっ……」

夜。
痺れを切らした追跡者たちが、距離を詰めてきているのを感じた。
悲しいかな木っ端の下っ端に付いていた追跡者は一人だけで、意を決して走り出せば慌てて向こうも走り始めた。

勝手知ったる路地裏に誘い込めば逃げ切れるか、と暗く細い街路へと走り続ける。
あと少し、そう思った時のこと。
どっ、と腹に強い衝撃が走った。
勢いのまま転げて、なんとか頭を庇って縮こまる。

「さんざ走り回りやがって、このクソガキが」

「オラ手ェ出せ、手錠嵌めてやる」


待ち伏せされていたと気付いたのは罠に嵌ってから。
逃げ回って翻弄したつもりでいて、実のところは追い込まれていたの自分だったのだ。

「アハハッ、なんの根拠があって?
 俺の何が悪くて、どうして逮捕されるんです?
 説明し、あ"、ぎッ……」

罵声と共に降ってきたのは拳。口の中が血の味でいっぱいになる。痣が出来るだろうなあ、とぼんやり思う。

「見えるところはやめて、くだッ 
 やめろって言ってんだ い"〜〜ッ……」

減らず口で時間を稼ぐにも限度がある。彼らだって曲がりなりにも警察官なのだ、『抵抗したから』以上の危害は加えられないだろう。
いやだ、いやだ、約束を守らないと。
嘘を吐くのはいやだ。
(L10) 2023/09/26(Tue) 20:50:44
公開: 2023/09/26(Tue) 20:55:00

【置】 門を潜り ダヴィード

「……あ?電話?
 チッ、んだよ……張り込み中に電話すんなッて!誰だよ!
 今いいとこなんだから邪魔すんなって!
 ……ア!?失効だあ!?」


ざわ、と周囲の男たちが騒がしくなる。
どうすんだよこいつ、知るかよそんなもん、とりあえず行くぞ、ここにいるのはまずい。


先ほどとは違うばたばたとした足音が引いて行けば、周囲に人の気配はなくなっていた。

「……失効……?ってことは……時間切れ?
 おいおい、俺偉いんじゃない?
 アハハッ、アハハハハッ!」

あいててて。思わず大笑いすると腹に響いて鈍い痛みが戻ってきた。
さっき聞いたことが本当なら、付け狙われていた根拠が効力を失ったというのが本当なら。

「は〜〜〜〜〜〜ぁあ」

特大のため息も漏れようというもの。
ああ、俺は約束を守れたんだろうか。
腹も顔もじんじんと熱を持っている。おそらく腫れて、痣になるかもしれない。でも生きているし、無事だ。

「使わなかったな、お前も」

懐から愛用のナイフを取り出して、鞘は払わないまま撫でてやる。
警察は嫌いだし、殴られた分はお返しを計画するだろうけれど、死んでほしいとは思わない。
暗い空を見上げて、またひとつ笑いが溢れた。
(L11) 2023/09/26(Tue) 20:51:15
公開: 2023/09/26(Tue) 20:55:00
ダヴィードは、「うるせえ!」と近所の窓から空き缶を投げられた。そんな。
(a36) 2023/09/26(Tue) 20:55:16