人狼物語 三日月国


65 【ペアRP】記憶の鍵はどこ?【R18】

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[
 もっと…口にするのも嫌な言葉だって言われた。
 言い返そうかと思った。
 でも、“彼が”と言う噂だから私が何か言えるわけでも
 弁明ができるわけでもなくて。
 それに…彼がすごく嫌がる言動をしていたのもあって
 それのおかげで噂は収まった。

 
私だから嫌がったんだろうって思った。

 
 ……私は、何も言えなかった。
 友達には心配されたけど、
 巻き込むのも悪いって思ったから。 
 
 “大丈夫”って言ったんだ。

 友達も私に似た子だったから、
 無理に深くは聞いてこなかったっていうか。
 その方がありがたいな、なんて思ってたから
 別にその子をとくに恨んだりとかすることもなく。
 今でもいい友達。たまにメッセージやりとりはする。
 最近は会えてないけど。
                        ]

[
 私が悪かったのかな。
 私が…………。私が、悪いんだろうな。
 可愛くなくて、美人でもなくて
 特に好かれるような人でもなくて。
 そんな私はきっと、人気がある人と関わったら
 誰からも注目されるような人と関わったら
 ろくなことにならないんだろうな。
 ……関わる人は選ぼう。
 今度はこんなことにならないように
 勘違いなんて起こさせないくらいに
 関わって来られても嫌われるくらいに
 素っ気なくしてしまおう。
 
 面倒はもう、ごめんだ。
               ]



    ……もう、面倒は嫌だったんです。
    異性がいないところならと思って選んだ
    女子大でも似たようなことがあって
    同性が苦手になって。
    
    貴方みたいな人とも関わるといいことない、
    そう思ってましたから。
 
    *

[
 この館があるのは夢の世界。
 そこは、どの世界に属してはおらず
 どの世界にも属しているともいえる、
 狭間にある世界。
 
 人が夢を見る限り存在し続ける場所。

 そんな場所に居続ける館の主は、
 当然、人ではない何か。
 霞を食って生きる、なんて言葉があるが。
 それを体現できる存在だった。
 館の主は形のないものを喰うことが出来た。
 
 例えば記憶や感情。
 人にとって大事なそれを奪うことに何の躊躇もなかった。

 館の主は退屈していた。
 様々な世界を覗き見ることは出来る。
 人を夢に誘うことは出来ても
 目を覚ませば“客人”はいずれ帰る。

 時間をただ、持て余していた。
                      ]

[
 ある日のこと。
 退屈で退屈で仕方なかったから、
 とある思いつきを試した。
 
 大切に思い合っている二人の片割れから
 「相手に関する記憶だけ奪う」
 ことで、もう片方の反応を見る。
 
 錯乱?困惑?絶望?

 どんな反応をするか興味本位だった。
 最初は、それだけだった。

 ひとしきり反応を楽しんだら、
 元に戻してやってもいいと最初は思っていた。
 記憶を食べたくて奪ったわけではなかった。
 別に何も食べなくとも
 存在が揺るぐわけでもなかったから。


 
だが、気が変わった。



 奪った記憶の味が気になった。
 食べてしまえば、記憶を返してやることは叶わなくなるが、
 それでも…興味に負けた。

 結果は――
                            ]


[
 人の不幸は蜜の味なんて言葉があるが。
 あれは嘘だ。
 所詮人が作った言葉。
 記憶の味なんて知らない人にわかるはずもないが。

 幸せな記憶は、それこそ蜜の味、だった。
 
 もっと食べたいと、そう考えた館の主は
 退屈凌ぎも兼ねて“客人”を館に招くことにした。
 幸せに過ごしている二人の片割れの記憶を奪い
 
 その反応を見て楽しもう、と。

 一方的に奪うだけでもいいが、
 記憶を取り戻そうと足掻く姿も見ようと
 “鍵”に記憶を閉じ込めて
 それを探させて、鑑賞して。
 
 退屈凌ぎにちょうどいい遊戯だった。
                    ]

[エンよりちょっと早く目覚めたおれは、果物籠からリンゴを取り出し櫛切りに切っていく。
素材そのままで食べればいいやから料理をしたことはないけれど、素材そのままで食べにくいものだってあるから、包丁くらいは扱える。

あ、エンが起きたみたいだ。
寝ぼけ半分に誰かを探すよう手をぱたぱたと動かすのを見てると、その相手がどちらかなのかはさておいてハチヤだってことだけはわかるから──…しあわせだなあって思うんだ]


 おはよ、エン。
 リンゴ食べる?


[もうしばらく見ていたい気はするけれど、意地悪はやめておこう。
ベッドサイドに腰かけて、彷徨うエンの手をにぎって、おれはあと何度言えるかわからない「おはよう」を口にした]

[ぱたりぱたりと手がシーツの上を辿る。その手をきゅっと握られて眉間に刻まれていた皺がゆるむ]



 …食べ、る……


[もごもごとはっきりしない声が漏れるものの起き上がる気配もなければ目も開かない。代わりにきゅうっと手を握り、自分の方へと引き寄せようとわずかに力が入った]

 おこ、して…

[もごもごと呟いた声は聞き取れるぎりぎりである]

[鍵?鍵ってなんだろうって思ったけど、エンが言ってることを考えると、あっちのハチヤを選ぶためのものみたいだ。

選べないってエンは言うけど、
選べないなら、きっと、おれは、選ばれない。そんな気がしている。


でも今は、どうしてだろう、エンを渡したくないと思うのに、
エンがあっちのハチヤを選ばないのも嫌だなとも思うんだ。

記憶を見たんだ。
エンが見たのと同じハチヤの記憶は、確かにおれの記憶だから、
つまりあっちのハチヤもやっぱりおれだってことで。

エンの記憶を失ったから生まれたおれは、おれはエンがいる世界に本来いないはずのハチヤで──…うまく纏まらないや。


癪だけど、エンと一緒にいるべきなのはあっちのハチヤなんだろうなって思うんだ]

[鍵の話をする前の、エンが寝ぼけている時。

手を握った瞬間にエンの表情が緩む。
かろうじて音として拾える言葉を口にしながら、エンはおれの手を引くから。

引かれるままで引き寄せられて望まれるまま、おれはエンを起き上がらせる為、その背中に手を回したんだ]

[いつもの調子でハチヤに体をぐいと持ち上げて起こしてもらって、しばらく小さく唸っているうちに目が覚めてきた。無意味にシーツにぺしりと八つ当たりをしていたら口にリンゴを放り込まれた。しゃくしゃくしゃく……と咀嚼音が響く]


 …………。

 ……??


 !!ハチヤ?!


[あわあわと焦ってきちんと座り直した。完全に無意識だった。ハチヤはハチヤだけど、彼はいつものハチヤじゃなかった。というかこっちのハチヤは出会って間がないのに行動を読まれすぎではないだろうか]

[起きてもむにゃむにゃしてるエンはなんだか寝起きの猫みたい。
シーツにぺしぺし八つ当たりをするエンにリンゴを食べさせたら、無言で食べ始めた。かわいいなあ。

しばらくの咀嚼音の後、エンがおれの名前を呼んだから]


 うん、おれだよ。
 おはよう、エン


[って、もう一回おはようって言ったんだ。
にこにこしちゃうのは仕方ないよね!

行動?読んでないよ? おれがしたいことをしただけだもん]


 お、おはよう……


[ダメだカッコ悪い。ばっちり見られていた。だから寝起きはダメだと言ったんだ。視線を泳がせるけれどにこにこと見守られるから、話題を逸らしがてら鍵の話題を持ち出した]

 
 
 鍵ってどんな形なんだろう?
 
 この屋敷があの時の屋敷そっくりだってのはわかるけど……それってヒントなのかなあ。
 鍵っていうくらいだから鍵箱にあったりとか?
 あと金庫とか?


[鍵探しって言われて考え付くのはそんなところ。
ああ、あとは──…]


 おれの記憶って話なら。
 あのあと、おれが棚の中で目覚めたとき、あの建物ほとんど焼けてたんだ。
 おれが入ってた棚だけは、しちろが守ってたから無事だったけど……


[鍵がどんな形かはわからないけど、記憶って聞いて思い当たる場所なら、そこかなあって気がするんだ*]

 うーん?たしか…記憶の鍵を探せ、って言ってたな。それで…………っ、な人の両手に握らせれば記憶は戻る、って。

ここ、そうなのか?俺は作りが分からないから、お前の記憶頼りになるけど。

[ちょっと言いにくい一言は誤魔化しつつ、いつかの声を思い出して伝えておく]

 記憶……それっぽいな。じゃあ、まずはそこから探してみようぜ。なかったら金庫とか鍵箱とか適当に探していけばいいだろ。



 ……それまでには、考えておく、から。

[エンがごにょごにょ言いながらなにかを誤魔化そうとしたけれど、記憶を戻す対象はおれってことで、それがハチヤのことなんだなっていうのはわかるし……
誤魔化されたものの性質は、顔に出ちゃってるよね。

だから、おれがなんか嬉しそうにしちゃうのも、仕方ないってことなんだ!]


 そうだね。
 あ、館は廃墟の記憶のが強いから、はっきり言えるのは一階だってことぐらいだよ。

 

 うん……
 ……あ、そうだ。

 ね、エン。
 おれ、あっちのハチヤの話聞いてみたい。


[エンの言葉にちょっぴりしんみりした空気を吹き飛ばすように、おれは話をそらすんだ。
あっちのハチヤがどんな奴なのかもちょっと気になってるのもあるからね!**]

 

 歩きながらでもいいし、鍵を見つけてからでもいいよ


[なんとなく知りたいだけで時間稼ぎなんかじゃないから。
おれは今すぐじゃなくてもいいって念押しして、外に出る準備をしたんだ。

エンが今話してくれるなら、もちろん聞くけどね!*]



 ………。


[なんかニコニコされてるんだが。なんかあったかいものを見守る目をされてるんだが?!ムカついたのでにこにこするハチヤの頬を引っ張っておいた。実際バレバレなのだろうが本人に向かって大切な人とか言いづらいんだし仕方ないだろう?!]

 あー。じゃあ一階なんだろうな。



 ん?あっちのハチヤ?

 あいつは犬だな。なんか見えないのにめっちゃ尻尾と耳が見える。寮は同室だけど取ってる授業違うんだけど、遠くから見かけたら全力で走ってきて飛びついてくるし嬉しくなると人を持ち上げてぐるぐる回すんだよな。あれ目ぇ回んだよ。いくら言っても聞きゃしねーし。

料理美味いんだけど、材料に錬金術の材料使う。マンドラゴラの根っこできんぴら作ったりとか。ゴルゴンの蛇は結局から揚げになったんだったか……そんでたまーに腹壊してたりするな。気が付いたら妙な料理仲間ができてんだよ。なんか……プリンの見た目と質感を胸にそっくりにしようとしてる先輩とか…造血剤の味を改良するのに血道あげてるやつとか……まぁなんか楽しそうにしてるよ。


 あとはたまに寂しくなるのか夜人のベッド潜り込んできて、目が覚めたらくっついて寝てたりするからびっくりする。


[思い出そうとするまでもなくぽろぽろと溢れてくるものを零す。なんせずっと一緒にいたのだから覚えていることはたくさんある。あとは、と考えかけて──エン君、と耳元で囁かれた声を思い出して、言葉が止まった]

[

 
     
──エン君、エン君、すき。すきだよ




 なんで今思い出したんだ。あの夜俺を抱きながら、あいつはずっとそんなことばっかり言っていた。薬に浮かされているものだと思っていたけれど……あれは、本心なのだろうか。

 必死で俺にしがみつく腕は、それでも必死で俺を傷つけないように抑えていた。もういいって言ってるのに、辛いだろうに俺が怪我しないよう丁寧に溶かされて。記憶が飛ぶほど、一回ずつが長いのに何度も何度も──]



 ……っ、そ、れ、くらいだよ!!!覚えてるのなんて!!!ほら、行くぞ!!!



[赤くなった顔を隠すように立ち上がったけど、こいつ俺の顔をずっと見てくるからきっとバレている気がする。思い出しついでに自分もあの時必死で、俺も、なんて言ってたのを思い出した。俺も好き、もっと俺を好きになって、ってなんだよ俺。思えばそれで激化した覚えがあるからもっとの部分しか聞こえてなかったのかもしれない。この場合は両成敗?いや俺はちゃんと言ったから悪いのはあいつだ。



 必死で顔を見られないように部屋を飛び出してズカズカ歩いたら、道を訂正された。けど、そっち向くのはまだしばらく勘弁してほしい*]

 

 ……犬


[ぎりぎりと伸ばされた頬を擦りつつ、エンの話を聞いたんだ。
そっか、あっちのおれ、犬なのか……なんてお持ちながら聞いてたら、あっちのおれ、犬だった。
エンの足元でぐるぐる回ってる茶毛の犬の姿が浮かぶくらいには犬だった。

料理上手は意外だけれど、それ以上に先輩に心当たりがありすぎて、仲がいいのはかなり意外だ。
『お前にはおっぱい様への敬意が足りない!お前がスプーンを突き立てない逸品をつくってはじめて俺は誇りを取り戻せるんだ!!』って、おれを修行道具かなんかだと思ってるの先輩のことは、おれはちょっと苦手だし。
造血剤の先輩は、そもそも心当たりがない。

ベッドに潜り込むって聞いて、おれは──…]

[
それで好きじゃないわけがないってわかっちゃうんだ。


 名無しは籍も責もなし。
 補充は他より難しいけれど隠蔽を考えなくていいから、死ななきゃ何をしてもいい。
 名有りは籍あり責もある。
 補充は楽だが、探される可能性がある以上、死体になった場合の状態を考えて扱え。

おれはなにをしてもいいヤツだったから、誰かのベッドに潜り込むなんて今でも考えられないし、しちろでさえ番うまで共寝することがなかったんだ。しちろとは普通に眠る余裕なんてなかったけど。
エンだって、お嫁さんって知らなかったら潜り込むなんてできないよ。
今だから、あっちのハチヤはズルいって思っちゃうけどさ]

[エンからこぼれたあちらのハチヤを拾い集めてたら、エンの顔から湯気が出た。
何を思い出してるのかなんて一発でわかるよね、わかっちゃうんだけどね。
エンは本当にかわいいなって思うけど、ちょっと居たたまれない気持ちにもなる。

……据え膳口にしときゃよかったなんて、思っちゃうのも仕方ない]


 なんで、好きじゃないなんて……なるんだろ。


[赤い顔を誤魔化すように部屋を飛び出したエンの背に聞こえるか聞こえないかくらいの呟きをこぼして。
それからおれはエンを追いかけたんだ。あ、そっちの道は遠回りだよ**]




  中学生というのは、多感期であり。
  そうやって冷やかすことも多々ある。
  そう、1番ではないけれど
  死ぬほど厄介で、しょうがないとき。

  だからこそ、彼女は傷ついた。
  胸が苦しくて、おかしくなりそうだったけど
  彼女の方を向いてギュッと抱きしめた。

                      ]


   もし、そのときに沢山傷ついていたとしても、
   今は、俺がいる。
   過去のことをこうやって聞い、て……




  彼は当然彼女を抱きしめてそのまま
  部屋の奥へと戻っていった。
  そして小さく、見つけた、と呟いたような。

                      ]*



[
 大丈夫って言って誰にも言ってなかった。
 言ったって変わらないと思ってた。

 こんな話面白いわけがなくて
 嫌な気持ちにさせるって思った、のに。
 心がいたくなる話なんて、好き好んで聞きたいわけないのに。
 それなのにこの人は、どこまでも……

 
やさしくて。

                    ]

    私、ずっと私が悪いって
    私の所為だから仕方ないって……

[
 本当は違った。
 貴方は悪くないって言葉をどこかで欲しがってた。
 でもその言葉はどうせもらえないと諦めてた。

 貴方の腕の中はこんなにもあたたかくて。
 ……そんなこと言われたら、されたら。
 私は――――……。
                       ]

    
なにを…?


[
 小さくつぶやく声に、掠れた声で返した。
                    ]*



   …………これは、俺が美鶴さんにあげた
   1番最初のプレゼント。
   美鶴さんは、何も悪くないんだから……
   それでも思うものがあるなら、
   これからは俺と一緒に
   辛いことも苦しいことも乗り越えて行こう?




  彼の手は何かを掴んで、
  彼女の目の前で見せてあげる。
  なんで雑多なところにあるのかと
  ヒヤリとしたけれどとても大切なネックレス。
  つけてもいい?と見せた後に
  首を傾げて聞いてみたと思う。

                    ]*



    
    プレゼント……最初……

[
 大事な人から貰った初めてのプレゼント。
 ……“私”なら絶対大事にする。
 確信があった。
 だから、もしかしてと思うことがあって。
                    ]

    貴方は……こんな私でも
    傍にいてくれるんですか……?

    ……そのネックレス、少し見せてください。

[
 付けてもらってもよかったけれど
 手に取ってみたくなった。
 かしてほしいと頼めば
 差し出した手に載せてもらえただろうか。
                     ]*



   こんな、とか言わんといてや。
   ……貴方だから、好きやねん。

   勿論、どうぞ。
   105に住んでた茜さんと一緒に
   これを選んだんですよ。



  見せてほしい、と言われると
  彼は彼女の手にネックレスを置いた。

  そんなに冷たくはなかったと思うけど、
  少しくらいひんやりとした感触が
  彼女に伝わっただろうか。

  それをみた彼女の反応は、
  どんなものだっただろう。
  良ければ、嬉しいのだけれど。

                   ]*




    ……っ、私…。

[
 ずるいな、この人は。
 
 私の心をすっかりとらえてしまうんだから。


 見せて、といったら手にネックレスが。
 ……ひんやりとするどころか、
 
 何故だろう、温かく感じる。

 これ、もしかして……。
                   ]

[
 ネックレスにただただ見入っていた。
 私でも付けられそうなシンプルなもので、
 私の好みに合わせてくれたと分かるもの。
 
 そのネックレスを片手に載せて
 もう片方の手で包むようにして
 
 
ネックレスを握った。

 
 ――――。

 かけていた記憶が、戻ってくる。
                    ]

 




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