65 【ペアRP】記憶の鍵はどこ?【R18】
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……そっ、か。
そうならなくて本当によかった。
私の“鍵”よくわかったね…?
自分で買ったものじゃなくて、
貴方に貰ったもので……
「私達を繋ぐもの」だから凄く特別なものだった。
…大事にしすぎてあまりつけてなくて
申し訳ないな、って思ってたけど。
[
ぎゅっと抱きつく腕に力がこもる。
……記憶を捨てなくて本当によかった。
大切なものを失わずにすんで
本当に……よかった。
四年頑張らないの?なんて言うつもりはあるはずもない。
心が折れる瞬間って必ずあるし、そう聞くのは
記憶をなくした私にそこまでする価値があるって
言ってるのと同じな気がするから、私には言えない。
…………私ならどうしたか?
それは、聞かれたら答えるけれど。
少なくとも潤さんと同じ選択はしない。
]
変なこと聞いてごめんなさい。
…潤さんは?
聞きたいこと、あったりしない…?
[
夢で聞かれたことは応えたけど
他にも聞きたいことがあるなら、
そう思って促した。
]**
うーん……
[エン君の旦那さんになって一年経ったある日、いつもの寮の部屋のなか、おれは紙束と何通かの手紙を前にして、頭を抱えた。
紙束の中身はざっくり言えば家と土地、手紙の中身は街や区からうちに来ないかって話だった。
優秀な人間は吸血……クリムゾンになることができるから、成果を上げたけど、人間のままの錬金術師は希少みたい。
未だにクリムゾンを怖がってるとこからの誘いが多かったけど、それは断ることしたんだ。不都合しかないもん。
一回クリムゾンにならないか、推薦はできるって話は来たけれど、体質的に無理だったんだ。
あとからエン君がクリムゾンの中で短命だって話を聞いたとき、おれはおれの体質に感謝したね。
エン君とずっと一緒にいるためにクリムゾンになろうと思ったのに、エン君なしでずっと生きなきゃいけなくなるとこだったなんでゾッとする!]
[悩んでるのは物件じゃないし土地でもない、もちろん職場って話でもない]
お断りの手紙って難しい。
全部文面同じじゃ駄目なのかなぁ、手書きじゃなくて複写したいよ……
[お祈りのお手紙で腱鞘炎になりそう。
どこで働くかなんてエン君の職場の近くに決まってる。
錬金術は工房作れば家でもできるんだ、エン君に毎日おかえりを言うためにも、どこかに勤める気はないんだ。
それに、エン君の職場は"ちょうど"専属の錬金術師がいなかったって話だ。
エン君に連れられて話をしたらすんなりと、そこに卸すことも決まったんだ。
………………本当に"たまたま"なのかなぁ、エン君わざとそういうとこ探して内定もぎ取って来てない?って、
さすがにおれもちょっと感付いちゃったんけだけど、結果的にはみんな幸せになってるから素直に喜んでおこうと思うんだ!]
……………やめた!
今日はもうやめる!
[って、投げ出したけど、ちゃんと何通かは出来上がってるよ。
ちょうど今はエン君成分が不足してるから、エン君を迎えに行くついでに手紙も出してこようと思うんだ。
あの一件から、おれはあれほど固執していた魔法陣クラスの時間を減らして、錬金術クラスの時間を増やしたんだ。
あの日の薬の一件は、おれにとってはそれくらい重くって、あとから聞いた話だと本当にお弁当を食べてたおれが食べたからあれで済んだけど、
それ以外が、エン君が食べちゃってたら命に関わってたらしいって話だったから、おれはもっと知らなきゃって思ったんだ]
[それから、エン君の家族にも会った。
おれがステラ=セーゲンさんだと思ってたのはエン君のお義母さんのライリーさんで、本当のステラさんは違う人だったんだ!
最初聞いたときは素直に信じられなくて、エン君に
「でもその人、せーじろさんじゃないのかな?エン君が学園来たとき、そう呼ばれてたし。
それとのあさん、せーじろさんがそう呼んでたはず……。
だから、先生さんでねぇねさんがステラさんだと思ってたんだけど……違うの?」って聞きなおしちゃった。
その時のおれはよっぽど変な顔してたみたいで、しばらくエン君にその事で弄られたよ!
可愛かったからいいんだけどね。
ともかく、ライリーさんに息子さんをお嫁さんにくださいって言うことが出来たから、エン君の家族にあった目的は果たせたんだ。
思ったよりもすんなりと許可が出たからびっくりしちゃったんだけど……
なんでかせーじろさんの方がびっくりしてたから、おれはちょっと冷静になったんだ。本当になんでだろ?]
[エン君のおじいさん?は言ったら悲しい顔されたからアルフィーさんって呼ぶことにしたんだ。
エン君のおば…………フレヤさんはフレヤさんだった。ちょっと気温が下がったけど無事にすんだから、止めてくれたせーじろさんに感謝したよ!
アルフィーさんいわく、エン君はクリムゾンより短命で、おれは普通の人間より長生きするって話だった。
それを知った今おれは、二人の終わりが一緒だったらいいなあって思ってるんだ。
死が二人を別つまで?
おれはもう置いてくのも置いてかれるのもごめんだから。
置いてったことはないはずなんだけど、そう思っちゃうから、一緒に終わりを迎えられるなら、
その時が来たのなら、法も倫理も無視しようって考えてるんだ。
あ、エン君には秘密だよ!
まあ、エン君いわくおれは嘘がつけないらしいから……
*気づいてそうな気はするけどね!*]
まぁ…………俺の中でも、
あれはあなたに贈った1番最初のものだから
思い入れがあってさ。
…………あなたが現実でつけていないのは、
大切にしてもらっていたからだと、
信じたかったのもあるかな。
[
彼女がぎゅっと抱きついてくると、
朝食を作る気力も、会社に行く気力も
すっかりなくなってしまうのだが。
立場が逆転したら彼女がどうするのか、
気になるけれどもあまり気にしないでおきたい。
だって、彼と彼女は逆だから、
なんとなく察しがつく。
]
好きすぎるわ…………
ちょっと待ってな…
[
小さく呟いて、携帯を手に持ち
ぽちぽちとメッセージを送った。
『忽那体調不良で有休お願いします』
と、先輩に。
でも念のため彼女に休む?と
確認をとってから送ったはず。
]*
だって万が一なくしたら……
……私多分死にたくなるので。
でも、気にするんだったら付けたほうが…?
[
大げさ…?だってそれくらい大事だし…
実際なくしたらちょっと冷静でいられる自信がない。
たぶん泣くし、すごく騒ぐし
……そんな私を相手する潤さんが大変そう。
潤さんに抱きついてると、どうも仕事に行きたくなくなる。
というか、夢のせいで寝た気がしない……。
そんなことを考えてたのがばれたのか、
それとも私と同じことを考えてたのか。
休む?と聞かれてすぐ頷いた。
携帯で休む旨の連絡を入れておいて。 ]
大好き……
ね、こうしてていい?
[
ぎゅうっとくっついたままでいたくて
嫌って言われても離れる気ないけど聞いてみた。
]*
[卒業間近の寮の部屋、あいつは最近うんうん言いながら机に向かっていることが多い。
もうじきこの部屋も出ることになる。入った当初は他の部屋とあまりにもかけ離れた魔改造っぷりに引きつったものだが、慣れてしまうと確かに快適だし必要なものがきっちり揃ったいい部屋だった。
卒業後の進路も無事に決まり、あいつから特に何も言われなかった、のだけれど当たり前みたいに職場近くの物件候補をいくつか見せられたものだからちょっとだけ驚いた。ハチヤに言わせるとお嫁さんと一緒に住むのは当たり前ってことらしい。驚いただけで嬉しかったから全然構わないんだけどな。
就職先は……ちょっと、ほんのちょっとの恣意は入ってる。だってあいつ、魔法陣学であれだけ苦労してたのは何なんだ、というくらい、錬金術はすごいし。自宅に工房作りたい、毎日家で俺のためにごはんを作って俺のためにおかえり言いたい、って言われたら……うん。頑張って条件に合うところを探したさ!
たまたまなのかわざとなのかって疑いながらこっそり俺の様子伺うハチヤは可愛かったので、頑張った甲斐はあった]
[ハチヤと二人してどんな部屋にしようかと内装を悩むのは楽しい。クルスの家は、頼めばきっといろいろと手伝ってはくれるけど、できることならハチヤと二人でやってみたくてお願いしたから緩く見守ってくれている。就職と引っ越し祝いは何がいい?ってアルフィーさんがいい笑顔だったのが怖いけど。
クルスの人たちが反対もせずにハチヤとのことを認めてくれてよかった。ライリーさんに、いいの?って聞いてみたらこれが俺のためには一番いいと思うから、って。たしかに俺もたぶんハチヤも、下手に反対されたら二人して自滅していくタイプだと思う。
あっさり認められすぎて清次郎さんが呆然としてた。あの人ノアさんと結婚するためにライリーさんとフレヤさん連合相手に決闘したらしいからな……言い訳するなら、俺はアルフィーさんに認めてもらうために予めハチヤのプレゼンとかしてたし!]
[あいつの宝物だった魔術符だけど、あれの形式はステラ=セーゲン式に似てたらしい。あいつはそれで得意じゃない魔法陣学に拘ってたらしいけど、あの夢のあと魔術符が消えて、今までみたいに魔法陣学に拘らなくなった。
ついでにステラ=セーゲンの創始者に並々ならぬ憧れがあったらしいんだけど、その憧れの人物をすっかり俺の義母であるライリーさんだと思い込んでいた。途中何度か違うよ、とは言っていたんだが。
クルスの家で誤解が解けたんだけど、ライリーさんと清次郎さんとノアさんとを見比べながら酢でも飲み込んだみたいな顔してた。なんで誤解したのかを聞いたら分からないでもなかったけど。ついでみたいにライリーさんと清次郎さんの訓練という名の決闘騒ぎになってたけどいつものことだから割愛しよう]
[まぁ諸々含めて考えて……俺は今、かなり幸せだと思うんだ。あの夢がなんだったのかは知らないし、消えてしまったあのハチヤを夢にみることはたまにある]
……。
[俺は今、ハチヤのデスクで見つけてしまった研究資料を眺めながら考え込んでいた。これ……魂の同化実験とか、かなりヤバイやつだよな?
専門用語だらけで専門外の俺には難しい内容ではある。けれど実験結果の統計とかを眺めるに]
魂を同化することにより、寿命の長いものを縮小し、同時に寿命の短いものの命を延ばす。
実験の結果……同化されたふたつの生き物の寿命を、同じくする……
[なんとなく。あいつが何をしたがっているのかは、分かる気がする。あいつは多分、俺がいなくなったら生きていけないと思う。自惚れとかではなく]
…………。
ったく……こんなヤバイもん、適当に机に放りだしていくなっての……
[考えた結果。俺はこれを見なかったことにした。あいつはいつかこれを実際に俺に使うんだろうな。だから……俺は、その時を楽しみに待つことにしたんだ**]
つけやんくてええよ。
大切にしてくれてるって分かったし。
……外に出るとき、たまにつけて。
それだけで、俺は幸せ。
[
嘘なんてついていない。
銀行員だし、下手に男の気配を匂わせて
何か問題に発展したら元も子もない。
だから、デートの時に偶に見たいくらい。
後は、特別なときにつけてくれれば
彼としても大満足なのだ。
彼女も休む選択をしたので、
先輩に連絡を入れて携帯をマナーモードに。
]
ん?……勿論。
もう1回、寝よか。
今度は、幸せな夢見たいわぁ。
[
彼女が更にひっつくと、そっと髪を撫でた。
離したくもないので、脚を絡めて
目を閉じながら彼もひっついて。
昼まで起きないつもりで微睡の中に。
昼食も多分彼女が作ったかも。
]*
うん、つける。
よく考えたらつけないと貰った意味ないし…
[
よく考えなくてもわかりそうだけど。
それくらいなくしたりするのは嫌だったから。
離さないとばかりに脚を絡められれば
くすくすと笑ってしまう。
そんなことしなくたって逃げないのに。
寝息が聞こえてくるのを確認してから、
彼の唇にそっと口付けを落とす。
]
[
つぶやいてすぐに眠りに落ちた。
昼頃にお腹が空いてお昼でも作ろうか、
と起きたけどぴったりくっつかれてたから
どうしようかな、なんてちょっと思ったりして。
だって動いたら起こしてしまいそうだし。
離してくれるならお昼はパスタにでもしようかな
なんて思いつつ作ったと思う。
]*
[
彼女を離すタイミングは多分あった。
物理的な話で。
眠るまでは意識がはっきりしてるから、
ぐっと力が入るけれど、
眠った後というのはそういうわけにもいかず。
彼女が昼食を作るために腕の中から離れたなら
気づかずにそのまま眠り続けて。
彼は多分とても幸せな夢を見ていたことだろう。
]
──────なら、仕事辞めてええよ。
[
たぶんこれはゆめのなか。
彼が彼女に何かを話しているけれど、
彼女はうーんと悩んでいる。
そして出てきた上の発言。
彼女は、どこかびっくりしているような。
彼がそんなことをいうとは、と
思っていたのだろうか。
]
また改めてプロポーズするけど、
こうなった以上は。
────俺と結婚してください。
ずっと、一緒にいてほしい。
[
そう言って1番驚いたのは多分彼。
次の瞬間には純白のドレスに包まれた彼女。
それを見たなら飛び起きたかもしれない。
彼女が起こしてくれたタイミングなのか、
そこは覚えがなかったけれど。
寝言で言っていなければ良いな、と
思ってしまったのはまだ彼だけの心の中に。
]*
[
ふ、と力が緩められたタイミングで
起きて抜け出した。
よく起こされる側になるから
潤さんの寝顔を見ることって少ない。
だから、抜け出してもすぐに昼食を作りにはいかず
暫くは寝顔を見ていた。
……愛おしい想いが溢れてくる。
ずっと傍にいたいし、
きっともう、潤さんがいなかったら
生きていけないな、なんて。
しばらく見ていたけれど
空腹に負けて昼食を作ることに。
ソーセージ、玉ねぎ、ピーマンを切って
作るのはナポリタン。
……手の込んだ料理を作るには
ちょっとお腹が空きすぎてるというか…。
付き合う前よりは格段に手際よく調理できるようになった。
調理が終われば、部屋には
ケチャップの香りが漂っていたんじゃないかな。
盛り付けて、すぐ食べられるようにしてから
潤さんを起こしに行くことに。
]
[
残念ながらと言うべきか、
彼が何か言っているなって言うのはわかったものの
何を言っているかまではわからなくて
だから、ぐっすり寝てるんだなあ、って思いつつ、
せっかくだから、前されたこと真似してみようか
なーんて思ってたのに。
]
……潤さん?!
きゅ、急に起きたから
びっくりした……。
[
なぜか飛び起きてきた彼のせいで
失敗に終わった。
……チャンスだったのに!!
なんて思ったらちょっとだけむっとしてしまって
]
お昼ご飯、出来てるから早く起きて!
冷めちゃうから!
[
なんて、引っ張り起こそうとしてみたり。
ちょっとほっぺたをぷくっと膨らませつつ
お昼ご飯にしたと思う。
なんでむっとしてるの?
なんて言われても、教えてなんてあげない。
……まあ、言うまで聞かれるかもしれないけど。
何かいい夢でも見てたの?なんて言えば
彼は教えてくれたかな…?
]
[
彼は思った。
起きた瞬間に若干怒られながら
起きてと言われるのは何故なのかと。
勿論拗ねた理由を後々聞いたけれど、
彼が夢の内容を教えなかったので
彼女も勿論教えてくれなかった。
]
……まぁええか。
美鶴さん、お昼作ってくれておおきに。
[
ナポリタンを一口、また一口と食べ、
彼は心の底からホッとしていく。
彼女との繋がりは無事に切れることがなかったから。
これからも、ずっと一緒にご飯が食べられますように。
そんなことを彼は願って、貴重な時間を堪能する。
最愛の彼女と一緒に。
]**
[
客人が赦そうとも赦さずとも
館の主には関係のないこと。
むしろ赦さない、などと思われる方が
望ましいなどと言えば…
気の強そうなあのレディは何を思うのだろうか。
赦さない、のは忘れない、のと同じこと。
忘れられないということは何か影響を及ぼしたということ。
正確には、赦さないと思い続けるのであれば、か。
まあ許されるかどうかなど、どちらでもよい。
夢を忘れられない以上は、館の主は満足するのである。
記憶にありつけなかったのは多少なりとも残念ではあったが。
]
[
今日も幸せな二人を館に誘っては、
片割れの記憶を奪う。
]
「ねえ、どうしてそんなひどいこと言うの?
私のこと覚えてないなんて、嘘よ!
婚約までしているのに!!!」
「だから、本当に知らないんです。
僕には婚約者なんていないんです…」
[
ああ、可哀そうに。
あんなに混乱して。
あの二人は果たして
“鍵”
を見つけられるのだろうか。
]
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