人狼物語 三日月国


73 【誰歓突発RP】私設圖書館 うつぎ 其漆【R18】

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【人】 ぷにぷに グレザン


 なんだろう……


[ ぽかんと口を開きっぱなしになっている友人>>10と同じ言葉を繰り返す。なんだろうとしか言いようがないものを見てしまったのだからしかたない。
 一緒に頭の上にはてなを浮かべながら話し合いが始まる。]


 ああ、動物だとはおもう。

 ぷにぷにはしていなかったな……
 もふもふの毛はあった、頭のてっぺんに。

 それに、聞きまちがいじゃなければ、
 こちらに話しかけてきていた。
 ねこやとりとはちがう……


[ 今まで見たことのない動物の特ちょうを、お互い気付いた分だけあげていく。体のもふもふ具合を見ると、ぷにぷによりは森で見かける動物たちに近い気がするが、分かる言葉で話しかけてくるところは、ぷにぷにに近い生き物と言える。どっち寄りなのかも分からない。]
(24) 2021/05/24(Mon) 7:01:33

【人】 ぷにぷに グレザン

[ なんて悩んでいると、友人>>12があっと声を上げた。
 知っているのか友人、と話を聞くと、それはずっと前に先生が話していた伝説のことだった。思わず長い二本をふよふよと顔のまわりで泳がせる。]


 そうか、“にげん”……!

 おぼえている。
 とりのように二本で歩き、のこる二本を上手に使う、
 そんな生き物がいる、と……

 四本かどうかは見てなかったが、
 それぐらいの数があっても、おかしくはない!


[ よく覚えていたな、と友人を誉めたたえる。
 言われるまですっかり忘れていた。まさかそんな伝説の生き物と出会えるなんて、思ってもみなかったからだ。

 大混乱はみるみる内に大興奮に変わり、四本も二本もぱたぱたと動かしてしまう。これはすごいことになった。今、自分たちは伝説に立ち会っているのだ。街へ行った経験があるはずの、先生や大人たちだって知らない。大大大発見だ。

 これは絶対に、“にげん”の図書館に行かねばならない。再び扉の方へ友人と一緒に向かおうとした。
 しかし、友人は重要な問題に気付いた。はっと向き直る。]
(25) 2021/05/24(Mon) 7:02:45

【人】 ぷにぷに グレザン


 たしかに……!

 “にげん”の店なら、“にげん”だけ。
 そういう決まりはあるかもしれない……

 それに、店も大きい。
 全部“にげん”サイズでできているのだろう。
 このすがたでは、きっと見てまわるのはむずかしい。


[ 友人の指摘はもっともだった。森の動物たちも自分たちも、同じ仲間で集まって生きている。“にげん”も同じなら、よそものは入れてくれないかもしれない。

 このまま入れるならラッキーだ。しかし、入れなかった時、お店の“にげん”が怖がったり怒ったりして、扉を閉めてしまうかもしれない。
 それでは、せっかくのチャンスを失ってしまう。とても困る。ここは慎重に動くべきだ。]
(26) 2021/05/24(Mon) 7:03:04

【人】 ぷにぷに グレザン

[ お店を調べたい、という気持ちは友人と同じだった。だから、友人に勢いよく新たな提案>>14を持ちかけられたとき、目をくりっと丸くした。
 実は、街について調べる自由研究のことをすっかり忘れていた。頭の中は“にげん”の大発見でいっぱいだったからだ。ここでさっと自由研究のテーマを変更するという切り替え。さすがは友人だ。

 こくり、と深く頷く。]


 すばらしい案だ。
 こんなチャンス、もう二度とないかもしれない。

 ここは、“にげん”をしらべる以外ないと、
 そう思っていた。

 よし。なら次にやるべきことは……


[ 大いに賛成すると、新たな計画を立てた。お店に入るためにはどうすべきか。相談はすぐにまとまって、こっそりと扉を開けにいく。友人と一緒に隙間から店を覗き込んだ。]
(27) 2021/05/24(Mon) 7:03:30

【人】 ぷにぷに グレザン

[ 最初に店を見た時は、たくさんの本があることぐらいしか分からなかった。こうやって眺めてみると、店の“にげん”の他にも、いくつかある机のそばに同じかたちの生き物がいることに気付いた。
 いや、同じというのは正確ではないかもしれない。]


 みんな、かたちがちがうな……
 共通点をさがさないと。


[ ひそひそ声で友人に話しかける。どうも体の色も毛の色もバラバラだ。大きさもちょっとずつ違う。
 もちろん、それはぷにぷにだって同じことだ。友人と自分では色も形も違うし、先生や大人たちは少し大きい。当てはめるなら、個体差というやつだろう。

 自分たちが見つけるべきことは、あの生き物の共通点。自分たち仲間の特徴のひとつに、変化というものがある。今回はそれを活かして、店に入ろうという作戦だ。
 しかし、この中のどれか一つとそっくりになってもおかしい。店にいる“にげん”は少ないから、すぐにバレてしまう。だから必要なのは、どれとも似ていて、どれとも違う姿であることだった。]
(28) 2021/05/24(Mon) 7:03:59

【人】 ぷにぷに グレザン


 二本は横、二本は下……
 ふぅん、先っぽがいっぱい分かれている。

 顔は……でこぼこがいっぱいあって……
 あ、ちょっと毛があるな。

 目? が、ちょっと出っぱってるのはなんだ……?
 ぜんぶがそうじゃないし……


[ 観察すればするほど不思議が生まれてくる。これはむずかしいかもしれない。しかし諦める自分たちではない。友人とひそひそ話をしつつ観察を続け、たくさんの情報をメモに書いた後、ふたたび扉から離れた。]
(29) 2021/05/24(Mon) 7:04:17

【人】 ぷにぷに グレザン

[ 大事であろう部分にチェックをつける。
 体の大きさに色、パーツの数。友人と力を合わせて手に入れた“にげん”の形を頭にいれる。
 じっくり眺めてから、はー、ふー、と息を吸って吐いた。]


 よし、やるぞ……


[ 長い二本を頭の前に構えて、ぐぅっと力を込める。
 ぬぬぬと気合を入れると次第に、青い体がぷうぷうと膨れていった。輪郭がぐにぐにと歪み、つるりぷるんとしていた表面に凹凸が生まれて、それぞれが違う色に変化していく。頭部にはもふもふとした毛、目の部分には出っ張りをくっつけて、]
(30) 2021/05/24(Mon) 7:04:55

【人】 ぷにぷに グレザン


 ……ふぅー……

 どうだ、“にげん”っぽいか?


[ 頭部の黒の毛並みに合わせた黒の体で、友人の前に立つ。長い二本の先っぽ、細く分かれた一本で、目の青い出っ張りの真ん中をくいっと押さえてみる。こういうポーズを時々“にげん”はしていた。真似るとそれっぽく見えるかもしれない。

 出来はまずまずだと思っているが、実のところ、顔の真横のぴろぴろした部分や、顔の真ん中の出っ張りに穴を作り忘れている。他にも作りが甘いところはあり、下方から見る友人ならば気付いたかもしれない。]
(31) 2021/05/24(Mon) 7:05:16

【人】 ぷにぷに グレザン


 変なところがないか、たしかめてほし、
 っと、と。

 ……歩くのが、すこしむずかしいな。
 練習がいるだろう。


[ ともかく、出来を確かめてもらうため、一歩近付こうとしたがぐらりとふらつく。ぺたんと上の二本で地面についた。四つんばいである。友人とちょうど目の高さがあう位置。

 四本から二本だと少し不安定で、慣れるまでにちょっとコツがいりそうだ。これだと、もともと二本もない友人は、自分よりももうちょっと苦労するかもしれない。]*
(32) 2021/05/24(Mon) 7:06:10

[お洒落なカフェより、あなたのことを知れるなら
 断然、そちらの方が良かった、なんていったら
 引かれてしまうだろうか。
 そこだけはちょっと隠して
 天丼すきだもんってW本当のことWで包んだ。
 
 食べるところを見られるのは少し恥ずかしい。
 だけど、知ってもらえるなら。興味を持って
 もらえるなら。隠したりなんかしたくなかった。
 美味そうに食う、と言われればごくん、と
 口の中のものを飲み込んでから。]


   だってすごく美味しい


[と微笑みを浮かべてみせただろう。

 伝われってずっと願ってた。
 この気持ちが軽いものじゃなくて、
 いつもの仲間内のノリとかとは別次元で
 あなたのことが心から大好きだってこと。]

 


[だけど、待てるから。
 わたしは、あなたのことを名前で呼ぶことを
 許されただけでも、大きな喜びだったの。
 だから、たのしみにはしてたけど、
 呼ばれなくたって仕方ないと思ってた。
 好きだなあってそっちに思考が寄っていけば
 全然気にならないくらいには。

 ───なのに。

 あなたは、改まってそんなふうに呼ぶんだもん。

 追撃されれば、ずるいって真っ赤な顔でつぶやいて
 絡めた手を握って、あなたを呼ぶの。

 互いを呼び合うことが、なんだか本当に
 近しい関係になった気がして、うれしくて。

 …そしたら彼の口から飛び出した間抜けな声に
 今度は噴き出してしまうんだけど、
 それはまあ、仕方ないことだと思う。]

 


 
[絡んだ指先から、手のひらから、熱が伝わって
 境目が曖昧になっていく気がする。
 わたしのより大きな彼の手は、すこし
 かさついていて、骨張ってた。

 受付に着いたら流石に解くのかなって思ったら
 そのままずんずん進んでいくものだから
 ちょっと面食らって。だけど嬉しくて。
 隠しきれない頬の緩みを、顔を背けて
 なんとか周りにバレないようにした。

 中に入れば、大きな香油壺。]


   ぅわ、 おっきい、


[とそれに目を開いて見つめていれば、
 彼が説明してくれただろうか。

 香水も好きだし、博物館や美術館も好きだ。
 だけど、好きなだけで詳しくない。
 だから、彼が一つ一つ丁寧に説明してくれるのは
 とても興味深くて、面白かった。
 ───それと同時に、彼のことをまた
 ひとつ、ふたつ、みっつと知れているような
 その頭の中を覗けているような気がして、
 うれしくて、心は弾む。]


 
[それと、弾む理由はもう一つ。
 話してくれるたびに、キスができるんじゃないかと
 思うほど、顔が近づくんだもの。
 吐息を孕んだ囁き声が、耳をくすぐるのが
 照れ臭くて、同時に、うれしくて、ドキドキする。
 
 だから、彼への返事はわたしも同じように
 声を潜めて、少しだけ背伸びして、
 内緒話みたいにしていただろう。

 楽しく彼の話を聞いている途中、突然、
 謝られると同時に手のひらを滑ってくすぐる
 感覚に、思わずびくんっと体が跳ねる。]


   っ…ごめん、びっくりしちゃった


[と眉尻を下げて、もう一度握り直してから]
 



   なんで謝るの?

   …すごくたのしい。
   颯介さんの話、興味深くて。
   もっと聞かせてほしいな。


[そう、目を細めて、また次のブースへといけば、
 「これは?なに?」と日本の香の文化について
 尋ねてみるだろう。]
 



[美しいさまざまな展示品を見て回る途中。
 徐に彼がまた、口を開くからそちらを見る。
 その言葉を黙って聞いて。
 最後にふと、わたしの名前が出れば、
 眉を少しだけ上げるだろう。]


  ……颯介さんが楽しんでくれて、よかった。

  ふふ、一緒に行くW好きな人W
  わたしで正解でしょ?


[と眦を細めて、一歩近づく。
 腕もまた絡めるようにして、くっついて。
 もっとこの時間が続けばいいのに、
 今日という日をもう一度、始められたなら…
 ううん、今日みたいな日を、また彼と
 過ごすことができたらいいのに。

 …そのためにはやっぱり行動あるのみ。
 あとで、次はどこにお出かけするか、
 行きたいところをリサーチしなきゃ、と
 思いながら、ゆっくり歩いていくのだ。]*

 

[歴史を紐解き、語る楽しみに目がくらみ
 それが吐息が通う距離なのも気付かず。

 歴史の流れに小話を挟んで、
 周りの人々を妨げないよう、
 声を潜めて笑い合う。
 ふ、と我に返えれば
 色々恥ずかしくなってしまう。

 す、と掌を撫でると
 何故か今度は飛鳥が驚いて
 微かにはねる体に思わず
 手を離してしまった。]


  、っ、すまん……


[でも、どちらともなくもう一度手を伸ばし
 今度はもっと、しっかり握ろう。]

[歴史に興味があるわけでもなし
 飛鳥はそれでも俺の話を聞いてくれる。
 続きを促されると、俺はまた少し微笑んで]


  ……これは、香合わせの道具だな。
  香木の匂いでやる神経衰弱みたいなモンだ。


[そう、展示ケースの中を指して
 説明を始めるだろう。
 聞きたい、と言うだけじゃなくて
 大きくて真っ直ぐな目に促されるように
 頭の中にしまってあった
 知識をアウトプットしていこう。

 一人きりで展示ケースを眺めるだけだったら
 一生俺の中だけにあったもの。
 共有してくれる人がいるのは
 思っていたより、嬉しくて。]

[だから、展示品を見ている途中で
 飛鳥に胸中を打ち明けた。
 この不思議な気持ちを知って欲しくて。]


  …………そう、かもな。


[展示ケースの中の白雪姫達より
 鮮やかな赤の唇に、そう眉を下げた。
 
 今日が終われば飛鳥はお嬢さんに
 俺は颯介さんから江戸川さんに戻ってしまう。
 それを引き止めるにはきっと
 一言、俺から言えばいい。

 口を開こうとしたら、
 後ろからきた若い女の子達と
 とん、と肩がぶつかって
 俺はまた口を閉ざして、
 其方にぺこりと頭を下げる。

 また飛鳥の方に顔を向ける頃には
 口にする勇気が足りなくなっていて。]



  ……次は、アール・ヌーヴォーか。


[手を引いて、さらに奥へ。
 身を寄せて恋人みたいに過ごす時間が
 終わりに近付くと分かっていても。]

[そうして美術館の外に出る頃には
 空は黄昏色に染まっていたか。

 またバイクに跨り、ディナーに向かう前
 駐車場で俺は飛鳥を引き止めるだろう。]


  俺ばっかり、話しちまったな。


[あれだけ渋っていたくせに
 結局大はしゃぎしてしまったことに
 つい、頭をぽりぽり掻いて。]


  ……ここに来たのが、あんたと一緒で
  本当に、良かったと、思う。


[目線をアスファルトに落としたまま
 自分の気持ちを一言一言絞り出す。
 でも、まだ言えてない。
 これは俺の気持ちのほんの上澄みで
 正直で、真っ直ぐな飛鳥に歩み寄るには
 もっとはっきり言わなくちゃならないのに。]

[視線を、地面から沈みかけた夕日へ移し]


  ……今日が、終わるな。
  ………………まあ、もう少しあるけどよ。


[そう、呟いた。
 「今日だけ」が終わるのが嫌だ、と
 はっきり言いたいのに、怖気付いちまってる。
 空いた唇を、また閉じて。]


  飛鳥は、楽しんでくれたのかィ?


[そう問いかけて、自分の卑怯さに気付いて
 また視線を逸らす。
 ─────ああ、言わせようとしてやがる。
 「また来ましょう」を言わせて
 それに乗る自分、という形にしようと。]


[ねえ、颯介さん、あなたは今何をかんがえてる?
 どう思ってる?楽しかった?また来たいって、
 この展示に、じゃなくて、わたしと、また、
 どこかに行きたいって思ってくれる?

 全部、問い詰めたいけど、問い詰めない。
 面倒な女にはなりたくない。

 彼の望む言葉が全てあげられるわけじゃない。
 わたしは、わたしで、彼は、彼で。
 生まれ育った環境も、興味があるものも、
 好みも、嫌いなものも、きっと何もかも違う。
 全く違う、人間のはずなのにわたしはどうしたって
 彼に惹かれてやまない。

 はじめは一目惚れ。
 再開した時は、運命だと思って。
 距離を詰めていくたびに、そのやさしさとか、
 可愛らしさとか、かっこよさとか、
 いろんな面を見られるようになって、
 どんどん落ちていくのがわかったの。]

 


[繋がった手のひらは、わたしとの時間を
 もっともっと深く残るものにしたいって
 そう思ってくれてる?なんてまたひとつ、
 問いかけが浮かんで、消した。
 
 美術展の展示作品に関する疑問は、
 いくらでも問いかけられるのに、
 わたしたちの関係に対する問いかけは、
 どうしてだろう、少し縮まった今の方が、
 うまく言葉にできなかった。

 黄昏に染まる駐車場に出ると、夕陽が彼の
 愛機に反射してきらりと光った。]
  



   お夕飯、どうする?
   お昼はわたしが天丼って決めたし、
   夜は颯介さんの食べたいものにしよ。


[そう微笑みかけて、ゆっくりアスファルトの上を
 歩いていく。遠くで、歩行者信号の通行音が
 交差点に響き渡っていた。

 フルフェイスを取ろうと手を伸ばしたら、
 彼が口を開くから、一度置いて、
 そちらに向き直った。

 さっきは意識しなかった、呼ばれない名前が、
 どうしてだろう、今はやけに寂しく感じて。
 だけど、言えなくて、飲み込んでから]



    そう言ってくれてよかった


[と目を細めた。

 一瞬の沈黙の後、返事ではなく、
 落とされた呟きにとくん、と心臓が鳴る。]
 



[───聞いても、いいのかな。]



[迷うように開いたり、閉じたりする唇を
 見つめながら、じっとしていたら、
 問いかけが投げられるから、
 少し面食らったように目を開いて、
 それからまた微笑んで。 ]


   もちろん。
   すごく楽しいよ。


[あなたと同じ時間を、共有できたこと。
 同じものを見て、同じ知識を増やせたこと。
 その感覚を、知れたこと。

 なにもかもが、彼との一歩に繋がっている
 気がして、愛おしくて、嬉しくて、仕方ない。
 
 好きな人の、好きなものの話を
 聞くことが、楽しくないわけがないもの。]
 


[また来ようね、そう、言おうと思った。
 次はどこに行きたいって、さっき思ってた通り
 彼がまたお出かけに応じてくれるように
 リサーチしようって思った。
 思ったのに、そんなのが吹っ飛んでしまったのは
 彼が、わたしの背に腕をのばして、
 そのまま引き寄せて、体温が、重なったから。]


    っ…!


[びっくりして、少し体が強張ってしまう。
 今、抱きしめられてる?って客観的な
 自分に問いかけて、だけどその自分も
 きっと混乱してて、パニックで、
 なにも返ってこなくて、分からなくて。
 それで、それで、そっと、腕を
 彼の背中に回して、右手首を左手首で
 そっと掴んでぎゅ、と力を込めた。

 ああ、どうしよう。
 口から出てしまいそう。
 さっき仕舞ったはずの問いかけが。
 聞いていいか、迷ってやめた言の葉が。
 喉の奥に控えて、それで───]
 




  …さみしいって、  おもってくれるの?


[こぼれて、しまう。]


   ………ね、


[そう、問いかけて体をそっと離せば、
 彼の方を見上げて、二度瞬き。
 それからゆっくり背伸びをして、顔を近づけて
 夕日が、目端に映る。
 白線がオレンジ色に染まる時間。
 微かに夜の様相を整え始めた空を背に、
 近づくたび、ゆっくりとまつげを伏せて。

 触れる直前、窺うように見つめ。]
 




   わたしは、離れるのが寂しい。
   まだ、帰りたくない。


[そう、告げて───だけど、勝手にキスするのは
 あまりに自分本位な気がして、やめた。
 そっと顔を離して、背伸びを元に戻した。]


   …お夕飯、食べるもんね、
   まだ、一緒にいられるかっ


[そんなふうに笑って、額を彼の胸に
 とん、と着いて息を吐いた。

 焦らない、焦らない。
 せっかく、こんなに近くまで来てくれたのに。
 短く息を吐いて、また顔を上げて。
 にっこり笑ってからまた、背伸びして、
 その頬に挨拶のような軽いキスを。]
 

 




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