【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム[ しろかねの翳りがその頸を 断 つ。 ][ 父帝に剣を振りかざしたその時とは異なり、 唾棄すべき謀反人の頭は石畳に転がり落ちた。 その髪を掴み上げ、戒めの様に掲げる。 断罪とは呼べぬ二百年越しの報復だったが、 獅子がその爪と牙で一つの貴族の全てを奪い 歴史から消し去ったのは確かだった。 ] ……生まれ落ちた其の日から、 欠かさず貴様の死を望み歌い続けたが 聴こえていなかったのか? 其れは遺憾だ。 (100) 2020/11/30(Mon) 9:22:04 |
【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム[ 騎士団長に渡された毛皮で懐剣を拭う。 刀身には焼き焦がされた血が硬化してこびり付いている。 切り伏せた刹那に命まで燃やそうとしたかの様だ。] 加え、俺の様な男はこの俺だけだ。 ( 俺で最期にすべきだ ) [ その眼が、主君の死を見届けた敵兵をなぞる。 恐怖に竦み上がり、思わず声を上げる者までいる始末。 だが、而して屠った無抵抗の羔などに価値は無く。 ] [ 出生から将来に至る生涯の全てを火に焚べた心には、 仇敵の言葉など最早何一つ届かない。 ] (101) 2020/11/30(Mon) 9:22:53 |
【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム施しがあれば受け取るのは構わん。 だが、此方から要求する事は許さない。 奪い取るなど言語道断だ。 ────彼等は“今も昔も”余の民であるが故に。 ( 恐怖による支配を望んだ訳ではなかった。 とは言え、歴史書が其れを記す事はないだろう。 ……後の世など知った事ではないが。 ) (103) 2020/11/30(Mon) 9:24:01 |
【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム[ 添い遂げられないと知っていて選ぶのは、 他国からの協力を得られる可能性があったから。 政略結婚など幾らでも目にして来たが、 いざ当事者となっては誰の眼も直視出来ず…… 家柄も、容姿も、振舞いも考慮はせず 唯一人悲しむでもなく、一度たりとも俯かなかった 凛々しい横顔の彼女を選んだのだ。 ] ( 選ばれた者が幸運なのか不幸なのか、 其れすら確かめるには時間が足りない。) (105) 2020/11/30(Mon) 9:25:06 |
【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム( 選ぶ立場でありながら、誰と向き合っていても 『何かが違う』と過去に思いを馳せるなど──── 図々しいにも程があるとは解っている。 其れでも、夫婦の務めは果たさねばなるまい。 ) (106) 2020/11/30(Mon) 9:25:43 |
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