人狼物語 三日月国


73 【誰歓突発RP】私設圖書館 うつぎ 其漆【R18】

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[背中に回した腕を一度解いて、
 その首に引っ掛けて、近づいて。]



    ───だめなわけない。


[と告げて、こちらから背伸びをして、
 口づけを贈ってしまおう。

 甘い、キスは、触れるだけ。
 彼の唇に赤が移ったのが見えたら、
 少し眉尻を下げて笑って、その頬に
 手のひらを添えて優しく、親指で拭う。

 背伸びをやめて、そちらをじっと見つめながら
 またそっとまつげを伏せたなら、
 今度は彼から口付けてくれるだろうか。
 心臓が飛び出してしまいそうなほどドキドキしてる。
 ぴったりくっついたからだから、なにもかも
 伝わってしまうような気がした。]
 




   ………颯介さん、


[いつもよりも、柔く蕩けたような
 視線をじっと投げかけて、呼ぶ。]


  ………お付き合い、してくれますか?


[あのときと同じように、はじめて、
 あなたにこの提案をしたときと同じように、
 また、わたしは問いかけて。
 静かにその答えを待つの。
 言い淀むようなら、わらって、
 今度聞きにいくねって、腕を緩めるけれど。]*

 

[欲しかった口付けが、飛鳥の方から送られて
 俺はそっと瞼を閉じた。
 背伸びしてのそれは、ほんの少し触れるだけ。

 移った赤を拭われる前に、
 もう一度、今度は俺からキスをしよう。
 もう少し深く口付けても
 良かったのかもしれないけれど、
 まるでキスの仕方も知らないような
 掠めるだけのキスだった。

 それだけでも、触れ合った身体に
 ドキドキと鼓動を伝えてしまう。
 ……これはどっちのものだろう。]

[蕩けたような甘い声で呼ばれ
 俺はほんの少し身を離す。
 もう何度も何度も言われてきた告白に
 今度はちゃんと頷いた。

 ざあ、と吹いた風が御屋敷の松を揺らす。
 彼女の祖母から出禁を食らったのを思い出せば
 ほんの少し、臆病風が吹く。
 でも、もし許されるのならば
 彼女と付き合う許しが欲しいし、
 ……あの骨董品達の評価に
 関する誤解も解きたいとも思う。]


  飛鳥の、お祖母様は特に
  いい顔してくれなさそうだけど……
  もう一度、骨董品のことも含めて
  チャンスをくれたりしないかねェ。


[だから、飛鳥にも力を貸してほしい、と
 少し眉を下げる。
 話し合いに努力するのは俺の仕事、
 そのきっかけを作ってもらえないか、と。]

[そうしてするりと身体を解いて
 バイクに跨り……ふ、と気付く。]


  そういや、俺ァ飛鳥の好きな店を
  まだ知らねェ気がすンだ。


[天丼もイタリアンも、俺が知ってる店。
 『今度』こそ、君の好きな店を
 俺にも教えてくれ。
 ─────そんな約束を取り付けようか。

 何処だっていいさ。
 ただ、ジンジャークッキーと
 カップケーキの出処には、俺は固く
 口を閉ざすだろうけれど。]*


[こくりと頷かれたそのとき、どきん、と
 心臓が跳ねて、愛おしさが溢れてやまない。
 嬉しくて、ぎゅ、とその体を思い切り
 抱きしめて「大好き」をその胸に直接
 届くように服に吸わせた。

 風が吹いた。
 ざわつく木の音から逃げるように、
 腕の力を一層、強めて。]


   ───


[帰りたくない、もっとあなたのそばにいたい。
 また来週って言わなきゃいけない?
 触れてほしい、あなたに、触れたいって
 そう、願っていたら彼の声が響いたから
 顎をピッタリその体につけたまま、顔を
 真上に向けて彼のことを見上げた。]

 



[眉尻を下げるその表情に眦を細めて]



   …おばあさま、私には弱いから。
   言っておいてあげる。
   …私の頑固さを一番知ってるのも
   おばあさまだもの。


[と口端を上げた。

 する、と解かれた腕に、寂しさを感じて、
 もう一度だけ力を込めて、緩めて、
 それから離れた。
 自然と呼ばれるようになった名前に、
 彼の方からされた『今度』の話に
 口元を綻ばせ、わたしは彼の方を見つめ]
 




   わたしの好きな店はね、

   『伽藍堂』って名前なの。


[そう笑いかけて、触れるだけの口づけを
 もう一度だけおくって、数歩下がった。]


   だから、また行くね。


[そう伝えて、寂しさを押し殺して、
 わたしは彼のことを見送るのです。

 ふかして去っていくエンジン音が、
 遠く、書き消えてしまうまで、
 その背の過ぎた場所を見つめて。]*
 

[このままずっと一緒にいたい。
 共に迎えた朝日の下で、
 君の顔はどんな色に染まるのか
 もっと知りたい気持ちは、ある。
 けど、嫁入り前のお嬢さんと
 会ったその日に共寝をしけこむような
 不埒を働くつもりもなく。

 時間はかかっても、
 ちゃんと納得してもらえるよう
 努力するのも大事なことか。]


  おい、あんまり虐めたらダメだぜ。


[くすり、と笑みを漏らして
 抱き寄せる腕へ最後にく、と力を込めて
 それから、離す。]

[クラブに行くのか、
 はたまた流行りのスイーツの店か、
 次の話をしようと思ったが
 飛鳥の好きな店を聞けば
 きょとん、と目を丸くして……
 それから、くすりと笑みを漏らす。]


  そいつァ、光栄。


[触れるだけ口付けを追って
 もう一度、抱きすくめて此方からキスを送る。]


  
……愛してる。



[ありがとう、とか、待ってる、とか
 言いたいことは沢山あったが、
 そういうのを全部ひっくるめて囁いた。

 そうして改めてバイクに跨り直すと
 俺は西園寺邸を跡にする。]

[ケーキ用プレートの納品に
 店を訪れた時、紅茶専門店の店主は
 カウンターの奥からにじり寄ってきた。]


  「ねえ、うまくいった?
   カップケーキ、どうだった?」


[眼鏡の奥から好奇心を覗かせてくるのを
 はてさて、どう答えたものか。
 多分恋の行方が気になっているのと
 自分の手製のスイーツがそれに一役買えたのと
 どっちも気になってる、って顔。

 「まあまあ、ってやつだ」と答えると
 「ああ!惨敗じゃなかったんだ!」なんて
 ぴょんぴょん跳ねながら嫌なことを言う。

 まだ、付き合い始めて、キスをして
 抱き合っただけ。それも、一日だけ。
 年月を重ねてそれが確固たるものになったら
 今度はちゃんと、飛鳥と一緒に来ようと思う。]

[俺の頭を読んだか知らないが
 店主はにっと笑ってみせて]


  「君がいいと思った人だもの。
   僕はその人が男の人だろうと、
   どこかの国の王女様だろうと、
   どんな人だって祝福するよ」


[そう、笑って見せたのだった。]



   いじめるなんて、人聞き悪い。

   …そんなことしないよ、
   わたしの道を、認めてもらうだけ。


[そういって、もう一度抱擁を交わし、
 離れた熱に少しだけ、寂しさを覚えた。

 わたしの好きな店なんて、決まりきってる。
 だって、そこにはわたしのW何より好きなものW
 がいつだってあるんだから。

 本心を当たり前に告げただけなのに、
 彼が目を丸くして、それから笑うから、
 わたしも微笑みかけて、贈った口づけを
 追うようにまたくっつく体。

 落とされる愛の言葉にふわ、と体温が
 一度上がるような気がした。
 にへら、と微笑みかけて。]
 




   ───わたしも


[と返せば、幸福感に全身が
 満たされるのがわかった。

 どうしよう、幸せ。
 世界中に叫んでまわりたいくらい。
 この人、わたしの大好きな人でね、
 それでね、わたしの恋人なんだよって。
 諦めなくて、よかった。
 ちゃんと、あなたに向き合って、それで、
 真っ直ぐにあなただけを見つめて、
 突き進んできてよかった。
 そう心の中で噛み締めながら、
 今日はその背を見送るのです。]

 

【人】 にげん? グレザン

[ “にげん”らしい振るまいは分からないが、受け答えはスムーズにできていたようだ。隣からきらきらとした視線を浴びる。友人もこの伝説的な状況に感動したのだろう。

 そして“こーひー”なる謎のなにかに関してはこそりと相談する。]


 たしかに、食べ物かもしれない……

 そうだな、一つずつ。
 “こーひー”は気になる。試してみたい。
 このにおいに関わるものかもしれない。


[ 絶対試してみたくなる、という熱のこもった主張>>13には大いに頷いた。
 ここが自分たちの知るような図書館なら、利用するのに何かを求められることはないはずだ。実際、入る時も何か要るとは言われなかった。ならば宝石には余裕があり、紅茶や“こーひー”を頼んでも、きっと大丈夫なはず。

 後は本を探すまでの時間が遅れてしまう、という問題もあったが、やはりここは、頼んだものがどんなものか、を知ることを優先すべきだという結論を出した。

 よそのテーブルを見ると、手元にコップを置きながら本を読んでいる“にげん”もいたから、同時に楽しむものなのかもしれない。
 しかし、“にげん”の体に慣れていない自分たちだと、汚してしまう不安がある。レベルアップしてから挑戦しよう、と話し合って決めた。>>14
(26) 2021/05/28(Fri) 6:09:53

【人】 にげん? グレザン

[ 友人>>15の態度も堂々としていた。一種類ずつの注文も、お代の宝石を払うのもさらっと終わらせ、お目当ての二つを手に入れる。
 普段の体なら四つぐらいまではあっさり運べるが、この姿なら一個が限界だ。取っ手に先っぽを引っかけるのもなかなか難しいので仕方ない。

 落とさないように丁寧に運び、テーブルに置いた時には達成感すらあった。図書館に入り、会話も問題なく済ませ、注文して受け取るまでやり遂げた。
 その成果が目の前の、ゆらゆらと湯気の立つコップ二つ。思わずふふんと笑ってしまう。]


 ああ、“にげん”のものを手に入れた。
 やっぱり飲み物で当たりだったな。

 お店に入った時のにおいもこれだったか……
 よし、半分こしよう。


[ まずは観察。赤いのは紅茶、黒いのは“こーひー”だ。黒い方は香ばしいような、ツンとつつかれるような、なんとも不思議な匂いがする。
 メモするのも“にげん”の体では難しかったが、普段の体に戻るわけにもいかない。そして時間をかけてしまうと、せっかくのほかほかが冷めてしまう。大事なことを急いで書いて、やっと飲み物を飲むことができた。]
(27) 2021/05/28(Fri) 6:10:09

【人】 にげん? グレザン

[ まずは一緒に出してもらった砂糖やミルクを後回しに、二本でしっかり支えて、コップの紅茶を口にする。森でいつも飲むのは緑茶で、紅茶は時々しか飲まない。それでも、これが味が違うのは分かった。葉っぱや作り方が違うのかもしれない。でもこのままでも美味しいお茶だった。ほう、と息を吐く。]


 紅茶はおいしい……
 森でたまに飲むのとは、ちょっと違う味だ。

 そっちはどう、
 ……平気か?


[ ちらっと横を見ると、友人>>16のキュッとしかめた顔が見えた。ぱちぱちと瞬く。思わず大丈夫かどうか尋ねた。
 どうやら“こーひー”は変わった味がするらしい。それでも友人はまずい、とは言わなかった。一口減った紅茶と、友人のコップを交換する。どんな味なのだろう。おそるおそる、コップから一口含む、が。]
(28) 2021/05/28(Fri) 6:10:24

【人】 にげん? グレザン


 …………
 ……むう。

 へんてこな苦さだ……


[ キュッ。思わず顔をしかめてしまう。苦い。苦いが、なんと表現したらいいか分からない、不思議な、へんてこな苦さだ。
 濃いお茶とも、焼いたお魚のおなかとも、山で採れた山菜とも、お薬とも違う。口の中がじわわと苦さで包まれるのに、すんと息をすると、香ばしいような酸っぱいような匂いが混ざってくる。

 友人がまずいと言わなかったのは分かる。でもおいしいかと言われるとうーんと悩むし、いっぱい飲むのはちょっと苦労しそうな苦さだ。口直しに友人の手元の紅茶を分けてもらう。ごく、と飲むと口の中がお茶で洗われた。もう一度、ふうと息をついて友人の顔を見る。]
(29) 2021/05/28(Fri) 6:10:39

【人】 にげん? グレザン


 どうする。このまま飲めるか……?

 あ、それとも、もらったものを足してみる?
 一緒にくれたのなら、入れるのがおすすめなのかもしれない。


[ せっかくの“にげん”のコーヒーだが、自分ではあまり手伝えそうにない。友人が残りも飲むというなら素直に任せただろう。しかし、変わらずキュッと顔をしかめるようなら、砂糖やミルクを足すことを提案する。
 “にげん”が一緒にくれたのだ、もしかすると、これを足すのが“こーひー”の秘訣なのかもしれないと。

 足すことに決まれば、どちらも少しずつ注いでみることにした。真っ黒だった飲み物はあっという間に茶色になって、まるで違う飲み物みたいに見える。
 砂糖も入れたのだから苦さもちょっとは負けてくれたに違いない。さっきは友人だったからと、今度は自分が新たな“こーひー”を先に味見することになった。どきどきしながら、少しぬるくなった茶色を一口。

 含んで、ごくりと飲んだ途端、ばばっと勢いよく友人の顔を見る。]
(30) 2021/05/28(Fri) 6:10:54

【人】 にげん? グレザン


 ……!
 ぜんぜん、ぜんぜんさっきとちがう!

 飲んでみてくれ。
 ……な? ちがうだろう?

 苦いのがミルクとおさとうで引っ込んで、
 いいにおいと、香ばしいのがすっとくる。
 ええと、まろやか? って感じだ。

 これなら飲めるな!


[ 口当たりがまるで変わったことに驚き、友人に主張する。これは説明するより飲んでもらった方が早い。詳しく話すより先に、友人の前にコップを寄せた。
 今度は友人も顔をキュッとすることはないだろう。お互いに新たな味を知ったところで、その感想を話し合う。ぎゅっと握り込んだペンで、メモいっぱいに“こーひー”の違いを書き込んだ。ミルクと砂糖はすごい。]
(31) 2021/05/28(Fri) 6:11:12

【人】 にげん? グレザン

[ 紅茶と“こーひー”でメモを増やした後は、ようやく本の探索時間になった。
 一緒に見て回るかどうかは悩むところだ。迷子になるほど広いお店じゃない。もしなったとしても、テーブルに戻ってこれば平気だろう。

 ただ、相談したいことはあるかもしれない、離れすぎるのもちょっと不安な気がする、ということで、基本は一緒、離れるとしてもどちらも目が届く範囲で見て回ろう、と決めた。
 もちろん、これがきちんと守られるかどうかは、本に夢中になる程度にもよるのだが。]


 何から探す?
 こっちは、“にげん”の体についてしらべてみたい。


[自分はまず、“にげん”の仕組みについて知りたい。
 体の構造について詳しくのっている本がないか、探して回ることにした。]*
(32) 2021/05/28(Fri) 6:13:36

【人】 にげん? グレザン

[ 飲み物の感想は大事だ。しかしこの体で書くのは難しく、文字がへにょんとゆがんでしまう。一応読めなくはないからよしとしよう。
 友人はというと、最初は先っぽのあつかいに苦労していたみたいだが、すぐにコツをつかんだらしい。普段>>1:12と変わらない絵の出来>>39に、メモをのぞき込んですごいなと誉めた。さすが二本でバランスを取るのも上手だっただけはある。

 そして問題の“こーひー”だ。一口の味見の結果は、思ったより苦くて困ってしまった。そこで一緒に受け取った、ミルクとお砂糖の出番である。
 コップの中の黒に白い渦巻きができて、あっという間に色が変わる。ツンとした匂いも少し収まっただろうか。見た目が大きく変わった飲み物を口に含む。

 その瞬間の驚きは真っ先に友人>>40に向かう。そわそわと落ち着かない友人へ、急いで、しかしこてんとこけてしまわないように気をつけてコップを寄せた。
 持ち上げて口をつけるところを見つめる。ごくり、思わず自分までつばを飲み込んでしまいながら、反応をうかがって、]
(59) 2021/05/29(Sat) 6:56:24

【人】 にげん? グレザン


 だろう……!!

 そうだな、そのままでは苦いものを、
 自分のちからで完成させる……

 すべて含めて、“こーひー”なのかもしれない……!


[ 二本を小さく振って興奮を伝える。黒くて苦いものが、こんなに飲みやすくおいしい飲み物に変わった。だからこそ面白く、その変化にとても驚いた。最初からミルクやお砂糖が混ざっていては、この感動はなかっただろう。自分で足すというひと手間が大事なのだと思う。

 この体験は一度しかできないとても貴重なものだ。友人と一緒にメモにしっかり書き残す。自分でよりよいものに作り上げる楽しさ。ただ飲むだけじゃないとは、なんと奥が深いものだろう。
 きっと自分たちしか知らないことだ、と思うと誇らしげな気分になる。みんなにもしっかり教えてあげられるように記録しなければ。]
(60) 2021/05/29(Sat) 6:56:36

【人】 にげん? グレザン

[ コップを空っぽにして、たっぷりメモを書いた後は、いよいよ図書館での本探しが始まった。
 作戦は、手分けしてたくさん見て回りたい気持ちと、離れるのは心細い気持ち、二つの間をとったものだ。何かあればすぐに報告しようと決め、友人と一緒に本棚へと向かう。]


 ……どこから、見よう……


[ はー。思わず口も開きっぱなしでそんな声が出てしまうほど、図書館の本はたくさんあった。通路を挟んだ向こうの本棚では、友人>>44がうおおと声を上げている。わくわく状態でも声をおさえてるところはえらいと思う。

 こちらもぼけっとせずにきちんと探さなければならない。改めて本棚と向かい合った。]
(61) 2021/05/29(Sat) 6:56:48

【人】 にげん? グレザン


 いろいろありすぎる……


[ まずは“にげん”について置いてあるところを調べないと。目当ての場所はどこか、きょろきょろと見て回る。知らない名前の歴史の本、知らない名前の伝記の本。頭に入ってこないものを通り過ぎた後、“すてきな石の見分け方”とか、“おいしい草花とは”、なんてタイトルがあってちょっと気になって見てしまう。森で取れるやつが載ってたりしないだろうか。でもあとあと。

 どこかの棚には、“毎日いいことをしなさい”とか“みんなに優しくしなさい”みたいなタイトルの本が並んでいる場所もあった。ただその本の近くに“まわりを気にせず生きなさい”とか“優しい人の裏のヒミツ”なんて本もある。むむ。なんだかややこしいエリアだ。]
(62) 2021/05/29(Sat) 6:57:00

【人】 にげん? グレザン

[ そんな変なエリアを通り過ぎてやっと、“にげん”について並ぶ本棚に辿り着いた。目の高さの位置の本を試しに一冊、先っぽで引っかけて取ってみる。

 一冊目の表紙は文字だけだ。いつもと二本の使い方が難しいが、なんとかぺらっとめくってみると、中身は全部文字だらけで、しかも知らない言葉だらけだった。棚に戻して、何冊か離れたところの“体の仕組み”というやつを取ってみる。

 今度の表紙には、図書館の中にいる生き物と同じらしき絵がどどんと真ん中に描かれていた。丸も四角も全部同じ色なのはちょっと変わっているが、色を塗り忘れたのかもしれない。多分あっている。ちょっと中身をのぞくと、中身も絵がいっぱいだ。これは勉強になりそうだと確信する。]
(63) 2021/05/29(Sat) 6:57:17

【人】 にげん? グレザン


 これはよさそうだ。
 他にもいいのは……これか?

 ふぅん、文章はむずかしそうだが……
 絵はたくさんあるし、いいか。

 そっちはどう、 ――!!


[ と、本の物色をしながら友人の方を向いたとき。
 それはまさに本がぽろっと落ちてきた瞬間>>44だった。

 あ、と叫ぶよりも早く、友人の体がぷにぷにに戻る。本はぷにんと跳ね返って、そのままぷにっとキャッチされた。ふー。こちらも辺りを見回したが、近くには誰もいなかったようだ。大きく息を吐く。見つけた本たちを一本で抱えたまま、友人の方へと寄っていく。]
(64) 2021/05/29(Sat) 6:57:28

【人】 にげん? グレザン


 ふう……キャッチできてよかった。
 痛くなかったか?

 こっちはよさそうな本があった。
 一度、さっきの席に戻って読むのがいいだろう。


[ 落とさなくて済むしな、と笑う。一本で友人のてっぺんのもふもふに触れた。ねこよりも少しもさっとした毛は、ちゃんとさっきまでの“にげん”に戻っている。
 友人がもう少し選ぶのなら一緒にいいのを探して、高い場所にあるものを取る時は手伝うことにした。顔ひとつ分ぐらい一本を延長すると取るには楽である。“にげん”はしないのかもしれないが、友人しか見てないからセーフだということにしよう。

 選びぬいた本たちをほくほくとふたりで抱え、拠点である席へと戻っていった。]*
(65) 2021/05/29(Sat) 6:57:37

【人】 にげん? グレザン


 よし。
 ぶじ、本を何冊かえらんでこられた。

 ひとまず、別々の本を読んで……
 大事な部分を見つけたら、
 メモしたり、教えあったりしよう。


[ テーブルに本を積み、お互いに一冊ずつ目の前に置いた。やはりテーブルに置くと本は開きやすい。
 早速開くのは、最初に気になった“丸も四角も先っぽも全部同じ色”の絵が表紙にあった本だ。よく見ると頭のてっぺんのもふもふまで無かったし、手抜きなのだろうか。ちょっと気になりつつ、ぺらりとページをめくっていく。

 ぺらぺらぺらり。黙っていられたのは何ページかを読む間だけだった。ばっと顔を上げると、友人の体を先っぽでつんつんとつつく。]
(66) 2021/05/29(Sat) 6:57:45

【人】 にんげん? グレザン


 おい、これを見てくれ……

 “にげん”、いや、
 “
にんげん
”の“これ”は、
 からだの一部じゃないらしい……!


[ 自分の顔の下にある黒い部分に触れつつ、開いて示して見せるのは、“にんげん”の体を描いたページだ。目や口といった分かる部位、それ以外の知らない部位についても書いてあるが、今指し示しているのはそこじゃない。
 顔と先っぽだけじゃなく、てっぺんのもふもふ以外全部同じ色。これが“にんげん”の本当の姿であり、この色のついた部分は、あと付けのパーツらしいという事実だった。

 てっきり、ねこの毛やとりの羽みたいに。それぞれが最初から持っているものだと思っていた。そうじゃないのだ。]


 もし、はずせと言われたら、とても困るな……


[ 目の出っ張りに触れながら、むむとうなる。
 ぷにぷには変化ができる。しかしあくまで全部は体であるから、取り外しは一切できない。外せと言われないことを願わなければ、と、深刻そうな顔で、この重大な事実を伝えるのだった。]*
(67) 2021/05/29(Sat) 6:58:50
グレザンは、友人に親愛のぷに返しをした。ぷにぷにぷに。
(a1) 2021/05/30(Sun) 4:55:22

 




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