【人】 ]]『審判』 チェレスタ[いつかの、洋館での出来事。 たとえば、『世界』の証持ちたる男性と、 一度だけ言葉を交わしたことがあった。>>328 「“世界”についてどう思う?」という問いに対して、実に素朴に、] そんなこと考えてるんだ。すごいなあ。 私いつも、うまく歌うにはどうしたらいいか、 ……ってことばっかり考えてるからね! [そう答えた。返答を聞いた男性は穏やかな表情のままでいた。 彼も歌が好きならば良いと思ったが、 それを直接言葉にして伝える機会は、ついぞ訪れることはなかった] (438) 2022/12/15(Thu) 23:37:16 |
【人】 ]]『審判』 チェレスタ[たとえば、 出会い頭に歌が上手いのか訊ねられたことがあった。>>0:531 すっかり気をよくして良い笑顔で「けっこう上手い」と答えた。 その人――『悪魔』の青年は歌を聞きたがったものだから、 チェレスタ的に当然の思考の流れとして、 「歌が好きなの?」と訊ねはした。 彼の前で歌う暇>>0:531を見つけることは、わりと難しくなかった。 といっても、これは、チェレスタが洋館に住み始めてからの主観だけど。 ただまあ、彼の、他に好きなものについては、どれだけ知ることができただろうか] (439) 2022/12/15(Thu) 23:38:27 |
【人】 ]]『審判』 チェレスタ[たとえば、『正義』の青年が、子守唄を小さく歌っているのに合わせて、 その独特の節を、すんなり真似て歌ったことがあった。>>0:605 ……島群にルーツを持つ歌をうたったことなら他にもあった。 売店で売られていたしゃぼん玉>>0:39を吹いているうちに思い出した、 しゃぼん玉にまつわる歌とか、他のやつとか。 ただ、明確に誰かと合わせようと思って口ずさんだのはこれが初めてだったかな] …………私が生まれたのは、ええと、 北東のどっからしいよ。 [故郷のことはもとより親の顔も覚えていないから、 故郷のことを訊かれれば歯切れの悪い答えになってしまう。 その後、己が島群の歌を知っているのは、 島群出身の人に教えてもらったからだと説明した] (442) 2022/12/15(Thu) 23:44:21 |
【人】 ]]『審判』 チェレスタ……あの辺り、行ったことないんだよね。 歌は色々知ってるくせに。 [旅芸人の一座のルーツは確かに島群にあるが、 そもそもの始まりは、故郷を追われた形だったと小耳に挟んではいる。 だから彼らは、島群には極力近付かないのだ] ねえ、島ってどんなところなんだろうね。 狭くないのかな。……ああでも、洋館よりはずっと広いか。 [チェレスタにも知らない場所はあった。 そこに思いを馳せていただけの物言いは、 故郷に帰れない青年にはどう映っていたのだろうか] (443) 2022/12/15(Thu) 23:45:45 |
【人】 ]]『審判』 チェレスタ[チェレスタの過去は確かに色々あったが、 かといって、己を不幸だと思っているわけではない。 なぜなら、歌があるからだ。 歌があれば痛みを消せる。 歌があれば新たなつながりを生み出せる、 それに歌がある限り生み出されたつながりは消えない。 神様がくれた贈り物なんかよりもよっぽど強い、存在証明の手段。 ―――それが歌だってことにしたかった。 だが、歌があってもどうやら世界は、 『箱庭の神』にとってはいらないものらしい。 身勝手な神様に対しては、『審判』の身勝手な怒りが内側で炸裂しているのだけれど、 それを除いたうえで、チェレスタの中にあるものといえば――] (445) 2022/12/15(Thu) 23:48:43 |
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