73 【誰歓突発RP】私設圖書館 うつぎ 其漆【R18】
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───ひとつだけ、聞いてもいい?
[そう尋ねたら、そちらを見つめて。]
我慢、できないってどういうこと?
[ぎゅ、と掴んでいた裾を握って]
| 画商の彼は少しの間、 黙って私のことを見つめていた。 けれどすい、と目線を窓に移すと、 あーとかうーとか不明瞭な音を吐き出す。 首を傾げてその様子を見つめていれば、 ちらりとこちらを見た彼。
そうして、内緒話をするように 低音の声をそっと部屋に響かせる。
『 そいつは、恋煩いだな? 』 (0) 2021/05/25(Tue) 21:47:12 |
|
……私は、その言葉を聞いても すぐには理解出来なかった。 余りにも、自分と縁の遠い言葉だったから。
オウム返しに繰り返して、繰り返して。 少しづつ頭の中にその言葉を浸透させようとして。
「 恋煩い? 」
今度の繰り返しは、私が? という意味。 彼は理解したのか、そうだと言うように頷いた。
(1) 2021/05/25(Tue) 21:47:34 |
| ─── 恋 。 私はあの人に、恋をしているのだろうか。 内容を理解したからか、 その後はなにも言及しないまま 画商の彼は帰って行った。 私はひとり、珍しく絵に向き合わないまま ぼんやりと座って虚空を見つめている。 (2) 2021/05/25(Tue) 21:47:56 |
| 恋、なんてしたことがないから。 正しく恋なのかもわからなければ どうしたらいいのかもわからない。
肝心な時に彼はいないし、 絵を描く気にもなれやしなくて。 ……コップを握って、水を飲む。 ぱちり、と琥珀の目を瞬く。 私は椅子から立ち上がれば 鞄を持って、外に出ることにした。** (3) 2021/05/25(Tue) 21:51:32 |
[イタリアンに入ると隣の席には
何処かぎこちない男女がいて
何となく、見合いか何かかな、って。
他人行儀な距離感と話題、
それでも何とか話題を出しては
笑い合おうとする、奇妙な空気。
名前だけ普段と違うけれど
きっと傍目には其方の席と
同じ空気に見えたかもしれない。
最近ハマったコンビニスイーツとか
欲しいコスメとか、友達の話とか
たくさん、知りたいことは知れたけど
そういうのじゃない、
俺はまだ、核心に触れようとしてない。
取り繕っておしゃべりしても
ダメ、なんだ。言わなくちゃ。]
[そうして提案したデートの引き伸ばしにも
却下が下りてしまえば
これで本当にデートのおしまいが
すぐそこにきてしまう。
…………いいや、きっと俺が一言
も少し一緒にいさせてくれ、って
素直に口にすれば良かった。
じわり、じわり、後悔が押し寄せる。
最後に冷やを一口、苦い想いを
喉の奥に流し込んだら、席を立とうか。
結局、またあの重苦しい感じのする
綺麗に剪定された松の前に辿り着くまで
俺は自分から切り出せない。]
[門に向かおうとする背が
控えめにぎゅ、と引かれて
俺は素直に立ち止まる。
くる、と振り向くと飛鳥の唇が
開いて、閉じて、やがて問う。]
─────それは、
[我慢、ってなんのことだ、なんて
すっとぼけるのは、無しだ。
─────だって、飛鳥は待ってる。
俺が言葉にしなかった先の言葉を
いつもみたいに、
でもいつもより揺らぐ瞳で、紡いで。]
…………飛鳥に、言わせたくなかったのに
どうにも臆病で、我ながら情けねェや。
[ぼりぼりと、ヘルメットに蒸れた旋毛を掻いて
唇だけ、笑みを形作ってみせた。
イタリアンにいたカップル未満の二人みたいに
間を埋めるだけの空虚な笑みだった。
そう気付いたら、首を横に振って。]
[すっとぼけられるかなって思った。
だけど、今誤魔化されたらもう、進めない気がした。
だからお願い、ちゃんと教えてって
心の中で願っていたの。
そうしたら、彼の口が開いて、それから
情けないと呟いて、下手くそに笑うから
眉を寄せて、そちらをじっと見た。
…そんな顔、しないでほしくて。
レストランで隣にいた少しよそよそしい
カップルを思い出す。…あの2人の方が、
まだ初々しかったような気すらした。
私たちは、もう知っているんだもの。
あの2人よりもきっと、近しいもの。
それでいて、遠いんだもの。]
[ぎゅ、と唇を結んで見つめていたら、
彼が首を横に振る。掴んだ手に力を込めた。
ゆっくりと紡がれていく言の葉。
それは、今まで彼が隠してきた心で。
待ってた、と言われたらきゅん、と
心がときめくように締め付けられる。
解かれた手。もう、怖くなかった。
広げられた腕に、寄り添って、
わたしも彼の背中を優しく抱きしめるの。
胸板から響く声に、黙って、頷く。
優しく髪が梳かれる。そっと、顔だけ離して
彼の表情を見ていたら、わたしの髪がその口元に
近づいて、口付けられるから、そこに視線を
落として、それからまた、上げて。
だけど、視線は合わないし、またぎゅ、と
強く抱きしめられてしまったら、
見ることも叶わなくなって───それでも
問いかけられる言葉に、拒否なんて、
できないし、したくない、から。]
[背中に回した腕を一度解いて、
その首に引っ掛けて、近づいて。]
───だめなわけない。
[と告げて、こちらから背伸びをして、
口づけを贈ってしまおう。
甘い、キスは、触れるだけ。
彼の唇に赤が移ったのが見えたら、
少し眉尻を下げて笑って、その頬に
手のひらを添えて優しく、親指で拭う。
背伸びをやめて、そちらをじっと見つめながら
またそっとまつげを伏せたなら、
今度は彼から口付けてくれるだろうか。
心臓が飛び出してしまいそうなほどドキドキしてる。
ぴったりくっついたからだから、なにもかも
伝わってしまうような気がした。]
………颯介さん、
[いつもよりも、柔く蕩けたような
視線をじっと投げかけて、呼ぶ。]
………お付き合い、してくれますか?
[あのときと同じように、はじめて、
あなたにこの提案をしたときと同じように、
また、わたしは問いかけて。
静かにその答えを待つの。
言い淀むようなら、わらって、
今度聞きにいくねって、腕を緩めるけれど。]*
[欲しかった口付けが、飛鳥の方から送られて
俺はそっと瞼を閉じた。
背伸びしてのそれは、ほんの少し触れるだけ。
移った赤を拭われる前に、
もう一度、今度は俺からキスをしよう。
もう少し深く口付けても
良かったのかもしれないけれど、
まるでキスの仕方も知らないような
掠めるだけのキスだった。
それだけでも、触れ合った身体に
ドキドキと鼓動を伝えてしまう。
……これはどっちのものだろう。]
[蕩けたような甘い声で呼ばれ
俺はほんの少し身を離す。
もう何度も何度も言われてきた告白に
今度はちゃんと頷いた。
ざあ、と吹いた風が御屋敷の松を揺らす。
彼女の祖母から出禁を食らったのを思い出せば
ほんの少し、臆病風が吹く。
でも、もし許されるのならば
彼女と付き合う許しが欲しいし、
……あの骨董品達の評価に
関する誤解も解きたいとも思う。]
飛鳥の、お祖母様は特に
いい顔してくれなさそうだけど……
もう一度、骨董品のことも含めて
チャンスをくれたりしないかねェ。
[だから、飛鳥にも力を貸してほしい、と
少し眉を下げる。
話し合いに努力するのは俺の仕事、
そのきっかけを作ってもらえないか、と。]
[そうしてするりと身体を解いて
バイクに跨り……ふ、と気付く。]
そういや、俺ァ飛鳥の好きな店を
まだ知らねェ気がすンだ。
[天丼もイタリアンも、俺が知ってる店。
『今度』こそ、君の好きな店を
俺にも教えてくれ。
─────そんな約束を取り付けようか。
何処だっていいさ。
ただ、ジンジャークッキーと
カップケーキの出処には、俺は固く
口を閉ざすだろうけれど。]*
[こくりと頷かれたそのとき、どきん、と
心臓が跳ねて、愛おしさが溢れてやまない。
嬉しくて、ぎゅ、とその体を思い切り
抱きしめて「大好き」をその胸に直接
届くように服に吸わせた。
風が吹いた。
ざわつく木の音から逃げるように、
腕の力を一層、強めて。]
───
[帰りたくない、もっとあなたのそばにいたい。
また来週って言わなきゃいけない?
触れてほしい、あなたに、触れたいって
そう、願っていたら彼の声が響いたから
顎をピッタリその体につけたまま、顔を
真上に向けて彼のことを見上げた。]
[眉尻を下げるその表情に眦を細めて]
…おばあさま、私には弱いから。
言っておいてあげる。
…私の頑固さを一番知ってるのも
おばあさまだもの。
[と口端を上げた。
する、と解かれた腕に、寂しさを感じて、
もう一度だけ力を込めて、緩めて、
それから離れた。
自然と呼ばれるようになった名前に、
彼の方からされた『今度』の話に
口元を綻ばせ、わたしは彼の方を見つめ]
わたしの好きな店はね、
『伽藍堂』って名前なの。
[そう笑いかけて、触れるだけの口づけを
もう一度だけおくって、数歩下がった。]
だから、また行くね。
[そう伝えて、寂しさを押し殺して、
わたしは彼のことを見送るのです。
ふかして去っていくエンジン音が、
遠く、書き消えてしまうまで、
その背の過ぎた場所を見つめて。]*
[このままずっと一緒にいたい。
共に迎えた朝日の下で、
君の顔はどんな色に染まるのか
もっと知りたい気持ちは、ある。
けど、嫁入り前のお嬢さんと
会ったその日に共寝をしけこむような
不埒を働くつもりもなく。
時間はかかっても、
ちゃんと納得してもらえるよう
努力するのも大事なことか。]
おい、あんまり虐めたらダメだぜ。
[くすり、と笑みを漏らして
抱き寄せる腕へ最後にく、と力を込めて
それから、離す。]
[クラブに行くのか、
はたまた流行りのスイーツの店か、
次の話をしようと思ったが
飛鳥の好きな店を聞けば
きょとん、と目を丸くして……
それから、くすりと笑みを漏らす。]
そいつァ、光栄。
[触れるだけ口付けを追って
もう一度、抱きすくめて此方からキスを送る。]
……愛してる。
[ありがとう、とか、待ってる、とか
言いたいことは沢山あったが、
そういうのを全部ひっくるめて囁いた。
そうして改めてバイクに跨り直すと
俺は西園寺邸を跡にする。]
[ケーキ用プレートの納品に
店を訪れた時、紅茶専門店の店主は
カウンターの奥からにじり寄ってきた。]
「ねえ、うまくいった?
カップケーキ、どうだった?」
[眼鏡の奥から好奇心を覗かせてくるのを
はてさて、どう答えたものか。
多分恋の行方が気になっているのと
自分の手製のスイーツがそれに一役買えたのと
どっちも気になってる、って顔。
「まあまあ、ってやつだ」と答えると
「ああ!惨敗じゃなかったんだ!」なんて
ぴょんぴょん跳ねながら嫌なことを言う。
まだ、付き合い始めて、キスをして
抱き合っただけ。それも、一日だけ。
年月を重ねてそれが確固たるものになったら
今度はちゃんと、飛鳥と一緒に来ようと思う。]
[俺の頭を読んだか知らないが
店主はにっと笑ってみせて]
「君がいいと思った人だもの。
僕はその人が男の人だろうと、
どこかの国の王女様だろうと、
どんな人だって祝福するよ」
[そう、笑って見せたのだった。]
いじめるなんて、人聞き悪い。
…そんなことしないよ、
わたしの道を、認めてもらうだけ。
[そういって、もう一度抱擁を交わし、
離れた熱に少しだけ、寂しさを覚えた。
わたしの好きな店なんて、決まりきってる。
だって、そこにはわたしのW何より好きなものW
がいつだってあるんだから。
本心を当たり前に告げただけなのに、
彼が目を丸くして、それから笑うから、
わたしも微笑みかけて、贈った口づけを
追うようにまたくっつく体。
落とされる愛の言葉にふわ、と体温が
一度上がるような気がした。
にへら、と微笑みかけて。]
───わたしも
[と返せば、幸福感に全身が
満たされるのがわかった。
どうしよう、幸せ。
世界中に叫んでまわりたいくらい。
この人、わたしの大好きな人でね、
それでね、わたしの恋人なんだよって。
諦めなくて、よかった。
ちゃんと、あなたに向き合って、それで、
真っ直ぐにあなただけを見つめて、
突き進んできてよかった。
そう心の中で噛み締めながら、
今日はその背を見送るのです。]
|
街に出て何をしたかと言えば 闇雲に彼のことを探しただけ。
彼の名前は知っていても、 住所なんて知ろうともしなかったもの。
でも、そんな探し方じゃ 当たり前に見つかる訳もなく。
歩き慣れない街中を歩いて 疲れた体をベッドに横たえる。 (47) 2021/05/28(Fri) 18:06:04 |
|
答えが見つからないことが こんなにも自分を惑わせる。
一体彼は、私のなんだというのか。
「 ……なんで居ないの。 」
零したのは、前にも言った言葉。 どうしてそばに居てくれたのか どうしてそばに居ないのか。 沈んでいく意識に、身を委ねて。**
(48) 2021/05/28(Fri) 18:06:26 |
|
ぱちりと目を開ければ、目の前になにかがあった。 驚いて目を瞬く私と同じように、相手も驚いたのか 『 おぉ 』 なんて間抜けな声を出している。
「 、? 」
離れて顔が見えれば、 思わずというように彼の名前を呼んだ。 そうして、確かめるように 手を伸ばしてその頬に触れる。 (75) 2021/05/29(Sat) 19:09:44 |
|
久方ぶりに見た彼の顔は、 どこか前に見たより痩けているように見えた。 でもそんな様子を感じさせないかのように 柔らかい笑みを彼は浮かべる。
ぽつん、と心の中に雫が落ち、波紋が広がる感覚。 私は、彼の頬を抓れば そのまま横に引っ張り
「 ……ばか、急に居なくならないで。 」
そう、言葉を零したのだ。
(76) 2021/05/29(Sat) 19:10:07 |
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恋というものが私にはわからない。 今まで無縁であったもの、 きっとすぐにわかることはないのだろう。
これが恋なのか、恋ではないのか。
少なくとも。 私には、彼が必要なのだと思う。
(77) 2021/05/29(Sat) 19:10:25 |
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真っ白なキャンバスに、 流れる星々を感じさせるような イロトリドリの絵の具を塗って。 真ん中にモチーフを入れたなら。 描くのは、2匹の動物の姿。**
(78) 2021/05/29(Sat) 19:10:34 |
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