蘇生室からの逃走を経て落ち着いたのでロビーにやってきた。
いつも通り端っこ。コップ一杯分の水を手に息を吐いた。

…そういえばあのでかいチョコちゃんと消費されてるんだ。

看守長チョコ趣味悪いし出たら嫌だから。
コップを傾けて喉を潤す。

味の濃い物はひとつも口にしていない。
少しだけ、気になったけど結局頼む事は無い。

「
」

安全をとってこそこそと曲がり角の裏にいるだけ。
会話内容は耳に入ってこないので心穏やか。

「」

無いもの強請り。能力ももっと使い易いものがいい。

曲がり角で2人がぶつかる音だけを聞いている。
ふと耳のいい彼を思い浮かべて、

「………」

人差し指を軽く口に当て、口内で舌を動かす。
薄味の彼と……もう1人の味をなんと表すべきか。

小さな唸りをひとつ落とす。

自分の話をされていた事も、悪趣味な演出を行われた事も何一つだって知らないし知らないままでいい。
映像の要求もしなくていいのだが、知らないから言えない。

「本当に、元気だなあ………」

他者の動きを見て今後の参考にでもと考えたが、わざわざ覗いて眺めていればどちらかが気づきそうなので動かない。

そもそもあれを活用できるかは別。
銃の構えは処刑時の皆を見て、それからアルレシャに正しく教わったのだが。

なんとやる気のない見物人。
煽る事もせずそこにいるだけ。

残念、シトゥラと目が合ってしまった。
二人の味にその彼が加わる。

まだ大丈夫そうだから、もう少しいるけど。

「…………………」

つまらないのは、処刑の結果についてだ。
無礼講ならもっと看守もそこに立って欲しかっただけ。

だから、仕事をする分には仕方ないんじゃない？

>>199 シトゥラ
「…………だから大人しくしてるのに」

実は死にたくない(ずっと言ってる)し痛いの嫌だから。
そもそも勝手に逸らしただけだよねって顔。

あとあれは……テンガンが………………………。
わざわざ口にはしないけどテンガンが全部悪い。
一回死んだら落ち着いたのでここで彼が死んでも馬鹿だと思うだけ。

それから第一の処刑であれだけ票が集まってたんだ。
あの看守バーナードから少し聞いてたし別に詳しく聞く必要も無い。
単純に今回の投票でそれが見たかっただけだ。

>>201 シトゥラ
いい子、と言われて渋い顔をした。
褒められるのは慣れていない。

「………」

目を逸らしながら小声で告げる。聞こえなくてもいい。
緑髪の囚人が悲しむのが見えるし。
ちょっとだけ、ちょっとだけね、その気持ちは理解出来るから。