100 【身内RP】待宵館で月を待つ2【R18G】
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
………
……
…
「身勝手なもんだなァ…」
金烏の怒りを感じたキエが抱いた感想は呆れと煩わしさの2つである。
「自ら歩こうとしないのだから勾引かされた事に寧ろ感謝するべきだと思うがねェ。神は何時何処に行っても身勝手なものだ。
気に入らないなら大洪水でも起こしたまえよ」
キエは自身を否定する手立てが限りなく少ない事を知っている。であるから敵意を向けられても感じるのは呆れと煩わしさだけだった。
「嗚呼面倒くさい、僕らだって逆らえる立場ではないというのに。
なァ、リーパー君?」
キエは中庭での出来事を知らないが故に呑気な呼びかけをした。
/*
誤字に今気付きました。
“金烏”ではなく“日輪”の間違いです。sorry!
| (a5) 2021/10/22(Fri) 11:41:18 |
/*
ハローハロー、あなたのベル記(思い込み)、当方です。
デイリー匿名メモポルターガイストも出来る気分でなかった浮遊想でした。
当方、引き続き『
透明な描写
』を続けますが、本窓が見えている方は特筆がなくとも、任意の箇所を『半透明な描写』として認識していただいてOKです。
何かあれば都度聞いていただければ〜〜! とりあえず今日もLoveを振り撒いておきます、キャッキャッ ٩(ˊᗜˋ*)و
| 貼り紙を貼って暫くして先日茶会が開かれた部屋にキエはいた。テーブルには矢張り2人分の茶会の用意がある。新たな紙とペンも置かれていた。 片方は空だが既にキエのカップにはコーヒーが注がれ、加えられたミルクにより其の黒を濁らせていた。 「はァ〜………」 キエは誰かの下で働くのが初めてであるから、ある種のやり難さが拭えていない。そもそも昔から怠惰を貪り気ままに在ったキエにとって館で課せられた役割は面倒なものだ。 数個の角砂糖を水面に落とすと甘ったるいコーヒーを口に含み、 ??? の着席を待った。 (8) 2021/10/22(Fri) 14:20:59 |
「
え? なにこわ。探偵さんにこの文言で呼ばれたくなくない??
」
「…………」
その時、リーパーは苛ついていた。
キンウという少女が神隠しされたようだけれど、
おまけに自らの名を呼んだようだけれど。
自分は関わっていないから、知ったこっちゃあない!
あとまだ話したこと無いし!
──同じ、館の協力者ではあるけれど。
「あー、イラつく!
なァあのゾズマとかいうやつ殺そうぜ!
オレが殺人鬼ってこと、バラしちまった。
だから知っているやつを全員殺す必要が有る!
今までやってきたオレたちなら、簡単なコトだろ?」
そうして、また襲撃の提案を行う。
今日は永劫に続くと思っている。
”館の協力者”という安寧に、罅が入ったことすら考えない。
「……それに、アイツ。オレを見ているようでムカつくし」
| >>8「そうだねェ…労働は悪だなァって思っている所さ。自分のものではなく預けられた慣れないものを使ったから尚更やり難いよ」 キエの言葉は以前と比べて陰で課された立場を言外に示すものだった。以前は常に監視されている様な気がして口にできなかったが、今は其の視線をそこまで強く感じていないからだ。勿論全く無いという訳ではない。 「其の労働の最中に少し気になる事があってね。 …君、何故チャンドラ君を寒くしたんだい? ミズガネ君と違ってチャンドラ君が暴言を吐くとは思えないんだけども」 (9) 2021/10/22(Fri) 15:21:20 |
「オレ“たち”ねェ…僕ァわざわざ殺す必要も無いし血など流していないよ。其処は一緒くたにしないでくれないか」
キエにとって殺人とは林檎を木の根から引き抜く事と同義である。人が死ぬ事を嫌だとは思わないが歓迎もしていない。
其れでもリーパーの凶行に口を出さないのは、此の館において其れが“神隠し”という自分達に与えられた役目に繋がるからだ。
「良いんじゃないか? 君の事だから放っておいても役目とか関係無くゾズマ君を殺してしまうだろう。
だったら今のうちに
行ってきなさい」
「あ〜〜? 色々引っ掻き回してるのテメェだろ。
オレとオマエは一緒だよ!」
リーパーにとってはそうだった。同じ悪党同士。
あなたにとってはきっと違う。
「
オレ利き手怪我してんだよ!!
ゾズマの野郎にやられて……。 ナイフが握れねえ。
毒殺? 刺殺じゃねェと意味がねェ!」
──即ち。今の殺人鬼は、無力だ。
リーパーは華奢な女ならぬ膂力を持つが、
それは脳のリミッターが動いていないということ。
あなたと違ってどうあがいても人間だ。
怪我が治るまではろくに首も絞められない。
「つまり僕に殺せと? 人間を?」
「…………」
キエは気が短くはないが長くもない。粗暴でもないが温和でもない。感情の起伏というものが乏しくもある。
しかし――……
自分の在り方を変えようとしてくるならば其の限りではない。
「殺したいなら君が殺しなさい。
利き手? 知った事か。其れが僕に何の関係があるんだい。
刺殺? 知った事か。君の在り方を押し付けるな」
キエは不確かな存在であるが故に生死の概念を持たない。だからこそ自分の在り方を自分で定めなければキエはキエでなくなってしまう。
「………
いいね?
」
「…………」
「……オマエさ、ひとのこと『お前』って言えるんだな」
「そりゃそうさ、言葉を知っているからね。
しかし其れは答えになってないなァ?」
キエは喜びを知っているし悲しみを知っている。
キエは愉悦を知っているし憤怒を知っている。
キエは感情を持たないが、喰らってきた数多の夢から確かに感情を知っている。
此れを知っているのは、只1人貴方だけだ。
「で、どうするの君。僕がやるなら相手は僕が決めるけれど」
「…………」
ぐぎぎ、と歯ぎしりの音。
「あァー……。ゾズマは”役目”に関わらず、
オレが個人的に殺す。
今晩の襲撃はオマエに任せるぜ。
相手だって好きに決めればいい!」
「
知りたいって言われたから こたえただけですよ
」
「では相手とやり方は僕の方で決めよう。只候補はあるが成功可否は判らないから其のつもりで。
何となくだけど彼は館の理から少し外れてる気がするんだ。
…まァ失敗したら館の主人のせいさ。もっと便利で強大な理を僕らに与えなかったのが悪い」
先程見せたキエの怒気はすっかり霧散し一滴も見当たらない。代わりに役目に関わらず自らの意思で殺人を計画するリーパーへの感心が隠れている。
キエは殺人を好ましく捉えないが、自ら考え決意し行動に移す者は好ましいと捉えるからだ。
「また何か在れば伝えるよ。互いに運が在ると良いねェ?
……いってらっしゃい、リーパー君」
キエは名前を呼ぶ。名前こそが存在を示す証拠であると考える。
…
……
………
| >>9 勿論キエにも何かが見えている訳ではない。しかし 美味しそう だと思うから其処に居るのだと判る。 「………聞いてはいけない事だったか、もしくは機嫌を損ねさせてしまったかな。僕ァただでさえ気持ちに疎いからきちんと言葉にしてくれなきゃ判らないよ。 Mr.ホワイト、此れはチャンドラ君から依頼された訳ではない。だから僕ァ自分の趣味で聞いているし答えるも黙るも自由さ。只ね、」 (15) 2021/10/22(Fri) 19:36:48 |
| >>9「言葉にできない其の感情を誰かに知って欲しいのならば」
「言葉にできない其の感情を誰かに紐解いて欲しいのならば」
「言葉にできない其の感情を自分で知りたいと思うのならば」 「………僕は適任だよ。どうする?」 (16) 2021/10/22(Fri) 19:39:18 |
| 「…………… 物は言い様だねェ 」 キエはソファで仰向けに寝転がりながら林檎を齧っていた。即興劇に一度意識が向いたが直ぐに興味を無くした。 誰かにとっての喜劇とは誰かにとっての悲劇で――逆もまた然り。事実も空想も視点を変えれば善悪などひっくり返ってしまう。 「 同一人物でも判り合えないんだもの。そりゃあ争いが無くならない筈さァ。 誰かが笑う時必ず誰かが泣くというのに、人とは何時何処まで行っても身勝手なものだね。有り難い事だけれど」 林檎をまた一口齧れば劇の内容はもう忘れてしまった。 咀嚼音の中で、キエは玩具箱の奥底に押し込まれ忘れ去られた透明な子供の叫びを聞く。只聞くだけで何も思う事など無かった。 (26) 2021/10/23(Sat) 0:58:54 |
| >>15 >>16座ったまま視線を上げて目を細め、一度瞬きをすると満足気に頷いた。視線が交わっているかなどキエの知った事ではない。 「確かにそうだね。僕もつい先日同じ様な事をしたからよく判るよ。だが君は自身に悪意が在ると思うのだね。其処も僕と違う。 僕らは同じく理から片足はみ出した者同士じゃないかと思うのだけど、君は随分と……そう、枠に入りたがる様に見えてしまって」 声が僅かに上擦った。カップを持つ指は細く白い女のものだ。言葉の途中で性別が変わったらしい。 「僕は其処が僕の趣味を満たしてくれるんじゃないかって今期待してるんだ」 (27) 2021/10/23(Sat) 1:22:11 |
| >>15 >>16見えない目を見る。 其れを見たとキエは決める 。 「………君、夢は見るかい?」 しんと静かな部屋に声が反響しない。 「言葉ってさァ、不便だと思わないか。言い表せない事だって在るのに言葉という音に嵌め込めば真相とずれてしまう。 しかし言葉が無ければ人と人は意思の疎通ができないから仕方が無い事なのだろうね」 「でも人の理に従うなんて面倒だもの、 。其の方が手っ取り早いだろ?」 (28) 2021/10/23(Sat) 1:24:01 |
| (a31) 2021/10/23(Sat) 6:29:47 |
| キエは、キエは気が短くはないが長くもない。粗暴でもないが温和でもない。感情の起伏というものが乏しくもある。 (a32) 2021/10/23(Sat) 6:31:22 |
| キエは、しかし自分の在り方を変えようとしてくるならば其の限りではない。 (a33) 2021/10/23(Sat) 6:31:34 |
| >>37 ユピテル 「 何も ? 彼女 と話した事は殆ど無いからねェ。 だが其の推論は正しい。酸っぱい林檎を齧った後に甘い林檎を齧ればとても甘く感じるからね。両方在ればより一層味わい深くなる」 キエは動じる事無くユピテルを見上げている。推測を肯定すれば再び林檎を齧った。 彼女に対する返答は此れで終いだと言わんばかりの態度だった。 (38) 2021/10/23(Sat) 7:37:38 |
| >>40 ユピテル 「何かしただなんてまるで僕が加害者みたいな事言うねェ。 其方に関してだって、 何も ? 寧ろ僕ァ差し出されたから受け取っただけでね、何かされた方さ」 真犯人に対しての言及に訂正は入らない。此処まで広められては探偵という肩書きも役に立たないからだ。 (41) 2021/10/23(Sat) 7:52:08 |
| (a35) 2021/10/23(Sat) 8:18:05 |
| (a36) 2021/10/23(Sat) 8:19:19 |
| (a37) 2021/10/23(Sat) 8:39:31 |
| >>44 ユピテル 「……………」 其れは呆れと面倒さを両方示した表情に見える。 「………君はさァ、“吐け”と言われて頷くのかい。 いや君なら頷きそうだなァ…。 できる事としたい事がイコールで繋がっていたらとっくに実行しているさ」 返事は全ての質問への肯定で、結局の処“可能だが拒否する”という簡素な内容である。 「だけど君が此処へ何も考えず来たとは考えられない。少なからず僕と直接会話をして、彼らから話を聞いて、僕が善意で損を被る者だと判断した訳じゃあないだろう。 僕の本質を見抜いたのだから気付いていないとは言わせないよ」 (46) 2021/10/23(Sat) 13:01:46 |
| >>44 ユピテル 「対価くらい考えてるんじゃないの?」 「其れ次第だよ。もう 此れは僕のものなんだから無償で“あげる”事は絶対にしない」 “返す”という言葉を訂正しながらキエは言った。 (47) 2021/10/23(Sat) 13:02:38 |
| (a38) 2021/10/23(Sat) 15:03:29 |
| キエは、怠惰だ。手間などかけたくないし完成を待つのが其の限度である。 (a39) 2021/10/23(Sat) 15:05:33 |
| キエは、しかし口を開けているだけで食事ができるなら、有り難いと思う程度の損得勘定を持つ。 (a40) 2021/10/23(Sat) 15:05:48 |
| (a41) 2021/10/23(Sat) 15:06:02 |
| キエは、「僕へ辿り着く前に彼が消えちゃうかもしれないけれど」 (a42) 2021/10/23(Sat) 15:08:13 |
| (a43) 2021/10/23(Sat) 15:08:26 |
| (a44) 2021/10/23(Sat) 15:08:37 |
| キエは、怠惰だ。自ら追う程何かを求めない。代わりは幾らでも在るのだから。 (a45) 2021/10/23(Sat) 15:09:06 |
| >>51 >>52 ユピテル 「君って案外世間知らずじゃないよねェ。契約前に内容の開示を求めてきたの此処では君が初めてだよ。そして予め言っておくんだが以前伝えた通り君は“基準を満たしていない”から君の持ち物では対価にならない」 現時点でキエはユピテルをそう思っている。キエは賢者と取引をしない。彼らは キエの望む品を持ち得ないからだ 。 そしてキエの好む人種というものは傍目に見ても非常に判り易い。 さらにキエは地中の奥深くに眠る謎を掘り起こす程飢えてもいない。 「 愁傷 、 苦悩 、 寂寥 、 憎悪 、 絶望 ………此の辺り? 僕ァ食が細いから“後一滴で溢れる程に濃い感情”しか食べないよ」 キエは『悩み多き者』が『必死に隠そうと足掻く』『毎秒付き纏う 希死念慮』の方が好みだ。 (56) 2021/10/23(Sat) 15:58:02 |
あなたの胎の中が蠢く。
どどめ色の極彩色から、逃げ回る素朴な光。
ゲイザーには聞こえている。
それらの愁傷、苦悩、寂寥、憎悪、絶望──その声が。
その中の、僅かな後悔──その声が。
あなたは周到な手段で目的を遂行する。
相手の合意ありきで行動する。
けれど、誘われたのはリーパーの方だ。
ゲイザーは何も聞いちゃいない。 ⇒
そして、ゲイザーは。
物語のヒロインでも、守られるだけのか弱いお姫様でもない。
リーパーがゲイザーなら。
ゲイザーだって、リーパーだ。
『……さん!』
『キエさん!! 聞こえていますか!!!!』
ゲイザーは怒っている。
あなたの胎の底で逃げ回るならば、
あなたの声だって聞こえている。
語りかける寝物語も、その全てが。
『あたしあなたのこと許しませんから!!
出してください、ねえっ!!』
『あたし、謝らなきゃいけないことがあるんですっ!』
『ミズガネさんに』
『チャンドラちゃんに』
『……リーパーに!!』
『そのどれもが、あなたのお腹じゃ成し得ない!
リーパーと会えるのがあなたのお腹の中なら」
『あたしたち二人揃って神隠しされて、
だれにも見えなくなったほうがずっとマシ!!』
⇒
『リーパーが頷いたからこうしたのは知ってる!』
『でもあなた、ムカつくんですよ!!』
それは正当でもなんでもない。
不当な怒りだ。
『出してくれないと
あなたのお腹蹴っ飛ばしますよ!!』
あなたは自らを定義し、そして同時に人に定義される。
人と共生することで生き永らえる存在だ。
だからこそ狡猾に動く。
ゲイザーは特別だ。記憶じゃない。
確固としたひとつの人格があなたの胎に治まっている。
だから反抗を成し得た。
この館で、願いは魔力となり力を持つ。
館の魔力を無自覚に用いて、ゲイザーは外に出たいと主張する。
さて、どうなる?
これは人ならざる怪物と、最早人の形を持たぬヒトの力比べだ。
| >> >>53 >>54「………」 キエは喉が鳴った。生来の欲望が形を変えて騒ぎ立てるのをじっと黙ってやり過ごす。 聞こえない音が聞こえる。 聞こえると思う 。 「…其の言い方だと君は眠れないの?」 温度の無い手が何故だか燃える様に熱く感じて、 「本当に? 本当に寝た事が無いんだね?」 顎を軽く持ち上げる指が何故だか 処女の細い指の様に思えて、 (57) 2021/10/23(Sat) 16:41:46 |
| >> >>53 >>54「 其れを早く言ってくれ!! 」 とっくに忘れていた筈の歓喜がとうとう弾けた。 性を食い物にする事を辞めた時に諦めた筈のご馳走が、 食べられる筈が無いと思っていた初物が、今、今、目の前に在る! 「嗚呼勿論だとも! 眠らなくたって、眠れなくたって、 此処でなら! 僕は君に素敵な夢を………夜の長さなんて忘れる程の夢を見せてあげる!!」 キエは感情の変化に乏しい。しかし其れは本来の在り方から外れてしまったが故の本能と気質の不和から来るものだ。 されどたった今初めてキエは本能と気質が合致するご馳走を見つけた。 勢い良く立ち上がると其の儘 ??? へ抱き着いた。椅子の倒れる音がしたし温度は感じないがそんな事はどうでもいい。 …キエが何かを欲し手を伸ばすなど此れが初めてであった。 「さァ、目を閉じて。大丈夫だよ、夢は恐ろしいものではないから。きっと君も気に入るよ。全身全霊をかけて僕が誘ってあげる。怖くない。対価なんて求めない。だから安心して?」 胎の底が怒りではなく喜びで煮えている。其の熱気に触れるかどうかはナニカ次第。 普段の難解な言い回しは何処にも無い。獲物を眼前にした捕食者が無防備に ??? へ腕を回していた。 (58) 2021/10/23(Sat) 16:43:18 |
「君に許されなくたって僕が僕を許すんだから其れで良いんだよ。人間は本当に身勝手だなァ…君達の都合に僕を付き合わせないでほしいね」
キエは胎の底から聞こえる声を聞き流していた。其れは自分が得意とする
夢の世界にいるからこその余裕であり慢心でもあった。
“人格を喰らうのは僕も初めてでねェ。
咀嚼に時間がかかってしまうだろうがそこは許してほしいな”
此の言葉に嘘偽りなくキエが胎に人格を収めたのは初めての事である。意思を持つ食べ物など初めて口にしたが故に胎の中から抗われた事も初めてだ。
だからこそ、此の展開をちっとも考えていなかった。
未だ“ゲイザー”に此処まで意思が残っているだなんて思っていなかった。
「
」
キエは初めて吐き気を催す。
| (a50) 2021/10/23(Sat) 17:35:32 |
キエは嘘吐きであるし数え切れない程の嘘を吐いてきたが幾つか本当の事がある。其の内ひとつが食の細さだ。
大食らいでないからこそ此の在り方に馴染んでいる。
性でもなく感情でもない力が胎で溢れれば直ぐに許容量の限界は訪れてしまう。
「ちょ、
ちょっと
」
「待って、本当に待って………此の儘だと
。君以外の感情も全部を撒き散らしてしまうよ、其れは望む処じゃあないだろ…」
此の小さな箱庭で禍根を全て零してしまえば結果は目に見えている。此れまで散々見せて来た高圧的な態度は今や見る影もない。
| キエは、嘘吐きであるし数え切れない程の嘘を吐いてきた。 (a51) 2021/10/23(Sat) 17:38:50 |
| (a52) 2021/10/23(Sat) 17:39:37 |
| (a53) 2021/10/23(Sat) 17:40:04 |
あのキエが、心底から焦燥している。……効いている!
「ええっ!?」
だが思わずゲイザーはその足を止める。
それが嘘じゃないのはわかった。胎動している。
このおどろおどろしい、感情のひとつひとつが。
その中にはきっとリソースとなったトラヴィスや、
ほかゲイザーも知らぬ契約を交わした
ゲストたちの記憶が混ざっている。
「そ、それは困ります……。けど、そうは言われたって!
……どうすればいいんですか!」
| >>59 >>60 ユピテル 自分にだけ告げられた言葉を聞いてキエは暫し思案する。 「先ず1つ、僕ァ感情其の物ではなく人が夢を見て想像した気持ちだけ食べる。そうでもしないと枯れてしまうだろう? 僕らも其れは困るんだよ。 そして資格に関して、此方は“今の君”には無いという返答に変わった」 食事を中断しユピテルの瞳を見上げたキエはその奥を見ようとして、 (62) 2021/10/23(Sat) 18:25:56 |
| >>59 >>60 ユピテル …………諦めた。 「嗚呼、別の方法を探すといい」 キエは使用人を呼び止めると無花果を持ってくるように告げる。林檎を皮ごと食べながら次の果実が来るのを待ち始めた。此れで交渉は終わりという事だろう。 尤も、ユピテル達は契約など交わさなくとも済む筈だ。 (63) 2021/10/23(Sat) 18:27:10 |
胎の底から1匹の鰐が浮かび上がると其の背中はゲイザーの足場になった。
「はいはい、出してあげるから大人しくしてなさい。…で、何処に出るの君」
鰐が発する声はキエのものだ。此の鰐が“キエ”だと夢を見ているゲイザーならば判るだろう。
鰐はゲイザーを乗せてゆっくりと感情と記憶の沼を泳いでいく。
………そう、沼だ。ゲイザーは人格であるから直ぐに混ざらなかったというだけで、本来胎の中は泥濘のように混ざっている。此処から特定の何かを掬い上げる事など砂浜から一粒の砂を探し当てる事に等しい。
何処かから赤ん坊の泣き声が聞こえる。
「君達が勝手に持ち込んだ魔力とやらを使わせて貰うからね。君も出られるんなら文句無いだろ?」
キエの行動は酷くあっさりとしていた。此処から出る為の試練も無ければ課題も無いが其れが“キエ”だからだ。
定義がキエを形作るとするならば、
この鰐もまた、キエの一部分なのだろうか。
ゲイザーは悍ましいアトラクションのような景色を進む。
「ま、魔力……? あたしっ、魔法使いじゃありませんし。
よくわからないですけど……。
わ、悪いことしないならいいですよっ!」
きっとあなたは、
”悪いことなんて滅相もない”なんて返してしまうのだろう、
そも善悪基準が人間とは違うのだから。
拍子抜けするほど簡単な脱出に、
”もっと早く声をあげればよかった”なんて思いながら。
⇒
| >> >>64 >>65 女の柔らかい肩が、腕が、胸が、腹が、腿が、冷えていく。錯覚はまだ止まない。 「……此れでも口説いてるんだけど?可愛い子猫ちゃんが誘ってると言うのに冷たいねェ。 君さえ決めてくれればきっとできるのに…残念だ、とても」 真っ白な指先で頬 があるかもしれない 場所を撫でると抱き締める力を強めた。実際にできるかどうかなど知らないしそうであれば良いと願っているだけだ。 熱で潤む瞳を歪ませ口から冷たい吐息を漏らす。キエは寒くても死ぬ事が無いからこそ何の危機感も持たず其の儘笑っている。 「嗚呼、夢を見ないMr. ホワイト。僕は君が夢を見ないからこそ此の想いを思い出した。ずるいなァ、口惜しいなァ…目の前に在るのに食べられないなんて。 きっと人は此れを夢物語のようだと言うのかな 」 キエは此の想いもいつか飽きて忘れてしまう。夢を見ない ??? の事は覚えていても、感情の起伏が少ないからきっと此の歓喜を忘れてしまう。 ??? が期待していないからこそ此の想いは直ぐ冷える。 音の眠るような静けさの中、目を閉じて目蓋越しに何かを見たと思う。 「もう少しこうしていても? 多分僕、君から離れたら冷たいのを失くしちゃう気がするから」 自分の理を持つキエは誰かに支配された事など無かったから其の時間を強請る。 そんな時間を過ごすのか、それとも直ぐに身体を離してしまうのかは ??? 次第だ。 (66) 2021/10/23(Sat) 19:55:11 |
「…ん、見えた」
目的地を意識に捉えると迷う事なく速度を上げた。
キエは人を導かないし救いもしないし愛していない。されど人を大切にせざるを得ない曖昧模糊な存在だ。
人によってキエは善にも悪にも成ってしまうし、キエ自身も自ら其の在り方を選んだ。其れはキエの嫌う面倒が多く在る筈なのに選んだ道だ。
赤ん坊の泣き声が遠くなっていく。
「相も変わらずおかしな事を言うねェ君は」
| (a55) 2021/10/23(Sat) 20:12:14 |
| キエは、直ぐに其処へゲイザーを落とすとさっさと帰ってしまう。 (a56) 2021/10/23(Sat) 20:12:47 |
| キエは、ゲイザーが持ち込んだ魔力で2人を会わせた。 (a57) 2021/10/23(Sat) 20:14:32 |
| キエは、ゲイザーが持ち込んだ魔力で崩れた自分を少し直した。 (a58) 2021/10/23(Sat) 20:14:56 |
| キエは、残った魔力を身体の外に流した。こんな異物が在っては“キエ”ではなくなるから。 (a59) 2021/10/23(Sat) 20:16:20 |
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