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【人】 綴り手 柏倉陸玖──稲生学園は。 今日も今日とて騒々しい朝だ。 そう、今日も。生徒会副会長は、 日々何処かで何かが起きている事を知っている。 あらゆる異能者が集まるこの稲生学園に於いて。 ちょっとした隠し事を拾う目や耳など、幾らでもある。 誰も知り得ないような事は"知らない"けれど。 ずっと前からそんな気はしていたのだ。 ここ数日間続いている、『噂』による曖昧な不安は 一介の生徒に抑え切れるようなものではないと。 ここまで大事になってしまえば。学園側としても 真偽の程には関わらず、白を切り続けるのは難しいだろう。 つまるところ、終わりは近いのだ。 であれば、生徒会副会長のすべき事は変わらない。 今日も、いつも通りの仕事を始めよう。 (11) 2021/11/04(Thu) 22:19:44 |
柏倉陸玖は、憂鬱だ。 (a3) 2021/11/04(Thu) 22:19:50 |
【人】 綴り手 柏倉陸玖>>22 鏡沼 「ははは。本当に」 その一瞬だけ。 調子はそのままに、言葉に胸中を滲ませるあなたとは反対に。 この副会長は、言っている事こそいつも通りだけれど その声色は随分とうんざりしたようなものだった。 「ねえ、鏡沼君。 今に始まった話ではなく、きっと君は無理をしていますよ。 随分慣れてしまって、それが無理なのだとわからないだけで」 それも束の間、いつも通り穏やかにそう切り出す。 「きっと君が必要と判断してそうしている事でしょうから。 それを咎めるつもりは、俺にはありませんが。 それでも、少しでも"上手くやる"為には。 利用できるものは利用すべきと思いませんか?」 「放送室での一件もそう。 後からでも、きちんと俺に話を通しておいてくだされば 普川に便宜を図るくらいはしましたのに。」 根掘り葉掘り事情聴取を受けたかったのなら、話は別ですが。 一度言葉をそう締め括って、また一つ苦笑した。 (25) 2021/11/04(Thu) 23:47:21 |
【人】 綴り手 柏倉陸玖>>26 >>27 鏡沼 「おや、信用されていませんでした? ちょっとショックです。 これでも日頃の行いは良い方と自負していますのに」 とはいえこれも偏に俺の不徳の致す所でしょうか、なんて。 眉尻を下げてそう呟いた。 柏倉は、その敵愾心を物ともしない。 「そうは言っても、それはそれ、これはこれ。 ええ、頭から信用して掛からないのは賢明な事ですよ。 俺だって、君に隠し事が無いわけじゃない」 そんな猜疑心を煽りかねない事を一つさらりと言って。 実際の所、柏倉の隠し事なんて幾らでもある。 それはたとえば、異能の事だとか。 「信用していないからこそ、ただ利用すればよろしい。 もしも何かが、君の信用、信頼、期待に付け入って。 全て引っ繰り返そうとするなら、寝首を掻こうとするなら。 その悪意さえも利用し返してやるという気概を持ちなさい。 」「現実は実に残酷で、世の中は決して甘くない。 何かに期待する事すら億劫になる事もありましょう。 それでも俺達は、たった一人で全てを為せるほど 時には気に食わないものでも、頼らずには居られないほど。 決して強くはないのですよ。ええ、忌々しい事に。」 (30) 2021/11/05(Fri) 0:39:37 |
【人】 綴り手 柏倉陸玖>>32 鏡沼 「ははは。いよいよ俺の周りは同類ばかりらしい」 とはいえ決して他者を信用していないわけではない。 基本的に、人の言う事は信じる方だ。 それはそれとして、常に不測の事態に備える事を選びはする。 柏倉陸玖は、いつだって他者に期待しないだけ。 だから他者に対して『こうなって欲しい』などと思う事は無い。 ただ在るが儘に、在りたいように在れば良いと思っている。 自分に誰かの在り方を変えられるような力は無い。 「たとえお前がどれだけ殆ど無数に遍在できるとしても。 それらには、必ず集約される先である『鏡沼創』がある。 身体は増えても、精神は一つだけ。違います?」 (34) 2021/11/05(Fri) 1:50:26 |
【人】 綴り手 柏倉陸玖>>32 鏡沼 「仮にそうだと仮定するなら、『鏡沼創』は一人だけだ。 枝は分かれても、その幹は一つ。 その上、枝の伸びるその先に関しては どうせ"観測"されていなければ干渉できないんだろう。 その異能は結局の所、何もかも。 他者の認識に依存したもの なんじゃないか?」姿を現し、そして消える『鏡沼創』を見て、そう結論付けた。 柏倉陸玖の両親は、異能の研究を手掛けている。 そして異能戦闘で勝つ為に、ままならない自身の異能と それより余程戦闘に向いた他者の異能との差を埋める為に。 自らあらゆる異能と向き合い、分析を続けた。 あなたはこれまでで、もう十分に手の内を明かしてくれた。 今はまだ、その全てを見抜けたわけではなくとも。 柏倉は、見せ掛けに惑わされてくれるほど優しくはない。 それはそれとして。 残ったものが、真実『本物』であるかどうかは関係無い。 今相対しているものもまた、確かに『鏡沼創』なのだと。 そう認識し、そして定義しているのだから。 (36) 2021/11/05(Fri) 1:51:36 |
柏倉陸玖は、他者に期待しようとしない。期待させたがる馬鹿は居るが。 (a17) 2021/11/05(Fri) 1:51:48 |
柏倉陸玖は、在るが儘と向き合い続ける。いつだって。 (a18) 2021/11/05(Fri) 1:51:57 |
【人】 綴り手 柏倉陸玖>>37 鏡沼 「可愛い後輩からのお褒めの言葉は一つで十分ですよ。 隠すつもりがあるか否かと、隠せるか否かは別の問題ですが。 俺の異能は幸い、隠し通す事もできなくはない。 であればこんな異能、隠す事こそ義務と思いますけどね」 こんな異能、という言葉が指すのは自身の異能。 その性質は、随分と物騒なもので。 であれば誰にも知られぬよう葬り去るのが賢明というものだ。 「人間、誰しもTPOに応じた側面があるもので。 "自分"が複数あるのは何もお前に限った話じゃないだろうよ。 問題は、その場合それら複数を並行して行える事。 その負荷でそれらの統合される先が潰れれば御破算だ。」 或いは、他の『鏡沼創』が新たに成り代わるのかもしれないが。 そうだとしても、『本体』にあたる統合先が 高負荷に陥れば、何処かで機能不全を起こしかねないわけで。 「だからその負荷を分散できる先をよそに作れ、と。 その為に利用できるものは利用しなさいと。 お節介な副会長はそう言っているんですが。 大層器用で、そしてお強くいらっしゃる後輩さんには どうにもご理解頂けない理屈でしょうかね?」 (40) 2021/11/05(Fri) 3:00:50 |
【人】 綴り手 柏倉陸玖>>41 鏡沼 「…それはさておき。 そうですねぇ、一度それに慣れてしまえば… というより。君にとっては生まれつきそうであって その状態が"普通"なのでしょうけど」 それでも、異能抑制剤を使用してはいるのだから。 一般的に言う所の、『普通の状態』というものに 何も全く想像が及ばないという事もないのではないだろうか。 そんな詮無い事を思う。 「これまでその努力をしていなかった、とは思いませんが。 根本的な解決を図るなら、制御を試みるしか無いのでは? 自分に合った薬を探す、でも良いとは思いますが。 あちこち首を突っ込むな、と言われてそうできるほど 君は決して薄情者ではないようですし。」 何れにせよ、今一度、改めて制御の方法を模索するのであれば。 その為に適切な道を提示する事はできる。 何せ柏倉の家はそういう家系だ。 「それから、これは場当たり的な処置ではありますが。 あちらこちらで抱えた問題を相談して頂けるのであれば。 勿論、俺はいつだって力になりますけども。 それもまた、ある程度は分散先の一つになりますでしょう?」 「つまり、結局の所。 もう少し人を頼る事を覚えなさい、という事ですよ。」 (43) 2021/11/05(Fri) 5:05:10 |
【人】 綴り手 柏倉陸玖>>44 >>45 鏡沼 「…どんな異能も、持ち主が制御下に置く事ができなければ。 どうしたって、大小問わず困った事にはなる。 それを克服する為に、日夜研究は進んでいるのですよ」 明かされた詳細に動じないのは、自分の異能の事もあってか。 或いは単純に、そんな事もあると理解しているからか。 ともあれ柏倉は。 ままならない現実に、素直に甘んじてやるような人間ではない。 「気軽に訓練のできる異能ではないのは重々承知しています。 であれば、薬によってある程度弱めた状態から始めれば良い。 この頃はそういったやり方もあるのですよ。 少し専門的な所で行うものですから、 これまでご存知無くとも仕方ありませんけどもね。」 幾度も突き付けられる現実に、内心唾を吐きながら。 それでも。みっともなく、見苦しく、泥臭く。 利用できるものは、全て利用してでも。 ここまで足掻いて来たのが柏倉陸玖という人間だ。 「どのような形であれ、君が克服する事を望むなら。 俺はその為の道を模索し、そして提示し続けましょう。 尤も、その道を選ぶかどうかは、君の自由ですが。 利用するに値すると感じた時だけ利用なさればよろしい。 俺というものは、結局。前途ある君達の為の 引き立て役たる影であり、乗り越える為の試練であり そして君達に寄り添う相談役、なのですからね。」 (48) 2021/11/05(Fri) 19:00:38 |
【人】 綴り手 柏倉陸玖>>44 >>45 鏡沼 「とはいえあの薬はダメですね。 いえ、それそのものは決して悪いものではないのですが。 やり方も良くなければ、適切に対応できる用意もない。 そういった条件下で異能を不安定にすれば。 それは、こうもなろうというものです。」 そうは言ってもそれはそれ、これはこれ。 生徒会副会長というものは、連日の騒動に対処する側でもあり。 杜撰な体制にそれはもううんざりとしていたのだ。 「ねえ、鏡沼君。 犯人探しは、やめておいた方が良いですよ。 少なくとも今は。直接関与した人間達を止めた所で 他の誰かが犯人になるだけですから。」 それはまるで自分が犯人ではないかのような口振りで。 とはいえ柏倉は、直接関与していたにせよ、していないにせよ。 結局は同じ事をするのだろう。そういう人間だ。 「それでも君が"できるからやる"と言うのであれば。 俺は決して止めはしませんけどもね。 何よりも、やり返してやるというのは胸がすくものです」 (49) 2021/11/05(Fri) 19:01:39 |
【人】 綴り手 柏倉陸玖>>44 >>45 鏡沼 「けれど、今はもっと優先してやるべき事があるでしょう? だと言うのに無闇矢鱈と負荷を増やすというのは 俺はあまり、得策ではないように思うのですよ。」 今のあなたには、既に随分と負荷が掛かっている。 そのように見える。 今まで生徒会役員として、それなりに接して来た中で。 これまで出す事の無かったボロを出してしまう程度には。 「真に是正すべきは、これを看過し続けた学園側。 俺は実際の所、実に無力な副会長ではありますが。 君に代わって苦情を届けるくらいは致しましょう。 だから君は、今は知り合いの傍に居る事に注力なさると良い」 「幾ら君が、"何処にでも居る"としても。 心ここに在らずというのは、寂しいものですよ。」 (50) 2021/11/05(Fri) 19:02:05 |
【人】 綴り手 柏倉陸玖>>51 >>52 >>53 鏡沼 「はは、仰る通りです。 手の掛かる子ほど可愛いとはよく言ったもので。 こういう立場を選んだ以上、必要としてくれる人が居なければ 結局俺の居場所なんて何処にもありませんから。 つまり、こうして気遣うのは。結局は自分の為という事です」 柏倉は、日頃から必要とされる為の努力をしているつもりだ。 その為に副会長という立場を選んで、 その為に、誰もが頼れるものであるように振る舞っている。 「けれど、それと同時に。 知り合いが困っていたら助けたいと思うのは。 それって別に、誰しも当たり前の事だとは思いませんか?」 だからと言って、"自分"を蔑ろにしているわけではない。 寧ろ、それこそが自分なのだと開き直ってさえいる。 そう定義している。きっと誰もが呆れ返るほど頑固に。 「とはいえまあ、釘を差しただけですよ。 世の中言われなかったからと好き勝手する馬鹿も居るもので。 そう仰るのなら、こちらも"適当に"やっておきますとも。 ですから鏡沼君も、"上手くやって"くださいね。」 そんな言葉と共に、いつも通りに姿を消す後輩を見送った。 結局の所。 たとえその理由が、周囲の為に、であったとしても。 総合的に判断し、去就を"選んで"いるのは、『鏡沼創』だろう。 柏倉陸玖は、そのように認識している。 (54) 2021/11/05(Fri) 22:07:38 |
柏倉陸玖は、無力な副会長だ。 (a44) 2021/11/06(Sat) 17:33:14 |
柏倉陸玖は、これからもそうなのだろうと思う。 (a45) 2021/11/06(Sat) 17:34:40 |
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