【人】 XIV『節制』 シトラ──現在・玄関ホール ありがとう、ございました エーリクさん わたしと、お話……してくれて おかげで、すこし 気持ち……落ち着け、られました ……わたし、 [ 期限は刻々と迫り来る。 エーリクさんも、話しておきたいひとが居るはずだ。 お話がひと段落ついたところで、そっと手を離した。 顔を上げれば、視界が広がる。 常と何ひとつ変わらない笑顔のシンさんが>>1:436 カルクさんの手を取っているのが目に入る。>>139 いつか眠れなかったわたしを 優しく撫でてくれたそのひとが、 今は何故だか小さく見えた。 その柔和な笑みの底にどんな想いを秘めていたか まだ何も知らないわたしは、 世界の醜さも美しさも まだそのすべては知らない、わたしは。] (203) 2022/12/16(Fri) 23:24:08 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 俄かに、先程より館内が騒々しくなったのを感じた。 お世話になってきた職員さんたちが 険しい表情で洋館内を駆け回っている。 何でも、火急の報せが入った、とか。] …………それ、って、 [ とてつもなく悪い予感がして 思いきり床を蹴って真っすぐに駆け出した。 広間の方へと向かう途中、 ヒナギクさんとはすれ違えただろうか。>>202 向かう先は薬草園、あの子の、アリアちゃんの元へ ]** (205) 2022/12/16(Fri) 23:24:28 |
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。 (a44) 2022/12/16(Fri) 23:28:04 |
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。 (a61) 2022/12/17(Sat) 5:56:51 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 一分でも、一秒でも早く会いに行きたい。 傍に行って、顔を見て、話をしたい。 アリアちゃんはどうしたいと考えているのか、 どうしてフォルスさんの答えに興味を持ったのか。 たとえ選ぼうとする道がわたしと違ったとしても アリアちゃんの想いだけは、知らないままで居たくない。 わたしの気持ちも、選びたい答えも あなたには伝えておきたい。 伝えておかなければいけない。 わたしが今こうしてここに居られるのは アリアちゃんがずっと傍に居てくれたからなの。 ] (377) 2022/12/17(Sat) 22:52:23 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ お世話係のひとたちやメイドさんたちに 時折ぶつかってしまいそうになりながら 磨き上げられた廊下を駆けた。 ……誰かから逃げ出そうとするではなく 追いかけるために走ろうとするのは、 わたしとしては珍しい行いだったと思う。 洋館で暮らすようになるまで 閉じた箱の中で暮らしてきたわたしは、 走る、という行為をほとんどしたことがなかった。 ゆえに、走ろうとすればすぐに転びそうになった。 転んでしまえば人を巻き添えにしてしまうか 調度品を壊してしまうかで誰かに迷惑を掛けてしまう。 そう思うからこそ、進んで屋内を走ろうとはしなかったし そもそも走る必要がなかった。 わたしが傍に行きたいひとは、いつだって わたしに歩幅を合わせてくれていた。] (378) 2022/12/17(Sat) 22:52:35 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 彼女の居る薬草園を目指して見据えた前方 不意に、鮮やかなオレンジが迫ってくるのが見えた。 少し前、 怯えていたアリスさんと一緒にどこかへ行く姿を 滲んだ視界の端で捉えてはいた。 アリスさんは大丈夫かな。 ヒナギクさんは、どうしたいと思っているんだろう。 彼女とも話をしなければ、と意を決して わたしが息を吸い込むより、 あちらの呼び掛けの方が早かった。>>238 ] ヒナギクさん……! わ、わたしは、薬草園へ アリアちゃんの、ところに 行こうと……っ ……してた、んですが [ 勢いに気圧されるがまま質問に答えつつ 足を止めて乱れた呼吸を整える。] (379) 2022/12/17(Sat) 22:53:27 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ わたしも急いではいたけれど、彼女の焦りようからは ただならない気配が感じられて ] ……な 何か…………あった、の? [ アリアちゃん以外には滅多に出ない 素の口調になってしまった。 異常気象、地震、陥没、建物の倒壊、津波、嵐。 世界をその目で見てきた彼女の口から伝えられる、 いま世界中で起こり始めている崩壊の序章。 背筋に、冷たい汗が流れ落ちてゆく ] そんな………… もう、……始まって、いるの [ 絶望的な気持ちで窓の外へと視線を移す。声が、震えた。] (380) 2022/12/17(Sat) 22:54:21 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ それなら猶更早く行かなきゃ。 何もかもが手遅れになってしまう前に。 ヒナギクさんが他のみんなにも 報せを伝えて回ろうとしているのを知れば、 出会えたひとにはわたしも伝えます、と言い添えて ] は、い また、後で…………! [ 彼女と別れ、再び廊下を駆け出し始めてから ヒナギクさんの言葉が一週間前に聴いたそれと 同じだったことにふと気付く。>>241 あのときは、 こんな気持ちで同じ言葉を聴くことになるなんて 少しも思ってはいなかったのに。 ]* (381) 2022/12/17(Sat) 22:54:26 |
【人】 XIV『節制』 シトラ── 薬草園 アリアちゃん……!! アリアちゃん、あのね、わたし……! ……あれ、……いない…………? [ 息を切らして辿り着いた生い茂る緑の中、 探し人の姿はどこにも見当たらない。 いつも彼女が座っている椅子には、彼女の代わりに 小さな黒板が立てかけてあった。>>126 ] …………どこに行っちゃったのかな 探しに……ううん、 また入れ違いになっちゃうかもしれないし ……入れ違って、ばっかりだね [ メッセージを信じて、迷いながらも腰を下ろす。 まだ名前と効能を覚えきれていない薬草達からは アリアちゃんの部屋と同じ匂いがした。] (382) 2022/12/17(Sat) 23:06:12 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ もしかすると、あのひとの あのひとたちのところに行ったのかもしれない。 一番に思い浮かんだのはクリスタベルさんの顔だった。 クリスタベルさんに出会って アリアちゃんの背に隠れつつ初めましてをしたとき、 その挨拶に衝撃を受けたのは今でも忘れない。 穏やかな笑みを湛えたそのひとは それまでのわたしが思いも寄らなかったような存在で、 自分の生きてきた世界の小ささを 思い知るきっかけのひとつともなった。 ──クリスタベルさんが倒れたときのアリアちゃんは わたしがそれまで知らなかった表情をしていて、 彼女の為に何もできない自分の無力さを ]殊更に歯痒く思ったのも、忘れない。 (383) 2022/12/17(Sat) 23:06:56 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 玄関ホールで神様の声を聴いた後、 クリスタベルさんとゼロさんが話しているのは見ていた。 けれど、その会話の内容は頭に入っては来なかった。 わたしが呆然としている間に 気付いたらクリスタベルさんの姿は消えていた。 その身を案じたアリアちゃんが 様子を見に行ったのだとしても、何も不思議はない。 ──そう、アリアちゃんには アリアちゃんのやりたいこと、すべきことがあるはずで。 限られた時間をわたしにばかり使わせることを 申し訳なく思いながら、 ずっとその優しさに甘えてきてしまった。] ………………、 [ こうしてひとりで緑に囲まれていると 世界の崩壊が始まっているなんて嘘みたいだ。 いくつもの想い出が詰まったこの場所も、 明日には崩れ落ちてしまうのかな。 ここは静かだな、と現実から逃避しかけたそのとき 背後からひぇ、と声が聴こえた。>>269] (384) 2022/12/17(Sat) 23:07:45 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 振り向いて目に飛び込んできたその姿に 反射的に、鼓動が跳ねる。] …………っ、クロさん [ 声にこそ出さなかったものの わたしの内心も「ひぇ……」だった。 どうして。彼が。ここに居るのか。 咄嗟に身構えて表情を強張らせた後で 用があるのはアリアちゃんではないかと思い至れば、] ……え わたし、……ですか? 構いません…………が [ 驚きに見開いた瞳を大きく瞬いて向き直った。 一度きちんと向き合って話をすべきだと、 頭ではずっとわかっていた。 魂を揺さぶるこの感情は わたしの知らない誰かのもので、 わたしは、クロさんのことを クロさん自身のことを何ひとつ知らない。] (385) 2022/12/17(Sat) 23:08:51 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 本当は話したいことも 尋ねたいことも、いくらでもあった。 もしも解りあえないとしても だからこそ話をすべきだとも思っていた。 こんな状況に置かれるまで、勇気が出なかっただけ。] えと…… あの…… その ──何から、お話しましょうか [ 窺うように、彼の方をじっと見つめる。 きちんと揃えた両膝に両手を置いて。]** (386) 2022/12/17(Sat) 23:09:09 |
(a90) 2022/12/17(Sat) 23:15:33 |
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