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【人】 きっと教育係 キネレト[『愛されることより愛することを。 理解されることより理解することを。』 そう語った偉人がかつて居たらしい。 僕は君を愛しているつもりでいるけれど 君がくれる愛に応えられているかは日々自問してしまう。 君という人間を真に理解できているかと問われれば、 まだまだ全然足りていないと思う。 『あいしている』と言葉にしなければ伝わらなくて ただ言葉にするだけでも伝えられないような気がする。 僕が身を寄せ唇を重ねようと試みることを 君が拒むことはないのだと思い知りながら、 それでも独りよがりになっていないか不安になってしまう。 君は、 僕のありもしない神力を欲して僕を望んだ訳じゃない。 家政婦や介助者が欲しくて僕を望んだ訳でもない。 僕を僕個人として尊重して大切にしてくれている。 君に惹かれて主義さえ改めるような人は沢山居て 僕よりも機転の効く美しい人も世の中には大勢居て、 そんな中から僕を選んでくれた君に何が出来るんだろう。 僕にとって君の存在が 何よりかけがえのない大切な存在だと、 どうすれば君に伝えられるんだろう。 そう真剣に考えて行動しようとすることが 君を愛するってことに繋がると思っていた。] (56) 2021/01/02(Sat) 17:50:41 |
【人】 きっと教育係 キネレト[君にだって大変な時はある筈だ。 何でも話せる間柄になりたいと伝えてはいても 知らないうちに我慢してくれていることだって、 飲み込んでくれている不満だってある筈だ。 君の喜ぶ顔が見たいと、 いつだって心地好く幸せで居て欲しいと 力を尽くす程にどうやら君を落ち込ませてしまうらしいと 学んだのはごく最近のことだ。 君の身の回りの世話全てをこなしてしまうことが 必ずしも君の為にはならないと知っている。 まして君自身がそれを望んでいないのだから それでも行おうとするのは僕のエゴに他ならない。 『与えようとばかりして、貰おうとしなかった。 ただ相手に与えるだけではいけない。 相手からも貰わなくては。』 そう語った昔の偉人も居たらしい。 何も貰っていないどころか貰いすぎている気でいるのに、 僕は知らず知らずのうちに君を 爪弾きにされている気分にしてしまってるんだろうか。] (57) 2021/01/02(Sat) 17:50:46 |
【人】 きっと教育係 キネレト君は十分すぎるくらいに役立ってくれているよ。 君を頼れないのは決して 君を頼りにしていないんじゃなくて、 ただ、何をどうお願いすればいいのか わからないだけなんだ。 [子供たちにならあれをこれをと手伝いを割り振れるのに、 君の前ではどうしても格好付けたがってしまうのもある。 食事の買い出しや調理や後片付けも、 部屋の掃除や洗濯も半分以上が自己満足だ。 自分の行いで喜ぶ君の姿が見たいからなんて下心も満載で、 教会で普段行なっているような崇高な奉仕の精神は殆どない。 第一、春頃に比べれば 随分と楽させてもらっているつもりでいたんだが。 君の基準ではどうやらまだ物足りないらしいと知る。] 僕には君が必要だよ。いつだって。 僕は君のことが好きなんだから。 君にしか出来ないことが沢山あるよ。 例えば、僕と一緒に眠ってくれることとかね。 (58) 2021/01/02(Sat) 17:50:51 |
【人】 きっと教育係 キネレト[お手伝いがなくたって 君は生きてくれているだけで僕の心の支えだし、 きっと君が思っている以上に 僕は君を必要としているんだよ……? ……という答えが君の求めるものではないことを 今の僕はそれなりに理解している。 君も僕に何かしたいと思ってくれている。 なかなか素直に受け取ろうとしない僕を、 もどかしく感じてくれている。 いい加減それを自覚しないほど強情ではないし そうだと確信が持てる程度に君に愛されてきた。 僕が受け取ってくれる君に喜びを感じるように 君も受け取る僕に喜びを感じてくれるのなら、 僕は君の喜ぶ機会を奪っていることになるんだろう。 いつかきっとそのうちに、なんて言っていたら 計画性にも決断力にも甚だ乏しい僕は 恐らくいつまで経っても実現出来ないままだ。 尤も、君がそんないつかの日まで隣に居てくれることを 無意識に当然と思うようになっているからこそ、 ずるずると先延ばしにしてしまう面は否めない。] (59) 2021/01/02(Sat) 17:51:10 |
【人】 きっと教育係 キネレト[だから、今日、今この時から。 いっそそう決めてしまって 考えを改めてゆくべきなのだろう。けれど、] 君も僕をもっと頼って、 必要としてくれたら嬉しいな。 我儘言って困らせてくれたっていいんだ。 [君は君であまり僕を頼ろうとしてはくれないから 僕では役不足だろうかと淋しく感じることもある。 なんとなく子ども扱いされているような負い目があるから 余計に不甲斐なく感じてしまうのかもしれない。 ひょっとすると君が僕に対して感じている歯痒さも 似たようなものなんだろうか。 ならば猶更、僕はもっと君を頼るべきなんだろうね。 自分の心の中だけでは永遠に答えの出ない問いと向き合い 自分を見つめ直すきっかけをくれる君と、 これから先もずっと。 心の奥底に君が灯してくれたあたたかな灯火を、 いつまでも絶やさずに居られるように。 ──なんて大真面目に何時間も考え込んでしまう そんな時間も楽しく感じてしまう。 得体の知れない淋しさも叫びたくなるような喜びも、 君とともに過ごすようになって初めて知った。] (60) 2021/01/02(Sat) 17:51:20 |
【人】 きっと教育係 キネレト手伝ってはいけないのかい?そうか…… 僕? 僕は平気だよ。この通りぴんぴんしてる。 [何せ狼の襲撃にも耐えうる鋼鉄の肉体を 二重に持っていたらしいからな。 その割に耐えうらなかった僕の軟弱さを君は知っているから 余計に心配してしまうのかもしれない。 自分なりに気を付けてはいたつもりだったし 別段自分を蔑ろにしているつもりもない。 無茶をしているつもりも自分ではないのだけれど…… そっか、君は心配してくれるんだ。 優しい君ならそう思うよなとすとんと納得出来るのに 君に直接言われるまで愚かな僕は気付けない。] 傍目から見ても心配になる程度には 憔悴して見えていたのかな……ごめんね、 心配してくれてありがとう。 それを僕に頼む……と、いうことは 君も当然君自身を大切にしてくれるね? どうせキスするなら床や机じゃなく僕にしてくれ。 僕の大切な君もまた、 一番大切に出来るのは君なのだからね。 (61) 2021/01/02(Sat) 17:51:26 |
【人】 きっと教育係 キネレト[ところで。いまさりげなく 『わたしにとって大切なきみ』って言われた気がする。 あまりにも自然すぎて流すところだった。もう一回言ってくれ。 いやもう一回と言わず何度でも言ってくれ。 既にわかりきったことであっても、 改めて口にされると嬉しいものだ。 今日の君がそう思ってくれていても 明日の君も同じように思ってくれる保証はどこにもないと 最初の内は密かに怯えていたけれど気付けば一年経った。 今は、傲慢ながらこの先もずっと 君は僕と一緒に居てくれるものと信じて疑わない。 君が定期的に口にしてくれるなら、 僕も多少は自分の価値を見直せる気がする。] だよね。僕もそう思ってたところだ。 泳げるくらいに広いお風呂に入りたいなら、 きっと大浴場が良いのだろうけれどね。 折角一緒に来て君と別々は僕は嫌だな。 ぬ、脱がしたくなってしまった時は…… (62) 2021/01/02(Sat) 17:51:34 |
【人】 きっと教育係 キネレト[頬を赤らめた僕を見て楽しんでいそうな君に 消え入りそうな声で続けかけてはたと気付く。 確か──旅館では、食事が客室に用意されたり お布団を仲居さんが引きに来てくれたりする、と。 即ち部屋に誰かが入って来る可能性がまだあるということだ。 もし万が一鉢合わせになれば お互いに気まずいことこの上なかろうし、 僕だって君の肢体を僕以外の誰かに晒したくない。 ふむ。と顎に手を添えて 差し当たり意識をマッサージの方に全集中させることにした。] (63) 2021/01/02(Sat) 17:51:52 |
【人】 きっと教育係 キネレト[不意打ちで唇を寄せられた指先がぴくりと微かに震えた。 何もなかったみたいにすっと立ち上がる君を見て、 本当に効いたんだなと胸を撫で下ろすとともに なんだか後ろめたい気持ちになった。 君が何事もなかったように振る舞うなら、僕もそれに倣おうか。 脈を落ち着けるように小さく息を吐いて、] 温泉宿巡り……良いなぁ、楽しそうだ。 春や夏や秋の温泉も乙なものだろうし、 君と一緒に居られるなら温泉に限らず 僕はどこにでも行きたいけれどね。 君だっていそがしいだろう? 一大イベントが無事に終わったからね、 僕は暫くは落ち着けるはずだ。 [バスタオルと浴衣セットを二人分手に取って 片手で持ち、もう片方の手で君の手を引こうとして…… ふと、気付く。これも君にとっては世話焼きに入るか? こういう小さなことから変えていくべきなんだろうか。] (64) 2021/01/02(Sat) 18:04:54 |
【人】 きっと教育係 キネレト[ならば、と君にバスタオルと浴衣セットを押し付けて 旅行鞄を開き、ごそごそと漁り出す。 ええと確かこの辺に……ああ、いたいた。 君と温泉旅行に行くことになったときに 連れて行こうと密かに準備していた あひるちゃん(6)1d10匹セットを手に、 改めて君の手を握り直した。 さ、行こうか露天風呂。] (65) 2021/01/02(Sat) 18:06:32 |
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