![人狼物語 三日月国](./img/mptitle_prov_v0.jpg)
215 灰色うさぎと紫うさぎの雨宿り
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
[つい揶揄いたくなるのは中学生の時から変わっていない。
あの時年下の妹みたいな女の子は
今と同じように「いじわる」と拗ねた顔を見せたけれど
今のこの表情はあまりに色気を帯びていて
自分だけが中学生のままのような錯覚に陥る。
護るべき年下の女の子が急に自分よりお姉さんになったような。
新しい表情を見つける度に惚れている。
今後、自分が留守の時の彼女の「秘め事」の表情を
見られる機会は来るのだろうか。
今はその存在自体知らないから、計画は建てられないが。]
[太腿は紫亜の裡を満たすものではないのに
早く寄越せとばかりに押し付けられた蜜口がくぱくぱ開閉する。
その度にぬるついて、ごくりと生唾を飲んだ。
今すぐにその奥の奥まで貫いて、
心の赴くままに腰を振りたくり
紫亜の膣内に思い切りザーメンをぶちまけたい。
荒い息で獰猛な慾を飼いならし、
紫亜の背を叩く力を加減した。]
[まだだめ、と制止したのは紫亜の方でもあったのに
絶頂のふわふわから戻り切れていない惚けた表情のまま
キスを強請る。
手が湯に沈んだ。]
っっっっ!!
[旅行の予定でもないのに何故、と
問うような余裕がある訳がない。
宛がわれたその洞に向けて、
一気に突き上げる。
散々昂った自身を突き立てたことで]
[は、と息の塊を吐いたのは、
勢いよく飛び出た精子を紫亜の子宮口に浴びせかけてから。
恥じらいに気まずくなる時間もないまま、更に腰を振る。]
ぜんっぜん萎えねーわ、
一回出たけどこのままもう一回、いい?
[紫亜の真似をした児戯のようなキスを繰り返す。
ばちゃばちゃと湯が音を立て、水位が段々下がるが
気にしていられない。]
紫亜、 ――薬飲んでんの、
俺に言って良かったのか?
腹、精液でパンパンになるかもだぞ?
[薄い腹が孕んだみたいに膨れるのは忍びないが、
諦めて貰おう。
頑張れ、と子宮にエールを送るように、
紫亜の下腹を撫でた。**]
[下肢に触れる硬さはもう何度も奥まで受け入れたもの。
指先で触れれば、一つ一つの筋まで分かるぐらい。
背を優しく叩いて見上げる彼はまだ
余裕があるように見えて、笑う気配もしていたけど、
我慢できずに身体を擦り寄せて、自らキスを送る。
あなたで感じるようになった身体を。
あなたの形を覚え込んでしまった身体を、
満たしてほしくて。
誘う口ぶりは年の差を感じさせないように、
色を乗せて、またあなたが知らない表情を見せる。
欲しいと、思うようになったのはあなただから――。
甘くねだれば息を詰めるような音が洩れた。]
[ぬるぬると滑りをよくした入り口に先端を宛てがい、
微かに腰を揺らめかせていたのも束の間。
下から一気に突き上げれて、奥深くまで。]
[猛り狂った硬直が獰猛に襞を割り、その衝撃に
喉奥から迸るような声が溢れて、バスルームに響き渡った。
突然の挿入にグっと肩に添えていた手に力が籠もって、
彼の肩口に爪を立ててしまう。
と、同時に。
どぷ、と中に熱い飛沫が飛び散るのを感じて。]
……ぁ、っ、なか……っ、……
[舌っ足らずにお腹の中に撒かれた子種を身体で覚え、
満たされたような笑いを、不意に見せた。
……のも、数秒のことだっただろう。
収まる気配のない猛りがすぐにまた硬さを取り戻していく。]
ッ、ん、ぁんッ、あっぁッ、ぁうッ、
ンっ、ぁ、ぅん……ッ、
うごいてっ、ぁ、ッ……
ひゃう、ッ……んんッ!
[何度も送られるキスに蕩けて、突き上げられる度に
お湯が浴槽からばしゃばしゃと溢れ出していく。
気持ちよくて、どんどん何にも考えられなくなっていってしまう。]
[キスの合間に吐息と喘ぎを逃して、彼の突き上げから
ずらすみたいにして腰を揺らしていく。]
あぁ、ぁッ、ぁー……ッ、
[声を殺していたのも忘れ、だらしなく解けた唇からは
止め処なく声が、溢れ、浴室に響いて。
突き上げられる度に、彼の身体の上で踊る。
避妊用にピルを飲み始めたのは最初の旅行がきっかけだった。
体調を整える為でもあった薬は、
彼とのセックスを体験して、
直接彼の熱さを感じることを覚えてからは。
少しずつ、少しずつ、身体を開かれていくみたいに
癖になり、いつしか、継続的に飲む機会が増えていった。]
[湯に彼の吐き出した白が溶けていく。
彼を感じることを悦ぶ中を、愛でるみたいに
彼が柔く下肢を撫でるから。]
んンッ、いいッ、……のッ、
もとい、さんで……ぁっ、
……おなかっ、いっぱいに、してッ……
[きゅう、とまたお腹の下が疼いてしまって。
満たされることを想像してぞくぞくと震えてしまう。*]
[普段は復活するにしてももう少し射精後にインターバルを設けている。
それは男の生理として射精後に訪れる脱力感によるものでもあるし、
紫亜の身体を気遣うという理由もある。
あっという間の絶頂とはいえ、
「出してもまだ完全に堅いまま」というのは珍しく、
それ故に止まれない。
一瞬解けた表情で、紫亜が裡で胤を受け取ったと気づいた。
ピストンが終わらないことで混乱させているようだ。
挿入の衝撃で肩に食い込んだ爪は
立てたままなら折れてしまわないだろうか。
そう懸念する自分はどこか遠くにいて、
律動を制止する権限を持たない。]
[元からぬかるんでいた内壁は、精液によりますます滑りが良くなっている。
激しく揺さぶれば紫亜の方も理性が霧散していくのか、
遠慮のない声量がバスルームに響いた。]
はー……堪んねぇな、
俺、紫亜の声、すっげーーーー好き、
[しみじみ言う言葉は本人に届いたか。
聞こえていなくても脳内に刷り込むように耳元で。
散々舐めて浮き上がらせた乳頭を指先で強く摘む。
座位はこの「全部愛せる」感覚が良い。]
ったく、食いしん坊め。
[それは料理人が一番好きな人種だ。
彼女は本当に卯田を喜ばせるのが上手い。
全部呑めよ?
と囁いて、ぐっと腰を持ち上げた。
2回目が近い予感がする。*]
[いつもはもっとゆっくり、それこそ。
揶揄うみたいに笑って、可愛がってるくれる。
そんな余裕を見せている彼が、息をつく暇もないくらいに
水面を揺らして、腰を突き上げてくる。
肌がぶつかる音が聞こえない分、ばしゃばしゃと溢れる
水面が低くなって、その激しさを表していた。
体の奥に確かに届いている。
水の中だというのに、激しさを感じる揺さぶりに、
絶え間なく声が溢れて、抱きつく腕に力が籠もる。]
ふぁ、ぁんッ、ぁ、きもちっ、い、よぉ……、
すき、ぁっ、そこ、……はぁ、ぁッ
[一度外れた箍は、緩み切って快楽を追い求めていく。]
[気持ちいいことを伝えて欲しいと言った彼の通りに、
感じる場所を伝える、んッ、と声を漏らして。
身体の中の水気を意識すれば、
柔らかな内壁がきゅうと彼自身に纏わりついた。
いつもの薄膜を感じないせいか、それとも。
お湯に揺蕩っているせいか、彼自身の熱さのせいか。
刀身の形をより身近に感じて、腰が疼く。]
ぁ、っぁッ、ん、だめ、っ、よすぎて、ぁっ、
……っふゃ、ぁんッ、ぁ、あぅッ……
[突き上げられる度に声が断続的に途切れてしまう。
低く囁く声の内容まではぼうっとした頭では、
理解できないものの、すき、という単語だけは拾って
蕩けた顔をより一層蕩けさせて、微笑い。]
…ぁ、あッ、んん、ンンッ、や、らめぇッ……
[蕩けた瞬間に、弱い箇所を摘まれて背を反らし、
どうしようもない快楽に身悶え。]
[どくんと大きな脈動を中に感じたら、]
イ、っちゃ、……や、ぁッ、
イくッ、
は、ぁ、ぁぁッ、
ぁうッ……―――ッ、……!
[それを皮切りにぞくぞくと体中に震えが走って、
ガリ、と肩に爪痕を残す。爪に白い筋を残して。
彼の腿の上で、びくんっと一際背が撓る。
甘い囁きに虚ろにがくがくと頷きながら、
従順な身体が搾り取るように、きゅぅぅと収縮を繰り返して。彼をめいっぱい頬張って。*]
[時間に余裕がない訳ではない。
寧ろいつもよりも沢山ある。
今後も「いちゃいちゃ」しか予定を立てないのに、
計画的に愉しむのを先送りにして、
段々と減って温度も下がっていく湯舟の中で
紫亜の暖かさを追い求めていた。]
ん、ここ、な?
[深くまで入ると穿つ照準がずれがちだが、
散々交わってすっかり卯田の形を覚えた膣は
どの体位でも「気持ち悦い」場所に当たるように
その場所を増やしているのかもしれない。
好きだと言われた場所から外れないように
慎重に突き上げるなんて真似、今の卯田には出来ないが。
感じるままに動かすと、そこが悦いのだと返ってくる。
不感症かもしれないと思うことは
もう金輪際ないだろう。]
[感じすぎて舌足らずになるところが好きだ。
それなのに極める予感を捕まえて訴える声は明瞭で。
二人同時に達したのを、きつく収縮する内壁で知る。
肩に鋭い痛みが走るのすら、射精の勢いをブーストする効果を
付与するだけだ。]
ッ!
[息を詰めた。
先程出し切っていなかった訳でもないのに
たっぷりと装填された胤が紫亜の蜜壺を泳いでいく。]
……っふーーーー……
[流石に今回は脱力感がすごい。
自然と後ろの壁に頭を凭れさせ、
絶頂の瞬間に背を撓ませた紫亜を抱き寄せた。
下肢はまだ繋がったまま。
だが萎えたものと拡がった紫亜の蜜口の隙間からは
白が零れていく。]
今気づいたけど、随分散らかしたな……。
風呂でしてこんな湯が減ることあるか?
[冷静な思考が戻ってくると、水位に笑ってしまう。
これでは何の為に浸かったのやら。
当然出る前にはお互いシャワーを浴び直さないといけないだろう。
そして。]
![](./img/discordia/083b.png) |
はーら減った、なぁ、
[先刻の淫靡な雰囲気をかき消すような腹の虫が 「ぐう」と鳴いた。*]
(0) 2023/06/24(Sat) 22:48:10 |
[気持ち悦いと訴えれば、もっと快感を促すように
確認しながら突き上げられていく。
ときに的確に、ときに掠めるもどかしさすらも
快楽を煽って、は、と乱れた呼吸を繰り返し、
感じ入りすぎた瞳は潤み切って目尻に涙を幾つも溜めた。
涙なのかお湯なのか、汗すらなのかも分からない。
ただただ与えられる快感に流されて、
身体中で彼を感じて、がくがくと頷いて。
迎えた絶頂は想像もできないくらい気持ち、悦くて。]
[ぐっと腰を引き寄せる手が強くなる。
と、同時にぶわりと熱が体内に広がっていく。
何度か味わ合ったその熱さに、とろんと瞳が蕩けて。]
……ぁ、……ッ、
[喉を反らしたまま、恍惚とした表情を浮かべ。
一滴も残さず胤を飲み干すみたいに、内壁が蠢く。]
[長い、長い絶頂はすぐには引かなくて。
ひくん、とまだ身を細く震わせてようやく。
ずる、と手が肩口から滑り落ちていった。
硬さを失った彼のものをまだ飲み込んだまま。
ぺたりとお尻を腿の上に落ち着かせ、
彼の胸元に寄り掛かるようにしなだれて、
少し早い心臓の音が、耳に響く。]
……はーっ、……はぁ、……
[小さく身じろげば、まだぬるりと下肢に名残があって。 溢れたお湯で移動した風呂桶と、椅子が
流されて端の方へと偏っていることに言われて気づく。]
……ふふっ、半分ぐらい減っちゃったかも。
また、温まらないと、ですね。
[笑う声につられて、くすくすと笑いだす。
もう少しじゃれあっていたいけど、ふやける前に。
互いの身体をシャワーで洗い流して、
次は彼のお腹を満たさないと。]
[感じるのも上手になった紫亜は
絶頂に抗わず全身を快楽に任せるのも上手になった。
そうなるようにずっと言葉で洗脳めいたことをした自覚はある。
その言葉を受け入れるだけの愛と信頼を寄せてもらっている自覚もある。
だから、
しあわせ、と。
声には出さずに唇を動かした。
胸に身体を預けている紫亜にはその動きは見えなかっただろうが。]
こうなったらもう元の湯とは全然別物になってるよな。
[互いの体液が溶け込んでしまっては、
一度抜いて掃除をしないといけないだろう。
身体は怠いし腹も減ってはいるが、
時間が経てば湯に浮いた自分の精液の塊や
激しい交合で抜けた毛などを見て
嫌な気持ちになることは想像に難くないから、
風呂掃除は請け負うことにした。
湯を抜いている間にシャワーで互いの身を清めた後、
着替えに出ていく紫亜を見送って
自分が責任をもって残滓を片付けよう。
視界の端に流れた風呂桶と椅子。
覚えたての10代みたいながっつき方をしたなと
その遠さに気づかされれば少し恥ずかしい。]
![](./img/discordia/083.png) | ん、さっきキッチンで見た。 鍋だな? 楽しみ。
[先に紫亜に出てもらうということは、 夕飯の準備も彼女に任せることになる。
2ラウンドで体力も使ったことだし、 温め直せばすぐ食べられる鍋ものはありがたい。 鍋は冬の料理と思われがちだが、 冷房などで冷えた身体の芯を内側から温めてくれるから SASANKAでも季節問わず出すようにしている。]
(2) 2023/06/24(Sat) 23:49:20 |
![](./img/discordia/083.png) |
ほうれん草の鉄分も 疲労回復のビタミンBの豚肉も 今の俺にはありがたい。
[労わってくれる彼女と揃って「いただきます」をするために まずは風呂掃除を頑張ることにしよう。**]
(3) 2023/06/24(Sat) 23:49:49 |
[音にならなかった言葉は耳に届くことはないけれど。
同じようにしあわせを感じているのは、
共に過ごした時間が少しずつ長くなっているからか。
仲の良い家族や、お互いを尊重し合うような夫婦。
良い関係性を続けていきたいと感じる者たちは、
次第に自分をお互いに似せていくという。
シンクロニーという顔や性格が似ていく現象。
それは、少しずつ彼と溶け合っていくようでしあわせだ。
いつか、そんな話を彼にもしてみようか、なんて。
心内に楽しみを一つ残して、
今はとくとくと心臓の音が聞こえることに、
安堵を覚え、身を擦り寄せて懐くことにして。]
[事後の象徴を思わせるような、お風呂の惨状に笑って、
それだけ夢中に抱き合っていたことに恥ずかしさを
覚えつつも、幸福感のほうが強かったけれど。]
よ、ごしちゃって、ごめんなさい……っ、
[後の掃除のことを思えば少し居た堪れない。
浮いた残滓に仄かに顔色を赤くしたり青くしたり、
そんなやりとりを重ねながら結局、
晩ご飯の用意と、支度の長さを考慮した結果、
後片付けは彼にお任せすることにした。
料理人に楽しみと言われれば、張り切るほかない。]
[お仕事でもお家でも料理で饗してくれる彼だけど、
だからといって甘え続けて彼にばかり、
台所を任せるのではなく、両立したい。]
たくさん食べると思って、
豚肉多めにしてますよ。
[既に確認済みであれば隠す必要もない。
今日も遅くまで働いた彼を癒やすべく、腕を奮う。]
[元々家族のようなものだった。
何度も織戸家にお世話になり、同じ食卓を囲んだ。
その数年間を上回る勢いで恋人になってから「似ている」と
感じることが多くなっている。
「同じ気持ち」という要素は大きいのかもしれない。
これから先、どんなところが似てくるのだろう。
楽しみなようでもあり、
自分が好きになった紫亜の良いところが
変わらないといいなという「違い」が
残ってほしいという気持ちもあり。]
いやどう考えても俺のが汚してるから。
[苦笑して、風呂場に置いてある排水溝ネットを手に取った。
そのまま湯を流せば詰まってしまう恐れがあるので、
ネットを湯の中で回してある程度湯を漉してから
流すようにしている。
情事の後片付けも卯田にとっては「いちゃいちゃ」の一環だ。
「湯冷めするなよ」と微笑んで見送った。
卯田は料理人ではあるが、
「愛する人の料理を食べたい」普通の男でもある。
紫亜が自分と食べることを考えて用意してくれることが
とても嬉しい。]
![](./img/discordia/083.png) | [バスルームの壁まで丁寧に拭く。 今晩はもう打ち止めという訳でもないから もしかするとまたすぐシャワーを使うことになるかもしれないが、 先にしっかり掃除をしておくと、後が楽だから。
声が漏れるのを気にして普段は窓を開けない。 必然的に冷房をつけることになるから 風呂上りでも下着姿のままバスルームを出ることはない。
紫亜のようにおしゃれなルームウェアはないが (サイズ的にも) 一人暮らしの時に比べたらきちんとするようになったと思う。
例えば部屋着はセットアップにするとか ゴムが伸び切ったまま穿かないとか その程度だけれど。
今日は紺色のジャージの上下。 インナーに黒のTシャツを着ている。] (7) 2023/06/25(Sun) 20:42:14 |
![](./img/discordia/083.png) | [食卓に到着した頃、レンジが終了の電子音を鳴らした。 鍋の他にもう一品つけてくれるらしい。
テーブルにはつけダレにすりおろされたばかりの大根がふんわり乗っている。 うまそう、と声に出すと腹がまた鳴った。]
こっちこそ飯ありがとな。 暑いから大根おろしでさっぱり食えんの助かる。 ビール1缶だけ飲もうかな。あ、自分で取るよ。 紫亜は?
[自分だけなら缶のまま、紫亜も飲むならグラスを出す。] (8) 2023/06/25(Sun) 20:42:47 |
![](./img/discordia/083.png) |
新たまもそろそろ終わりだし、 名残を楽しむにはちょうどいい。 いただきます!
[勢いよく手を合わせる。 柔らかい玉ねぎを切れ目から外に広げれば、 溶けだしたスープがほんわりバターと混ざった香りの湯気を出した。 カロリーはあるが、一枚くらいなら紫亜にもお裾分けできるだろうか。 美味いものは共有したい。*]
(9) 2023/06/25(Sun) 20:43:08 |
[思春期の頃からの付き合いだから。
家族のように顔をつき合わせることも度々あった。
その頃は、将来に一緒に居ることなんて考えもしなくて
「似ている」ところなんて一つもないと思っていた。
付き合ってみて知る、彼の癖や思考を、
一つ知る度に、「同じだ」と思うようになって。
その度にほんのり嬉しさを噛み締めてしまえば。
昔に頑なに敬遠していたのが勿体ないと思うくらい、
もっと早くに知っていればとも思うけれど。
昔、じゃなくて、今、好きになって欲しい。
「違い]がある箇所も「同じ」箇所も同じ分だけ。]
[汚してしまったのは二人の結果だとは、思うけど。
こういう時に責めずに買って出てくれるところも、
意識しているのかは分からないけれど、
罪悪感を抱えなくていいと思わせてくれる所以。
優しさに甘えて身支度を先に済ませながら、
彼の着替えがあるかもう一度確かめて。
もう一度覗き込んだバスルームで。
意地悪く笑う顔に、言葉が足りなかったことを自覚して、
慌てて手をぶんぶんと振って否定した。]
そう、じゃなくて!
下着、……また汚しちゃうかもだから、
聞いただけですっ、服は着ますっ!
[さすがにはだかで動き回るのは恥ずかしさにも限度がある。
もうっ!と言葉の足らない自分を棚に上げて、
バスルームのドアを閉じた。]
[
同じ気持ち、
似ていく思考、
違う得意分野、
どれも大切にして、「好き」を重ねていく。
紫亜が洗濯や服選びを面倒と思わずに楽しんでくれるように
卯田は掃除や力仕事を任されるのが嬉しい。
罪悪感を抱えないでほしい、とは思っているけれど、
そう感じさせないことを意識して気負っている訳でもない。
相手が好きだからできること、だ。]
![](./img/discordia/083.png) |
もう遅いしある分を頂くよ。 紫亜も飲むなら俺も合わせてグラス出そ。
[紫亜は缶から直接飲むのが苦手だと聞いてから、 二人ともが缶を開ける時には卯田もグラスを 使うようにしている。
それぞれを開けてグラスの方へ。 その間に紫亜はエプロンを外していた。 阿吽の呼吸で効率的に動いていく。]
(13) 2023/06/25(Sun) 22:40:03 |
![](./img/discordia/083.png) |
うん、生の大根の辛みがまたいいんだよな。 ポン酢は醤油足してる?酸味が抑えられてて 味が濃くなってて良い。豆腐に合う。
[鍋だと自分の食べる量を調節できるのも魅力のひとつだ。 具材は胃に負担の少ないものとはいえ、量を食べると消化に関わる。]
残ったのは明日の昼にうどんにしようか。 朝は持って帰ったパンをフレンチトーストにするのに さっき卵液に浸けてるから。
[〆までは食べない。 この後また裸になる時間が欲しいので。]
(14) 2023/06/25(Sun) 22:40:17 |
![](./img/discordia/083.png) | [忙しさを助けるアイテムとして据え置き型の食洗器を買った。 食べた二人分の食器をセットすれば、後はゆっくり出来る。
新居にはテレビもある。 ニュースでは大雨の影響により明日も交通機関が計画運休だという テロップを映し出していた。 今のところ土砂崩れなど災害にはなっていないようでホッとする。]
ニュース見てても落ち着かないし、 テレビ切ってタブレットで映画でも見るか? ちょっと腹も落ち着かせたいことだし。 (15) 2023/06/25(Sun) 22:40:50 |
![](./img/discordia/083.png) | [流石に食後すぐに手は出せない。 サブスクを契約しているプラットフォームから いくつかタイトルを見繕ってみる。
話題のアニメ、名作の恋愛映画、旬の俳優のドラマ…… 創作料理の対決をする外国のシリーズは 普段休みの日に好んで見るタイトルだ。 紫亜は何か見たいものはあるかとタブレットを差し出してスクロールしてみる。
二人用のソファは卯田の体格では少し尻が狭い。 密着出来るから買い替えは考えていない。*] (16) 2023/06/25(Sun) 22:41:06 |
| (a1) 2023/06/25(Sun) 23:34:43 |
![](./img/discordia/083.png) | [缶とグラスでは乾杯した時に音が上手く響かない。 「同じ」材質だから食欲も増すというものだ。
味覚は人よりも敏感で、 職業柄予想をつけるのも得意だ。 家では全ての調味料を手作りするには 作る手間や作った後の保存期間を考えると困難だから ポン酢は市販品だけれど、 こうして一工夫凝らして味に深みを出してくれるところが ありがたい。
こういう工夫に関しては織戸家の母親の教育の賜物か。 紫亜が子どもを産んだら、その子にも受け継がれていくのだろう。
長さの違う同じ箸が時計の針のように違うスピードで動く。 足せるだけの肉はあるらしいから、鍋の中身は遠慮なく頂こう。 肉は宵越しに脂が回ってしまうし。] (22) 2023/06/26(Mon) 0:27:43 |
![](./img/discordia/083.png) |
雑炊よりはうどんかなって。 朝フレンチトーストだけど、 卵もさっきたくさん持って帰ったし うどんにも入れた方が美味いよな。
[二人でいると「何食べたい?」「何でもいい」の会話が少ないように思う。 「これを食べたい」「これを作りたい」 これからもそんな食事の楽しみを語れる間柄でいたい。]
(23) 2023/06/26(Mon) 0:27:55 |
![](./img/discordia/083b.png) | こんな雨で仕事してる場合じゃねぇだろ、 っつっても普通の会社は徒歩通勤は来いとか 言うんだっけ。
週末に遊びの予定がある人は可哀想だけど うちに取っちゃラッキーだったな。
[閉めたカーテンを少し引いて窓の外を見る。 近寄ればざあざあとかなり大きな音が鳴っている。
停電に備えて懐中電灯やカセットコンロなども準備しておいた方が良いかもしれない。]
(24) 2023/06/26(Mon) 0:28:17 |
![](./img/discordia/083.png) | [何を観るか検討していたら、 一度横に座った紫亜が立ち上がる。 トイレだろうか、なんて呑気に考えていたら]
お。
[大きな卯田の身体にすっぽりと収まるように 紫亜の身体が入ってくる。 股の間に尻を振ってスペースを確保し]
はは。 そうだな。 恋愛モノ観るにはピッタリだ。
[笑って再生ボタンを押す。 芸能人に詳しくない卯田でもよく知っている 有名な俳優と女優が共演する現代日本の恋愛映画。 確か小説が原作だと朝の情報番組が取り上げていた。
再生時間は136分、1本観る前に寝る時間は来ないので 余程のことがない限りは結末まで観られそうだ。] (25) 2023/06/26(Mon) 0:28:33 |
| (a3) 2023/06/26(Mon) 0:29:53 |
![](./img/discordia/083b.png) |
あああれな、映画館一緒に行ったやつだろ、 あれで助演女優賞取ったんじゃなかったっけ。
[家で観るメリットは、こうして時々話せること。 勿論、ストーリーの邪魔をしないように、 話自体はそう発展せずに終わる。
画面では女優の切なそうな顔がアップで映る。 前を行く男性が振り返り、 元に戻ってきて]
――――
[結構激しめのキスシーンが始まった。]
(31) 2023/06/26(Mon) 21:25:15 |
![](./img/discordia/083.png) | [映画館で観ている時には座席の距離もあるし 気まずさを感じることもないのだが こうやってあすなろ抱きをしながら見ていると この長い数秒をどんな風に見ているべきか 割と困るということを発見した。 先刻までの会話を戻してみようか。 卵とじうどんにあんかけなら、 今日のつけダレと大根おろしで作ろうか、とか。 >>27週明けに大雨の影響で道が悪くても 事務は出勤しないといけないなら 車で送りたい、とか。 >>28後は何を話したっけ。 朝のフルーツは持って帰った沖縄県産のパイナップル、とか。 生クリームも持って帰ったからスイカのアイスを作ろうか、とか。] (32) 2023/06/26(Mon) 21:25:29 |
![](./img/discordia/083.png) |
…………。
[キスシーンが終わったと思ったら場面転換した。 成就には早いタイミングだと思っていたが どうやらあれは別れのキスだったらしい。 男は飛行機に乗って外国に旅立つようだ。
女はそれを見送って、それぞれの生活の描写が始まる。]
再会モノかな。
[これで別々の相手との恋物語だったら驚きなので。]
(33) 2023/06/26(Mon) 21:25:43 |
![](./img/discordia/083b.png) |
あの映画自体良かったもんな。 主演こそ別の映画だったけど、 監督賞とか脚本賞とかも取ってた気がする。
[一緒に観たものはこの女優は助演の立場で 勿論こんなに濃厚なキスシーンはなかった。 新境地を開いたというやつなのか。
いちゃいちゃしたかったから 結末が死ネタや病気ではなさそうなものを選んだが 年齢制限はPG12となっている。 中学生に見せても良いのか、これを。
例えば中学時代に友人の部屋でこれを見ていて 紫亜が部屋に入ってきていたら、と想像する。
それはとても危険な気がした。 恋、というよりも身近な女の子を性の対象に見てしまいそうな、 浅はかな少年時代にあった映画ではなくて良かった。]
(36) 2023/06/26(Mon) 22:54:12 |
![](./img/discordia/083.png) |
忘れられないならまた戻るだろ、
[少し離れて生活をしても心の中心に自分を据えてくれていた紫亜ならば、画面の彼らの気持ちもわかるかもしれない。 ストーリーに感情移入をして観る 共感性の高いところも紫亜の魅力だ。]
(37) 2023/06/26(Mon) 22:54:24 |
![](./img/discordia/083.png) |
ああこういう回想が入る演出好きだな。 何気ない日常に思い出があるの、
[これは脚本のある映画だから、 二人は同じタイミングで同じことを思い出している。 同時に想いを募らせる演出が好きだ、なんてこと、 映画館で観ているのなら、 終わってからのカフェで話すような内容だ。
あの時卯田は季節限定のフラペチーノを頼んだ。 現実でもこうして思い出が蘇る。 紫亜もそうであってほしい。]
(38) 2023/06/26(Mon) 22:55:14 |
![](./img/discordia/083.png) | [紫亜は不意打ちに弱い方だ。
わかっているので二人で見る映画などは パニック要素があるものやホラーは選ばないようにしているし、 遊園地ではお化け屋敷を避けるようにしている。
けれど以前二人で見た映画は名作ではあったが 大画面に血糊が急に大映しになるような場面もあり、 ポップコーンを自分主体で食べていて良かったと思った。 かなりびくっと身体を震わせていたので、 カップを持っていたままだと落としていたかもしれない。]
全体的に「魅せる」感じだったから ショッキングなシーンも結構あったよな。
[次はもう少し穏やかなものを選ぼう、と。 帰りに冷えた彼女の指先を温めながら話したっけ。] (41) 2023/06/27(Tue) 0:11:14 |
![](./img/discordia/083b.png) |
置いてく側がすんのは狡いよな。 行動した時点で「これで終わり」って決めてる訳で、 された方は少なからず期待すんだろ、あんなん。
[キスシーンの、キスそのものについて紫亜が蒸し返す。 腕の中にいるのは様々なキスを既に経験している大人の女性だ。
共感性の高い彼女は思い出すことで感覚共有を起こしているのか。 唇をなぞる指を物欲しそうに噛む仕草が艶めいている。]
(42) 2023/06/27(Tue) 0:11:29 |
![](./img/discordia/083.png) |
うんうん、作り手からするとそーゆーの、 嬉しいんじゃねぇのかな。
[驚かせたいポイントで驚いてくれるのは。
思い出すのは店で作った紫とグレーのコラボ。 黒ゴマブラマンジェに紫芋のコンフィチュールを乗せたグラニテや、 紫芋ニョッキに黒ゴマクリームをかけたもの、
紫亜はとても良い反応を返してくれるから嬉しくなって 次は何で驚かせようかと考えている。
――ああほらまた、 映画のことからすぐ脱線して自分たちの想い出が蘇る。]
(45) 2023/06/27(Tue) 21:39:52 |
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ずっと好きでいて貰いたいなら尚更、 好きでいて貰う努力をし続けないと卑怯だろ。
[上手く「終われない」恋は深い傷となることを、 卯田は身をもって知っている。 これは映画だから二人は再会して上手くいくのだろうが、 卯田の場合は紫亜が終わりを肯定してくれるまで 2年もかかってしまった。]
……そろそろ俺達の具体的な話も進めたいよな。
[プロポーズ、婚約、同棲まではトントン拍子。 だがまだ結婚式の時期を宙に浮かせている。 というのも織戸家の長男―― つまり紫亜の兄で自分の友人が結婚式を挙げてから間もなく、 織戸家の両親含め親戚の負担を考えてのことだった。
だが個人的には早く紫亜のウェディングドレスを見たい訳で。 指に光るリングに重ねづけ出来るタイプのマリッジリングを 早く嵌めてほしいと思っている。]
(46) 2023/06/27(Tue) 21:40:10 |
| (a4) 2023/06/27(Tue) 21:42:20 |
![](./img/discordia/083.png) |
俺としちゃ、嬉しいサプライズ以外は 先回りで取り除いてやりたいって思うけどな。
怖い気持ちも俺といたら大丈夫ってんなら、 過保護発揮は程々にしねぇと。
[恋人になったとはいえつい出てくる「兄貴風」。 紫亜はもう護られるだけの「妹」ではなく 一緒に手を繋いで前を見る「伴侶」なのだ。
感受性の強さは紫亜の強み。 これからも嬉しさは全面に出してほしい。]
(50) 2023/06/27(Tue) 23:30:35 |
![](./img/discordia/083.png) | [家でも時々紫と灰色を組み合わせた料理や菓子を作る。
ホワイトチョコでコーディングをしたカップケーキに グレーとパープルのチョコペンで パッチワークうさぎとお揃いの模様にしてみたり、
ブラックココアと紫芋で生地を作り市松に配置して マジパンでくるむバッテンバーグケーキを作ったり、
ぶどうジュースと竹炭パウダーで 紫陽花ゼリーを作ったり
明確に二人のイメージカラーがあることで ますます創作料理のアイデアが湧いてくる気がする。
男の仕事運を上げる女性は「あげまん」と言うのだったか。 紫亜はいてくれるだけで卯田のモチベーションだけれど] (51) 2023/06/27(Tue) 23:30:47 |
そーいう仕草すげー好きって知ってた?
紫亜が俺のことで気合入れる様子が
かっわいくて堪んないんだよなぁ。
[想いを通わせてもう暫く経ったけれど
まだ籍を入れていないからか
それとも結婚しても変わらないのか
ちゃんと「好き」を更新している実感がある。
願わくば、これから先も
互いに好きでいてもらう為の努力を惜しまない二人でいられますように。]
![](./img/discordia/083.png) |
レストランウェディング、出来なくもないけど 店内そんな広くないからなぁ。 招待客はあんま呼べないかも。
あとまあ「人前式」ってやつになるからな、 そこは親と相談しよう。
お義父さん、紫亜とバージンロード歩きたいかもだろ?
[「それっぽく」カーペットを敷くことは出来るが 正式なバージンロードではなく距離も短い。 娘の父親だからこそ担える大役を 紫亜の父親が望むなら、それを叶えたい。]
二次会ってんなら貸し切りにして 立食パーティみたいなのも出来るから、 店の奴らはどうしても全員挙式には呼べねぇし、 チャペル式を動画で撮って貰って 店でプロジェクターで映して見て貰うってのも出来る。
(52) 2023/06/27(Tue) 23:31:31 |
![](./img/discordia/083b.png) | [本音は同僚みんなに来て貰いたい。 その気持ちを汲んでの紫亜の提案だろう。 だから紫亜の気持ちも大事に盛り込みたい。
具体的な話は―― また後日。
この週末、時間はたっぷりあるけれど、 もう予定は埋まってしまったので。] (53) 2023/06/27(Tue) 23:31:46 |
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