人狼物語 三日月国


260 【身内】Secret

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[寝室ではない分、部屋の光量も多い筈で、
その意味でも行かなくて助かった。

隅々まで見たい。
ルミ自身が把握しているかも不明な位置の
黒子だって覚えておきたい。]


 ん、声も可愛い。


[もう「くすぐったい」時の声ではないと確信しているが、
指摘が早過ぎて乾いてしまってはいけない。
焦りを見せないように只管ルミの肌や胸を甘く刺激した。

動く度に隠すもののない性器から零れる先走りが
ルミの白い太腿に軌跡を残す。
時折鼻息が荒くなってしまうことには
気づかない振りをしてほしい。]

[そして漸く、ルミが愛撫で感じる感覚に
切羽詰まって来たことを訴えてくれた。

「おなか、きゅうって、なる」だって。

反芻して興奮やよくわからない感情で転げまわりそうになる。]


 ほら、ルミは不感症じゃないってわかった?
 おなかの奥で俺を飲み込む準備が
 出来てるってことだよ。


[その「ヤダ」は本気の拒絶ではないと思っていても、
ガチ泣きさせる程追い詰めたい訳ではない。
脇腹から唇を外し、あやすようにキスを送った。

履かせたままだったショーツの隙間から指を差し込む。
軽く動かしただけで水音が立つ程に濡れていると、
実際に指を引き抜いて見せなくても
自分でわかっていることだろう。

生地が傷んでもいけないので、
ルミに協力して貰って尻を上げ、ショーツを下す。
クロッチと秘部を繋ぐ卑猥な糸がとろりと途切れるのを
目を細めて見つめた。**]

 

[ 愛しているから何でも知りたいような、
  傷付けることすら出来てしまうこの愛はきっと
  無理矢理に犯す愛を持たない彼とは
  根本から違う色を帯びている。 ]


  あは、……お兄さんはそれで傷付いてくれるんだ。
  うれしいなあ。

  でも今ここでおあずけするの、
  わたしがヤだから、大丈夫。


[ 本当に夢から醒めたと嘘を吐いたとして。
  彼を傷つけることが出来ても、
  それで離れて行かれては元も子もない。

  ​───日常に根差す毒花である方が
  わたしのことを忘れられないでしょう? ]

  

 

[ わたしにとっての愛は優しくない。
  目に見えないくせに形すらまばらで歪で
  日常のどこにでもあるような色をして、
  世界から隔絶されたような鮮烈さを残して。

  縛っても呪っても抑え込んでも構わない。
  だからずっと憶えてね。
  わたしが貴方を傷付けた数だけ、
  わたしが貴方で傷付いたこと。
  ​────これじゃまるで人魚姫だ。 ]


  …………ずるいよ、お兄さん
  そんなこと言われちゃったら、許したくなる。
  ────────……。


[ もっと早く教えてよ、と肌に縋った。
  彼が一番にかわいいと言ってくれていたら、
  彼だけにかわいいと言って貰えたら。

  もう手に入らない夢のたられば話だ。 ]

  

 

[ あの頃は、同じ気持ちなどひとつも返って来なかった。
  好きなのも一緒にいたいのも離れ難いのも自分だけ。
  それでも良いなんて健気な女のフリをして、
  諦め悪く惨めに夢へしがみついて。

  ふらりと足を踏み入れた夜の街は綺麗だった。
  満たされてない人ばかりの雑踏に紛れれば
  わたしの痛みも昇華されると思っていた。
  時折金を貢いで気を引こうとした男は、
  どれもみんな思い出の中の彼に似ている。

  傷の中でしかもう会えなかった好きな人。
  ──これからはもう、全部、わたしだけの。 ]

  

 

  ………………、………

  ……お兄さんだけで満たされるように、
  これからずっと、いっぱい言って。


[ この承認欲求が歪んでいることは分かっている。
  数多の人に愛想を振りまいて、色をかけ、
  薄っぺらな愛を得ようとする不健全さ。

  一時だけ満たされるために始めた仕事も、
  彼しか充たせない心の隙間が埋まった後なら
  辞める決心もつくだろうから。

  そうなれば。
  その時ようやく、彼の好きだという気持ちを
  微塵も疑わずにいられるのだろう。 ]

  

 

[ ソファを見る度押し倒された記憶が蘇ってくれるなら、
  あのシュガーポットも警戒するだろうか。
  捨てはせずとも仕舞い込む予定ではあるけれど。 ]


  すごいの……?
  …あんまりえっちなこと、分かんないけど
  お兄さんの好きにしていいよ。

  ……いいって言い方、だめかな
  してほしい、のほうが正しいかも…


[ 体から始まる恋もあるというし。
  手放すのが惜しい体だと思われれば御の字である。
  最悪顔で留めてはおけないものか。 ]

  

 

[ すぐさま体と顔に頼ろうとする悪癖を頭に過ぎらせたが、
  与えられた刺激が即物的な思考を追い払う。

  強くはないどころか、ただ甘くて優しい触れ方なのに
  声がこぼれ落ちるのが止められない。
  彼の熱が太ももに当たり、粘性の液体が肌へ伝った。
  ──それだけの刺激さえ甘いような、 ]


  ン、ゃ、おにいさ…っ


[ 吐いた息は体温を乗せたようにあつい。
  時折肌にかかる彼の呼吸も同じように熱を帯びていて、
  堪らないような心地になり、軽く頭を抱いた。 ]

  

 

[ お腹がきゅうとなるような感覚は、
  これが“ きもちいい ”ということらしい。
  薄っぺらな生白い下腹部をやわく摩り、
  ぽや、と半ば蕩けた目で彼を見た。 ]


  これ、が、きもちいい……なら
  もうお兄さん、挿れてくれる、の?


[ 確か最初、そんなことを言っていたような。
  必死に頭を回し、あやすような柔いキスを追い掛ける。
  甘える子どものようにキスをねだり、
  乱れた息を落ち着けた。 ]

  

 

[ 差し込まれた指が軽く動かされるだけで、
  いやらしい水音が立って鼓膜を揺らす。
  ローションも使っていないのに、
  気付けば下着は粗相でもしたように濡れていた。 ]


  ぅ……や、だめ、みないで……


[ 彼の視線の先に気が付いて、
  思わず手で秘部を隠しては俯いた。
  生まれつき薄い陰毛は大事な場所を隠すにはやや足りず、
  卑猥な糸がとろりと太ももへ伝い落ちる。

  どう見ても不感症のそれなどでは無い。
  それくらい自分にも嫌ほど理解が出来て、
  今しがた秘部を隠そうとした手を動かし直して
  今度は彼の目を覆うようにあてがった。 ]

  

 

  ……えーと、えへへ……
  か、かくれんぼ……。


[ 何とも色気のない言い訳だった。
  幼い頃かくれんぼをふたりで遊んだ記憶が蘇り、
  どこか懐かしいような気持ちになる。

  そのまま彼の髪へ顔を埋め、目を細めた。
  砂や太陽の匂いがしていた昔と違って、
  匂い立つのは大人の男としての色。

  ずくりとお腹の奥が重くなって、熱が疼いて、
  それを隠すようにまた息を吐いた。** ]

  

[小声を拾われて言葉に詰まる。
そう、今は、小声も拾われるほど近くにいる。]


 ……良かった。

 まだルミにとってセックスが「良いもの」って
 思えていないだろうから、引き返されるかと。


[傍に居て傷つけ続けろと言ったのは、自分が被虐趣味だから
という訳ではない。
ルミももうわかっているだろうが、
今は二人が離れない理由にその名分を使う。]


 俺は狡いから「許すな」って言うよ。
 許されて仲直りで終わったら、
 「今」が仕切り直しみたいになる。


[過去の罪の精算が形だけでも成されてしまったら、
ここにいる二人は大人になったただの男女になってしまう。
恋人よりももっと強い結びつきでいなければ。

他の相手との間にも生じた「恋人」の関係性ではなく、
ルミが初めてで唯一の存在になれる立ち位置を。

肌に縋るルミの身体を撫でた。
許されない限り、ずっと償える。]

[恋を知らなかった頃でも、知らないまま
鸚鵡返しに同じ言葉を返す違和感だけは持っていた。
だから「おー」とか「うん」で受け取った。

恋に育っていない気持ちを同じ言葉で表すのは
嘘になると思ったから。]

[嘘を吐かなくて良かった。
本物を渡せる。
これから育っていく気持ちも、その都度。]


 ルミだけ。

 俺だけで足りないなんて言わせない。


[とはいえ、ふつうに生きて来ただけだから、
「すごいセックス」が出来る程テクニックに
自信がある訳ではないが。

ルミが此方に心身を預けてくれるなら、
これを特別な初夜にすることはできると思いたい。

顔も身体も自分を興奮させる要素ではあるが、
ルミがそれだけが自分の武器と勘違いしないように
気を付けなければ。]


 うん、もうちょっと、な。
 一口目で「美味しい」って判断したら、
 食べきれなくなった時に泣くのはルミだから。


[と食べ物に例えてはみたが。
一口目でりんご飴をギブアップしたのは自分だし、
一口目で白雪姫は毒林檎に斃れた。
あまり上手くない例えだったかもしれない。

ルミがそれに気づく前にキスを重ねた。
交わる唾液にはもう盛られた薬の影響は出ていない
だろうか。]


[期待通りに下着が湿っているのを確認したが、
下した先の体毛の薄さには喉が鳴るのを止められなかった。

剃ってあるのでもなく、生えてはいるのだが。
その量が少ないことがこんなに興奮を煽るものだとは。

見ないでと言われても、と無意識に顔を近づけようとしたら
視界が塞がれた。]


 ……目隠しじゃなくて?

 かくれんぼなら、10秒数えたら見つけて
 良いってことだろ?


[児戯の名称は自分にも懐かしく。
だが児戯の思い出に浸って落ち着くには
慾が成長し過ぎた。

頭皮に感じるルミの気配がくすぐったい。]


 いーち、にーぃ、


[否定をされる前に数え始める。]

 さーん、よーん、


[その間、剥ぎ取ったショーツは横に避けたが
身体には触らない。]


 ごー、ろーく、


[これだけ時間が経てば、濡れた性器も乾いてくるだろうか。
――狡い大人はルミの覚悟を待たない。]


 
ななはちきゅうじゅう!



[早口でカウントを終え、ルミの手に自分の手を重ねた。]


 ……ルミ、「見っけ」させて?


[児戯の時の用語を使い、見ながら続けたいと乞う。*]

 

[ 虐げられるのが好きなら最初から喜んでいるだろう。
  さすがの自分でも、まさか被虐趣味かと疑ってはいない。
  いや、もしそうなら受け止めるつもりではあるが、
  SNSも現実の彼もそんな片鱗は見えないので。

  許されるつもりなどないまま、毒林檎を手向けた。
  ふたりを結ぶのはもう過ぎた過去の青さでも、
  陽だまりの柔さでもないと知っていたから。

  呪って縛って、
  血よりも赤い糸で彼と自分の世界を繋ぐ。 ]


  ……


[ わたし以外の誰のものにもならないで、と祈るのも愛で
  わたしを忘れられないくらい傷付いて、と呪うのも愛で
  わたしとずっと一緒の地獄にいようよ、と願うのも愛だ

  日常の色に紛れた呪いは愛の顔をしている。 ]

 

 

[ 大人になっただけのただの男女ではなく、
  恋人よりも強く結びついた唯一の関係というのは
  傍目に見れば正しいものではないのだろう。

  正しくないことを「おかしい」と糾弾するのは簡単だ。
  自覚している。理解だってしている。
  けれど、" おかしい "からなんだと言うのか。

  わたしは狡いから、きっと許したくないと言う。
  傷を主張すればずっと償わせて傍に置けるから。
  過去のふたりも、捨てたくないから。 ]

 

 

[ イミテーションの愛はもう飽きてしまった。
  どれだけ与えられても満たされない。
  求めた本物のひかりをいつか素直に受け入れられたら、
  きっと、縋り続けた偽りだって手離せるのだろう。

  愛される存在を演じて、そして向けられた愛は
  手離す間もなくやがて朽ちるかもしれないが。 ]


  ────ん。
  お兄さんの今の言葉、忘れないでね。

  何かある度に突き付けてやるんだから。


[ その度に腕を切って脅すことも躊躇いがないのだ。
  都度罪悪感で転げ回って欲しい。

  彼となら初めても、それを越えたあとだって
  どんなことも特別ないろになる。
  ──雪は何色にだって染まるものだ。 ]

 

 

  …………?
  りんごあめ食べ切れなかったのはおにいさ、
  ────ンむ、


[ なるほど……と神妙な顔で頷こうとしたが、
  思い返さなくてもりんご飴ギブアップは彼ではないか?
  わたし泣いたことないもん、と
  異議を申し立てようとするより先にキスが降る。

  ────まあ、いいか。
  途端に思考を溶かして目を閉じる。
  薬が抜けきったなら、交わる体液にも影響はない。

  白雪姫はキスで目が醒めたのに、
  今はまるで真逆のような。 ]

 

 

[ 喉が鳴る音が近くから聞こえるのが居た堪れなくて、
  まるで幼い頃に戻るように戯れを重ねた。
  したいと言った思いに嘘はないのに
  許容量を越えそうな現実が、判断を鈍らせる。 ]


  えっ、えと、じゅう……?


[ 十秒しか猶予がない遊びだったか、あれは。
  今この場では至極どうでもいい二人のルールを、
  必死に思い出そうと海馬に潜る。

  いや三十秒だったじゃん!などと言ったとしても、
  どのみち時間制限があることに変わりないのだが。 ]

 

 

  ……あぅ……。


[ 恥ずかしいからといって反射で動かなければよかった。
  着実に進み続けるカウントダウンに、
  むしろその時を意識してしまう。

  今更やめた、など通用しない空気になってしまった。
  身を守っていたショーツが横に避けられ、
  もう意味も無い可愛いだけの布一枚になる。

  触れられる距離にいるのに、触れられない。
  お預けに似たことをしたのは自分なのに
  そのくせ落ち着かない気持ちになりながら。
  律儀に数え続ける彼へ、つい昔の影を── ]

 

 

  ────ッは、反則……!


[ 見なかった。
  素直な少年は狡い大人になり、早口でカウントを終え
  面影を辿る時間を奪っていく。

  そのまま彼の手が自分の手に重なって熱を帯びる。
  幼子のじゃれあいのようなやり取りは終わって、
  ここにあるのは、体温を融かしあう二人の男女だけ。 ]

 

 

[ 息を吐く。
  少しの間忘れられていた腹部の熱が重く疼いて、
  そろりと彼の目から手を離した。

  見つかってしまったら、鬼は交代。
  ────けれど今回に限っては、
  ありきたりなルールは返上になるだろうか。 ]


  ……みつかっちゃった。
  ふふ、懐かしい
  昔はよくこうして遊んでた、けど。


[ 今と全く同じ言葉を紡いで、
  彼を見つける側に回ったものだった。

  夜の匂いなど無かった頃の話。 ]

 

 


  …………ああもう、…だめかも。
  はずかしいと、わたし、言葉が多くなっちゃう。

  ……お兄さん。
  あのね、……しゃべれないくらい、きもちよくして。


[ ぎゅ、と彼に再び抱きついた。
  そのまま首へ吸い付いて痕を残そうとしたけれど、
  経験が足りないのか、上手く赤がつかなくて。

  代わりにかぷりと首筋を噛む。
  ふふんと笑って、「浮気防止」と呟いた。* ]

 

[ルミが自分を見つめてくれていないまま
再会していたら、傷つけろと迫る自分を被虐趣味だと
勘違いされただろうか。

恐らく意味のない仮定だ。
ルミが頑張って見続けてくれていなければ、
自分達の道は交わることはなかった。

ふつうの家庭に生まれた少年と
家庭環境に恵まれていない5歳下の少女が
あの公園で知り合えたことも奇跡だった。

それを運命にしたのはルミのきずで、
その運命の糸を赤く染め続ける為に自分のきずを足したいと願っている。

他の誰かに繋がっているかもしれない糸よりも赤く。]

 




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