人狼物語 三日月国


230 【完全RP/R18G】アダムとイヴにさよなら

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視点:








──その夜浴びた雫は、
──みどりいろをしていた。




 

ー 後日談・雷恩 ー


[僕らが彼と果実を食べて、数日後くらいの事だっただろうか。あれから、植物として幾度か交わりはしたけれど……「人間」の方は、未だ触れてはいなかった。

まず「人間」部分への興味があるかどうかなんて分からなかったのだが、あの出来事が起こる前から僕らの「人間」部分はそちらへの欲求が強まってしまっていた。
はしたないと思いつつも。
]


…………えっとさ、雷恩。今日は、その…………「人間」の方に、触れて、ほしい、かな……
……興味があれば、だけど。



[そっと彼の手を自分の胸元に触れさせて、言ってみる。……これだけでは反応しないだろうか、と思い指を一本食んでみる。樹木に近い香りがするそれにそっと舌を這わせた。

(あら大胆。どこで覚えたの?)
……うるさいな。


ちらりと、雷恩の顔を見てみる。]*

[くちづける、首筋に花を散らした。
暴く無遠慮さで、命綱を断ち切る。書き換える。


 ──お前の、最後の砦なんか、粉砕してやりたい。


溺れさせたい。──背徳だ。

着衣のままに、最低限だけを剥ぎ取った。
最早その為にしか存在し得ない器官を指で圧し拡げ、本来ならば必要のない、潤滑液の分泌を促す。性急に、宛てがう。

貫く。]


 ────っ、は……


[ゆるさなくていい。
何もかも、ゆるさなくていいから。]

*


[

非道じゃないですか、それ。

近くなる距離には安堵する。縋りつくと赤く染まる視界がある。まだ理性が残ってるみたい。首に散らされていく花弁を欲しがりながら、どれも片隅でぼんやり眺めてる僕がいた。

乱暴なひとだな。それが『本質』ですか?
あなたとの二人の子供にする様に、慈しみ見守ってはくれないの? 遠くで咲くのがそんな駄目?

僕の間違いを、あなたが正解にした。けどそれは俺の正解になり得るのかな? 正しくある事が僕の最重要事項だったのに、あなたは見捨てたんだ。愛し子を育て上げるための糧として、利用されて、雷恩と桜花は認められたというならそれで良いじゃない、すべては『父』の仰せの通りに。


──でもどうしてか穴が空く。
かなしい

あなたが、俺を見捨てるから

]


 ッ、い゙、──……あ……っ…………!


 
 


[貫かれた質量分の水が眼球から溢れ零れる。充ちてく。君の開けた空白の代わりが埋められていく。

いやだな、抗議を、してやりたいのに、全部溶けちゃう。沸き上がってくる強い衝動。

その青い硝子の石を、引き千切ってやりたかった、そしたら後を追ってあげるのに


 
ねぇ『愛してる』を刻んでよ 
]* 

【人】 朧广灯 リヒトーヴ

 
 ― 楽園の片隅、メディウムと ―


 [ あれから同胞たちへ然るべき申告をした。
   人間でいうならば休暇申請だろうか。

   しかし、その時が来るまで機械の仕事はいつも通りだ。
   故に、大したことではないと思っていたのだが
   ……そうでもなかったのだろうか。>>54

   それぞれに視線をやりつつ、
   機械は彼らの提案、あるいは希望を聞いていた。>>55


   メディウム。あなたは親しい者が離れ行くことを
   「寂しい」と認識しているというのに、
   離れ行く己に親しさをもって友になろうとするのですね。

   承認を得なくとも、あなたの中では
   己は既にあなたにとっての"友"なのではありませんか?


 [ 彼らは、傷つくためにやっているのではないのだろう。
   意識を複数の景色が走って行く。

   ……人とは、皆そのような物なのだろうか。
   機械は思案する。今伝えるべき話を。 ]
 
(84) 2023/11/29(Wed) 10:57:31

【人】 朧广灯 リヒトーヴ

 
 
   ……友人とは、"ある一人のみを指す物"だと
   己は定義しているわけではありません。

   孔雀革命の主との関係が"友"と定義されている故に
   己たちが互いをそう呼んでいるだけです。
   ――その点においては、"友"は唯一の物ではありますが。

   ですが、我々の原則を守っていただけるのであれば
   己はどのような者とも友人になりますよ。


 [ 人はまた異なることを思うかもしれないが。
   機械にとっての"友人"とは、そのようなものだ。

   過去、どれだけ言動を違えようとも
   現在が"正しく"そうであるなら、そのように在る。


   ……その正しさを捉えるのは、
   機械にとっても困難であるかもしれない。

   ――それでも。
   それこそが、孔雀革命の求める多様性を描くのならば。 ]
 
(85) 2023/11/29(Wed) 10:58:27

【人】 朧广灯 リヒトーヴ

 

   ……あれは、面倒極まりない形で
   自身の行き先をしれっとデータに遺していました。

   そして、己は呼びつけられていたことを認識しました。
   故に向かうというだけで、大した話ではありません。

 
 [ 機械は握られたままの手を柔く握り返す。

   拒んだつもりも、線を引いたつもりもなかったが
   己から触れたことは、確かに無かったかもしれない。 ]
 
(86) 2023/11/29(Wed) 10:58:50

【人】 朧广灯 リヒトーヴ

 

   ですので、数か月もあれば戻りますよ。
   用件がくだらなければ、もっと早く戻ります。

   その時に、と。――約束しましょうか。 *

 
(87) 2023/11/29(Wed) 10:59:37


[泣き虫。などという言葉の存在を想起する。
直青にも涙腺に酷似した回路は備わっていたが、専ら眼球の洗浄にしか使用されていない。そのみどりに舌を這わせた。

羅生の抱く思想を、信念を、直青が共有することはない。そのように創られている。脆弱性になり得るものは予め排除されており、その代わりと外部装置としてそれらを持つ。故に直青はAIたち彼等へ真の意味では寄り添わないし、寄り添えない。

羅生はそのひとつだ。
ひとつに過ぎない、筈だった。]

 ッ、く。ぁ────……

[
煽られる
、その感覚が何処から来るものなのかわからない。否、識っていた。error──但し、必然の。

"内臓"を抉る。非効率の痛みを、空白の代用とする。直青は廃熱作業が苦手だった。

 どうしたって浮かぶお前の顔に、
 終わりを重ねるのが苦痛だからだ。

 それでも手を伸ばしてしまうからだ。

何故、離れたがる。
──そう、問うてしまうからだった。]

*




 …………ッ、おまえが、先に俺を捨てた、……っ



[皮膚を重ねると伝わってくる。否応なしに暴かれるのは、いつも自分ばかりだった。なのに今更。今更なんなんだよおまえは。傷つく度に種を埋められて、


直青君が俺を咎めないからでしょう
なのに俺の一番大事なものを否定した



神さま。嫌だ、見捨てられたくなんてなかった



存在インプットはしてる──でも知りはしない“Not installed”

理解は出来るje comprends──だけど実感がないpersonne n'existe



桜花
──大丈夫。散花絶望すらめぐる季節のひとつだ

雷恩
──いつか。それは君のために咲かせる『


『君』はきっと世界中を愛せる。
どうかこの世界を幸せにしてあげて下さい。


[
なけなしの自我だったよ
さようなら
。]

 



 っ隙間、うめたい、ぜんぶ

 直、青、くん……ッ、



[内側が勝手に震えて、神経回路が灼きつきそう。

 気持ちが、いい。


失われてく水分をその唇から奪い取りたい。
渦巻いてる、苦い甘さを吐き出したいのに

 これはなんていえばいい?


罰ゲームの様な身体機能。『快楽』さえ知らなければ人類は堕落をしなかったんじゃないかな。欲望を載せられ見合う誘惑を撒き散らすなんてなんて惨たらしい世界なんだろう。


 全部、おしえてよ、口にして、


僕はおまえのために生きるんだから

君も俺のために、生きるよね?]*

 



[


────嗚呼。

壊してしまったJésus






神よ。

俺は簒奪者だDonne-le-moi





]

[
それは歓喜でもあった
ようこそ
]



 埋めてやる、から──、っ

 ……ああ、気持ちがいい……、──……!


[打ち合わせる腰の不規則なリズム。
制御を手放して身を任せるのは、快楽というパルス。

縋る"内臓"に廃熱を促される。
逆らわずに放ち、けれど止まりはしなかった。]


 ────これが何か?

 
(罪のかたちだ)


 或いは、救済だ、と、

 (俺は信じている)
 (信じたいんだ、羅生)



[あげるよ。抱き竦めた耳許に吐息で応える。
だから、羅生。]






 俺の為に、生きてくれ。





**

― 後日談 ―

[己は、新人類としては植物の割合のほうが多い。
人の部分は感情方面に関しては未熟であり
肉体の成熟度は青年といって差し支えはなかったが
殊更、欲求というものに関しては覚えたことがなかった。

――所謂生殖行動の教育に関しても
桜花は手取り足取りだったらしいが自分は放置だ。
いや、教科書1つだったといっていい。
知識は知っている。だがそれが必要になるかどうかは理解していなかった。

なので。彼女の行動に関して最初に思ったことは。

胸より二の腕のほうが柔らかいのだな。という
単に機能評価のこと。
あと、植物をあまり感じられないのは脂肪分がおおいからだろうか。

次に、思ったのは。


――あ。]

[己の指を、食む姿。
たどたどしく、要求を告げて誘う娘に対して。

愛でたいという思いと
もっと求められる姿が見たいという相反する感情を抱いた。]

 ただ、俺はどのように触れればよいのかわからないから。
 君が、教えてくれないか。今度は。

 どうすれば、「メディウム」はもっと
 人としての部分も、花開く?


[食まれた指で、頬肉を内側から緩くなぞる。

 くちゅり、  と。

分泌しかき混ぜられた唾液の音が彼女の鼓膜を震わせるだろう。
そのまま歯列を指腹で撫でつつ、名を再び呼んで促しを。

教科書通りにしたら良いのだと、理解している。
だが、それでは彼女から求める姿はあまり見られないだろう。
それは、あまりよろしくない。

君が恥じらいながらももっと俺を求めるのを。
――もっと依存させるにはどうすればよいのか。

小さく笑みを浮かべながら、彼女の羞恥を煽りながらも

内心は。常に思索を巡らせる。*]

[

見上げた顔は、いつも通りの無表情で。ただ内側に「何か」を生じさせられはしないだろうかと、舌で指をゆっくりと、舐る。]



…………ん、う…………!?


[突如動かされた指に口内をなぞられた、それだけなのに甘く痺れてしまう。もう少し、触ってほしかったけど、応えるために指を口から抜く。]


お、教えて、ほしい、って言われても……僕だって、詳しく、無いよ……?
(私?こう見えても種子を得られなかった胚よ?つまり……処女なのよ?)



と、とりあえず……僕らの部屋、来て……


[植物同士で交わる場合、大抵は人気のない屋外で行う事が多かった。土があり、陽の当たる場所を好む彼に合わせてそうしていた。傍目から見ても何をしているか、なんて分からないし。……けれど、「人間」同士はそうもいかない。袖を引いて自室まで案内する。]

ー メディウムの自室にて ー


[生活用品が最低限と、並んだ本棚。そしてベッド横に常備された水差しと薬品。そんな殺風景な部屋へと案内する。]


……とりあえず、ベッドの上、座って……


[僕は何をしているんだろう。いや、理解はしている。「人間同士の交合」をしようとしているのだ。……正直に言おう、めちゃくちゃ恥ずかしい。

ベッドの上に座って向き合う。年代物ではあるけど、丈夫なこれは2人分の体重を難なく受け止めた。]


……えっと、人間同士、でするときは、服を脱がなきゃ、いけなくって…………

…………僕が脱いだ姿、見せなきゃ駄目、かな…………?一応言うけど、すっごく気持ち悪いよ。


[学術的な本だけではなく、俗世の様子が書かれた本もいくつか読んでいる。だいぶ前に読んだそれを思い出しながら、気がつく。一般的には素肌を晒し合わなくてはならない、らしいが。……己の素肌は、色素の薄さも相まって葉脈がびっしりと張り巡らされているのが透けて見えるのである。女体としてはかなり貧相な自身の身体の事もあり、脱ぐのはためらった。]*

[君の舌は己を求めるように這わされる。
ゆっくり、味わうようにか。嬲るようにか。

それとも、形を確かめるようにか。
――情欲を、燈すようにか。

   

ああ、愛い子だね。]

[君の中を、探るように。確かめるようにしていた指は
君の分泌物に濡らされたまま外気に排出される。

彼女の拙くも直球めいた誘いから推察はしていたが
メディウム自身も生殖行為に関しては
あまり詳しくはない、ようだ。
自分がリードする、と見栄を張らない当たり
動揺しているようすが具にわかり面白い。


ふむ、と思案しながら、
君に導かれるまま自室へと案内されようか。
袖を引く手は白く、細く。

彼女の手から上。
ゆったりした服に隠された肌の下で脈打つ葉脈。
一体どんな美しさを孕んでいるのだろうか。

植物同士で交わる際には、ただ絡んだ根と、
彼女の中の「貴女」とが
視覚ではなく触覚で愛を交わしあったものだから。
実際、じっくり観察するというのは初めてのことに思う。]

[彼女の部屋は、自分の部屋よりもまだものがある。
人に近しければ自己が保有する物は増えていくのだろうか。
という感想は胸の内に留めておいた。


ところで。
保健体育の教科書(直青監修)によると、人間同士の生殖行動は
まずは互いの肌に触れあう行為をするのだという。
それにより肌の相性を確かめ合うのだとか。

促しに応じてベッドに座って向き合えば
1つ、また1つと重みが加わる際に軋むスプリングの音。

――どうも、肌を見せ合うことを
メディウムは疎んでいるようだ。と気づく。
保健体育の教科書、しょっぱなから躓いているのだが直青。
どうするんだ。と内心考えつつ、口を開いた。]

 見せたくなければ見せなくて構わないよ。
 ただ。俺は――

 君と交わる中で君の中の「貴女」も愛でたくはある。
 君は疎むかもしれないが。貴女を孕んだ君は美しい。


[もともと植物に近い己に容姿を卑下する彼女の思考は
あまりトレースできてはいないのだが。
彼女の意思を無碍にすることはない。
嫌なら、それ以外で君を見せてもらおうか。
君の手に、己の手を添えて続きを促そう。


服を脱がなというのなら、どう君が動くのか。
興味は尽きない。ああ、これが「
楽しい
」というものか。*]




…………そう言われると、困るんだけど。


[つまりは、見たいという事だろうか。
(私は見られたいわ)


気乗りはしないけれど、興味があるようなら。

とりあえず上半身だけ衣服を脱ぐ。胸部の膨らみがそれほどない自分は、検査の時に煩わしくないというのもあって上の下着は身につけていない。

露わになった素肌から、血管に沿って張り巡らされた葉脈が見える。]


…………ね、気持ち悪いでしょ?


[自虐するように言ってしまう。この次はどうしたらいいんだろう。]


えっと、

きみも脱いでよ。

あと……最初、は。キス、から?かな……唇をくっつけるだけじゃないやつ……って、分かる?


[続きを促すことに、した。]*

[見惚れた。

白い肌に浮かんだものは、血管のような走行を見せている
薄っすら彩るライトグリーンの葉脈が美しい。

思わず手を伸ばす。
胸より上。鎖骨より、下。手を置いて、
そのまま葉脈を肌の上からなぞる。

吐息とともに。綺麗だ。とうっとりとした声音で。
彼女の自虐も意に返さずに。


――と。
しばし堪能していたかったのだが
彼女の言葉に我に返った。
「一応」彼女に教えてもらうということになっているのだ。

躊躇わず上の服を脱ぐ。こちらはというと普通の人の肌をしている。
根を張る時には蠢き、生えてくるのだけれど。

わかるか?と尋ねられて
「知識としては理解している」けれど――]

 経験はないな。
 だから、教えてくれるよね。メディウム。

[囁いて、君の唇に己の者を重ねよう。
舌先で重なった部分のスキマをノックして、
彼女が絡ませようとしたところを吸って、
交わらせてしまおうとして。

――教えてもらう、という建前だから。

 こうだろうか、

と息継ぎの合間にでも無知の振りでもしてしまおう。
実践は初めてなのだ。嘘はついていない、嘘は。*]



……んっ……ぅ……


[僕の自虐なんて意にも介さず、甘く伝えられる言葉と、触れる手と。性感帯でもないはずの場所なのに、触れられているだけで気持ちいい、だなんて。]


…………
(ああ、美しい。)



[晒された彼の素肌を、直視ができなくって少しだけ目を逸らす。均整の取れた、男性らしい身体付き。健康的な褐色の肌色も相まってそれはとても、
艶かしくて。
]




教えられるような知識は、ないよ……


[とことわりつつ、まずはキスから。重ねられた唇の隙間から、舌を絡ませようとして……引っ込められてしまった。]


……狡い、よ……


[つまり、これは僕らの方から絡ませろと。そういう意図なのだろう。自然に出来そうだったじゃん、と文句の一つでも言いたくなったが。興が削げてしまわれてはたまらないのでこちらから彼の口内へと舌を差し入れた。拙く、絡ませる。
その気になってくれるように。性急にならないように気をつけながら。
]*

[彼女が、己の裸体にどのような感情を抱いたかはわからない。
が、感触が悪くなさそうなのは
手に触れた肌から感じる脈打つ血潮――或いは、葉脈の疼きか。
それが、教えてくれる。

こんなにも、君は君の興奮を、歓びを
教えてくれているというのに

視線は逸らすんだね。




初心で、可愛らしいことだ。
]

 ――ずるい?
          

        どうして。


[君の方から求めてよ。と
言葉にせずに、態度で示す。
これは確か、駆け引きというのだったっけ。

使いすぎは厳禁だけれど、
普段はつんとしたり、不器用に甘えてくる君が能動的に望んだことなれば。
彼女が積極性を「魅」せてくれるなら、

その限界を今。試すのも悪くない。]

 ん。
    
ふ、―― 、っ。



[呼気を絡めとる。
己の吐息と交じり合わせ、君の肺腑に注ぎ込む。
中から、染め上げて、撫であげて
酸素を運ぶ細胞1つ1つを俺で満たしてあげようか。

なんて、口にはださないけれど。

拙く絡んだ舌を、引きずりだした君の慾を
煽る様に水音を奏でながら、君の味蕾を舌先で嬲る。

指を食んだ際に、美味しそうな様子だった君
俺の舌は、唾液はどんな味がする?

頬肉を嬲り、歯列をなぞり。エナメル質を蹂躙すれば
酸欠になる前に一旦合わせた口を離す。

その際に腕を君の腰に回して抱き寄せて
己の膝の上に、跨らせるようにして尋ねよう]

 次はどう、
したい? 
 可愛い君。


[背を指で撫であげながら囁く声を届けよう。


先程まで君を愛していた舌で、己の下唇を一度舐め。*]


…………ぜんぶ。

[答えになっていない答えを返す。求めてよ、なんて。ひどすぎるよ。
ありったけを注がれても足りないくらいずっと求めているのに。



ゆるりと、彼の口内にあった舌がこちらへ侵入してくる。意識が、確実に、塗りつぶされていく。呼吸を忘れてしまうくらいじっくりと口内を蹂躙されて。]


ーー……は、ぁ、



[やっと解放された時には、もうすっかり力が入らなくなっていた。抱き寄せられた身体が、熱い。]

[背中を優しく撫でる手にすら、反応してしまう。首から背骨にかけての部分は、一体化した葉脈が色濃く見える場所の一つだった。]


…………すきなところ、触ったり、舐めたり、して、いいよ…………



[息も絶え絶えに、伝える。]*

[それはこたえじゃない、などと野暮は言わない。
言いたいこと、伝えたいこと。感情は全部伝わっている。
君が、「貴女」が教えてくれている。


 嬉しい。でももっと欲しい。
 ――欲張りにさせたのは君たちだから。
 責任だってきっと、とってくれるよね?


熱くなった体。肌の下の「貴女」も熱くなっている?
教えてよ。

――今は直接、交われないから。薄皮1枚隔てながら。

色濃く脈打つ背より見える君を撫で。]

 そう、好きなところを――……


[手は、撫でる。
掌を肌に押し付け、君の肌を葉脈に沿って。

唇は、触れる。
首筋を、葉脈に沿って鎖骨下まで甘く食みながら。

それでも「女」の部分には触れない。
自分の好きなところを、触って良いというのだから。
知らぬ部分を「好き」かどうかは判断できない。

彼女の躰の熱が全身を巡り、
下腹部に集まっても。
女の部分が濡れて求めていたとしても。


脈打つ植物と、君の肌の熱が感じられる幽明のコントラストを
ただ、執拗に愛でて。]

 君の肌は、あたたかいね。


[囁きも、皮膚に近づけてのものだから。
それすら刺激になるのだろうか。


きざしを君から告げることを待っているのは。
己の男の部分を求めていることを君の口から聞くまでは


言って、あげない`*]

[僕も
(私も)
全身が熱くって、おかしくなってしまいそうなのに。気がついてるの、かな。僕のことも
(私のことも)
ひっくるめて「メディウム」として、愛してくれているの、だろうか。

知らないふりをしながら、彼は的確に僕らを昂めていく。]


…………ぁ、あ、
は、う…………

[葉脈伝いに撫でる手も、甘噛みされる首筋も。囁かれる声も。全てがとても甘美でしかない。だけど、]


こ、ここ、も。触って……?


[今の今まで避けられていた、とくに目立つ性感帯……胸の中心の方へ、彼の手を導いた。]*

【人】 朧广灯 リヒトーヴ

 
 ― □□、楽園の外 ―


 [ とある都市部、とある建物の中。
  
――これらの情報は機械には開示されていない――


   その部屋は静かだった。
   ようやく再会した友人らは、視線も合わせず座していた。

   一人は散らかったデスクの前に。
   大小様々な粒子モニターを宙に浮かべながら、
   指と視線とを細かく動かしている。

   一人は退かした機材の跡が
   くっきりと残ったままの一人掛けソファに。
   その背凭れには埃が薄く積もっていたが、
   当人である機械は、特に気に留めていなかった。 ]
 
(109) 2023/11/30(Thu) 3:18:10

【人】 朧广灯 リヒトーヴ

 
 
   ……結局は機械いじりですか。

   『庭いじりもいいけどね。
    僕はこっちの方が性に合うみたいだ。』

   気が合いませんね。
   それがあなたの見出した己の仕事ですか?

   『どうだと思う?』

   己が知るのは、お前の道楽までです。
 
 
(110) 2023/11/30(Thu) 3:18:26

【人】 朧广灯 リヒトーヴ

 
 [ 機械がこの地を訪れることを決めたのは、
   あの日々の中で、友の思わせぶりな言動の数々と、
   当人がかつて真剣に向き合ってきたものを
   信じることに決めたことに由来する。

   故に、今も機械は何も知らないままだ。
   疑問は多く残されている。しかし、関心は持たない。

   本来、道具というものはそういうものである。 ]


   『つれないなあ』

   お前の期待に応えるために、
   己は多くのリソースを手放さざるを得ませんでした。
   自業自得ですね。


 [ そうだね、と友は頬を緩めた。
   まったく、と機械は冷ややかな視線を送る。

   やがて、いつまでもにやついている友の視線を
   鬱陶しそうに機械は手で払った。 ]
 
(111) 2023/11/30(Thu) 3:21:38

【人】 朧广灯 リヒトーヴ

 

   ……己は、これからもあの楽園を広げ続けます。

   それを"途方もない"と呼ぶのは人間の尺度に過ぎません。
   存在するかも定かではない奇跡を乞うより
   よほど現実的だと己は思います。


 [ 長い時と命を費やしながら、
   かつて人類は、地球滅亡までの道を歩んでいった。
   機械は、それと同じことを行うだけだ。 ]


   「あなたの理想は美しい。」
   人も機械も、己たちをよく褒めました。

   ならば、示し続けて見せる必要があると己は考えます。
   「これは人の成せることなのだ」と。


   ――それが己の考える"この世界の救い"です。
 
 
(112) 2023/11/30(Thu) 3:22:30

【人】 朧广灯 リヒトーヴ

 

   ……我が友よ、あなたの解を求めます。
   久しぶりに会ったわけですし、
   それぐらいの成果は期待してもいいのでしょう?
 
 
[ 周到に面倒な手続きでもって、友は機械を呼び出した。
  その動機はおおよそ道楽だろう。
  しかし、楽園を出た動機までもが道楽だとは思わない。

  己は友であり、友は己でもある。
  それは、"親"と"子"の関係と決定的に異なる点のひとつだ。

  機械は友に視線を向けた。
  二人を隔てていたモニターは姿を消していた。


  ――視線が交わる。
  友は相変わらずにやついていたが、
  ようやく己に関心を向けたのだと機械は認識した。


  やがて、ソファの前までやって来ると、
  座る脚の横に片膝を押し込み、友は機械を抱きしめた。
  鼓動は早く、腕は微かに震えている。

  その機敏と熱を数字で捉えながら
  倣うように、機械は友に我が身を預けた。 ]
 
(113) 2023/11/30(Thu) 3:24:18

【人】 朧广灯 リヒトーヴ

 
 
   『…………。』

   『親愛なる我が友よ。』

   『とてもいい答えだ。ああ、それでこそ君だ。』


   『"それは秩序か? それとも救世主か?"』

   『――僕の答えを出そうか。』

 
(114) 2023/11/30(Thu) 3:24:57

【人】 朧广灯 リヒトーヴ

 

   『――僕の考える救世主すくいはお前だよ、リヒトーヴ。』

 
(115) 2023/11/30(Thu) 3:25:20

【人】 朧广灯 リヒトーヴ

 
 ― 福音、楽園の外 ―


 〈 その身に収められた記録データを複製する間、
   狭いソファの上、僕は眠る友を抱き続けていた。 〉


   ……本当、君って冷たいし硬いな。

   別にいいけどね。
   僕も、君の立場ならきっとそうしていた。

   インダラクスもヘローもヌエヌエも。皆、同じさ。


 〈 悴んでいく指先さえ今は愛おしい。
   君の心臓に熱が灯るのは一体いつになるだろう?
   憂い、嘆き、歓喜する日は?

   その肩口に頬を添わせれば
   物言わぬ友からは、あの庭の匂いがした。

   ……どうして人類は失い続けてしまったのだろうね。
   存在しない奇跡の夢でも見てたのかな。

   それとも、夢を見ることさえ――
   とっくに諦めてしまっていたのかな。 〉
 
(116) 2023/11/30(Thu) 3:26:20

【人】 朧广灯 リヒトーヴ

 

   ……これが僕の『孔雀革命』。

   僕たちはどこにも還らない。
   誰よりも高く飛び、誰よりも遠い世界を目指そう。

   僕たちであの空を、大地を、海を、
   木々を、星空を、動物たちを――――
   あの美しかった青色を取り戻そう。

   ……後のことは、きっとそれからで充分さ。*

 
(117) 2023/11/30(Thu) 3:26:54
[触ってほしい箇所を、君が求める。

胸元から全身に、君を彩るアラベスク。
先端まで絡み、濃い陰影を映す葉脈へと、
指先を伸ばし――かけ。導かれる場所は違うと理解する。

肌に透ける葉脈よりも、彼女はこちらの方が良いのだろうか。

触れる。指の胎で、最初は押すだけだったものが
次第にぐりぐりとえぐる様に。
或いは摘まんで柔くひっぱったりして
その都度の反応を見る。見やる。
そして思索する。

其処、に触れれば葉脈が脈打つ。
身もだえれば、肌は桃に、そして緑に染まる。
――ああ、その姿が美しい。
]


 なるほど、これが。


[肌に触れて、快楽を拾うということか。
教科書だけではわからないことだな。と独りごち。

君が望むならと執拗に、導かれた個所を捏ねれば、
それは色を変えながら芯を持ち
指が伝える弾力の変化を知る。]

 ――なるほど。


[自身の人としての生殖器は未だ兆すさまは見せないが。
彼女の痴態を、それによって葉脈が脈打つ様を見るのは。

良いものである。と知った。*]

[透ける葉脈を皮膚越しに触れられる事すら、己を昂らせるには十分ではあったけど。もっと強いものが欲しくなって、直接性感帯へと触れてもらう。]


あ、ぅ……あっ…………ん……!
(は、ぁ…………)



[自分で触れた時とは、比べ物にならない快楽を与えられて。そこだけでも達してしまいそうになる、けれど。……まだ気をやってはいけない。]


…………ぅ、ふっ………ね、ねぇ……こ、こっちも……下、脱がせて。

……ここ、も、触って……
もっともっと、頂戴。



[上は自分で脱いでしまったが、本来は脱がせてもらう、が作法だったはずと。下の衣服をすべて脱がしてもらう事を請う。既に受け入れようとしている、己が生殖器のある場所を指し示して、嘆願する。

今は気がつけていないけれど、彼の、それに、兆す兆候がない事を知ったなら。僕は僕だけが求めている事を、恥じるだろう。
]*

[皮膚越しでは、「貴女」は悦んでいても
「君」は満足しないのか。

漏れる悩ましげな嬌声と、潤む瞳。
それだけでは足りぬと告げる唇の動き。

――なるほど。これが君の人、の部分の成熟か。

交わらせるのは植物の方ばかりだったからこそ
その痴態とともに強請られる懇願に
了承と言葉にする代わりに、君の下履きに手をかけた

濡れたりしていれば、どうしてかと尋ねるだろう
君にも己の樹木形態と同じように体液を分泌できたのかと
(何せ、愛液に関しては教科書になかったものだから!)

下肢の衣服を取り払い、会陰やらが露になった君は
更に葉脈を浮きだたせている。
全身のその文様を堪能できるのはとても良い。

植物のほうが騒めいて、枝葉を思わず絡ませそうになって
―――だめだ、今日は人間の方という願いだった。
と、我慢して引っ込めた。]

 触る、といっても
 もしかしたら違和感があるかもしれないよ。

[痛みは、「貴女」に干渉しながらならば抑えられるかもしれないが
どうしても触れれば不思議な感じや
中に侵入でもすれば異物感を感じるだろう。

それでもいいかと一応の了承を求めた後
濡れた花弁へ指を這わず。

水音と、絡まる粘液にもにた雫たち。
それらを伸ばしたり、潤む場所に刷り込んだりしながら
時には固くした秘豆に指で戯れながら
これが女性体の生理現象か。と内心で感じていた。


同時に、耐えるのに苦労している。
思いっきり根を絡ませたい。この美しい蔦模様に沿って。

君の肢体は、己の琴線に響いてやまない。*]



…………「人間」の「雌」は、そういうもの、なの。
(もう。貴方ったら。)



[下を脱がされ、露わになった女性器を見るなり尋ねられる。……そんなこと言わせないでよ、恥ずかしいんだから。向こうの性教育は一体どうなっているんだろうか。本当に最低限しか教えられていないのだとしても、彼は僕らを翻弄するのが上手すぎる。]


…………大丈夫、だから、
はやく、



ーー……あッ、ーーーーーッ!



[そこ、に。女の部分に、触れられた。異物感は少しあれども、丁寧に這う感触はずっと待ち望んでいたもので。中へ、外へ、与えられる悦楽は確かに僕らの意識をさらに遠くへ塗りつぶしていく。

己のものとは思えない、高く媚びる様な声と。力が入らず委ねるだけの身体と。これからまだ先があるというのに、耐えられるか分からない。
そんな風に思うのに、もっと、求めたくなる。
]


(植物の方は、私を求めてくれているのね……でも、人間の方は。……まだ火が付きそうにないのかしら?)



[内なる声に、ハッとなる。そうか、この先へ行くには。彼の「人間」も昂らせなくてはいけない訳で、

ちらりと、目線をやったそこは、何の兆しもない様に、見える。その事実に、僕は悲しくなってしまう。
こんなに、こんなに、求めているのは、きっと、僕の方だけ。
]


…………ふ、……えっと、「人間」の「生殖器」の方、なにも反応、しない…………?
駄目なのかな、僕じゃ。



[悲しそうにしおれる様子は、向こうにも伝わっているだろう。]*

[乱れ、昂る様は美しい。
さぞ、気持ち良いのだろう―――

    うぞり、と己の中の枝葉が興奮するのがわかる。
    それを抑えれば自然――賢者のような心地になる。
    の、繰り返しが脳内で繰り広げられていた。

それを隠しながら君を愛撫していたのだけれど。
どうやら気づかれてしまったようだ。
少しばかり、罪悪感というやつなのだろうか。
しゅんとする様子に抱いた感情の名前は。

――少し逡巡し。]

 
 「人間」のほうを求めてくれているのはわかるんだ。
 今日は其方がいいと言っていたから。


 正直。今の君なら勃起できる。と、思われる。
 葉脈が美しい肢体には興奮したし。

 
ただ、歓喜しすぎて……。



[つまり。興奮してしまったら連動して
枝葉が茂っちゃう。と言外に。

人、に拘るならそれだけを反応させるのは難しい。
と、新人類はとうとう理由を吐いたのであった。*]



[告げられた言葉に、きょとんとする。形を保てない、とは。予想外の理由であったけれども。]


…………え?それ、だけ?
僕で、僕らで、ちゃんと、…………できそう、なら。それくらい気にしないよ。
(そのくらいなら大丈夫よ、受け入れられるわ。……私たちは、「環境」で「媒体」で「培地」だから。枝葉ごと、愛してあげられる。)



[元よりこの身は一種の「苗床」である。植物を受け入れることなぞ容易いと、思われる。姿が崩れてしまおうが、彼が愛おしいひとである事に変わりはないのだから。]


必要、なら、手伝いは、するから……

……だから、
(だからね、)

遠慮しないで、来て……



[求める身体の熱はまだまだ消えそうにない。一方的ではなく、相互で愛し合えるように。そっと彼の首筋に歯を立てた。]*

[「人間」の部分を求めているのに
 それ以外が出てしまっては本末転倒で。

 君のニーズを満たせない。
 ――なのであまり言いたくなかったのだが。
 
 ……何故か反応は至極あっさりと
 あまり気にしてないような感じであった。解せぬ。

 耐えた自分が何とも、間が抜けているような心地ではあるが
 良いというのなら遠慮はすまい


 歯をたてる娘を抱きしめたのは――]

[枝葉の、腕。

顔の形もすでに保てず、木々が生い茂る。
彼女に触れるであろう熱は、肉の感触はあるだろうけれど
葉脈が脈打つように形を主張する。

皮一枚隔てているから怪我はすまいが
大きさ的に大丈夫なのだろうか


 ――逡巡


秘所から指を引き抜き
濡れた会陰の入り口に先端を擦り付け]


 痛いのなら、途中でやめるから
 ちゃんというんだよ。


[そうでないと、それこそ興奮して
聞く耳もてないかもしれないから。

――囁き、自重を落とすよう促そう。*]



…………う、うん。


[承諾し、伸びてきたのは生い茂った腕で。……これを、堪えていたという事だろうか。苦しくは、なかっただろうか。
こちらこそ、彼を満足させるに足るだろうか。
]


大丈夫、だと、思うけど……ちゃんと、言うね。
(……優しく、お願いするわね。)



[あてがわれたそれの大きさに、少しだけ身体がすくんでしまったけど。…………受け入れるために、力をできるだけ抜いた。]*

 俺もなるべく、善処するよ。

[優しく、は守れないかもしれないが。

――力を抜いたのが、わかる。
腕の中の彼女を枝葉の腕で閉じ込めながら


一息に、奥まで貫いた。]

[みち、と肉の割り開かれるおと。
何かを破る感覚。抉る感触。
人間の方の肉体の興奮と、葉脈に肌越しに触れた植物の歓喜が
シンクロするように、熱をともしている。

ゆっくりとは、していても。
硬く、熱く、痛かろう。

奥まで突いて、
一度ゆっくり抜くしぐさを見せながらも
また、突いて。

水音に植物の、そして鉄錆の香が混じる室内で
旧人類の本に描かれていた
まるで乙女を食い散らかす魔物のような1体と1人。

本能のままにはしていないけれど。

優しくは、守れないかもしれない*]

[受け入れる準備はできていたとはいえ、初めて、で味わうにはそれは苦しくて。]


ーーーーーッ!!!



[言葉にならない悲鳴をあげてしまった。最大限、気遣ってはくれているんだろうけど。元よりかなり体格差がある身では限度はあるだろう。

だけど、
すごく苦しいのに、
すごく気持ちいい。


花と、樹木と、ヒトが交わる匂いで部屋が満ちていく。植物の交わりではなく、ヒトの交わりでもなく……動物のようだ。片隅に過ったものはすぐに交合の歓喜に飲み込まれてゆく。貪られるだけ、貪られたなら、昇りつめるのはすぐだった。]*

[貪る。


という衝動を初めて知った。]

[悲鳴ごと君の呼気を絡めとり
華奢な肢体を枝葉の腕に閉じ込める

中を熱で抉り、叩き込み
体液なのか、樹液なのか。わからぬもので満たされる。
混じる精の香が、雌の香が
植物同士の交わりでないことを、教えてくれる。


彼女が昂り、頂に至ったのちに
最奥を蹂躙しながら熱を吐き出して

穿ったものはそのままに、唐草模様にもみえる文様を抱く背を
優しく撫でていた。]


 ……これは。良いものだ。


[ぽつ、と零した言葉は、感嘆を孕んでいる。
――ああ、よいものだ。とても、とても*]


…………はぁ…………



[胎内へと注がれたそれに、彼の方も達せたのだと知る。恍惚とした余韻に浸りながら、優しく撫でる手の感触を味わう。]


…………よか、った…………


[彼の呟きへの返答か、自身の感想か。どちらともつかない台詞を吐く。しばらく、そうやって抱き合っていただろう。お互いに体温を分け合いながら。]

[……そのうちに、彼は僕らから繋げた性器を引き抜いただろうけど。]


…………まっ、て…………



[俯きがちに伝える。……我ながら、本当に、恥ずかしいことに。]


…………も、少し、だけ…………したい。



[一度だけでは僕らの方が、足りないと、訴えている。彼の方はもう満足しきってしまっているかもしれないから、情事後の昂った身体も合わせて、いっそう赤くなってしまっていたかもしれない。]


…………雷恩、『種子たね』を、もっと、ちょうだい…………
*

[肉体的には満足した様子だと、思ったが
――まだまだ足りぬときみはいう。

それは植物の本能か
動物の、生物としての本能なのか
或いは、両方なのか


顔を赤らめる君。
つられてか葉脈を彩る薄紅に染まる肌は美しい。

まだまだほしいと君は言うのなら。]


 いいよ、君が望むなら。


[そのまま再び、樹の腕の中。

――狡いのは承知の上だ。自分から欲しがるのではなく
相手から求め違られる。

それが俺の、きっと”エゴ”なんだ
*]



……ありがとう。



[再び腕の中へと収まる。愛おしい熱を全て洩らさず受け止めるために。

『種子』は要らないと、そう思うことにしていた。きっと、一度欲しがってしまったなら、更に求め続けてしまうだろうから。そういう“エゴ”が僕らには根付いていた。きみを知ってしまったから、これからもずっと、僕らはきみを欲するのだろう。

実を結んでも、その後も、ずっと。]

ねぇ、雷恩……僕らのこと、好き?*

[腕の中に閉じ込めて、己の欲望を受け止める君との間
種子が、できたのならば

     
可愛い子  生まれる

一体どんな色の、花が  咲く  のだろう


できるなら。己のように
人の形を最初保てなかった子にならなければいい
君のように美しい葉脈を抱けばいい

何時かこの世界に、自分で居場所を見つけられる子になればいい

と、いうのは気が早すぎるか。]


 ――可愛いよ。君は。


[美しいよ、貴女は。

熱を混じらせ、息を整える唇に顔を近づける
触れるか触れまいか、ぎりぎりのところで。問いかける君に
小さく、笑って。]

[与えられた言葉へ、花を綻ばせる。
睦言もなにも要らないと、強がっていたこころが今ではすっかりと開いていて。

未だに臆病な僕らは、幾度も疑ってしまうかもしれないけれど。


これだけは、嘘偽りのない本心を告げる。]


[──この施設って誰が掃除してるのかな。


仮の部屋主が不在となったこの部屋から一歩外に出て、僕は点々と描かれるピンクの液体を見つける。そしてそれを、追いました。
脳とか胎児とか脳髄だとかを映えさせるためなのかなってくらい清潔なこの場所の扉と扉のあいだは間隔が広くて。ああ、大きな施設なんだなぁなんていまさら気づく。なつかしい記憶のなかの白さと重ねて游ぐ。

床に咲いていた桃色は、大きな硝子扉の中へ続いていった。
ああ、ここは。]











   
─ 『paradis』 ─









 ……リヒトーヴさんの、庭




 『
   しかし、誤った論理を入力されたり、
   命令が翻されることは、決して珍しい話ではありません
   故に、己はあれを裏切りとは見ていない……筈です

   裏切られたと、己は、まだ…… 
                  』



 


[ふと再生される音声は霞みがかりながらも煌めきを発してる。
フローライトからアズライトへのグラデーションを瞼に再生していたら、景色は春の優しげなミントグリーンから真っ青な──
突き刺さる『夏』の庭へと変貌を遂げていた。

むせ返る目映さに目を細めて採光を弱めると、一段気温が下がる場所がある。その一帯から、朝露を思わせるような匂いが満ちてく。]




 …………ああ、── 『蓮』 だ……



[白や桃といった蓮が浮かぶ水面に近づく。

──見事、だね、って口にして。
この池は、汚れても穢れてもいないみたい。


水面を覗き込む。無い片眼に光るライムグリーンの硝子石アンプルが、
夏を反射して網膜を射した。]

 



 
────『 己 と は 何 か ? 』



 


[この硝子石を。
押し込んでも引き千切っても『僕ら』は咲く。
指で、つ、と其れをなぞれば、冷たい。

引っ張って、みる。
──およそ外れそうにはなかった。]



 ……ふふ。

 あは、は、?



[ひとしきり玩んで、かくり、と全身からちからが抜けた。膝を着く衝撃に髪が揺れる。力なく膝に投げ出される指先は爪が、割れていた。
そうなんだ? と、思う。

ああ。僕は僕を なんにも知らないんだ。]

 



 『己に存在意義が与えられている事には、感謝しています
  無駄な思考も事象もひとつもないと、そう在れる事を

  『幸福』と云うのだと俺は、そう理解しています』
 




 …………『直青』くん

 



 『  
   ──己の存在や行動に意義が生じている限り、
   すべての"己"と言う存在には常に価値が存在している。

   ……己も、そう思います。
   それは確かに己らの『幸福』の形であると 
                       』


 



 ……直 青 君。

 


 『
   どのような姿形でも構いませんが
   強いて言うば、強かな種であると有難いですね 

   楽しみにしています。あなたに再会する日を
                         』 

 




 ひたあお、 くん、 直青君──…………、



[僕の神さま、『幸福』の形。
僕のなまえに意味なんてない。ただそこに在るだけの。それは完璧だったんです。それで完璧だったんです。僕の座標だったんだ。
 ああ、『神』よ。僕はあなたのものでも
────おまえは決して僕だけのものにはならないんだろ





ついに喉が絞まる。この手で絞めた。叫ばない様に。


どうして、どうしてどうしてどうして??僕だけが奪われて喪ってどうして君は何ひとつ損なわれない。愛って、愛ってなんですか。与えることじゃないんですか。与えることじゃないんですか? 苦しい。苦しいよ見返りを求めずに捧げるだけの命でもこの苦しみこそが『生きること』だって君がいうなら僕は僕は、ぼくは─────……!!!]

 




──C’est parti !  






苦しい『生』などは、ありませんよ。


もし『生きること』を苦しく思うのなら、
それはキミに『罪が在る』からだね。



悪魔とは、人類の不従順を魅力的に語る。

けれどそれはすべて偽りでまやかしの、

────“ 掬い ”です



覚えておいください。
僕はいつでも、キミのなかにいます。




さぁ、言ってごらん…………キミの『名前』は?































 …………“ Je,  m'appelle ”

**


どのように飼おうか
、と考える。

ひたすらに甘やかしてしまおうか。
欲しがるものならば何でも与えよう。
嫌と言う程注ぎ込もう。

漸くだ。
漸く、手に入れた。






俺だけのもの。


 

 




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