人狼物語 三日月国


29 【2IDソロル+ペア混合】交換日記【完全RP村】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


【人】 軍医 ルーク

[ 外壁の階段を、ぺんぎんと共に降りてゆく。
 基地の内部、建物からばらばらと出てくる武装兵たちが
 遠目に見えた。
 総攻撃に対して、出来る限りの戦力が投入されている。
 けれど、基地を完全に手薄にしたわけではない。
 基地を守る防衛部隊も、此処には残っているのだ。
 
 一歩足を踏み出せば、
 外壁がぐらりと揺れて足を踏み外しかける。
 ずるりと足が滑り、そのまま転げ落ちそうになる。
 咄嗟に石壁にしがみ付くようにして身体を支え、
 一歩、一歩下へと降りてゆく。]
(48) 2020/05/27(Wed) 23:53:34

【人】 軍医 ルーク

[ きゅい! と切羽詰まった鳴き声。
 がらがらと落ちてくる何かの音に耳がぴくりと動き、
 咄嗟にぺんぎんを抱え込み、壁面に身を寄せれば、
 爆ぜ割れ、弾け飛んだ壁面の瓦礫が足元を掠め、
 人の頭など砕いてしまいそうな勢いで、
 下へと落ちていった。

 砲声の向こうから金属の咆哮が響き、大気を揺るがす。
 火薬の匂い、煙、破壊音、
 そのひとつひとつが、五感に突き刺さり、
 白い耳が、ふる、と本能的に震える。

 動けなくなる、脚が竦む。
 そのまま頭を抱えて屈みこみたくなるのを、
 ぶん、と強く首を振って振り払う。]


  ……、逃げよう、
  下に防衛部隊が、いる、


[ ぺんぎんに言い聞かせる声は、
 自分にも言い聞かせるように。
 以前、この脚が生身であったころは
 一息に駆け下りられたに違いない階段を、
 時折鳴り響く爆音に追い立てられるように、降りて行った。]
(49) 2020/05/27(Wed) 23:56:04

【人】 軍医 ルーク

[ 外壁を降り、基地の内部――東棟の中へ。
 まだこの建物の中にいたぺんぎんたちが、
 慌ただしく駆け回りながら、
 ぱたぱたと必死で羽をはばたかせ、
 窓から首を出して外の様子を見ている。
 きゅきゅいと鳴き交わし、跳ねまわる一羽に声をかけた。]


  外に三体いる!
  昆虫型――形状は蟷螂に似てる、
  詳細は確認できなかったけれど、新型だ、
  恐らく以前の型から類推するに、
  脚部に複数の火器――…!
  蟲型の特徴は規格外の脚力と、
  触覚による索敵能力、
  外壁を飛び越える恐れがある、
  奴らの目的は基地だ!
 

[ 早口でそう告げる。
 恐らく、あれを見た者は自分だけではない。
 司令部では戦況も確認されているはずだ。
 それでも、情報はあるに越したことはないだろう。
 以前研究所で見た蟲型の装備を頭の中に並べ、
 類似点を絞り出す。]
(50) 2020/05/27(Wed) 23:57:37

【人】 軍医 ルーク


  司令部――それか、然るべきところに伝えて、
  君たちも奥に避難をして!


[ ぺんぎんたちにそう告げる。
 耳がぴくぴくと動き、
 基地内に鳴り響く新たなサイレンを捕える。
 襲撃が迫っていること自体は、やはり把握され、
 情報が行き届いているらしい。
 先程外壁から逃げるときに見えた防衛部隊の動きも、
 統率が取れたものだった。

 パニックになっていたぺんぎんたちは、
 “おてつだい”のお仕事にはっと我に返ったようで、
 四方八方に散ってゆく。
 中の一羽が、自分と一緒にいる一羽に、
 がんばれ! とでもいうようにぱたぱたと羽を動かし、
 飛んでいった。
 
 どうすればいい、どこに行けば?
 思考は一瞬だった。
 いまは基地の奥、非戦闘員の避難区画まで行くべきだ。]
(51) 2020/05/27(Wed) 23:59:40

【人】 軍医 ルーク

[ 此処に奴らが押し寄せてきたなら、
 どこにいたって逃げ場なんてない。
 どれほど基地の奥、堅牢な一画に身を寄せようと同じこと。
 けれど――…

 敵は近づけさせないと、そう彼は言ってくれた。
 外壁から見えた敵の数がどれ程多く、
 その一体一体が、どれだけの力を有していたとしても、
 その言葉を、何よりも、強く信じている。
 歩き出そうとした、そのとき。


   
ぴしり
、と、
 
 乾いた音を立て、
 足元の床を、
銃弾
が穿った。]
(52) 2020/05/28(Thu) 0:01:31

【人】 軍医 ルーク

 

  『何処に行くつもりだ?』


[ その声に、振り向く。
 開いた扉の前、銃口を真っすぐに此方に突き付け、
 戸口を塞ぐように佇んでいる人影がある。

 ――覚えのある犬耳が、逆光の中、揺れた。]
(53) 2020/05/28(Thu) 0:01:53

【人】 軍医 ルーク

[ ぺんぎんを後ろに庇い、男を睨みつける。]


  そんなことをしている場合か?
  外に何がいるか、分かっているだろう、
  確か防衛部隊の所属だったな、
  何故いま、こんなところにいる?


 『その言葉、そっくりそのまま返そうか?
  お前が外壁から降りてくるのが見えたんでね。
  ああ、やっぱりそうか。
  そういうことなら、
  もう答えを聞く必要も、ないよなあ』
 
    
[ こつり、軍靴が鳴る。
 一歩の距離が近づく。
 自然と後ずさろうとする足を、
 “動くな!”と吼えるような恫喝と、
 かちゃりと鳴らされた銃が遮る。]
(54) 2020/05/28(Thu) 0:02:49

【人】 軍医 ルーク

 
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・
  『またお前があれを呼び込んだんだろう?
   第二研究所がああなったのは、
   機獣の武装が暴走したから――
   そんなことは大嘘だ。
   お前が、スパイを呼び込んだ。
   あの研究所には“何か”がいた、そうだろう?』
 
 
[ なにを、と聞き返そうとして――…
 思考が奔る。
 いま漸く、この男の耳まで届いた『噂』が
 どのように捻じれていたかを、察する。
 何処から嗅ぎ付けたか、この男は上が想定しているよりも、
 真実に近づいているのだろう。
 けれど、それは違う。

 また、一歩。
 逆光の帳から踏み出した男の顔が、露になる。
 其処に深く、昏くぎらついているものは――
 焦燥と、“恨み”]
(55) 2020/05/28(Thu) 0:03:58

【人】 軍医 ルーク


   違う。
 

[ これまで何を言われても、否定することはしなかった。
 “天の向こうには、機獣を送り込んでくる者たちがいる”
 その真実を、人に知らせてはならないと、
 そう言われていたからだ。
 上は恐らく、彼らの目的をいくらかは察しているのだろう。
 ――“彼女”から、血肉と命ごと毟り取った情報で。

 探ろうとする相手に何をされたところでどうでもよいと、 
 踏みつけられる人形を他人事の目で見るように、
 そう思っていたからだ。
 けれど、いまはもう、駄目だ。
 明確に否定の声を上げ、男に向き直り、睨みつける。]
(56) 2020/05/28(Thu) 0:06:00

【人】 軍医 ルーク


  『警告は終わりだと言ったはずだ』


[ 男はそう言って、引き金に指をかける。
 怒りに煮えながら、それゆえにどこか平坦な口調で。
 
 そうして、引き金をひとつ、引いた。]*
(57) 2020/05/28(Thu) 0:06:17

【人】 軍医 ルーク

[ 脚部に走る強い衝撃に、痛みはない。
 けれども、武装でもなければ機能にも劣る義足の何処かが、
 ばきりと嫌な音を立て、何かが砕ける感触が伝わる。
 片足からかくりと力が抜け、揺らぎかけた身体を、
 咄嗟に手近なドアの枠に手をついて支えた。]


  少し考えれば分かるだろう、
  もしわたしが天の向こうとの内通者で、
  そのせいで研究所の事故が起こったとするなら、
  上が放っておくはずがない。
  前線送りで済むどころか
  即処刑がいいところだ。


[ そう、男が疑っているのはそういうことだろう。
 “自分が機獣から回収された部品の扱いを誤り、
 事故を起こしたという噂”
 ――真相を隠すため、意図的に広められたそれではなく。
 どこからか、カイキリアの存在を嗅ぎ付けて。
 自分が彼女とかかわりがあったことを知り、
 爆破事故に結びつけたに違いない。]
(65) 2020/05/28(Thu) 1:37:57

【人】 軍医 ルーク


  『だったら説明をしてもらおうか?
  研究班の奴らが言っていたな、
  お前は、誰も知らない、知りようがない
  機獣の通信機を、一度の捜索で見つけてきたと。
  それにな、見張り台で不審な動きをしていたお前を
  見かけた見張りがいるんだよ。
  大穴の調査?
  確認したが、お前にそんな任務はないはずだ。
  そのとき、一体何をしていた?』


[ その問いに―― 一瞬のこと、口を噤む。
 通信機を見つけることが出来たのは、
 嘗て研究所で同じ部品を見たことがあったと、
 そう話すことも出来ただろう。
 けれどもその一瞬のうちに、どうしても、
 それを本当に見つけたのが“誰”であるかを
 このような男に知られてはならないと、そう過ったから。
 見張り台でのことを問われたなら、
 懐に大事に抱えたままの赤い袋に、指が伸びる。

 その一瞬の沈黙をどう捕らえたか、
 男が再び引き金に指をかけようとした、そのとき。]
(66) 2020/05/28(Thu) 1:38:35

【人】 軍医 ルーク

[ ―― その幾つかの出来事は、同時に起こった。

 外壁の外、最早間近へと迫っていた蟲型の機獣が、
 高台の上に現れた敵へと無数の矢を放ち、>>37
 炸裂した対機獣砲が、
 砲声すら巻き込み、爆発音を上げる。

 爆炎が噴き上げ、煙が外壁の外を覆い、
 蟲型が断末魔の叫びをあげる。
 衝撃に煽られ、
 機獣と比べるべくもないほどに小さな赤い身体が、
 外壁の方向へと吹き飛ばされてゆく。>>40]
(67) 2020/05/28(Thu) 1:39:08

【人】 軍医 ルーク

[ そして、外壁の“もう一か所”
 三体の前方からの進撃に紛れるように、
 周りこんで後方へと迫っていた
“もう一体”

 遂に行動を開始する。>>3:298
 
 迷彩を施した鱗に覆われたその体躯は、
 例えるなら蛇に似ているだろう。
 それは基地の側面に迫り、鎌首を擡げ、
 蟲型が破壊されると同時に、その巨大な口を開く。
 放たれた砲弾が、外壁の一画へと直撃した。

 外壁の上部、見張り台が傾ぐ。
 がらがらと崩れ落ちてゆく石壁、
 ひとなど容易く押しつぶしてしまう程に巨大な瓦礫が、
 中庭に雨のように降り注ぐ。
 最後に、ずん、と音を立て、
 見張り台の残骸が、地に突き立った。

 そして、間を置かずに次の攻撃が放たれる。
 基地内部の建物へと砲撃が撃ちだされるその寸前、
 防衛部隊の反撃が蛇の横腹に突き立ち、
 その軌道が逸らされた。]
(68) 2020/05/28(Thu) 1:41:35

【人】 軍医 ルーク

          [ 砲弾が、炸裂する ]


[ 音も、視界も、すべてが真っ白に染まる。
 すべての瞬間が、ひどく引き伸ばされるようだった。
 目の前にいた男が振りむこうとしている、
 その動きがひどくゆっくりと見える。

 ぱきり、と、
 砕け散る窓ガラスの最初の罅すら、
 見えるほどの一瞬だった。
 
 咄嗟に、身体が動いた。
 まだ動く片足、両腕、その全部を使って、
 ぺんぎんを掻っ攫うように抱きしめ、
 手をついていたドアの枠の内側へと滑り込む。
 
 全てが飲み込まれて行くような、真っ白い一瞬の中で、
 全身で抗いながら、手を伸ばしてくる死から逃れようと。]
(69) 2020/05/28(Thu) 1:42:40

【人】 軍医 ルーク


[ 考えていたことは、ひとつだけ。
 絶対に死なない、死ぬものか、
 ここで待ってるって約束したんだ、
 これから何が起こるとしても、何処に行くとしても、
 決して離れない、君の手を離さないって。


    そうだ、わたしは――…  ]
(70) 2020/05/28(Thu) 1:43:20

【人】 軍医 ルーク

[ ――… ]

  ―― 
回想:第二研究所
 ――

>>2:183
[ 目の前が真っ白になる。
 格納庫に明かりが灯り、
 暗闇にいた目が明るさに慣れずにいるうちに、
 格納庫の扉が開き、なだれ込んできた兵士たちが、
 見る間に自分たちを取り囲んだ。

 銃口が突きつけられる。
 彼女に、そして自分に。]


  『泳がせておいて正解だった。
   案内ご苦労、
   “良い警官と悪い警官”というのは、
   古臭い手だが悪くない、
   君はいい仕事をしてくれた』


[ 上司はそう言って、青い光を放つ通信機に指を伸ばした。]
(71) 2020/05/28(Thu) 1:44:04

【人】 軍医 ルーク

[ 銃を突き付けられ、兵士たちに拘束され、その少女は]


  『――、
   あーあ、ばれちゃったか。
   折角上手く行くと思ってたのに』


[ くすり、あざ笑うように笑った。]


 『本当にね、“案内ご苦労”――
  わたしも、もう少し警戒するべきだったかなあ。
  こんな甘い子を一人で担当にして、
  泳がされてるに違いない、って』


[ 彼女は、別人のような眼差しを向ける。
 その視線に、ぞくりと背筋が泡立つ。
 まるで機械のように、虫のように、
 感情のないまなざし。
 上司の男は彼女を見下ろす。]
(72) 2020/05/28(Thu) 1:44:45

【人】 軍医 ルーク


 『機獣とともに此奴が回収されたのは僥倖だったな、
  戦闘要員というよりは、情報を集めるために
  人に取り入る術を叩きこまれた諜報員だろう。
  病原菌のようなものだよ、
  放っておいては酷い被害が出ていたに違いない。
  さて、君らの処分はまた考えねばならないとして――
  これが通信機か?
  記録が残っているなら、これは役に立つな、
  十分な成果だ』


[ 次の瞬間だった。
 彼女――カイキリアが、息を呑む。
 顔色を失い、目を見開き、
 自分に銃を突きつける兵士たちの“向こう側”にある
 ひとつの部品を凝視して。
 彼女の視線を追い、気づく。
 その部品に、赤いランプが灯っている。
 ちか、ちか、と規則正しく点滅しながら。]
(73) 2020/05/28(Thu) 1:46:03

【人】 軍医 ルーク


  『……嘘、どうして?』


[ 彼女の口から零れたその声は、
 先ほどまでとは打って変わって、
 凍り付いたような恐怖を露にしている。
 彼女はもがき、兵士たちから逃れようとする。
 がつりと殴りつけられ、顔を上げ、叫んだ。]


  『爆発する…!!
   いやだ、やだ、
   此処から逃がして、逃げないと…!!』


[ 僅かな間のこと――奇妙な静寂が、その場を支配する。
 そのような馬鹿な、と、口にしかけた上司の口が、
 言葉を発せず噤まれる。
 ひい、と引きつるような息をしたのは、
 自分たちを抑えていた兵士だ。
 彼らは顔を見合わせ、銃を放り投げ、
 ばらばらと勝手な方向に駆けだしてゆく。
 そして、最後まで残った上司の男もまた、
 彼らの後を追って走り出す。]
(74) 2020/05/28(Thu) 1:46:48

【人】 軍医 ルーク


   ――、 
   逃げるよ!


[ 茫然と立ちすくむ彼女の手を取り、駆け出す。
 どれだけの時間があるかは分からない、
 一分? 数十秒? それとも――

 格納庫を駆けだし、あたりを見回す。
 どこまで余裕があるだろう、
 視線で問うた彼女の目を見て、
 もう本当に猶予がないのだと知る。
 背後から迫って来るそれは、確実な死だ。

 限界まで足を動かして駆け抜け、
 手近な部屋へと駆けこんだ。
 倉庫のようだった。
 少しでも奥へと、彼女の手を引いて、
 物陰へと身を潜め、身体を丸める。

 がたがたと指が震える。
 耳も、尾も、何一つ現実味のない圧倒的な恐怖の中で、
 破裂しそうに早鐘を打つ鼓動の音を聞きながら、どくどくと。]
(75) 2020/05/28(Thu) 1:47:36

【人】 軍医 ルーク


 『……きらいだった、
  あんたたちなんか、大っ嫌いだった、
  笑ったり、怒ったりしてもいい、
  悲しんだり、楽しんだり、なんでも持ってる、
  当たり前みたいに、“感情”があって、
  わたしに酷いことをする、あんたたちが』


[ そう言いながら、彼女は、
 ――… この手を離そうとは、しなかった。

 強く、固く、互いの手を握りしめる。
 この手もまた、震えていた。
 彼女の言葉のすべてを受け止めるように、頷く。
 その憎しみは、きっと、わたしの中にもあるものだ。
 天の穴の向こうに居る者たちと会ったなら、
 どうして父を殺したのかと、
 一片も思わずにいることが、できるだろうか。
 彼女にその影を重ねようとは、思わなかったけれど。

 それでもどうしても、自分たちは、
 世界の外と内で殺し合う場所に立ってしまっていたのだ。]
(76) 2020/05/28(Thu) 1:49:30

【人】 軍医 ルーク

[  音が、視界が、白く覆われる。
  闇に落ちてゆく。
  さいごに、聞こえる声があった。]


  『 ごめんね、おとうさん、おかあさん、
    きっとわたしは帰れない。 』


>>1:318 
 
(77) 2020/05/28(Thu) 1:50:16

【人】 軍医 ルーク

[ 視界のすべてが赤かった。
 炎は消し止められたようだ。
 耳音で滴る水の音に、
 ああ、流れている血だなと――そう思った。

 辺り一面の瓦礫の山、
 吹き飛んだ天井の向こうは、一面の闇だ。
 誰かの声が聞こえる、誰かの動き回る音、
 瓦礫をかき分ける音。

 彼らの声が、ひとつも意味を為さない。
 頭の中はぐらぐらと揺さぶられて、
 目に飛び込んでくる景色も一秒後には捻じれ、
 水にぬれて絞られる布のような心地がした。

 身をよじり、身体を動かそうとする。
 けれど、からり、と手元の破片が音を立てた、それだけで。

 そうだ、繋いでいた手が、あったはずだった。]
(78) 2020/05/28(Thu) 1:50:36

【人】 軍医 ルーク

[ 首を傾ける。
 小さな傷だらけの手は、確かにそこにあった。
 自分の右手と、つないだままだった。


 ――その手“だけ”が、あった。

 動いた視界の先に、大きな瓦礫がある。
 その下にあるものは――ああ、位置的にはわたしの脚か、と、
 他人事のように、思う。

 音のすべてが遠ざかる。
 けれど、鼓膜は大丈夫。
 視界に問題はない、赤いのは、血が入っているから。
 そんな風に淡々と分析しながら、
 駆け寄ってくる誰かの足音を聞きながら、

 まるで、ピアノを弾いている指の上に
 蓋を思い切り閉められたように、
 自分の中に『何か』が致命的に断ち切れたということに、
 気づいては、いた。

 そのときは、それは両脚のことだと思った。
 切れてしまった糸はそれだけではなかったということを、
 病室で自分を診察した医師のカルテを盗み見て、知る。

 ―― そのときも、もう、何も感じなかった。]
(79) 2020/05/28(Thu) 1:51:11

【人】 軍医 ルーク


            [ ――… ]

[ 身を起こす。
 起こそうとする。
 意識なんて、あるかないかすらもう分からないけれど。
 自分が確かに『生きている』ということだけは、
 はっきりと、分かっている。]

 
  ……死ぬもんか、


[ そうだ、絶対にだ。
 わたしは、待ってる。
 君が帰って来るのを、君にまた会うのを、
 そして――…
 これからもずっと、一緒に、いるんだ。]
(80) 2020/05/28(Thu) 1:52:15

【人】 軍医 ルーク

[ きゅいきゅいと、腕の中で声を上げる温もりがある。
 額が割れ、血が流れ込んだ右目の視界が、
 赤く覆われていく。
 ぽたり、血が頬を伝い、床へと滴り落ちる。
 
 少し離れた場所に、あの男がいる。
 銃を落とし、意識はないが――
 見たところ、生きている、大丈夫だ。
 どうやら砲撃の直撃は避けられたらしい、
 だとしたら、逃げないと。少しでも遠くへ。

 足に力を込めたそのとき、
 がくり、引っ張られるように身体が床へと落ちる。
 義足の片方――先ほど撃ちぬかれた足を、
 倒れた棚が押しつぶしているのに気づいたのは、その時だ。
 ぺんぎんが腕を抜け出し、必死で持ち上げようとするが、
 到底動く重さではない。]
(81) 2020/05/28(Thu) 1:53:21

【人】 軍医 ルーク


   ――、っ。
  

[ 切り離してでも抜け出そう、
 此処から逃げないと。
 何か使えるものはないかと、
 身を起こし、辺りを見渡す。]



[          建物の壁面が崩れ、中庭が見える。
                    
るり、と、
        ひどく重い何かが、土を這う音がした。


 蛇型の機獣の巨大な目が、
 真っ直ぐに此方を見ていた。]
(82) 2020/05/28(Thu) 1:54:59

【人】 軍医 ルーク



   あ……、


     [ 機獣が、口を開ける。
      外壁を砕いた砲撃だ、
      放たれたなら、建物はひとたまりもない、
      自分たちもまた、骨一つ残さず消し飛ぶだろう。]


[ 脚にどれほど力を入れて瓦礫から引き抜こうとしても、
 瓦礫も、脚も、動かない、動けない。
 機獣の口の中に、あかい光が灯るのが見える。

 ――指先が、懐に触れる。
 こつり、触れた感触は、
 そうだ、此処に来る前に彼から渡された――]
(83) 2020/05/28(Thu) 1:55:47

【人】 軍医 ルーク



 “でも……ルークの居る場所には、敵は近づけさせないけれど
  もし、何かあったら。僕の名前を呼んで。
  僕は耳がいいんだ。戦闘中だって、いつだって。”


>>3:$10
(84) 2020/05/28(Thu) 1:57:02

【人】 軍医 ルーク


   ――… ット、


  “ ルークの声は、絶対に聞き逃さないから。”
 

   シュゼット!!!


[ 残されたすべての力を振り絞り、叫ぶように、
 ―― その名を、呼んだ。]**
(85) 2020/05/28(Thu) 1:57:37


  [ 聞くには、多分、 ちょうど良かった。]

 


[ ──日記に、手紙に、押し花に、ドレス。
  屋敷には肖像画がたくさんあるし、
  残すものばかりだ。

  綺麗なものに縋っていたいのだと思う。
  枯れる前を、死ぬ前を、忘れずに居たいのだと思う。].
 



   [ なにより、“残りたい”のだろう。]
 
 



  …リドルは人の顔をけして忘れない。
  一度見ただけの顔も、決して。

  それだというのに、誰も僕の顔を覚えていないなんて、
  そんなのは理不尽じゃないか。

 

【人】 軍医 ルーク

[ 蛇型が開いた口の中に、赤い光がぎらりと輝く。
 それは煮え立つように煌々と光を集め、放ち、
 その光は徐々に、赤色から白色に変わってゆく。
 ひどく異様な色をした光だ。
 その威力は分からずとも、本能的な恐怖が全身を貫き、
 瞬間が凍り付く。

 瓦礫に挟まれた足が動かない。
 もし今この足が抜け出せたとしても、
 あの砲撃から逃げ出すことは敵わないだろう。

 そのとき――…、
 聞こえてきた“
”に、目を見開いた。
 それは、一瞬のこと。
 触れれば直ぐに飛び去ってしまうほどの、ほんの刹那。

 ずっとずっと聞きたかったその声が呼んでくれた、
 自分のほんとうの名前。
 その音が心臓を強く揺さぶり、
 鼓動がひとつ、全身を貫くように強く脈打つ。
 身を起こし、その声の聞こえた方角を、真っ直ぐに見た。]
(128) 2020/05/28(Thu) 23:10:01

【人】 軍医 ルーク

[ 離れているはずの距離が、ひどく間近に感じられて、
 遠くにある赤い目が、直ぐ目の前にあるようで。
 
 いつかの医務室で、互いの鼓動が聞こえる距離で、
 その目を見つめていたときのことを、思い出した。]



[ 彼の義手の右腕が、
 機獣へと真っ直ぐに、突き出される。]
 その唇が、“ごめん”と紡ぐ。]



     [ その瞬間、理解した。
      だめ、と、青ざめた唇が震える ]
(129) 2020/05/28(Thu) 23:11:13

【人】 軍医 ルーク

[ 幾つもの記憶が過る。

 それは、この戦いが始まるとき、
 外壁にいる自分に向けて、ここに居ると教えてくれるように、
 大剣を掲げてくれた、姿だとか。>>31

 医務室で、通信機を探しに行く道行きで、
 幾度となく感じているようだった、
 記憶の予兆の頭痛。
 
 義手を使えば、どうなってしまうか分からない。
 それなのに、彼は最後まで、
 『使わない』と言おうとはしなかったんだ。]

   
     駄目…!!!!!


[ 喉を引き裂くほどに強く、強く叫ぶ。
 その叫びすらかき消すように、飲み込むように、
 義手へと収束した光が膨れ上がり、
 視界を白く染め上げてゆく。
 そして、開かれた機獣の顎から光が放たれる、その寸前、

 義手から放たれた一撃は、
 過たずそのコアを一閃に穿った。]
(130) 2020/05/28(Thu) 23:11:56

【人】 軍医 ルーク

[ ぺんぎんを抱え込み、身を伏せた背の上を、
 爆風が吹き抜けてゆく。
 目は白い光に眩み、何も見えない。

 爆風に吹き飛ばされた瓦礫が、
 先程の攻撃で崩れかけていた建物の外壁を打ち、
 がらがらと破片が崩れ落ちる音がする。
 けれど、それは耐えられない衝撃ではなくて、
 なにひとつ、自分の周囲に、落ちてくることはなかった。
 

 顔を上げる。
 眩んだ視界の中、影絵のように蠢く大蛇の姿がある。
 それはゆらり、と大きく左右に揺れて、
 コアを貫かれた機獣はのたうつことすらせずに、
 その鎌首を建物の一つに預けるようにして、傾いてゆく。

    
ン…、と、

 ひどく重いものが斃れる音が、聞こえた
 最早動くことのない残骸となったそれの行方を
 目で追うことすらせず、
 辺りを見回し、必死で赤い姿を探す。]
(131) 2020/05/28(Thu) 23:13:19

【人】 軍医 ルーク

 
   ――…!


[ 此処からは遠く離れた場所に、倒れ伏す赤い姿を見つける。
 ぴくりとも動く様子はない。
 どきり、と、また一つ鼓動が跳ねる。]


  嘘……、


[ 茫然と、音を吐き出して。
 這うように、両腕に思い切り力を籠める。
 一つだけ幸いしたのは、
 今の衝撃で足を挟んでいた瓦礫が再び動いたことだ。
 挟まれていた義足を引き抜けば、
 折れて捻じれたそれは足としての体を為さず、
 動かそうとしても、棒切れのように動かない。
 残った片足で歩こうとしても、
 直ぐに足を取られてぐしゃりと土に転んだ。

 この調子で歩いていくよりは――、と、
 両腕と片足で、這うように前に進む。
 基地の喧騒が遠くに聞こえる、
 まだ遠くに響く戦闘の破壊音も、何もかも。]
(133) 2020/05/28(Thu) 23:15:05

【人】 軍医 ルーク

[ 飛び散った硝子の破片が、砕けた瓦礫が、
 ずるずると這う両腕を裂いていくつもの傷をつけてゆく。
 痛みも、何一つ気にならなかった。
 この手足の歩みの遅さが、
 これほどまでに歯痒かったことはない。
 心臓を鷲掴みにされたような恐怖の底で、
 懸命に這って近づく。]



  シュゼット!!
 

[ 漸く近くに辿り着き、肩に手をかける。

 消された日記の内容を知ることはない。
 けれど、ひどく不吉な予感が黒雲のように心に広がる。]
(136) 2020/05/28(Thu) 23:17:21

【人】 軍医 ルーク


[ 彼は最初の襲撃で、義手を使って機獣を葬った。
 そのことは、話してくれた通りだ。
 そうだ、そして、
 “そのあと記憶を失った状態で発見された”。

 その後も義手を使った反動は、
 その都度大きなダメージとなっていたはずだ。
 過去の記憶を運んでくる頭痛は、今もその身を蝕んでいる。
 そのような状態で、あれほどの威力の一撃を放ったなら? 

 かたり、震える手。
 白く色を失った唇が、声を失う。
 言うことを聞かない全身が、崩れ落ちそうになる。]
(137) 2020/05/28(Thu) 23:17:34

【人】 軍医 ルーク


   嫌…、やだ、


[ いなくならないで。
 置いていかないで、お願いだから、
 泣き出して、縋りつきたくなる。

 恐怖は別離の姿をしている、
 それは、ひと一人の亡骸にしてはあまりにも小さく軽い
 遺体袋の傍にあった、一枚だけの家族写真のかたち。
 赤く染まった小さな手のかたち。
 赤く、赤く、広がってゆく血の沼の底に手足を絡めとられ、
 叫び出しそうになる。


 ――それでも、]
(138) 2020/05/28(Thu) 23:19:23

【人】 軍医 ルーク


  ――、
  君は、医務室から救急キットを持ってきて!
  前線に従軍する連中が持ってる奴だ、
  三番の棚にある!


[ ぺんぎんにそう頼み、全身の力で彼の身体を仰向けにして、
 口元に耳を寄せ、呼吸を確かめる。
 此処まで手当一つすらせず駆け抜けてきたのだろうか、
 全身が傷だらけで、血まみれで、>>103
 今は吹き飛ばされた衝撃で打ち付けた傷もあるだろう。

 呼吸は問題なし、
 続いて直ぐに止血が必要な傷の有無を見てゆく。
 ぺんぎんが戻ってくるまでは当座の応急処置で問題ないだろう
 ――体のほうは。
 フードを、ローブを脱ぎ捨て、引き裂き、
 手早く止血をしてゆく。]
(139) 2020/05/28(Thu) 23:19:32

【人】 軍医 ルーク

  ……、
  約束した、そのときは、手を握ってるって。
  起きて。


[ 震える手を励まして、動かない左手を取る。
 この両手で、包むように。
 ――… どうしようもない恐怖に、飲み込まれそうで。
 出来るなら、自分のすべてで、
 繋ぎ止めることが出来たならと、そう思うほどだ。

 ごめん、と、悲しそうに笑った笑顔が瞼に蘇る。
 これまでにくれた、幾つもの笑顔だとか、
 医務室で過去を告げてくれた日の泣き顔、
 手を握ってくれた、穏やかな笑顔、
 いつもの医務室で自分が脅かしたときの、
 何をされるのかと震える耳だとか――…
 通信機を探しに行ったあのとき、
 飴をくれたときのこと。

 そのような、ひとつひとつの瞬間まで。
 この身体を、伽藍洞だった心の中を、
 いつの間にかこんなにも、君が満たしていた。]
(140) 2020/05/28(Thu) 23:21:08

【人】 軍医 ルーク

[ その一つ一つの瞬間が、かけがえがなく、
 失うことなんてもうとっくに考えられなくなっていて――
 心にも命があるのなら、
 途切れて失いかけた心に灯されたそれはきっと、
 わたしの命だったことだろう。
 
 一緒にいたいと望んだ心に名前なんて付けられないと、
 いつかのわたしは日記に書いた。
 自分のすべてのように心を満たし、溢れ、
 あたたかく、時に失う恐怖に慄き血を流す感情に、
 名前なんて付けられずにいた。
 
 けれど。

 ――… その“名前”が何だったか、
 “気付いた”いま、
 もう遅かったなんて、絶対に絶対に、認めない。

 途切れた心が、糸を結ぶ。]
(142) 2020/05/28(Thu) 23:22:06

【人】 軍医 ルーク


  起きないと、苦いもの、飲ませるって言った。
  ぺんぎんの持ってきてくれる
  救急キットに入ってるかな。
  それか、甘いシロップの方がいいのだっけ?
  残念、いま、ここにはなくて。

  ……この感情に名前なんて付けられないって、
  わたしは言った。
  でも――… いまは、そうじゃない。


[ かみさま、という存在は知らない。
 祈りをささげるものはいない。
 けれど、いま、願うことはひとつだけ。
 眠る頬に、片手を当て、そっと屈みこむ。

 ――さあ、ほら、早く起きないと、
 酷いことをしてやる。]
(143) 2020/05/28(Thu) 23:22:53


   [ 不用意に言ってはいけないなんて、
      かいぶつでないひとは誰も教えてくれない。 ]


 



  [ 名前をかたちづくったところで、
     くちびるから、その音は出ていない。

    簡単に、呼び止められたら、
    なんだって苦労はしていない。なにもかも。 ]

 




    [ 羽を摘み取られた、彼の蝶の よに。 ]


 



  [ ──今は、とうにかいぶつであれ。
    自分手を汚すこともなく、
    笑顔でギロチンの縄を斬る男であると。
    男を指差す者どもは言う。
     
    きっと蝶を手折るのだって、
    何も悩みもせずやってのける。
    その自信さえあった。]

 



 [ うつくしい蝶であれば、絵にでも残してやったのに ]

 

【人】 軍医 ルーク

[ 義手を使ったのだ、今までのことを思うなら、
 身体もろくに動かないに違いない。
 頬に当てていた片手を今度は背に添えて、
 身体を支え、地面にそっと寝かせる。
 そうして、自分もすっと体を落とし、
 胸の上――心臓の辺りに、白い耳を寄せた。]


  ……よかった、本当に。


[ その鼓動の音ひとつ一つを、大切に、確かめるように。
 白い尻尾が嬉しそうにゆらり、と大きく揺れる。
 そうしているうちに――こう、

 
自分が何をやらかしたのか、不意に、実感が。
]
(198) 2020/05/29(Fri) 21:26:01

【人】 軍医 ルーク

[ あまりにも必死だったし、
 あまりにも、こう、
 好きでどうしようもないというのが溢れたというか。]


  ――… !
  顔、絶対、今見ちゃだめだ


[ 心臓が早鐘を打つようにどきどきと走り始めて、
 頬に血が上り、かっと赤くなる。
 顔を隠すように、その胸に顔をさっと埋めたけれど、
 尻尾は大きく忙しなく振れて、
 ぴたんぴたんと左右の地面を打っている。
 自身の鼓動の音も、
 これ外に聞こえてしまっているのでは――? 
 というありさまだから、
 自分がどんな状態であるかなんて、
 きっと、筒抜けだったことだろう。]
(199) 2020/05/29(Fri) 21:27:34

【人】 軍医 ルーク

[ 暫くぴたんぴたん言っていた尻尾がようやく落ち着いたころ、
 顔を上げ、辺りを見渡した。

 中庭まで侵入を果たした蛇型が撃退された今、
 防衛部隊は外壁の防衛に総員で当たっているようだった。
 前線の戦いもまだ、終わってはいないだろう。
 
 崩れかけた建物からわらわらと出てきたぺんぎんたちが、
 互いの無事を確認するように、
 駆けまわっては鳴き交わし、
 中の何羽かが、崩れた外壁の隙間から、
 鈴なりになってひょこっと外を覗く。
 やがて中に振り返り、ぐっ、と片方の羽根を上に突き出した。
 中にいたぺんぎんたちが、歓声を上げて跳ねる。]


  状況は、悪くないみたいだな。
  良かった。


[ 外にいた虫型がここまで入って来ることがあったなら、
 足が動かなかろうと、例え千切れようと、
 彼を引っ張って、
 一緒に安全な場所まで動こうと思っていたけれど。
 あの様子なら、その心配はなさそうだ。]
(200) 2020/05/29(Fri) 21:29:19

【人】 軍医 ルーク


  医務室まで運べればいいんだけど、
  わたしも足が動かないんだ。
  いま、ぺんぎんに
  救急キットを持ってきてもらってるから、
  それが届いたら、ちゃんと手当てする。


[ そうして、ぺんぎんの一羽を呼び寄せる。]


  頼まれてほしいことがあるんだ。
  倉庫の方に詳しいぺんぎんがいたら、
  直ぐに使えそうな義足を調達してもらえないかな?
  いまだけ使えればいい、どれだけ旧式でも、
  兎に角歩ければ。
 

[ 医務室でちゃんと彼の手当てをしたい。
 それに、戦闘が終わったなら、そこからが自分の仕事だ。
 これだけの規模の戦闘だ、
 被害を楽観するわけにはいかない。
 基地内の損害も相当なもののはず。]
(201) 2020/05/29(Fri) 21:31:24

【人】 軍医 ルーク

 
  前線の方もあの様子なら大丈夫そうだ。
  もし君の部下にケガなんかあったとしても、
  そのときは、治すから。
  まあ、葬儀屋に担当されたら
  悲鳴上げる奴も多いかもしれないけれど、
  この格好なら、誰かも分からないだろうな。


[ いつものローブは脱ぎ捨てて、耳と尻尾を露にして、
 長い豊かな、赤みがかった金の髪が
 背中にゆったり流れている。
 医務室の“葬儀屋”とは簡単には結びつかないだろう。]
(202) 2020/05/29(Fri) 21:33:00

【人】 軍医 ルーク


  ……覚えていてくれて、
  ほんとうに、良かった。
  信じてた。
 

[ 帰ってきてくれるのだと、そう信じていた。
 けれど、それでも、義手砲を使った彼の、
 ごめんと告げた表情は、動かなかったその姿は、
 凍り付くような、耐えられないほどの恐怖だった。]


  一緒にいられることが、
  わたしの幸せだから。
  
 
[ もし万一、彼の記憶が失われていたとしても、
 自分はきっと、変わらずにずっと傍にいて
 支えたいと願っただろう。
 それが、自分の心まで一緒に、
 砕けてしまうほどの悲しみだったとしても。
 
静かな水の底で、呼吸が出来ずとも、寄り添うように。

 いま失われずに傍にいてくれる幸福を、
 かみしめるようにつぶやく。]
(203) 2020/05/29(Fri) 21:35:00

【人】 軍医 ルーク


  でも、それだけじゃなくて。
  君がここで手に入れた大切な記憶を、
  無くさずに、持っていられたことが。
  良かった……
  もう、二度と寂しい思いなんて、
  してほしくなかったから。


[ ひとりきりで、人が死に絶えた世界を歩き、
 大切なひとたちを守っていた兎の写真を宝物にして、
 何処かに、生きているひとたちが暮らしている、
 そんな場所を夢見ながら、
 辿り着いたこの場所で、皆を守り続けた、そんな君が。
 その大切な思い出を、今もその両手に持っていることが。

 またひとりきりになってしまうことなく、
 なにひとつ手放すことなく帰ってきてくれたことが、
 泣きたくなるほどに、嬉しくてたまらない。]
(204) 2020/05/29(Fri) 21:35:53

【人】 軍医 ルーク

[ 医務室の、いつも一緒にいるぺんぎんが、
 救急キットを持って駆けてくる。
 飛べないぺんぎんは、いつも基地を走り回るうちに、
 いつの間にか足が随分強くなっていたらしい。
 瓦礫や尖った破片を器用に避けながら、
 ぴょんぴょん跳ねてこちらにやって来る。
 救急キットを受け取り、わしゃりと頭を撫でた。
 
 自分の傷は、不衛生にならないように
 血や埃をぬぐって止血を施して。
 手早く彼の手当てに取り掛かる。
 先程は当座の止血を施した傷を、ひとつひとつ、
 消毒してガーゼで覆って包帯を巻いて。
 そうして治療を終えたなら、ようやくほっと息をついた。]


  あとは、戦闘が終わるまで…


[ ここで待つしかない。
 外壁の向こうから聞こえてくる音は、
 徐々に戦況の変化を告げている。
 機獣の攻撃と思しき破壊音が、減っていた。]
(205) 2020/05/29(Fri) 21:37:14

【人】 軍医 ルーク

[ 基地に人が戻ってくるまで、
 自分の力で医務室まで運ぶのは無理だから、
 少しでも楽な態勢を――と、辺りに視線を落とす。
 普通の脚なら、枕にということも出来たのだろうけれど。
 生憎金属だし、片方は壊れているし。
 ローブもずたぼろに裂けて血と埃に塗れている。
 タブレットはローブの懐にあって、
 壊れてはいないはずだった。
  
 そこで、ふと。]


   ……


[ ゆらりと揺れる、自分の尻尾が視界に入る。
 互いの身体を動かし、彼の首から上を支えるように、
 よいしょ、と自分の白い尻尾の上に乗せた。
 抑々狐はよく尻尾枕をする生き物である。
 重くても、大丈夫。

 尻尾に触れられることに慣れていない頬は、
 微かに赤くなりはしたけれど。
 ふかふかでふわふわの尻尾は、
 地面でそのまま休むよりは、身体が楽になることだろう。
 兎に角それが一番の理由ではあったけれど、

   ――… 自分もそうしたかった、というのは、
        内緒だ。]*
(206) 2020/05/29(Fri) 21:39:10


 [ 喰い殺される前のあなたが、まだ残っている。

  何時かと同じ素足は、
  美しい、を纏ったものであるのは、
  もう 違いないのだろう。

      結局 自分だって、生きた頃に縋っている。 ]


 


[ ゆめのなかの一幕は、けして血濡れたものでは無かった。
  珍しい、ゆめでもあった。
  多少なりとも無ければ、白昼夢にも見ない。
 
  唯──赤薔薇と青薔薇が、
  手を取り合って踊る絵を、
  起きるまでずうっと見せられていた。
 
  短調で逆にキツいなどと、最早文句の言い分だ。
  唯、これが毎夜ともなると…]
 

 

   植物のダンスなら僕にも踊れる。

 



        [ ──日記に残された一文は、
            大分意味の伝わらないものだ。]
 

【人】 軍医 ルーク


  ―― 
司令室
 ――


[ ――それから、いくらかあとのこと。
 最後の機獣を遂に破壊したとの一報を受け、
 司令室は沸き立った。

 蛇型が外壁を破壊し中庭に至ったときには、
 窓から見える建物の向こうに首を擡げる巨大な影に、
 これまでかと悲壮感を漂わせていた兵士たちも、
 互いに肩をたたき合いながら、歓声を上げている。

 彼らが存分に喜び合うのを暫くの間眺め、
 やがて、総司令はゆるりと口を開く。]

  
   諸君、我々の勝利だ。


[ その声に、再び大きな歓声が上がる。
 それを片手で制し、部屋に居る者たちを見渡す。]
(248) 2020/05/29(Fri) 23:59:27

【人】 軍医 ルーク


  さあて、もう一仕事頼むよ。
  これから前線の兵士たちが戻って来る。
  命令は一つだ、
  いま生きている者たちを一人も死なせるな。
  念のため、大穴の観測も継続して行い、
  破壊した機獣に爆発や再起動の兆候がないかは
  念入りに確認するように。


[ 沸き立っていた空気が、その言葉に再び引き締まる。
 三々五々に散ってゆく部下たちの後姿を眺めながら、
 彼は、机の中から一冊の書類を取り出す。
 ぼろぼろの紙束を、指の先でぺらりと捲った。
 その場にいた技術班長に、振り返らずに話しかける。]
(249) 2020/05/30(Sat) 0:00:12

【人】 軍医 ルーク

  これでようやく
  次の段階への“前提条件”が整った、
  ――と言っていいかな?
  これだけの攻撃を行った後だ、
  同規模の戦力の投入は暫くは可能性が薄い、
  合っているかい?


[ 口を開いて勢いよく喋り出すジルベールの表情に、
 その予測があっていることを確認し、
 紙束に視線を落とす。
 (つまり、長話は聞き流した)]
(250) 2020/05/30(Sat) 0:00:49

【人】 軍医 ルーク

『 我々はこの地下世界を開拓するために作られた。
  そして今、彼らは我々を滅ぼそうとしている。
  目的は、まあ、想像がつくところだ。
  しかし機獣の逐次投入とは随分と効率が悪い。
  より効率を求めるなら――

  “作った段階で殺す手段を組み込んでおくのが正しい”

  実際、そういった計画はあったようだと、
  この文書は類推している。 
  ナノマシン、というのだっけ?
  組み込んだ因子に反応するそれを散布すれば、
  労せずして彼らは、我々を皆殺しに出来た。

  散布自体はあったらしいと、
  第二研究所に収容された“訪問者”は語ったそうだ。
  けれど、それは効力を発揮しなかった。
  地下の住民が設計段階で時限爆弾が組み込まれることは
  なかった、ということだね。 』
(251) 2020/05/30(Sat) 0:02:37

【人】 軍医 ルーク

[ 爆風に罅割れた窓越しに、天の大穴を見上げる。
 そこには闇があり、その向こうは計り知れない。]


 『さて、岩盤の上の世界も一枚岩ではならしい。
  そうとなれば――
  総攻撃を凌いだ今、動きようによっては、
  “交渉”の余地がある者を探すことも、
  出来るのではないかな?
  そうなれば問題は、
  誰を送り込むか、ということだが』
 
 
[ 心当たりはあるかな? と揶揄えば、
 ジルベールは目を輝かせて両手をぶんぶんと上げる。
 余程天の向こうに興味があるようだ。
 君には此処で働いてもらわなければ困るよと苦笑して、
 書類に再び視線を戻し、背もたれに背を預ける。
 最初の襲撃の後、この拠点から発見された文書だ。
 まだ論文の体すら成していない装甲、走り書き。
 けれど、此処にいた調査員であり、
 研究者である男が残したものだった。

 候補や手段、あるいはこれからの道筋も、
 考えている方策は一つ二つではない。
 その中のどれを取るかは状況次第だ。

 先程蛇型が攻撃態勢に入った際、
 窓の外を染め上げた白い光。
 それを思い出すように、黒眼鏡の奥の目を細めた。>>-314]*
(252) 2020/05/30(Sat) 0:04:34


   [ 碧が、子供を見詰めている。
      過去しか視えない その、瞳で。 ]

 

【人】 軍医 ルーク


  ――… 君がひどいやつなら、
  わたしだって、そうだ。>>266


[ 義手を使ってまともに動くことも出来ない様子を、
 いつもなら心配でたまらなくて、
 居てもたってもいられなくなるところ。
 今だって、直ぐにでも出来るだけの手当てをしたいとは
 思っているけど、
 それでも、いまこの胸を満たすのは、
 無事に戻ってきてくれたという喜び。
 彼が彼のまま、大切なものを失うことなく、
 傍にいてくれるということへの、どうしようもない幸せだ。

 それに、泣かせてしまっているというのなら。]


  泣いてるのは――嬉しいから。
  だから、いいんだ。
  それに、嬉しい、とか、悲しいとか、
  分からなくなっていたことだから。
  …わたし、こんな風に泣けたんだなって。  
(276) 2020/05/30(Sat) 19:29:17

【人】 軍医 ルーク

[ 断ち切れたまま戻ることはない、取り戻す必要もないと、
 置き去りにしていたことだった。
 それなのに、いつの間にか。
 結びあわされた糸が、手を伸ばして再び色彩を編むように、
 取り戻されていくのを感じていた。]


  笑ったり、泣いたり――
  幸せだと思ったり。
  君がくれたもの、
  君を大切だと思うわたしが、取り戻したもの。
  だから、嬉しいって思ってくれる方が、
  わたしは嬉しい。


[ 泣きながら、息を詰まらせながら、
 子供みたいな拙い精一杯の言葉で、そんな風に伝える。]
(277) 2020/05/30(Sat) 19:29:37

【人】 軍医 ルーク

[ 腕力はないが、患者の身体を動かすコツは心得ている。
 さすがに義手の重さはどうにもならないから、
 それ以外の部位を動かすことにはなったけれど。
 先ほどまでより落ち着いた呼吸を聞き、
 此方もほっと安堵の息をつき、胸に耳を当てて蹲る。

 ――で、今になって照れが来て、
 尻尾をぴたぴた言わせていたわけだが。]


  ひどい、とか、尻尾とか……!
  そういうことを、君は…!!


[ 聞こえてきたくすくす笑いに、益々顔が赤くなり、
 尻尾がぶわりと膨らんだ。
 絶対に顔を上げるものかと、服にしがみ付きながら
 聞こえてくる鼓動の音は早足で、
 それを意識すると、また頬にかっと血が上る。
 尻尾の揺れる動きはまた少し早くなったけれど、
 嬉しそうな尻尾、と言われたなら、
 その動きも止まって、ぴーんと張りつめ、
 ぎこちなく、そろり、地面へと降りてゆき。]
(278) 2020/05/30(Sat) 19:31:31

【人】 軍医 ルーク


  …… 莫迦、
  あとで、覚えてろ。


[ 恨めし気に顔を上げ、じーっと睨んだ。
 顔は真っ赤だし、
 口元は綻びたいのかぎゅっと結びたいのか
 ひどく難しい表情になっているし、
 まったく迫力なんてなかっただろうけれど。]
(279) 2020/05/30(Sat) 19:31:53

【人】 軍医 ルーク

[ それでもどうにかこうにか立ち直り、
 状況を確認する頃には、大分落ち着いてきて、
 ぺんぎんに義足の調達を頼む余裕も出てくる。
 動けなくてごめんと謝る声に、首を横に振った。]


  大丈夫。
  君は、あの機獣から守ってくれた。
  わたしだけじゃなく、皆のことも。


[ あのまま蛇型がここで暴れていたなら、
 どれだけの被害が出ていたか想像もつかないほどだ。]


  だから、此処から先は任せて。

  ……さっきも、今までも。
  戦えなくて、君が危険な目に遭っているときに、
  近くにいられないのが、怖かった。
  だから、出来ることがあるのは嬉しい。
  それに、彼らは君にとっても大事な連中だろう?


[ 医者として、戻って来る者たちを治すという使命感は、
 元よりあるけれど。
 それだけではなくて、力になりたい、
 出来ることがあるなら何でもしたいという望みでもある。
 だから、此処からは自分の仕事。]
(280) 2020/05/30(Sat) 19:32:47

【人】 軍医 ルーク

[ いまはゆっくり休んでいてほしいと、
 尻尾をそっと頭の下に差し入れて。
 だいじょうぶだよ、おやすみ――と、そっと耳を撫でる。
 その穏やかな表情に、あの頭痛は感じていないのだろうと、
 安堵を深くした。
 ずっと、不安だった。
 手を繋いでいると、忘れさせたりなどしないと誓っていても、
 いなくなってしまうかもしれないと、そう思うだけで、
 心臓が握りつぶされるような恐怖を感じていた。

 だから、水の中の夢の話を聞けば、
 いまでもどきりと鼓動が悲鳴を上げる。
 ――本当に、ほんとうに、
 帰ってきてくれて、よかった。]

  
  ……どこまでだって、行くよ。
  世界中のどこだって、水の中だって、
  ううん、世界の外だって。
 
(281) 2020/05/30(Sat) 19:33:54

【人】 軍医 ルーク

[ 温もりというには冷たいけれど、
 この手の温度を、感じていてくれたこと。
 彼の言葉のひとつひとつが、嬉しくて幸せで、
 あたたかくて、どうしようもなくて。

 “僕と、一緒に”
 その言葉の続きに耳をすましたのだけれど――
 続きの代わりに聞こえたのは、
 すー、と穏やかな寝息だったものだから。]


  ……、
   

[
そこは! 最後まで言ってほしかった!!!


 莫迦ー! 
 と思わず声を出しそうになるのを、何とか噤み、
 そっとその耳を撫で、おやすみ、と言った声は、
 自分自身でも聞いたことがないほどに、
 愛おしさを隠せずにいる、やわらかな声だった。]
(282) 2020/05/30(Sat) 19:35:32

【人】 軍医 ルーク

[ 最後の機獣が倒されたという一報が基地を駆け巡り、
 前線の兵士たちが帰還し、
 怪我人の搬送や戦闘後の機獣の処理が始まる。
 第二研究所の爆発を受け、爆発物等の確認は
 極めて入念に行われることになっている。
 ぺんぎんが運んできてくれた旧式の義足を取りつけながら、
 誰か手が空いたものに担架を持ってきてもらい、
 彼を医務室に運ぼうとしたのだが。]


  ん?


[ くいくい、と服の裾を引っ張られる。
 そこには、ずらりと並んだぺんぎんたちが、
 決意に満ちたきらきらした眼差しで此方を見上げていた。
 じい、と医務室のぺんぎんに視線を送れば、
 羽でしゅたっと彼を指す。
 先ほどの蛇型から自分たちも守られたと理解しているのか、
 それとも普段から仲の良いうさぎを運ぶお手伝いをしたい! 
 というところか。>>0:39]
(283) 2020/05/30(Sat) 19:36:21

【人】 軍医 ルーク


  多分、君たちには重いぞ? 
  この義手とか。
  人間が運ぶにしても何人かは要ると…

  ――
うわあ…?



[ 思わず変な声が出たのは、そう言っている間に、
 さらにわらわらっとぺんぎんが増えたからだ。
 近くの建物で息を潜めていた連中だろう。
 医務室の方角から担架を担いできた数羽が見えるに至り、
 まあいいか……と諦めた。
 この規模の戦闘なら、怪我人の搬送には鳥の手も借りたい。
 
 そのようなわけで、帰還した第一攻撃部隊隊員は、
 中庭で破壊され、停止した蛇型機獣の残骸を見て、
 彼らの隊長が基地を守ったということを知るだろうし。

 ―― タイミングによってはそれに加えて、
 見慣れない白狐に先導されたぺんぎん達に運ばれて行く、
 赤いうさぎを目撃してしまうことも、
 もしかしたら、あったかもしれない。>>269]
(284) 2020/05/30(Sat) 19:37:14

【人】 軍医 ルーク

  ―― 
医務室
 ――

[ それから暫くの間、
 医療班は負傷者の治療に総出で取り組むこととなる。
 出来るならずっと付き添っていたかったのだけれど、
 彼が目を覚ますまで、自分は自分のするべきことを――と、
 職務に打ち込んだ。
 それでも空き時間を見つけるたびに、
 臨時の医務室に顔を出し、様子を見ることは忘れない。
 人見知りのぺんぎんも、今回ばかりはと人前に出て、
 “おてつだい”業務に大忙しだった。

 自分が担当になった兵士は、
 相変わらず顔を青くする者もいれば、
 非常時にえり好みをしていられないと腹を括る者もあり。
 あるいは、フードを取った姿を見て、
 えっ…と固まっているようなのもいたが、
 あれは何に驚いていたのかよく分からない。

 逃げようとするやつには、
 逃げたらその腕の捻挫治すついでに四本位に増やすぞ? と、
 念入りに脅してやったものだ。]
(285) 2020/05/30(Sat) 19:38:40

【人】 軍医 ルーク

[ それで、だ。
 目を覚ましたと聞いて駆けつければ、そこに見えたのは、
 穴に潜り込んでも、どう見ても隠れ切れていない感じの、
 ふわふわぷるぷると揺れている、赤い尻尾。>>275]


  ……


[ ひとつ、ふたつ、瞬き。
 どういう状況だこれ――?
 ぺんぎんと顔を見合わせて数秒後、なんとなく察する。

 ( 自分もここしばらくの間仮眠をとるときなんかに、
  あのときのことを、何度も思い出しては赤くなり、
  尻尾がぱたぱたと動いてしまうことなんかが、
  あったものだから。 )

 それでも、あれから時間をおいている分、
 自分の方は彼に比べて“心の準備”が出来ているのだろう。
 ああ、そういえば、
 “後で覚えてろ”と言ったっけかなあ――と思い出し、
 寝台を指さし、うずうずしているぺんぎんに
 ゴーサインを出した。]
(286) 2020/05/30(Sat) 19:40:45

【人】 軍医 ルーク

 [ ぺんぎんはきらきらした眼差しで嬉しそうに、
 ててて、と寝台に飛び乗り、
 足元からもぞり、布団に潜り込む、
 以前義手を使った彼が運び込まれてきた時と同じように、
 顔の近くまでもぞもぞと這ってゆき、ひしっとくっつく。]

  
  起きたって、聞いたから。
  身体の具合は?
  薬を持って来たんだ。
  残念ながら薬は苦いから、
  また苦いものと苦いものの選択になるね。
  抵抗したら、また全部混ぜて口に突っ込むよ?


[ そう言いながら、布団に手をかけ、
 それはもう情け容赦なく、一秒も待つことはせず、
 べりべりと引っぺがそうとする。
 自分の力では剥がせないかもしれないし、
 案外剥がせてしまうかもしれないし、どうなるだろう。

 いずれにしても、もしうさぎが穴から顔を出したなら、
 微笑みを浮かべた紫の双眸が、
 すぐ近く、目と鼻の先にあるだろう。
 そうして、言ってやるのだ。]
(287) 2020/05/30(Sat) 19:42:14

【人】 軍医 ルーク


   おはよう、シュゼット。
   “これからも、僕と一緒に”の、
   続きを聞かせて?


[ そう、つまり。
 感情が戻ろうと、自覚しようと、
 やっぱり意地悪はするのである。

 ( ―― ほんとうに聞きたかったからだ。
   とても )

 でも、そう言いながら、やっぱり自分の頬も、
 心の準備なんてどこに行ったとばかりに赤くなっているのは、
 これはもう、仕方がない。

 運んできた薬瓶が苦いのも、どうしようもないことだけれど、
 それに加えてもう一つ、
 後に飲めば苦みを消し去ってくれるような、
 甘い苺味のジュースを作って持ってきていたのも、
 まだ、言ってやらない。

 手に持っているのは、あのタブレット。
 自分が書いた返事を、まだ読んでもらっていない。
 そちらはそっと枕元に置き、まずは返事を待つ。]*
(288) 2020/05/30(Sat) 19:44:34


  喰われているのだと思うよ。

 


[ いつか、リドルはまるで“何でもない”ことのように
  硬い膝を枕にして語った。
  ゆめで誰かを喰らうたび、己を削り取っている。

   真白の掌を天井に掲げ、
      指の間から真上の彼女を見る。
   汚れのない、男にしては華奢な手だ。

  ──だから僕は必要以上に見たくないのさ。
  人と関わらない理由を此処にこじ付けて、
  指の間に隠れつ うっそりと わらっている。]
 

【人】 軍医 ルーク

[ 右腕がまた動かない、のところで
 ぐっと表情を曇らせはするけれど、
 義手を使って全く反動がないということはないだろうと
 予測はしていた。
 “いつもと同じ感じ”ならば近々動くはず――と
 自分を納得させる。

 赤くなってしどろもどろになっているところを見ると、
 いつもの自分なら、さらに追撃――なんて、
 考えてしまうかもしれないのだけれど。
 間近に目を見れば此方の頬もかっと赤くなってしまうのは、
 どうしても数日前のあのときのこと――、
 触れあった感触を、克明に思い出してしまうので。
 心の準備どこに行った。

 それでも、“聞きたいこと”は聞きたいのだ。
 続きを聞かせて、と問うときも、
 仕切りの向こうの他の患者には聞こえないように
 そっと声を潜めていたりもする。]
(332) 2020/05/31(Sun) 14:20:32

【人】 軍医 ルーク


  約束してくれて、ありがとう。
  

[ “あんな威力の義手砲は”撃たない――
 彼自身が失われる恐怖に怯え続けていた自分にとって、
 それは何よりも嬉しい約束だ。

 撃つこと自体はやめないと言ったのは、
 これから何が起こるか分からない以上、
 言えないことだったのだろう。
 本当は、身体に負担がかかることはやめてほしいと、
 そう思ってしまうのだけれど。 
 出来ないことを言わないのは、その言葉が“本当”だからだと、
 分かってる。

 それなら、自分も出来ることを探したい。
 あのとき彼は、蛇型に襲われていた自分を、基地の者たちを
 助けるためにその力を使った。
 あのようなことが、二度と起こらないように。
 義手砲を使わなければいけないことが、なくなるように。

 ――そして、そうだ。]
(333) 2020/05/31(Sun) 14:26:04

【人】 軍医 ルーク


  撃たなくても良くなることが、
  何より一番だけれど。
  どうしても使わなければいけないことがあったとしても、
  体に影響が出ないように改良していく方法を、
  見つけたいと思ってる。
  わたしは技術者じゃないけれど、
  専門外だなんて言ってられない。
  これから探すし、考えるし、
  絶対に見つけるんだ。


[ いま布団の中でもぞもぞ言っているぺんぎんの、
 飛べない羽のこともある。
 自分の持つ技術の幅を広げてゆくことは、遅くないはずだ。
 もしかしたら、天の向こう、
 この義手が作られたであろう場所なら、
 そのヒントもあるのかもしれないと――
 そのようなことも、薄っすらと考えながら。]
(334) 2020/05/31(Sun) 14:27:20

【人】 軍医 ルーク

[ やがて、名残惜しそうに身体を離し、
 ベッドの横に椅子を持ってきて腰掛ける。
 基地に流れる噂は、彼の耳にも入っていたようだ。
 
 なお、ぺんぎんに纏わる噂の方は、
 尾ひれがついて不思議なことになっているようだったが、
 面白いからそのままにしておいた。>>297

 医務室のぺんぎんは、患者に甘いものを差し入れされて、
 頭の上にハテナを浮かべて不思議そうにしていたけれど。
 食べきれない分を机の上に並べて困っていたから、
 仕事の合間にポシェットを縫って肩から下げてやった。
 というわけで、
 いま布団の中に潜り込んでいるぺんぎんのポシェットには、
 飴やキャラメルといった菓子が入っていて、
 “おすそわけのおみまい”を渡すタイミングを、
 いまかいまかと待っている。

 そして、“地上との交渉”という噂。]


  ああ、本当らしい。
  今は中央との折衝中だと聞いたけれど、
  近いうちに決定が出るはずだ。 
  次の襲撃までは間があるだろうけれど、
  それもいつまでかは分からないし、
  早いに越したことがないから。
 
(335) 2020/05/31(Sun) 14:28:45

【人】 軍医 ルーク

[ 彼が話そうとしている話の内容については、
 タブレットの話を聞くなら、過るものはある。
 こちらから口に出そうとはせずに、
 タブレットを見てくれたかという問いには頷きを返した。]


  総攻撃の前に、読んでた。
  その場で返事も書いたよ。
  いつ渡せるか分からないけれど、
  なんだか、黙っていられなかったから。
  どうしてもその場で書いてしまいたかったんだ。
 
  壊れてないし、動作も確かめたから大丈夫。
  東の外壁に置いておくいつもの方法だったら、 
  巻き込まれて壊れていたかもしれない。
  ぺんぎんに渡してもらって良かった。

 
[ もしかしたら、あのときは。
 “いつかはちゃんと届けられる”と信じたいがために、
 願掛けをするように、返事を書いていたのかもしれない。
 枕元に置いていたタブレットを取って、彼に手渡す。
 書かれていた返事の後半は、地上に行く話。>>3:$14
 自分は当たり前のように、
 “一緒に行く”場面を想定して書いていた。
 それは、口調の端々から伝わることだろうけれど、
 そういえば『一緒に行く』と書いてはいなかったことに、
 いま気付く。
 一人で行かせるなんて想像もしていなかったことだから、
 すっかりそこに自分もいる想定で描いていた。]
(336) 2020/05/31(Sun) 14:30:59

【人】 軍医 ルーク

 
  さて、と。
  話をしながらでも、まずはこっちだ。
  “パスワードをあけて”もらおうかな?
  もう何日も眠ってたんだから、体力を戻すのが先。


[ 当たり前のような顔をして、すーっと押し付けるのは、
 件の苦い、苦い薬。
 タブレットのパスワードだったAME015。
 何はともあれ、薬瓶を空けながらだ。
 自分も昼夜を問わず走り回っていたものだから、
 以前の飲食睡眠を忘れていたような状態よりましとはいえ、
 疲れはある。
 以前飲んで効いたなこれ、と覚えていたから、
 ポケットから自分の分も取り出して、
 至極平気な顔でくいっと飲んでみたり。

 話が先か、薬が先になるかは本人に任せるところだが、
 布団の中のぺんぎんは、
 がんばれ…! とエールを送っている。]*
(337) 2020/05/31(Sun) 14:32:37
[ 以前書いた日記の後に、新しい日付と共に、
 短い文章が書き加えられている。
 日付を見れば、それが総攻撃の後であることは伝わるだろう。]


〇月△日

 わたしが日記を書いて読んでもらうのは、
 そういえば初めてで、
 なんだか照れてしまうような気もするけれど――
 心から、“嬉しい”と思うことがあったから、
 書き留めておきたかった。

 心から、誰よりも、愛おしいと思うひとが、
 無事に帰ってきてくれたこと。
 命も、心も、なにひとつ失うことはなく、
 傍にいてくれること。
 信じられないほどの幸せで、
 言葉にすることは、難しい。

 嬉しい、幸せ、それ以外に言葉が見つからなくて、
 君が目を覚ますことが待ち遠しくて仕方がなくて、
 また笑いかけてほしいとか、声を聴きたいとか、
 触れてほしいとか、触れたいとか、
 わたし一体何をした…とか、布団を被って
 叫びだしたくなったりだとか、
 喜ぶ顔が見たいとか――沢山の感情が沸きあがって来る。


 不思議だったことがある。
 以前のわたしは、自分の心が分からずに、
 これはなんだろうと指を伸ばしても、
 割れた硝子の破片を鷲掴みにするようなもので、
 元通りの窓にすることなんて出来ないと思ってた。

 でも、この日記を読んでいるときは、
 言葉をつづっているときは、
 感情が戻ってくるようだったと、
 前に伝えたことがあったね。

 ―― 先の見えない闇の中で、
 一緒に光のある場所を探せればと思って。
 そうしているうちに、いつのまにか、
 綴られた言葉が、わたしの心に追いついて、溢れている。

 もう一度、わたしに心を思い出させてくれてありがとう。

 傍にいるなら、言葉でも伝えられるけれど。
 これまでに君が書いた言葉が残されているこの記録は、
 やり取りを全部覚えていてくれるこの記録は、
 わたしにとって、とても、特別なものになってた。

 だから、これからも、
 こんな風に、伝えられたらと思うんだ。*




     [ あの時も、薔薇色を見ていなかった。 ]


 



  何時もデートって言う癖に、結局外に出たから無いし
  その間に体力無くなったら意味も無いのに。
  
  勝手に飼っておいて私が他の男と何処かへ行っても、
  きっと連れ戻しもしないのだと思う。
  その癖私が出て行ったら 勝手に夢に出てくるのだろう。

  あのおひめさまの方がよっぽどわかりやすかった。
  かわいそう。
  適当な奴ひとりいるだけで大騒ぎになるなんて。


 



   なんのためにいるの。
   ばかみたいじゃない。


 




      夢は殺せないのにな。



 




             [ 客室の棚に収まった、
              紙切れ数枚の、なにか。 ]


 




             [ 達者になったとはいえ、
               Mの癖だけ目立つよな、 ]

 




      そういうところが嫌い。



 




   [ あれから 薔薇の話は、何一つ聞いていない。
    夢に出てないことは 確かだけれど。 ]


 




           今日も出ない。



 




   [ ここ数日の "残す" ための手記には、
          同じ文言が 続いている。 ]**


 

○月◇日

  今日は僕にとって最高の日だ。
  記憶を全て思い出し、また目を覚ました後も
  僕は僕で居て、頭痛ももう起こらない。
  そして今、隣にはルークが無事な姿で居て
  彼女が今まで無くしていたという"心"を
  思い出すことができたと、言ってくれたのだから。
  
  お互い、無くしたものを思い出した後は
  これからは、互いの中に色んなものを
  増やしていきたいと思う。
  
  でも、そうする前にね。
  一つだけ、ルークに言ってなかったことがあるんだ。
  僕が機獣と一緒に降って来た最初の襲撃で、
  僕は、基地の人を誰一人攻撃しなかった。
  僕が攻撃したのは、機獣への一撃のみ。
  
  君の父親の仇ではなかった、と安心はしたけど
  もっと早く、僕に自我があればという後悔がある。
  僕が機獣を葬るまで、かなり時間があった。
  それまでただじっと立ち尽くすだけの
  突然天から降って来た正体不明の僕の姿は
  基地の人達にとっても、脅威だっただろう。

  もし、ルークが、全てを昔の話と言ってくれるなら。
  僕もこれからも、君の側に居たい。
  そして、もし行く先に何があるとしても
  君に、側にいて欲しいんだ。
  何があっても、僕がルークを守るから。

  ……もし、なんて。かっこつけちゃったけど。
  断られた後のことなんて考えてないんだ。
  ルークなら、今ここに居る僕のことを
  僕よりも、誰よりも、信じてくれると思ってる。

  他の基地の人だって、僕にとっては大事なのにね。
  今、僕が一番信じているのはルークだし、
  隣に居るのは君じゃないと、だめなんだ。
  だって。ルークは。
  僕の、大好きな人だから。



[ ずぅっと、ゆめを見続けている。
  誰かの姿をした何かが、碧を見下ろすゆめを。

  誰も“何か”をころしてはくれない
      ──頼む度胸のひとつなかった。

  そうだ、全部それに収まる。
  全部を中途半端に手に入れようとする、
  生きる為だけの 逃げ腰。]

 



[  ──まんげつ、だ。 良くない。
 

          喉が渇く。
              おち  る 、]

 

○月◇日
  今日は、緑色の葉っぱを沢山茂らせた
  山、という場所に来た。
  地上世界の植物は、地下世界のそれと比べて緑が濃く、
  旅をしながら地下との違いや共通点を探すのは面白い。
  この辺りの植物には空気を浄化する作用があるらしく
  汚染濃度は他の場所と比べてだいぶ薄いようだ。
  
  けれど、計測器の表示を見る限り。
  地上の人達が住めるようになるまでは
  あと、百年ぐらいはかかるだろうか。
  僕はそう記録をし、地上のシェルター本部で待つ人達へ
  この地点の報告を入れた。
  百年、というのは長く聞こえるけれど
  他の場所と比べるととても短い。
  通信機の向こうから聞こえてきた声の感触は良かった。
  
  環境の汚染が、僕やルークの体に影響を及ぼさないのは
  こうして、各地を回る旅をする上では、ありがたかった。
  僕も、ルークも、ペンギン君も、お腹はすくし。
  できれば、配布された固形の完全栄養食やAME-015より
  美味しく食べられるものがいいに決まってる。
  
  僕は、近くの樹になっていた赤い果実をもぎ取ると
  食べれるかだけ通信機で本部に聞いて。口に一つ入れた。
  
  苺には及ばないけれど。
  苺に似た赤さを持っていて甘くて美味しい。
  この甘い果実は『リンゴ』というそうだ。
  今後は見つけたら積極的に取って行きたいと思う。

  ―――そうそう。
  この間地上の本部に帰還したときに、
  僕の義手の改良版ができたと、
  地上の研究者達が駆け寄ってきた。
  研究者というのはどこでも同じようで、
  地上と地下のしがらみとか、狭いシェルター生活とか
  そういうことに余り拘りを持たない彼らは、
  (話が始まると止まらないことを覗いて)
  他の人々と比べて、話しやすかった。
  
  おかげで、僕は義手砲を撃っても
  そうそう気絶することはなくなった。

  『私達の住む世界を広げる手伝いをしてくれてるんだ。
   応援することの何がおかしい?
   ……まあ、欲を言えば、地下で生まれ育った
   ルークさんのことを調べてみたくてたまらないが。
   それは、今の優先事項ではないからね。
   ……何も怖いことはしないよ。
   台に乗せてぐるぐる回したり、細胞を取ったり
   だから、その義手を下げて。頼むって。』
  
  ……悪い人達じゃないのはわかってるんだけどね。
  僕も最近はルークのことになると自分を止められなくて。
  この時もすぐに、無言で義手を相手に向けてしまい、
  ペンギンとかルークとか、その場にいた人に
  宥められてやっと腕を降ろしたんだった。

  地上に点在するシェルターを回るのも楽しいもので
  かつて地上人が作り出した僕達種族に
  否定的な人もいるけれど、理解を示してくれる人もいる。
  話が通じる人の存在は、僕達の希望だ。
  
  
  ……まだ、シェルター外部で
  生きている人間は見つけられていない。
  でも、いつか。僕は見つけられると信じている。
  僕一人だったら難しかったかもしれないけれど、
  今はそうじゃないのだから。

 
 
  Jさんへ
 
  気持ちは伝えられましたか ?
  私は伝えることが出来ました
 
  私は ねぼすけだから
  これからも 何かあったら起こしてね

                    A子より **
 
 



   ひと と 獣の、混じったような、
   薔薇色の瞳の なにかが、


        ────── 、



 



   あれから肉が減った。
   食べるものが減ったのだから当然だった。
   多少は丁寧になった発音と、
   奪い方を忘れてしまった食べ方と、
   この世界じゃあまるで役立たない物書きだけ、
   
   何かの名残でもあるかのよう。


 



    残りたくない。遺されたくない。
    誰も彼もが置いていく。

    どうして自分だけ生き延びてしまうのだろう。
    生かすためになんだってしていたのに、
    結局なんにもならないじゃないか。


 




 A子さんへ



   じゃあもう一回、僕の気持ちを聞いてくれますか?
  










  俺は 五十鈴雨音のことが 好きです



    これで寝られへんやろ、ねぼすけ *
  



           どこか、とおくへ、
           獣のように、駈け行く。
           薔薇を纏い、風を切り。

           碧に姿を映すよに。

 

【人】 軍医 ルーク

[ ぺんぎんがポシェットから取り出した苺飴に
 目を輝かせている様子を見ていれば、
 こんなささやかなことも、取り戻された平穏を感じさせて、
 思わず口元が緩んだ。
 地上に行く話のことは、自分でも色々と情報を仕入れていた。]


  前に何度も襲撃があって、
  残骸が回収されただろう?
  第二研究所に運び込まれた残骸は
  もう残っていないけれど、
  他の残骸は今も解析が進められていて、
  その中には、記録媒体も残されていたみたいだ。

  これまではそのほとんどが
  ブラックボックスだったのだけれど、
  通信機を解析する際に技術班が解いた暗号と
  同じ方式で解読できるデータがあって、
  地下に諜報員を送り込む際の『帰り道』についても、
  記載があったらしい。
  それを、遺失技術が発掘された地域の
  地殻調査のデータと照合して、
  二、三か所、それらしい箇所に当たりがついた。
  使用可能か調査も進んでる。

  詳しい話はジルベールに聞けば、
  多分、必要な情報の三倍くらいの分量を
  話してくれると思うから、
  おすすめ――はしない…
(414) 2020/06/01(Mon) 0:31:27

【人】 軍医 ルーク

[ 迂闊に詳細を尋ねてしまったところ、
 患者の治療があるからと去ろうとしても医務室に着いてきて
 最後まで喋り倒していたジルベールの早口を思い出し、
 遠い目にもなる。

 つまりは、この地下世界から地上に通じる抜け道が、
 今も残されているということだ。
 地上も把握している道であるから危険もあるが、
 いま直ぐに見つかるルートは他にないだろう。

 上下に物資を搬送する装置が備え付けられているのか、
 はたまた長い長い階段や梯子が嫌がらせのように
 据え付けられているかは、
 蓋を開けてみなければ分からない。

 後者の場合は、自分の脚について何か対策を――なんて、
 あの日記を読んでいる自分は、もうすっかり
 “地上に行く”という思考で考えているのだ。]
(415) 2020/06/01(Mon) 0:32:48

【人】 軍医 ルーク

[ タブレットの場所を示し、いつもの栄養剤を差し出せば、
 いつものように後ずさりするうさぎ。
 自分も飲んでは見せたけれど、
 苦みも味も感じないものだから、実は公平じゃない。

 あの日記に、いつか自分は書いた。
 情緒面と“感覚”に異常がある、と。
 きっともう、彼も自分の味覚のことは気付いているのだろう。
 
 ――失われたものが感情と味覚であったことの理由は、
 いまは、自分でも分かってる。>>2:178 >>76
 
 きっと最初から自分は、美味しい物や苦いもの、
 いろいろなことに感情を見せる彼を見ていたのだろう。
 それが最初は持っていなかったものとは知らずとも、
 惹きつけられるように――ずっと見ていた。

 なお、薬を飲みながら日記を読み進める彼が、
 また涙目になってぷるぷるするのを見ている自分の顔は、
 多分こんな感じだ(=x=)]
(416) 2020/06/01(Mon) 0:34:27

【人】 軍医 ルーク

[ けれど、ぺんぎんが取り出したジュースに
 ぱっと表情を明るくする彼の表情を見ていると、
 自分もまた自然と口元が綻んで、
 スツールの後ろに零れて床にまで届く長い尻尾が、
 ゆらゆらと楽しそうに揺れる。]


  この間とは砂糖を変えてみたんだ。
  ぺんぎんも、喜んで味見してた。
  苦い薬――は、
  飲む機会も、もうなくなればいいと思う。


[ 義手や強い栄養剤を使う機会がなくなるよう、
 あったとしても極力少なくなるように。]


  ああ、でも、もし
  風邪をひいたり何か体調不良があったら、
  薬って言うのは大体不味いものだから、
  そのときはまた、苦い目に遭うよ?
 

[ 脅すように、わるいえがおをしてみせる。
 そんな風に口うるさく言ってしまうのは、性分のようなもの。
 ――けれど、]
(417) 2020/06/01(Mon) 0:36:24

【人】 軍医 ルーク


  けど――
  君が美味しそうに食べているのを見ていると、
  食べるのは悪くない、って思えるから。
  美味しそうにしている顔を見たいから。
  だから、君が好きだと思うものを沢山覚えたい。
  手先は割と器用だよ?
  ああ、ただ、塩と砂糖間違えても気付かないから、
  そこは味見係の勤務状況に賭けてくれ。


[ 分量や手順通りに物を作るのも、得意とするところ。

 以前は口に物を入れるたびに吐き出したくなって、
 栄養剤ばかり口にしていたようなものだった。
 けれど、通信機を取りに行った道すがら、
 飴を貰ったときのこと。
 自分は味一つ感じられなくとも、
 彼やぺんぎんが嬉しそうにしているのを見て、
 それが何より“嬉しかった”。
 自分にとって、“食べる”は――いまは、そういうこと。]
(418) 2020/06/01(Mon) 0:38:31

【人】 軍医 ルーク

[ ベッドに起き上がった体勢で、
 彼はタブレットを読んでゆく。
 無理な体勢にならないように、
 クッションを調達してきて背凭れにして、
 そのあとはじっと、椅子に腰掛けて待っていた。

 微笑みが返されたなら、笑い返す。
 自分が書いたものは日記というよりはむしろ――
 という自覚はあったものだから、
 照れが隠せない、はにかむような笑顔になる。

 タブレットに文字を綴ってゆく指先を、目を細めて眺め、
 やがて打ち終え、画面を示されたなら、
 横合いから覗き込んだ。
 この日記を読むときは、いつもそうしていたように、
 一語一句読み落とさないように、丁寧に、だいじに。

 “断られた後のことなんて考えてない”――
 信じてくれると思ってる、と、
 そう書いてくれたことが、とても嬉しくて。
 大好きな人と記してくれたことが、何より嬉しくて。

 じいっと目を見て、笑顔で頷く。
 そっと耳元に唇を寄せて、囁いた。]
(419) 2020/06/01(Mon) 0:39:46

【人】 軍医 ルーク



  君が傍にいない今も、未来も、考えてない。
  ずっと傍にいる、傍にいて。
  何があっても、わたしは君を守る。
  わたしが君を信じていると、
  分かってくれていて嬉しい。

  ――… 幸せすぎて、怖いくらいだ。
  これ以上嬉しいことなんてないって思っても、
  こうして隣にいて、言葉を交わして、
  笑ってくれるたびに、
  幸せだと思うことが増えてく。


[ 同じものを見る、同じ場所に立つ、
 一緒に時を過ごし、新しいことを知る。
 何があっても、乗り越えられる。
 それはきっと、“互いの中に色んなものを増やしていく”
 ――そういうこと。]
(420) 2020/06/01(Mon) 0:40:49

【人】 軍医 ルーク


  ……わたしにも、一つだけ、
  君に言っていなかったことがある。
  長い話になるから、そうだな、
  君がもう少しちゃんと回復したときに。

  …天の向こう、君と同じ場所から来た子がいた。
  第二研究所にあった残骸が爆発した時に、
  助けられなかった、
  何もできずに死なせてしまった子のこと。
  後悔が、ずっとずっと、消えない。
  
 
[ 互いに、失くしたことがある。
 悔いもある。
 この過去もまた、今の自分を形作る記憶だ。
 過去は過去として受け止めて、前に進むには、
 やはり自分はどうしても時間はかかるのだろうけれど――
 止まっていた時間は、もう動き出している。]
(421) 2020/06/01(Mon) 0:41:49

【人】 軍医 ルーク

  でも、止まっているのはやめにする。
  君はこれからも歩いて、
  わたしはその隣にいるんだから。
  いまも、これからも、ずっと。
  
  一緒に、行こう。
  君が書いた日記を読んでから、
  わたしも、上に行くことについて考えてたんだ。
  たとえば――


[ そう言って指さしたのは、彼の懐に収まっているぺんぎん。
 よばれた! と両手を上げて、自分の存在をアピールする。
 そのお腹の所には、いま菓子が入っていたポシェット。
 荷物袋はそれでいいかと思ったら、
 もう少し大きいのがいい、とでもいうように、
 医務室の緊急持ち出し袋の所で強請られたから、
 いま、新しいリュックを縫っているところ。]


  一緒にいる。
  この戦争を止めようと思う、君の力になる。
  わたし自身も――そう望んでる。
  
  それに、ね。


[ 窓の向こう、“天”に輝く灯りに、目を細めた。]
(422) 2020/06/01(Mon) 0:43:26

【人】 軍医 ルーク



 

   君と一緒に、“星” が見たい。


  
(423) 2020/06/01(Mon) 0:43:54

【人】 軍医 ルーク

 ―― 
地上のどこかで
 ――

[ 土色のブーツが、地面に落ちた小枝をぱきりと踏む。
 周辺の調査を一通り終えて、木陰に戻ろうと。

 互いの目の届く範囲にいるから、
 此方がどこにいるかなんて承知の上だろうけれど、
 タブレットで作業をしているようだから、
 しーっとぺんぎんに合図をして、
 こっそり後ろに回り込んでみたり。
 けれど、邪魔になることもしたくはなかったから、
 樹の後ろからひょいと顔を出し、
 “ただいま”と耳元でささやくにとどめた。
 うん、本当に、耳が良い彼のことだから、
 こんな悪戯にもならない悪戯は気付いていただろうけど。
 

 地上の沢山の土地を回る。
 新しい景色を見る。
 子供の頃に本で読んだ、天の上の世界。
 “星”、あめ”――…、
 そして、あの日記で想いを馳せた、
 白く凍った世界、硝子の絵が描かれたの瓦礫の建物。
 生きているひとの、どこにもない世界。]
(424) 2020/06/01(Mon) 0:46:27

【人】 軍医 ルーク

[ 足を踏み出した当初は、そのあまりの広さと、
 耳鳴りがするような静けさに圧倒されて、
 何処までも広がる空に、雲に、
 世界そのものに押しつぶされそうで、
 このような場所をひとり、調査して歩いていたのかと、
 そのことをどうしても、思い出した。

 音を、空気を、世界を懸命に受け止めて
 感じ取ろうとするかのように、
 耳と尻尾がぴんと張りつめ、ふるりと震え、
 なんとか呼吸を整えて、
 手をつないでいて、と頼んだものだ。
 そうして踏み出した最初の一歩を、
 いまでも、よく覚えている。

 あちこち旅をするうちに、
 地上の人間が生きているシェルターを訪れる機会もあった。
 耳も尻尾もない人間たちには、自分の形は珍しいようで、
 子どもにぐるぐる囲まれて、目を回すこともあった。

 (敵対的な人間については――そもそも地下でも
  基本的に否定されていたので、
  個人的にはさっぱり気にはならなかったのだが、
  彼にそういう目が向けられたときは、むう、と睨んだり)]
(425) 2020/06/01(Mon) 0:48:45

【人】 軍医 ルーク

[ 何より安心したのは、義手を改良してくれる者たちが
 いたということ。
 最初に彼らと接触した際に、義手の構造を知りたい、
 出来るなら装着者の身体に影響が出ないように
 改良の手段はないか――と頼み込み、
 その時点でのデータを貰ってはいたのだが、
 改良に成功したとの知らせを受けたときには、
 飛び跳ねて喜んだものだ。


  “わたしを調べる? 
   それくらいなら全然かまわないけれど――”


 ぐるぐる回されようと細胞を取られようと
 まあいいか――と、頷こうとしたのだけれど、
 彼が義手砲なんて向けようとしたものだから、
 ばかー!! とぎゅうぎゅう抑え込んだ。

(そう言いながら、尻尾の方は、
 心配してくれて嬉しいという気持も隠せずに、
 慌てるやら嬉しそうにするやら、
 忙しいことになっていたのだけれど)]
(426) 2020/06/01(Mon) 0:50:30

【人】 軍医 ルーク

[ とはいえ、そういう自分も、彼らが


 『いやいや悪かった、
  ……でも良かったら、ほんの少し、
  地上と地下を行き来していた
  シュゼット君のことを調べて
  過去のデータとの比較をさせてもらっても
  いいかなあ、とか――』


 など言い出したときには、
 地上人は耳の代わりにどこを結べばよいのかな? 
 と、身を乗り出して、
 ぺんぎんが止めなければいけない相手は
 二人に増えた。]
(427) 2020/06/01(Mon) 0:51:30

【人】 軍医 ルーク

[ 自分の義足も、地下を出発する際に、
 新しいものに付け替えられている。
 これまでは基地内を歩き回れば十分ということで、
 旧式の性能の低いものを支給されていたのだが、
 地上に向かう使節への餞別だとばかり、
 技術班が張り切った。

 何か面白いものを見つけたら報告するようにと、
 相変わらずの早口で頼んできたジルベールは、
 最後にこう言って手を振った。]


 『シュゼット、ルーク!
  君たちの旅路に幸運を!!』 

(428) 2020/06/01(Mon) 0:52:34

【人】 軍医 ルーク


  “山”か……
  地上は、ほんとうに広くて仕組みが不思議だ。
  火山活動、というものによって
  地形の変化があったのだっけ。
  植物の分布なんかも、過去のデータを調べて
  あとで照合してみるね。
  

[ 木陰に腰を下ろし、何を書いているか覗き込む。
 尻尾に触れてくれた手の感覚に、
 嬉しそうにふるりと尾が揺れて、
 そっと身を寄せる。

 タブレットに増えているものは、調査記録だけではない。
 写真をたくさん取るようになった。
 地上の様々な場所、様々な景色。
 写っているのは、自分が写すときは彼とぺんぎんであったり、
 操作を覚えたぺんぎんが頑張って、
 自分たちふたりで映っている写真を写すこともあり、
 タイマー、というものの存在も発見したものだから、
 皆で写っていることもある。]
(429) 2020/06/01(Mon) 0:54:51

【人】 軍医 ルーク

[ 一緒にいる景色を、記憶を、
 積み重ねて形にしていくそれは、
 ひとつひとつが自分にとっての宝物だ。

 その写真に残る表情は、次第に増えていって、
 嬉しそうな顔、幸せそうな顔、
 新しく訪れた土地の状況によっては
 不安げにも悲し気にもなり、
 時には驚いたり怒ることもあり、
 先程のように悪戯っぽい笑顔だとか、
 以前と変わらず時折意地悪をするときの表情だとか、
 様々な顔で、画面に映っている。

 (後で纏めて見返せば、我ながらこう、
  一緒に写っているときの写真の自分は、
  我ながらだれ…? と思うほどに幸せそうで、
  思わず蹲ってしまったりもする)
 

 そんな“一緒”の写真たちは、
 もう決して、どこに消えてしまうこともなく、
 鮮やかに、タブレットの中に収められていく。]
(431) 2020/06/01(Mon) 0:56:23

【人】 軍医 ルーク

 
  リンゴ――…、
  果実の一種かな、木は落葉高木樹。
  甘味があるなら、
  これもジャムにしてみようか?
  そうすれば暫く持って歩ける。


[ シェルターに立ち寄ったときなどには、
 いつもいちごを調達するけれど、常備するのは難しい。
 加工して持ち歩くのが主になる。
 最近は作れる料理も大分増えた。

 ひとつひとつ、味を教えてくれる言葉に、
 うなずきながら一口齧り、
 口の中に広がる水気と歯触りを確認する。
 少しでも感じられるものがないか、真剣に考え込み、]


  ん――…、硬くて少し驚いた、
  でも、水分があって、歯触りがいいね。
  赤い色――ああ、この色が好きだな。


[ そう言って笑う視線の先にあるのは、
 自分の言葉を聞いてくれているだろう、赤い耳であったり。
 取り戻すことは出来ないだろうと思っていた感覚を、
 いつかは取り戻したいと思えるようになったのは、
 それを望んでくれていると、知ったからだ。]
(437) 2020/06/01(Mon) 0:58:47

【人】 軍医 ルーク

[ 自分たちも、この世界も、たくさんのものを失って、
 つぎはぎだらけの今を生きている。
 けれど、手を伸ばすことを、
 歩き続けることを辞めずにいるなら、
 いつかは取り戻される日も来るのだと、
 いまなら、そう思う。

 父の言っていたことは、半分正しくて、半分間違い。
 天の向こうには世界がある、
 どれだけ手を伸ばしたって、
 決して触れることが出来ないものがある――
 それはきっと、“空”のこと。

 そう、手を伸ばしたって、あの青色は遥か遠いけれど、
 それはこの地上まで繋がって、
 いま、自分はその下にいる。
 この手で、空に触れることだって出来るのだ。]
(439) 2020/06/01(Mon) 0:59:37

【人】 軍医 ルーク

[ 傍らにいる彼が立ち上がり、
 伸ばしてくれる手を、ぱしりと取って、立ち上がる。
 晴れた空のような笑顔で、笑いかけながら。

 そうして、再び歩き出す。
 この先がどのような道でも、道など無い場所でも、
 これからもずっと一緒に、
 決して離れることはなく。


   ――… 
    遠ざかってゆく足音を見送るように、
    木陰に揺れる、赤と白の二輪の花が、
    空を見上げ、風に揺れていた。
    芽吹き始めた小さな吐息を、
    空へとうたいながら。 ]**
(440) 2020/06/01(Mon) 1:01:48


   蝶の羽と、月の光、
   薔薇の魔法を纏った薬のおかげで、

   だいじなひとは目を覚ましました。
   彼は蝶々の献身を忘れることがないように、
   世界で一番うつくしい薔薇に、
   蝶々の名前をつけたのです。

   そうしてぼろぼろの蝶々は、
   世界で一番うつくしい薔薇になったとさ。

 



          めでたし、めでたし。

 



         [ 此れが“リドル”の幕引き。
           青薔薇の物語。

           童話にのみ残るひとつの*名前*。 ]
           



      きっと、"なんでも"したのだろう。
      問うて自分に答えを返していた。


 

 




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