人狼物語 三日月国


59 【R18RP】花韮の咲く頃

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視点:


  わ、私たちまだそう言うんじゃないから……!


[綺麗な蝶の箔押しの箱。
 高級チョコかな? と騙されるところだった。
 こう言うの、親が娘に渡すもんじゃないと思うけど!
 けど、避妊だけはしっかりしなさい。
 そう言う行為は止めるつもりはないけれど、と
 真面目な顔で言われたらぐうの音も出なかった。
 いつそう言う関係に進むか分からないし
 身の安全のためにも、なんて言われたら。
 渋々、貴重品ポーチに突っ込んでおく。
 これ、見つかったら気まずいなあ……。
 ともあれ、彼氏の存在を知られても
 根掘り葉掘りされなかったのはよかった。
 とんでもない地雷を仕込まれた気分はあるけど
 放任主義と言うか個人主義というか、
 こう言うところは気楽だな、うちの親。]

【人】 上原 隆司

>>0月曜日、急な待ち合わせで会ったとき、矢川の喜びようは飼い主が帰ってきたときの子犬のようだった。
 それがあまりに可愛らしくて、上原は躊躇いなく頭を撫でられたのだった。

 話した通りの卵焼きを作ってもらったことには驚いたが、嬉しくなって食べてみて。
 上原の感想はやはり「何かが違う」なのだった。
 隠し味でも入っていたのだろうか。塩かと思っていたが違うもので味付けされていたとか?
 母親の卵焼きの謎は深まるばかりである。

 そこで水曜の夜、思い切って母親に電話してみたところ、調味料として昆布茶が使われていたことが判明したのだった]


  え? いや、急に懐かしくなって。


[なんでそんなことを聞くのかと問われて、嘘ではない内容で誤魔化すことにした上原だったが。
 「早くいい人見つけなさい」などと言われて、面倒になってほどほどに相手して切ることになった。

 矢川のことは可愛がっているし、会えることも嬉しいけれど、結婚まで考えるような相手かどうかは、まだ上原にはわからなかった]
(3) 2021/03/05(Fri) 8:50:27
[矢川母の贈り物は英断であった。
 なにせ上原に避妊具を買い置きする理由がなかった。

 自宅には古いものが余っていたかもしれないし、使用期限も過ぎてないかもしれないが、すぐに出せるところにあるかは不明である。

 その上、矢川が高校生ということもあり、まだ早いと思い込んでいる節がある。
 買って持ち歩くことも当分は無いであろう]

【人】 上原 隆司

  ……卵焼きでわかるもんなのか。


>>1矢川の申告は上原にとっても予想外だった。
 が、確かにわざわざよその家庭の味を作ろうとは思わないかもしれない。作るとしたら、それだけ親しい人ができたということになるのか。

 矢川が気楽そうなことが上原は嬉しかったし、反対されなかったことには心が安らいだ]
(4) 2021/03/05(Fri) 8:51:25

【人】 上原 隆司

[金曜日、迎えに行く場所は矢川の家だった。
 ここ1週間ほど、ストーカーが大人しそうではあったが、やはり心配なものは心配で。
 出かける時刻が暗くなり始める頃というのもあり、上原は「家まで迎えに行く」と伝えたのだった。

 上原の服装はと言えば、仕事帰りに直行だったから、いつも通りの服装だった。
 キャメルのチノパンにオフホワイトのシャツを着て、その上からボルドーのニット。靴は革靴、上着は黒い革のコート。
 気張ってないといえばそうだが、あまりデートらしくはなかったかもしれない。

 >>2矢川の家に着いた頃には、彼女は準備万端で]


  悪い、待たせたか?


[約束よりほんの少し早く着くのが上原の常だったが、それでも心配になってそう声をかけた。
 そうしながら、より大人っぽく見える彼女を見て心臓が跳ねたのだという]**
(5) 2021/03/05(Fri) 8:51:58

【人】 上原 隆司

  卵焼きにもドラマがあるんだな……。
  よく聞くのは味噌汁だが。
  コショウ入りも美味そうだ。


[家庭の味でよく取り沙汰される定番品目、味噌汁。それこそ生活を共にしないと食べる機会が少ないだろう。

 パートナーのために慣れない味の料理を作るというのは、料理が苦手な上原には分かりづらい感覚だった。
 けれど合わせてもらう側としては嬉しくて、別の何かで応えられたらと思うのだった]


  あー、蛍のも美味いんだが、
  慣れた味とは少し違ってなぁ。

  なんでか気になって親に聞いてみたが、
  昆布茶で味付けしてたらしいぞ。


>>6卵焼きの感想を問われると、味の秘密は素直に教えた。
 上原家ではその他の料理にも昆布茶が密かに使われていたらしい。

 他にも様々な料理の知恵があったのかもしれないが、上原はそれを知ることなく実家を離れてしまったのだった]
(8) 2021/03/05(Fri) 15:02:58

【人】 上原 隆司

  う、腕? いいけど……、
  歩きづらくないか?


>>7腕を組みたいという申し出に一瞬戸惑う上原だったが、矢川の舞い上がりようが可愛らしくてたまらなかった。
 どのくらいくっつく気なのか測りかねてそんな返事になりながらも、拒むつもりはなかった。

 駅から近い分、bloomの看板は見かけたことがあったが、上原はゆっくり入ったことがない店だった。
 それでも店名を聞けば迷うことなくたどり着けただろう。
 演奏を楽しむ店なら、向かい合わせよりも隣同士で座る席が多いだろうか。

 服装は大人っぽくても、弾む心を隠せない矢川の姿は年相応だった。
 そのギャップがたまらなくて、上原はたびたび矢川に視線を向けては笑みを隠せずにいた。
 傍目には相当に仲睦まじかったかもしれない]**
(9) 2021/03/05(Fri) 15:03:46

【人】 上原 隆司

  うちはなんだったかな……。
  出汁は煮干しとか昆布だったと思うが。

  いろんな具で作る人だった。
  わかめとか豆腐とか玉ねぎとかエノキとか。

  味噌は合わせ味噌って聞いた気がするな……


>>10味噌汁の話題になって思い返してみるが、作るという観点だと詳しい情報が足りないと感じた。
 一口に「合わせ味噌」と言っても様々な種類があるらしい]


  塩は確か入れてないんだったかな。
  昆布茶とコショウでも美味いんじゃないか?


[しらす干しなど、混ざった具材の塩気もあって味は足りるのだろう。
 上原家が塩分控えめだった説もある。塩分を控えても旨味があると食べやすいのだとか]
(13) 2021/03/05(Fri) 17:36:29

【人】 上原 隆司

>>11矢川が腕にくっついてくると、柔らかい感触があった。
 上原はそれでいちいち騒ぐ歳ではないものの、感想が無いわけでもなかった。言葉に出すことはなかったが。

 店に着くと、薄暗くしっとりした雰囲気に上原は安らぎを感じた。
 矢川にとっては慣れない雰囲気なのかもしれないと、席に案内されると慎重に様子を窺うことになった。

 矢川がシャンディ・ガフを頼むのを聞いてメニューを確かめると、ノンアルコールの欄にあった。
 本来はビールで作るカクテルだが、ノンアルコールビールで作る例もあるらしい。ノンアルコール欄にあるからには、間違いなくノンアルコールのはずである]


  モヒートを。


[上原はアルコールメニューを見てすぐに見つけたお気に入りのカクテルを頼んだ。アルコールはそれ1杯にするつもりだった]
(14) 2021/03/05(Fri) 17:36:56

【人】 上原 隆司

[店員が去っていくのを見ると、続けてメニューをめくって]


  軽食ぐらいあるんじゃないか……?
  あ、あった。


>>12夕飯はと問われてフードメニューを探して、少量ながら見つけたのだった。
 揚げ物がほとんどで、その他もおつまみの類と言える。
 フライドポテトとか唐揚げとかフィッシュ&チップスとか、カプレーゼとかナチョスとか、チーズの盛り合わせとか生ハムとか。
 食事扱いで楽しめるかは個人差があるだろうが、上原は気にせず食べる方針であった]


  何か食べたいものあるか?
  名前が気になるやつとか。


[メニューを矢川にも見せて、様子を窺った]**
(15) 2021/03/05(Fri) 17:37:20

【人】 上原 隆司

>>16矢川がなんだか緊張しているように見えて、上原は心配そうな視線を向けた。
 慣れない場所で不安ではなかろうかと、どうしても気になるのだった]


  レーズンバターは……うん。バター。


[バターにレーズンを練り込んで固めたものだという。それは果たして食べ物なのかという疑問は上原も抱いていた。
 トーストに塗って食べるという選択肢もあるというが、むしろそちらが普通ではないのだろうか。
 しかもラム酒に漬けたバターである。酒のつまみに酒が染み込んだレーズンとはいったい。]


  じゃあチーズの盛り合わせと。
  俺はフィッシュ&チップスにするか……。

  分け合うか?


>>17矢川が決めたのを見て、食事に近いメニューを選ぶ。
 酒を持ってきてくれた店員に頼んで、モヒートのグラスを手にとった]
(19) 2021/03/05(Fri) 18:25:52

【人】 上原 隆司

  ミントだな。
  食べたければ食べてもいいんじゃないか……?


[上原は残す派ではあったが、飲食の仕方は個人の自由な気がしてそう答えた。
 グラスを持ち上げるのを見れば同じようにグラスを寄せて]


  乾杯。


[矢川に微笑んで、グラスを傾ける。
 たっぷりのミントが入って、ジンも相まって香り高いモヒートだった。他店で飲んだものより美味しい気がして、思わずメニューのアルコールのページに戻る。

 矢川の感想はとても微笑ましくて、つい小さく笑い声をあげた]


  ジンジャーエールが入ってるからな。
  ノンアルでも苦いしな……ビール。


[的を射た感想ではあるのだが、素直な言葉が高校生らしい。
 反応を面白がるように笑いながらも、上原は今日の待ち合わせから今までの間で、“年下の彼女”の良さをしみじみと感じていた]**
(20) 2021/03/05(Fri) 18:26:24
[今日の曲目は、映画の名曲のジャズアレンジ。
 「虹の彼方に」はかなり古い映画から。
 それから始まり、ピアノとサックスたちとの演奏が
 しっとりとした調子で奏でられていく。
 自然と私は言葉少なに、演奏に聞き入ってしまう。
 矢張り高音域のソプラノとアルトがメロディの中心となり
 テナーやバリトンがそこに深みを加える形が多い。
 私はバリトンだから、ついそちらの音色に耳を傾ける。
 低く艶のある音色が大人の雰囲気にとても合う。
 飲むことも食べることも忘れて
 つい曲に集中してしまっていた。

 でも。
 ちら、と隣にいる隆司さんに時々視線を送って、
 隣に確かにいてくれる事が嬉しくて。

 穏やかに微笑んで、それからまた曲に耳を傾けた。**]

【人】 上原 隆司

  酒飲むと脂っこいもの食べたくなるからなぁ。
  といってもバターはどうなんだろうな……
  キツいのには合うんだろうか。ウォッカとか。


>>21酒を飲む身にもいまいちわからないレーズンバターの魅力。きっとわかる人にはわかるのだろう。
 つられるようにナッツを少しつまんだ]


  ノンアルなら大丈夫。
  そんな飲みづらい味なのか? それ……

  他のも飲んでみりゃいいのに。
  シンデレラとかさ。


[苦笑いを浮かべる矢川に首を傾げ、ノンアルカクテルの定番を指差した。名前も味も女子受けしそうな代物である。

 店員が来ると礼を言って頭を下げた]
(23) 2021/03/05(Fri) 20:23:16

【人】 上原 隆司

  これ食べると黒ビール飲みたくなるんだよな。
  本場のはもっと不味いって聞くが、
  本当なんだろうか……


[フィッシュ&チップスをつまみながら感想を呟いて、モヒートを一口。香りは良いが、魚には合わないかもしれない……そんな感想が浮かんで、チーズに手が伸びた]


  ん、これ美味いな……


[上原が思わずそう呟いたのは、あまり食卓では食べないような独特の風味のクリーミーなチーズだった。牛乳からはこの味にならないかもしれない。

 少しずつ飲んでいた分、演奏が始まった頃にはまだグラスの中身が三分の二は残っていた]
(24) 2021/03/05(Fri) 20:24:05
[演奏が始まると、上原は矢川がバリトンだと言っていたのを思い出した。
 目立たない、だが無いと締まらない、縁の下の力持ちのようなパートだ。

 聞き覚えのある名曲の数々がサックスで奏でられるのを聞きながら、自然とバリトンの音に意識が向かう。
 それが、甘えながらも尽くそうとしてくれる矢川の姿に重なるように感じて、そっと彼女の髪に手を伸ばした。
 微笑まれると目が合って、微笑み返して髪を撫でた。

 そうして音色を楽しみながら、静かにモヒートのグラスを傾けると、氷がグラスにぶつかる音が微かに鳴った]**

[そんな気分だったのだけど。
 微笑まれて、頭を撫でられたから。
 別に二人きりじゃないけど良いかなって
 カラン、と氷が傾く音を聞きながら
 隆司さんの方に身を寄せて、頭を預ける。
 隣同士に座っていたからそれでも視線はステージに。
 今は「輝く未来」が演奏されている。
 今回は珍しくバリトンがメロディを担当していた。
 甘いメロディを朗々と歌い上げているようで
 耳にとても心地よい。

 こっそり、指先を伸ばして。
 テーブルの下で指先同士を絡め合わせて握っても
 大丈夫、かな。

 こんな時間がずっと続けば良いのだけど。]

[演奏を聴く他の客たちの中にも、カップルはいたのだろう。
 隣り合う座席からはステージがよく見えて、薄暗い店内では周りにも意識が向かない。

 メロディを奏で始めるバリトンは、それまでとは全く別の魅力を持っていた。
 意識しなければ陰に隠れるようにも感じた音色が、今は主役となっている。

 手が重なって指が絡むのを感じると、応じながらも照れ臭くなって、彼女に視線を向けられなくなった。

 それも演奏が終わって拍手の時間になれば、自然と離れることになって、名残惜しさを感じずにはいられなかった]

【人】 上原 隆司

>>25彼女がシンデレラに乗り気でない理由を推測するのは難しかった。
 悲恋のイメージなのだろうか、と思ってみてもしっくりこない。
 それでも無理強いをすることはなく、時を過ごした。

 演奏が終わってしまえば、拍手をしながらも、もう少し長く続いてほしかったと感じた]


  プロの演奏は迫力が違うな……。
  終わるのが惜しい時間だった。


[日頃、生演奏を聴く機会など上原にはほとんどなかった。矢川と出会わなければ、ここへ来ることはなかったかもしれない。
 そう思うと、彼女は年下の可愛らしい女の子であるだけじゃなくて、新しい世界を教えてくれた人なのだった]
(27) 2021/03/05(Fri) 21:23:19

【人】 上原 隆司

[矢川と同じように、食べ終えていないものは食べ、グラスは空にしながら、どうするかと問われると彼女を見つめ返した]


  蛍はどうしたい?
  あまり遅くなるのもまずいだろうが、
  次までなら時間は大丈夫なんじゃないか。
  後悔のないようにしてくれ。


[ちらりと時計を見る。
 まだ、未成年が店内にいてもいい時間のはずだ。
 あとは予算次第である。上原には持ち合わせも、いざという時用のクレジットカードもある。
 だから、彼女の希望に合わせるつもりだった]**
(28) 2021/03/05(Fri) 21:23:30

【人】 上原 隆司

  そんなこともできるんだな……。
  ああ、また来よう。


>>29彼女の演奏が聴ける機会は、ほしい気がした。
 自分の楽器はないのだろう。>>26
 なら、普段は聴きようがない。
 けれど、彼女がどんな音を奏でるのか、それがどんな風に他の人たちと混ざり合うのか。
 一度でいいから、目の前で聴いてみたいと思った]
(31) 2021/03/05(Fri) 22:00:20

【人】 上原 隆司

>>30片時も離れたくないとでも言うようにくっついてくる矢川は、まるで酒に酔ったかのように見えた。
 それが共に時間を過ごしたことを物語っているみたいで、拒む気など起きようもなかったのだけれど。

 肩が抱きたくなっても、腕が封じられている。
 それがほんの少しだけ不満だった]


  ……公園か。
  冷え切る前に帰るぞ?


[少し夜風に当たりたかった。
 音楽を楽しんだ後は、すぐに喧騒の中に戻るより、夜の静けさを感じたかった。
 だから、公園はとても魅力的な行き先に思えた。>>L0
 外は寒い。だから、そんなに長時間にもならないだろうと。
 別れを惜しんで日常に戻る手前の場所として、ちょうどいいように思えた]**
(32) 2021/03/05(Fri) 22:01:14
[――腕を離してほしい。

 そう言いたかったのに、言いそびれた。
 あっという間に公園に着いてしまったから]

【人】 上原 隆司

>>33隣同士でベンチに座るとき、矢川の言葉で顔を上げた。
 少ないけれど、花開いた桜があった。いつの間にそんな季節になったのかと、上原も目を細めていた。

 街灯に照らされた桜の花はやけに白く見えるのに、隣にいる彼女の頬はやけに赤く見えた。
 >>34その瞳が潤んで見えたのは光の加減ではないのだと、すぐに気づくことになった。

 始まりは形だけの、名目上の関係のはずで。
 デートも半分は作戦のはずだった。
 だから、このままストーカーが何もしなくなれば、自然消滅だってありえたのかもしれなかった。

 けれど、いつの間にか上原はこの関係を楽しんでいたし、会いたい日も、頭を撫でたいときも、抱き締めたいときもあって。
 その理由が曖昧なままだったことに、彼女の言葉でやっと気付いた]*
(35) 2021/03/05(Fri) 22:58:50
[彼女の手は両手とも膝の上だったろうか。
 それとも、片腕はしがみつかれたままだったろうか。
 しがみつかれていたなら、それを拒むように腕を動かすことになる。
 彼女の肩を抱き寄せるために、必要なことだから。

 囁きかけて、肩を抱き寄せて、間近に彼女を見つめたとき。
 また、唇に触れたくなった。

 けれど、触れたらキスをしたくなる気しかしなくて。

 それにはまだ少しだけ早いような気がして、ただ見つめるだけに留めた]**

[肩を抱き寄せられて顔を上げる。
 直近に彼の瞳があって、視線が絡んだ。
 膝の上に置いていた手をそっと彼の方に寄せる。
 でも、見つめ合うだけ?
 こんな時、……。]


  ……。


[何かを言いかけて、けれど薄ら開いた唇をまた閉じた。
 眉尻が下がって、泣きそうな顔になってしまう。
 けど私はそのままそっと瞼を下ろした。
 ほんの少し顎を上げて隆司さんを待つ。

 街頭の光を受けて、桜の花びらが
 闇に浮かび上がっていた。**]

[瞼を閉じて、顎を上げて、じっと待つ矢川を見ていた。

 引き寄せられるように頬に触れて、そっと親指で唇を撫でる。
 上唇から、下唇へ、形をなぞるように指先で優しく撫でて、それから。

 指を離して、唇を寄せて、一瞬迷ってから静かに重ねた。
 ただ触れ合うだけの、けれど感触を確かめるような、唇をじっくり味わうような、長いキス。
 離れる頃には、上原の頬もすっかり上気していた。

 今日、デート中の上原は煙草を吸っていないけれど、それでも染み付いた匂いはあったかもしれない]

  ……。


[でも、唇が離れたら何を言って良いかわからなくなった。
 そっと瞼を上げて隆司さんを見る。
 真っ赤な顔で、潤んだ瞳で、
 けどもう泣きそうじゃない。
 眉間の皺も消えていて、でも私はぼんやりしていた。
 夢見心地というか、なんだかぽわんとしてしまって。]

  ……ん。


[だから、もう一度。
 私の方から一瞬唇を寄せて、
 それが夢じゃなかったと確かめられたら。

 ぎゅ、と彼にしがみつくと思う。
 好き、という気持ちが受け入れられること。望めること。
 それがとても幸せなんだなって思ったから。**]

[外にいたせいか、重なる手は冷たかった。
 暖かくて柔らかい唇を味わって、ゆっくりと離れたあと。

 もう一度彼女から唇を寄せられて、目を閉じて受け入れた。
 触れ合う唇の感触を確かめながら、しがみついてきた彼女を両腕で抱き締めた。

 彼女がまだ高校生なことも、親しくなってまだ1週間程度なことも、一瞬忘れかけた。
 そうして浮かびかけたその先を、上原の理性が必死に押し殺した。

 ――大切にしたい。

 そう思いながら、彼女が自分から離れるまで、しっかりと抱き締め続けていた]**

[ああ、離れたくないな。
 だけど、まだ寒い季節だし、抱きしめあったまま
 このまま過ごすわけにもいかないから。

 キスやハグのその先の事。
 私だって思い浮かばなかったわけじゃない。
 だけど、どうしたって私のほうから
 それを求めることもできなかった。
 そんな女の子だって思われたくない。
 ただでさえ、私は処女じゃないんだし。
 お付き合いが初めてなのに、キスもそれも初めてじゃない。
 それがなんだかとても申し訳なくて
 私はそのことを初めて後悔していたかもしれない。

 でも、それと同時に。
 早く塗り替えて欲しいって気持ちも強かった。
 強かったけれど、幻滅されたらと思うと怖かった。
 すり、と隆司さんの肩に、胸元に、頭を擦り寄せる。

 ……帰りたくないな。]

[処女じゃないからといって、キスが初めてでないからといって、上原が幻滅することはないだろう。
 歳の近い相手ならそれが普通なのだから。
 意外に思うことはあるかもしれないけれど。

 矢川が擦り寄ってくると、それを歓迎するかのように優しく髪を撫でた]

【人】 上原 隆司

[「帰りたくない」>>37
 デート帰りにそれを言われて嬉しくならない男がいるのだろうか。
 けれど、そのまま連れて帰れるかはまた別の問題だった。

 矢川の腕が緩めば上原も腕を解いて、自然に離れるに任せた。
 繋がれた手に指を絡めて、幸せそうな笑顔を見ながら微笑みを返す]


  もう、夜遅いからな。
  帰らないと風邪引くぞ。


[穏やかに声をかけて、咲き始めの桜を見上げる。これからもっと花が増えていくのだろう。
 この公園を通りがかるたび、この日のささやかな夜桜を思い出すのかもしれない]**
(39) 2021/03/06(Sat) 12:14:03
[それは、そうだろうけれども。
 だからこれは私の心の問題かもしれない。
 ほんの少しの小さな怯え。

 けれどいまはまだ、ただ甘えたい。
 甘えて、また明日から頑張って。
 やりとりをして、お弁当作って。
 そんなふうに日々を積み重ねていくんだ。

 それが楽しみでたまらない。
 そう、きっと、それで良い。]

【人】 上原 隆司

  ……あー。


>>40言い分を笑われると、上原は苦笑することになった。
 確かに今の時期しか通用しない言い方である。

 桜が散っても、次に咲く花が何かあるはずで、町の中を歩いていればどこかでなにかの花が咲いていることに気付くのだろう。次々新しい楽しみを見つけるかのように]


  誕生日……? 七夕、今年は何曜だろうな。
  俺は8月3日。割と近い。

  お揃い……例えば、なんだ? アクセサリーとかか。


[急な誕生日の話に首を傾げつつ、問われたことには答えて、恋人と一緒に持ちたいお揃いのものを思い浮かべる。
 定番は指輪なのだろうけれど、それは目立ちすぎる気がして、上原の気はあまり進まなかった。

 じゃあ他の何があるのだろう。ストラップとかマグカップとか、だろうか。他にも、すぐには思いつかないようなものがいろいろあるのかもしれない]
(42) 2021/03/06(Sat) 15:18:48

【人】 上原 隆司

>>41矢川が立ち上がるのに合わせて、手を繫いだまま立ち上がる。
 道すがら話すのは次のデートのことなのだろうか。日時が決まれば、またその日を楽しみに過ごすことになるのだろう。

 不審な人影が無いか気を配りながら矢川の家までたどり着くと、キスは拒むことなく受け入れた]


  おやすみ。また来週な。


[微笑んで伝えて、頭を撫でて、矢川が家に入るのを見届けてから去るだろう。
 帰りは駅まではまっすぐ向かうものの、すぐに中には入らずに煙草を1本吸うことになった。なんとなく、そんな気分だった]**
(43) 2021/03/06(Sat) 15:19:04

【人】 上原 隆司

>>44誕生日の話が出た理由に、上原はやっと納得していた。
 社会人と高校生。大人と未成年。その差は新鮮なものでもあるし、行動を縛るものでもある]


  なるほどな……。
  大学生になりゃ、歳なんか無視して
  酒飲む奴も多いしなぁ。


[それが褒められた行動でないのは確かだ。それでも一緒に楽しめるものが増えていくのは、上原も楽しみだった。
 アルコールに関しては、体質もあるだろうけれど]


  キーホルダーか。
  バリトンサックスの……。
  いいな、今度買いに行こう。


>>45お揃いの持ち物の案に目を細める。今日の思い出が形になるようで、手に入れたら大切に持ち歩くだろう]
(49) 2021/03/06(Sat) 16:23:04

【人】 上原 隆司

[次の休みはちょうど火曜日。>>45
 お弁当を受け取って登校に付き合って、帰りに待ち合わせて映画館に行くことになるのだろう。

 >>46不穏な影が見当たらないことに安堵して、見送ったときの言葉は心に留めた。

 一服した後、電車で家に帰って、部屋の鍵を開けるとき。
 そのキーホルダーがお揃いのものになるところを夢想した。
 いつかは矢川に部屋まで来てほしい気がして、春休みならそれが無理なく叶うかとも考えた。

 もう少し部屋の中を片付けるかと考えながら、寝る前にメッセージを送ろうとして。
 文章が何も思い浮かばず、悩んだ末に送ったのは、音符のスタンプをひとつだけだった。
 共に過ごした時間に想いを馳せて]**
(50) 2021/03/06(Sat) 16:23:28

【人】 上原 隆司

>>47そうして時を重ねていった。
 家に帰るたび、キーホルダーを見てあの日のデートを思い返していた。

 卵焼きはいつの間にか、母親の味とそっくりになっていたけれど。全く同じよりもコショウを足したものが美味しくて、定番になったのはきっとその味だったろう。
 春休みの間、家に誘う機会を窺ったことはあっただろうが>>50、結局誘わずじまいだったかもしれない。

 一緒に街中を歩くことが増えれば、同僚と鉢合わせることも何度かあった。
 「上原さんの彼女、若いですね」などと後日揶揄されたこともあったが、年齢については「まだ学生だから」で濁していた。
 出会いのきっかけを詳しく語ることもなかっただろう。あまり個人的な話はしない主義だった]
(51) 2021/03/06(Sat) 16:36:37

【人】 上原 隆司

>>48見慣れないセーラー服姿は、彼女が高校生だと実感するものだった。
 物珍しくて写真にはついつい見入ったものの、セーラー服姿の女子高生とデートはあまりにも気が引ける話である。
 何もしなければ着替えてくるだろうと思いながらも]


 『ちゃんと着替えてから来いよ。』


[念を入れてメッセージを送りたくなるくらい、上原は人目を気にした。

 ――生で見てみたい気はするが、それは卒業式に顔を出させてもらうときにしようか。

 そんなことを考えながら待ち合わせに向かったのだった]**
(52) 2021/03/06(Sat) 16:36:58

【人】 上原 隆司

>>53犬のスタンプで上原がすんなり矢川を連想するのは、彼女が子犬のように見えたことがあるせいなのだろう。>>3

 朝や寝る前はあまり長々とやり取りすることはなかったけれど、昼休みや退勤後の時間はいろいろ話していたかもしれない。
 最初の頃こそストーカー対策ばかりだったけれど、今は次のデート先や、互いの趣味の話などに変わっていただろうか。

 街中で同僚に会っても会釈程度。矢川が気付くことはなかっただろうけれど。
 会釈を疑問に思われたなら、同僚だとは伝えただろう。

 上原と同僚は恋人との関係の深さについていちいち話す年頃ではなくなっている。
 だから矢川が部活で大惨事に巻き込まれていようとは、言われることがなければ思いつかなかっただろう。
 言われてみれば至極当然の反応ではあるのだが]
(55) 2021/03/06(Sat) 17:57:18

【人】 上原 隆司

[お花見デートの日。
 矢川が用意してくれたお弁当箱のそばには、上原が家でハンドドリップしてきたコーヒーを詰めたボトルがあった。
 人に飲ませるほどの腕ではないが、自分で飲む分には気に入っていて、いつも食べ物を用意してくれるお礼にと用意したのだった。
 ブラックだからと、ミルクチョコレートも一緒に。

 辺りが賑やかな中、ベンチに陣取ることは無事できただろうか]


  俺の家? 普通の1DKマンションだよ。
  台所狭いぞ……。今度見にくるか?


[家のことを問われると、素直に答えた。>>0:93
 見たいのだったら、と誘う言葉をかけながら。

 上原の部屋は独居が前提だけにあちこち狭苦しいが、特に台所は顕著だった。
 元々狭い調理スペースに炊飯器が置かれ、そのままでは本格的に何か作るのは苦労するだろう有様であった]**
(56) 2021/03/06(Sat) 17:57:41

【人】 上原 隆司

>>57矢川の部活では大分面白い言い草になっていたとは露知らず、マイペースな逢瀬を続ける上原だった]


  ダイニングキッチンの他に寝室がひとつだな。

  コンロは1個だけだな……。
  料理するには不便だと思う。
  普段はほとんどお湯沸かすくらいだ。


[部屋の広さがピンと来ていなそうな矢川に、間取りの説明を付け加えた。
 独居でもワンルームでないのは、少し贅沢かもしれない。あまり狭すぎるのも落ち着かないからと選んだ部屋だった。

 上原は米は炊くが自炊というほど料理もしない。それは下手に作るとかえって栄養バランスが悪くなるからだった。
 1人前の1食分のおかずを作るのは難しい。根気よく日々料理するのも向かない性分だった。

 だから矢川のお弁当にはいつもありがたみを感じていた]
(60) 2021/03/06(Sat) 20:58:07

【人】 上原 隆司

  いただきます。
  いつもありがとな……、今度何か奢らせろよ。


[紙皿と箸を受け取って手を合わせ、お重から料理を選び取る。確かに言われた通りに春の彩を感じるメニューである>>59


  蛍の料理はいつも美味いよ。
  和食というか、日本食が好きなのか?


[矢川のお弁当は洋食にしても日本人らしいメニューが多いように感じていて、食べながらふと尋ねた。
 外国料理に関心はないのだろうか、と。
 何か気になる料理があれば、一緒に外食するときに食べてみたかった]
(61) 2021/03/06(Sat) 20:58:50

【人】 上原 隆司

  そういえば蛍は、志望校決めたんだったか。


[あまり進路の話をしたことがなかった気がして、桜を見ながらふと尋ねた。

 >>59もし志望校の話を聞けば、女子大という点に安堵したかもしれない。
 己の大学生活を思い出すと、男子学生に不安の湧く話が上原にはいろいろあったのだった。

 コーヒーを飲んで幸せそうにする矢川を見ながら、料理の合間に一口飲む。
 癖なのか、上原の淹れるコーヒーはどうしても濃くなってしまいがちだが、その分ミルクと相性はいいかもしれない。

 今は食事中だからチョコレートに手を伸ばすことはなかったけれど、コーヒーと一緒に食べれば苦味がほどよく和らぐだろう]**
(62) 2021/03/06(Sat) 20:59:16
  はい、あーん?


[なあんて。 食べてくれるかな?**]

【人】 上原 隆司

  えっ、……いや、さすがにそれは悪い。


>>63毎日お弁当と言われると、上原はさすがに食費を負担しなければという心境になった。

 添加物が心配というのは確かにそうだろう。あまり余分なものは入っていないものを選んではいるのだが]


  料理はタダじゃ作れないだろ。
  材料もそうだし、手間暇かかるし。
  礼はしたいんだよ。

  パフェか……、そのうち行ってみるか。


[店が遠いと、何かのついでで遠出したときになるのだろうか。
 デート先と合わせて少し遠くまで行くのも、きっと楽しいだろう]
(66) 2021/03/06(Sat) 22:23:34

【人】 上原 隆司

[矢川がアスパラのベーコン巻きを食べている頃、上原はタコさんウィンナーを容赦なく頭からかじっていた。
 その他のおかずも満遍なく食べて、卵焼きには相変わらず満足げだった]


  バランスか、なるほど。
  確かにいつもバランスいいもんな……。

  俺はいつか、食べたことない外国料理を
  食べてみたいんだよな。


[上原には好き嫌いがあまりない。
 それは、際立って好きなものはほとんど見つかっていないということだ。
 生まれつき食べ慣れている食事の中には、大好きな味はないのかもしれない。

 そう思うと、見知らぬ国の料理の中にそれを探してみたくなることがあった]
(67) 2021/03/06(Sat) 22:24:00

【人】 上原 隆司

>>65矢川の志望校のことを聞いて、「離れたくない」と言われたことに一瞬、上原の胸は高鳴った。
 それと同時に、いくらか安心感も湧く]


  女子大か……なら大丈夫かな。
  男子大学生、ろくでもないのが結構いるからな。
  学外との交流には気をつけるんだぞ……?


[高校でストーカーに遭った矢川には今更注意を促すほどのことではないのだろうか。
 それでもどうしても不安なものは不安で、じっと真剣に矢川を見つめることになった]
(68) 2021/03/06(Sat) 22:24:34
[だいたい食べ終えて食後には、コーヒーの合間に、口元にチョコレートが差し出され


  ……ん。


[素直に食べて、その後、コーヒーをまた飲んだ。
 チョコレートがいつもよりも甘く感じたのは、上原の気のせいなのかもしれない]


  そうだ、蛍。
  ……今日、うち来たいのか?


[話しているうちに紛れてしまった申し出に、今更ながらに問い返す。
 部屋の中はいつ誰が来てもいいように片付けてあった]**

[あーん、で、照れることなく食べてくれる。
 それに満足してこちらの方が照れ笑い。
 また珈琲を飲もうとしたところで。]


  んぷっ!?


[それは不意打ちって物だと思うの!!!
 すっかり後日で流れた話かと思ってたから!
 だから、思わず噴き出しそうになって咽せる。
 体を捩って反対側を向いて、ケホケホ。
 ハンカチで口元を拭きながら向き直った。]


  そ、それは、……いいの?


[それはいつも、わりと。
 行きたいな、来て欲しいなとは思ってた。
 ちょっと不意打ちに赤くなりながら
 でも私は行きたい、と全身で訴える。
 行きたいオーラを出してきらきらした目で見つめた。**]

【人】 上原 隆司

  ああ、片付けなぁ……。


[実家暮らしだった頃、親の洗い物を手伝った記憶が上原にはあった。
 作ってもらう立場としては洗い物の負担はさほどでないのだが、作る側が洗い物もするのは大変らしいのは知っていた。

 もし共に暮らすなら洗い物は自分でやろうか、などと彼女と同じことを知らぬ間に考えていた>>69


  国にまで行くのは大変かもなあ。
  国内で食べられる外国料理だけでも
  いろいろ食べてみたい。

  牧場のアイスクリームって美味いらしいよな?


[絞り立て牛乳と言われて、連想したことを話す。上原の遠方出身の友人がそんなことを言っていたのだった]
(71) 2021/03/07(Sun) 9:46:20

【人】 上原 隆司

>>70大学生活の夢を語る矢川が微笑ましくて、上原は微笑んだ。
 大学受験を控えた頃、そんなことがあったのを思い出した]


  市民サークルはいいかもな。
  学生時代からいろんな年代と知り合っておくと
  世界も広がるし。

  ろくでもない奴は……、
  新入生を交えた飲み会で、強くて飲みやすい酒を
  新入生に勧めて、そのまま持ち帰ったりとか。


[ニュースになるような大規模な事件を起こす例は少ないだろうけれど、そのくらいの話なら頻繁に聞くことだった。未遂も含めて。

 女子学生にも恐ろしい相手はいるのだが、女子同士でターゲットになる可能性は低く見積もっていた。
 ありえない話ではないだろうけれど。

 そして真剣に話している間、呑気に見惚れられていることには気づかなかったものの、他人事っぽく聞いている印象は受けていた]
(72) 2021/03/07(Sun) 9:46:44
[矢川に噴き出されかけて、上原はぎょっとした。
 そんな突拍子もないことを言ったろうかと、困惑の視線を向けた]


  ……早いか遅いかの差だと思うし。
  花見が終わったら、寄っていくか。


[行きたいオーラと共に輝く瞳を見て、可愛らしさを痛感する。
 電車で数駅移動することになるが、そう遠い場所でもない。
 こうして、花見が終わったあとの行き先が決まったのだった]**

  うん、うん! 寄ってく!
  そうしたらのんびりできるし。
  お台所確認できるし。
  ……ふふ、楽しみ!


[うきうきと、珈琲を飲み終えて。
 お弁当を片付けたなら軽くなったそれを袋にしまう。
 どんなところで、どんな風に住んでいるのか。
 それも純粋に気になったし、
 のんびりと家で過ごすのが好きな私は
 のんびり、気兼ねなく、
 隆司さんに甘えたくもあったから。

 
もしかしたら、その先も。
ううん、それはまだなのかな。
私がまだ子供だから。


 普段は電車を使わないから
 切符を買ったりもしただろうけど
 終始、どこか楽しげで浮かれた気持ちだった。**]

【人】 上原 隆司

  観光できる牧場ならバスが出てるんじゃないか?
  運転できりゃよかったが、免許ないんだよな……。


[都会に暮らす分にはあっても使わない気がして、上原は無免許なのだった。
 楽器演奏については微笑んで頷いた]


  サークルなら自分の楽器いるもんな。
  気に入ったのが買えるといいな……。


[高値のものを買うという話になると、いくらか出資できないか考えてしまった。
 それはさすがに気を遣わせてしまう気がして、申し出は躊躇っていた。
 それよりも日々を過ごしながら少しずつ助けになるほうが良いだろうかと]
(75) 2021/03/07(Sun) 13:08:07

【人】 上原 隆司

  律儀に法律守る奴と、守らない奴がいてなあ。
  周りが飲むからって飲んじゃう奴も少なくないぞ。
  騙されて飲むケースもあるだろうし。


[そもそも、大学の新入生が未成年とは限らない。2浪していれば二十歳である。
 ちなみに上原の初飲酒は19歳であったとか]


  自分の飲めるペース掴んでおくのは大事だからな。
  そのときは付き合おう。


[矢川がどのくらい飲めるのか、上原も興味があった。どんな好みをしているのかも。
 同じものが楽しめるかもしれないし、そうでないかもしれない。それを知る機会まで、関係が続いてほしいと思った。

 コーヒーを飲み終え、お弁当も食べ終えると、片付けを手伝って次の場所へ向かう準備を整えた]*
(76) 2021/03/07(Sun) 13:08:48
  そうだな、確かに気兼ねしない。
  けどあの台所で料理すんのは大変じゃないかな……。


[上原宅の台所は狭い。
 たまに何か作る程度ならまだしも、日常的に料理するのは難しそうである。
 それでも手慣れていれば、食卓を併用しながらある程度のことはできるのだろうか。
 レンジがオーブンレンジなことも踏まえれば工夫の余地はありそうである。

 2人きりで過ごす時間の、その先をもし望まれたら、上原は一度は嗜めてしまうのだろう。
 でもそれは、子供扱いが理由ではなかった。
 とはいえ、歳の差ゆえの意識の差ではあるかもしれない。機会があれば話して聞かせるだろう]

[ICカードと定期暮らしが長くなった上原には切符は懐かしくて、矢川が買うのに付き合っていた。
 電車に乗ると最寄駅までは数駅。座るには短いが立つには長い、そんな微妙な距離だった。

 道中、初めて遠足に行くかのような矢川の浮かれ方が愛らしくて、上原は自然と手を繋ごうとしていただろう。

 最寄駅を出れば歩いて10分程度で、10階建ての古いマンションに着く。上原の部屋は9階。
 エレベーターで上がることも当然できるが、階段もある]


  どっちがいい?


[上原は笑いながら尋ねて、矢川の選んだ方法で部屋まで向かう。
 9階まではときどき階段で上がっているが、休まず上がれるものの、余裕とまではいかないのだった。

 部屋に着けばバリトンサックスのキーホルダーがついた鍵で扉を開けることになる。
 入ってすぐの玄関の脇にトイレと洗面所とバスルームの扉があって、ダイニングキッチンが見え、そのさらに奥に寝室がある]**

[そうして向かった、隆司さんの家。
 今度は回数券を買っておこうと密かに決めつつ
 今日は一先ず行きの分。
 電車はまだ空いている時間だったから
 隣り合って座りながら風景を眺めていた。
 勿論、手は繋いだまま。
 座ってる時も、歩く時も。
 そりゃ、改札を抜ける時は自然と離すけれど
 改札を抜けたらまた自然と繋ごうとして。]


  む……。 私は文化部インドア派ですけど
  体力には自信あるんですよ!


[そんな訳で少し眉を寄せてその挑戦状?を受け取った。
 階段でも登り切れるだろうと。
 実際、吹奏楽部は文化部の中でも体力を使う。
 重い楽器を持つ担当なら尚更で
 バリトンサックスは勿論重いものに入るのだ。
 5〜8キロあたりが普通である。
 流石にバリトンサックスを持っていたり
 今のお弁当の中身が入っていたら難しかったが
 無事に登り切ることができた。
 できたが。]

  ふーっ、流石に暑くなっちゃう……!


[赤い顔になって普段のパーカーを無造作に脱いだ。
 汗をかく直前か、少し汗をかいてしまうくらい。
 軽く畳んで腕にかけ、ノースリーブニット姿で
 パタパタと手で軽く顔に風を送ってた。
 隆司さんは汗かいたりしてなかったかな?

 そして、鍵が開かれる。
 そこに付いてる、お揃いのキーホルダーがきらりと光って
 使ってくれてる、なんて密かに嬉しくなった。
 そしてひょっこり、彼につく形で
 その扉の中に入っていく。]

  おじゃましまーす……。
  へえ、片付いてるんですね。
  散らかってるイメージも、無かったけど。


[神経質な感じはしないけれど、
 きちんとしてそうなイメージが何となくあった。
 そのイメージ通りだなと感心しつつ
 部屋を進んでダイニングキッチンを覗き込む。
 ああ、たしかに、]


  ……これは腕が鳴る……!


[とても狭くて。やりにくそうで。
 けどだからこその工夫ができそうで!

 とはいえ今日は何も材料は買ってきていない。
 しかしキョロきょろ見渡せば
 レンジにオーブン機能がついてるのを確認して
 意外と色々できそう! と楽しくなってしまった。

 今度は何か作りに来よう。
 そんな事を思ってしまう。]

  今度は、材料買ってきてのおうちデートも良いかも。
  そうしたら、作り置きも少し作っていける……かも?


[炊飯器のサイズを確認しつつ、
 思ったままのことを口にしていた。**]

[免許を取って、楽器を乗せて演奏会場まで。
 そんな夢のある話を聞けば、上原はその車を運転するのが自分でありたかった気もした。

 合格祝いに初めて飲むお酒は何がいいだろうと、これからたびたび思い浮かべることになるかもしれない。

 改札で手を離して、抜けたらまた繋いで。
 いつの間にか、外を歩くときには手を繋ぐか腕を組むかが当たり前になっていた]

[挑戦を受けて立った矢川と、9階まで一緒に階段を昇った。
 上原も日頃よく歩くせいでスタミナはそこそこだが、平地を歩くのと階段はまた違う。
 昇り切ることはできても汗ばみはするし、多少は息も上がるのだった。良い勝負だったかもしれない


  体力あんなぁ、さすがに。


[春先のノースリーブニットという若々しい服装に目を細めながら、素直な感想を口にした]

[そうして部屋に2人で入ってみると、想像していた通りに、少し窮屈な印象を受けた。
 もし一緒に暮らすなんて話になればもっと広い部屋がいいだろうし、楽器演奏をしたいなら防音設備も要るのだろうか。

 そんな気の早いことを考えながら、料理にやる気を出す矢川を眺めていた


  家で料理作ってもらったら、
  帰したくなくなりそうだな……。


[しみじみと思ったことを上原は呟いた。
 そのまま一緒に暮らしたくなりそうだと思っての言葉だったが、他意がありそうに聞こえるのかもしれない。
 ともあれ、そのくらいには矢川と共に過ごす時間を幸せに感じているのだった]**

  えっ……、


[たとえ、他意がなかったとしても。
 その一言に私は思わず言葉を失って頬を染める。
 恋人に帰したくないなんて言われたら、
 そういうのを想像するのは必然じゃないかな?

 だから、私は言葉が少なくなる。
 そそくさと手に持っていたパーカーを羽織り直したりして。
 一緒に暮らせたら。
 そうしたら、隆司さんの食生活もきっと
 安心になると思うなあ。
 でも、家から通える距離の大学だったら
 同棲なんて学生のうちは許してもらえないかも。
 両親の食生活だって気になるし。
 でも、……うん。]

  ……帰らなくても、風邪ひきませんもんね?


[今は夜じゃない。
 夜になったとしても外じゃない。
 だから帰らなくても、大丈夫。
 少なくともその言い訳は使えない。]


  でも、あっ、
  材料とか、道具とか、どうですか?
  一通りあれば良いけど……。


[ちら、と冷蔵庫の位置を確認する。
 あと、台所の中の棚とかも。
 とはいえそれぞれの中をいきなり確認は
 流石に気が引けてしないけれど。

 ああ、顔が真っ赤になってる。
 何を想像したと思われてしまうだろう。
 ……でも、……でも。]


  ……、隆司さん。


[ちょっと、呼ぶ声が震えてしまった。
 近づいて、ぽふっと飛び込むようにして抱きつく。
 ぎゅっとそのまましがみついた。]

  ……え。


赤面されてやっと、上原は言葉選びの問題に気づいた。
 確かに今は昼間だし、家の中にいては風邪も引くまい。

 冷蔵庫には朝食用の食パンと、ハムやチーズなど保存のきく食材が数種類程度。
 調理器具は小さい鍋とフライパンとヤカンが1個ずつに、包丁1本と菜箸とフライ返しとしゃもじという必要最低限の構成である。
 そんな状態だから、狭いキッチンとはいえ収納スペースは半分以上余っていた。

 キッチンを気にしていた矢川が、震える声で名を呼んで抱きついてくるのを見て、上原は急な行動に目を瞬きながらも抱き締め返した]

[舌が触れ合うことはなかった。
 だから、少し舌先を出した私の顔は
 きっととても間抜けな顔だったと思う。
 勿論すぐに舌を引っ込めたけど
 顔は真っ赤になったし、言われた言葉に胸を締め付けられて
 私はぐっと泣きそうな顔になって顔を俯けた。
 実際、泣きそうだった。]


  ……。

  好きな人と、そういうことがしたくなるのは、
  いけない事……かな。


[ましてや今回は前回とは違う。
 気持ちを確認しあった恋人同士……の、はず。
 場に流されて、大切だからという気持ちに惑わされて
 そのまま溺れてしまったあの時とは違う。
 でもそれは、若気の至りなのだろうか。
 確かに、この身を持って知らされた。
 男の子は、好きでもない女の子とセックスできる。

 ……まあ、女の子だって。
 春を売る子達もいるけど、それはお仕事で、
 仕事でなかったら……でも世界は広いから。でも。]

  好きだから、キスもしたいし、
  抱きしめてもらって嬉しいし。
  その先だって……。


[あ、ダメ、泣きそう。じゃなくて、泣く。
 声が震えてその先が紡げなくなった。
 ぎゅ、ってそれでもしがみついて、
 隆司さんの胸元に顔を埋めてたから
 じんわりとそこが濡れてしまったかもしれない。
 
 今までだって、大事にしなかった訳じゃない。
 大事にしなかった訳じゃないのに。

 ……ああ、私はその先を知っちゃってるんだなあ。]

  ……ごめん、なさい。


[ぐす、ぐす、と泣きながらの謝罪。
 意味がわからなくても仕方がない。
 でも、なんだか訳がわからないくらい悲しくて
 それ以上に、申し訳なくて。

 こんな訳わかんない状態で泣いてる私に
 しがみつかれても困るだろうなって。

 わたしは隆司さんから腕をはなした。
 離して、流しに向かう。
 そのまま飛び出して行ってもよかったけど
 こんな顔で女の子が飛び出した、なんて言われたら
 隆司さんに迷惑かかるかもと思ったから。**]

[たった一言、断りを入れただけで泣かれてしまって、上原は途方に暮れた。
 その上、なぜだか謝らせてもしまった。
 どう答えたらいいかと考えている間に、彼女は離れて流しに行ってしまう。

 思わず懐に手をやって、煙草の箱に指が触れたところで、そんな場合でないと思い直した]


  蛍。


[名を呼んで流しに歩み寄って、矢川に両腕を伸ばした。拒まれないのなら、そのまま抱き締めたかった]

  俺も、望んでないわけじゃない。

  けど……妊娠する可能性はゼロにはできないって
  どうしても考えちまうんだよ。

  ……学校に産休はないよなって。


[何を思って踏み止まるのか、それを伝えなければいけないと思って、上原は必死に言葉を選んだ。
 けれど思うように伝わる気がしなくて、片手で頭をかいた]


  万が一のときに、俺は産んでほしいと思うだろうし……
  蛍もそう思ってくれるんじゃないかと思ってたから。

  ……「結婚しよう」で済む歳じゃねえよな。


[そこまで言ったとき、抱き締めることを拒まれていたならもう一度腕を伸ばしただろうし、抱き締めていたなら腕に力を込めただろう。

 学校は休学か退学か。
 出産前に働いていなかったなら、働けるようになってから仕事の探し直し。
 そこまで考えてしまうくらい、上原にとって彼女は大切で、将来を守りたい女性だった。
 いつの間にか、そのくらいに想いが強まっていた]**

[だって、拒絶されるとは思わなかった。
 好きなら、その次に進んで当然だって。
 それは若さゆえの浅はかさだったかもしれない。
 でも、やっぱり。
 好きな人だから、触れ合いたかった。
 ……自分の全部を見て欲しかった気がする。]


  ひっ、く、


[水を流して顔を洗う。
 バシャバシャと二度くらい洗ったところで
 名前を呼ばれて後ろから抱きしめられた。
 キュ、と蛇口を締めながら抵抗はしない。
 抵抗するつもりなんてなかった。
 でもすこししゃくりあげながら耳を傾ける。

 そして、思いがけない言葉に目を瞬かせた。]

  にん、しん?


[そう言えば保健の授業で聞いた。
 コンドームの避妊率は8割程度で確実じゃなくて
 避妊よりは性病予防の観点が強いって。
 避妊を確実にするならピルや避妊具を合わせて使うって
 そう言っていたはず。

 ……そう頭にあっても、ゴムしてれば良い。
 そんな思いが確かにあった。
 それは慢心だったのかな。
 ……と、言うか。]


  ……それは、たしかに、そう。
  妊娠"しちゃった"って言い方、きらい。
  できれば望んで"授かりたい"と思うし、
  授かったら、……ちゃんと産みたい、けど……。


[まだそこまでの未来を描いていなかった。
 描いてもどこか絵空事で、
 具体性のない夢のようなものだった。
 でも。それだけ大切に思ってくれているのか。
 将来を思い描いてくれていたのか。
 そう思うと、自分の態度がどうしても拙くて。]

  ごめん、なさい、隆司さん。
  ……でも、……好きだから。


[好きだから、次のことをしたかった。
 好きなら自然と触れ合いたくなると思ってたから。
 回してくれる腕をぎゅっと握りしめる。
 
 今までの自分は、無意識のうちに
 自分の体を無碍にしていたのかな。]

  大好き、だから。

  ……結婚するまで、待っててくれる?


[結婚か、婚約か。わからないけど。
 一つとおい約束をしたい。
 待ってて、と言うのもおかしな話かもしれない。
 むしろ今回のことを考えると
 自分がおあずけ、かもしれないけれど。

 なぜかそんな言葉になりながら
 私は隆司さんの手を握り締め続けていた。**]

[妊娠、結婚。自然とそれを意識するのは、上原がそういう年頃だからなのだろう。
 高校生の矢川がピンと来ていないことを責める意思は上原にはなかった。その頃の自分を思えば、それが当たり前だと思えるから]


  やっぱ歳の差なんだろうな、これは。
  ……それだけ本気になった、とも
  言えるんだろうけどさ。


[それでも、本気になろうが、高校生で結婚までは考えない気がした。
 だからこそ「授かったら産みたい」と言ってくれることはとても嬉しくて、抱き締めた彼女の頭を撫でた]

  謝ることはない。
  俺も触れ合いたくなるから。

  でも、待ってるよ。
  俺が言い出したんだしな。


[待つのも、おあずけもお互い様だろう。
 お互いに望むことなのだから。
 好きだから、その先を。それは上原も同じなのだと伝えて、もう一度唇を寄せて、触れ合うだけのキスを求めた。

 もし待ち切れなくなるとしたら、大学卒業が視野に入る頃だろうか。
 避妊はした上で、それでも妊娠してもその後の生活に支障が少なそうな時期。
 その頃には互いの好む酒も把握し合って、一緒に飲めるようになっているのかもしれない]**

[それだけ本気。
 ……こんなに短い期間で? そんな疑問はある。
 でもそれは自分だってそうだ。
 本気で好きだから、好きになったから
 その先へと進むことを選ぼうとした。
 恋人同士でそれが当たり前かと思ったから。
 さらにその先までは描けていなかったけれど。]


  ……私も、待ってる。我慢する。
  でも、さっきみたいなキスも……だめ?


[ダメだから止められたんだろうけど
 それなら自粛しなければならない。
 触れ合いも我慢できる範囲内にして
 ……口で、とかやり始めたらキリがないから。多分。
 触れ合うだけのキスをされて、向き合いながら
 首を傾げてそんな問いを投げかける。

 今まで通りのキスだけでも大丈夫。
 頭を撫でてもらって、抱きしめあって、
 そうしてそばにいられたなら。
 でもアレもダメなの? と、
 そこから直ぐにえっちに結びつかなかった私は
 本気で不思議そうな眼差しを向けた。]

[確かに短い期間だった。
 けれど、この先も共に過ごしていきたいと思う機会が上原にはたくさんあった。
 一緒に暮らしてみたいとも。
 そこで望まない妊娠が彼女の将来を閉ざしてしまわないかが気がかりで仕方なくなる程度には、真剣であると言えるだろう。

 そして、キスのことを不思議そうに言われると、今度は年齢差のほかに性別差を意識することになる上原だった]


  ……俺が抑えられなくなるからダメ。


[実際には耐えることはできるだろうが、抑えがたい衝動を起こされる可能性を極力排除しようとして、上原は素直に申告した。

 矢川が素直に守り続けてくれれば何事も起こらないであろうが、そうでなければ、数年の間に際どい場面はときどきあるのかもしれない]

【人】 上原 隆司

>>78矢川の高校最後の一年間。
 上原は演奏会にも文化祭にも顔を出したろうし、卒業式も見に行っただろう。
 そのときには矢川の両親に挨拶することにもなったかもしれない。

 そのうちに矢川の家に遊びに行く機会もできるだろうし、酒の味はともかく強さが同じくらいとわかれば、一緒にバーや居酒屋を巡る機会も増えただろう。
 ときには好みの酒を持ち寄って、家で一緒に晩酌もあったかもしれない。

 コンロ不足にはカセットコンロを調達して、矢川が部屋に料理をしに来てくれることを楽しんだ。

 喧嘩をすれば上原が折れることのほうが多かったかもしれない。
 譲らないときもあったかもしれないが。

 そうやって時を重ねながら、矢川と共に暮らしたいという上原の想いは強まっていくことになっただろう]**
(79) 2021/03/07(Sun) 21:17:45
[凛は信じてくれているけれど
 他の友達は、プラトニックなお付き合いを
 あんまり信じてはくれていない。
 とは言え、私もあまり言いふらす事はないけど。
 際どいシーンは……
 例の、初めて家で深酒したとき?
 海に行くからと部屋で水着を見せた時とか。
 合鍵をもらえていたら、うっかり
 部屋でうたた寝してた時とか、かもしれない。
 積極的にこちらから際どいシーンは
 作ってるつもりはなかったし。

 そうして、もう私も四年になった。
 今の生活が幸せで当たり前になりつつあった。
 もう、あの時から数えて5回目のバレンタイン。
 今年はチョコのカップケーキを作って
 それを綺麗に包んで待ち合わせ。
 ……美味しく食べてくれると良いな。**]

【人】 上原 隆司

>>80卒業式の日、矢川の両親と上原は初対面であった。
 矢川父の棘のある態度に肝が冷えたものの、理由が卵焼きと知って上原は安堵しつつも苦笑した。
 今まで挨拶に行かなかったことを詫びて、改めて挨拶に向かうことになっただろう。

 矢川のセーラー服姿は他の行事のときも見たかもしれないが、高校生らしい姿の矢川と写真を撮る機会が最後と思えばすんなりと応じた。
 まだ知り合って1年しか経っていないことが不思議に思えたのもその時だった]
(83) 2021/03/07(Sun) 22:59:55

【人】 上原 隆司

[20歳未満の飲酒を強く咎める気は上原にはなくて、嗜めつつもときどきなら一緒に飲むこともあった。>>81

 上原はあまり果実酒は飲まないほうだったが、矢川が気に入り始めてから一緒に飲んでいるうちに、良さを理解し始めた。

 酔って甘える矢川は大層可愛らしかったが、外でこうなられては困るとも思った。
 恋人の可愛い姿は自分だけのものにしておきたいのが人情であろう]
(84) 2021/03/07(Sun) 23:00:24

【人】 上原 隆司

[テーマパークのイベントで泊まりの話が出たとき、意見が割れたのはその頃の仕事の状況が主な理由だった。>>82

 上原の誠実な取材と納期をきっちり守る仕事ぶりが評価されて、記事のテーマが幅広くなり始め、慣れない記事の締め切りを複数抱えていた頃だった。
 その上、ただ書くだけでなく企画を出す側にも回ることになり、新人指導まですることになって、仕事が非常に立て込んでいた。
 充実していたとも言える。

 そのイベントが2ヶ月後ならギリギリ可能だったのだが、1ヶ月後だった。それではまだ締め切りの渦中で、どうしても断るしかなかった。
 そして事情を話して謝ったのに矢川に拗ねられてしまって、上原も少々苛立ってしまったのだ。

 それでも1週間も経たないうちに仲直りはしたし、後日埋め合わせを約束して、ちゃんと実行もしたのだった]*
(85) 2021/03/07(Sun) 23:01:20
[矢川の初めての深酒のときは、それまでで一番理性がぐらついて危険だった。

 不幸中の幸いと言っていいのかどうか、上原はアルコールが入るとできなくなる体質である。

 それに加えて、想いの通じた恋人とはいえ、酔った女性を手籠にする気にもなれなかった。

 それでキスまでに留まったのだが、濃厚なものではあった。
 思わず応じてしまったとき、上原は彼女の唇を舌でなぞっていた。
 かつて指でそうしたように

 そのことが矢川の記憶にあるかどうかは不明である]

[水着が可愛くて抱き締めたことも、うたた寝に気付いて毛布をかけたこともあったが、そのくらいなら上原は割と平然としていた。
 少なくとも表面上は。

 矢川とのバレンタインも5回目になると思うと、そんなに付き合いが長く続いたことが感慨深かった。
 積み重ねた日々を思いながら待ち合わせに向かう前、コーヒーを淹れてボトルに詰めた。
 矢川の手作りお菓子でコーヒーを飲むのは上原の楽しみの一つになっていた。機会があるたびに淹れているうちに、少しずつ上達もしていった]**

【人】 上原 隆司

[長い付き合いをしているうちに、上原が言いそびれたまま言えなくなった言葉があった。>>86

 関係が安定すればするほど、改まった話はしづらくなる。

 それでも、大学卒業をきっかけに少し進展すればとは思っていたのだが。

 なんとなく言う機会を逸しているうちに、5回目のバレンタインになった]
(89) 2021/03/08(Mon) 8:06:12

【人】 上原 隆司

[待ち合わせに着くのはいつもちょっとだけ上原が早かった。>>87
 けれど矢川も時間をしっかり守るから、待ちぼうけることなどなくて、同時に着いたこともあるくらいだった。

 どんなやりとりも、それが当たり前と言うように自然になって、長く続いた関係を物語る。

 矢川が「帰りたくない」と言うことはなくなったけれど、別れ際に名残惜しそうに見える日が少なからずあったのは、上原がそうであってほしいと思うせいだろうか]
(90) 2021/03/08(Mon) 8:06:41

【人】 上原 隆司

[デートはいつも楽しいし幸せで、だからこそ別れ際が寂しかった。
 帰したくないと思っても、帰さないわけにいかなくて、次に会う日を楽しみにして過ごした。

 ――このまま同じ家に帰って、次の日も、その次の日も隣にいてくれたら。

 別れ際、そんな風に上原が切実に思うようになってから、何年経っただろう。

 >>88いつもより少し長めのキスで、同じことを考えている気がして、上原は彼女を抱き締める腕に力を込めた]


  ……蛍、あのさ。
  卒業したら、一緒に暮らさないか。


[卒業も間近。新しい生活を始めてもおかしくない時期。
 それで、やっと。
 ここ何年か言いそびれていたことが言えたのだった]**
(91) 2021/03/08(Mon) 8:07:00

【人】 上原 隆司

[彼女が子犬みたいに見えたのは、そんな喜びようを上原が見たのは、ずいぶん久しぶりのことだった。>>92
 それが愛おしいのと、即答に安心したのとで、微笑んでしっかりと抱き締めた。

 が、確認するような問い>>93に、今度は上原が目を瞬いた]


  ……いきなり結婚がよかったか?
  一緒に暮らして負担がないか確かめる前に。


[たぶん負担などないとは、上原も既に思っていたけれど。
 それでも、急に何もかもが変わってしまうよりは、少しずつと思ったのだった。
 春からは彼女も働き始めるわけで]
(95) 2021/03/08(Mon) 9:16:30

【人】 上原 隆司

  期間を決めるか。
  一緒に暮らしてみて、半年とか1年とか……

  それで、この先もずっと一緒にいたいって
  気持ちが変わらなかったら。

  そのときは結婚しよう。


[気の長い話かもしれない。さらに歳を取ってしまうし。
 それでも一緒に暮らす幸せを確かなものにするために、必要なステップだと上原は思っていた。>>94

 それに。
 「子供ができたから」という結婚の仕方が、上原は好きになれなかったのだ。
 子供を言い訳にするようで。
 無計画を曝け出すようで。
 その分、相手への愛情が薄いようで。

 ちゃんと視野に入れて準備してきたもの。結婚はそういうものであってほしかった]**
(96) 2021/03/08(Mon) 9:17:02

【人】 上原 隆司

  ……それは、確かになぁ。


>>98名前が変わることを言われると、その観点が無かったことに気づく。
 諸々の手続きが相当に大変なものであるらしいことは、上原も知っていた。

 それに、子供の人数も。
 上原は何人ほしいとまでは考えていなかったが、健康な子を望むのなら早いほうがいいのは知識としてはあったから]
(100) 2021/03/08(Mon) 9:42:21

【人】 上原 隆司

  待つ期間が無いほうがいいか?
  俺の都合ばかり押しつけるのも嫌だ。

  たぶん大丈夫だろうとは、俺も思ってるし。


[大丈夫でないことがあったとしても、前向きに解決できるくらいの絆があるとも思えていた。
 だから、彼女の意志を尊重したくて改めて尋ねた。

 とはいえ、仮に書類が早々に出せても、挙式となるとまた話が変わるのだろうけれど]**
(101) 2021/03/08(Mon) 9:42:48

【人】 上原 隆司

  ……そうか。


[語られる切実な言葉を聞く。>>102 >>103
 気持ちだけではどうにもならない、いや、気持ちがあるからこそどうにもならない、体の問題。

 彼女の将来を閉ざさないためと耐え続けて、けれど、耐える理由もそろそろなくなる。

 それこそなし崩しになって、上原が一番避けたかったことになるのかもしれない>>96


  わかった。


[それならもう、我慢するのはやめにしよう……まだ「我慢してる」と思えているうちに。
 上原はそう思って、背伸びされてのキスで彼女の唇に少し隙間を感じたとき。

 言葉で答えようとするのを、やめた]*
(104) 2021/03/08(Mon) 10:44:33
[彼女の頸を引き寄せて、唇に舌を伝わせた。あのときそうしたように。

 その後に唇を深く重ねて、隙間に舌を滑り込ませた。応じてくれることを求めるように、舌先で口中を擽って]

  ん……っ、


[その傷は覚えがあった。
 お酒によって夢見心地で、そのあと目が覚めた時には
 そんな夢まで見てしまったかと恥ずかしくなった夢。
 いや、きっと夢じゃなかったんだろう。
 唇をかつてのあの日に指先でなぞった様に舌先が辿る。
 ほんの少し震えて、けれど深い口づけを受け入れた。
 むしろ私の方からも舌先を伸ばして
 口腔を探る舌先に触れ合わせる。
 粘膜と粘膜の触れ合いに、ジンと頭の芯が痺れた。]

[ストーカーの被害を感じなくなって何年にもなって、矢川をひとりで家に帰らせる日も増えていた。

 上原の移動距離が長くなるというのが理由のひとつだった。
 矢川ももう子供ではないしと、上原の部屋の前で別れる日も増えて、矢川の家まで送る日と半々くらいになっていた。

 この日もちょうどその例に漏れず、おやすみのキスは上原の部屋の玄関で。
 それから矢川をひとりで帰す予定だったのだけど。

 予定に反して、寝室に彼女を連れ帰ることになった]

 




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