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【人】 文月 美鶴可愛くは……。 な、防音とかそういうことじゃなくて…! [ 可愛いって言われるのは嬉しい。 可愛いって一言で言いくるめられてしまうのも確か。 でも、でもね……。 なんでだろう、が消せない私もどこかにいる。 普通に家でのんびりする発想を持ってないのかな。 とか思いつつ。 確かに前のアパートだと ちょっと大きな声を出したりしたら 隣の部屋には筒抜けだったと思う。 潤さんの腕の中はあったかくて落ち着く。 ずっと、こうしていられたらいいのにって いつも思うんだ。 ]* (31) 2021/03/31(Wed) 16:34:52 |
【人】 文月 美鶴[ 美味しいってほめてくれる潤さんを見てると もっと美味しいもの作りたいって素直に思う。 もっと喜んでほしいって頑張りたくなるんだ。 私が潤さんのためにできることって そう多くない、し。 つい、甘えたくなってしまって 頼りすぎてるような気がするから。 それもあってできることはしたいって思う。 ] ……うん。ありがとう。 [ どうしても言葉少なになってしまう。 嬉しい。嬉しいし、そうしてかけられた 沢山の可愛いは、確実に私の中に積み重なっている。 ――――でも。 一番下にあるものを 取り払えた訳じゃないから。 潤さんの言葉は、 本当の意味で私を変えられない。 ]* (40) 2021/03/31(Wed) 18:03:30 |
【人】 文月 美鶴[ 変われなくて、ごめんなさい。 あなたの 言葉 も贈り物 も、愛 も。全部ちゃんと受け取っているのに。 受け取っているはずなのに。 それでも根本が変わらないのは。 可愛くない、から よくて可愛いのかな?って 疑問形にしかならないのは。 可愛いって心の底から思えないのは―― 私がクモの巣のような 過去に囚われているからかも、しれない。 ] (44) 2021/03/31(Wed) 18:39:38 |
【人】 文月 美鶴 ―出会った時の話― [ 私、文月美鶴は休日グダグダと過ごすタイプだ。 昼まで寝たりとか普通にするし、 ベッドから下りるのが夕方になる、なんてザラ。 要はかなり自堕落な生活をしているわけで。 今日だって昼過ぎまでベッドでうとうとしていた。 そんな自堕落な人の天敵は…… ピンポーン。 急な来客だ。見事に起こされてしまった。 ] んー……… (46) 2021/03/31(Wed) 18:41:58 |
【人】 文月 美鶴[ 大きく伸びをひとつ。せっかく寝ていたのに。 不機嫌なまま、ちょっと待ってくださーいと、 玄関に向かって言っておく。 今の服装は思いっきりパジャマ。 急いで人目についても耐えうる服に着替えて、 髪を梳かす時間もメイクをする時間も与えられなかった私は、 そのまま玄関先へ出て来客対応をすることにした。 急な来客はほんと勘弁して欲しいものだ。 いや、昼まで寝てた私が若干悪いのかもしれないけど。 玄関先に行ってドアスコープ越しに確認。 知らない男性だった。 新聞とか宗教の勧誘ならスルーするつもりでいたけれど、 たぶん違う…と思う。 正直どんな人か分からない以上、 あんまり出たくないけど待ってるようだし一応出る。 ] お待たせしてすみません。 何のご用でしょうか? (47) 2021/03/31(Wed) 18:43:08 |
【人】 文月 美鶴[ そう聞けば、訪ねてきた男性は、 忽那と名乗って菓子折を差し出してきた。 隣に引っ越してきたから挨拶を、ということだったみたい。 …………私の睡眠返して欲しい とは流石に言えないけど若干不機嫌なのは隠せなかった。 ]* あ……わざわざありがとうございます。 (48) 2021/03/31(Wed) 18:43:41 |
【人】 文月 美鶴[ 受け取ったしこれで用も済んだかなと思っていたら 名前を聞かれた。 ……差し支えあります、 なんて言ったらどうなるのかなとか そんな意地悪な考えは残念ながら浮かばなかったので ] …………文月、美鶴です。 [ 不本意ながら名乗った。しかも、 相手は名字しか言っていないのにフルネームで。 ]* (50) 2021/03/31(Wed) 18:55:15 |
【人】 文月 美鶴[ 相手の名前を聞いて、自分の職場は教えず。 素敵な名前、っていうのもお世辞にしか聞こえない。 もういいですか、と半ば失礼な形にはなったけど 会話を切り上げて扉を閉めた。それが、最初の出会い。 ] ……美形だったな。 [ 扉を閉めて菓子折を開けずに机に置きつつ、 ぽつりとつぶやく。 あれは間違いなく学内とか社内で ファンクラブが出来るタイプのイケメンだ。 女性にモテるタイプで……取り合いとか発生する。 そんな男性って自分みたいな地味な女が関わると ことごとくめんどくさいことになる…。 そう、私は思っているから、第一印象は… ] 関わらないようにしよう [ という至極失礼なものだった。 一目惚れなんて、そんなの二次元でしか 有り得ないと思っていたし何より。 その対象が私になるなんてあり得ない。 ] (52) 2021/03/31(Wed) 19:27:47 |
【人】 文月 美鶴[ 相手が好意を持ってくれているなどと知る由もなく、 挨拶をされれば返す程度で あまり関わらないようにしていた。 そんな感じで警戒していたはずなのだけれど、 ずっと良き隣人を貫いている彼と接しているうちに 段々とこちらも態度は柔らかくなっていって。 最終的には友達かな、 と思える程度にはなったけど。 それでも恋愛的な好意に気づいていなかったのは、 ……気づけたかもしれないのに 気づかなかったのは。 ] (53) 2021/03/31(Wed) 19:29:16 |
【人】 文月 美鶴[ 私にはそんな好意が向くことなどないと。 そんな根拠のない確信を持っていたから。 だって私は……。 ] 可愛くない、から。 [ ……どうしても自分が可愛いと思えない理由も 可愛くなろうという努力をしなかった理由も 確かに、あって。 だからたまにちらりと見える気がする好意には 無意識のうちに蓋をしていた。 ]* 私なんかが好かれるわけない (54) 2021/03/31(Wed) 19:30:25 |
【人】 文月 美鶴[ 運命の出会いだなんてちっとも思ってなかった。 むしろ、面倒だなって思った。 私みたいな地味で可愛くもない女が、 あんな美形といたらきっと疎まれて… ――――……。 ] 関わらないで、欲しかった。 [ 野菜のおすそ分けを受け取ったりしたこともあった。 でもそれは、相手が落ち込むようなそぶりを見せたから 渋々受け取っただけだった。 まあ、受け取ったら食べたんだけど。 あの時の菓子折りも実は貰ってすぐ開けなかったし 結果として賞味期限間近に食べてたりした。 食べたくなかったけど、食べ物に罪はないから。 好かれる理由も思いつかないし、何故私に関わるのかと 出会ってから一年くらいはそう思ってた。 友達にさえ、なりたいとは思ってなかった。 ]* (75) 2021/03/31(Wed) 22:42:25 |
【人】 文月 美鶴[ なんで関わるんだろうって思いは消えない。 好意なんて感じ取れるはずもなかったし。 私は関わらないようにしようとしてたから。 結構、失礼な態度を取ってたはずなのに。 それなのに彼はお節介を焼いてくるし、 挨拶を欠かさなかった。 たぶん悪い人じゃないんだろうな。 うすうすはそう思っていても、 私は関わりたくないって思い続けてた。 話したくないって思ってた。 もう、面倒は嫌だったから。 貴方の価値観を知る機会が出来るまでは 私はずっと避け続けてた ]* (80) 2021/03/31(Wed) 22:58:02 |
【人】 文月 美鶴[ 仕事関連で私は特に悩みはなかった。 異性絡みの面倒ごとも、職場ではなかったし。 だから、隣人との距離をはかりかねていたことが 悩みと言えば悩みだった。 だって、明らかに失礼な態度を取ってるのは 私のほうだったから。 ] 手紙……? [ いつも明るく振る舞っていた隣人が 訪ねてきたかと思えば、 手紙を黙って差し出してきた。 何事だろう、 ついに私の非礼に対して物申しに来たのかと 一瞬思ってしまったけど。 当たり前だけどそんなことではなかった。 ] (87) 2021/03/31(Wed) 23:47:59 |
【人】 文月 美鶴……。 [ なんで私なんだろう。 そう思った。だって聞いてもらうだけなら 親だったり別の人だって……。 私なんかじゃなくてもって、思ったけど。 あんな顔見せられて、薄情にはなれなかった。 ……でも、仲良くなるのを警戒していた私が 返した答えはこう。 ] 『話を聞いたら、貴方は元気になるんですか? 私なんかよりもいい人、いると思いますけど。 何故私なのか教えてもらえるなら 、いいですよ。』[ 書かれたIDにそんなメッセージを送った。 ああ、これでもしまずいなと思ったら 携帯ごと変えよう。 そう思ってた。あとから思い返せば なんてひどい女なんだ、と思われても 仕方のない文面だった。 ]* (88) 2021/03/31(Wed) 23:49:31 |
【人】 文月 美鶴………。 変な人。ていうか。 お世辞は言えないし表情に全部出るし? もしかして私に対して失礼では??? [ ………なんて思ったりはしたけど残念なことに 全部事実だ。 …あの人、私の事よく見てる。 ……私がいい、なんて言われることなかった。 それに、あの文面からは下心とかは見えなくて 本当に話を聞いてほしがってるだけって感じがして。 聞くだけならいいかな、って思った。 ] 『……教えてくれたら聞くって約束だったので。 好きなだけどうぞ。』 [ やりとりの最後は、ご所望通りに「お疲れ様です」だった。 ]* (91) 2021/04/01(Thu) 0:56:38 |
【人】 文月 美鶴[ 話を聞くといっても、続きを促すような言葉以外 何にも、肯定も否定の言葉もかけなかった。 内容は半分も頭に入ってない。 要は、真面目に聞いてなかった。 でも、頷きも何もいらないって言ったのは向こう。 吐き出してすっきりするなら私の言葉なんて要らないだろうし。 それに……。 思ってもいない言葉を連ねるより、 何も言わないほうが誠実な気がした。 あの文面は>90が誠実だったらからこその、対応。 結果、相手がすっきりしたのかどうかは知らない。 私は、本当に嫌だったことは吐き出せないから。 吐き出せずに、ずっといたから――――。 メッセージには、 ] 『私なんかでいいなら』 [ と返した。変な人だなって思ったけど、 でも、あまり真面目には聞いてなかった話の端々から 感じ取れる貴方の価値観は… 悪い印象を持てなかったから。 そして、弱いところを、隙を見せられてしまったから。 それが意図的であったなら、ずるい人だと思う。 私はほっとけるほど冷たくなれないから。 ] (106) 2021/04/01(Thu) 10:47:45 |
【人】 文月 美鶴[ こちらの本意ではなかったけど 確かに距離は詰まってた。 そのことがあってからは、 少なくとも冷たい態度は取ってなかったつもり。 普通に挨拶して、世間話をしたがるようなら 適度に付き合おうと思うくらいには、なってた。 ]* (107) 2021/04/01(Thu) 10:48:16 |
【人】 文月 美鶴[ 彼の思惑通りに警戒を解いてしまったわけで そういう意味では私はすごく単純だった。 美鶴さん、と呼ばれたときも最初こそ驚いたけど 他の部屋の人のこともそう呼んでいると知れば ああ、そういう人なんだな としか思わなくて。 ただ、私は一貫して「忽那さん」と呼んでた。 別に他の人のことも名字で呼んでたから 合わせただけ。それにただの隣人としての 距離感なら、その呼び名でいいはず。 もう少し、踏み込んだ関係… 友達になっても、潤さんとは呼ばなかったけど。 ] (116) 2021/04/01(Thu) 17:10:08 |
【人】 文月 美鶴 ―今に戻って― なっ、家宝って…! あれは色々貰ったもののお返しとか 非礼のお詫びとかそういうやつで… そもそもあの時の私は………。 リアルイケメン信じてなかったって言うか… てか、あの相談意図的…? ずるい……騙された…… [ 潤さんが私の気を引くためにあれこれしてた話を聞いて 私は耳まで真っ赤になっていたと思う。 息はしてるけど…!そのせいでつい余計なことを……。 ぶつぶつ言ってしまったけど潤さんどこまで聞いたかな…。 ああ、リアルイケメンが基本信用できないのはほんと。 イケメンが裏切らないのは二次元だけ… だと思ってた時期が私にもありました、はい。 今…? 私の恋人世界一かっこいいと思ってますが何か? ]* (117) 2021/04/01(Thu) 17:13:47 |
【人】 文月 美鶴 ……私そんなに非常識じゃないですー! あの時はすみませんでした……。 [ イケメンに関わりたくないのも、 イケメンを信用できないのも私の都合だし、 潤さんを見ての行動じゃなかったから、失礼だったと思う。 それでも私を好きでいてくれたのは…… 今でもちょっと変だと思うけど。 笑われてるのは私が変なことばっかり言ってるからだろう。 自覚はあるんだけど…… 潤さんの冗談にも素で反応してしまうし、 私はこの人にかなわないって思う。 ] (125) 2021/04/01(Thu) 21:44:53 |
【人】 文月 美鶴…それ、は……。 [ わかりやすく動揺した。 顔が見える状態だったならぎゅうっと抱きついて隠す。 ……なんで、がどこまで指すのかわからないけれど。 ぜんぶ、なら言えない。 ] (126) 2021/04/01(Thu) 21:45:19 |
【人】 文月 美鶴[ 私なんかが好かれるわけない ・・・・・ そう、私は思っていた。 だから私は……貴方の気持ちを聞くのが ほんとは怖かったんだと思う。 だって、私はただ一緒にいたかったから。 貴方と友達でいられるなら、それでもいいのかなって 私はそう思ってたんだ。 友達としての貴方は――…。 でも、それでも聞きたいって思うくらい 私はいつの間にか貴方に惹かれてた。 なんでかって? ――――――――……。 ] (127) 2021/04/01(Thu) 21:47:08 |
【人】 文月 美鶴貴方の気持ちを確信することは出来なかったけれど 自分の気持ちは確信することが出来たから。 貴方の一緒にいたいって言葉がなければ 私はきっと貴方と友達でいることを選んだと思う。 [ これで応えたことにはならないだろうけど。 貴方だってずるいことしたんだから。 これくらいのずるい答えは許してほしい。 ]* (128) 2021/04/01(Thu) 21:47:49 |
【人】 文月 美鶴[ 罪悪感に胸がちくりと痛んだ。 これでは答えになってないことも、 頭のいい潤さんが何か察してるのに、 優しさからなのか聞いてこないことも。 胸が苦しくなる。 大したことじゃないって笑われるかもしれない そんなことを思うとますます言えない。 些細なことの積み重ねがいつしか 私の認識を変えてしまっただけ、なんて。 言えるわけ、ないから。 ] (131) 2021/04/01(Thu) 22:40:21 |
【人】 文月 美鶴私も、 潤さんが好き。 [ 罪悪感でしばらく顔を上げられずにいたけれど 髪をなでられておそるおそる顔を上げれば 額に口づけが落とされて。 幸せで、しあわせで、…申し訳なくて。 その罪悪感をぬぐいたくて 好きって伝えたくて 自分から唇を重ねた。 潤さんが許してくれるのなら、 触れるだけではない、深い口づけを。]* (132) 2021/04/01(Thu) 22:41:08 |
【人】 文月 美鶴[ 潤さんにいつもされてばかりで、 私からはめったにしない。 だから困惑させているかもしれない。 罪悪感を消すためのキスなんて、 なんて自分勝手なんだろう。 もちろん好きって気持ちが大半。 でもその中に混じって、別の何かがあることに 彼は気づいてしまうんだろうか。 ] ……っ、じゅん、さん…… [ もし冷静に考えられてしまうのなら、 それは、嫌だから。 明確に、意図を持って告げる。 ] (135) 2021/04/01(Thu) 23:02:41 |
【人】 文月 美鶴[ ふ、と口角を少し上げる。 なんとなく潤さんの目の色が変わったような そんな気がして。 ……案の定押し倒されたし。 思考を奪えるのなら、それでいい。 ちょっと悪いことしてる気分だけど。 ]* (137) 2021/04/02(Fri) 1:29:29 |
【人】 文月 美鶴 ― ― [ 何度も愛されているのに その愛を確信できてないなんて言ったら 貴方はどう思うんだろう。 確かに受け取っているはずなのに。 それなのに――――。 ] (175) 2021/04/02(Fri) 22:58:03 |
【人】 文月 美鶴[ 罪悪感を拭いたかった。 貴方に深く考えてほしくなかった。 結局のところそれはその場しのぎに過ぎない。 悪いことに悪いことを重ねて、 疚しさが拭えるわけ、ない。 だから――。 ] ……て、ごめんなさい…… [ こんなに愛してもらってるのに、 私、だめだな、貴方にふさわしくないかも なんて思ったら苦しくなってきて ずるい言動へ謝罪を無意識に口にして、 私は意識を手放した。 ]* (176) 2021/04/02(Fri) 22:59:41 |
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