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【人】 セイ単身者用の賃貸の一室。 それが、大学に入学してからの俺のマイホームである。 独身、と言うだけで男性女性を区切るわけじゃないから、この賃貸には男性女性、そのカテゴリーに区別しにくい人たちもまあ住んでいた。 もちろん、圧倒的に男女で区別される存在が多いけど。 俺は人脈おばけな両親の元にいたから、それなりにそんな人たちへの処世術とやらは身に付けてる方なんだ。 所謂ご近所付き合いってやつ。 通りすがりの人には笑顔でご挨拶。 家事は苦じゃないから部屋は清潔に保ってるし自炊もしてる。 多く作り過ぎたらお裾分け。 家族から送られてくるものも多い時にはお裾分け。 学生の本分は勉強とは言うけど、俺は俺なりにこの生活を楽しんでいた。 (5) 2023/01/09(Mon) 22:19:32 |
【人】 セイ要兄の、本命の恋人ってのも気になってたけどさ。 まあそのうち、ご縁があれば会うこともあるだろうし? 一抹の不安がある。ほら、曲がりなりにも俺たち兄弟。要兄はバイ?で、俺はゲイって自覚があると言うか差があるけど、好みが被ってて俺がその子に惚れちまったら…とかさ。 そう、要兄の相手は男。 …まあその幸せを壊したくなんかないし。ちゃんと、そのあたりは一線を引いておかないとな、と思うけど羨ましいなチクショウって気持ちもまあげふんげふん。 (6) 2023/01/09(Mon) 22:20:07 |
【人】 セイまあそんな俺も、最近気になる人はいる。 最近つい料理を多めに作って、お裾分けに行ってしまうそんな相手。 カレーとか。パウンドケーキとか。 そんなお裾分けしやすいものをつい作っては、俺たち兄弟とは違って…世界が違うように"普通"なんだろう、そんなあの隣人に会いに行ってしまう。 「…てか、むしろ毎日飯作らせて欲しいな。」 なんて呟きながら、恋煩う夕方。 今日は角煮を作ってる。 もっと野菜を食べさせてあげたいと思うけど、角煮なら色々応用効くから…と、あの人の健康を願いつつ。* (7) 2023/01/09(Mon) 22:20:35 |
【人】 セイそんな風に密かな恋心を募らせていたある日のことだった。 相手はお隣さん。 いかにもまじめそうで、言うなら世間の一般常識・普通って奴を地でいってそうなその人に惹かれたのは、なんだかんだおかずを受け取ってくれるところだったりした。 兄弟が多いけど、俺は上の兄弟の方が多いから年上が好きなのかもしれない。 それなのに、しっかりしてるようで何だか食生活は忙しいからか出来合いのものやカップ麺とか多いみたいで(ストーカーじゃないけど、たまたまゴミ捨て一緒になった時に見えたんだよね。おおうってなった。)なんかほっとけないの半分、顔が好みなの半分。 ああ言う人の笑顔や弱ってるとこ見たら絶対どハマりしそうで困る。 (19) 2023/01/10(Tue) 19:59:40 |
【人】 セイなんで困るって? だってさ、相手は多分のんけだよ。 ご近所トラブル起こしたくない。 起こしたくないけど、こう、なんだかんだキッチリ綺麗に食べてくれる律儀さとか、キュンッとしてしまう俺はきっと料理人には向いてない。 食べ残されたらストレス過ごそうと思うからなあ。料理は好きだけど、仕事にはしたくない。 寒い季節には鍋が良い。 でもそれだとお裾分けしにくいな。 一緒に食べれたら…なんてまた都合の良い想像を巡らせていた頃。 (20) 2023/01/10(Tue) 20:00:04 |
【人】 セイ「樋爪さん…? どしたんですか?」 尻餅ついたままの樋爪さんの前にしゃがんで首を傾げる。 手を伸ばして、額に触れて。 その暑さに驚いて立ち上がった。 「ちょ、熱あるんじゃないっすか? 大丈夫? いや、大丈夫じゃなさそうですけど。 立てます? そんなんでどこいくんですか! 病人は大人しくしてないと〜!」 (22) 2023/01/10(Tue) 20:01:00 |
【人】 セイマフラーを扉から外して、樋爪さんに肩を貸す。 もし立ち上がれそうにないならよいしょっと姫抱きにしちゃうけどな。これは役得ってやつ。 そんでそのまま樋爪さんちに入っちゃう、これも役得。 寝床につれてって、何かないかな〜って冷蔵庫見たけど…。 >>14何もないな知ってた! でも今作ってた角煮は病人には重い。 「ちょ、ちょっと待ってて!」 言うが早いか、俺は自分の部屋に速攻で帰る。 土鍋にお米、卵、ネギ、出汁、塩、レモン果汁、りんごなんかを突っ込んで戻ってきた。 ちょっとはみ出てるけど仕方がない。 で、コップにレモン果汁と塩砂糖で簡易的なスポドリを作ると、樋爪さんに差し出した。 (23) 2023/01/10(Tue) 20:01:35 |
【人】 セイ「ひとまずそれ飲んで。 調理台借りますね〜、食欲はあります? 卵粥と単なるお粥ならどっちいけそうですか。 それともリンゴ食べます?」 流石に包丁及びガス台はあると思いたい。 もし無ければちょっと沈黙して、作ってくるくらいはするけれど。 でも、ちょっと今この人が心配だから、その時は自分の部屋に呼ぼうと思う。 あ、ついでに体温計とか、氷枕とか。 お部屋のチェックをしちゃったのは、まあ…役得。役得だよ!* (24) 2023/01/10(Tue) 20:01:54 |
【人】 セイ樋爪さんの家には本当になんと言うか、生活してる感じが欠けていた。 いや、確かに寝に帰ってはいるんだろう。 でも炊飯器に埃ってヤバくない? 土鍋で炊けとは言わないけどさ、せめて週一で炊いて冷凍するとかさ。 うっすら埃を被ったそれに、ちょっと掃除もしていこうかなとか頭を過ぎる。 元気で天気が良ければ布団も干したいけど、今は休息が先。 「ひとまずなんか作るから寝ててください。 …普段何食べてんですか、樋爪さん。 でも俺がいる時でよかった。」 (28) 2023/01/11(Wed) 18:54:42 |
【人】 セイ俺が帰宅する前で、ずっと寒空でぼんやりしてたらと思うと辛い。 だから、家にいる時でよかったと心底思いながら土鍋をセットし始めた。 一人用の小さい奴。 水と出汁を混ぜて米を柔らかめに炊いていく。 トントントン、とネギも刻んで入れて、火を通している間にも洗い物をして片付けて、ついでに軽く目についた埃を拭き掃除。 一度自室に戻ってタンブラーを持ってくると、さっき作った簡易スポドリを作って冷蔵庫に入れておいた。 コトコトコト。お粥を炊く香りが辺りに広がる。 溶いた卵を入れてかき混ぜて、蓋をして蒸らして。 (29) 2023/01/11(Wed) 18:54:59 |
【人】 セイ「食欲があるんならちょっと安心しました。 ほんとにしんどい時って、食べるの面倒になるから。」 お椀に少なめによそう。 レンゲ、と思ったけどひとまずスプーンをそえて樋爪さんのところに戻った。 土鍋に残った分も食べられたら良いし、食べられなければ冷蔵庫に入れて明日温めてくれたら良い。 てか、…ホント、いつもより弱ってるんだなあ。 こんなにひょいひょい、お隣さんとは言え人を自分ちに入れそうな人に見えないのに。 「俺んとこ、食材は大抵何かありますし バカは風邪引かないって言うでしょ? 俺、超健康優良児なんでこんな時は言ってください。 食材なくても、買いに行けますから。」 スプーンでひと匙すくう。 それにふーふーと息を吹きかけて。 (30) 2023/01/11(Wed) 18:55:18 |
【人】 セイ(えっ。 ちょっ!? )>>34えっ、何この無防備オブ無防備! >>33素直にお礼を言われて嬉しかったところにクリティカルヒットする。 キュンッ、となる瞬間を自覚してしまった。 だってさ、ハイアーンだよ? 嫌がるか恥ずかしがるかすると思ったし、したとしても気まずそうにされると思ってた! それが、素直にあーんして? 更におねだり? ええええええ、えっ、 えっちだあ…。 だってそんなふうに口を開いておねだりだよ? ご飯求められてるってわかってもドギマギする。 いかんいかん、これは病気だからで。弱ってるからで。 ひと匙すくってまた吹いて冷まして、樋爪さんの口の中へ。 それを、ちょっと照れながら繰り返す。 嫌じゃない。決して、嫌じゃない。 でもかわい過ぎしんどい。 何これ俺は神様に試されてんの…? (35) 2023/01/11(Wed) 21:21:19 |
【人】 セイ脳内の俺は「あ゛ー!!!」と頭を抱えてるけど、ニコニコと人当たりの良い笑みを浮かべてやり過ごす。 ヤバい。沼理想な気がする。 と言うか多分、既に沼ってる。 この人本当に可愛いな。 ずっとこの人の面倒見てあげたい気になってしまう。 でも、このひとときが終わったら。 樋爪さんと俺はお隣さんに戻って、ただそれだけの関係になって。 そんな時もあったねと、うすらぼんやり思い出してくれたら良い方の、薄い薄い関係になってくんだろうな。 人脈お化けの俺の両親の"知り合い"という、俺には殆ど関係ない人たちみたいに。 単なる偶然で隣り合った、電車で乗り合わせた人たちみたいに。 (36) 2023/01/11(Wed) 21:21:48 |
【人】 セイ「…そういや、お薬あります?」 ご飯をある程度食べすすめた頃。 どんだけ食べられたかな。おかわりできたなら勿論よそうけど、それよりタンブラーを差し出して水分補給も促して。 視線は薬箱を探す。いや、薬箱より市販の薬の箱が転がってそうな部屋だけど。 「お薬なくてもあとは寝てれば良くなると思いますけど。 でも、体拭いたりとか、手伝いますよ。 座薬入れたら熱はスッキリですけどね〜。」 でも座薬入れるとこは想像しない。 笑いながら言ったけど、座薬入れるとこ想像したら勃っちゃうもん。絶対。 でも。 (38) 2023/01/11(Wed) 21:22:27 |
【人】 セイ「…寝すぎで体こわばってたりしません? マッサージでもしましょうか。」 なんて、下心込みで聞いてしまう。 ちょっと声が掠れたのは、笑い飛ばすより前に緊張が優ったからだ。* (39) 2023/01/11(Wed) 21:22:46 |
【人】 セイ「それじゃあ、片付けてから準備しますね。」 でも、それならそれで良いやと切り替える。 食べ終わったものを片付けて、土鍋に残った分は冷蔵庫へ。 りんごも後で切っておこう。 洗い物をさっさと済ませると一度家へ。 いらないものは片付けて、バタバタと急いである籠を持ってきた。 いつか使うかもと密やかに買っておいた、いつ使うともわからないそれ。 それを持って足速に樋爪さんの部屋に戻って施錠する。 あえて施錠したのは、…逃げられたくないからで。 その元気も、まだないと思うけど。 (44) 2023/01/12(Thu) 22:10:01 |
【人】 セイ「それじゃ、うつ伏せで楽にしてください。 体解れると楽になると思いますよ。」 ソワソワとしながらアロマを焚く。 ジャスミンの香りは男性の下半身力アップの効果があるってどっかで聞いた。 少しでもリラックスして、ついでにエッチな気分になれば良いなと買った奴。 樋爪さんがうつ伏せになってくれたなら、体重をかけないようにしながら上に乗って肩や首周りから丁寧にマッサージしていく。 これでもきちんと勉強した、専門的な知識があるから。 「あ〜、やっぱり凝ってますね〜。 お仕事もそうだけど、体調不良で寝続けてると 意外に全身凝り固まるんすよ。 それで、背中やら腰やら辛くなったりするから 今のうちにしっかり、ほぐしますね。」 (45) 2023/01/12(Thu) 22:10:25 |
【人】 セイ樋爪さんにはなるべく良い隣人のイメージでありたかったけど。 緊張してるからか、欲が出てるからか。 普段の素の俺の口調が垣間見る。 でも気にせず、力加減を聞いたりしながら首から肩へ、背中へ、腰へ、と順番にほぐして。 お尻、所謂臀部へも手を伸ばす。 「ここの奥、深いところの筋肉が 意外と凝ってて腰痛の原因になるんだよね…。」 ぐっ、ぐっ、と指先に力を込める。 ここまでは意外と真面目なマッサージだったけど。 手のひら全体で包んで。柔らかさを知りながら。 (46) 2023/01/12(Thu) 22:10:44 |
【人】 セイ「…その、すいません。 ここしっかり診たいんで、脱がしますね。」 ごく、と喉を鳴らしたのに気づかれなかっただろうか? 恐る恐る、ズボンを脱がせようと手を伸ばした。* (47) 2023/01/12(Thu) 22:11:04 |
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