77 【ペアRP】花嫁サクリファイス 弐【R18/R18G】
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| ── 裏の森 ── [木々の合間を縫い、道なき道を進む。 ミクマリ様の水源を護る 大切な森だから 立ち入らぬよう言い伝えられていて 中の様子について、耳にしたことは無い。 どんな果実があるのか?とか どの辺りに?とか まるで分からぬまま宛もなく探し続ける。 足元や頭上に必死に目を凝らして 実だけでなく 葉の形や枝ぶりなども 確認するけれど、目ぼしいものは見当たらない。 (喜ぶ顔が見たいのに、な…) 時間ばかり食ってしまっているのが 灯した蝋燭の減りで分かる。 もう二本目も半ばになってしまっていた。] (118) 2021/06/21(Mon) 21:30:53 |
| [休憩を取る間も惜しい、と お屋敷に準備して置いてきたものと同じ >>64 小振りなおむすびを 口に放り込み、頬張りながら 歩き、薙ぎ、くぐり、歩き、見上げ… 探す。 具に選んだ 胡桃と甘い味噌の香りが 鼻を抜ける時、あーんと口を開く お姿が思い浮かんで 焦りに塗りつぶされた表情が、ほんの少し緩む。 普段はそっけない態度を取られる御方だけれど、 時折、ぽろりと見せてくださる 溢れるような笑顔は 筆舌に尽くしがたいほど可愛らしい。 豆乳寒天を召し上がられた時とか、…特に堪らなかった。 (これも、お好みだといいのだけれど…) と、考えて 反応が見れないことが、 なんだか無性に 淋しく なった。] (119) 2021/06/21(Mon) 21:31:05 |
| [早く見つけて、 早く帰ろう。
早く、早く、早く、 早く、早く、早く、早く…!!] (120) 2021/06/21(Mon) 21:31:12 |
| [けれど、 龍之介の気持ちとは裏腹に 時間ばかりが無為に過ぎ去っていく。
焦るあまりに ひとつだけしか口にしなかったから、 疲れた時に食べようと 自分用に準備した”梅干しおにぎり”を お屋敷に置いてきてしまったことにも気づけなかった。]* (121) 2021/06/21(Mon) 21:31:57 |
[ぎゅうっと抱きしめるというより抱き着いていると、そっと背中を撫でられる。ああ、癒される。やはり人のぬくもりはよいものだ。
水の魔物である自分は、水生生物をやはり傍に置くものだから、それを人の姿に変化させたとしても本性は変わらずにいて。
そういうものたちは元々抱きしめる腕がないから、そのような習性がない。
だから、抱きしめることの温かさを教えてくれたのはかんぅだった]
そ、そんなことは知っている、もう知っているぞ。
[ふいっと知ったかぶりをしてしまうのだけれど。
優しく髪を撫でるかんぅの手が心地よく、顎に添えられた手が上を向かせる。
どうしたのだ?と思えば顔がなぜか近づいてきたので、自然と落ちる瞼をそのままにしておけば]
[―――唇同士が触れた。
いや、最後は自分の方から求めるように動いていったかもしれない]
[唇が触れただけだというのに、なぜだろう、すごくドキドキしてきた。
それはかんぅが移した何かの病かもしれないのだけれど。
しかし、その病は嫌いではない]
かんぅ、どの、どうしてだろう。
余は病かもしれぬ。
妙に、ドキドキが止まらない………。
すまぬが閨に連れてってくれ。
[そう言って、抱っこ、と彼に向って両腕を差し出した*]
[しったかぶりの言葉が愛おしい。
自然と近づいた唇は柔らかなものに触れた。婿殿から求められたのは気のせいではない、と思いたい。掌が彼の背に強く触れた。人と人のように。愛を育むように唇が重なった箇所が熱い。人の鼓動を感じるのはいつぶりであろうか。
彼が初めてなのは口づけだけでないと
知ればその尊さを抱きしめる力を強めてしまったかもしれない。抱きしめてその華奢な体を壊してしまったかもしれないから知らなくてよかったのだ。
ただトキメキはとまらず]
…病だと?
[婿殿が病にかかった。
医者を、医者を、名医を寄越せ。と村に降りていきそうになった。だがそのはた迷惑な行動は行われなかった。何故なら、両腕を差し出し抱っこと告げる彼に息を飲んでいたからだ。ドキドキが止まらない。とは……
閨…閨 ……閨!!!]
あ、あいわかった。
[抱き上げてそのまま
すさまじい勢いで閨へと走った。布団の上に彼を下ろすまで一瞬だっただろう。ふんどしでかける如く。閨に寝かせた彼の姿は髪を散らばらせて、トキメキを抱えてみえた。
愛だ、愛しかない。]
む、婿殿
どきどきは止まらぬか?
[無事か。と問いながら
その衣の胸元にと手をやり、人ならば心の臓がある場所を撫でて息が苦しくないか。と問うように衣類を緩め。それから、少しだけためらったのち。]
婿殿…その
どきどきは その
恋 …ではなかろうか
[そいや、そいや。
祭りだ祭りだ、ああ、漢祭り!!*]
[駆けるかんぅは風のごとくであった。
閨に下されても、かんぅが腕に抱き寄せ、触れている限りドキドキが止まらない―――気がする。
衣を緩め、かんぅの手が胸を撫でてくる。
そうされると、もっとドキドキするのに、もっとしてほしい、と言いたくなるのが不思議だ]
鯉?
あ、いや、違う。
恋……とな?
そうなのか?
[このドキドキは恋という病なのか、とうなずく。
かんぅの手に、直接肌を撫でられると、ドキドキは止まらぬのに、病が良くなる気がする]
かんぅ殿
もっとさすってほしいのだ。
そう、布を脱ぐでの………
[中途半端にまとわりつく衣類がもどかしく、彼の前でしゅるり、と帯を解いていく。
彼とはもう一緒に風呂に入った仲なのだから、恥ずかしがることもない。
それに、彼には童と思われている身なれば、恥ずかしがる方がおかしいと自分で言いきかせ]
ふう………楽だの。
そちがいつも裸で野山を駆けまわる気持ちがわかるの
[そう笑うが、もし自分がそうするとなったら、白竜の姿でするだけだろう。
彼の手を勝手に持つと、ぺた、ぺたと自分の体に当てていく。
まるでおさまりのよい寝方を探す蒸し暑い夜のように]
やはり、かんぅ殿が傍にいるのが、余は心地よいようだの。
恋とは、異なる病よの
[そう思わぬか?と、かんぅを自分の隣に寝るように促せば、彼に抱き着きながらすり寄り、裸の足を行儀悪く彼の腰の辺りにかけて、ぎゅうっと密着するように甘えて抱き着いた*]
[なんだ、こんなにも簡単なことだったのか。
────この男の表層はこんなにも脆かったのか。
もっと早く、実行に移っていれば良かった。
これ程近い距離に在りながら、強く寄せられる手首。
引っ張られる身体が更に鬼と密着し、両者の温度が交わる。どうしようもなく、全てが熱い。]
………っは、ぁ
[鬼の舌先は傷よりも大きく、広げられてしまいそうだった。
しかし、傷口を抉る柔いものより、容赦無く腕を掴む力の痛みより
背筋を走る刺激が強くて、呻きの代わりに吐息が漏れる。
歯は獲物を抑え込むように甘く噛むばかりで肉に突き立てられないのは、喰らう前に味わっているのかはたまた、抵抗する理性が残っているのか。
早く喰ってほしいのに。花嫁として、全てを腹に収められたいのに。
今も咥えられている指を更に押すと関節が歯に引っかかり、ごり、と骨が鳴った。肉を食い千切る部位に強く当たる痛みに切なげに眉を寄せる。
満たされる期待と焦らされるもどかしさが、更なる行動に駆り立てる。]
なあ……
此処に牙を立てたら、もっと沢山飲めると思わないか
[囚われていない手が衿元を引き、もっとよく見えるよう緩める。
思い通りに操られる他者を嘲る笑みは何処にも無い。
ただただ、求められることを求めて熱に浮かされているだけ。]
全部喰ってしまったって、構わないんだぜ
俺の血も肉も命もあんたのもの、そうだろう?
[逞しい身体に包まれるように片手が背に半端に回る。
そうすればきっと、視界に、すぐに噛みつける位置に首筋があるだろう。]
[ 日常に埋もれ蔑ろにされていた、断ち切れぬ本能が血肉を求める。
ほんの一筋の細やかな芳香に乗せられるまま誘われ、
舌を痺れさせる味に夢中になるのは、果たしてそれだけが原因か。
ひと思いに齧りつかずに蜜の壺を探るように舐め続けるのは何故か。
この状況で漏らすには異様な、顔に掛かる甘く熱い吐息のことすら
意識の外にある今、分かるわけがない。 ]
[ 薄い肉越しに当たる骨、喰い応えの無さそうな身体。
しかし、
苦しげな顔──としか、今は思うことはない──に唆られる。
追い詰めていく感覚は、たまらない。
他の獣を喰らう獣も、人を喰らう鬼も
その瞬間にどうしようもなく昂ぶることに変わりなく。 ]
[ 己の手で肌を晒し、自ら胸に収まって大人しくなる身体。
生を諦めた小動物のようで、
ついに捕えたと、今こそ喰らえと本能が騒ぐ。
指を離し、顎が更に開けば鋭い犬歯が見えて
そして──── ]
[ 欲を誘う首筋に流れる、あの日から見つめ続けた白色が
此の男が獲物ではないことを、鬼に思い出させた。 ]
─ さとという女 ─
「あら、見つかったわ」
「折角逃げようとしていたのに」
[許可なく山に立ち入ってはならない。深くまで踏み入れば命はない。
この村に住まう者は誰しもが知っている。
繊細な花の刺繍を施された白い着物を纏った女は、向き合う角の生えた大男を見上げ、少しも悪びれない声で呟き
白魚のような手の右を頬に添え淑やかに微笑んだ。]
「紅鉄坊様には見えないの?
わたしの首に掛かった、運命の縄が」
[何処か夢見がちな顔で女は語り、締め上げる如く己の細首に触れる。
何度目かの失敗を遂げた、ある日のこと。
幾度鬼と面しても怯え一つ見せることはなく反省もせず、追い返されても村の者に連れ戻されても、懲りることもなくやって来る。
遂に廃寺の中まで入り込むようになり、咎める声にも気にした様子もなく山での暮らしや鬼という生き物について聞きたがる程に懐いていた。
鬼の落ち着いた振る舞いと、見目に合わない優しさがそうさせたのだ。
望まぬ許嫁の花嫁となることが受け入れ難い。
ただそれだけとは言えない事情が、彼女の足を山に向かわせ続ける。
しかし若い女が追手を巻きながら一人下るには山は険しく、大型動物より危険なモノたちが暗がりに犇めく。
望みは中々叶うことはなく、鬼との親交だけが深まっていく。]
「従順な道具で在らないのは、そんなにも罪かしら」
「女には思考の権利すら、無いのかしら?」
「知っているのよ。あの家がなんでこんな息苦しい村に来たのか」
「幕府のお膝元の呉服問屋を分家に任せて逃げるように……、」
[鈴を転がす声色が、吐き捨てる一言を発する時だけは低くなる。
優しい母は立場も心も非常に弱い、父や兄に逆らうことは出来ない。
女にとって胸の内を打ち明けられる存在は鬼だけだった。]
「一つしかない人生を、家と兄様の為にすり減らしたくないの」
[分かるでしょうと影の中の紅い光を見上げる。]
「心配してくれているのね。紅鉄坊様は、いつもそう」
「村の皆とは違うわ。
自分の為ではなく、ただ心から誰かを想っている」
「…………、一体どちらが鬼なのか分かったものじゃないわね」
[選ばれる言葉の節々から、穏やかな低い声から伝わるもの。
性を理由にしてもそこにあるのは嘲りや見下しではない。
弱者と定義されながらも女の胸に憤りがないのは、ただただ目の前の鬼が真摯であり続けるからこそ。]
「でもわたし、どれだけ辛くてもいいの。自由になりたい
何の苦しみもない世界には、喜びだって存在しないでしょう?」
[理解しながらも頷くことが出来ないのは、夢があるから。
女の身で男達と同じように働くことが、必ずしも不可能だとは思えなかったから。]
「ねえ紅鉄坊様、わたし好きな人が出来たの。
向日葵より綺麗な御髪の、異人さんよ。
お父様に会う為に、村に来たんですって」
[ある日初めて、逃げるでも苦しみを語るでもなく幸せそうな笑顔で鬼の元へやって来ることとなる。
道で足を挫いた女を、海の向こうからやって来た異国の商人である男が助けてくれたのだという。
彼の目的が父親だったこともあり、二人は何度も顔を合わせ語らう機会があった。自立を望む女の想いを理解し、外の世界について沢山の面白い話を聞かせてくれた。
幼子のようにはしゃぎ語るその頬は赤らんでいた。]
「わたしを連れて行ってくれるって
一緒に船に乗って、彼の祖国に行こうって」
「あの花がまた咲く頃に、迎えに来てくれるのよ」
「ええきっと、国を渡るのはとても大変なことだわ
それでもわたし、理由を探して諦めたくない。
あの方となら、頑張れる気がするの」
[だからその時は──……と女は願う。
鬼にも立場がある、あの約束を結んだことも知っている。
それでも、愛する人と山を越える為には彼を頼る以外には無かった。]
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