その電話から届いた連絡で男は固まり動かなくなる。
そうして次に息を吐くころには怒りの形相になっていた。
『……の奴から定期連絡がなくなりました』
『電波が傍受されてる可能性が』
『あの時と同じ場所から、これは警――』
「Cavolo!! あんのクソッタレ……!」
床に携帯を投げつけそうになったのを抑え息を整えた。
貴方は男慣れをしていないと言っていたのに、ここで声を荒げるのも良くない。
「……悪いなお嬢さん、少々仕事に不手際があったみたいだ。
実は俺は人気者なんだ、お陰で随分ご執心なお客様が居てなあ。
部下が数人連絡がつかなくなった、
警察を嗅ぎ回ってるのがバレたんだろう」
運が悪かった、と。それにしても悪いことは重なるものだ。
「今日中にこの場所を移動できるか?
そうだなあ……三日月島まで行けとは言わんが」
と適当なホテルの場所を言いながら貴方とは視線を合わせない。