人狼物語 三日月国


7 【R18】鈴蘭の村:外伝6〜カフェリコリス〜【RP半再演ペア】

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 (  背に庇われるのはめっぽう苦手で、
    目くらましの術でもかけられたみたいに
    背筋が冷える心地さえしたけれど。
 
      …… 大丈夫、あの時とは違うから  )


 



[ ──────
ぱッ、ちん!


  独特の音を立てて、その姿は掻き消える。
  カラマツの杖が二人をどこへ導いたか、
  それは僕の知るところじゃあない
 
  記憶についてちょっとした融通がきいても、
  これ以上のデバガメめいた真似も、野暮だから。 ]*

 


 
─ ラベンダー畑 ─


[ 準備を済ませ花畑へと。
 男二人で見に行く場所としてはやや浮いてはいるが、
 早朝で人影もまばらな故、それ程は気にならなかった。
 逆に、女性観光客達からは何やら噂されているのが聞こえる。
 その内容は、かつてのカフェでよく耳にしたような内容で、
 当時を思い出し笑みが漏れた。

 手を繋ぎ青紫の世界へと辿り着く。
 早朝の風は一際快適であり、ラベンダーの香りも手伝い
 一層心地良い。]


  ……おい、大丈夫か? 寒いのか?


[ 時折がたり、とふらつきを見せる様子に立ち止まり、
 バランスを崩しそうになれば腕を握り掬い上げて。
 大丈夫か、と目線を合わせ顔を覗き込む。

 昨夜の影響だろうか。互いに本日の睡眠時間は長く無い。
 既に傷、損傷箇所はほぼ見当たらなくなったとはいえ、
 久々の反動は大きかった。
 更に夜を共に過ごしたとあらば、多少のふらつきも致し方ない。

 寒そうならば、ベージュの薄手のジャケットを肩に掛けて。
 サイズ的に合わずぶかぶかに見えるが、俺から見れば
 その姿すらも愛らしい。]

 
 開いてないのか、残念。だが折角だから休憩するか。

[ 丁度小さな販売所が見えたので、営業前だから丁度良いと
 椅子に座れと促して。
 座ったことを確認すれば、隣に座り、手を重ね暖めた。]

   
  ラベンダーミルクティーか。何だか美味そうだな。
  俺? 俺の推しは
エクストラバニラホイップアップルアプリコットダージリン



[ カフェバイト時代、ダブルryが原材料品切れにつき
 飲めなくなってしまった俺が嘆き、代わりに考案した品の名を出す。

 同時に、当時の記憶がふわりと蘇える。 

 「二人は仲が良い」と客に嬉しそうに言われ、
 苛立ちを覚えていた時のこと。

 距離が縮まってから、ダブルry勧めたら酷い顔になったこと。

 何時の間にか店の看板コンビになっていたた俺達の
 撮影用はめ込みボードが出来たという、前代未聞の出来事に
 遭遇したこと。

 ──全てが懐かしい。罵倒し合ったことも。
 早く辞めてくれないかと内心思っていたことも。
 当時の俺が、数年後こんな風になると聞いたら
 絶対に信じないだろう。]

 
[ その後体力は順調に回復し、今日も二人で楽しい時を過ごした。
 かつて乗ろうと約束した、クルージング船の乗船が叶った時。
 出発前から見たいと言っていた、イルカを発見した時の
 リーのはしゃぐ姿を見ると、思わず俺が保護者のような気分になり
 「あまり乗り出すなよ」と頭を掴んで引き戻したり。


 
──ああ、ここに来れて良かったな、と。
   俺が見たかったもの。欲しかったものは
   リーの嬉しそうな、幸せそうな姿なのだから。
   ずっと、見ていられる。

   そして、その隣に俺が居るのだから。



 今日も楽しい一日は、あっという間に過ぎ去っていく。
 旅程の残数が少なくなればなるほど、寂しさを感じてしまうのだが。
 ──同時に、引越しの日は着実に近付いている。]
 

 
[ 再び部屋に戻り、先程の興奮覚めやらぬまま
 外の景色をぼうっと眺めていた時。]

 
  ああ、構わないが。

  …… ……これは。

[ 声を掛けられ、言葉のまま左手を差し出す。
 昨夜糧となった二本の指は、既に以前と変わらぬ状態に戻り、
 色艶を取り戻していた。
 

  
  左手を出して欲しい。
  失くしたら泣く。

  この二つの言葉、昨日の誓い。欲した二本の指。


  
──── 結論に辿り着くのは、容易だった。]

 

 
[ アイスブルーのダイヤモンドの指輪をまじまじと見つめる。
 結婚指輪は給料何ヶ月分とよく言うが、
 改めてリーの経済力を思い知る。
 流石二十代にして都会の高級タワマンに一人暮らしする男。

 以前から結婚はとと友人に茶化されていたことはあったが
 はぐらかしていたのは、俺がもう少し甲斐性をつけてから、と
 密かに思っていたのはあった。
 確かに以前に比べ主演も何度か経験させて貰い、
 テレビや雑誌等にも出させてもらえるようになった。
 それでも、リーの隣に立っても良いのか、並べるのか、と
 いう思いは常に残っていた。

 それでも、昨日星の下で永遠の愛を誓ったのは。

 ──やはり、俺はリーのことが本当に、本当に大好きだから。

 絶対に離れて欲しくない。ずっと俺と共に歩んでいきたい。
 生涯を共にしたい。
 だから上手く理由をつけて、リーの家に押しかけることにした。

 俺のちっぽけなプライドなんて数年前に消え去っている。
 ただの弱い小者だ。だからこそ、プライドか愛
 どちらを天秤に掛けるかと言われれば、答えは言うまでもない。]
 

 
  ありがとう……。
  ……今日ほど嬉しい日は無い……。
  何だか、信じられなくて……でも、本当にうれ……。


[ 指輪を指に嵌め込まれる際の擽ったさに、あっ、と一瞬
 声が漏れたりもしたが。
 こんな時に気の利いた言葉が出てこない自分がもどかしい。
 普段ならば甘い言葉もすらすらと出て来るのに。
 もどかしさを抱えている間に無事、左手の薬指に
 指輪が嵌め込まれ、新しい指と輝く指輪をじっと見ていた時。]


  
……ん、っ……。



[ 唇と唇が触れ合った。
 一見普段と同じ、でも違う特別なキス。
 
 自然と腕を背に回す。
 言葉が上手く紡げないのならば、思いを伝えれば良い。
 
 最初は背を、髪を労わるように撫で下ろし。
 徐々に力を混めていく。
 離さない、これが俺の思いの強さだとばかりに。]
 

   
  ……無くすはずないだろ。
    最高の、最愛のプレゼントをさ……。
 
  リー、愛してる。これからも、ずっと一緒だから。
  改めて……これからもよろしくな。


[ 腕の中の愛しい、かけがえのない人を強く抱き締めながら。
 この時が夢では無いのだろうか、とは未だに思う。

 しかし、腕の中の温もりは何時までも消えること無く。
 その後も、愛する人の存在を確かめ合い続けていた。

 たとえこれが夢だとしても。
 目が覚めたらこの夢を現実にすれば良いだけのこと。

 俺達なら、それをきっと叶えることが出来るだろうから──。]*
 


[待ち合わせの場所は河原だった
何故河原なのかは分からないが、彼にとっては何かある場所なのかもしれない

遠くで、キャッチボールを楽しむ子供達の声が聞こえる中
個人面談は始まった]


 海外への出張?
 社会人の人って大変ですね…


[セスキャプテンは社会人だ
会社でそう言われたなら従うしかないのだろう
…と、素直に受け取ろうとして
嘘、という事を知る]
 



 話しにくい事なら無理しなくていいですよ
 嘘だってみんなには言わないですから


[自分でもわかるぐらい明らかに何か大きなものを抱えているようだった
こちらを見つめる目線を返す。心配そうにキャプテンの顔を覗き込む。

別の世界から来た話は…理解できなかった
したくなかったのもあったのかもしれない
それでも嘘だとは思えなかった

見せられた手紙が、確信を後押しする]
 



 いじげん、てんい、そうち…


[やっぱり意味わかんない
裏で何が起こってるかも知らない]


 ……よくわからないですが
 とにかくもう、キャプテンとはお別れって事ですよね


[悲しいとかそんな感情が来る前に
何も考えられなかった

そんなことになるなんて、昨日まで知らなかった
どうして最後にいうぐらいなら、先に教えておいてくれなかったのか
言っても仕方のない言葉が、漏れる]
 



 私が、キャプテン……


[あまりの怒涛の流れに理解が追いついてない頭で
ぼんやりと見つめるのはCマークのついたユニフォーム]


 ……わかりました。”預かります”


[押し付けられたユニフォームを丁寧に畳んで腕に引っ掛けた

言葉を選んだことは、バレてしまっているだろうか]
 



 
( ごめんなさい
 本当は引き受けたいけれど
    私には…時間もないし
    人を率いる才能も勇気も無い


       それに目指すべきものが、今見えたんです
       不器用な私には
       今はそれを目指すことしかできないから…… )


 


[去っていく姿に
さようならと無理矢理絞り出したが
ちゃんと声になってくれただろうか

聞きたかった言葉の続きも聞けないまま
何処かに行ってしまった姿は直視できない


抱えていたユニフォームの裾を濡らそうとしたものは
秋風に乗って飛んで行ってしまった]*
 

[室内練習場]

……以上が、キャプテンからのメッセージです。メッセージに従い、監督と代表者は私が引き継ぎます。キャプテンは……今のところ、空位とします。


[セスから預かっていたビデオテープを再生し、真実を知らされなかったメンバーに改めて真実を伝えた。静まり返るメンバーに]


セスさんがいなくても、私達は頑張らなくていけません。今こそ一致団結し、元の世界に帰ったセスさんに、「貴方がいなくても大丈夫」、そう言えるように勝ち抜いていきましょう!!

[そう、セス譲りの熱意を交えた甲斐もあって、沈んでいたメンバーの気分が再び高揚する。その様子を笑顔で見つめて、次の言葉を発する]


さて、今日は我がカットバースへの入団を検討されている方がいますので、皆さんにご紹介します。……どうぞ、入ってください!


[そう言い終えたのを聞いて、はいってきたのは……*]

[ここで待つように、と監督さんに言われ、しばらく。湿っぽい空気になったかと思いきや、すぐに熱気あふれる空気に変わり、ドアの外のセスは震えることしかできなかった]


大丈夫なんだよな……あー、帰りたい……
でも、ここで逃げたらダメだよな。色んな人にも世話になったし……


[そんな考え事をしていると、監督さんが入ってきてと言ったのが聞こえる。その声に、セスは意を決してドアノブを掴み]


よし、行くぞ……!


[回して、引く]

皆様初めまして!体験入団のセス・グライシンガーと申します!



ポジションは、バッテリー以外どこでも守れます!あまり上手くありませんが何卒宜しくお願い致します!



[深々と首を垂れたセスに聞こえたのは、驚愕の声か、歓迎の声か、それとも……*]

 
 
─ 数週間後 ─


[ 引越の日が来た。
 逃げるように数年足らず住んでいたあばら家を離れ
 リーの家(高級タワマン)へ荷物ともども転がり込むことに。
 リーの助言(小言?)もあり、荷物は大分減らし、大量に処分した。

 引越し当日も手伝って貰い、搬入だけなら午前中でさっと終了。
 事前にリーが家の受け入れ態勢を準備してくれていたのもあったが。
 さすがにきめ細やかさには定評がある。]
  


  な、新しい家、今度一緒に探しにいくか。
   

[ 荷物を開けていた休憩中。兼ねてからお気に入りだった
 ソファーに身体を投げ出し、リーに尋ねる。
 とても今日越してきたとは思えない住人っぷりである。

 
 そもそも、俺は『家が見つかるまでの居候』という名目で
 越してきたのである。
 見つかれば、自動的に家を出ることになるのだが。


      ──既に、その必要は無くなっているようなもの。]

 

 
  ああ、でも俺もリーも全国駆け回る仕事だから、
  別荘があれば楽かもしれないな。
  その際にまた色々な場所を楽しめるだろうから。

  それだけじゃない。
  前言ってたグランピングも、都合のつきそうな日教えてくれな。


[ ただでさえ多忙の二人、満足に片付けをする時間も無く、
 さらに新婚生活とあって大忙し。]
 

 
  あ、それと。
  左手出してくれるか?


[ 此方に来いよ、と指輪が光る左手を振り
 再び椅子の上から呼びつける。
 
 来てくれたならば白く細い指を幾度か撫でた後、
 インサイドストーンにスタールビーのダイヤモンドが
 あしらわれた指輪を、丁寧に嵌めこんだ。]


  ほら、これと対になってるように見えるだろ?


[ リーは既に自分用の結婚指輪を用意していたかもしれない。
 いや、している可能性が高いだろう。
 
 だとしても、どうしても贈りたかった。
 結婚指輪が余りにも嬉しかったから。

 何なら普段使い用で使ってくれれば良い。
 勿論使ってくれれば嬉しいに越したことは無いのだが。

 ──『ヴィクとリー』の日々は、これからも、ずっと続く。]*
 


[3年後]

[あの時スタンドから見ていた景色は
今ではグラウンドから見上げるものに変わった

今日の試合は交流戦。あの時と同じスタジアムにて。
初めて野球観戦をした日を思い出す
教えてもらった引っ張り打ちを武器に私はここまでやってきていた]
 



[あなたが帰ると知った日


私は、あなたの夢を叶える決意をしたんだ
それがきっと、あの日の1番のお返しになる
]

 


[そしてあの地で偶然にも打った右方向への初本塁打が決勝打になって
チームはその日勝ち星を掴んだ

帰ってきたホームランボールを手に
ヒーローインタビューで聞かれた事
「このホームランボールは誰に渡したいですか?」

定番なら親、あたりだろうか
両親に渡したい気持ちが湧き上がるよりも先
何故だか私はこの問いに即答していた]


 私の、恩師の人に渡したいです


[ナイター球場のライトと、カメラのシャッターの光が眩しい]
 


[自分のサインを入れたプロ初のホームランボール

キミは私の言う
あの時を知らないかもしれない
だけどどうしても渡したかった

グラウンドの中を駆け抜ける
深い緑色の髪の後ろ姿を見つけて、笑顔で声をかける]
 




  待たせてごめんね
     ……これ、”あの時”のお返し。**


 

― それから数週間後 ―


[愛する人に生涯を誓う指輪を贈り、
望み通りの反応を得た旅行から数週間。
予定通り、ヴィクが家に越してきた。

毎日「行ってきます」と「おかえりなさい」を言い合い、
同じベッドで眠りに就ける、夢のような日々。
ヴィクの嬉しそうな、幸せそうな姿を眺める度に、こちらまで幸せな気持ちになる。

自分一人の家でなくなったのを機に、二人用の大きなベッドを購入した。
旅先で共に過ごしたキングサイズのベッドには及ばずとも、それなりに質の良いダブルベッドだ。

今朝も彼は、未だ夢の世界の住人となっている。
相変わらず多忙な日々を送っているから、疲れが溜まっていたのだろう。

隣に寝転んだまま愛らしい寝顔を眺め、
額に掛かった前髪を払った。

額へと軽く口付けを落として、
起きる様子がなければ、耳元へと囁き掛ける。]




  ――ヴィク、朝ですよ。
  起きてください。

  起きないと――ーー…………


  食べちゃいますよ?


[スタールビーのダイアモンドがあしらわれた指輪を嵌め込んだ左手を、そっと彼の左手へと重ねて。
指を絡めて、ぎゅっと握り込む。

――さぁ、起きてください。
『ヴィクとリー』の為の、新しい家を探しに行こう。]**

 




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