165 【R-18】シュガートースト、はちみつミルクを添えて
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| [夕刻]
……よーし、今日の売り上げはこんなモンか。
[人が少なくなって来たので、撤収の準備をする。 場所によっては、夜中まで屋台を開いている時もあるが、今日はやや遠方であるため早めに切り上げた。] (5) 2022/07/31(Sun) 13:15:25 |
| [祭の収益としては平均程度。それでもまあ、悪くない額には収まってくれた。
満足、は出来ないが。マイナスではないので良しとする。
荷車に用具等を積み込み、家路へと足を進める。] (6) 2022/07/31(Sun) 13:18:28 |
| あーーーー…………重。
[来るのも大変だったが、帰るのはもっと大変だ。なにせ、一日中作業をした後、この重い荷車をひいて歩かなくてはいけないから。]
……これでも筋肉ついたと思うんだけどな。
[体質なのか、普段の生活のせいか、性別からくるものなのか。なかなか育たない己の身体を恨めしく思う。一人暮らしで、重量のあるものを取り扱っていると言うのに。]
……愚痴ってもしゃーないし、急ぐか……
[途中で小休止を挟みながら、あまり早いとは言えない速度で進んでいた]** (7) 2022/07/31(Sun) 13:25:24 |
| >>9……!? [……突然のことだった。 少しの間、休憩を取って先に進もうとしたときに……誰かに体を拘束されてしまった。 ちらりと、後ろを向いて顔を確認。 見慣れない衣装、褐色の肌…………昼間に来た客に、似ている。] (マズったな、野盗の類だったのかコイツ。) [昼間に少々値に色を付けた報復かなにかだろうか。 ……こういった輩に絡まれることは、なくはなかったし、体格的にも状況的にも形勢不利。大人しく捕まって出すもの出して退散するべきだろう。] (17) 2022/07/31(Sun) 22:36:07 |
| ……なんだよ、一体。 要件なら飲むから、さっさと離してくれね?
[今は営業時間外なので、素で反応する。 下手にへりくだっても付け上がらせるかもしれないから。
……胸のあたりを掴まれてるような気はするのだが、まあいいか、と思う。触られたところで元よりほとんど無いようなものだし。]
……金が要るってんなら、今日の売上全部やるからさ。** (18) 2022/07/31(Sun) 22:40:35 |
| >>19[てっきり金目当て、だと思ったのだが。『旅行』ときたか。 ……これはもう少しヤバいヤツか?と脳裏に過ぎったが。] ……ふーん。変わった趣味をお持ちで。 いいぜ。 代わりにさあ、この荷車運ぶの手伝ってくんない? 俺じゃあちょっとコイツを運ぶの大変なんだよ。 [……荷車を運んでもらって、暫く油断させてから逃げるか。 向こうが悪人ならこちらも遠慮はいるまい。 運んでいた荷車を指差して、伝えてみる。]** (20) 2022/07/31(Sun) 23:05:13 |
| >>23[此方からの案を飲んでくれたので、少しホッとする。いざとなったら、荷車を一旦手放そうと思っていたが。ある程度、協力的であるなら助かる。] ありがとな。 [ >>24担ぎあげられるのは取り敢えず受け入れた……が、何故か全身をくまなく触られたので、流石に動揺する。] ちょ、ドコ触ってんだこの変態オヤジ…… ……あ?女だけど。 つっても、何処ぞの「オキャクサマ」に満足されるよーな身体してませんけどね〜 [発育があまり良くない自覚はあるが、女の身ひとつで暮らすと言うのは中々に苦労が多い。性別については公言しない事も多いのだが、触られた衝撃が勝ってしまい、つい素直に言ってしまった。 ……最も、こんな身体つきの女に需要なんざ無いと思っているが。]** (25) 2022/07/31(Sun) 23:55:23 |
| >>26>>27……んえ? [急にしおらしくなられてしまい、困惑する。 ……悪党だが、何かしらの「矜持」でもある連中なのだろうか。 拘束もあっさりと解かれてしまったし、調子が狂う。] (28) 2022/08/01(Mon) 0:21:05 |
| [少し考える。 この行動一連が演技の可能性を、だ。 ひょっとしたら、道すがらにガブリとやられるかもしれないし。
……でも。]
あー……じゃ、家の近くまでソレ運んでくれれば、いいよ。 後は一人でなんとかすっから。
[一応は、建前かもしれない『謝罪』に、載っかってやる事にした。] (29) 2022/08/01(Mon) 0:24:13 |
| 家までまだ遠いからさ、まあ……頑張れよオッサン。
[そう言って、自分は荷車の空いていた場所に乗り込む。 調子に乗りすぎると後が怖いが、とりあえずこれくらいは大丈夫だろう。
向こうは大の男が何人かいるわけだし。
……こうして。家路までの奇妙な『旅行』が始まった。]** (30) 2022/08/01(Mon) 0:26:54 |
| >>32ガキじゃあねえよ。一応は成人してる。 ……んじゃ、よろしくな。 [周囲の男達が去っていき >>33、二人だけになった。 とりま、暫く楽させてもらうか……と、荷車の上で少しだけ楽な姿勢をとる。 ……隙を見て、逃げ出す準備は怠らないように。] (34) 2022/08/01(Mon) 19:36:19 |
| [それにしても、先ほどの剣呑な雰囲気はどこへやら。急に萎れてしまった男をぼんやり眺めつつ、暇なので話しかける。]
あのさー。なんで俺が「女」だと、駄目なのさ? あんたらなりの矜持?
[人身売買の一行だったのなら、むしろ女の方が需要があるような気がするのだが。
……最も、自分が「そういう輩」のお眼鏡にかなう「商品」ではないと思うが。]** (35) 2022/08/01(Mon) 19:44:03 |
| >>37いーじゃん、別に。 ……ふうん。そーいう趣味のヒト相手の商売なのね。 残念だったな〜俺が女で。 [返事に対して、少々皮肉を込めた調子で言う。 ……「商売相手」の事に思う事はあれど、向こうには向こうの事情があるしな、で納得する] オッサンさあ、そうやって旅人のフリして「人攫い」してんの? たいへんだぁね。 [道中の景色を眺めつつ、なんとなく頭に浮かんだ事を問いかける。] (38) 2022/08/01(Mon) 21:23:13 |
| (そういえば、他人と仕事や買物以外で喋ったのって、どのくらいぶりだっけ。) [自分に無礼を働いた相手に、気安く話しかけるのは……油断させる意味合いも、あるのだが……どうかしてるな、と頭の隅で思いながら。 元々、どこか遠くから来たらしい母には『友人』なんて存在はいなかったし、自分自身も他者との関わりは必要最低限に留めていたので。……無意識に、会話に飢えていたのかもしれない。] (39) 2022/08/01(Mon) 21:27:43 |
| (40) 2022/08/01(Mon) 21:29:10 |
| >>41ふーん。 ……ま、悪党にも矜持のひとつふたつはあるわな。 [適度に相槌をうつ。旅が初めてだというのには驚いたが、その他の言葉は深掘りする必要もないだろうと思い、さらっと流す。 どうせ一時の仲だ、名前や事情など知る必要もあるまい。] (43) 2022/08/01(Mon) 23:02:23 |
| >>42あ、家ならもう少しで着くところ。 ……そろそろお別れだな。 [荷車が止まり、質問が飛んできたので返す。 ……そういえば、どこまで運んでもらうか考えてなかった。 流石に家の位置を教える訳にはいかないし、程々の距離から一人で進んだ方がいいだろう。 念の為、近くに逃げ込める路地などが見えてくるまでは……と思考を巡らせていたのだが、] (44) 2022/08/01(Mon) 23:06:48 |
| (45) 2022/08/01(Mon) 23:08:02 |
| え、ちょ、ま、まって………!
[急に激しく降り出して来た雨と、激しい雷の音に竦んでしまう。 やばい、仕事道具が台無しになる。 それもあるのだが。]
お、お前ちょっとすぐ先に宿屋あるから!!!一旦そこまで急げ!!!
[……雷が怖い、だなんて。子供じゃあるまいし……と思ってしまうのだが。大人になっても怖いものは怖いのだ。]** (46) 2022/08/01(Mon) 23:13:07 |
| >>49……………ぅん…………荷物も、無事…………… [駆け込んだ宿の軒先 >>49で、ようやく顔を上げた。 一応、雨風避け用の布は被せてはあるので、思ったよりも被害は軽微そうだ。 ……自分と相手を除いて。] (50) 2022/08/01(Mon) 23:54:40 |
| ……あーあ、びしょ濡れじゃん。俺も、お前もさあ。 ちょっと雨宿りさせてもらおう。遠出した時とか、家に着く前に暗くなっちまった時にたまーに使うんだ。 ここ、狭いけど値段は安いし。雨上がんなくても最悪、一泊する分の金くらいはあるから。 [まだ、止まない雷雨に怯えている事を悟られないよう、先程と同じような調子で言う。 (実は既にバレてしまっているのだが >>48)] 中、入ろうぜ。 [何気なく、男と共に宿内へと入った。] (51) 2022/08/02(Tue) 0:01:47 |
| [「空き部屋は一つしかありません」と言われたのは、宿内でしばらく過ごしてからの事だった]** (52) 2022/08/02(Tue) 0:03:06 |
| >>53どーもな。 んー、今日のはちょっと遠いくらい……珍しいことでもないかな。 [何故か安堵した様な表情を浮かべている男に疑問を持ちつつ、宿代の事は了承した。元よりそのつもりである。 長旅、と言われたが自分にとっては少し遠出くらいの意識だったので、大した事ではないと答える。] (55) 2022/08/02(Tue) 15:23:14 |
| (コイツ、なんで妙にこっちの事気にかけるんだろ。)
[拐おうとした手前、油断させるつもりなのか……とも思ったが。長い帰路でのやり取りから察して、どうも本気で此方の身を案じているらしい。
初見の時はあんなだったのにな、と思いつつ。妙な縁ができたものだ。] (56) 2022/08/02(Tue) 15:26:42 |
| [宿屋の主人に事情を話し、荷車を置くことを了承してもらう。ついでに、体を拭く布も借りる。 しばらく外の様子を伺っていたが、雷雨は今日中には止みそうもなかった。 しゃーない、泊まるか、と主人に言えば >>52返事はこれである。] (57) 2022/08/02(Tue) 15:30:23 |
| えー……マジかよ…… ツイてねえな…… >>54 いや、強行すんのは止める。 一緒に泊まるしかねえか。 [ここから家までは、まだ少し距離がある。これ以上、商売道具を雨に晒すのは嫌だし、雷はもっと嫌だ。 ならまあ、自分を拐おうとした男と泊まる方がマシだなと思い即決した。]** (58) 2022/08/02(Tue) 15:38:24 |
[部屋に入った後]
服乾かしたいんだけどさ。
脱いでもいいか?
[ちらりと彼女を見やって尋ねた。
脱ぐと言っても全裸になる気はもちろんないが。
濡れたままの服を着っぱなしは身体が冷える。
それはもちろんお互いさまである。
安宿だそうだが、浴衣の類やタオルは
借りられるのだろうか]**
| >>59 そうだな。 ま、これもオッサンが俺に手ェ出そうとした天罰って事で。 [冗談めかして言ったのち、二人で案内された部屋に入った]** (60) 2022/08/02(Tue) 16:27:24 |
おー、構わねえよ。
俺も着替えたいし……お互い反対方向みながらで、いいよな?
[案内された部屋は、二人で泊まるにはいささか狭い。布団とソファが一つづつあるから、寝る場所は大丈夫だろう。]
浴衣とタオルはそっちの棚に入ってるから、勝手に使え。風呂場は部屋出てちょっと行ったところ。
[浴衣類については、二人分用意されていたはずなので困らないはず。]**
[天罰なら巻き込み事故を起こしてしまったのでは?
などと思ったが、言わずにおいた]
オーケー。
風呂場あるならついでに温まってくるか。
[言われた棚を見つけて、
自分の分のタオルと浴衣を確保した後、
彼女のほうへも一組放り投げる。
濡れてしまった上着を今脱ぐか考えて、
脱衣所でいいか、と結論づけた]
飯は? 中に食える場所あるのか?
[それとも食事付きなのだろうか。
その答えを聞いた後、風呂場へ向かうだろう]**
お、どうもな。
[投げ渡された浴衣類を受け取る。
……そういえば、風呂場があるんだから、わざわざ同じ部屋で着替える必要は無かったな、と思い返す。]
メシ……は、頼めば作ってもらえるよ。追加料金かかるけど。
味は普通。
[食事の件について軽く説明した後、「風呂へ向かう」と言った男を見送る。]
(なりゆきとはいえ、妙な事になったもんだ。)
[一人、残された部屋で着替えながら。今日のことについてぼんやりと振り返っていた。]**
んじゃ、風呂から出たら頼んでくるかな。
お前もいるならついでに頼むが、どうする?
[食事の件にそう返して、
返事を待った後、軽く手を振って風呂場へと向かった]
[満室なだけあって、風呂場にはそこそこ人がいた。
混雑するような立地に見えなかったが、
それでもこれだけ混み合うのは祭の最中だからだろうか。
湯加減は少し熱く感じられ、
身体が冷えていたことを実感する。
湯船でのんびりと温まりながら考えるのは、
同胞のことや稼ぎのこと。
せっかくの遠出だし、何かしら戦利品がほしいところだった]
[もっとも、正直なところを言えば、
「まともな職にありつきたい」になるのだが。
それができないからこんな暮らしをしているのだ。
そんな久しく考えていなかった思考が浮かぶのは、
手に職をつけて稼いでいる人を間近に見たせいかもしれない]
[しばらくして、風呂から出て着替えれば、
その足で食事を頼みに行った。
出来上がったら部屋まで運んでくれるようだ。
部屋へ戻ったとき、彼女はどうしていただろうか。
その場にいたなら「ただいま」と一声かけるだろう。
濡れた衣類は脱衣所で水気を絞った末、
部屋の隅にかけておくことにした]**
お、気ぃきくじゃん。
ありがとな。いってら。
[そう言って送り出してから、暫く経った。]
おかえり。
風呂どうだった?
メシ食ったら行ってくるわ。
[少しの間だったのに、やけに長く感じた待ち時間。
こちらは既に浴衣に着替えており、濡れた衣服も干している。]
[浴衣姿の男を見て、小声で呟く。]
……改めて……わりとガタイいいのな、羨ましいわ。
[掴みかかられた時に薄々察してはいたが。
小柄で筋肉もあまり付いていない己の身体とつい、比較してしまった。性差もあるだろうし、育った環境の違いもあるのかもしれない。]
とりあえず寝床決めるか。俺が布団でお前がソファでいいな?
[先程、呟いたことは無かったように。寝具をどちらが使うか決める事にした。]**
[戻ると普通に挨拶を返してもらえて、
微笑み返した]
ん、思ってたより落ち着くとこだった。
メシは出来たら届けてくれるってよ。
[他にも頼んでいる人がいるだろうし、
適した時間帯にまとめて各部屋に届けられるのかもしれない]
[浴衣に着替えた彼女は、身体の細さが際立つように思えた。
その彼女の呟きが微かに耳に届いたが
打ち消すような言葉を聞くと、追及はせず]
いいけど……、狭そうだなソファ。
床よりマシか……。
[女性のほうが上等な寝床を使うのが筋であろうし、
無礼をはたらいた立場でもある。
あまり強く抗議する気はなかった]
[寝床に決まったソファに移動して座ってみれば、
予想より座り心地が良く、そこそこ眠れそうであった。
そこから彼女をじっと見据えて]
ところで、お前さ。
なんでそんな荒々しい口調なんだ?
[ふと疑問に思ったことを尋ねた。
それもあって少年かと思い込んだのだが。
何か意図があるのだろうかと、首を傾げた]**
そーかい。なら、何より。
メシ楽しみだなー
じゃ、決まり。本当だったらカッッタイ床で寝かせてやってもいいんだからな?
[夕飯までの間、とりあえず当たり障りのない話題を振っておくか……と、相手への返事をしながら考えていた]
[……ところで、相手から話題が出てきた]
え?
…………なんとなく?
[口調の事について尋ねられたのは、初めてな気がする。
そもそも、己が男だとか女だとか気にしてくるような輩は、そんなに多くなかったという理由もあるが。]
…………なんとなくさあ、身内をさ、守りたかったから…………かなあ。俺が「女」だって知られると、色々めんどいってのもちょっとはあるけど。
……大本の理由は、それだな。
[明言は避けたが、自分がこうなった理由は、実は覚えている。
母は、よく自分を「あの人にそっくり」だと語っていた。
……その、「あの人」が、顔も名前も知らない父親の事だろうということは、なんとなく察していた。
『母さんはきっと、まだ忘れられないんだ』
そう、思ったから。少しでも、「父さん」の代わりになれたらと、そう思って。なんとなく男らしく振る舞うようになった。
……それがきっかけ、だったと思う。]**
……床は勘弁。
[寝床の話にはそれだけ返した。
一応折り合いはついているし、一夜だけのことだ。
だからこれで良しとした]
[口調について尋ねて返ってきた言葉は
あまり予想していなかったもので、更に首を傾げた]
身内を……守る……?
口調や態度で守れるってのはよくわかんねぇな……
女と知られたくねえってのはわかるけど。
この辺、治安悪そうだし。
[男にとっては仕事のしやすそうな土地でもある。
治安だけが理由でもないのだろうが、
理由のひとつにはなりそうなものだ]*
んあー……変な返事して悪ィけど。お前に言えるのはこれくらい。
そうそう、女だって分かると色々ナメてくる奴とかいるしさ。
オッサンは?なんか苦労話とかねえの?
[深く掘り下げてくることはなさそうだ。安堵しつつ、こちらからも深入りしない程度の話題を振る。
話が一通り終わったところで、食事を運びに使用人がやってくるだろう。]**
あー、おう……まぁ初対面だしな。
[思わせぶりなことを言われたかと思うと、
きっぱりとラインを引かれた。
そのぐらいの距離感を保ちたいということかと、
大人しく引き下がることにして]
俺の苦労話ねえー……?
ろくな仕事にありつけねぇってくらいかね。
なんとか食い繋げてはいるけどな。
[入浴中にも思い浮かんだせいだろう。
真っ先に出てきたのはこのことだった。
普段からこんなことを考えているわけではないのだが]
最近は地元じゃ稼ぎづらくなってきてな。
ちょっと遠出してみることにして、ここまで来たんだ。
[ここまでの道中でも少し話した内容を補足する。
詳しく知らせるような話でもないのだが、
なんとなく話したい気分になったのだった]
[料理が着くのはその頃か。
テーブルに並べてもらって礼を言い、使用人を見送って]
美味そうじゃん。
食べるとするか。
[一日の終わりだし、肉体労働の後である。
雨の中に屋根の下にいられて
温かい食事にありつけることに、素直に感謝が湧いた]*
ふーん。……やっぱりお偉いサンとかに目ェつけられたりとかしてんの?
[もう少し詳しく尋ねてみてもいいかな、と一瞬考えたが。向こうにだって言いたくない事はたくさんあるだろう。軽めの問いかけにしておいた。
たまたま拐おうとして、アテが外れて。妙な縁で一緒にいる相手に、吐き出すような内容でもないだろうし。]
ありがとさん。
[運ばれてきた食事に、同じようにお礼を言って食べ始める。
味はそこそこ、実に庶民的な味だが。
……久しぶりに、誰かと一緒に食べる食事は、なんだかいつもより美味しくて。]
……なんか、今日のメシはいつもより、美味ェわ。
[気が付かないうちに、笑顔になっていた、のだった。]**
そんなとこだな。
俺がってーより、仲間が全体的に。
[やっていることがことだけに、想像がつくだろう。
その程度のことは隠す気もなく、正直に明かした。
あまり深く語る気が無いのはお互いさまであった]
[旅先で、奇妙な縁で同室になった人と食べる料理というのは
味わいも変わるものなのかもしれない。
普通と言われた料理が、何だか際立った印象を持っていた。
それは彼女も同様なのか、感想を聞いて顔を上げてみると、
笑顔を浮かべているのが見えて]
散々な一日だが、飯が美味いと元気出てくるな。
[今日はお互いに『ツイてない日』である。
それでも終わりが良いと、悪くない日だったように
思えてくるから不思議なものだ]*
なーるほどなあ……あの、オッサンと一緒にいたヤロウどもだろ?
仲間思いなんだな。
[返ってきた返事に「仲間」という単語があったので、少し意外だな、と思う。……彼は、褒められたような仕事はしていないものの、一人で生きてきたわけではないのか。
なんとも言えない感情が内側で渦巻いたが、口にすることはなかった。]
だなあ。ま、こういう日もあるもんよ。
[『ツイていない日』だな、と最初は感じていたのに、気がついたら少し、楽しい日だったな、に変わっている己に驚きつつ。
悪い日ではない、というのは良いことだから。適度に会話をはさみつつ食卓を囲んだ。]
じゃあ、俺は風呂行ってくるわ。
寝たいんだったら先に寝てていいからな。
……先に言っとく、おやすみ。
[食後、部屋を出て風呂場へと向かう。途中で従業員に食器の片付けを頼んでおく。
……風呂から戻ったとき、彼は起きているだろうか。寝ているだろうか。]**
[「仲間思い」と言われてきょとんとした。
そんなに特別なことという意識がなかったからだ]
……そりゃあな。
何年も一緒に暮らしてりゃ情も湧くし、
似通った事情の奴らが多いし。
[早くに親を亡くしたとか、親に捨てられたとか。
経緯はともあれ、皆、身寄りのない子どもだった。
生きていくには犯罪に手を染めるしか
なかったというわけだ。
そこまで彼女に語る気は無かったが]
こんな日は一生の中でも
そうそうない気がするぜ?
[誘拐しようとした相手を手助けして、
共に宿に泊まって、一緒に食事をしている。
なんとも奇妙な話である。
彼女にとってもそれは同じだろう。
結果的に『いい日』で終わるのなら、
詫びになったとは言ってもいいのかもしれない]
[食事を終えると、今度は彼女が入浴する番だった]
食後すぐって気持ち悪くならねぇか……?
まぁ、おやすみ。
起きてるかもしんねーけど。
[素朴な疑問を投げかけつつ、彼女を見送る。
その後少ししてやってきた使用人には、
食器を片付けてもらった。
その後はソファに寝転がってみて狭さを実感しながら、
止まない雨音に耳を傾けた。
一時は静かになっていた雷鳴も、また轟き始めている。
彼女が帰ってくる頃には一瞬うたた寝しかけていたが、
物音でハッとして視線を向けるだろう]**
ふうん。そうなのか。
……大事にしてやりなよ、「別れ」ってのはいつだって突然だからさ。
[間の抜けた表情をした男に、「俺とコイツは似てるようで似てないのかもな」と思う。
お互いにあまり裕福な暮らしはしてないだろうし、阿漕な事もやってきたのであろう事は想像に難くないのだが。
「近くに誰かがいてくれた」「離れないでずっと側にいる」
……そんな事がきっと当たり前だったのだ。自分と違って。]
もう二度と遭いたくはねーけどな。
[軽く笑ってみせて、誤魔化す。
明日になったらただの他人。もう二度と会うこともないだろう相手。
こうなった経緯は、あまり良いものでは無かったはずなのに。内側でずっと燻っている感情が溢れそうになって、]
んじゃ、風呂入ってくるわ。
[思考を振り払い、風呂場へと向かった]
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