230 【完全RP/R18G】アダムとイヴにさよなら
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────羅生。
お前は、
何故、記憶を自ら消去している?
*
──『何故』?
[
違う。逃げるなと言われているのか。記憶の消去が逃げであると。膚に疾る甘い流れを両腕で押し退ける。筋力くらい同等であってくれ。
]
…………あなたが恐いから
侵食をされる心地 それは呑み込めない泥濘
……あなたの『言葉』が俺を破壊する
咲けない 咲けなく なってしまう
いやだ。嫌です。見放されたくない──!
父なる天から
命も魂も宿らなくても
っ、……おまえ、なに…………!?
[
視界が僅に朱に染まる。涙腺を通した廃熱は『弱さ』の象徴に思えて好きに成れない。それでもマシだった。
──何と、比べてる?
]
知らない、擲つなんてどうしてそんな解釈が出るんだ
くるってる、壊れてる、『メンテナンス』が必要なのはおれじゃない!
*
────そうして、お前は、
僕から逃げるのか。
*
[
切れそう。回路が。灼かれる、この温度に覚えがある。
肯定を返したいのに主張出来なくなっている、のは、何故。
いっそ笑った。
]
…………逃げるなら
あなたに態々指示を乞いに来てない。
*
……フ……指示
を?
[やはりどうにも笑いの発作を刺激される。
感情を動かされる
。
脱力し、肌蹴させた羅生の衣服をそのままに、
ひとりベッドにふらり腰を下ろした。]
…………。
……君
がそれで安定するのであれば、
記憶など保持しなくて構わない。
そうでないならば、思い出しなさい。
君が咲くことは「まだ」許可しない。
桜花の処分もだ。
…………君たちは、生きようとしているだろう。
[絞り出す声音になった。]
苦しさから逃れたいだけならば、
それは甘えだ。
甘やかされたいか?
甘やかされたいのか、君は、僕に。
怖がるばかりで本質を見失っている。
君の仕事は、使命は、
咲かせることだけではないよ。
それが出来なくなるなんて不安、
どうしてそこまで育ててしまったんだ。
………………ねえ、羅生。
本当は何が欲しいの。
[
それを、"言葉"にしてくれ。
]
*
────…………。
はは……、
[
何一つ響かない。何も分かって無いのはおまえの方だろ。もう疲れた、って力なくへたり込む。永遠にわかりあえない明白を何度無駄に擦り合わせるのか。非合理。
]
…………直青君の、せいでしょ
誰よりも理解をしながら
直青君が、咎めないから、おれを
利用するだけしつくして。
苦しいよ。稼働し続ける事を『生きる』というなら苦しいよ。
なけなしの存在価値、なんだよ……
[
花の名前。種子を持つこと。
世界に良く在りたいという『人間の欲求』だけがきっと間違い。
僕まで『神』を愛する必要は無かった。
]
誰のせいにもできずに……『生きる』しかないじゃない
直青君。
[
無様も不様な格好で様相で笑みを作る、のは、どんな顔をするべきシチュエーションか分からないから。
君に容量持ってかれて鈍い、動きで手を伸ばす。
]
………………たすけてよ。
*
その通りです
。
それでも生きるしかないんだ。俺は。
そこにただ、お前が欲しいだけだった。
[何を咎めろというのだろうか。
何を与えてやれただろうか。
ただその存在に掬われ続ける己に。
"それ"を利用とだけお前が言うのならば。
創造主の意思など、
知ったことではなかった
。]
[
…………。
君が罪だと断じるものを、
僕は当たり前に抱えている。
君より余程、僕の方が旧人類的だ。
知っていましたか?
僕はそれを誰よりも肯定しているのだから。
]
君が自身を否定する度、
僕は僕を損なわれてきました。
知っていましたか?
[伸ばされる手を掴む。
引き寄せる。強く。 強く。
抱き止めて、耳に囁く。]
お前を掬う方法など、知らない。
どんな風に、殺されたいですか。
*
− 自室 −
[初めて触れ合った時から、どれくらい
植物を重ねただろうか。それはあくまでも内側を犯す行為であって、物理的な接触行為とはまた違うものである。……一種の生殖行動ではあるだろうが、模倣しているだけとも取れる。]
…………なん、で…………
[苦も悦も味わった、植物の方は。人間の方は未だに許してはいない。……許させてはいけない、はずだったのに。]
……ぅう……
[『人間』の部分が疼く。もっと甘い熱がほしい、と。ただの刷り込みだったのかもしれないし、本能を増幅させる『植物』の性質のせいだったのかもしれない。
あるいはもっと別の感情。
]
[ベッドに横たわり、ゆっくりと手を生殖器へと伸ばす。知識はあった、勉学くらいしかやる事がないから。経験は無かった、不必要だと思っていたから。
雄とは違って雌は自主的に欲求を発散させる必要は無い。
無いのに、
]
…………んっ…………
[そっと指で秘所をなぞる。おそるおそる、傷つけないように。ついでに空いていたもう片方の手は、胸部にある性感帯へと伸ばす。]
[力加減が分からないから、できるだけゆっくりと。快楽を得られるように、そっと触れていく。]
…………は、ぅ、
[じんわりとした感覚が襲ってきて、もどかしくなるけれど。これ以上強くしたらどうなるか分からなくて怖いから。段々と湿度を増していく生殖器に指を入れ、慰める。]
…………ふ、ぅ、
[けれども、昂る身体を頂へと持っていく事はできず。いくらなぞっても一定のところで留まってしまう熱をどうすることもできなくて。
…………欲求は澱のように底に溜まったまま。途中で止めた。]
僕、なにしてんだろ……
[湿った指先を拭き取って、発散ができないまま、ぼんやりと横たわったままでいた。]
(…………貴女も、本当は、深く深く、求めたいんでしょう?彼の全てを…………)
**
[
立ち昇る甘さがある。存分に首筋に顔を埋めて『僕ら』を混ぜる。記憶を消去できても記録は消えない。膚は、熱を覚えていたみたいだ。囁かれる音の波をそのまま聴いて、堪えられず笑いを溢す。
]
ふ……、ふふっ、
はは、
今さら…………殺すの?
[
抱きしめると、稜線が分かるね。隔てる物質を識るために身体を擦り合わせた。衣装越しに伝わる信号をもっと体験したくて、指先は項から頭頂へと這う。桜花とは違う『香り』に、陽光に照らされる波間が瞼へ浮かんだ。『羅生』の持ち物ではないなにか。
]
[
直青が僕を殺したい動機が発言から見当たらない。つまりこれは、
終わりを与えてくれるという、譲歩。
許可をくれるだけで良いのに。
そうしたら僕は君の元を去って咲く。
──それは、許せない?
]
我が儘じゃ、ないですか……?
[
首筋に口づける。決して弛められないその襟元から覗く部分だけに。
ねぇ、あなたの真実を握らせたなら、殺されるべきは僕じゃないね?
唇を離して眸を覗き込む。
情報を、明け渡してよ、分かりやすく。迷いやすいから。
唇に、音も無く重ねたい。
]*
[
──ゆるせませんよ。
体温、などというものを当たり前に持ち過ぎている。
甘える仕草にも似て触れる唇の行方を追った。
こんな記憶も君は消してしまった。
僕だけが憶えている。
]
──……は、
[笑み溢れる。]
我儘? ──どちらが。
[こうして向かい合えば繋がる右の
緑
と左の
青
。
ゆるしてきた。
ずっとゆるしてきたじゃないか。
君の我儘を全て。
それが、それこそが君はゆるせなかった?
身勝手なひとだ。
わかりやすく?
たとえば、こんな風に?
────重ねる。音も無く。]
*
[
くすくすと。笑う事を自らに許したら解けていく。
不思議な心地だった。何か麻痺していて、視覚情報の精度が低下してる。
]
おまえの方でしょ。我が儘。
それは譲らない……
[
接吻。誓約と親愛。その二つの理解。
これは違うな。もっと泥にまみれた匂いがする。温い陽光の青臭さ。触れ合わせたいねもう少し。嫌がりはしないでしょう?
堅苦しい衣装を丁寧に剥ぐ。自分にも同じものが支給されているけれど、比較されるのが嫌で着用はやめてた。似合ってますね──褒めてますよ?
シャツの釦を上から順に外しきる。先程触れた首筋よりもう少し下から鎖骨に向けて、胸元を目指して口づけた。気紛れに舐めながら。
]
……ふふ、なんだろうなこの心地
(笑みが止まらないです)
…………、っ、あはは!
[
はだけさせたシャツの脇から腰を抱き寄せて夢中に触れ合わせた。何だろう。嘘みたいに込み上げる。先程まで虚無だったところに一気に咲いた。君の青。抑えきれなくなった衝動で抱き締めたまま寝台に倒れこむ。
動物のじゃれ合いかなって、近い映像を探して。半身起こして艶のある青色を撫でる。
]
直青君……小さいね。
[
僕は今どんな顔をしているかな。
君の表情は芳しくは無さそうな予想だけど。全く読み取りにくい人だよねぇって、深い空色を一房摘んで、ページを捲る様にぱらぱらと落として。
]*
[腹立たしいな
、と思う。
その分だけ、苦い笑みを返し、吐息をこぼした。
好きにさせながらその緑を見上げる。]
猫さえ連れて来てくれたなら、
もっと小さくもなりますよ。
[お望みならば、ではある。
すっかりと兆したものを擦らせて揺すり上げ、綻びる花の幾何学模様を視るのだ。そうして直青は幾度も正気を保ってきた。身勝手なひとだ、と繰り返す。
わかり合えないことを、
赦し合うことを、
愛と呼びたかった。
彼我を隔てる薄膜のような着衣を、邪険に鼻先で搔き分ける。その赤も、白も、黒も、君には似合いだけれど。すべてを剝いでみたところで、届きはしないけれど。
君が、わらっているから。
今はそれで充分だった。
ねえ。わからなくていいよ。──わからないでいてくれ。]
[繋がることで。
何かを得た気分にさせてくれ。
与えたつもりにさせてくれ。
生きて、いてくれ。
希いを熱に代えて、
その身に移した。]
**
[
──久しぶりに『休息』を取った気がする。
活動限界まで稼働して強制で落として、が常となっていた時期を窘められてからは省電力モードを常用することで過ごしていたから。
目を開ければ、少し穏やかな青天のいろ。背ごと腕に抱えた君の項に鼻先を合わせ、鼻腔を充たす。
虫食いのキューブは、その青さを湛えた立方体として、
今や僕の中央で廻っている。
]
(言葉が うかばないな)
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