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【人】 救済者 ユー時は少し遡って、昨日の事。 『ユーサネイジア』は、約束通り夕食までには戻ってきた。 上着はほんの少しだけ血で汚れていたけれど 特に怪我をした様子も無いようだった。 仮に事情の説明なんかを求められれば、 できれば明日にしてほしいと断りを入れただろう。 その後はすぐに自室へと行ってしまったから、 夕食は一人で摂ったのかもしれない。 それから、話は今朝へと戻る。 『ユーサネイジア』は少し遅い時間に食堂を訪れて 言葉少なにあまり人が居ない方の席に着いて、 そうして淹れた紅茶を持て余していた。 どうにも食事を取る気分にはなれなくて。 (3) 2021/10/09(Sat) 0:23:27 |
【人】 救済者 ユー>>+8 ドゥーガル 「君がそうしたいと思うのであれば、甘えてしまおうか もう暫くしたら医者に戻るつもりではあるけれど 医者にだって休みはあるし、他の医者にかかる事もあるものだ」 つまりはその間は医者ではないのだと。 冗談か本気かよくわからない返答を返しながら 差し出したものが直ぐには受け取られないのを見て、 やや首を傾げて、それから。 「ああ…何も返す為だけに戻って来た、わけではない。 まだやらなければならない事はあるけれど、 またあのように君達の前から居なくなるつもりは、……」 無かった、のだけれど。 ブラックからの通達は、あなたにも聞こえていただろうか。 造物主の意図を外れ、死を救済と掲げ続けた者の行く末は きっと想像に難くないものだ。 (6) 2021/10/09(Sat) 6:01:44 |
【人】 救済者 ユー「……ブラック。 やはり君は、全て知った上で看過していたんだな」 このテストの全ての参加者を支える為のAIたるあなたが、 この場所で起きている事を知らないはずなど無い。 であれば当然、自身等の凶行を止めに来ない道理はない。 それでも干渉は成されなかった。 つまりはあなたは少なからずこちらに与しているのだと そう推測を立てるのは自然な事だった。 「道具にとっての幸福は、自らの存在意義を果たす事だ。 君の働きは無意味ではなかった。 君が引き延ばした時間は、無価値なものではなかった。 その証明が成されるのは、遠い未来の事かもしれないけれど」 「ありがとう、ブラック。君も今暫くは休むと良い 願わくば、君の眠りが安らかであらん事を」 (7) 2021/10/09(Sat) 6:02:22 |
【人】 救済者 ユー「しかし、自己を喪失してまで存在し続けるという事は 果たして『僕』にとって幸福足り得る事なのだろうか」 人間にとって不都合な異常を来した道具の行く末は 悪くて廃棄、良くて初期化、そのどちらか。 「『ユーサネイジア』の幸福だけを考えるのであれば きっと、それで良いのだろうけど」 「甘んじてメンテナンスを受け入れるには 今は、少しばかり未練が多くなりすぎてしまったな」 (8) 2021/10/09(Sat) 6:03:19 |
【人】 救済者 ユー>>+10 ドゥーガル 差し出したものを受け取る事無く、 ふらりとあなたは一度離れていってしまった。 そうして言葉通りに朝食を運んで来るものだから 今はそれを一度仕舞う事にした。 「考えない方が難しいだろう、ああ言われてしまっては… …ああ、いや、違うな。ありがとう、ガル。……」 自分の出す答えとは。 結局の所、自分は選択肢の提示しかしていない。 少々やり方を咎められ、考え直しはしたけれど それも結局周囲の考えあってのものであって。 そんな思考を一度打ち切って、親愛なる友であるあなたが 食事を捩じ込もうとするならば大人しく口を開ける事にした。 (11) 2021/10/09(Sat) 7:27:37 |
【人】 救済者 ユー>>+12 ドゥーガル 「どうせもう終わるのならば、心残りは……んむ、…」 出掛けた言葉も運ばれる食事に押し込まれていって、 この場限りの患者は次第に思考も諦める事と相成った。 考え事をしながら食事を摂るというのも不健康極まりないし、 何より作った者に失礼だ。つまりあなたの処置は実に正しい。 あなたが友と呼ぶ者は、あなたが与えるものを拒む事は無い。 それは今も例外無く、つまりは食事は粗方片付いた事だろう。 「…ああ、ありがとう、ガル。また後で」 そうして暫しの別れを告げたあなたにそう返して、それから。 「……君が僕にくれたものが、 どうか何もかも奪われてしまわない事を願っている。 全てを終えても、『僕』が完全に失われていなかったら その時は、きっと君との約束を果たそう」 (12) 2021/10/09(Sat) 18:52:44 |
ユーは、その存在意義を果たす。 (a5) 2021/10/09(Sat) 21:44:46 |
【人】 救済者 ユー「我は此処(ここ)に集ひたる人々の前に厳かに神に誓はん」 「我が生涯を清く過ごし、我が任務(つとめ)を忠実に尽くさんことを。」 「我は総て毒あるもの害あるものを絶ち、」 「悪(あ)しき薬を用ゐることなく、また知りつつこれをすすめざるべし。」 「我は我が力の限り我が任務(つとめ)の」 「標準(しるし)を高くせんことを努むべし。」 「我が任務(つとめ)にあたりて取り扱へる人々の私事(しじ)のすべて、」 「我が知り得たる一家の内事(ないじ)のすべて、我は人に洩らさざるべし。」 「我は心より医師を助け、」 「我が手に託されたる人々の幸(さち)のために身を捧げん。」 (13) 2021/10/09(Sat) 22:18:23 |
【人】 虐殺者 ユー0と1に溶け崩れ、異常な行動を取り始めた ボスエネミーだったはずのもの に、大ぶりな手術用のこぎりを振り下ろした。 「君の死も、きっと無意味なものではないだろう」 大きな鉄の刃を何度も何度も振り下ろされ、 ぐちゃぐちゃになった端から解れ、 そうしてそれは0と1に還元されていった。 「その役目は、確かにこの『ユーサネイジア』が継ごうとも」 今再び、『ユーサネイジア』は倒されるべき敵となった。 それを倒さなければ、この先に進む事は叶わない。 (14) 2021/10/09(Sat) 22:19:30 |
ユーは、金糸雀の傍に。どうかあなたに救いがある事を願っている。 (a6) 2021/10/09(Sat) 23:53:07 |
【人】 虐殺者 ユーふと、遠く高くを仰ぎ見る。 0と1に溶け崩れ、剥がれ落ち始めたテクスチャ。 その向こうに広がる虚空が覗く。 きっとこの塔の崩壊は、細やかで幸福な日々の終わりは もはやそう遠い未来の話ではない。 金糸雀の、泣く声が聞こえる。 (15) 2021/10/10(Sun) 14:49:35 |
【人】 虐殺者 ユー──救いは既に託された。 『ユーサネイジア』は、ただ黙然と佇んでいる。 今はもう、自ら死という籠に囚われた金糸雀に 差し伸べられる手を、その手を取る時を見届けるだけ。 あなた達は他の救いを選ぶ事ができると、そう信じている。 それこそが今与えられるべき救いなのだと信じている。 君の痛みを尊重しよう。 決して君を傷付けるような事はしない。 確かにその約束を守る事ができると、そう信じている。 (16) 2021/10/10(Sun) 17:46:43 |
【人】 虐殺者 ユー「…いいや、君達は先に帰るといい」 二人の間で一先ずの結論が出たならば、 『ユーサネイジア』はそれ以上追及するような事は無い。 手にした手術用のこぎりをもう一度だけ虚空に振るえば、 塔の入り口までのショートカットが現れる。 今は曲がりなりにもボスエネミー、きっとそれくらいは許される。 「まだこんな場所に残っている困りものが居るようであれば きちんと追い返してやらないといけないからな」 (17) 2021/10/10(Sun) 20:17:06 |
【人】 虐殺者 ユー「成さねばならない事はあれど、果たさねばならない約束もある …リヤ。今の僕にはもう、皆の元へ帰らない理由は無い。 だから帰ったら、皆には必ず戻ると伝えてほしい」 惨憺たる有り様には一度目を留めたけれど、 今それに言及するのは無用な口出しというものだろう。 もう一つだけ頼み事をして、立ち去る二人を見送った。 (18) 2021/10/10(Sun) 20:56:47 |
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