98 【身内】狂花監獄BarreNwort【R18G】
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
≪遊戯の間ともにあるあなたへ≫
≪御機嫌よう。今宵の宴は我々の逢瀬を雲間より盗み見る輩がおります故、このような文字でのご挨拶をお許しください≫
≪最も、あなたが見せつける方がお好みならば…わたくしも月下の元、躍り出ましょうか≫
「
ア オ ー ン …
」
狼の鳴き真似。
「覗き見されてもいいようにまずコードネームを決めませんか」
誤爆したときに仲間が漏れない対策でもある。
「じゃあファントムで」
いやバレそうだな……
「やっぱトムで」
「
ア オ ー ン …
」
まねっこ。
「では、オリオンと」
「……そちらは?」
最初に発言した者を見る。
「ならばセファーと」
端的に名乗る。
「トム、オリオン。セファーは凶狼だ。よろしく頼む」
「なお私は皇狼である。すごく馴染む……どうしたものか……自分でうっとりしすぎて大声で叫びたい……」
やめたら?狼。
「自分で自分を抱きしめて構わないか?」
トラヴィスはそっと……自らを抱いた。
やや前傾に、目を瞑って暫し沈黙する……。皇狼……あまりにも……馴染みすぎる……私のための役職ではないだろうか?決闘者もかなり私であったが……
「……ふ……」
御満悦。
「オリオンの役職はこれでわかりましたね」
つまりそういう事です。
「問いかけに意味はありますか?
自身で満足できるのならば、それに越した事はないでしょう」
「とても似合っている。ある種予想通りでもある」
やっぱ褒めた。抱きしめられるのは嫌だと思うから。
あと正直決闘者も似合う。すごい。
「敬語は付けたり付けなかったりする。各位留意されたし。お叱りは裏でどうぞ」
ぶっちゃけフェイクしたいけど崩す塩梅に悩んでいる。
「はい」
I am Tom.
「初日はテラだったな。特に今の我々が語るべきことはないか」
襲撃方法の好みは、犯罪者共の好みが優先される……とトラヴィスは考えている。罪人の残酷性を罪人が引き受けるのが、『正しい』在り方だと考えているからだ。必要が無ければ、ヒトである自分が境を踏み越える理由などない。
……。
……ないはずだ。
「我々以外に此方の会話を聞ける方もいると記憶しています。
オリオンはこの口調で会話しましょう」
You are Tom.
「はい。初めはテラ様です。その後は我々に一任されています」
「……ご希望がある方は?」
Yes, you are Tom.
「初日はテラで間違いない。
今日のセファーはオリオンやトムがやりたくないならやる」
セファーは襲撃方法をその都度変えていくつもりでいるし、殺害したい相手ができた場合は積極的に進言していくつもりでいる。ここにいる時点で誰もが"化け物"になり得る力を持っているのだから。
今は"人"だったとしてもいつまでそういられるのやら。
「今、セファーがトムやオリオンに話したいことは特にないが、交流と洒落込みたいのならば応える気概はある」
/*襲撃ロールは狼、被襲撃者ともにやりたい場合のみなのでテラは「襲撃情報」をGMに提出するだけでも大丈夫だと思います。
セファーは以降も襲撃ロール対応可かつ歓迎なので被襲撃者に希望があるなら行きますね。得意分野はエロなので暴力得意な方がいたら仲介するかもです。
/*腹上死したいなら襲撃して差し上げましょうか!?普通にセックスしろと言われればまあそう。
「トムの希望は特に無し。態々手を染めてやる必要性は感じないが、貴様らが簡単に済ませるつもりだと言うならば、この私こそが古来よりの手技にて罪人に相応しい苦痛を与えてやるさ。それが仕事。あわいの番人の為すべきこと」
カチカチ、と歯を鳴らされる捻じれた手のひら大の金具は、拷問の類に詳しければ相応の用い方がある道具だと知れるだろう。
「私はその手の手法に詳しいのでね」
/*やだエッチ!偉い人に告げ口してやるわ!いや私が看守だったわ
/* なるほど。オリオンは手拍子をしていればよいでしょうか?
「オリオンからも特には。本日はよろしくお願いします、セファー様。
……オリオンはそういった器具に詳しくありませんが、随分なものをお持ちなのですね、トム様」
「……これが何か【知っている】ならば。その前提など飾りにもならんよ。私のこの指が扱う様子を美しいと述べたと言うのならば、肯定はするがね」
僅かに嫌悪感を滲ませ、それはやがて彼の自己愛の仮面に隠された。嫌悪がどこに向かっていたのかは、受け取り手の見るように在るだろう。
| >>7>>8プロローグ模擬戦:ダビー様 あなたの能力を知らない男は宙にいるその姿を仰ぎ、動作の一つも見逃さないと言わんばかりにじっと捉え続けている。 凄まじい速度で踏み込み駆けてきたあなたを見た瞬間に察した、「あなたが得物を持っていたのなら苦戦を強いられるだけでは済まなかっただろう」という感覚。それに従った結果、男はあなたを近づけないことを選択したのだが、それ故に男は一つの誤認を起こしていた。 あなたが突如取った行動から何かを仕掛ける腹づもりなのだと察することはできても、それ以上を見抜くことは叶わない。 盾にするのか、刃にするのか、足場にするのか。その程度の選択肢だと思っていたからこその心的な隙が生じて。 「ッ、」 無数の針を前に一瞬身体が強張る。戦闘の中での一瞬は命運を分けると知っていながらも完全に不意を突かれた形となった。通り雨というにはあまりにも局所的で暴力的な赤い雨の下、傘や屋根になり得る遮蔽物なども存在しない中でも回避行動を取れただけよくやったと言えるだろうか。 多くの針が雷に弾けて焼け、それに伴い雷撃の威力も減衰されていく。膝をつくことが敗北に繋がる以上、安全地帯に身を投げ出すこともできず、男の身体には少なくない量の血の針が降り注いだ。機械化されている部位に当たった分はまだしも、生身である箇所に関してはあなたの思惑通りに強く肉に刺さる。 「く……」 男はまだ膝を折らない。さて、あなたのほうはどうだろうか。減衰されたとはいえ雷は雷、大なり小なり人間の身体に苦痛を与えるという点に変化はない。 (9) 2021/10/01(Fri) 23:31:00 |
/*なるほどって何がなるほどなんですかオリオン様!?
「セファーが行くとしたら簡単に済ませることになる。だからトムがそれを望まないのであればトムが行くといい。
……セファーはそれを何に使うか知らない。二人の反応を見るに悍ましいものなのだろう程度だ」
この狼にはあまり残虐さが見受けられないので、そういったものに対する知識は少ないのだろうと伺えるかもしれない。
「……」
深く、息を、吐き尽くす。
「……わかった。私が行う。道化た態度をとる余裕も無い程に、な」
手加減は、【されるべきではない】。ならば、自分がやるべきなのだと、器具を強く握った。
全く。どちらが悪なのかわからない。その通りだ。
「所持している者を見たことがあります。
その者が後に何をしたかも存じております。
故に、どのような用途に用いられるかわかります。
ですが、オリオンは使用した事も使用している光景を見た事もないのです」
故に、この場に立つ事を希望したのかもしれない。
「トム様が行うのですね。承知致しました。
……それを操る指先の美しさを拝見するために、オリオンは同行してもよろしいでしょうか」
「今後の役に立つものであれば、セファーも同行を希望する。
不要であるのなら概要を聞きたい。
それすらも不要というのなら……セファーは何も聞かずにいよう」
「……」
罪人に『それ』を見せる影響についてを暫し考えた。
しかし、……変わりはしない、だろう。見たことがあるのなら。この無礼講の場では、調べることもできるのだから……
「むしろ。見て、自分の苦しみを待たせるのも、一興」
頷いた。
「死体を前にした私独りの舞台であるが、観客が居ないというのも世界の損失だ。良かろう。席に着くことを、許す」
「月光のように遍くトム様の厚意に感謝致します」
恭しく頭を垂れる。
「オリオンはしかと拝見させていただきます」
| >>39>>40>>41模擬戦:ダビー様 降り注ぐ血の雨の中、男の腕や足にはいくつも穴が開く。あなたの血が男の肉を貫いた後にどうなるかまでは知る由もないのだが、答えはどうあれ男もまた血を流し、服を染めるだけでは済まなかった赤は床をも汚した。苦痛に喘ぐことのないように引き締めた口の端がふるりと震える。 呻きまでは男の想定内だ。しかし、あなたがこの場面で笑う理由に関しては全く思い浮かばなかった。男が目を僅かに見開いたのをあなたは見ただろうか。 もしあなたがもし思うままに動けていたのなら、放電を行ったことによる疲労が重なったかつ先程よりも動きの鈍った男との距離を詰めることなど容易だっただろう。しかし現実はそうはならず、男は膝をついたあなたを暫し見下ろしてから歩み寄り始める。 「雷とはそういうものです。扱い方を間違えれば手痛い報いを受け、瞬きの間に殺傷することすら容易な危険な代物……私とてそう多くは使えませんし、これがなければあまり気軽に使えたものではありません」 己の襟足、更に言うならば耳に埋め込まれたユニットを指先で数度叩く。男の示すそれがブースターや電圧調整の効果を持つことにもあなたは思い至るかもしれない。膝をつくあなたに手が差し出されて。 「戦闘経験らしい戦闘経験にならなかったのならば申し訳ありません。損傷がある状態でも構わなければ引き続き肉弾戦も行えますが、私個人としてはダビー様の治療申請を行うべきと愚考いたします」 (46) 2021/10/02(Sat) 13:31:00 |
「観劇の許可をお与えくださる慈悲深さに感謝を。
トムが行い、オリオンも行くのであれば、サファーも当然席につく」
今回この狼が手を下さないとしても今後もそうであるとは限らないため。この監獄に長く滞在するのであればいつかまた巡り回ってくることもあるだろうと思っているから、そのいつかに備えようという心積もり。
/*自分のコードネームで誤字する人間がいるらしいですわ。セファーですわ。
| >>49>>50模擬戦:ダビー様・チャンドラ様 「咄嗟に回避行動を行ったこと、あの状況から攻勢に転じたこと、そのどちらもがお見事でした。今回は相性もあり勝たせていただきましたが、貴方様が通常通り武器を使用されていたのならば大きく結果は異なったでしょう。このU-681がお役に立てたのであれば幸いです、ダビー様」 あなたが手を取るのならばその手を引いて立たせようと思っていたのだが、続く言葉を耳に入れた段階でその選択肢は消える。まだ力が入らないのであれば無為にふらつかせるのも本意ではないと握ったままに留まった。……握手の形式で終わらせるほうが無難だろうか。 それから、いつからいたのか定かではない主人の姿を見ると簡素ながら挨拶の姿勢を取って。看守様方二人の指示に反抗する理由もないので首肯のみで従う意向を見せた。 「チャンドラ様にU-681からご挨拶申し上げます。治療の手配をいただきありがとうございます、いつからお越しになられていたのですか」 尋ねている間にも治療用ユニットによる治療は進んでいくだろう。男は当然抵抗しないので。 (53) 2021/10/02(Sat) 15:12:56 |
| >>52ナフ あなたの姿を視界に収めたのならば、瞬きをしてから緩く手を挙げ、軽く一度だけ振った。 「ナフか。どうした、そんなところに突っ立って。君も何かしてみるかね」 男の衣服には血が滲んでいるがそれも徐々に治療されていくだろうし、先程まであなたが隣の球場(?)で元気に遊んでいたことを知る由もない。 (54) 2021/10/02(Sat) 15:17:31 |
| >>55ナフ 「ああ、なるほど。先程までダビー様の手伝いとして軽く模擬戦闘のお相手をさせていただいていたのだよ。 ではそうだな、……ナフ、行ってみたい場所はあるかね? 風吹き抜ける草原、鳥のさえずりとせせらぎに囲まれた河川、あたり一面まっさらな雪景色……今の君ならば何処へでも行ける」 トレーニングルームに好きな地形や景色が投影できる、というのは先程自分が見て記憶していることだから。数点の例を挙げた上であなたに問いかける。 (58) 2021/10/02(Sat) 15:42:27 |
| >>59>>57ダビー様・チャンドラ様 紡がれる言葉は確かに素っ気ないかもしれないが、常のあなたを思えばとても大きな意味合いを持つものであると男は考える。元々この模擬戦闘の要請自体が珍しかったのだ、次の可能性が見出せる言葉を聞けるとは思ってもみなかった。 軽く揺らされる手で握手を示した後、そっと手を離す。あなたが治療を受けるのを男は邪魔せず、自らの主人に視線を向けて。 「さようでしたか。……有り体に申し上げるのならば痛かったです、ダビー様は得物を使っていなかったにも関わらずこれだけの損傷を受けることになろうとは……私もより一層精進したいと思います」 (63) 2021/10/02(Sat) 16:03:18 |
| アマノは、大人しく輸血を受けている。その間に端末を操作し、ルーム内を草原へと変えた。 (a13) 2021/10/02(Sat) 16:26:59 |
| 青々とした草が陽光に照らされ、吹き抜ける風に従い揺れてはさわさわと微かな音を立てていく。この場にいる面々の頬を青空が見下ろすが、これらすべてはあくまでシミュレート。現実に限りなく近い情景の中、戦闘の気配を察すると数歩後退した。
「ダビー様とナフでやり合うのならば、見学の許可をいただきたく思います」 (68) 2021/10/02(Sat) 16:33:50 |
| (a14) 2021/10/02(Sat) 18:06:13 |
| >>77メサ 「君か。私は問題ない、好きにしたまえ」 端的に言ってはいるが、最後に見たあなたの姿が56甲おろしをバッグに球場に立つあなただったので……さっきまで56甲おろしをバッグに球場に立っていたんだな……と思っている。 「……君からすればこのようなシミュレーションも児戯に等しいのだろうな」 (78) 2021/10/02(Sat) 18:24:34 |
| >>80メサ 「なるほど、それも一理あるな。実際先程の戦闘では私がダビー様に機転という点において劣った、単純な力量であれば私も自信があったにも関わらずだ」 油断、前提条件の取り違え、想定外が起きた時の機転。それらが己の課題点であったことは男も理解しているので端的に話す。 「先の戦闘もありダビー様も少なからずダメージは残られていると思うが、どう見る?」 (86) 2021/10/02(Sat) 19:14:33 |
| >>89メサ 「……なぜそこで途端に蛮族になる……?」 獣と言わなかっただけ良心的だと思ってほしい。 (93) 2021/10/02(Sat) 20:05:52 |
「見えてる奴あいつじゃなかろうな」
緊張してきたな……
観客席の方向がわからない舞台、めっちゃやりにくいとは思っているんだけど……
「私、名乗りもなしにファントムとか呼ばれるほど地顔は醜くないしメンタルが陰キャ童貞野郎のつもりないんだけど……声が天使なのかな……」
照れるな……流石に天使は照れる……
トラヴィスは自らの頬を押さえて呟いた。照れてなさそう……
「オリオンも思いました」
思いました。
「……ですが、美醜や内側はともかく立ち振る舞いが挙げられた人物のように例えられるのもまた事実なのだと思います。
ひとまず様子を見てみましょう。
天使かどうかはわかりませんが、トム様の声はよく聞こえて良いとオリオンは思います」
「正直な話。
セファーもぶっちゃけ一瞬そう思った
」
ぶっちゃけちゃった。めずらしいね。
「(声が天使かどうかも含めて)なんとも言えないが、オリオンの言う通り様子を見てもいい。その上で気になるようなら指示を求めてもいいとセファーは思う」
「……仮面一つで辿り着くモチーフの一つといえばそうなんだけどもね……」
私仮面めっちゃ持ってるし……聞かなくても辿り着けると言えばまあわりとそうではあるんだけども……とか呟いている。
「偽名変えようかな……エリックとかに……」
よけいバレると思うし、変えると複雑になりそうなので今のままで行きます。
| (a19) 2021/10/02(Sat) 23:59:05 |
| >>115トラヴィス様 「遅くなり申し訳ございません。ヴィオラ弾きよりトラヴィス様にご挨拶申し上げます。 ……ヴィオラの貸与許可をいただけるようでしたら喜んで」 古来、人がまだ一つの星に留まっていた頃に行われていた試みに由来する技術だ。 筋肉の収縮に伴って生じる微弱な電流――筋電と呼ばれる――を取得し、取得元と異なる人間に同じ電流を流すと全く同じ動作をさせることができる。筋電を何度も流すことで脳がその強弱とタイミングを学習し、筋電を流すことを止めても同じ動作を行える……というものだ。 これまでにも幾度か演奏していたのだから、筋電のデータがなくとも問題なく弾けるはずだ。たった一曲だけにはなってしまうが。 (117) 2021/10/03(Sun) 0:41:47 |
| トラヴィス様からヴィオラの貸与許可が迅速に出たので >>a20、やってきたサポートユニットからヴィオラを預かった。 ヴァイオリンと比べると若干大きなそれを左肩に乗せ顎で固定する。右手首を軽く回してから弓を持ち、そっとを弦に添え、……やがて静かに奏で始める。 左手の指が弦の上を踊り、音色に合わせて男と弓が揺れる。ヴァイオリンより少し低い音で奏でられるどこか懐かしい調べが草原に流れた。 (119) 2021/10/03(Sun) 0:59:27 |
「我々がこうしてのんびりと拷問器具説明会をしている間にも、どこかで何かが起きている……というのは面白いものだね」
拷問器具説明会を行っている。
実践はもうすぐ、脱走犯の肉体をもって行われる。
説明、実践、解説。
この順序は非常に効率の良い学びをもたらすのだ。
教師としても優雅に。トラヴィスはどちらかといえば完璧主義に同意をするタイプだ。即興曲の織りなす美しさを知るものとして、完璧主義そのものになることはできないが。
「質問や、使ってみたいものの希望はあるかい?なに、流石にこれで貴様らの罪を加算したりはしない。役割に忠実であることは変わりがないのだからね」
「セファーは拷問器具の多くを知らない。
が、拷問と言うくらいだからすぐに楽にさせる手法はないのだろうことは分かる」
この狼もあえてどちらかを選ぶのであれば完璧主義を掲げる側の人間だ。だからこそこうして学びの場に訪れ、トムに師事しようという心積もりらしい。
「トム、質問がある。セファーのような拷問初心者でも行いやすい拷問には何がある? 最終的に殺害に至らしめるのならばやはり出血を伴うものがいいのか?」
「いい質問だ。血液は……直に死を思わせるという点で効果は高い。だが、それ故に『終わり』への時間を目で確認できるという点が問題となる。当然、拷問は、長く終わらないものである方が絶望的だね?出血を伴うならば、出血していることだけを見せ、その量を見せないのが望ましい」
机に並べたのは、先に説明した視界を妨げるための器具たちだ。
「故に、血を流す場合は共にこれらを使う。飴も鞭も、無限だと錯覚させてこそだ。そういった点さえ抑えておけば、コルク抜き一つでヒトは簡単に屈服し得るものだよ」
道具の質や種類ではなく、実行する過程に拷問の肝があるのだと語る男は、それを嫌悪するでも好むでもなく淡々と説明を続けた。
「セファーのような背景があるのなら理解は容易かろう。時計の一つですら、情報を奪われることは苦痛だろう?」
| アマノは、戦闘を最後まで見届けた。ヴィオラの音色はもう不要だろうから、手を止めた。 (a34) 2021/10/03(Sun) 9:21:10 |
《ご丁寧な挨拶をどうもありがとうございます》
《私めは囚人という卑しい身、看守様にかけるに相応しい美しい言葉を知らぬことをお許しください》
《もし許されるなら、我々の関係は隠しておきたく思います。あなたのお気に入りの囚人や他の看守様に知られれば、きっと妬まれてしまいますから》
トムの説明を聞き漏らさぬよう黙していた狼は並べた器具のひとつひとつを眺めて数度頷く。この狼は拷問というものを道具によって区分けされた大まかな枠組みでしか捉えられていなかったのだ、故にトムの語る言葉は新たな視点をもたらしていることだろう。
「セファーはその問いに同意する。なるほど、拷問というものは、」
それ以上を紡ぐことはなく、
感傷を抱く暇もないので、
表情は変わらない。
ただ若干、己の今後が拷問と縁遠いものであることを願う気持ちは膨らんだが。
「……トムが先程持っていたあの器具は?」
興味深そうに。
時折、想像したのかそっと眉を潜めて。
ひとつひとつの説明と質疑応答を静かに聞いていた。
視界を奪われるという事がどういうものなのか、オリオンはよく知っている。
「ふむ。これは逆に、目を瞑らせないための器具だよ。直接痛めつけるものではない…………だが、そう、目を瞑ることは、拒絶することは、全てを見ないことは、救いの一つだからね」
その器具を持ち上げて、歯をかちかちと鳴らす。
「瞼をこじ開ける。統制された恐怖がある。ある種、最も残酷な道具さ。これを用いて、目の前に針を置くだけでいい。……とはいえ、情報を奪うことに比べて、上手く与えることは難しいものだ」
過ぎれば、先程までの『奪ったもの』の意味も失くす。
飢餓にまつわる拷問に近い。
苦しむ程度に与える。
それが上手く出来るかどうかは、……トラヴィスにも断言はできないものだ。
「これを用いるものは、上級者。あるいは無謀な中級者かな。どちらにせよ、その他の手技も相当のもの……まあ、私はそれなりに長けているけれど…… オリオンは知っている様子だったが、どちらかといえば忘れたほうがいい類のものだ。拷問を受けるとき、『これ』があるという知識は無用な恐怖を生む」
だから、
見せたのだ。
| アマノは、ナフの遺体に近寄りはした。触れはしなかった。運ばれていく様を最後まで見届けた。 (a36) 2021/10/03(Sun) 16:23:19 |
「……ああ、」
知らなかった頃にはもう戻れない。無知こそが恐ろしいという意識をずっと持っていたはずなのに、それが情け容赦なく覆されてしまったように錯覚する。
拷問と言う技術に覚えがある人間から聞かされるそれらの言葉がこの狼に染み込み、気付くことがなかった、あるいは過去に忘れ去られたはずの恐怖が、知識を得たことで蘇ったように思った。
「トムは……本当に、場を支配するのに長けている。舞台を掌握できる人なのだとセファーは思うし、……その技術も知識も、セファーには扱いきれぬものだと思う」
訥々と語る狼は首を左右に振った。いくら頭を振ってももう
無用な恐怖
からは逃れられないというのに。
「オリオンは。オリオンは質問や、やりたいことはないのか」
「…っ、ふふ」
「OK、君の存在は隠していこう。けれどそこまでいってしまうと僕はもうバレてそうだ。楽にはなしちゃおうかな♡」
バレたことを特に気にするでもなく。楽し気に笑って。
「さて、それじゃあ。君を雲間に隠すために。ここでだけの呼び名でも考えようか?」
クソ眠い!
私が堕ちた時のため、君たちにこれを託す!
本当にすまない!
起きていたい!でも眠い
「……」
「トム様は、お優しいのですね」
無知は罪だと誰かに言われた。
けれどどうでしょう。知っているからこそ感じる恐怖もあるではありませんか。
「いいえ。トム様にご教授頂きましたから、これらの使い方は理解できました。
後はトム様が
実践
する所をしかと、見せていただきます」
【星層遺跡荒 テラ 襲撃状況】
■死因
当初失血によるショック死と見られていた。
詳しい調査の結果、精神錯乱による心臓麻痺と判明。
■詳しい状況
当囚人は脱走直後であることを加味し、顔まで覆う拘束衣を着用させていたが、襲撃時にはその全てが脱着、金属製拘束具を用いて全身を固定されていた。開眼具及び遮眼革によって視界が外部的に操作されている点、全身の穿孔痕からみて、当囚人が精神錯乱を起こしたのは襲撃者の意図によるものであると予想される。
■凶器
コルク抜き
※直接的な死因ではないが、現場に残された血濡れのコルク抜きが全身の穿孔痕の原因であることは明らかであるため、ここに記すものとする。
/*とっとこハム太狼なのだ。狼窓に貼るのなら我が匿名メモに投げるのだ!我等に任せて無理せず寝るのだ鼠狼クン!
寝てくれ。
寝よう。おやすみなさい。
/*
セファーがやろう。任された。
/* 凄惨な状況はPCなら慣れていてもPLが苦手ってこともあるからね。こんなかんじで表現させてもらったよ。明日以降、君たちがどのような手段をとるかは任せるけれど、今日のところはこんな風に。
実際、報告書の内容よりはえげつないかんじに仕上がってるとは思うけど。
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