[出て来た彼女は先程よりもメイクが薄い。
それがまたどうにも湯上りの火照った肌と相俟って色気を高めていた。
喉が鳴ったのは無意識で。
駆け寄って寄り添ったのは、他の男を牽制したい独占欲。]
なー紫亜。
ちょっとこれ、つけてみてくれる?
[包みを渡す。
周年祭の時にもらったネクタイのお礼がまだだったと言えば受け取って貰えるか。
中身は紫の蝶のチャームが揺れるかんざし。
まとめあげた彼女の髪を彩るものが欲しいなと思ったのと。
会社で髪の毛を上げる時にも使えるかと。
(その場合痕をつけるのを我慢しないといけないというのを失念しているあたりが残念な男である。)
*]