【人】 美雲居 月子[ 指先が唇に触れる。 そのまま感触を楽しむように ふにふにと動かされるから。 そっと目線だけで見上げて、 その指先をちゅ、と吸った。 差し出された腕にまた己の腕を絡めて、 部屋へと向かう。 先ほど、庭に出て行くときよりも 少しばかり雰囲気が変わったような 気がするなあ、と思案しながら、 となりの男をちら、と見上げて歩み。 百日紅と書かれた戸をくぐった。] (9) 2020/08/10(Mon) 1:44:15 |
美雲居 月子は、メモを貼った。 (a11) 2020/08/10(Mon) 12:58:15 |
美雲居 月子は、メモを貼った。 (a13) 2020/08/10(Mon) 19:52:07 |
美雲居 月子は、メモを貼った。 (a16) 2020/08/10(Mon) 23:11:17 |
【人】 美雲居 月子[ 運ばれる途中に落ちた浴衣に 手を伸ばして引き寄せ。 それを肩にかけて、腕を通す。 前は開けたまま、黒髪を 軽く結い上げるように片手で持ち上げる。] はぁ、うちは身体流してくるけど… 黎哉さん、どないしはります? [ そう問いかける。 恋人ごっこは終わり。 すっかり甘やかな雰囲気の抜けた女は、 少しばかり丈の長い浴衣を畳に擦りながら 足を浴室の方へ向けるだろう。]* (48) 2020/08/11(Tue) 1:15:03 |
【人】 美雲居 月子 ──それから [ 男と別れ、再び浴衣をきっちりと その身に纏った女は、百日紅の部屋を出る。 売店で、水の一本でも買っておこうと 思ったからであった。 ちなみに現在腹はかなり空いているし、 このままだと売店で何かしらを買うか、 部屋に残しているお土産用の かわいいうさぎの温泉饅頭を 開けて食べてしまいそう。 夕食はそろそろ部屋に運ばれて くるのだろうか。 食事も重要なリサーチだ。 一人で食べるというのも少しばかり 味気ない気もするが仕方があるまい。 のんびりと一人、ふらり。 古い着物の生地で作られた、 兎を模した小さな小銭入れを 落としたことに気づかぬまま。]* (52) 2020/08/11(Tue) 7:12:26 |
【人】 美雲居 月子 ──百日紅 そうやって他の女の子にも いうてはるんやろ? ほんま、悪い男やわぁ [ と笑うと、己と同じ感想が返ってくる。 耳に落ちた唇に、ぴくりと体を震わせた。] (56) 2020/08/11(Tue) 8:50:34 |
【人】 美雲居 月子[ 問いかけへの答えにふふ、と笑って。] そやなァ、ほな、2人だけで W混浴Wしましょ? [ と歩き出す。 彼が後ろから来るのはわかっていたから くるりと振り返り、その胸に触れて、 そっと見上げれば。] 先に行っといて? うち、シャワーで流してからいくさかいに [ と告げて、檜造りの丸風呂が見える ガラスの大窓の方を暗に視線で示して。 つう、と肌を撫でてから離し、 己はその隣にある、内風呂らしき 戸の方へと足を運ぶ。] (57) 2020/08/11(Tue) 8:51:14 |
【人】 美雲居 月子[ 引き戸を開き、中へ入れば、 脱衣所のカゴに浴衣を落として シャワーをひねった。 一通り流して、バスタオルでさっと拭くと、 そのままそれを身体に巻きつけて、 露天の方へと向かおうか。 からからとガラス戸を開くと、 水の流れる音がする。 浴槽と同じ木材でできた湯口から、 ふんだんにお湯が注がれていた。 鼻をくすぐるのは檜と、湯の香り。 すう、と鼻腔の奥まで吸い込んで、 口元を緩めた。 竹柵で囲われているものの、 出張った屋根との間からは空ものぞめる。 木々がざわめく音がした。] (58) 2020/08/11(Tue) 8:51:34 |
【人】 美雲居 月子[ 彼が既に湯に浸かっているなら、 そちらに微笑みかけて、 するりと、身体に巻いたバスタオルを 外して置き、片手桶を右手に、浴槽近くに 跪く。その湯を掬って、肩から掛けた。 掛け湯が終われば桶を立てかけ、 足先からゆっくりと段差に下ろす。 程よい湯加減がじわりと肌を包んでいけば、 ゆっくりと体を沈めて「ほぅ」と息を吐いた。] ええお湯やねぇ [ と見上げた空には、月が浮かぶ。 湯を手のひらで掬い、また肩にかけた。] (59) 2020/08/11(Tue) 8:51:55 |
【人】 美雲居 月子黎哉さんは───映画は好き? [ そんな下らない問いかけを投げる。 戯れだ。彼が応じないならそれまで。 黙ってその肌を寄せよう。]* (60) 2020/08/11(Tue) 8:52:24 |
【人】 美雲居 月子 ───5年前の話 [ 「月子、手伝うてや」と母に 言われたのは当日の朝だった。 美雲居の営む旅館には古い茶室がある。 元は、曽祖母の趣味だったらしいが、 亡くなってからというもの、 その部屋は暫くの間放置されていた。 そこを茶室体験に使うのはどうかと 提案したのは外から来た父であったらしい。 京都には外国人観光客も多い。 また、日本人でも普段なかなか茶室で 点前をいただくなどという体験はすることが ないから、なかなかに人気で その提案は大成功だったと言えるだろう。] (61) 2020/08/11(Tue) 10:00:17 |
【人】 美雲居 月子[ 卒業したのであろう彼は、その後 同じボランティアが宿を利用しても 姿を見せることはなかった。 だが、ある日、宿泊リストに 知った名前が並んだのを見て目を瞬かせる。 当日、あの頃よりもキリッと 大人の男性の雰囲気を纏った彼が 現れれば、初めて目があったあの時と 同じように微笑みかけて。] えらい、ひさしぶりですねぇ [ と声をかけた。 「また寄してくださいね」と見送ったが、 ただ、その一度きりであったのだろう。 時をかけて、少しずつ薄れた記憶は、 目端に銀が映ったとて、気づかぬほどに。]* (63) 2020/08/11(Tue) 10:01:04 |
【人】 美雲居 月子 ──廊下にて [ かさ、と袋が鳴る。 湯上りに火照った肌をぱたぱた仰ぎながら、 少し赤みを帯び、しっとりと濡れた項を 結い上げた髪の下に晒して、 女は部屋へとのんびり戻っていた。 結局、数ある海鮮系のおつまみに 目を奪われて、水を一本と、ほかにも いくつか買ってしまった。 たこの唐揚げ煎餅も然り。 夕飯がくるとわかっているのに 抗えなかったのは、魅力的な 商品説明のせいだと頷いて。] (64) 2020/08/11(Tue) 10:20:39 |
【人】 美雲居 月子なんか…お礼さしてください …そやなあ… あァ、お兄さんお夕飯は? 予約されてはる? されてるんやったら一緒にどうです? お酒でもご馳走させてくださいな。 [ と提案を投げて。]* (66) 2020/08/11(Tue) 10:21:19 |
美雲居 月子は、メモを貼った。 (a26) 2020/08/11(Tue) 10:27:08 |
【人】 美雲居 月子 ──客室露天風呂 [ す、と体を寄せて肌を触れ合わせる。 ぴったりと吸い付くように。 肩をその手が抱く。 無骨で太い指。女の肩をすっかり 覆ってしまうほど広い掌。 微笑み、こてりと首を倒して、 彼の肩に置き、見上げた。] (80) 2020/08/11(Tue) 12:43:55 |
【人】 美雲居 月子───そう。 どういう映画が好き? サスペンス、ホラー、パニック、コメディ… 色々あるやない? [ そう続けて尋ね、それから 一番好きな映画についても聞いてみようか。]* (81) 2020/08/11(Tue) 12:44:17 |
【人】 美雲居 月子 ──客室露天風呂 [ 彼が一つずつ答えてくれるのを 「うん……うん」と小さく 同意を落としながら聞いていた。 返ってきた問いに「うーん」と 小さく唸るように思案して。] 映画って、ぜぇんぶ、嘘やんか [ と湯面に視線を落とした。 ゆらゆら、揺れる。白熱灯の間接照明が ぼんやりと照らす温泉は、その色を受けて 橙に染まっているように見えた。] (100) 2020/08/11(Tue) 17:32:52 |
【人】 美雲居 月子ぜぇんぶ、嘘で、こんなこと 起きるわけないてわかってて。 作り物やから、どれだけええ話でも 共感できても、───憧れても、 なにもかもエンドロールが流れたら、 そこにホンモノはひとつもない。 [ でも、と置いて、息を吸う。 少しだけ彼の方に身を寄せた。] それでも、憧れるから、 何回も見てしまうんやろなぁ…… [ と眉尻を下げて。 答えになってないな、と笑った。] (101) 2020/08/11(Tue) 17:33:17 |
【人】 美雲居 月子あァ、でも邦画のコメディは好き。 なぁんも考えずに笑いたいとき、ね。 [ 彼のに回った手を、抱かれたのと 反対の手で絡めとり、ゆっくりと 腰まで下ろして体をよじり] 楽しかった。 おおきに、ありがとう。 [ とその首筋に顔を寄せて、 口づけをひとつ落とした。]* (102) 2020/08/11(Tue) 17:33:32 |
【人】 美雲居 月子 ───客室露天風呂 そう、なんかなァ [ もし、そうだとしても。 ───ああ、この考えはやめよう。] うちは好きやけどね、恋愛映画。 [ 彼とわたしは少し似ている。 きっと、正反対だけれど、似ている。 だがそれを口にすることはせず。 そっと身を寄せて、首筋にキスを。] (124) 2020/08/11(Tue) 21:49:29 |
【人】 美雲居 月子[ 離れてすぐ近くで見つめれば、 ご褒美を、という言葉とともに 唇が重なった。] ん、っぅ─── [ 鼻からくぐもった声が漏れる。 身動ぐと、ちゃぷ、と湯が音を立てた。 互いの口内をしばらく味わうと、 ゆっくりと離し、薄くまぶたを開く。] (125) 2020/08/11(Tue) 21:49:56 |
【人】 美雲居 月子……のぼせそう…… [ 吐息まじりに囁き。 絡めたままだった指を解いた。 触れた肌を離して、掬った湯を肩にかけ。] ───うち、そろそろ上がるわ 黎哉さん、もうちょっと居はる? [ と問いかけて。]* (126) 2020/08/11(Tue) 21:50:13 |
【人】 美雲居 月子[ ふと、目についたのは 彼の左手の薬指。そこに目を落として、 視線だけを彼の方に向けて。 白い指を伸ばして、その手を取り、 親指でつつう、と残っている跡をなぞる。] お兄さんこそ…… 悪いこと、しにきはったん? [ と眉尻を下げて尋ねれば。] (130) 2020/08/11(Tue) 22:17:22 |
【人】 美雲居 月子うちかて厄介事は御免やけど… おひとりさまってことなら、喜んで。 [ そう彼の言葉をそっくりそのまま にっこり笑って返そう。]* (131) 2020/08/11(Tue) 22:17:29 |
【人】 美雲居 月子[ 目を細め、聞かれた言葉に、 片目を眇め、唇を緩める。] いいや? 小さい時から素直でええ子、 いわれてきたさかい、 そんなん言われたんは初めてやわぁ [ とこれまたすっとぼけ。] (144) 2020/08/11(Tue) 23:45:09 |
【人】 美雲居 月子[ 反撃とばかりに返した言葉に 彼は破顔して、笑ってくれるから、 こちらも柔らかい笑みを浮かべた。 手指が絡められ、握られる。 顔が近づき、そのまま口付けられるのかと 閉じかけたまぶただが、頬の横を過ぎ、 項に唇が落ちれば、そちらを横目に見て。 離れていく彼をそのまま視線で追い。] キスしてくれるんかと思ぉた [ と問いかけへの返答でも なんでもない言葉を返して、 少しだけ背伸びを。 そのまま、彼に触れるだけの 口づけをして、満足げに微笑めば。] (145) 2020/08/11(Tue) 23:45:37 |
【人】 美雲居 月子うちは百日紅。 他の部屋も見てみたいし、 そんなら、お邪魔さしてもろても? [ と首を傾げて指を絡めて握ったまま、 彼の部屋へと歩いていった。]* (146) 2020/08/11(Tue) 23:46:01 |
【人】 美雲居 月子 ───廊下 [ 特大の猫、という言葉に きょとんと目を瞬かせてから] そぉ? それやったら、 うち、跳ねっ返りになろかな [ と得意げに笑う。] (157) 2020/08/12(Wed) 1:06:17 |
【人】 美雲居 月子お兄さんは、旅館とか、ホテルとか 中探検したいと思わへんの? うちは、自分の部屋はもちろん、 他どんな部屋があるんかなあて、 気になってしまうたちでなァ… 普通の和室、いうたかて、 うちの部屋とは生けられてる花も、 間取りもちがうやろから、楽しみやわ [ 言葉の通り、好奇心で心を満たして、 いそいそと彼の部屋へと向かった。]* (158) 2020/08/12(Wed) 1:06:58 |
【人】 美雲居 月子 ───椿の間 [ 開いた扉の奥に広がるのは、 己の部屋よりも少しばかり小ぶりな、 しかし美しく整えられた部屋だった。 かすかに石鹸のような香りがするのは 彼のしっとりとした髪から察することは 容易だった。 一番奥には広縁に置かれた籐の椅子と机。 ガラス戸の向こうに広がるのは、 山の木々であろう影と、空。 その手前には、行灯の柔らかな光に 照らされた、白い布団がある。] (159) 2020/08/12(Wed) 1:07:34 |
【人】 美雲居 月子おおきに [ 促されれば礼を伝えて。 それとも、と続けられた提案に、 再びそちらに目を遣る。] うち、お酒はあんまり強ないから 遠慮しとくわ。 お腹すくこと、なァ… [ そう言いながらゆっくりと 彼の方へと近づいて、その胸に そっと掌を添えて。] (160) 2020/08/12(Wed) 1:07:52 |
美雲居 月子は、メモを貼った。 (a40) 2020/08/12(Wed) 1:22:54 |
美雲居 月子は、メモを貼った。 (a41) 2020/08/12(Wed) 1:23:21 |
【人】 美雲居 月子[ 見て終われば、彼の近くへと 膝を折って座る。 傾げた首。腰に彼の手が回る。 そのまま引き寄せられて、 体勢が崩れれば、左手を彼の腿の上に ついて、落ちてくる口づけ受け入れて、 睫毛の先を見るように瞼をゆっくり閉じた。] (167) 2020/08/12(Wed) 9:28:36 |
【人】 美雲居 月子[ 徐々にぼんやりとしてくる頭は、 外から聞こえた人の声にじわじわと その正気を取り戻す。 それと同時に唇が、舌が離れていくから。 追うように外気に触れた舌先を 引っ込めて、唇を結び、軽く舐めた。 おしまい、と囁かれた吐息に、 こく、とゆっくり頷いてその瞳を見遣る目は、 とろりととろけるように潤み、 頬は少しばかり紅潮しているだろう。 まつげを伏せるように下を向いて、 下腹の奥の切ない感覚を宥めた。 身体を離して彼の前へと移動する。 腰掛けた座椅子は冷たくて、 溜まった熱が逃げていく気がした。]* (168) 2020/08/12(Wed) 9:29:41 |
美雲居 月子は、メモを貼った。 (a45) 2020/08/12(Wed) 10:06:38 |
【人】 美雲居 月子 ───椿 [ 正座をして、息を吐いた頃、 「失礼します」と声がかかって、 襖がゆっくりと開いた。 三つ指をついて礼をし、 食事をお持ちしましたと伝えてくれる 仲居さんにこちらも軽く頭を下げ。 一品ずつ、座卓に並べられていく料理は どれも彩り鮮やかで、美しいものばかり。] (176) 2020/08/12(Wed) 12:01:31 |
【人】 美雲居 月子[ 先附けは蛸の梅肉和え。 じゅんさいの上に盛られた三枚落としの蛸は あざやかな薄紅色。 細かく刻まれたあさつきと、梅肉の和えられた おろし大根がその上に彩りを添えている。 かかっているのは出汁か、土佐酢か。 冷製茶碗の中には胡麻豆腐。 翡翠茄子の若草色が彩りを添えている。 白味噌で仕立てられているとのことだが 口にしなくとも、その芳醇な甘みと、 深みがうかがえた。 向附けには新鮮な刺身と、生しらす。 昆布〆にしているのであろう、真鯛と 湯霜のふった貝柱。添えられたすだち。 隠し包丁が入れられており、 その手作業の丁寧さがよくわかる。 鍋物には鱧。 すり下ろした玉葱とともに煮込んで 柚子胡椒でいただくらしい。 受け台の下の固形燃料に 灯された火がゆらゆら揺れた。] (178) 2020/08/12(Wed) 12:01:56 |
【人】 美雲居 月子[ 他にも八寸、炊き合、焼き物、油物、 留椀、香の物、御飯と全てが 出てしまえば座卓は2人分の夕餉で いっぱいになってしまうだろう。 それをきちんと聞いていた、のに。 彼の足先は正面から、ぴったりと閉じた 己の腿の隙間を縫うようになぞるから。] ───っ ン、 [ 思わず漏れ出そうになる声を 指先で押さえて、彼の方を睨んだ。] (179) 2020/08/12(Wed) 12:02:19 |
【人】 美雲居 月子[ 震える身体をなんとかとどめ、 下がっていく仲居さんに ] おおきに、っ… [ 伝えた礼は最後が吐息に混ざってしまった。 ぱたりと閉じた襖。 足音が遠ざかっていくのを確認して、 また彼の方を見る。 素知らぬ顔をして食べようか、 などというこの男はやはり食えない。 悪戯に体に添えられたままの足を その先からするりと撫でて。] (180) 2020/08/12(Wed) 12:03:01 |
【人】 美雲居 月子…はぁ、お兄さんちょっと 足癖が悪いんと違う? [ と目つきは睨んだまま、 にっこりと口角を上げて。] そんなに待ちきれんの? こぉんな、悪戯するくらい。 [ 「悪い子ぉやなあ」と足首のくぼみを くるり、指先でなぞった。]* (181) 2020/08/12(Wed) 12:03:21 |
【人】 美雲居 月子あっはははは! なんやの、あかん、めっちゃおかしい、 ふくく、いける…?ふふ、あとで、 青たんにならんよに、祈っと、ふく、くく… [ 耐え切れないとばかりに肩を震わせ、 口元を覆って背中を丸めて俯く。 彼は機嫌を損ねてしまうだろうか。 損ねてしまうなら「堪忍」とまた くしゃくしゃの笑みで謝って。 半ば涙も滲みそうなほどツボに入って 散々笑ってしまえば、ふう、と息を吐いた。] (189) 2020/08/12(Wed) 14:44:34 |
【人】 美雲居 月子お兄さんも食えへんお人やなあと 思うてたんやけど…なんや、 えらいかぁいらしいところもあるなぁ [ と言って、己も箸を取る。 いただきます、と手を合わせて、 まず口に入れた蛸は、程よい酸味と 出汁の旨味が効いていて、 あとからじんわり甘みに似たものがくる。] ん、 美味し [ と笑顔そのままに感想をこぼし、 いそいそと箸を進めるのだった。]* (190) 2020/08/12(Wed) 14:45:29 |
【人】 美雲居 月子[ 途中、いいお酒を頼んで持ってきてもらえば、 グラスは二つつけられていて。 迷った挙句、少しだけ、と 飲んだ日本酒は、すっきりとしていて とても飲みやすかった。 ちびちび啜っていたものの、 すっかり座卓の器がすべて空になる頃には、 女の肌は火照り、瞳は潤んでいるだろう。 そう回っているわけではない。 ただ、美味しい料理につい、 少々進んでしまっただけだ。 意識もなにもかもはっきりしているから、 酔っているというわけではない。 温かいお茶が食後に出される。 それをふうふうと吹いて冷まし、 ゆっくりと飲み込んだ。] (191) 2020/08/12(Wed) 14:45:48 |
【人】 美雲居 月子美味しかったなァ [ と感想を述べて、湯呑みを置く。 手のひらでぱたぱた扇ぐ首筋。 襟元の合わせを少しだけ、緩めて 息を吐いた。]* (192) 2020/08/12(Wed) 14:46:04 |
【人】 美雲居 月子 ───椿 あら?可愛らしいは 褒め言葉やんか。 [ ふふ、と笑ってもうひとくち。 口に運んでは、舌鼓を打った。 彼の方がずいぶん早く食べ終われば すぐ隣に来てくれるから。 世間話をしながら時折そちらをみては] はい、あーん [ と彼の口元に箸で料理を運び、 食べてくれるのをにこにこ見つめてみたり。 傾けているグラスの中から少しずつ 酒が減っていくのを眺めてみたり。] (206) 2020/08/12(Wed) 20:08:32 |
【人】 美雲居 月子[ そんなことをしながら進めた酒と食事に すっかり肌が火照ってしまえば 扇ぎながら息を吐いた。] 酔うてはないのやけど… なんや、ふわふわしてるわ [ ととろりとした目をそちらに向けて微笑む。 己の頬に当てた手の甲で温度を確かめれば たしかにいつもよりも熱かった。]* (207) 2020/08/12(Wed) 20:08:50 |
【人】 美雲居 月子 ───百日紅 [ ふ、と目が覚めた。 どうやら落ちていたらしい。] ───…黎哉さん? [ 小さく名前を呼んでみるけれど、 返事はなく。人の気配もしない。 己の体にかけられている布団。 誰もいない隣。そっと触れるけれど、 そこはしっとりと濡れているだけで、 熱は揮発して、なくなっていた。] (233) 2020/08/13(Thu) 6:11:12 |
【人】 美雲居 月子[ 行ってしまったのか。 別れもいえなかった。 お礼も、いえなかった。 彼のまっすぐ射抜くような目を、 直接届く、取り繕わない言葉を、 思い出して息を吐いた。 わたしとは正反対で、 わたしとよく似た人。 あの目を、熱を、きっと、 わたしは忘れないだろう。 情熱的に求められることの喜びを 教えてくれたのだ。 気怠い体をゆっくり起こす。 流したはずの汗がまた体をしっとりと包むから またひとり、温泉に浸かろうとガラス戸の方へ 向かうのだった。]* (234) 2020/08/13(Thu) 6:11:36 |
美雲居 月子は、メモを貼った。 (a55) 2020/08/13(Thu) 6:13:28 |
美雲居 月子は、メモを貼った。 (a56) 2020/08/13(Thu) 6:15:10 |
【人】 美雲居 月子[ 映画が好きかどうか。 彼へ問いかけたくせに、自分は うまく答えることができなかった。 人に言わせればきっとわたしは、 W映画好きWに分類されるのだろう。 だが、それは少し違う。 映画は好きだけれど、嫌いだ。 手の届かない憧れが、そこに あることの方が多いから。 友情も、強さも、愛情も それらはとてもドラマチックに描かれる。 それは悲恋でさえも、美しいものに変える。 たった1人の大切な人を見つける。 自分の手で、掴もうと足掻く。 それをできないわたしは───] (237) 2020/08/13(Thu) 11:33:03 |
【人】 美雲居 月子─── [ 先ほどまでそこにあった人肌はもうない。 ひとり、湯に浸かってぼんやり見上げた 月は、空にただじっと佇んでいて。] うちも、あんたも、1人やなぁ [ 小さく落とした言葉は、湯口から 注がれる水音が掻き消してくれた。] (238) 2020/08/13(Thu) 11:33:57 |
【人】 美雲居 月子[ 月を見ると思い出す映画がある。 自由を求めて生きる女性。 何にも囚われず、誰にも指図されない、 そんなきままな人生を歩むために、 己を縛るものから逃げてきた。 そんな彼女が、劇中で歌う歌がある。 故郷を思い、かつての希望を失わぬよう、 失望や落胆を経験しても、いつかきっと、 幸せを見つけて見せる、そんな、 柔らかなメロディに乗せた、 決意ともとれるような歌。] (239) 2020/08/13(Thu) 11:35:13 |
【人】 美雲居 月子[ 自由を求めて生きた彼女が 最後に選んだのは愛だった。 わたしはそこにいけない。 届かない。 だって、わたしの未来は、 生まれた時からずっと、決まってるから。 きっと、今日が最後。 わたしの本当に自由な日。 最高の夜にしなきゃいけない。 これから先、何があっても生きていけるよう。 静かに湯から上がる。 しっとりとした肌を柔らかなタオルで拭いて、 もう一度浴衣に袖を通した。 乱れた布団を横目に、フロントへ連絡を入れ、 小さなうさぎの小銭入れを持って、売店へと 水を買いに足を運んだのだった。]** (240) 2020/08/13(Thu) 11:35:57 |
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