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【人】 詐欺師 アダム[ 青年の混乱が伝わって来る。 嗚呼、何故優しい嘘で終われなかったのか。 悔やんだとて、吐いた言葉は戻せない。 それにアダムはもう、嘘の吐き方を忘れてしまった。 男が、何かを言い聞かせるように、瞳を閉じた。 次にその双眸がこちらを捕らえた瞬間。 それが裁きの時なのだろう。 隙はあった、街に逃げることもできた。 そうすれば、よかったはずだったのに。 そうは、しなかった。 ] (16) 2020/05/19(Tue) 8:27:31 |
【人】 詐欺師 アダム[ 物心ついた時から、アダムは既に孤児だった。 親に貰った名は、覚えていない。 だからこの名は、 胸も腰もなくて、ガリガリの手足が まるで男の子のようだった頃。 スラムの仲間がくれたもの。 男性を示す呼び名は、決して貴族の淑女に付けられる それではない。 だからアダムはずっと偽りを名乗ってきた。 それでもアダムは、ずっとアダムだった。 ] (18) 2020/05/19(Tue) 8:29:23 |
【人】 詐欺師 アダムブーヨプスキュリテの騎士。 よければ、貴方の名前も聞かせてもらえる? [ 出会いの瞬間をやり直すように。 互いの名を求める男女の後ろで。 一つの星が尾を引きながら落ちて行った。 ]** (19) 2020/05/19(Tue) 8:29:28 |
【人】 詐欺師 アダム[ ――――流れ星。 そんな呟きにつられて、アダムも空を仰ぐと 黙したまま、光の軌跡を瞳に映す。 ] ……お願い事、できた? [ その答えを得ても、得られなくとも。 星明かりが照らす道を 二人、手を繋いで歩く行く。 ……夜明けが来なければいいのにと。 そんな思いを込めるように、ゆっくりと。 ] (31) 2020/05/19(Tue) 15:56:52 |
【人】 詐欺師 アダム[ 夢は醒めてしまった。 だからこれは、夢の続きのお話だ。 ブーヨプスキュリテを出て アダムが向かう先にあるのは、 次の国ではなく、前の国。 ] (34) 2020/05/19(Tue) 15:59:17 |
【人】 詐欺師 アダム[ そんな、夢ですら見るのを やめてしまったような。 甘ったるい優しい結末を想像して。 アダムは小さく微笑んだ。 ]** (37) 2020/05/19(Tue) 16:05:03 |
【人】 詐欺師 アダムはじまり ―― epilogue ―― 待ちなさい、馬鹿鳥!! この ――― っ [ かかとの低い靴で、走りながら 思わずスラム譲りのスラングを吐きそうになるのを アダムは何とか押し留めた。 長く整えられた爪は短く切り揃えられ、 かつて伸ばしていた髪も、肩ほどまでしかない。 お嬢様の振りをしていたのは、もはや過去のこと。 それでも女性として、なけなしの理性を総動員して。 ] (71) 2020/05/20(Wed) 12:17:12 |
【人】 詐欺師 アダム[ 中には条件を提示する男もいた。 ―――― 曰く、 「君が騙しせしめたのと、同じ金額を稼いでみなさい。」 勿論、労働でねと言われれば、 アダム自身も異論はない。 現在アダムはとある屋敷で侍女として働いている。 今までなら一晩で稼げていたお金、 得るのに何ヶ月も費やした。 それは当たり前のことだけど――――。 ] (73) 2020/05/20(Wed) 12:17:50 |
【人】 詐欺師 アダム[ 空を飛ぶ生物に対して 地を這う人類はあまりにも無力だった。 追いかけながらも、どうしたものかと 必死に頭を巡らせた頃。 ―――― 一陣の風が、大地を渡った。 突風に煽られた烏は、 獲物を落とし、飛び去った。 空中に投げ出されたアクセサリーは そのまま風に乗って流れていく。 アダムは慌てて身を翻すと、 その行方を視線で追う。 ] (75) 2020/05/20(Wed) 12:18:48 |
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