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【人】 二年生 鳳 凛…大丈夫ですよ。 “貧乏神”に好まれる素質は、先生は父の足元にも及びませんから。 [落川は学校の教師として、当たり前のことを言っているだけだというのに。 ついさっきまで、あんなに楽しくて。 今からだって、花火を見ながら一緒にたい焼きを食べて、他愛のない話をして、いつものように楽しく過ごせる筈なのに。 初めて流す涙の理由が、凛には自分でもわからなかった。]** (63) 2021/07/28(Wed) 6:18:14 |
【人】 二年生 鳳 凛………私はずっと、“甘え”てたのですね。 先生はただ、“先生”として対応せざるを得なかっただけで [今日も、楽しいと思っていたのは凛だけなのだ。 いつも美術室から声をかけてくれるのだって。 育てた野菜で作った料理を美味しいと言ってくれたのも。 リメイクした拾い物を使ってくれているのも。 用がなくても来る凛に、何も言わないのも。] ずっと、私だけが… [同じように思ってくれていたのじゃなかった。] (71) 2021/07/28(Wed) 14:13:11 |
【人】 二年生 鳳 凛一緒に居る時間が心地良くて… 勝手に先生もそうだと思って [“甘え”て、] 良かったです。 “先生”に言われなければ、気付きませんでした。 [流れるものをそのままに笑う凛の頭上。 夜空に咲いた華がパチパチと乾いた音を立てて散っていく。] “先生”のお立場を知ってしまった以上、 もう“甘え”られませんわ。 [貧乏神のように姿が見えなければ、決めたひとの傍にずっと居られるのに。 凛は人間で、花一高の生徒で、 先生は“先生”だから。] …今まで、ありがとうございました。 [抱きかかえていた紙袋がクシャリと音を立てる。 凛は落川に頭を下げると、背を向けて歩き出した。]** (72) 2021/07/28(Wed) 14:13:14 |
【人】 二年生 鳳 凛── 花火の下で ── [落川が自身のことを“先生”だと強調するたびに>>166、凛の胸に痛みが走る。 その悲しみとなって溢れる感情の源泉は、間違いなく、目の前の人間と、これまでの日々の中で育まれてきたもの。 思い出される暖かい記憶が苦しい理由は、その時間が限りあるものだと、やがて消え行く夢なのだと、他でもない落川自身が言っているからだ。 経験を積んだために生まれる諦念>>165が経験が未熟であるが故ともいえる純粋な希望>>70を闇と光の狭間で呑み込む。] ────…生徒と教師、学校という繋がりがなくなれば、 先生の中で私の存在は消えてしまうのですか? [いっそ何もかも。 思いの丈を吐き出してしまえたなら。] (180) 2021/07/29(Thu) 12:53:18 |
【人】 二年生 鳳 凛[困らせるだけだ、と凛は心に目を伏せる。 当然のように、卒業しても、これまでのような時間を作ることが出来ると凛は思っていた。 生徒でなくなれば、流石に今のように美術室に入り浸ることは出来ないだろうが、それでも。 その気になればいくらでも、どこであっても会える筈。 二人が同じ気持ちであるならば─── ] (182) 2021/07/29(Thu) 12:53:22 |
【人】 二年生 鳳 凛── お祭りの後で ── [祭りを機にあからさまに凛が落川を避けるといったことはなかっただろう。 声をかけられれば普通に話すし、用事があれば自分から声をかけた。 傍から見れば何も変わりなく、今までのような“誉め言葉”を言う事もあっただろう。 ただ、その笑顔が今までとは違い、どこか静かなものになっていることに、当人の落川であれば、気付いたかもしれない。 不必要に美術室を訪ねることはもう、なくなっていた。] …あ、楓ちゃん。 お祭りの日はありがとうございました。 あの後、お祖母さんを訪ねさせて頂きました。 ──、あの日、私、少し色々ありまして、楓さんとお話していなかったら、ひとり、だったと思います。 いえ、基本、家ではひとりで居るのですが…………、 おかしなこと、言ってますね。 何を言っているかわからないかもしれませんが、お祖母さんを訪ねるという約束に救われたんです。 顔を出した私にお祖母さんは変わらずとても良くしてくれました。 お父様も夜にも関わらず、あの頃のように試作品をいくつか持って来られて。 味見してほしいって。 (185) 2021/07/29(Thu) 17:28:45 |
【人】 二年生 鳳 凛[校内で楓を見かけることがあれば、凛はそう伝えて微笑む。 柊一は小牧とのことを凛に話しただろうか。 話してくれたならば、凛は心から嬉しそうに良かったね、と伝え、小牧にも、柊一をお願いします、と謎の立ち位置からお願いしていたに違いない。 更に、柊一のことで何かあったら言ってくださいね、などと言って、篠田屋を訪れた際には幼馴染特権を振りかざして情報提供もしていたとかいないとか。 凛のために余分に用意してくれるようになった端切れから、制服に使うならと小牧よりアドバイスを受けるようになってからは、凛の制服のツギハギは少しずつ目立たないようになっているという。>>65] (186) 2021/07/29(Thu) 17:28:49 |
【人】 二年生 鳳 凛― ドクダミの花の頃 ― [夕鶴に声をかけられたのは、いつだったか。>>133 放課後、美術室で過ごしていた時間を凛は、園芸部部室で過ごすようになっていた。 園芸部は当番制で花壇の世話をすることがメイン活動なため、部室は殆ど倉庫状態になっていたが、掃除して綺麗にすることで、顧問より許可を得、放課後ひとりでも自由に使わせてもらっている。 その日、凛は日課の野菜の世話が終わると部室を訪れ、宿題も借りてきた本もそのままに、肌身離さず持っているオルゴールの音色に耳を傾けていた。] …え? [控えめに開けられた部室の扉の隙間、覗くようにしてこちらを見る夕鶴>>133に凛は机に伏せていた顔を上げる。] (187) 2021/07/29(Thu) 17:49:22 |
【人】 二年生 鳳 凛…確か貴女は、書道部の田邊夕鶴さん、でしたよね? 名前を憶えて下さっていたなんて嬉しいです。 [夕鶴を部室に招き入れながら、凛は笑う。 書道部には以前、パフォーマンスの練習用に使いたいという事で、園芸部で使っているバケツを貸し出したことがあった。 その際、どういった流れか家族の話をすることになり、例に漏れずドン引きさせて(困らせて)いたこともあったかもしれない。] え! ドクダミって古くから生薬としても活用されてきたという、あの万能薬の?! [漫画に出てくる説明キャラのような台詞を言いながら、凛は手を合わせると夕鶴の申し出に目を輝かせた。] (188) 2021/07/29(Thu) 17:49:25 |
【人】 二年生 鳳 凛でも、どうして私に? [不思議そうに尋ねる凛に夕鶴は事情を説明してくれたのだったか。 引き取ることが助けにもなるなら、凛は遠慮なく喜んで夕鶴からドクダミを譲り受けただろう。] (189) 2021/07/29(Thu) 17:49:31 |
【人】 二年生 鳳 凛───…ありがとう。 貧乏神だったら、姿が見えないし、勝手に好きな人に取り憑けばいいのですが、 人間は相手の同意を得なければいけませんので大変ですね。 でも、そういう得難い関係だから、 尊いのでしょうね。 [頑固者の幼馴染は未だ、凛のことを、優しくされるべき人間で、幸せになるべき人間だという。 そして、絶対曲げないという意思の強さで、そう言ってくれる柊一を、凛はやはり優しいと思うのだった。] (316) 2021/07/30(Fri) 17:02:00 |
【人】 二年生 鳳 凛[卒業しても会いたいと思う気持ち。 卒業しても傍に居たいと願う想い。 それは少なからず友達に対してだってあるし、それぞれの進む道が分かれれば難しくなることだってわかっていた。 だから、あの日まで凛は自身の内にある特別な感情に気付かなかった。 どうしようもなく溢れる涙の意味、悲しみを生み出すもの、それがどれ程凛にとっては大切で、かけがえのないものなのかを。 けれど、これまでも幾人もの生徒を送り出してきた落川にとっては凛も例外ではなく、その時が来れば別れなければならないことは決定事項。 そして、そのことを理解出来ない程凛は子供ではなかったから、取るべき選択肢はひとつしかないと思っていたのだが、] (317) 2021/07/30(Fri) 17:07:28 |
【人】 二年生 鳳 凛『凛もきっと、勇気を出して頑張ったんだろ。』 [幼馴染に言われたことに頷くことが出来なかった。 本当にこのままでいいのだろうかと思う。 拒まれるにしても、最後まで自分の気持ちと向き合って、落川と向き合って、決着をつけるべきではないのか。 明確に拒まれることが耐えられないから、逃げているだけではないのか。 これ以上、育ててはいけない想いだと美術室に行くことは無くなっても、凛は結局、時折落川と過ごした日々を思い出している。 買って貰ったオルゴールは捨てられず、どちらかと言えば大切にして、離れていても結局、気持ちが枯れる気配はない。] (318) 2021/07/30(Fri) 17:07:40 |
【人】 二年生 鳳 凛[三年生になったある日、凛は公園で一人暮らしの老婆と出会う。 彼女は凛が作っていた端切れの帽子に興味を持ち、話しかけてきた。 病気で、髪にダメージを受けたと言う彼女の生活には帽子は欠かせないという。 だが、なかなか被っていて楽なものがないということで、凛の端切れで作った柔らかい帽子に関心を示したのだった。 凛は彼女と共に柔らかい被り心地の帽子を作るようになり、彼女の所属する患者会に寄付したりしているうちに凛の帽子を正式に販売してはどうかという話が持ち上がった。 言われるままにネットにショップサイトを立ち上げたところ、売れ行きは上々。 販売金額に関しては、凛が決めると無料、や利益のほぼ出ない金額となりそうだったが、患者会のみなさんの意見を聞くことにより適正金額に収まっていた。 また、凛のお金は手元に残さないという性分は自身にのみ適用されるため、お店のお金が全額寄付されるということはなく、どうせ寄付するならと投資を進められたところ、思い切った手法が功を奏し、図らずも利益が倍増していたりしていた。] (320) 2021/07/30(Fri) 17:13:53 |
【人】 二年生 鳳 凛借金をして進学することにも魅力を感じましたが……… 私の作るものを待っていてくださる人が居ますので。 [凛は担任に進学も就職もしないことを告げた。] (321) 2021/07/30(Fri) 17:14:00 |
【人】 二年生 鳳 凛─ 卒業式 ─ [この日、花一高の生徒では無くなった凛は落川を探して美術室を訪れた。 個人的に美術室を訪れるのは随分久しぶりだったが、扉を開けるといくつもの記憶が頭に溢れ出す。 それは、懐かしくて暖かくて、大切で、かけがえのなかった時間だった。 離れていても、色褪せることのなかった思い出。 そこには、あの向日葵の扇風機はまだあっただろうか。] ………かなり久しぶりな感じがしますね。 少しだけ、お時間宜しいでしょうか? [落川を見つけたなら、凛はそう尋ねた。] (322) 2021/07/30(Fri) 17:15:34 |
【人】 二年生 鳳 凛………私は、卒業しても、先生と会いたいです。 “先生”以外の先生のことが知りたい。 気持ち、ちゃんと言わないと私はずっと、ここから動けないから。 [夢に向かう道は一本じゃないという。 これじゃなかったと間違いを繰り返しながらも、諦めなければいつか必ず辿り着ける。 辿り着いた時に初めて、自分の来るべき道に気付いて、今までのこと全部が無駄ではなかったと、辿り着くために必要だったのだとわかるという。 凛は今、叶わない夢を口にしているのかもしれない。 だが、例えそうでも、後悔を残さないためにも最後まで向き合うことが凛には必要だった。 落川の返事はどうであったか。 それがどんなものであっても凛はきっと、これまでで一番の笑顔をみせて彼にこう言ったことだろう。] (324) 2021/07/30(Fri) 17:24:28 |
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