148 霧の夜、惑え酒場のタランテラ
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[この五年ほどの間、
憎い奴らの顔を忘れることはひと時もなかった。
全員しっかり覚えている。
……残念ながら、未だ巡り会えてはいないんだけどね。
僕が知る限りお客様たちは、基本良い人ばかり。
それが世界中の善人比率が高いということの証左なら、
それはそれで良い事だとも思うけれど。
流石に僕も良い人相手に悪さをすることはしないよ?
あんな死を遂げたからこそ、
良い人が理不尽に不幸な目に合うのは、大嫌いだし。]
[復讐は何も生まないとはよく言ったもので。
確かに生まない。
僕が悪党の魂をその身から引き抜けば、
悪党から生まれる筈だった被害者も
生まれなくなる
。
だからといって、自分の行いを正当化するつもりはない。
命を奪う事は、例え相手がどんな人間であろうと、
それが正しいなんてことは、決してあり得ないと思う。]
[運命の再会を果たし、
内心で
「ここで会ったが百年目」
なんて
ほくそ笑む日はきっと来る。
それが僕の持つ、強くて暗い願望。]
[霧の夜に惑い、一歩でもこの店に足を踏み入れたら最期。]
| ───…ありがとう、 よかった 預かってくれて [ 言葉ほど危ういものはないと知っているから 生きていることは、 それが多くの理不尽を避けて 生をつかみ取れた幸運なのだと。 例え死んでも伝えに取りに来る これが僕にできる意の表明だったから ] (192) 2022/05/30(Mon) 0:58:26 |
| わかった、また来るよ …3週間でいい その間だけ、待っていて 必ず 戻ってくるから。 [ 3年の時が経っても 焦燥が途絶えるわけではないか、 だから未練、なのだ。 そんな中の3週間ならあと少しではあるけれど 違えないための、約束を。 今度こそ。 指輪について聞けば しばらく何も言わずにただ、微笑んだ。 未練が解消されれば魂にとって、 この世に留まる理由は消える 目を伏せたくなる事実だ …それでも姿を見られるのが最後になると 思ったら、伏せられなかったけれど。 ] (193) 2022/05/30(Mon) 0:59:53 |
|
────またね、
[ 心の向かいに関わらず、日は昇る。 完全に姿が見えなくなったあと、 漸く目を伏せて。 ]
(194) 2022/05/30(Mon) 1:00:22 |
| ── 時が過ぎて:酒場『MiraggiO』前 ── ……………───誰か居ます、か…? [ 扉をノックすると小刻みに トントン、と木の軽快な音が鳴る 以前とは違う様相の 重たい鎧は無い 新しげなローブに 身を包んだ 水髪 の男が一人 前にもこんな言葉を呟いたような気がするけど 見えないと多少不安にはなるんだって、 どうしようかと考えている間のこと 手紙でも降ってきたら驚くには違いないだろうね ] (195) 2022/05/30(Mon) 1:02:30 |
| [ ───進んでいくんだろう 着いてきてくれている、と思って 明るい道を。 もう見ることの出来ない友人に うちのお姫様は無事にお嫁に行ったよと 歩きながら、勝手に話そうか
僕ばかりなのは仕方ないだろ そっちの話は何十年後かにでも僕が終えてきた先で 楽しかったことから、聞かせてよ 今はまだ、一方的なお願いだ。 ] (196) 2022/05/30(Mon) 1:04:17 |
| ────3年程前まで居た アイシャ、という女の子の行方について 何か、知っていることはありませんか 探しているんです …どうしても、見つけないといけない。 些細なことでも構いませんので どうか。 [ 貴方が下げることの出来なかった頭を 床へついてでも下げよう
貴方が伝えられなかった言葉を この口でできる限りの音として ] (197) 2022/05/30(Mon) 1:05:20 |
置いていこうとする仲間には拒絶を
俺を受け入れてくれるやつには
仲間だと言って
そしてまた俺は置いていかれることに怯える **
[一目見た瞬間に、ありもしない心臓の高鳴りを感じた。
電撃が走るように鮮烈な、運命の出会い。]
[やっと
会
いに来てくれたんだね!
ずっとずっと、僕はここで
待
ち焦がれていたんだよ。]
[そ知らぬ顔で近づいて、注文を取り料理や酒を提供する。
最初はビールを飲んでいたけれど、
「お薦めはあるか?」と聞かれたから、
オリンピックとブラッディマリーを出してやった。
その意図に気付くこともなく、美味しそうに飲んでいたよ。
滑稽だね。さてはこの人、教養がないな?]
[
子供らしい笑顔で、話を聞いた。
その裏で、賢しさと殺意を研いで。
この日は他が疎かになってしまったけれど、
どうか許して欲しい。
何年も待ちわびた、千載一遇のチャンスなんだ。
「海賊は格好良い!」「僕たち海の男の心は一つ」
そんな虫唾が走るような嘘も、平気で吐いた。
店員が、お客様に嘘を吐くわけにはいかない?
奴はお客様じゃない。憎い仇だよ?]
[ブラッディマリーでの宣言通り、
霧が晴れる前に僕は無念を晴らした。]
[一人の未練を抱えたゴーストは
そのまま、光と共に
溶けて、消えた。
その表情は、幸せそうに笑いながら───── ]
[ 命とはどれだけ鍛えたとしても
永遠になどなれない。
人はいつかこちら側へやってくる。
きっと俺は未練が多かったんだ
迎えにきて欲しかった
(亡骸を見つけて欲しかった)
死を悲しんで欲しかった
(弔って欲しかった)
みんなで力を合わせて逃げたかった
(一緒に戦って欲しかった)
逃げたアイツらを殺してやりたかった
(後悔をして欲しかった)
どれも
正解
。
そして今はどれも
。 ]
| [ この世の全てに答えはないから 迷い、惑い、選ぶしかできない この答えも、今だけは正しいと思っているよ どうか、いつまでも良い夢を。 甘い優しさは貴女の傍に、ある。 ] (302) 2022/05/30(Mon) 21:19:38 |
| 私は、貴女の仇となろう。 次の答えを見つける日まで。** (303) 2022/05/30(Mon) 21:20:06 |
[ 魔法の使えない人の子
君のおかげで和らいだ子もいたんだったか
料理長の不在は重たいけれど、なんとかしよう。
海に持っていくには熱すぎる炎の行先
仇
は無事に見つかったようでよかったね?
幼子が背負うには大きな傷だ
もし次来る時があれば
今度こそ最果ての地を見てくるといい
今度は幼子なんて言われないよう、成長してね。 ]
[ 誰よりも不真面目なように見えて
誰よりも真面目だったのかもしれないね
次もお客さんとして来てくれる彼には
きちんと指輪は返しておくよ
一度覚えた
絶望をもう一度
目の当たりにすることになっても
選ぶと言うなら ただ祈ろうか
君が愛した人の
生
を
次は夢でなく、現実に見るといい
まだ見ぬお酒も、出会いも 幸せも
きっと君をこの世で待っているよ。 ]
[ やっぱり君は光だったと思うよ
自らを燃やし尽くしてしまう光
話していなかったけれどね
僕の道は照らされているんだ
最愛の人は ここへ居るから。
僕に君の道を照らしてあげることは出来ないけれど
そうだね、もし戻ってきても望むなら
この世から、
消
してあげようか。
…なんてね 燃え尽きてしまう前に
灯りを見つけることを願っているよ
休暇の後
見つからなければ、帰っておいで。 ]
[ 君とはまだ長い付き合いになりそうだね
この先もずっと、かな。
失う痛みを知りながら
与える痛みを知っている
君の未練が永遠に晴れる日が来ないのだということも
気づいているから、目を瞑る
終わらない時も退屈なんだ
そろそろ
互
いの話でもしてみるかい?
───冗談さ 僕たちには必要のない話だ。 ]
「セシリー……ごめんなさい。
私にとっての正解は、選べなかった。
世界にとっての正解を、選んでしまった。」
ずっと、後悔していた。
それでも、
そんな私が祈っていいのなら、届くのなら…。
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