【人】 X『教皇』 カルクドラ[ カルクドラ・ヨッド・クリフ。 『教皇』の証持ちは聖職者の一族に宿ることが多く 南地域スティド教会司教の息子であった少年もまた 例に漏れない家系出身だった。 幼い頃から立派な聖職者になるべく邁進し、 齢十の頃から三年間、宗教総本山の在る西地域への 留学を経て立派に成長し、聖職者への輝かしい道を 丁重に敷き詰め、関係者やは皆、少年の成長を 心待ちにしていた。 少年本人と、両親以外は。 二十三年前、南地域にて生を享けた 赤子の心臓付近の胸元には、見落とす位に小さい 薄い斑点のような痣が存在していた。 両親は、初めて痣を発見した際に 不吉な感覚を覚えるも、必死に払い除けようとする。 気のせいであって欲しい、間違いであって欲しい、と。 しかし、幼子の成長と共に痣の面積は増え鮮明に色付き 五つになる頃には、両親は我が子が “証持ち”であることを確信する。] (108) 2022/12/11(Sun) 14:15:27 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 痣は咎の証であり、世間から迫害されることも少なく無い。 生家である教会には過去、証持ちが生まれた際の 先祖の日記が現存していたが、記録によれば 或る時代には 捨てられ 、消息は不明のまままた或る時代には、 不自然な病死 を遂げていた。 苦渋の決断の末、過去の事例と同様 両親は少年を手放そうと決心した。 ──────その時。] ぼく、すてられちゃうの? なにか、わるいこと、した? ……ごめん、なさい。 [ 気難しい表情の両親の元に、涙を浮かべた少年が訪れた。 晩婚の末漸く授かった、跡継ぎにして最愛の一人息子が。 両親は少年を抱き締め、子供のように大粒の涙を流し この時から少年と共に、苦難の道を歩むことを決意した。] (109) 2022/12/11(Sun) 14:16:10 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 心臓部付近に刻まれた証は、歳月と共に成長し 齢十の頃には、黄金色の波紋型の痣は 一目で判別可能なまでに成長していた。 同時に、少年が絶望に打ちひしがれ、 荒れ始めた頃でもある。 この頃には、少年自身も既に痣の色、柄、出自、 教育により、自らの運命を悟っていた。*] (110) 2022/12/11(Sun) 14:17:29 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 人々を分け隔てなく愛し 救いの手を差し伸べた者 絵に描いたような聖人であり その人望と慈悲深き愛から “ 慈愛の聖者 ”と呼ばれていた しかし本人は奢ること無く その肩書を「重い」と好まず 別の名で呼ぶように、と周知していた ※注釈 ( “慈愛の聖者”の記録は 途中の一部記録が紛失している。 一説を描かれた文書は現存するが、 信憑性が薄く、創作論を唱える派閥も存在する。 ) ] (114) 2022/12/11(Sun) 15:05:34 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 箱庭崩壊時の慈愛の聖者の末路としては 以下のように記されている 『死神』を自らの手で 憎悪を込め 幾度と、念入りに殺害する その後は自らの運命を嘆き、憎み 世界、全ての存在の 破滅を願い 獄中で呪詛を吐き、発狂し果てた *] (115) 2022/12/11(Sun) 15:07:17 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 職員からいつもの茶葉と 南東土産の黄色い熱帯果樹を幾つか受け取り 紙袋を抱え戻ると、遠目からユグの姿が見えた。>>73] ごめん、補充に行って遅くなったよ。 南東地域のお土産も貰ったから、これも食べようか。 [ 紙袋から覗く珍しい黄色の果物を見せ、穏やかに微笑む。 彼は北東部出身のはず。 過去に訪れたことが無ければ、 この黄色い果物も珍しく映るだろう。] (116) 2022/12/11(Sun) 15:07:35 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ ユグを室内に招き入れ、いつもの紅茶>>25を入れ 熱帯果樹を器用に切り分け、皿に盛り差し出た。 同時に、古びた革表紙の本と 比較的新しい、図入りの本二冊を机に置く。] 前頼まれていた本だけど、これはどうかな? 後、頼まれたリストには無いけれど 学生時代に勉強した内容で、面白かったんだ。 [ ユグに頼まれていた古びた革表紙の本を一冊。 もう一冊の図入りの本は、特に頼まれていなかったが 異国の宗教史の本。 時間があればどうぞ、とおまけ感覚で一緒に添えた。] (117) 2022/12/11(Sun) 15:08:10 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 彼が初めて館に来たのは四年前、 骸骨のようにひどく痩せた姿だったものだから 「新たな生活には慣れたか、困ったことは無いか」と 幾度か声を掛けていた。>>70 それから間もない頃、話の流れで 男が教会、聖職者の家系出身であることを告げ 話が弾み、話し込んだ記憶がある。] んっ、甘……、おいし……。 もう一つ食べないか? [ 土産の南東土産の果物は見た目以上に甘く、 弾けるような瑞々しさに、思わず声も漏れてしまう。 彼がまだ口を付けていないようなら薦め、 一方男は二切れ目三切れ目へと次々に手を伸ばす。] (118) 2022/12/11(Sun) 15:08:25 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ ──さて。 男は昔から、聖職者の真似事のようなものを行っている。 新たに館に人が訪れれば、まず声を掛けに足を運ぶ。 彼らが馴染めるよう、不安を振り払うべく。 その中でも、三年前に男が迎え入れた友と 彼──ユグは特に気に掛け、幾度か声を掛けていた。 ユグはあの男が連れてきたから。 あの男の柔和で人の良さそうな笑みに、 ] 落ち着きを覚える者も居るだろう。 警戒することなんて、本来あるはずが無いのに。 ────それでも。 (119) 2022/12/11(Sun) 15:09:00 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 魂に刻まれた記憶が、心が。 幾多の螺旋が複雑に絡み合い、縺れが解けぬまま 気付けば自然と距離を取っていた。**] (120) 2022/12/11(Sun) 15:09:47 |
X『教皇』 カルクドラは、メモを貼った。 (a19) 2022/12/11(Sun) 15:19:00 |
X『教皇』 カルクドラは、メモを貼った。 (a43) 2022/12/12(Mon) 1:40:48 |
X『教皇』 カルクドラは、メモを貼った。 (a44) 2022/12/12(Mon) 1:45:31 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ── 祈祷室・ユグと ── いいよ、気にしないで。 これ、職員さんの所に補充に行った時 新しい紅茶の葉があると聞いて貰ってきたんだ。 味見して、今度感想聞かせてね。 [ 南東地域の黄色い果実の追加を出し、 柑橘系味の紅茶の茶葉が入った小袋を横に置く。 柑橘と言えば、彼が洋館に来て間もない頃 皮ごと齧ったのを見て、慌てて引き離した記憶がある>>167。 皮を剥いて見せ、中の薄い皮はそのまま食べると教え 彼の様子をじっと見守っていた。 その後、「一度僕の部屋においでよ」と誘った>>168。 食べ難い柑橘とは違う、そのまま食べられる クッキーや焼菓子を渡した。 焼けた小麦の香り、甘いバターや砂糖の味らを 彼はどう感じただろうか。 「世の中には美味しいものが溢れているんだよ」と 新作や珍しいものがあれば、彼に頼むことが増えていった。] (324) 2022/12/12(Mon) 19:23:05 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ本の返却は急がなくてもいいからね。 時間がある時にでもゆっくり読んで。 [ 彼が初めて洋館に来た頃は、 生きていくだけで精一杯だっただろう。 だからこそ、様々なことを知って貰いたく どうせこの生活から抜け出すことは出来ないから 楽しさを感じる時間を、少しでも多く持って欲しかった。] (325) 2022/12/12(Mon) 19:23:33 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 彼の様子を笑顔で眺めていた時 唐突に上がる名>>169に数秒、動きが止まる。] ……そうだね。きっと、喜んでくれると思うよ。 [ 反応したのは『先生』という単語。 彼が先生と呼ぶのは──死神。 タナトスがユグ迎えに行き、様々なことを教え、 名実共に先生であることは当然知っている。 読み書きさえろくに出来ずにいたユグが>>170 今や喜んで本を読むようになったのも、彼の力が大きい。] じゃあ、これをどうぞ。 残り一つしかないから、どちらかに渡すか それとも、半分こにして二人に渡す? 二人に渡すなら、今の間に切っておくよ。 [ 紙袋の中の残り一つの果物を、彼の正面に置く。 男とタナトスの関係はこの場では関係ない。 ユグの優しい心を尊重したいのが事実だ。] (326) 2022/12/12(Mon) 19:25:57 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 過去『死神』と『教皇』が対立しがちだったことは 経典に記されている事実であり ユグ──『吊された男』も 二人の関係を知らない訳では無いだろう。] ( 今世──今を生きる僕たちには 何の関係もない。 経典の『教皇』と僕は別人だ。 だのに 心を振り回される現実が 、、 ) * (327) 2022/12/12(Mon) 19:28:27 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 持たせた果実は、皮が残ったままの一つか。 皮が剥かれた二つに切り分けられた状態か。 ユグからアリスの誕生パーティーの話題が出ると>>239] チェレスタ達が歌を歌うらしいから、 僕はオルガンを弾く予定だよ。 [ >>42チェレスタからの提案には 「伴奏が必要ならば」と、名乗り出ていた。 幼い頃から教会のオルガンと共に過ごしていたので 歌より役に立てる気だろう、と。 洋館に来てからは、気が向いたら音楽室に立ち寄り 鍵盤楽器に触れる程度だが、未だ指は動くようなので 複雑な曲でなければ大丈夫、と。 今回歌以外の募集がなければ 別途、独奏で演奏するつもりでもいる。] (328) 2022/12/12(Mon) 19:34:54 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ邪魔……? [ もう一つの疑問、正しくは不安が漏れれば 再び笑顔は消え、ユグの目を見る。] まさかそんな……大丈夫だよ。 ……もしかして、何か心当たりでも? [ 一応、確認を問い掛ける。 パーティー前の楽しい空気の中、 人の良い彼が、不安を煽るためだけに態々言うと思えない。 何か良くない出来事があったのだろうか。**] (329) 2022/12/12(Mon) 19:36:11 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ── 回想:クリスタベル ── [ 彼女、彼──クリスタベルが館に来たのは五年前。 男が館に来て二年が経過した頃だった。 予想だにしなかった自己紹介には>>27困惑を隠せずにいた。 その時は失礼ながら全身をくまなく見させて貰い 線の細さ、体つきは女性のものと思われたが。] 二人で一つ……? う、うん、とりあえずよろしくね。 [ 一つの体に二つの魂が入っているのだろうか。 それとも、一つの魂が分裂しているのか、不安定なのか。 瞬時に判断するにはあまりにも難しく この時は定型文の挨拶しか返せずにいたが 後日、「お茶での飲みながらお話しない?」と まるでナンパのような流れで 改めて詳細を聞くことにした>>230] (341) 2022/12/12(Mon) 19:56:03 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ もし、神が何故完璧につくってくれなかったのかと 彼彼女の問いを聞くことができたならば。] 「完璧になるための道を与えられたのかもしれないね。 人生は長いから、簡単にゴールまでたどり着けない。 平坦な道が続いた結果いずれ飽き、 興味本位で横に反れ、戻れなくなってしまうかもだから 目標を定められたのでは。」 [ と答えていただろう。 もし厳しい、と感じているならば 「神は乗り越えられる試練しか用意しない」と付け加えて。] (342) 2022/12/12(Mon) 19:56:18 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 神は全てを許すのだろうか、との問いがあらば] 「もちろん。許すも許さないも無いよ。 君が許されると思えたなら、その段階で許されている。 許されないと思っているなら、いつか許されると信じて。」 [ 回答があまりにも的外れで綺麗事で 所詮“聖職者ごっこ”でしかない、と 一蹴されるかもしれない。 聖職者ごっこなのは紛れも無い事実である。 それでも、君のことを理解をしたかった。 悩める君に寄り添いたかったのが一番、という 思いが伝われば良いのだが。**] (343) 2022/12/12(Mon) 19:56:29 |
X『教皇』 カルクドラは、メモを貼った。 (a57) 2022/12/12(Mon) 20:01:30 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ── 回想:『月』に至る ── [ 今から三年前。 担当職員より、とある証持ちについての資料を渡された。 資料を渡された段階で察していた。 この証持ちを迎えに行け、ということだろう。 資料を捲ってみると、彼の境遇が細かく記されていた。 心が締め付けられるようなことも。 ]お邪魔します。 私は政府の使いであるクリフと申します。 御子息殿をお迎えに参りました。 エーリク殿、ご家族殿に面会をご希望いたします。 [ 交渉に必須の柔らかな笑顔に穏やかな語り口で、 単刀直入に用件を伝える。 不在ならば、笑顔のまま何時間でも待つことにしよう。] (610) 2022/12/13(Tue) 21:15:31 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[『月』の証持ち・エーリクは 『教皇』の魂を持つ男と対峙した際 どのような表情を浮かべただろうか。 男には、魂が潤うような懐かしさと 月光が降り注いだような、安らぎが降り注いだ。 ──君の居る場所はここでは無い、僕達の居る場所だ。 すぐに口を突いて溢れ出そうな言葉も 手を引き、連れ出したくなる感情も抑え取り繕う。 やがて、縋るように歩み寄って来た少年の手を握り 改めて感じたことは 今にも崩れ落ちそうな、硝子のような儚さと繊細さ。 ── この壊れそうな少年を、守らなければいけない。 かつては身なりも良かったであろう彼の家族と どのような会話を交わしただろうか。 我が子を頼むと泣かれたか、政府の犬と疎まれたか、 それとも食い扶持が減ると歓喜されたか。 どのような対応であれ、少年を今まで育ててくれたことに 感謝を告げ、「御子息は我々が守ります」と 真摯な表情で告げたことには変わらない。] (611) 2022/12/13(Tue) 21:16:27 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 陽が落ち始めた橙の空の下、共に洋館へと向かう最中。 同行の職員と別れ、二人きりになってから声を掛ける。] 改めまして宜しく、エーリク。 僕はカルクドラ。 君の味方で、仲間で、友人だ。 辛いこと、苦しいこと……たくさんあったと思う。 最初の間は慣れなくて戸惑うかもだけど、 何でも頼って欲しい。 君には幸せになって欲しいから。 [ 負の感情程、心に刻まれやすいとは言うが、 正の感情も、同等に刻まれて欲しいもの。 少しでも思いが届いてくれれば良いのだが。] (612) 2022/12/13(Tue) 21:16:45 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ しかし、男の期待とは裏腹に 洋館で暮らし始めた彼は自室からあまり出て来ず、 出てきたとしても陰のある表情のことが多く 時には抜け出すこともあった>>220 戻って来れば、どこに行ってたのかと優しく問い掛け 楽しかったか、と様子を聞く。 肯定が返って来れば良かったと微笑み 微妙な返事があれば、残念だったねと相打ちを打つ。 抜け出した時にも、「良く戻ってきたね」と 咎めることは決してしなかった。] (613) 2022/12/13(Tue) 21:17:03 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 男自身も洋館に来た当初は、素行が悪く 何度も抜け出し、悪さもしていたので その行為を咎める資格すら無かった。 男の場合、その度にヴェルトに叱られていたのだが。 『世界』── 七年前、少年が洋館に来た際、リーダー格だった男。 普段から優しい態度を崩さないヴェルトは 少年が悪さをする度に優しくも厳しく叱り、 真摯に向き合っていた。 一方、少年はどこ吹く風で話を聞き流し 言葉ばかりの反省の言葉を誂えていた。] (614) 2022/12/13(Tue) 21:17:16 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ しかし、数か月が経過した頃 ヴェルトは突如姿を消してしまう。 少年はこの出来事に酷く驚いた。 真偽はともあれ、少年自身ががあまりにも我儘なせいで、 愛想を尽かし出て行ったのだろうか、とすら考える程に。 同時に、彼に構って欲しかったことに。 彼に構って貰えたことが嬉しかったことに、 居なくなってから気付く。 数日経っても、数週間経っても、 ヴェルトは戻って来ることは無かった。 この頃から、少年は別人のように 真面目に、品行方正な態度となっていく。 流石に自分が原因で出て行った、とは思わなくなったものの 彼が戻って来た時に、迷惑を掛けないように。 消えてしまわないように。 構って欲しくて叱られるのではなく、彼の力になりたい。 なれるように立派になりたい、と思うように。 リーダーの突然の失踪は、少年の心も変質させていた。] (615) 2022/12/13(Tue) 21:18:31 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ (616) 2022/12/13(Tue) 21:19:56 |
(a93) 2022/12/13(Tue) 21:28:41 |
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