100 【身内RP】待宵館で月を待つ2【R18G】
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「
知りたいって言われたから こたえただけですよ
」
「では相手とやり方は僕の方で決めよう。只候補はあるが成功可否は判らないから其のつもりで。
何となくだけど彼は館の理から少し外れてる気がするんだ。
…まァ失敗したら館の主人のせいさ。もっと便利で強大な理を僕らに与えなかったのが悪い」
先程見せたキエの怒気はすっかり霧散し一滴も見当たらない。代わりに役目に関わらず自らの意思で殺人を計画するリーパーへの感心が隠れている。
キエは殺人を好ましく捉えないが、自ら考え決意し行動に移す者は好ましいと捉えるからだ。
「また何か在れば伝えるよ。互いに運が在ると良いねェ?
……いってらっしゃい、リーパー君」
キエは名前を呼ぶ。名前こそが存在を示す証拠であると考える。
…
……
………
| トラヴィスの舞台は"美しかった"。 感想はそれだけ、そして―――。 「誰が――俺を、彼らを殺すって?」 一人見えない眉をひそめて。 ゆらりとナイフを握りしめる"彼"の声を聞いた。 この声は届かない。 己に刃を向けるのであれば に向かおうかと思っていたけれど。 今は集中が出来ない。 何処だ、何処に行ってしまったんだ。 居なくなるなら、言ってくれよ。 何度も独り言のように繰り返されてその言葉は霧散していく。 「―――――やっぱり、本当に居なくなったのか」 彼女はずっと自分の前に姿を現さなかった。 呼んだのに、いいえ、来て欲しかったのにです。 彼女のために料理を作ると約束をしていたから。 たったそれだけでした。 彼女が消えたことに文句があるわけではありません。 ▼ (@16) 2021/10/23(Sat) 4:15:44 |
| 「――俺が殺す前に、手を出されたのは許せないよな。 こうなるからこんな狂った館に死神[ヒトゴロシ]は一人でいいんだ」 新調したナイフを再び懐に収める。 口元に残った血の味をまた思い出して、苦い顔をした。 何度拭っても染みが抜けない。 何度ゆすいでも口の中は鉄の味がする。 そんな幻覚。 「こんなことになるなら、早く殺しておくべきだったな」 誰をとは言わずそのまま足を進めた。 今は誰にも会いたい気分になれないし。
ああ、早く一人になれる場所を探そう。 (@17) 2021/10/23(Sat) 4:20:59 |
あなたの胎の中が蠢く。
どどめ色の極彩色から、逃げ回る素朴な光。
ゲイザーには聞こえている。
それらの愁傷、苦悩、寂寥、憎悪、絶望──その声が。
その中の、僅かな後悔──その声が。
あなたは周到な手段で目的を遂行する。
相手の合意ありきで行動する。
けれど、誘われたのはリーパーの方だ。
ゲイザーは何も聞いちゃいない。 ⇒
そして、ゲイザーは。
物語のヒロインでも、守られるだけのか弱いお姫様でもない。
リーパーがゲイザーなら。
ゲイザーだって、リーパーだ。
『……さん!』
『キエさん!! 聞こえていますか!!!!』
ゲイザーは怒っている。
あなたの胎の底で逃げ回るならば、
あなたの声だって聞こえている。
語りかける寝物語も、その全てが。
『あたしあなたのこと許しませんから!!
出してください、ねえっ!!』
『あたし、謝らなきゃいけないことがあるんですっ!』
『ミズガネさんに』
『チャンドラちゃんに』
『……リーパーに!!』
『そのどれもが、あなたのお腹じゃ成し得ない!
リーパーと会えるのがあなたのお腹の中なら」
『あたしたち二人揃って神隠しされて、
だれにも見えなくなったほうがずっとマシ!!』
⇒
『リーパーが頷いたからこうしたのは知ってる!』
『でもあなた、ムカつくんですよ!!』
それは正当でもなんでもない。
不当な怒りだ。
『出してくれないと
あなたのお腹蹴っ飛ばしますよ!!』
あなたは自らを定義し、そして同時に人に定義される。
人と共生することで生き永らえる存在だ。
だからこそ狡猾に動く。
ゲイザーは特別だ。記憶じゃない。
確固としたひとつの人格があなたの胎に治まっている。
だから反抗を成し得た。
この館で、願いは魔力となり力を持つ。
館の魔力を無自覚に用いて、ゲイザーは外に出たいと主張する。
さて、どうなる?
これは人ならざる怪物と、最早人の形を持たぬヒトの力比べだ。
「君に許されなくたって僕が僕を許すんだから其れで良いんだよ。人間は本当に身勝手だなァ…君達の都合に僕を付き合わせないでほしいね」
キエは胎の底から聞こえる声を聞き流していた。其れは自分が得意とする
夢の世界にいるからこその余裕であり慢心でもあった。
“人格を喰らうのは僕も初めてでねェ。
咀嚼に時間がかかってしまうだろうがそこは許してほしいな”
此の言葉に嘘偽りなくキエが胎に人格を収めたのは初めての事である。意思を持つ食べ物など初めて口にしたが故に胎の中から抗われた事も初めてだ。
だからこそ、此の展開をちっとも考えていなかった。
未だ“ゲイザー”に此処まで意思が残っているだなんて思っていなかった。
「
」
キエは初めて吐き気を催す。
キエは嘘吐きであるし数え切れない程の嘘を吐いてきたが幾つか本当の事がある。其の内ひとつが食の細さだ。
大食らいでないからこそ此の在り方に馴染んでいる。
性でもなく感情でもない力が胎で溢れれば直ぐに許容量の限界は訪れてしまう。
「ちょ、
ちょっと
」
「待って、本当に待って………此の儘だと
。君以外の感情も全部を撒き散らしてしまうよ、其れは望む処じゃあないだろ…」
此の小さな箱庭で禍根を全て零してしまえば結果は目に見えている。此れまで散々見せて来た高圧的な態度は今や見る影もない。
あのキエが、心底から焦燥している。……効いている!
「ええっ!?」
だが思わずゲイザーはその足を止める。
それが嘘じゃないのはわかった。胎動している。
このおどろおどろしい、感情のひとつひとつが。
その中にはきっとリソースとなったトラヴィスや、
ほかゲイザーも知らぬ契約を交わした
ゲストたちの記憶が混ざっている。
「そ、それは困ります……。けど、そうは言われたって!
……どうすればいいんですか!」
胎の底から1匹の鰐が浮かび上がると其の背中はゲイザーの足場になった。
「はいはい、出してあげるから大人しくしてなさい。…で、何処に出るの君」
鰐が発する声はキエのものだ。此の鰐が“キエ”だと夢を見ているゲイザーならば判るだろう。
鰐はゲイザーを乗せてゆっくりと感情と記憶の沼を泳いでいく。
………そう、沼だ。ゲイザーは人格であるから直ぐに混ざらなかったというだけで、本来胎の中は泥濘のように混ざっている。此処から特定の何かを掬い上げる事など砂浜から一粒の砂を探し当てる事に等しい。
何処かから赤ん坊の泣き声が聞こえる。
「君達が勝手に持ち込んだ魔力とやらを使わせて貰うからね。君も出られるんなら文句無いだろ?」
キエの行動は酷くあっさりとしていた。此処から出る為の試練も無ければ課題も無いが其れが“キエ”だからだ。
| シトゥラは、契約内容ねえ。へえ。そう。っていう気持ち。 (t14) 2021/10/23(Sat) 19:10:22 |
| >>@20 >>@21 見学席達 足音が二人の席の傍で響いた。 持ってきたスコーンを プルー、トラヴィスの順に だす。 ジャムは、5つほどカラフルな色合いを準備した。 料理好きの男でも流石にここまでは作っていないだろう。きっと。 隣の席から椅子を持ってくれば、プルーの真隣に置き席に着く。 そのまま彼女の肩に頭をもたれかけ、いまにも眠りそうな姿勢。 そんなシトゥラは持ってきたカップに怠惰に紅茶を入れ、 表情がわからないままあなた達の修理の作業と会話を眺めている。 (@22) 2021/10/23(Sat) 19:44:45 |
定義がキエを形作るとするならば、
この鰐もまた、キエの一部分なのだろうか。
ゲイザーは悍ましいアトラクションのような景色を進む。
「ま、魔力……? あたしっ、魔法使いじゃありませんし。
よくわからないですけど……。
わ、悪いことしないならいいですよっ!」
きっとあなたは、
”悪いことなんて滅相もない”なんて返してしまうのだろう、
そも善悪基準が人間とは違うのだから。
拍子抜けするほど簡単な脱出に、
”もっと早く声をあげればよかった”なんて思いながら。
⇒
「…ん、見えた」
目的地を意識に捉えると迷う事なく速度を上げた。
キエは人を導かないし救いもしないし愛していない。されど人を大切にせざるを得ない曖昧模糊な存在だ。
人によってキエは善にも悪にも成ってしまうし、キエ自身も自ら其の在り方を選んだ。其れはキエの嫌う面倒が多く在る筈なのに選んだ道だ。
赤ん坊の泣き声が遠くなっていく。
「相も変わらずおかしな事を言うねェ君は」
| >>@23 >>@24 >>t15 >>@25 >>@26深い青色のブルーベリー。 眩い紅のクランベリー。 甘さを控えめにしたバタークリーム。 「……楽しそうで何よりですね」 頭を撫でられる、この距離感が心地よい。 もう色んなものに慣れきってしまって変化なんて求めていなかったのに。 誰かへ優しさを振りまくことも刹那のものと知っていたのに。 新しい人たちは期待をさせるし、目の前の人間は変えられる。 本当に困ったことだ。 「俺も、楽しかったですが。 流石に―――怠けているのはやめにしようとおもいます」 (@28) 2021/10/23(Sat) 20:59:49 |
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