【人】 オルテイシア[料理は一手間加えるだけで、味が変わるのよ。 ……と、母はよく言っていた。 その言葉に軽く相槌を打つだけで留めていたのは、 つい最近までのこと。 自分が食べるだけならと、おざなりにしていた料理は 彼と暮らすようになってから味が気になり始め。 母の味が好きだとよく言っていた幼かった彼は 大人になり実家に共に挨拶に向かったときも、 母の手料理に喜んでいたから。 その頃から少しずつ、時折実家に戻っては 母の味の指南を受けるようになっている。 ほら、見なさい。という母の誇らしげな顔が、 羨ましくもあり、越えてみたいという気持ちも、また。] (26) 2023/06/26(Mon) 19:56:48 |
【人】 オルテイシア[もちろん彼の手腕から盗むことも多々あるから、 どちらかといえば私は、 母と彼のいいとこ取りをしている サラブレッドのようなものだ。] 卵とじうどんですか? だったら、あんかけにしても美味しそう。 [そんな相槌を打てる程になるくらいには少しずつ。 料理の腕も成長してきている、と思いたい。] (27) 2023/06/26(Mon) 19:57:10 |
【人】 オルテイシア[片付けをする傍らで、雨を気にする彼に笑う。] そうですね、平日だったら多分出勤してたと思います。 [余程出勤人数が減ることがなければ、事務と言われる 仕事は積み重なるものだから、つらいところ。 人を気遣う癖はやっぱり、彼本来の性質なのか。 会話の隙間に見える人柄に目を細め、] うん、たくさん夜更かしできちゃいますね。 [悪いことに誘うみたいに、そのまま片目を伏せて笑ったり。 ようするに機嫌が良いことは伝わるだろう。] (28) 2023/06/26(Mon) 19:58:03 |
【人】 オルテイシア[大きな身体に包み込まれるみたいに、身を落ち着ける。 笑う声がお許しだと分かれば、彼にも見やすいように 両手でタブレットを持ち、少し身を低くした。 付き合う前には恋愛映画を自分に置き換えて、 楽しむことだってあったと思う。 今は想像よりも本物のほうが破壊力が高くて、 毎日のようにまた、恋をするような日々だけど。] ……あ、この女優さん私好きです。 すごく上手で、確か前に見た映画でも……、 [映画を見ながら、時々後ろにいることを 確かめるみたいに声を投げたりもしていれば。] (29) 2023/06/26(Mon) 19:58:34 |
【人】 オルテイシア[話しかける度や、座る位置を変える度に、 彼も後ろで身じろぐ気配が伝わってくる。 それでも、映画が主軸に関わる部分にくると、 そちらに意識が向いて真剣に見始めていた頃、 そっと、後ろから抱き寄せられると共に、 お尻につんと、ぶつかる硬さに気づいた。] ひゃっ、……ぅ……、 [……気の所為?なのかな、でも、そうじゃない? さっきまで喋っていたはずなのに、 映画に夢中になっていたせいで お互い口数が少なくなってしまっている。] (30) 2023/06/26(Mon) 19:59:11 |
【人】 イウダあああれな、映画館一緒に行ったやつだろ、 あれで助演女優賞取ったんじゃなかったっけ。 [家で観るメリットは、こうして時々話せること。 勿論、ストーリーの邪魔をしないように、 話自体はそう発展せずに終わる。 画面では女優の切なそうな顔がアップで映る。 前を行く男性が振り返り、 元に戻ってきて] ―――― [結構激しめのキスシーンが始まった。] (31) 2023/06/26(Mon) 21:25:15 |
【人】 イウダ…………。 [キスシーンが終わったと思ったら場面転換した。 成就には早いタイミングだと思っていたが どうやらあれは別れのキスだったらしい。 男は飛行機に乗って外国に旅立つようだ。 女はそれを見送って、それぞれの生活の描写が始まる。] 再会モノかな。 [これで別々の相手との恋物語だったら驚きなので。] (33) 2023/06/26(Mon) 21:25:43 |
【人】 オルテイシア[眼の前の液晶画面に意識を戻す。 一緒に見に行った映画を覚えていてくれた。 その時に立ち寄ったお店や、手を繋いで帰った夜。 映画は見ているのに脳裏に浮かぶのは、 彼に纏わることばかりが過ぎる。] ……ん、そう。 あの映画で好きになって……、賞、取ったんだ。 [会話に返す会話がふわふわしていく。 BGMも盛り上がり、シーンを繋ぐ描写が長くなる。 一度去りかけた男性が戻ってきた時、 内心ほっとした、のに唐突に始まった 情熱的なキスシーンに思わず、こくん、と息を飲んだ。] (34) 2023/06/26(Mon) 22:02:57 |
【人】 オルテイシア[こういうシーンの時に口を挟むのは野暮だろう。 妙に気まずい沈黙のような間が降りて、 タブレットを持っていた片手が、浮いて。 無意識に彼の袖を掴む。] …… は、 ……[また、少し座り直せばキスシーンが終わって、 まるで自分がしていたみたいに長い溜息が零れた。 あれだけ名残惜しむようなキスをしていて、 別れを選んでしまうことに胸が痛む。] ……戻ってきて、ほしいなぁ……。 [そうであろうと信じていても。 先の展開を知らないから、願うみたいに呟いた。 画面の中で会えない二人の代わりみたいに、 腰に回された手に腕を絡めて、身体の方へと引き寄せて。] (35) 2023/06/26(Mon) 22:03:44 |
【人】 イウダあの映画自体良かったもんな。 主演こそ別の映画だったけど、 監督賞とか脚本賞とかも取ってた気がする。 [一緒に観たものはこの女優は助演の立場で 勿論こんなに濃厚なキスシーンはなかった。 新境地を開いたというやつなのか。 いちゃいちゃしたかったから 結末が死ネタや病気ではなさそうなものを選んだが 年齢制限はPG12となっている。 中学生に見せても良いのか、これを。 例えば中学時代に友人の部屋でこれを見ていて 紫亜が部屋に入ってきていたら、と想像する。 それはとても危険な気がした。 恋、というよりも身近な女の子を性の対象に見てしまいそうな、 浅はかな少年時代にあった映画ではなくて良かった。] (36) 2023/06/26(Mon) 22:54:12 |
【人】 イウダ忘れられないならまた戻るだろ、 [少し離れて生活をしても心の中心に自分を据えてくれていた紫亜ならば、画面の彼らの気持ちもわかるかもしれない。 ストーリーに感情移入をして観る 共感性の高いところも紫亜の魅力だ。] (37) 2023/06/26(Mon) 22:54:24 |
【人】 イウダああこういう回想が入る演出好きだな。 何気ない日常に思い出があるの、 [これは脚本のある映画だから、 二人は同じタイミングで同じことを思い出している。 同時に想いを募らせる演出が好きだ、なんてこと、 映画館で観ているのなら、 終わってからのカフェで話すような内容だ。 あの時卯田は季節限定のフラペチーノを頼んだ。 現実でもこうして思い出が蘇る。 紫亜もそうであってほしい。] (38) 2023/06/26(Mon) 22:55:14 |
【人】 オルテイシア……ぅん、? [別のところに意識が向かっていたせいで、 掛けられる声に一瞬反応が遅れてしまう。 惚けたような声を洩らして、 こくんと子供みたいに頷いた。] ん、あの映画はミステリも入ってました、よね。 途中ちょっと怖かったシーンもあった、ような……。 [映画館で見ると音響の派手さがよく分かる。 つい身体が強張ってしまうシーンも何度かあった。 明らかなホラー映画は見る前から避けるようにしては いるけれど、サスペンス要素やミステリなどは、 物語が気になってついつい興味で見てしまう。 不意打ちの血の描写や驚かせるようなシーンは、 そういうときにこそ出てくるもので、 何度そういった演出に驚かされ、ポップコーンを 食べる彼の横で、びくっと身体を揺らしたことか。] (39) 2023/06/26(Mon) 23:48:06 |
【人】 オルテイシア[ちなみに中学生の時にそういうシーンがあったら、 兄と居ても気まずくて顔を隠してしまったり 席を立ってしまうような状態だったので、 顔を隠さず見れるようになったことは成長だ。 何気なく彼が口にした「忘れられない」という キーワードが心に残る。 忘れられずに思い続けていた経験があるから。] あんなキスされたら、忘れられないもん。 …………ずるい。 [先程のシーンを思い出して、指が無意識に唇をなぞる。 何かが物足りない感覚に、己の指を軽く、食んで。] (40) 2023/06/26(Mon) 23:48:49 |
【人】 イウダ[紫亜は不意打ちに弱い方だ。 わかっているので二人で見る映画などは パニック要素があるものやホラーは選ばないようにしているし、 遊園地ではお化け屋敷を避けるようにしている。 けれど以前二人で見た映画は名作ではあったが 大画面に血糊が急に大映しになるような場面もあり、 ポップコーンを自分主体で食べていて良かったと思った。 かなりびくっと身体を震わせていたので、 カップを持っていたままだと落としていたかもしれない。] 全体的に「魅せる」感じだったから ショッキングなシーンも結構あったよな。 [次はもう少し穏やかなものを選ぼう、と。 帰りに冷えた彼女の指先を温めながら話したっけ。] (41) 2023/06/27(Tue) 0:11:14 |
【人】 イウダ置いてく側がすんのは狡いよな。 行動した時点で「これで終わり」って決めてる訳で、 された方は少なからず期待すんだろ、あんなん。 [キスシーンの、キスそのものについて紫亜が蒸し返す。 腕の中にいるのは様々なキスを既に経験している大人の女性だ。 共感性の高い彼女は思い出すことで感覚共有を起こしているのか。 唇をなぞる指を物欲しそうに噛む仕草が艶めいている。] (42) 2023/06/27(Tue) 0:11:29 |
【人】 オルテイシア[好きな映画の好みや、苦手なジャンル。 一緒に過ごしていくうちに分かること。 自ら好みや苦手なものを申告することもあれば、 接しているうちに自然と彼が察することもある。] 何かあるな、っていうのは分かるんですけど、 分かってても、びっくりしちゃう。 [見入っていればいるほど余計に。 そう、くすくす笑って。 苦手だと気づいた彼が帰り道に温めてくれた手は、 冷えた空気で凍えた手には酷く優しくて。 言葉も、温度もゆっくりと身体に染み渡っていった。] (43) 2023/06/27(Tue) 1:45:22 |
【人】 オルテイシア[意見は合致した。置いていく側がするのはずるい。 でも、反面。 そんな心の残し方をする人を少し羨ましくも思う。] まるで……、 ずっと好きでいてもいいって、言われてるみたい。 [もし、許されるのならば自身も好きで居続けるだろう。 指を食めば、その先で彼から贈られたリングが光る。 グレーと紫で彩られたニョッキを食べた後、 私の薬指に落ち着いたエンゲージリング。 互いに心変わりをすることはなくても、 誓いを形に残したような光は今でも安堵を与えてくれる。] (44) 2023/06/27(Tue) 1:45:44 |
【人】 イウダうんうん、作り手からするとそーゆーの、 嬉しいんじゃねぇのかな。 [驚かせたいポイントで驚いてくれるのは。 思い出すのは店で作った紫とグレーのコラボ。 黒ゴマブラマンジェに紫芋のコンフィチュールを乗せたグラニテや、 紫芋ニョッキに黒ゴマクリームをかけたもの、 紫亜はとても良い反応を返してくれるから嬉しくなって 次は何で驚かせようかと考えている。 ――ああほらまた、 映画のことからすぐ脱線して自分たちの想い出が蘇る。] (45) 2023/06/27(Tue) 21:39:52 |
【人】 イウダずっと好きでいて貰いたいなら尚更、 好きでいて貰う努力をし続けないと卑怯だろ。 [上手く「終われない」恋は深い傷となることを、 卯田は身をもって知っている。 これは映画だから二人は再会して上手くいくのだろうが、 卯田の場合は紫亜が終わりを肯定してくれるまで 2年もかかってしまった。] ……そろそろ俺達の具体的な話も進めたいよな。 [プロポーズ、婚約、同棲まではトントン拍子。 だがまだ結婚式の時期を宙に浮かせている。 というのも織戸家の長男―― つまり紫亜の兄で自分の友人が結婚式を挙げてから間もなく、 織戸家の両親含め親戚の負担を考えてのことだった。 だが個人的には早く紫亜のウェディングドレスを見たい訳で。 指に光るリングに重ねづけ出来るタイプのマリッジリングを 早く嵌めてほしいと思っている。] (46) 2023/06/27(Tue) 21:40:10 |
イウダは、メモを貼った。 (a4) 2023/06/27(Tue) 21:42:20 |
【人】 オルテイシアふふっ、だったらこのままでもいいかも。 怖いシーンを見ても、 ……もう一人じゃないですし、ね? [作り手の予想通りのリアクション。 びっくりするのは心臓には少し悪いけど、 それも楽しんでいることになるのなら、と肩を竦めた。 目に焼きついたシーンが頭から離れず、 一人暮らしの時は照明を付けたままにして 眠った夜もあったけど。 今は、隣で貴方の寝息が聞こえるから怖くない。 映画と同じように、彼からサプライズを贈られた後も。 はしゃいで写真を撮ったり、 涙を流して喜んだりするくらい態度には出てしまうから。] (47) 2023/06/27(Tue) 22:41:52 |
【人】 オルテイシア[写真と共に記憶に残る味は、今も思い出せる。 見栄えも美しいことながら、味も確かなもので。 写真とお腹の中に収めていきながら、 コンフィチュールとジャムの違いを教わったり、 紫色のニョッキはどう作ったのかを知りたくなったり。 お料理と共に告げられた言葉を思い出せば、 自然と表情が緩んでしまう。] ……そうですね。 私も基依さんに好きで居てもらえるように 頑張らなくちゃ。 [緩んだ頬を抑えつつ、今度はぎゅっと拳に変えた。 数年越しの想いを叶えた乙女の決意は固い。 そんな決意の傍らで、彼が将来の話をする。 プロポーズを経て、同棲をしているけれど。 正式な夫婦と呼ばれるにはまだ段階が足りない。] (48) 2023/06/27(Tue) 22:42:08 |
【人】 オルテイシア……はい。そろそろ考えたいですね。 ……ちなみに、SASANKAって。 レストランウェディングはできますか? [そっと、左手に嵌った指輪を撫でて。 話題に彼と再会した、彼の大事なお店の名前を挙げる。 それとも、お店でブライダルを選んだら、 彼のことだからお休みの日も働いてしまうだろうか。] (49) 2023/06/27(Tue) 22:42:50 |
オルテイシアは、メモを貼った。 (a5) 2023/06/27(Tue) 22:46:30 |
【人】 イウダ俺としちゃ、嬉しいサプライズ以外は 先回りで取り除いてやりたいって思うけどな。 怖い気持ちも俺といたら大丈夫ってんなら、 過保護発揮は程々にしねぇと。 [恋人になったとはいえつい出てくる「兄貴風」。 紫亜はもう護られるだけの「妹」ではなく 一緒に手を繋いで前を見る「伴侶」なのだ。 感受性の強さは紫亜の強み。 これからも嬉しさは全面に出してほしい。] (50) 2023/06/27(Tue) 23:30:35 |
【人】 イウダ[家でも時々紫と灰色を組み合わせた料理や菓子を作る。 ホワイトチョコでコーディングをしたカップケーキに グレーとパープルのチョコペンで パッチワークうさぎとお揃いの模様にしてみたり、 ブラックココアと紫芋で生地を作り市松に配置して マジパンでくるむバッテンバーグケーキを作ったり、 ぶどうジュースと竹炭パウダーで 紫陽花ゼリーを作ったり 明確に二人のイメージカラーがあることで ますます創作料理のアイデアが湧いてくる気がする。 男の仕事運を上げる女性は「あげまん」と言うのだったか。 紫亜はいてくれるだけで卯田のモチベーションだけれど] (51) 2023/06/27(Tue) 23:30:47 |
【人】 イウダレストランウェディング、出来なくもないけど 店内そんな広くないからなぁ。 招待客はあんま呼べないかも。 あとまあ「人前式」ってやつになるからな、 そこは親と相談しよう。 お義父さん、紫亜とバージンロード歩きたいかもだろ? [「それっぽく」カーペットを敷くことは出来るが 正式なバージンロードではなく距離も短い。 娘の父親だからこそ担える大役を 紫亜の父親が望むなら、それを叶えたい。] 二次会ってんなら貸し切りにして 立食パーティみたいなのも出来るから、 店の奴らはどうしても全員挙式には呼べねぇし、 チャペル式を動画で撮って貰って 店でプロジェクターで映して見て貰うってのも出来る。 (52) 2023/06/27(Tue) 23:31:31 |
【人】 イウダ[本音は同僚みんなに来て貰いたい。 その気持ちを汲んでの紫亜の提案だろう。 だから紫亜の気持ちも大事に盛り込みたい。 具体的な話は―― また後日。 この週末、時間はたっぷりあるけれど、 もう予定は埋まってしまったので。] (53) 2023/06/27(Tue) 23:31:46 |
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