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【人】 高野 景斗 年末さ、うちで待っててほしいな 日を跨ぐ前には、帰ってくるから。 大丈夫、アフタートークもなし、だから 出番が終わったらすぐ、帰れる手筈に なっているから。 [ 上瞼と下瞼が離れるのを嫌がっても 少しだけ、そのような会話をしただろう。 ] 年が明けたらすぐ、鍋にしよう 実はコンロはもう買ってある、 土鍋は、昨日注文して――……… ふぁ、 ん、 もう無理かな おやすみ、 ――………* (0) 2023/12/29(Fri) 21:56:45 |
【人】 高野 景斗―― 年末大型特番・舞台袖 ―― おめでとう、そして 俺を起用してくれて、 夢を追いかけ続けてくれて、ありがとう [ 感極まって舞台袖で、うさぎもかくや というくらい泣きまくった、目が真っ赤な某アーティストには この後、アフタートークが待っているというのに。 いつまで経っても感動が引かないらしく スタッフに、かなり控えめに、 "トークにも着いてきてもらえませんか" などと言われたが、 ] 俺って、 子守 で呼ばれたんですかね[ そう笑いかければ、スタッフの間で笑いが起こる。 子守、という言葉選びが余程恥ずかしかったのか 彼は、大丈夫だと豪語してステージへ向かっていく ] (1) 2023/12/29(Fri) 21:57:41 |
【人】 高野 景斗 立派ですねぇ 少年のときから、彼のような人に 憧れを抱かれていたのはとても光栄です [ だがその十五秒後、彼は多くのテレビカメラに 捉えられたステージで、再び大号泣をする羽目に なったのだから撮れ高は上々と言えるだろう。 ] (2) 2023/12/29(Fri) 21:57:51 |
【人】 高野 景斗『大昔子役の頃に共演したから少しだけ』 『お前大晦日だってのに、怒り狂ってるなよ』 『悪いね、皆の紺色うさぎは今夜俺のものです』 [ そんな内容を送りあっていれば、 タクシーの運転手から、到着しました、と 声がかかったか ] お忙しい中ありがとうございました。 またお世話になりますから、取っておいてください [ ぱたり、タクシーのドアが閉じる。 足早にエントランスを抜け、オートロックを解除し、 エレベーターに乗り込んで。 ………階段駆け上がった方が早かったんじゃ? と、思ってしまうくらいにはきっと、ハイになっている。 ] (4) 2023/12/29(Fri) 21:58:26 |
【人】 高野 景斗 ――……ただいま!! 画面越しに、惚れてくれた? [ バイクに乗っているときと、仕事がうまくいった後、 それから君に会いに行くとき、 俺の心は少し、少年に還る。 ] あの場でなんにも言わなかったけど 心臓ぶち破れるかと思った………、 [ コートも脱がないまま、恋人を抱きしめて ようやく、全てが終わった、というように 深く長い、ため息をついた。* ] (5) 2023/12/29(Fri) 21:58:39 |
【人】 瑞野 那岐── ゆくとし、くるとし ── [三月うさぎの店はクリスマスを過ぎた後も忙しく、 年末ギリギリまで店は開いていた。 常連客も大事にすることはもちろん、 従業員も大事にしている店長なので 大晦日と元旦の三箇日だけは店舗が休みになる。 あまりまとめて休みを取れない接客業は 4日間の連休だけでも嬉しい限りだ。] (6) 2023/12/30(Sat) 4:02:30 |
【人】 瑞野 那岐[大晦日の午前中の間には実家に顔を出し、 久々に両親の顔を見た後、 店はどうだ、とか、杏は元気かという話を聞かれ どちらも順調だと伝えた。 なら、恋人はどうだ。と聞かれて 今度は言葉に詰まる。 長らく独り身を続けていた後の 新しい恋人の情報は杏から既に伝わっているらしい。 (性別はまだ知らないようだが。) あー……、と言葉を少し濁しつつも、] (7) 2023/12/30(Sat) 4:03:24 |
【人】 瑞野 那岐優しい人、だよ。 誰かの為にすぐに手を差し出せるような、 ヒーローみたいな人。 [そう笑えば、格好いい人じゃないと母ははしゃいだ。 写真を見せて、と催促する声を 久しぶりの匂いに尻尾を振り続ける飼い犬へ おいで、と促すことで誤魔化して その場はうやむやにしつつ。 いつか母たちにも彼を紹介する日が来るのだろうか。 景斗さん、犬好きだったっけ。] (8) 2023/12/30(Sat) 4:03:48 |
【人】 瑞野 那岐[そんなイレギュラーを味わった後、 午後は年末年始をゆっくりと過ごす為に 両手いっぱいに食材を買い込んで彼の家に向かった。 待って居てほしいと言っていたけれど、 自身も共に過ごすつもりだったのもある。 その時話していた土鍋は既に届いていたから、 使う前に軽く洗って火の通り具合を確かめていた。 今日買った食材の中には、 鍋に使う具材ももちろん買ってある。 今度こそこたつに合う料理になるだろう。] ……──、 [鍋の話を聞いた夜。 子供かと言いたくなるくらいに、彼に身を任せ 世話をしてもらったことを思い出す。] (9) 2023/12/30(Sat) 4:04:33 |
【人】 瑞野 那岐[甘やかして欲しいとは言ったけれど、 甘やかされてだめになる訳にはいかない。 小さく首を振り、いつかの失態を振り払うように。 買い込んだ食料を冷蔵庫へ仕舞い込む。 年越しそばの準備は彼が帰ってきてからにしよう。 それまでに部屋の掃除をして、 早めに風呂に入って。 子供の頃のように夜の番組が始まっても テレビに齧り付いて居られるように。] (10) 2023/12/30(Sat) 4:05:37 |
【人】 瑞野 那岐[アーティストが次々とステージを入れ替わっていく。 ラジオで耳にしたアーティストも居れば、 初めて耳にするアイドルも居た。 まだ彼の出番は訪れていない。 不意にこたつの上に置いていたスマホが揺れる。 考えていたのが伝わったのか彼からだった。 ふ、と笑って短くメッセージ送り返した後、 再び、メッセージが届く。 それは彼と仲がいい友人からだった。>>1:0] 『見てますよ』 『年末にテレビ見てるの久しぶりです』 『順番通りなら、そろそろですね』 ……あ、 [そんな短文を送りあった後、テレビを映した画面が届く。 今、自分自身も見ているものと同じものが映っている。] (11) 2023/12/30(Sat) 4:05:50 |
【人】 瑞野 那岐[大きな画面いっぱいに黒の姿の彼が映る。 何度か見返した、若い頃の彼ではなく 自分自身が知っている”今”の顔をした彼がヒーローの姿で。 ブル、ブル、と手の内で通知を知らせるバイブが 揺れ続けても、暫く画面に魅入ったまま。 すぐに画面は彼を恩人だといったアーティストに切り替わる。 けれど、その後ろに彼が映り込む。 アーティストを見守るように、後ろで。 時に、衣装を翻らせて不敵に笑う姿に。] 『すごいですね、格好いい』 [彼らの出番が終わった頃にようやく遅れて。 葉月さんには返信しただろう。 ヒーローに会えた少年の心を持つアーティストを眺めながら。] (12) 2023/12/30(Sat) 4:06:13 |
【人】 瑞野 那岐[挨拶よりも先にコート姿のままで抱き竦められ その勢いに少し目を見張りながら、] わ、……ぷ、ははっ、 ──おかえりなさい。 格好良かったですよ もう一度惚れ直すくらい。 [興奮冷めやらぬ様子の彼の背に両手を回して、 少し高い目線を見上げる。] (14) 2023/12/30(Sat) 4:06:46 |
【人】 瑞野 那岐誰が見ても憧れのヒーローでしたよ。 おつかれさまでした。 [深く長い溜息は、安堵も混ざっているのだろう。 仮面を外した彼を今は緩く、背を撫でて労うように。**] (15) 2023/12/30(Sat) 4:07:02 |
【人】 高野 景斗[ 生放送での出演、とは。一回限り。 失敗が許されないという緊張感が尋常ではない。 舞台の仕事も、少しだけは経験があるが 基本的に現役時代はドラマや映画が仕事の中心だった 新米だった己は言われるがままに ではあったが、監督の納得がいくまで、 撮り直すのが当たり前で、その中で研鑽していく。 勿論予算や天候の都合上、一発撮りの事もあったが 概ねは一度くらいの失敗は誰にもあること。 ――だがそれを、生放送されては堪らない。 なにせこちらはほぼほぼ隠居の身だという 自覚がありながら、"お願い"されて、 重い腰を上げた という有様だ。 その身で失敗、など許されやしないし 興醒めさせては、了承した意味がない。 ] (16) 2023/12/30(Sat) 15:48:57 |
【人】 高野 景斗[ クリスマスの日の朝、眠たげな恋人に 見送られてから大晦日まで会うことは なかった。それは意図的にでもあるし、 多忙を極めたこともある。 それは仕事だから、だけではなく。 この出演をなんなら自分より、喜び 楽しみにしてくれている存在が居たからこそ 頑張れた、のは間違いない。 綿密な打ち合わせ、稽古 完璧な位置取り、体に染み付くまで 夢に見てしまうまで、繰り返し続けたお陰で 本番の反響はすごかった。 曲が終われば、出番が終わる。 最後の一音が終わった後、 一瞬静寂に包まれたと思ったら 割れんばかりの歓声が響き渡った アナウンサーから、注意が入るほど。 ] (17) 2023/12/30(Sat) 15:49:09 |
【人】 瑞野 那岐[先程見ていたテレビの彼と同じはずなのに 眼の前の彼は全く印象が変わって見える。 依頼があった時は渋面を作っていたけれど、 会場で起きた歓声や、あのアーティストの喜びよう、 それに、達成感に満たされた彼の今の表情を見れば 背中を押して良かったように思えた。 準備期間には長く、時間がかかったけれど。 その分も含めたつもりで背を撫でれば、 不意にぐっと彼の腕の力が籠もる。] (19) 2023/12/31(Sun) 0:06:49 |
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