260 【身内】Secret
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
ルミに3人が投票した。
ルミは村人の手により処刑された。
月が姿を変え、新たな一日が始まった。村人は集まり、互いの姿を確認する。
犠牲者はいないようだ。殺戮の手は及ばなかったのだろうか?
優しい光が村人たちの姿を映し出す……。人狼に怯える日々は去ったのだ!
[やはり下手を打った例えはルミに引っかかりを与えたが、
キスはその思考を消すのに十分な役割を果たしてくれた。
舌を絡めなくとも、唇を触れ合わせるだけで
唾液が行き来する。
甘いりんご飴を食べきれなかった自分だが、
あれよりももっと紅く艶めいたルミの唇を食む度に
広がる甘い味は中毒になりそうだ。
もっと。
もっと。
頭の中で逸る気持ちのまま、何度も重ねる。]
[丁寧に時間を掛けて煮詰めたおかげか、
ルミの機転を少し奪うことに成功したようだ。
勝手に始まったカウントは止められないまま終わりを迎え]
ルミが欲しくて待てなかった。
[責める声にしれっと言い訳をして笑う。
瞳を覆う手が外れた時、彼女は男の瞳が蕩けるように
甘く細められていることに気づくだろう。]
見ぃっけ!
……大人の声で言うと何か違和感ぱねぇな。
[2人のかくれんぼは、つまり鬼が交代するだけのもので、
児戯としての正しい形ではなかった。
だが「二人の遊び」としては最良だったと思う。
見つけても見つけられても
悔しいどころか2人とも笑っていた。]
恥ずかしい?
恥ずかしがるのは俺にはご褒美なんだけど、
ん!
なに、キスマじゃなくて歯型?
首の詰まってない服着なきゃな。
[痛みはそう強くない。
元来の、他者を傷つけることよりも自分の痛みを選ぶ
ルミらしい力加減だった。
ここは肉食獣の出番だろうか。]
恥ずかしくなくなるまで「お兄さん」だけ
発声練習してればいーよ。
[白い首筋に噛みつく。
他の人にも施したことのあるキスマークではなく、
自分の歯並びの形をした、唯一無二の所有印を残して。
分泌が止まったかもしれない秘所に指を滑らせる。
再び滴るまでは、まずは下生えでも隠せていない
紅玉に触れ、肥大させるまで擦ろうか。*]
[ 仮定話は実現しないからこそ考えてしまうことだ。
例えば自分が至って普通の過程であれば?
或いは彼があの時離れて行かなければ?
詮無いことに頭を回してしまうのは、
それが効率よく傷を抉れる方法からなのかもしれない
────幸せな夢はまるで麻薬だ。 ]
うん、録音……えっ着信音??
[ 正気か?と言うように彼を見た。
病んでいる自分よりも飛躍した発想である。
まさか今までの女にもそういう対応を…?
あるわけないと分かりつつも、
疑ってしまうのは致し方ない。 ]
[ 無理矢理彼を襲った時は、キスをしなかった。
別に、キスに対して神聖視していたわけではない。
ただどんなおとぎ話もキスで幸せを迎えられるから。
それを知っているからこそ、
幸せにはなれない関係にキスなど要らないと思って。
けれど今は、
何の憂いも悲観もなくキスができる。
温もりを交わして甘さを分かちあって、
──まるで実を食べたあの二人みたいに。 ]
……言い訳までずるい。
[ 言葉で主導権を握るのは得意だったはずなのに、
さっきから彼に奪われてはいないか。
上手く翻弄出来る甘い言葉も浮かばないから
ぷく、と思わず頬が膨らんだ。 ]
…………後でほんとに録音するんだからね。
お兄さんが自分から言ったんだもん。
[ 着信音にはしないだけの理性はあるけれども
録音しておけば証拠になる。
万が一約束が破られてしまった時、
これがあれば責め立てる権利を得られるはず。
────というのは理由としては勿論、
単にひとりの時に声を聞きたいからだ。
今の彼を見ていると、
信用しても良い気がしているから。 ]
[ 性の匂いが漂う部屋で、
幼い頃の清廉さを連れ立った児戯ひとつ。
手を離したおかげで見えたのは
甘さに蕩けながら細められた彼の瞳。 ]
かくれんぼ、違和感ある? ふふ。
わたしは懐かしくて楽しいけどな。
[ 2人きりのかくれんぼ。
今も昔も変わらないふたり遊び。
正しい遊び方では無かったのだろう。
けれど他の子なんてわたしには要らなかった。
正しくなくても良かったよ。
ふたりで笑えていられたら、それだけで ]
[ 戯れとは本来きっとそういうものだ。
彼以外と遊んだ経験にそもそも乏しい自分が言うと
負け惜しみのようになるかもしれないが。 ]
キスマークつけるの、上手くないんだもん
……ほとんどしたことないし
[ これは本当だ。
セックスの経験は同年代より多そうだが
ただの義務感に愛の証は必要なかった。
痛くないようにと気遣って噛むのは、
どうしても痕が薄くはなるけれども。
満足そうに彼の“首輪”を見つめ── ]
っ、……あ、
……お兄さんも噛んでくれたんだ?
首の見えない制服、あったかな……
[ 無かった気がする。
メイクをするついでに隠せるだろうか。
つけないで、とは言いたくないし思ってもいないが
バレると普通の仕事場よりも面倒だ。
彼の噛み跡と自分の噛み跡をなぞり、
「おそろい」と笑う。
噛まれる瞬間の僅かな刺激にすら下腹部が熱くなるのを
隠すような、無邪気な顔で。 ]
……だいすき、お兄さん
[ 他の女なんてもう忘れてしまうくらい、
わたしとしか経験出来ないことをしようよ。
人は自分の知識というフィルターでしか
世界を見られないって言うでしょう?
お兄さんの人生には、
わたししかいないって、思ってね。 ]
[ ────決して被虐趣味がないのは
こちらとて同じなのだけれど。
そう、それだけは胸を張って言えるのだが。
じゃれ合うような戯れを挟み、
快感を与えられていない時間を経てなお
僅かに蜜が奥から滴っていることには
どうか気付かないフリをして欲しい。 ]
────ッふぁ、や、ンん……っ!
ぁ、っなに、……ッ
[ びく、と腰が跳ねる。
今までで一番強く、神経に電流が奔ったような
そんな刺激が甘く脳を痺れさせた。
瞳が生理的な涙で潤み、混乱の色に混ざる。
声があまくこぼれ落ちて咲く度に、
擦る指の動きに合わせて
秘芽は少しづつ硬さを増した。** ]
[薬を盛って既成事実を作ろうとした程に
強く執着を見せていたルミを持ってしても、
録音した自分の宣言を着信音にするという考えは
斬新だったらしい。
勿論、今までの彼女に提案されたこともなければ
自ら言ったのもこれが初めてだが。
経験のないことなのにどうしてこんな考えが
出て来たのかはわからない。
自覚がなかっただけで、実は自分の中にも
ふつうとは言い難い恋愛観が潜んでいるのかもしれない。]
いいよ、録音でも録画でも。
そうだ、写真は二人でたくさん撮ろうな。
昔母さんの携帯で撮って貰ったの、
現像してないし機種変してるしで
残ってないかもしれなくて。
もう子どもには戻れないけど、
これからの人生で今が一番若いんだし。
[セックスの際にキスをするのは男にとっては
自然な流れだ。
だからルミにとってキスがセックスの回数よりも
少ないことを想像すらできない。
録音の話から写真の話に話題を移しながらも、
かくれんぼのカウントを早口で切り上げた言い訳に
頬を膨らませたルミに笑う時も、
ごく当たり前の流れのようにキスをした。
まるでそれすら会話を成立させる言葉のように。]
懐かしいか。
……まだガキの俺には勝てないってことだな。
[自分にとってもあの頃の二人だけの遊びは大切な思い出だが
懐かしさに浸られて、今の淫靡な雰囲気が薄れることを
恐れてしまう。
少しだけ複雑な顔をしながら、ルミの手をとって
喉仏に触れさせた。――「大人の男」の象徴に。]
上手かったら凹むから。
[キスマークが上手いということは、誰かの肌に実践を
重ねたということだ。
自分の過去を棚に上げて、ルミに経験が少ないことで
喜ぶのだからタチが悪い。
過去をちらつかせない為に、これからも互いに初心者の
行為を探っていくことになるだろう。
揃いの歯型を指でなぞって真似をする。
「俺も」と同じ言葉を返しながらも、
この短い時間に更に育った気持ちは喉から零れて。]
――すきだよ。
[繰り返される言葉は脳に刷り込まれ、
他の言葉を追い出してしまう。
それでいい。
捏造、上書き、洗脳だって、
2人が納得するならそれが「正解」で「唯一の道」だ。]
[触っていない刹那にルミの裡で起きていた現象は
指を埋めてみなければ暴くことはできない。
それを確かめるよりも先に新たな快楽を与えたいと願った。]
なにって、まさか初めて触られる訳じゃないだろ?
[セックスでクリトリスを触らない男なんて存在するのか。
それとも、これまではそこは快を産む場所として
目覚めていなかったのか。]
ちゃんと濡れてるから、擦っても痛くないと
思うけど……強過ぎたら怒って。
[機能不全ではないことは、膨らんだ秘芽の堅さで知れる。
指で挟める程に育ったら、扱くように指を前後させて。
小指で秘唇を撫でては水分を追加してより強く擦った。]
可愛い。ルミ。 ……感じてんの、すげーかわいい。
そのまま俺だけが見れる顔してて。
[小指でつつく感じ、随分とぬかるんできた気配がある。
小指では届かない箇所の蜜を探りに、秘芽への刺激を
一旦休んで人差指をそっと差し込んだ。
抵抗が柔いようならば中指も纏めていれて、
内壁を馴らしていく。*]
[ 録音を着信に設定するのはいわば合法である。
非合法の中でいかに彼へ自分を刻むか──という
最悪の思考ならばいくらでも巡らせられるが、
" 相手に許される "ことが前提の行為の発想はない。
深く考える前に、移ろう話題へ意識を向けた。
うん、と嬉しそうに微笑んでひとつ頷く。 ]
写真撮りたいな、お兄さんと。いっぱい。
……うれしい。
仕事以外で写真なんか撮らないし。
昔のやつは……残ってればそりゃ嬉しいけど。
でも、なくてもいいよ
目に見える過去があったら、
今を見失っちゃうかもしれないから。
[ 戻れない過去の幻覚を見ることが、
常に幸福を運ぶとは限らない。 ]
[ " あたりまえ "の基準がそれぞれ違うように、
なにもかもが揃いの人間などいない。
なにもかもが人と違うように出来ているのに、
ひとりで生きていけないのは、どうして。
キスすらも音のない言葉として交わせる。
人は、言葉を声にして伝え合う方が出来るのに
唇を重ねて、声を奪って、愛にする。
────ひとりでは気付けないことばかりだ。 ]
勝つ?
……昔のお兄さんも、今のお兄さんの一部でしょ?
[ 複雑そうな色を浮かべた顔を見て、首を傾ぐが。
昔は無かった喉仏へ触れさせられると、
その差に気付いて、視線を彷徨わせた。 ]
[ 記憶の中で笑う少年は大人になった。
恋も愛も、惚れた腫れたも分からない幼さから
性の匂いを纏う男性の色を纏って。 ]
…………む。
へこんでるお兄さん見たかったな。
[ 上達しておくか、天性の才でもあれば良かったか。
ここで「下手で良かった」と思う健気さより、
彼の傷を抉ることを選ぶ狡猾さを覗かせて。
愛のないセックスに所有痕など縁遠いのだから
どのみち無理な話ではあっただろうが。
しかし当てつけのように過去を匂わせたい訳でもない。
互いを初めてに位置づけ続けられれば、
他害も自責もいずれ落ち着いていけるだろう。 ]
[ きっとこれは健全な形とは程遠い。
けれど、おとぎ話だってそうではないのか。
この人しかいないと思い込むような鮮烈な出会い。
助けてくれた狩人や小人ではなく、
一目ぼれした死体に口付けた王子様。
しかし物語では取りざたされることはない。
だって、ふたりが納得して手を取ったから。
そこに必要なのは世界の総意などではなく、
王子と姫の二人の意思なのだ。 ]
────わたしはねえ、愛してるよ
お兄さんのこと。
[ ずっとずっと──" わたし "になった時から。
公園でひとりで息をしてたわたしはもういない。
目を焼くような眩しい雷を見た時に
今のわたしはうまれたの。 ]
[ ふる、とセパレートした睫毛を震わせる。
大人になったふたりにしか交わせない愛を紡いだなら、
もうそこに児戯の拙さは残っていない。 ]
……ん、んん、……いなかった、よ
今までは、本当にただ、挿れるだけというか。
慣らそうとしてきたひとはいたけど
反応ないから、すぐ飽きてやめてたし……
[ 自分はただ天井を見ているだけの時間だった。
今思えば演技でもしてやれば良かったのだろうが、
そこまでセックスに対する熱意はなかった。
したいって言ってるのを拒否してないから良いでしょ、と
事後に言い争った記憶もある。
さすがにそんなことまでベラベラと話さないが。 ]
だ、だから、……ぁの
すきにしていいよ、ほんとに……
[ もう十分" きもちいい "の感覚は味わっている。
丁寧なセックスにどうすればいいか分からなくて、
本当にまだ挿れなくていいの? と
伺うように彼の顔を見たけれど。 ]
────? うん……、
[ 擦っても痛くないとおもう。濡れてる。
ワードを繋げ、勝手に今からの行為を予想し、
分かったと頷いて。 ]
────ッひぁ、あ、ンぅ……っ
…ふ、ぁ 、ッん、んん〜〜……っ!
[ 言葉は意味を持たない音になって零れ落ちる。
目の奥が弾けるような刺激が奔り、
髪を振り乱しては彼の首へ縋りついた。
いたい、ほうが、まだマシかもしれない。
いっそ怒るくらい身勝手に強くしてくれたら、
頭がぐちゃぐちゃになることもなかったのに。 ]
ぁふ、ゃ、ん……あ、ぁ……っ
[ こぷりと下腹部から何かが溢れる感覚があって。
熱い腹部も、跳ねる身体も。
言うことを聞かない理性ごと溶けてしまいそうだ。 ]
──すき、おにぃさ、……すき……っ
[ ぬかるんだ膣内に彼の指が入ってくる。
きゅう、と締め付けて、奥へ迎え入れるように
媚肉が蠢き収縮を繰り返した。
まともな文章を紡げないかわり、
彼を抱き締めながら好きだと幾度も囁いた。
快楽でどんなに訳が分からなくなったって、
あなたのことだけは分かるから。** ]
[自分の与り知らぬところで撮られたり録られたりするよりも
きちんとピントのあった、ノイズのない純度の高い
「公式」を持たれる方が健康な行為だと思っていたが、
ルミの反応を見る限り、公式よりも非公式に燃える
タイプなのかもしれない。
分かり合うにはまだまだ時間と言葉が必要そうだ。]
そうだな。
もう増えない昔よりも、これからを増やそうか。
[過去の写真を欲したのは、二人の写真というのも
あるが、ルミの環境を思えば実家で撮られたものが
ないかもしれないと思ったから。
頑張らなくても、お金や性を差し出さなくても、
手を繋ぐ相手がいて、無条件に笑顔を向けられていた
時の彼女の写真が彼女の手元にあれば、
もしこの先彼女が自身の価値を疑うようなことがあっても
支えになるのではないかと。
だがよく考えれば、自分が傍に居て
ルミが自分の価値を疑ってしまうようなことが
あってはならないのだ。
もう二度と過去に縋らないで済むように、
過去に勝つ為に「今」と「未来」の自分がいる。]
[そんな決意があるから、過去の自分への対抗心が
つい口をついて出た。過去を捨てた訳でもなく
ここにいるのはちゃんと地続きの自分だが]
男心は複雑なんだよ。
[触れさせた喉仏を動かす。
まるで「こっちを見ろ」と言わんばかりに。
見ず知らずのルミを抱いてきた男たちよりも過去の自分に
嫉妬するあたり、無意識にもう他の男は自分に
敵う筈がないと信じている。]
……今、凹んだけど。
[とはいえ少し弱気になってしまうのは、
凹ませる為にどこかで上達することをルミが考えたらと
思ってしまったから。
傷をつけ続けろと言っておきながら勝手な話だ。]
……待ってろ。
[そこは流石に「俺も」は誇張に聞こえる気がする。
自分としては割と渾身の、初めての明文化した恋心だった
のだけれど、ルミの気持ちは更に深かった。
恋を自覚してからの年季が違うのだから当たり前だ。
「同じ」なんてルミに失礼だ。
だから、同じ重さの言葉が言えるまで
楽しみにしてくれ、と予告する。
きっとそう待たせることはないだろう。]
[彼女の一人称が「ルミ」だった頃。
家で彼女の名前を呼ぶ人はいるのかと思ったことがある。
呼ばれない名前を自分で呼んでいるのではないかと。
名付けられた時にはそれなりの想いがあった筈なのに。
どうして呼ばずに放っていられたのか、
聞く機会は作らずとも良いと思っている。
これからは誰よりも自分が呼ぶから。
再会した彼女の一人称が「わたし」になっていた分も、
「ルミ」を大切にする。
少女の手を取ることを躊躇った少年はもういない。
自分にとっての
ilnationが
消えないように護る為にこの手は大きくなったのだ。]
自分からしたいっつっといて、
前戯サボるとか最低だろ。
……こんな可愛い顔すんのにな。
[手は大きくなったが指先の動きの繊細さを磨くことを
怠ってきた訳ではない。
好きにしてるよ、と。
この行為こそ自分がしたいことなのだと強調して、
水気を帯びた性器を愛でた。]
おー、縋っとけ。
イく時に落ちたら危ないしな。
[上等で広いソファでも、寝台よりは心許ない。
強い快楽に翻弄されている様を見れば
もしかすると絶頂もそう経験がないことかもしれず、
それなら衝撃で跳ねた身体が落ちてしまうかもしれない。
自分は少し息苦しいが、縋ってくれる方が安心して
蜜壺を攪拌できる。]
[ちゃぷちゃぷと音が鳴り、腕まで蜜が滴ってくる。
指はもう3本を楽に飲み込み、挿入に合わせて
形を覚えようと内壁が締め付けてくる。
譫言のように「すき」と繰り返す声が
耳から脳を犯しているようでクラクラした。
一度彼女を高みに押し上げようと思っていたが限界だ。]
はぁ……、
ルミ、もうちょっとお尻こっちに
寄せられるか?
[ルミが上肢を此方に傾けた時に
自然と臀部は外に突き出すような形になっていた。
指を出し入れするにはそれでも問題なかったが、
生憎自分の持ち物は腕程長くはないので。
意図に気づいて身構えられるより先に、
寄らせた尻を落とさせる。
次からは避妊具をちゃんと用意しよう。]
っ、
[つぷ、と太い部分が媚肉を掻き分ける。
ルミの腰が落ちるのが先か自分が腰を突き上げたのが
先か――
ぷぷぷぷ……と驚く程スムーズに幹も呑み込まれ、
ふたりの肌が吸い付くように合わさった。]
あー……一気に入れちゃったな……。
……痛くないか……?
[因みに生で女性の膣に挿入するのはこれが2回目だ。
1回目は先程のルミの暴挙である。
信じられない程気持ちがよくて、
気を抜くとすぐに出してしまいそうだ。**]
[ あの頃の無邪気な笑い声が、
いつしか呻き声にしかなれなかったように。
変わってしまったことなら数えきれないほどあって、
変えられないまま重ねたことも山ほどある。
今から、なら。
ここからなにが増えて、どう色を転じていくのだろう。
分からないことは恐ろしい。
守るよりも壊してしまう方がずっと簡単だ。
けれどそうしないことをふたりで選んだから、
写真という楔を重ねていく。 ]
[ 女心と秋の空という言葉がある。
ならば、複雑だという男心にはどんな言葉が似合うだろう。
「ふうん…?」と理解しきれないように首を傾げ、
果たして昔の少年もそんな気配はあったか、と
思いを馳せかけて、止まった。
それよりも先に動いた喉仏が、
確かに彼が大人になったことを示すようで。 ]
…………お兄さんも難儀だね……?
んー、……えっと……。
……ぎゅうしよ。えい。
[ 傷付けたい、ずっと抉り続ける、と言っておいたくせ
へこんだと訴える彼を抱き締めるなんて、
負けず劣らずこちらも勝手な話だ。
男の人を可愛く思う恋は重症だとよく聞くけれど
あながち間違いではないのかもしれない。 ]
ふふ、うん。
……待つよ、ずっとね。
[ 永遠に等しい時間が、永遠に形を変えるだけ。
死ぬまでの間。
或いは死んでも貴方のひかりを探すのだろう。
同じ深度で愛を交わせなくても良い。
ただこの奇跡が一夜限りの幻ではなく
地続きの今になれば、それだけで。 ]
[ ──とはいえもしその夢すら手元に残るなら、
自分は喜んで毒林檎でも何でも食べてみせるだろう。
十数年、甘く煮詰めたこの愛と
同じ苦さを彼が抱えてくれるというのならば。
" ひつじ "がいいと無邪気に言ったあの頃。
取り零していく日常や時間にも気が付かず、
ただ毎日ばかみたいに与えられる日々を待っていた。
家がどんな風だったかはもう忘れた。
何となく、正しくない家だったことだけ覚えている。
傷付いたことも、憎んだことすらない。
────あのひとたちのおかげで、
わたしはひとつの愛を抱え続けて死ねるから。 ]
ッこんな、かお、見せるの
お兄さんにだけ……。
[ 彼らがしたかったのはあくまで性欲の処理であり、
自分とのセックスでは無かっただけだ。
例え丁寧に扱われても、
こうやって感じてやれなかった気がしてならないが。
好きにしているなら、彼はこっちの方が好きなのか。
──と、勝手な解釈をまたもや進めながら、
遠慮なく彼の肩へ縋りつく。
────やっぱり服を脱がなければよかった。
着たままでいれば、布擦れの音で
この粘着質な水音を掻き消せたかもしれないのに。 ]
、よせる……こう……?
[ 不思議そうな顔で、考えるより先に指示へ従った。
震える膝をどうにか立てて、
背中を伸ばし、身体ごと彼に近付ける。
何をするのかと伺うように彼を見上げた。
言葉で問いかけようと口を開いて──── ]
────ッッ、…………ぁ、ふ…ッ
[ 入り込んだ彼の熱の先端が、浅いところを擦り
その刺激で身体からかくんと力が抜ける。
蜜ですっかり潤った媚肉は抵抗もなく、
容易く熱を奥まで呑み込んだ。 ]
[ 自分で自分を支えられず腰が落ちてしまえば、
突き上げられる衝撃から逃げることも出来ない。
とちゅん、と奥まで穿たれたような感覚に、
視界がちかちか瞬いて呼吸を奪われる。 ]
……ッ、……ぃ、たく、ない……けど…っ
おなかの、おく、あつい……っ
[ 跨って彼のモノを生で挿れた時は、
こんな感覚が襲ってくることは無かったはずだ。
中にある熱の存在を意識すればするほど、
勝手に膣が収縮を繰り返すのを止められない。
彼の肩を弱く掴み、「きす、して」と囁いた。
混乱をすこしでも頭から逃がそうと、
支えになるものを求めて。** ]
[あの頃技術がもう少し発展していれば、
社会情勢が今と近ければ、
母親のガラケーに頼らずとも自ら気軽に
2人の写真を撮れていたかもしれないし、
連絡先が繋がっていればこんなに何年も
断絶していることはなかったかもしれない。
この10数年だけでも、2人だけではなく
環境そのものが大きく変わっている。
きっとこの先も思いもよらない変化に
晒されることになるだろう。
だがこれからは2人でいるから。
撮った写真が後悔とならないように、
重ねた思い出に囚われないように、前へ。]
[何せ考えなしに排泄物の名称を連呼していた小学生男児だ。
その頃には男心なんて複雑な精神構造はしていなかった。
ルミからすればピンと来ないのも無理はない。
説明すべきかと口を開きかけたら、
ルミなりに解釈ではなく解決策を考え付いたようで。]
わ。
[小さい頃のように無邪気な勢いで腕が回された。
あの頃より大きくなって、でも自分よりは小さくて。]
はは、参った。
ぎゅーーーーー
[傷つけられた訳ではなく、むしろ癒されているのに
鼻の奥がツンとする。――愛おしい。]
[約束は破らない。
「ずっと」と期限を区切らずにいてくれたルミが
待ちぼうけにならないように、その日はきっと近い内に。
こうしている間にも雪のように想いが
自分の中に積もっていく実感がある。
作られた運命の一夜でも、世間的に正しい始まりの
初夜ではなくとも、2人にとっては今後絶対に
なかったことにならない「一回目」だ。
二回目も――百回目も、数えることを放棄した後も、
その都度深まる想いを言葉にしていくと内心誓う。]
[何度、何人と、こういうことをしたのか、
聞いたり探ったところで事実は覆せない。
今は、「お兄さんにだけ」という言葉に煽られて、
吐息を乱すだけ。
素直に体勢を変えたルミを串刺しにして、
ルミの「最後の男」に成りにいく。]
っ煽んの、じょーず、
[乞われなくても唇を迎えに行った。
艶やかな果実をしゃぶるように派手な音を立てて吸って。]
ルミだから、こうなってんだからな。
[薄い腹を撫でて軽く押した。
他者と比べたことはないが、平均的なサイズのものが
その奥で堅さを主張している。
手淫で育てられた先程よりも育っているが、
ルミの裡も十分に整っているので傷をつけることはないだろう。]
ん、 む、 ……。
ルミ、 っ、 すき、だ、
[再び唇を重ねた。
今度は舌を差し込んで、上と下とでルミの粘膜を摩擦する。
こうすればきっと響く水音がどこから生じたのか
わからない。
右手でルミの背を支えつつ、左手は
腹を撫でた後に下に伸ばした。
挿入で快感を得にくいタイプなら、同時に秘芽を
弄った方が蜜も分泌されやすいかと。
少し押したまま左右に動かして、
喘ぐ呼吸の邪魔をしないようにキスから時折解放する。*]
[ あの頃も今も、彼はいつだって自分より大きい。
どんなに自分が成長しても追いつかなくて、
同じ目線で世界を見ることは出来なくて。
だからひつじになりたかった。
もふもふで、きっと誰にでも可愛がられて
誰のことも傷付けない。
食べられて、お腹に入って血肉になる。
横に並べないなら、そうしてでも一緒が良かったの。
ああでも、ひつじにならなくてよかったな。
貴方を抱き締める二本の腕も失うし、
言葉じゃない愛を伝える温もりも消えてしまう。
何より貴方が言ってくれた。
ずっとわたしの名前を呼んでくれる、って。 ]
[ 作られた運命も、本物の顔をしてそこに在り続ければ
いつかきっとただの運命になれるはず。
どこかに転がっている片道切符。
わたしだけが書き換えられるふたりの未来。
────彼の本当の運命は御愁傷様ね。
王子様を好きになった白雪姫みたいに、
物語は、人の心を強く奪った相手と生きるのよ。 ]
[ 探られれば当然教えることは出来るだろう。
それは逆も然り、知ることならいくらでも。
最初の相手になることはもう出来ない。
上書きして、自分の色を明け渡し続けて、
誰かが付け入る隙すら埋めて最後になる。 ]
ん、っぁ、……うれしい
おにいさんの、さっきより、おっきぃ……
[ 薄っぺらな腹を軽く押されると、
中の堅さを肌で感じて、なんだかぞわぞわする。
撫でられる時の刺激もあいまって、
皮膚がびく、と僅かに震えた。 ]
───っふぁ、あ、ン……ぁ…ッ
[ 唇が重なり、差し込まれた舌を迎え入れる。
キスの経験も少ないのが見て取れる拙さで、
粘膜を擦り合っては甘い声をこぼした。
水音が鼓膜の奥で響いている。
目が眩むようないやらしさと性の匂い。
腹の奥を突かれ、浅いところを熱が行き来するたび、
ゆるやかな快楽が神経を伝っていく。
────きもちいい、と蕩けた目をすこし細めて
完全に伏せようとしたその時に。 ]
ッひぁ、ン、 ふ…ぁぅ……っ!
や、それ、あたま へんに、なる……ッ
[ 強い刺激に意識を掬い上げられ、
たまらなくなって、思わず頭を振り言葉を紡ぐ。
充血したままの秘芽を同時に弄られると、
穏やかだった快感が脳髄を蝕むものに変わって。
媚肉がキツく収縮し、その度に蜜を溢れさせる。 ]
ン、ふぁ んン、ゃ、あ……ッ!
[ キスから解放されるたび、
抑えられない喘ぎが空気を揺らした。
生理的な涙で瞳を潤ませながら、彼へ縋って、 ]
───……ま、って、やだ……っ
おなか、おかしぃ……っ
[ 不規則に強く熱を締め付ける媚肉は、
絶頂が近いことを知らせるように蠢いている。
それがなんなのかを経験していないが故に、
焦ったように彼へそう囁いた。** ]
[選ばれなかった運命など、きっと潰えることを含めた
運命に違いない。
つくられたものでも、継ぎ接ぎでも、無理矢理でも。
最後まで遂行できた道だけが人生となる。
地獄は日常と同じ色をしている。
すぐ傍に潜んでいても気づかないくらいに
溶け込んでいる。
どの色が地獄かもわからないのだから、
この色を運命と言っても嘘にはならない。
ルミのお気に入りのワンピースの
黒
、
あの日間接キスをしたりんご飴の
赤
、
雷の光と雪に共通している白、
強欲にどれも自分たちの色だ、と運命を主張しよう。]
[自覚もあったが、受け入れるルミの方も
昂りが先刻よりも力を得ていることに
気づいたようだ。
胎を埋める圧迫感を嬉しく思ってくれることが嬉しい。
過去ではなく今の自分を
性的な意味でも好きになってくれたのだと
実感できる。]
あぁもう、可愛、 ん、
[応える舌はややぎこちなく、経験の乏しさを物語る。
それを導いて追いかけてもらうのが男の支配欲を擽った。]
[キスで幸福度を高めていれば、挿入行為が
好きになれなくても誤魔化せたかもしれないが、
欲張りな心がルミの快感をもっと引き出したいと
男の手を動かした。
充血して膨らんだ秘芽への刺激は
セックスにより快感を得ることを覚えたばかりの
ルミには強過ぎたかもしれない。
悲鳴のような嬌声が上がる。]
おかしくない。
ちゃんとルミの身体がセックスで
イきたがってるってことだから。
ナカ、俺がすきって締めてくれてる、
……出したい、から。
俺の、奥でちゃんと呑めるように、イッて。
[ふ、ふ、と荒く息を吐く。
潤んだ瞳の近くで涙を吸う仕草も見せて。
ルミが縋りつき掻き乱す自分の髪は
ライオンの鬣のように爆発しているだろう。]
[絶頂の近くまで導いて、
でも一人では越えさせない。
ぬるついた指を離して細い腰を掴む。
ぐ、と押し込めば柔らかい内臓に食い込んだのを
先端が知覚した。]
ルミ、ごめん、結局薬飲んでもらぅ、
っナカで、出したい、
[掴んだ箇所はルミが強く反応した脇腹と尾骶骨のライン。
男を歓待する内壁の蠕動に導かれて、重力に逆らって
精子が昇るのを感じた。]
[こじ開け、捻じ込み、ぶちまける。
避妊しない挿入が2回目ということは、
膣内射精はこれが初めてのことだ。
薄い膜でも、ないだけでこんなに違うのかと
搾り取られるように数度放熱しながら感心した。
薬があるとわかっているからとはいえ、
こんなにも暴力的な胤付け願望をぶつけてしまう
自分の乱暴さが恐ろしい。
射精感が一旦止まっても、ルミの内部を犯す楔は
穿たれたままの硬度を保っている。
こんなことも初めてで、
一度「終わった」のに離してやれそうもない。**]
[ ──好き、が二文字で良かった。
どんなに苦しくても、その二文字ならきっと音になる。
人はひとりでは生きていけない。
地獄は日常と同じ色をして毎日に溶け込んで、
気付けば傷だらけになっても息をして。
同じ傷を分かち合えるひとを、わたし達は運命と呼ぶ
感情も縁も、地獄さえ目に見えないから
言葉に意味を宿して意義を抱える。
死の間際まで誰かを愛していたいから、
わたし達は愛を" 好き "の二文字に込めたのだろう
────それぞれの色を宿しながら。 ]
[ 彼の紡ぐ可愛いという言葉はまるで麻薬だ。
与えられるたびに頭がぽやんと蕩けて、
雛鳥のように" もっと "と求めたくなってしまう。
────たくさんの人に与えられた可愛いよりも、
ただひとりの可愛いだけで
こんなにも、こころは満たされるものなのか。 ]
おにぃ、さ、
[ 快感と浮遊感で頭がくらくらする。
瞳に滲んだ涙が彼の体内に迎え入れられるのを、
どこか惚けたような気持ちで感じていた。
──ああ、頭がばかになりそうだ。 ]
ゃ、────ッひぁ、ん、ン……っ
[ 腰を掴んで奥を穿たれ、びく、と脚が跳ねた。
秘芽の快感を与えられながら擦られた媚肉は、
もう楔がナカで動くだけでそれを快感に変えられる。
ばち、と視界が白んだ。
あつい先端が奥に食い込んで、開かれて、
───ナカで出したいと乞う言葉を理解して。 ]
ふ…ぁ、っぁ ン、〜〜〜ッッ!!
[ 本当の意味で彼のモノになれるのかと、
そう理解したと同時、身体が大きく揺れた。
今までで一番強く彼を締めあげ、
吐き出される火傷しそうな熱を胎内で受け止める。
思考回路が灼けるような快感は、
楔の形を感じるだけで尾を引いて神経を蝕んだ。 ]
……────っは、……ぁ…ふ……
おなかの、おく、……あつぃ……
[ まだ媚肉は不規則に震えている。
初めて迎えた絶頂は思考を止めるのに十分で、
薄い腹を撫でて息を吐くことしかできない。
自分の乱暴さを恐れる彼がいる一方、
女はただ幸福感に酔っていた。
うれしい、すき、と彼の頬へ自分の頬を寄せる。
────そこで漸く思考力は僅かに生き返り、
はた、と目を瞬かせて ]
[ 男の人というものは。
一度出せば終わりではなかったか? ──と
未だ硬いままの熱を感じ、首を傾げ ]
……おにい、さん
あの……えっと……?
[ 不思議そうな色を湛えて彼を見つめた。
一度で終わらない性行為の経験はない。
奇しくも女は今、
経験がなければ可能性を考えられないという
フィルター越しに世界を見る立場に立っていた。* ]
[他の誰にも渡したことがない言葉で
ルミへの気持ちを表現出来たら良かった。
「好き」も「愛してる」も、
自分の口から出た響きは既に他の人が聞いている。
もう少し言葉が長ければ、彼女にだけ聞かせられる
イントネーションを生み出せたかもしれないのに、
たった二文字ではそれもままならなくて。
二文字で良かったと思うルミと逆のことを考える。
思考の起点がそもそも違うのだろう。
そんな二人でも「好き」に込められた意味に
異議を唱えることはない。
いつか来る終わりの日、
口を開けたり閉じたりする力が喪われても
喉から吐息が零れれば、どちらが聞いていても
「すき」と聞こえる筈。
たった二文字なのに、なんてうつくしい作りなのだろう。]
[呼ぶ言葉も切れ切れになる。
喘ぐ隙間に呼んでくれるから、「ルミ」と呼んで
全部受け止めた。
導火線に火をつけることが出来たなら、後は
爆発に向かってまっしぐら。
強い締め付けと痙攣が、ルミが達したと伝えてくる。
訓練した訳でもないのに胎内は精子の泳ぎやすい体温に
自然と変化するのだから人体は不思議た。]
……っはぁ、
…………ルミも熱いんだ?
俺はルミのナカが熱く感じた、 ……はは、
[びく、びく、とルミの腹が彼女の意思とは
無関係に引き攣るのを密着した腹で感じる。
子宮が飲めない分が重力に従って落ちて来て、
結合部から滲んで太腿を生温く汚した。]
……自分でもびっくりだよ。
ルミがまだ足りない。
[戸惑うルミに赦しを乞う笑みを向ける。
繋がったまま、頭を手で支えながらゆっくりと押し倒した。
くぽ、と音を立てて一度抜くと、
不透明な液体が桃色の洞からとろりと零れる。
確かに射精したのだとわかるのに、
引き抜いたものはまだかなりの角度を保ったまま。
脚を持ち上げて挿入した。
腹側の内壁を擦り上げるように剛直が進む。*]
[ ────世界がふたりだけになればいいのに、なんて。
肌を重ねて交わる熱に、ふとそう思う。
もしこの世にわたしと貴方だけが生きていて。
手を繋いで、走って、転んで、笑い合って息をして
他の誰も聞いたことのない愛を伝えたら、
砂をはたき落としてまたわらうの。
手を繋いでいる方が歩きづらいことも、きっとある。
足を取られる場所、歩幅があまりにも違う時。
けれども繋がずにはいられない。
他の誰にも抱いたことのない衝動が根幹にあれば
言葉はありふれていても、ふたりだけの愛。
もし世界に本当に誰もいなければきっと、
感情の唯一性には気付けないままでいるのだろう。 ]
[ 思考の起点が違っても、
好むことが真逆でも良いの。
地獄か天国かも分からない、混濁した日常の色のなかで
ふたりの死を迎えるまで。
ずっとこうして生きていこうね、
わたしが愛した王子様。 ]
──……おなかのなか、やけど、しそう。
[ はふ、と息を零しながら言葉を紡ぐ。
薄い腹の中におさまった子宮が熱を呑み込んで、
溢れた白濁はりんごのように下へ落ちた。
このまま薬を飲まなければ、
胎のなかで実は育っていくのだろうか。
──なんて、する気のない悪巧みが首を擡げる。 ]
[ 許してと甘える術を持っているのに、
こういう時は言葉では許しを乞わないのがずるい。
繋がったまま抜かれる気配のない楔の熱と、
ソファへゆっくり押し倒されることの意味を悟り
制止するより先に、音を立てて熱が抜けていく。 ]
ンっ、ぁ……
[ ──気のせい、だろうか。思い違いか。
抜いてくれるなら行為はもうおしまいで、
休ませるために寝転ばせただけ……?
熱が抜けて擦れるだけでもきもちがよくて、
甘く声を零しながら、思い込みを恥じようとして ]
ン、んぅっ、 ふぁ、あ、 ぁあ……っ
ぁ ふ、〜〜〜ッ♡
[ 身構えなかった身体に、また熱が入り込む。
腹側を擦り上げられて、
さっきまで甘やかな刺激だけ感じていたはずの身体は、
その熱の動きを強い快感に変えてしまう。
持ち上げられた脚も、うすい腹も。
全身が大きく跳ねて楔を強く締め付けた。 ]
んぁ、ふ、…きもち、ぃ……っ
[ 挿入されただけで軽く達してしまったのだ、と
すぐに気付けるほどの理性は残っていない。
とろけた顔で彼を見上げ、へにゃ、と笑いかければ
くちびるは「うごいて」と形を作った。** ]
[自分の世界には誰かがいるのが当たり前だったから
ルミが二人だけの世界を夢想している時にも
同じことを思えない。
けれどそれはまだ、「世界の他の誰もがいなくなっても
構わない」という感覚に気づけていないだけかも
しれない。
少年の頃はルミを想う気持ちに恋と名付けられなかったように。
手を繋いだままならば、掌の温度は物理的法則で
溶けあい一定になるのだから、気持ちだってきっと。
表出する言葉はありふれていても、
そこに込められた想いは世界で二人だけに共通するものになる。]
ケロイド作ろうか。
他の誰にもつけられない、ルミだって触れない傷。
[実際には胎内を灼く温度の精液が注がれた訳ではないから、
これは単なる妄想だ。
妄想に独占欲を滲ませて目を細める。
その場所を今も自分の先端だけが触っている。
そう思うと、鎮まるまでじっとしていられなかった。]
[いい?とは聞かなかった。
「待って」と言われても待てないのだから、
強引に許して貰う他ないのだ。]
っ、すぐ、
[抜ける時の甘い声がさみしさを訴えているように感じて
挿入し直すだけだと言う。
さみしいのは自分の方だ。
早く還りたい。]
[自分だけが挿入の角度や速度をコントロールできる体位
だと思っていたのは間違いだった。
ルミの身体が撓り、思ってもみない角度から締め付けられて
低く呻く。
恐らく屹立が彼女のGスポットを経由したからだろうが、
そんな冷静な分析が出来る筈もない。
「好きな人とする気持ちいいセックス」を知った身体は
雄を歓待し全身で快楽を強請る。
妖艶に動く唇の動きを捉えて生唾を飲んだ。]
っきもちいい。俺も。
ルミのナカ、堪んない、
[打ち込むという表現が適切な勢いで挿入する。
肌がぶつかってぱちんと破裂音がした。
まだ膣内に残っていた精液が攪拌され、ピストンに
合わせてぶじゅぶじゅと溢れてくる。
痛みを与えないようにという配慮は飛んでしまった。
先刻よりも大きなストロークでルミの蜜壺を摩擦し
子宮口が逃げないように追いかける。**]
[ 傷を作ろうか、という声に瞳を瞬かせる。
他の誰にも絶対につけられなくて
自分にすらも触れることの叶わない傷。
きっとそれは叶わない妄想だ。
実現不可能な夢見話。
けれど、出来ないことを口にはしてこなかった彼が
それを言うことを選んだという事実に
たまらないような気持ちになって。 ]
────ほしいな、
お兄さんだけがつけてくれる、傷
[ 火傷でもなんでも構わない。
わたしたちにだけ分かる傷を分かちあって
ふたりで笑い合えるなら、それだけで。 ]
───────っや、ぁン、あ ふ、
〜〜ッッひぅ、あ、ンん……!!
[ 身体を揺さぶられる度に脳が痺れて、
彼の熱に穿たれるたびに頭がばかになる。
甘く媚びるような声が溢れて止まらない。
こんな声を出したいわけでは無いのに、
今まで知らなかったセックスの快感を味わうと
自制することさえままならなかった。 ]
[ きもちいい、────このままとけてしまいそうだ。
下りた子宮口は彼の熱を食むために収縮して、
先端で抉られるたびに吸い付いた。
やわい膣壁はすっかり彼の形を覚えこみ、
潤滑油代わりの蜜で摩擦をスムーズに受け入れる。
どんな時も優しかった彼の追い立てるような動きに、
知らない顔をまたひとつ見れた気分になって、
きゅぅ、とまた媚肉が締まって。 ]
───────ッンぁ、ゃ、また……ぁ…っ!
[ がくん、と腰が震えて跳ねた。
キツく楔を締め上げ、最奥へ迎え入れる動きが増す。
うねって、熱を包み込んで、
絶頂に達しながら声を零した。 ]
──────おにぃさ、すき、っ
ずっと……ずっと、すき だった、の…ッ
[ だから本当に、痛みなんて気にせず焼いてほしい。
どんな時も忘れられないくらいに。
腕を彼の背中へ回して、
しがみつくように抱きしめてから
ふにゃりと笑って彼を見上げた。
すき、と囁いた時の蕩けた声音のままで
「あいしてる」と言葉を落として。* ]
[実際に施したいのは傷というよりも傷跡なのかもしれない。
触ればそれとわかり、消えることのない痕。
ずっと痛かったのだと知った今は、
もうルミが痛がる姿を見たくないと思ってしまう。]
もう俺以外につけさせないようにしろよ。
ルミが自分でつけるのも駄目。
[脚を持ち上げれば自然と膝が目に入る。
酷くはないが赤い線が何本か入っている擦過傷は
偶然の演出の為にルミが自ら負った傷だ。
舌先を押し当てて唾液を練り込んだ。
古来より「ツバをつければ治る」と言われる怪我だが、
これは治療の意味よりも傷に自分の遺伝子をマーキングする行為の意味が大きい。]
……ああ、イイな。
ちゃんと「気持ちいい」って、受け入れてる感じ、
[一度達して女の悦びを知った身体は、
先刻よりも素直に快感を受け取っている気がする。
声は甘く、膣は濡れそぼっていて、
ルミのすべてが男の性感を高めてくれている。
眉根に皴を寄せ、息を詰めた。
高みを一度越えたルミの身体は今回も抵抗なく越え、
熱を寄越せと強くうねる。
対して男の身体は一度達した故に装填に少し時間が
かかり、今度は同時とはいかなかった。
それでも圧迫感に急かされて袋が重くなる。
痙攣する蜜壺が捲れてしまいそうだと懸念しながら
数度抽挿を繰り返し、上から注ぎ込むような恰好で
射精した。]
[繋がったまま抱き締めると、今度は波が引くように
楔が萎んでいく。
栓を失った洞からは小さな破裂音とともに
生温かい液体が零れ落ちた。]
| [――――どれくらい時間が経っただろう。 低く規則的にバイブ音が響く。]
……実家だろうな。 「ちょっと寄り道する」ぐらいで 時間が掛かり過ぎだって。
[良い歳をした息子の到着が遅れていることを 母は心配しているのだろう。 ルミの当初の計画通り、軟禁されていたら、 この後に成りすましのメッセージでも送られていたのだろうか。]
(0) 2024/05/19(Sun) 22:03:48 |
|
なぁ、ルミ。
[汗で貼りついた前髪を摘まんで梳きながら 小首を傾げた。]
一緒に実家、行く?
[外堀さっさと埋めようか、なんて。*]
(1) 2024/05/19(Sun) 22:04:15 |
[ 膝の擦り傷は、数日も経てば薄く消えていくだろう。
偽物の運命を本物にするための対価としてなら、
あまりに安く軽い傷だ。
手首に残る皮膚が引きつったような痕。
自分で自分を傷めつけるのは容易くて、
一番手軽に楽になれる。
可視化された痛みが好きだったけれど。 ]
……ん、おにいさんが、そういうなら……
──ッひぅ、!?
や、ばか、だめ!
[ もう自傷行為も頑張って辞めると言おうとして、
傷に押し当てられた舌先の温もりに身体が跳ねた。
「ばか」なんて言葉が思わず転び出る。 ]
[ 自分一人で抱えていくために負った傷あとが、
彼の人生に混じっていくような錯覚。
或いは傷を経由して、自分という人間のなかに
彼そのものが入るような。
──触れられることがうれしくて、こころが揺れる。
例えばこのまま本当に二人が融けて
一緒になってしまえたら良いのに。
そうではないから出来ることがあると知っていて、
けれど選ばない道を夢想する。
合理的な判断が出来なくなるのが恋なのだ。
この灼けるような戀がいつか骨を灰にしたって良い。
いつか灰になる日が来るのなら
次は風に乗って貴方へ会いにいけるから。 ]
────……ッふ、ぁン、 ん、ゃ、あぁ……っ!
[ 腹の奥に二度目の熱を感じて、
貴方という名前の愛を覚えて、
輪郭を伴った愛の声を聞いて。
抱き締められ、零れ落ちた命の成り損ないが足を伝い、
わたしは知らずのうちに頬を綻ばせた。
理由も分からないまま涙があふれて、
考えるよりも先に、花咲くようにわらう。 ]
|
[ 寄り道にしては長すぎる時間が経ったころ。 彼のスマホから通知を知らせる音が響き、 「ああ」と理解したようにスマホから視線を外した。 ]
確かにそうかも、ね… ……じゃあシャワーの準備とか、
[ 当初の計画通りに事が進んでいたとすれば 成りすましのメッセージで疑惑を逃れただろう。 パスコードは盗み見て記憶しているし、 彼らしい文章を作ることは造作もない。
しかし今は、そんなことをする必要はないのだ。 ならばひとまず家に行かせる方が良いだろう。 詮索され過ぎても事だ。 ]
(2) 2024/05/19(Sun) 22:48:33 |
|
[ ああ、彼を家に閉じ込め続ける必要がないのなら 出していなかったシフトを出して── ついでに首元が隠れるメイクか制服を探さねばと、 シャワーの提案をしかけて、止まる。 ]
──────…えっ
[ じっか。ジッカ。──実家??
頭の中でまず言葉を変換し、意味を導き出して、 頑張って今理解しようとしています── と言わんばかりの顔で固まった。
さすがの自分にも分かる。 実家へ一緒に行く=結婚の挨拶なのでは? と。 いや、結婚することは確定事項なのだが、 それはそれこれはこれのような……? ]
(3) 2024/05/19(Sun) 22:48:41 |
|
[ が。 常識を知っていてもそれに則る女なのならば、 そもそも監禁未遂など起こしていないはずである。
しばしのフリーズの後、「うん」と頷いて ]
い、行く。 ……あ、でも待って、似たような服しかないかも
…………とりあえずお風呂済ませて考えよ……?
[ 外堀はアスファルトで厳重に埋めるに限るが、 そのためにはマナー通りの服装が必要に違いない。
ひとまずシャワーを浴びて身体を清めてから 一番大人しい服を探そう。 彼にもまだそのくらいの猶予はあるだろう。* ]
(4) 2024/05/19(Sun) 22:49:47 |
[新陳代謝でも消せないくらいの傷を負った手首でも、
新しい傷を増やしてほしくない。
最初は自分の我儘を聞き入れる彼女の形を取って
いても、いつかは自分の意思で自傷したくないと
思えるように、痛みではなく幸せを可視化して
やらなければ。
たとえば彼女の網膜に自分の笑顔を灼きつけて
たとえば彼女の薬指に自分が贈った指輪を
たとえば彼女の表札を自分と同じ苗字に変えて
たとえば
たとえば
再会してからの時間なんて考えない。
再会の異常性なんて誰にも明かす必要はない。
ただ、具体的に未来を描きたいと思った、
それだけがすべて。]
[傷を舐めても喉の奥が絞られたような嬌声をあげる。
急速にセックスで感じる身体になってくれたのが
嬉しくて、この分だと毎日抱きたくなってしまいそうだ。
絶頂を追いかけて、閉じる門に向かって
胤が泳いで行く。
部屋の中に辿り着いても今は生命にしてやれないけれど。
愛 は、確かにここに生まれた。]
| [セックスをしながら気持ちが育ち 具体的に動こうと浮かれる男とは対照的に ルミの方は夢から醒まされたように笑顔が消えた。
何を考えているのだろう。 「離れたくない」と言うのかと思いきや 自分を押し倒した時のような狂気の瞳は見られなくて 逆に自分が寂しくなってしまった。]
……いや?
[意思を聞いているようで、許してもらおうとする癖。] (5) 2024/05/20(Mon) 0:25:17 |
| [フリーズが解けるのをじっと待っていた。
この部屋で二人の関係を煮詰めようと計画していた 彼女には考えてもみなかった提案だろう。
彼女の世界には自分だけで良いと言いそうな雰囲気が あるルミに、いきなり外の人間の話題を出して 拒否反応が起きないかは少し懸念していたが、 どうやら自分の家族を疎んでいるのではないらしい。]
服はまあ一緒に見たいかな。
先に風呂は勿論。 石鹸の匂いさせてたら兄ちゃんあたりは 寄り道の理由を勘繰られそうだけど。
[時間はまだ作れる。
「彼女を連れて行く」
この魔法のワードがあれば、夕飯のグレードアップの 為に母の方が時間を稼ぎたくなるに違いないから。**] (6) 2024/05/20(Mon) 0:25:46 |
|
[ 蜘蛛が手に入れた獲物をすぐ食らい尽くさないように、 恋人になったからといってすぐさま動くことはしない。 獲物がかかるのをただじっと待つのと同じだ。 ──そう、急いては事を仕損じると思っている。
煮詰まった狂気は手に入った充足感でやや薄れ、 帰省程度ならば我慢できるようになった。 どうせこの家からもそう遠くはない。 聞き分けよく笑顔で送り出せる自信はないが。 ]
……いやじゃないけど、…… …………お兄さんってさ 甘えて許して貰おうとする癖あるよね。
[ こちらが惚れた弱みで頷いてしまうのを、 分かってやっているのかはともかく。 ]
(7) 2024/05/20(Mon) 18:46:04 |
|
かわいいから別に良いんだけどぉ……。
[ 許す側になる方が何かと都合も良い。 " 許してもらった "過去を突き付けられるし、 なにより他の女に目移りさせずに済む。
受け入れて甘やかして許してあげられる、 そんな彼女はわたしにしか出来ないでしょう? ]
(8) 2024/05/20(Mon) 18:46:09 |
|
[ 自分の世界には別に、他の人はいなくて構わない。 彼だけで困ることなどひとつもないのだ。
ただ、少しでも円滑に物事を巡らせるためには 時として世界の扉を開けねばならないと知っている。 一生他人を入れ続けろとは言われたくないけれど。 ]
──勘繰られて困る事でもある?
[ ちら、と試すように彼の目を見上げた。 まさか再会した幼馴染を連れて来た、とか そういうつもりで一緒に行くわけではあるまい。
つまり彼には勘繰られて困ることなどないはずだ。 なにか後ろ暗いことでもあるのかと言いたげに、 乱れた髪を整えながら、はふ、と息を吐いて ]
(9) 2024/05/20(Mon) 18:46:14 |
|
まあ、石鹸どころか甘い匂いのしかないけどね。 残念でしたぁ、隠せないですよーだ。
[ 生憎シャンプーもボディソープもライン使いだ。 甘い花のような匂いがするもの。 勘繰られるどころかアピールも同然になるだろうと、 勝ち誇ったように笑ってみせた。 ]
(10) 2024/05/20(Mon) 18:46:18 |
|
[ 髪は結ばずにおろせば良いだろうか。 服は──レースやフリルが目立つものが多いけれど、 やや可愛い寄りに収められる組み合わせがあったはず。
算段を組み立てながら、彼の手を引いた。 ]
ほら、早く浴びよ、お兄さん ──彼女です、ってちゃんと紹介してよね。
[ 忘れないでよ、と念押しをするようにそう言って どこか照れたようにはにかんだ。** ]
(11) 2024/05/20(Mon) 18:47:31 |
| [癖を指摘され、ぱちくりと瞬きをする。 無自覚な甘えは末子の特徴かもしれない。 ルミの前では「お兄さん」だった筈で、 実際に歳の差は5歳もあるのに、 あまり年上らしくないのかもしれない。]
えー…… 「お兄さん」って呼び名らしくない行動は あんまり取らないようにって思ってたんだけどな……
「かわいい」は「お兄さん」に言う言葉か?
[ルミの内心は知らず。 まさかこの行動を抑止力と勘定されているなんて。
恐らくその懸念は杞憂に終わり、 行使されることはないからきっとこれからも知らないままだ。] (12) 2024/05/20(Mon) 21:38:13 |
| 困るっつか、気まずいだろ、 家族の性事情見えるのって……。
[後ろ暗いというか、あまり想像はされたくない。 此方も兄と兄嫁の営みを想像したくないように。 甥がいる以上性行為はしているのだが、そこを 想像しないようにするのが家族だと思っている。
だが家庭環境が複雑なルミには理解できない感覚なのかもしれない。 勝ち誇った顔に「まじかー」と苦笑した。]
ここまでドロドロだとシャワー借りたいしな。 フローラルのペアルックで行くか。
[元々予定していた訳でもない訪問なら、 挨拶の前に「二人で同じ浴室を使った」のが 明らかでも、母親は少なくとも気にする余裕はないかもしれないし。]
(13) 2024/05/20(Mon) 21:38:41 |
| [シャワーは先にルミに浴びてもらう心算だったが、 手を引かれて意図を知る。 この片時も離れることが頭にないような行動が愛しい。]
もうおんぶはしなくて良い?
[この部屋に来た時よりも、ルミの足腰は少し 弱っている気もするけれど。
白雪姫がお望みなら、王子の抱き方を頑張ってみようか。*] (14) 2024/05/20(Mon) 21:39:09 |
|
[ "かわいい"は不服らしい。 無自覚な甘え癖があってもなくても、 好きな人は可愛く見える時があるのではないだろうか。
──他の女にも同じことをしていたら、 それは途端に憎らしい仕草にもなるけれども。 ]
えぇ? お兄さん、そんなこと考えてたんだ。 別にいいのに。 好きだなって思ったら、可愛く見えちゃうんだよ。
……ヤならやめるけど。
[ 五歳差という空白は、幼い頃は大きく見えて 大人になった今も決して追いつけはしない。 進学も就職も先を行ったくせに、 恋慕を知るのが自分より遅かったずるいひと。 ]
(15) 2024/05/20(Mon) 22:20:52 |
|
[ 構って欲しくてお兄さんと呼び始めた。 そう呼べば年下の幼い自分を無下には出来ないことを、 小さな頃から本能で悟っていた。 ────浅はかな策略だ。 ]
……分かんないや。そうなんだ。 偉いねお兄さん、家族、大事にしてて。
[ 家族という集団への概念などは知っていても、 生じ得る自他の境界線には乏しい。 自分にとって家族は血の繋がった他人だ。
多くは語らず、己の解釈を補完して完結させる。 勘繰られるのが嫌なら恋人と思われたくないのか、とか どうしても自分はそうやって不信に寄ってしまうから そこを少しは矯正する必要もあるのだろう。 ]
(16) 2024/05/20(Mon) 22:20:57 |
|
────……、……一応ないこともないよ。 男の人用のやつ。
[ 誰の為に買ったわけではない。 顔も覚えていないような相手が置いていったものだ。 聞き分けのいい子の振りをして、 隠しておくつもりだった選択肢を出しながら ]
でも、わたしはお兄さんとお揃いがいい…… ……わがまま言わずに家に行かせてあげるんだから お兄さんも、今回はお願い聞いてよ。
[ ここで機嫌を悪くして「やっぱり嫌」を言わないだけ、 彼への好意分、大人になっているつもりなのだ。 " 二人で "一緒にいたいの、と喚いて 手首にナイフを持って来ない理性を褒めて欲しい。 ]
(17) 2024/05/20(Mon) 22:21:02 |
|
[ 別々にシャワーを浴びることは頭になかった。 もし先に浴びるかなどと聞かれていれば、 それは流石に声が冷えていたに違いない。 一緒にいたがっているのは自分だけか、と。
そりゃ好きの年月も重さも違うから仕方ないよね、 けど家の中くらい最初から別じゃなくていいじゃんか それってほんとに好き? どれくらい好き? ────などと言葉を連ねる未来が容易である。 ]
やぁだ、恥ずかしいもん してくれるなら抱っこがいいな。
[ しかし現実は幸いなことにルート分岐に至らず、 白雪姫はフローリングを踏みながらそう言った。 さすがに歩けないこともないけれど、 足腰は重く、だるさが尾を引いている。* ]
(18) 2024/05/20(Mon) 22:21:14 |
| いや、「好きだなって思ったら可愛く見えちゃう」のを やめるってことは、好きだなって思わなくなるって ことだろ?それはやだ。
[ロジックを解いているようでその実トンデモ理論に なってしまうのは、恋という毒がもう全身に 回っているからかもしれない。]
俺にとっての「可愛い」はルミだからさ、 俺が言われると「違う」って反射的に思ったけど、 ルミにとっての「可愛い」が俺の形してるなら、
それは、嬉しいっつーか……
[ルミにとっての「可愛い」も、ソファに掛けられた 黒いワンピースや歩行バランスの取りにくい厚底の 靴のような「女の子」というアイテムにつけられる 評価だと何となく思い込んでいたのだが、
「可愛い」が「好き」とイコールなら、 逆に自分を評している言葉でなければ嫌だ。]
(19) 2024/05/20(Mon) 23:06:39 |
| [そんなことひとつ、年下の彼女に教えて貰わないと ピンと来ない。 勿論、これまでの彼女から同じ言葉を聞いたことはない。 それはつまり、格好つけて末子の特徴を出さなかった 可能性に繋がる。
家族とは昔も今も特に変わらない関係性を保っているから、 他の女性の前で出さなかった特徴がルミの前で出るのは それだけ自然に振舞えているということだ。] (20) 2024/05/20(Mon) 23:07:22 |
| んー。 家族をっつーか、「大事にしてくれる人」を 大事にしてるだけっていうシンプルな話な。
「家族だから」大事なんじゃなくて、 「俺を大事にしてくれるから」帰りたいっていう。
[言葉少なに終えたルミの頭を撫でた。 血縁上「家族」というラベルが貼ってあるだけの、 ルミを大事にしてくれない人をルミが大事にしてやる 必要はないのだという気持ちを込めて。
経験不足故に起こる不安や齟齬は その都度解決していければ良い。 自分にだって、自分以外の家庭環境で育まれた 価値観に対する理解度は高くないのだから。]
(21) 2024/05/20(Mon) 23:07:48 |
| [1人暮らしの、女の子らしい要素を集めたような 部屋にある男性用の洗浄剤なんて、自分用に 用意されていたものの筈がない。
勿論断固拒否だ。
首を横に振るのとタイミングを被せるように ルミが迫る。 交換条件として出される「お願い」は 可愛らしいものだ。 暴れたい本能を抑えてくれたおかげである。]
勿論、今日だけじゃなくて、 一緒にいたら感じなくなるくらい ずっと同じ匂いでいよう。
[会社においてはきっとそれは魔除けにも なるだろうから。] (22) 2024/05/20(Mon) 23:08:40 |
| [おんぶは恥ずかしくて抱っこは恥ずかしくないのか。 顔が近くに見える分、恥ずかしくなりそうではあるが。
その体勢になった時、開いた股の間から残滓が零れる かもしれないと思えば確かに恥ずかしいかもしれない。]
初心者だからな、へっぴり腰でも ツッコむなよ?
[予防線を張って、ルミの上肢を自らに預けさせる。 ルミの身体は軽いとはいえ、この状態で人を運ぶのは 初めてのこと、おんぶのように上手くはいかない。
よた、よた、とゆっくり、低い位置で抱き上げながら、 バスルームを目指した。
きっとこの長い長い初めての「お姫様ごっこ」のネタは 今後何年も擦られることになるだろう。*] (23) 2024/05/20(Mon) 23:09:58 |
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え、えぇ……? ……ふふ、お兄さん、わたしより我儘。 そういうとこがかわいいって言ってるんだけどなぁ
[ 一瞬「確かに」と頷きかけた論理は、 よく考えなくても破綻している。 それとこれとはまた別では……と思ったけれども 都合が悪いことは口にしない。賢いので。 ]
……ぁぇ、あ、……ぅん お、お兄さんのかわいい、わたしなんだ
…………そっかぁ。えへへ……。
[ にま、と緩んだ頬を抑えずに笑った。 自分が可愛いと思う人は彼だけだから、お揃いだ。 ──アイテムの類はまた別で許して欲しい。 ]
(24) 2024/05/20(Mon) 23:37:26 |
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────うん。
[ 頭を撫でられ、こくん、と頷くに留める。 家族だからという前提で成り立つ事象は沢山あって そこに適応するのはきっと難しい。
大事にしてくれる人を大事にするという、 愛の返報も決して上手く出来るわけではないけれど。 諦めない未来があればいいな、──なんて 柄にもないことを考えて、掌を受け入れた。
シンプルな事柄も自分にとっては複雑だ。 けれど彼と一緒にいて直面する事実であるなら、 決して嫌な気はしない。 ]
(25) 2024/05/20(Mon) 23:37:29 |
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[ 交換条件のお願いは無事に成立したようだ。 他の女性陣が希望を打ち砕かれるくらい、 甘ったるい匂いでマーキングする気満々だけれども 一度そう言ったなら撤回は聞かない。 ]
約束ね。忘れちゃ駄目だよ。 忘れさせないけど、わたしが。
[ 余計な虫は生まれる前に潰すに限る。 或いはもう芽生えてしまった後だというのなら、 匂いで命を奪ってやってしまえばいいのだ。
会社で彼の笑顔や優しさにつられた虫たちを、 わたしの縄張りで呑み込んで殺してやるの。 ]
(26) 2024/05/20(Mon) 23:37:36 |
| (27) 2024/05/20(Mon) 23:37:40 |
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[ おんぶが恥ずかしいのは、 幼い頃の記憶が同時に蘇ってくるからだ。 大きくなった今、子ども扱いは流石に羞恥を覚えるし それくらいの感覚はある。
──が、だからといっておんぶも抱っこも 全て拒否したいわけでは勿論ない。 なんならあまり記憶にない抱っこをされてみたいし、 隙あらばひっついていたいのだ。 ]
んふふ、どうしようかなー 後でからかうネタにしちゃおっかな。
[ などと意地の悪い、猫のような一面を見せながら 上肢を預けてくすくすと笑う。 そのままゆっくりと抱き上げられ、 バスルームがまるで遠くにあると錯覚するほどに 遅い足取りへ、楽しそうな声を零して。 ]
(28) 2024/05/20(Mon) 23:37:45 |
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[ りんごは重力と一緒に地面へ落ちた。 森の中の小屋に、七人の小人はもういないし 助けてくれた狩人も毒林檎を盛った魔女も闇の中。
出会った二人に原初の罪があるというのなら 偽物の運命を背負って生きていく。 本当の運命に出逢わない道を選んで、 ──そうして二人だけの世界になれば 贋物だって、ただの運命になれるでしょう?
傷も痛みも過去も全部互いの指にはめて、 一生外せない誓いにしようね、お兄さん。 ]
(29) 2024/05/20(Mon) 23:37:54 |
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[ わたしたちの秘蜜は、 終わることのない永遠の夢の中。** ]
(30) 2024/05/20(Mon) 23:38:07 |
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