人狼物語 三日月国


45 【R18】雲を泳ぐラッコ

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[それは例えば寝癖で一束だけ跳ねた髪を
 見つかってしまったときや
 声を上げて笑ってしまったときに
 吐き出された溜め息とは
 質が異なるものだ。

 温かい吐息と彼の言葉が
 開かれたワイシャツの間の肌を撫ぜ
 熱を持つ二粒とその奥の心を震わせる。]


   ……、……


[脂汗を噴き出させる痛みは
 相変わらずあった。

 けれど、味わったことのない幸福感が
 次から次に溢れてもいて
 痛みによる辛さと綯い交ぜになる。]
 

 
[新しい自分に変わっていく。
 けれど、不思議と怖くはない。

 
────かの男も、復活を遂げる前には

 
手足を貫かれて磔られ、痛みを伴ったものだ。


 生まれて初めて吸った空気は彼の――、
        在原治人の、匂いがした。]
 

 
[濡れる顔を包むように触れられれば
 混ざり合ったそれらはいよいよ
 結合してしまったのだろう

 嬉しい、正の感情だけが残り

 とろりと蕩けた瞳で
 彼の左目、……右目、…また左、と見つめ
 頬は血色を取り戻し淡く色づいていった。

 同じ色の唇を、ゆっくりと動かす。]


   ……、……


[けれど、饒舌になった彼とは裏腹に
 僕の口からは言葉が出てこない。

 貴方のことをもっと知りたい。
 僕のことを知って欲しい。

 そんな欲が確かにあるのだけれど
 音に換えることが出来ない。
 頬に伝わる温もりに、声を奪われてしまって。]
 

 
[七週の間、
 何度焦がれ、何度妬んだことだろうか。

 あの標本を作り上げたこの掌に。]



   (あったかい……)



[安くはない代償を払って
 危険な海の外に出て
 最期には泡になって消えてしまうだなんて
 馬鹿のすることだと思っていたけれど

 W声を犠牲にしてでも逢いに行きたいW

 その気持ちが少しは理解出来た気がする。]
 

 
[言葉で教えて貰うのではなくて
 この世界一の職人の掌を通じて
 教えられたい。

 贅沢にも、そう願ってしまう。]


   ……。


[唇を結び直せば、緩く弧を描かせて
 ふ……、とただ微笑みを浮かべた。

 貴方に仕上げられることを
        望むだけの作品だ。**]
 

【人】 二年生 小林 友

[─────昔、小学校の頃
 俺はいじめにあっていた。

 嫌なくじ引きに当たった……みたいな
 特に深い理由もなくそれは始まった。
 朝一番の「おはよう」に誰からも返事がなくて
 それを切っ掛けに、靴が無くなり
 教科書やノートも消えた。

 友達だと思ってた人達が、
 ある日突然敵に変わる。
 何故?と問うても誰も答えない。

 それで……少しだけ、堪えてみようと思った。
 何が原因かは分からないんだから
 少し待てばまた前みたいに友達になれると思って。

 待って、待って、待って、待って、
 待って、待って、待って、待って……
 でも全部元通りになるより先に
 俺の心が折れる方が先だった。]
(50) 2020/10/01(Thu) 22:52:00

【人】 二年生 小林 友



  かあさん、おれ、がっこういきたくない。


[そう、勇気を出してしぼりだした時
 母さんは半狂乱になって、自分を責めてしまった。
 何も気が付かずのんきに息子を学校に送り出して
 暗い顔してても勇気を出せと言うばかりの
 何も分かっていなかった自分を。

 結局、母さんが学校に突撃して
 いじめは急速に収まったけど……
 でも元通りにはならなくて。
 というか、元通りに接しろ、なんて
 俺自身が無理だった。

 元通りに笑えないし、喋れない。
 何話していいかも分からない。
 相手の目を見た時、冷たく歪んでたらどうしよう
 ……そう考えたら、目すら合わせられなくなった。]
(51) 2020/10/01(Thu) 22:52:31

【人】 二年生 小林 友

[そうして小学校を卒業して
 中学から、高校まで。
 幸いまたいじめられることはなかったけど
 一度ついたオドオドした態度は変えられない。

 特にこの桐皇なんか、良い奴ばかり。
 ……だけど、俺だけがずっとダメなまま。

 何も心配いらないよ、母さん。
 あんたの息子は今日も
 良い奴にだけ囲まれて過ごしてた。]
(52) 2020/10/01(Thu) 22:53:04

【置】 二年生 小林 友



  今家に帰ってきた。
  数学の磯崎の宿題たるい……。
  アキナはもう終わった?

  今日のこのカニは……『大きなカニ』?
  俺が読んだ時には少し不気味な話だと
  思ったけど……このカニは可愛い。

  毎年富山のじいちゃんが
  カニの解禁の時期になると
  「帰って来い」ってうるさいんだよね。
  今年も言われると思うと気が重いけど
  カニ食ってる間だけは許せる不思議。


 
(L8) 2020/10/01(Thu) 22:54:06
公開: 2020/10/01(Thu) 22:55:00

【人】 二年生 小林 友

[他愛のない会話だって自分でも思う。
 本当に面白いやつはもっと違う話をすると思う。

 それでも必死こいてる自分を
 どっか冷静な自分が冷ややかに
 笑ってることすらある。

 それでも。]
(53) 2020/10/01(Thu) 22:55:17

【人】 二年生 小林 友



[たったそれだけなのに
 神様はひどく残酷なことをする。]*

 
(54) 2020/10/01(Thu) 22:59:27

【置】 二年生 小林 友

[そりゃあ、違和感なんかたくさんあった。]


  何言ってんの?!(笑)>>L6
  俺はちゃんと生きてるよ!
  アキナと同じ世界の人間だよ。



[図書館に返してなくっても
 便箋は更新されている、とか。]


  俺、もしかして─────
  何処かでアキナに会ってたのかな?
  ……とかいうと、なんかナンパっぽいけど
  そんなんじゃなくて、本音ね!

  てか、アキナ俺の事知ってるの?>>L7



[図書館に行ったのはあの日が最後で、
 あんだけビックリしたのは数億年ぶり。]
(L9) 2020/10/02(Fri) 0:33:13
公開: 2020/10/02(Fri) 0:35:00

【置】 二年生 小林 友



  …………アキナこそ、生きてるよね。


 
(L10) 2020/10/02(Fri) 0:33:56
公開: 2020/10/02(Fri) 0:35:00

【人】 二年生 小林 友

[俺がバスケ部でもないし陽キャでもない
 ただの卓球部のクソ幽霊部員で、
 教室の隅っこで震えてるだけの人間だって
 アキナにだけは知られたくない。
 知られたく、なかった。

 なのに、どうしても会ってみたくて、
 勇気出して陽キャに声なんかかけて。
 矛盾してるのは分かってるけど、でも。

 なのに、違和感は募るばかり。]
(55) 2020/10/02(Fri) 0:41:59

【置】 二年生 小林 友



  明日の放課後の図書館、
  童話の書架の前で、待ってる。



[生きてる俺を見れば、アキナも安心するかも……
 否、俺がただ違和感を払拭したいだけかもしれない。]
(L11) 2020/10/02(Fri) 0:47:13
公開: 2020/10/02(Fri) 0:50:00

【人】 二年生 小林 友

[だって、おかしいだろ。

 友達とカラオケも行けない世界って?

 田舎のじいちゃんが「帰ってくるな」って?

 街から人が消えて、

 世界中で戦争みたいにひとが死んで……

 おかしいだろ。ありえないだろ。

 漫画かハリウッド映画の世界みたいじゃん。]
(56) 2020/10/02(Fri) 0:51:57

【人】 二年生 小林 友



[俺は、そんな世界を知らないんだ。]*

 
(57) 2020/10/02(Fri) 0:52:40
二年生 小林 友は、メモを貼った。
(a13) 2020/10/02(Fri) 0:53:32

【置】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月



 ザキイソって三年担当じゃなかった?
 先輩がめっちゃ鬼! って文句言ってた!
 私のクラスは小川Tだけど、オガちゃんもオガちゃんで鬼。


 
(L12) 2020/10/02(Fri) 6:32:35
公開: 2020/10/02(Fri) 6:35:00

【人】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月

[うんと甘いコーヒーを片手に、本を取り出す。
 便箋を開くのは、ミルクを注ぐのに似ている。
 スマートフォンに見向きもしないで、マドラーを回す時間が好きだ。]
(58) 2020/10/02(Fri) 6:32:58

【置】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月



 あんだけおいしそうなかに出しといて、
 食レポさせてくれないの悲しすぎる
 頭はかにでいっぱいになってるのに!
 
 富山のかにいいなぁ! 食ってる間笑う〜(* ´艸`)
 あーもうかに食べたくなっちゃったよ!
 全然うまくむけないんだけどね。身ごと折っちゃう。

 だけど、今年は行けないんじゃない?
 あんまり気にされない方なの?
 お年寄りはこの騒ぎに敏感だからさ。
 うちは九州にいて、毎年ゴールデンウィークに行ってたけど、
 今年は来るなって言われたよ。
 田植え手伝わされないのは良いんだけど、
 めんたいこ食べられないのは寂しい。めんたいこ……

 早く、落ち着いてほしいね。


(L13) 2020/10/02(Fri) 6:34:02
公開: 2020/10/02(Fri) 6:35:00

【人】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月

[本を返しに行かなくても返事が返ってくるのは、正直言って驚かない。
 もちろん変だけど。
 それよりも、端々から滲む、人と人との距離の近さ。
 それは失われてしまった一年前の日常で。

 ── カラオケ行ったの? まあ、禁止まではされてないけど。
 失恋を励ますにしては、勇気のある場所チョイスだね。

 ── おじいさんに、来いって言われる?
 周りのお年寄りは、電車も怖がってたのに。

 ユウ君との会話が、少しずつ、ずれていく。]
(59) 2020/10/02(Fri) 6:34:29

【置】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月


 だよね! 2020年の今を生きてるんだよね?
 私は生きてる、今日も筋肉の躍動を感じる。

 うーん、知ってるっていうか……
 顔も声も知らないんだけど、
 たぶんそうじゃないかなって人を、図書室で見かけたんだよね。


(L14) 2020/10/02(Fri) 6:35:26
公開: 2020/10/02(Fri) 6:40:00

【人】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月

[明日の放課後、童話の書架の前で。
 図書室に行って、またあの空間に行けるだろうか。]
(60) 2020/10/02(Fri) 6:35:48

【人】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月



 ──── あ、


[ぴ、と紙の隅が破けた。
 何度もやりとりして、消しゴムをかけるうちに、少しずつ痛んだ紙は、とっても書きにくい。
 ところどころ毛羽だった紙面をそっと撫でて、裏側からセロハンテープを貼る。
 あとどれぐらい、ユウ君とこうやって話ができるんだろう。]
(61) 2020/10/02(Fri) 6:37:20

【人】 Cucciolo アジダル



 [ 暗色の目元や体格をじろりと確認したが、その人物は
  事前に把握していた面々の内に存在しなかったはずだ。
  けれど自分たちが踏み入ったのは、人里離れた森の奥。
  ハイキングの一般人が偶然立ち入るような場所でない。

  一見して堅気で無さそうな体躯の男が
  銃口を向けられて平然としている様が
  場馴れかそれ以外の理由なのか、
  力量を推し量る事も出来ない程度に
  未熟な頃の青年には読み切れず。 ]


   Sigma? ……何だそれ、コードネームか。
   浮浪児でももっとマシな言い訳するぜ。
   僕は「どうしてここを知っている」って聞いたんだが?


 [ 聞きなれない響きの名を舌先で転がした。
  偽名にしては疑わしすぎる音と、毅然としながら剣呑な瞳、
  降伏の両腕が紐づかない。

  無暗に牙を剥く幼さは見抜かれやすかった。
  奴もまた青年の青さを察したのかも知れないと
  勝手に奥歯を噛み締める。 ]

 
(62) 2020/10/02(Fri) 6:46:19

【人】 Cucciolo アジダル



 [ 目撃者は処理するのが通例。不運にも通りかかった人や
  動く事なかった家無したちが片付けられるところは
  幾度となく見てきた。
  けれどどこか甘さの捨てきれない青年は
  その理不尽さに都度眉根を寄せていた。 ]


   どうあれ、そのまま帰すってわけにゃいかないな。


 [ 明らかに疑わしい人物を相手にしてもこの時もまた。
  添えるだけでトリガーの指を曲げる気にはなれず、
  無表情の奥底にある策略を探りながら
  まだ重く感じるグリップを握り直した。

  軽く上げた顎を傾け後方に声を投げようと、した時だ。

  
  背を向けていたブロンドの女はライターで目当ての紙を焼き
  "空虚"に武器を構えていた彼の背後に近づくと
  その項のあたりでフリントホイールをジャッと回す。 ]

  
(63) 2020/10/02(Fri) 6:46:49

【人】 Cucciolo アジダル



  
あ゙っッづ、ぁ!?

  なにしやがんだあんた!!??


 [ 飛び散った火花に纏わりつかれ、項を押さえて飛び上がった。
  まだオイル入ってるだろなんてことしやがると、
  愕然とした顔を披露する。

  銃口の狙いを一切ブレさせないまま振り返るも、
  犯人は寧ろ顔面の傷跡を歪ませ怪訝な顔をするばかり。

   それもそうだ。
   記憶の中に存在するボスは彼を知らず、
   その姿を見ること等なかったんだから。 ]


   は? 何と話してるって、ここにいるこいつとだけど
   ……いるよ!? 違う、ほらここ、
   違う違う、キメてもないしトんでもないってば!


 [ 薬はご法度だが、と重低音で吐きつける眼の冷たさが
  そのまま背筋を這い上がったようだ。
  血と体液に塗れているのはこちらの方だというのに、
  青年はその赤く塗られた爪の色に臆して喉を鳴らす。

  彼女の眼ともう一人の眼を何度も視線で往復し、
  とうとう額に掌底を押し当てて唸り声をあげた。 ]
(64) 2020/10/02(Fri) 6:47:02

【人】 Cucciolo アジダル



 [ なんでもいいが医者には手前でかかれよ、
  そう告げたボスが部屋を出る背中を見た時の顔面は
  幽霊を主張する子供のように不快を示していた。 ]


   ひ、拾った命だからってあんにゃろ……!


 [ 呟いた途端、空間の一部にノイズが走る。
   
……思い出した瞬間、記憶の一部が混ざりこむ。
   抱えた借金を片付けられず逃げ回った父親     
    →を、吊るされて揺れる様を笑った暴漢     
    →を、撃ち殺した背を踏んで一家を見降ろす集団 
    →に、啖呵を切って縋りつく少年……自分    
    →の、首根っこを掴んだ女……ボス       
    →が、踏み割った英雄のフィギュア。      

       稼ぎ手を無くした家の、家族を守るためには
       それしかないように思えていた。

   

  だから万が一にでも彼女の背中に向けないよう、
  射線をずらしなが青年は彼を睨みつける。 ]

  
(65) 2020/10/02(Fri) 6:48:59

【人】 Cucciolo アジダル



 [ 八つ当たりめいた声色で喚き散らせど、
  英才教育を受けた銃口はぶれないまま。 ]


   意味がわかんねえ……che palle.
   どう見ても堅気じゃないよな、あんた
   ボスのことやけに見てたが……
   ……あの人にやられた霊の類?


 [ 入口を背にした彼は光を浴びて影を伸ばしているというのに、
  これすらボスは見えなかったんだろうか。

  靴の裏に着いた血をこそぎ落とすように
  警戒した足取りで少し近づけば
  そろりと銃口をぶつけようとした。

    接触の感覚があれど、なかれど
    靴跡残るから外に出ろと告げる。 ]

  
(66) 2020/10/02(Fri) 6:49:16

【人】 アジダル


[ それからしばらく後でも、直ぐでも。
  外に出たのなら思い出と体を取り戻すし、
  なんなら項垂れかける男の姿だってあるに違いない。 ]*
 
(67) 2020/10/02(Fri) 6:52:55
 




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