人狼物語 三日月国


94 【身内】青き果実の毒房【R18G】

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【人】 8435 黒塚 彰人

>>16 普川
 立ち止まり、一拍置いて相手の名を口にする。
 今回は過たず、『年上』である彼を呼び捨てることはなかった。

「尚久さん。……はい、何でしょうか」

 黒い頭を見下ろし、言葉を待つ。
 一度合ってすぐに外された視線を惜しいとも、幸いだとも思った。
(17) 2021/09/26(Sun) 20:00:03
黒塚 彰人は、それを聞いて。背に片手を添え、腹に掌を押し当てた。ぐ、と押し込み、尋ねる。「何故ですか」>>a39
(a44) 2021/09/26(Sun) 20:04:11

普川 尚久は、視線を黒塚の胸から腹に落とした。自然と少し前屈みになる。「そうしてほしい気分だったから」
(a45) 2021/09/26(Sun) 20:12:45

黒塚 彰人は、背に回した腕に力を籠める。横向きに抱き込み、「そうか」腹を撫ぜ、「一度だな」繰り返し、>>a45
(a46) 2021/09/26(Sun) 20:32:55

黒塚 彰人は、普川の腹部を強く、拳で殴った。
(a47) 2021/09/26(Sun) 20:34:44

普川 尚久は、殴られて呻いた。背中の手がなかったらなぁと思った。
(a48) 2021/09/26(Sun) 20:39:22


 

 食堂へ向かう途中の廊下、少し何かを話してから、普川は黒塚に腹を殴られた。普川が抵抗する様子はなかった。

普川 尚久は、短く、繰り返し息を吐く。ふ、ふ、……笑ってるみたい。ぼんやりと思った。
(a49) 2021/09/26(Sun) 20:51:51

【人】 9949 普川 尚久

>>黒塚 

「ぅ…、……、…………でも、してくれたじゃないか」

 痛みを逃がしてから、大きく息を吸う。

「してくれると思って。おおきに。もういいよ。立ってられる。」

 吸った息を吐ききるように、間を置かずに、あなたの都合なんてこれっぽっちも考えていない、感謝なんてものは一ミリも籠っていない、平坦な、言葉というよりはただの音が並べられた。
(18) 2021/09/26(Sun) 21:03:47
普川 尚久は、視界の外の声を聞いた。>>+70 あ。と思った。思っただけで、別に何も続きやしなかった。
(a50) 2021/09/26(Sun) 21:18:23

【人】 9949 普川 尚久

>>暴行現場

 思ったよりも人が集まってしまった。普川本人としては、いちにのさんのそれじゃあねで済む用事だったのに。
 何かあれば聞く気だったので、黒塚が離すまで待つつもりだったが、そういう状況でももうないだろう。何かあればきっと後でも問題ないはずだし、何もなければそれでよかった。

「へいきよ」

 黒塚の腕を抜けて、一言答えた。>>+72

「ご飯食べに行くとこだったんだ。ああ、えっとね? 肉豆腐がおいしかったよ。それと個人の好みになるけど僕野菜が好きで炒め物はオイスターソース使ってるのが好きだった。あとパン結構見かけたけど、どれも違っててなんか面白かったから、興味持ったら手に取って見てていいと思う。なんかこう、なんていうのか分かんないのが多いくって」


 続けての早口は、事情を知らない者が見たら今の状況を誤魔化そうとしているように見えるだろう。実際には特別そんなことはなく、食事に向かうところに闇谷が居たから浮かびやすかっただけだ。
(19) 2021/09/26(Sun) 21:51:49

【人】 8435 黒塚 彰人

>>18 普川
「確かめたくはあったので」

 ちょうどいい機会でした。そう述べた。
 
期待外れだった。そう思い、期待と落胆とを自覚し、吐き気がした。


 つらつらと並べられた音を聞き流し、口を開いて――
(20) 2021/09/26(Sun) 22:02:31

【人】 8435 黒塚 彰人

>>暴行現場

 少年の怒声が響いたのは、そのときだった。

 声の主へと視線を遣る。
 こちらを睨みつける目と、目が合った。>>+70

 少年が一人、こちらへ寄ってきた。
 背から手を離し一歩離れた。>>+72

 こちらを観察するような視線を感じた。
 何も言わぬのであれば、何を返すこともなかった。>>c46

 場にそぐわぬことを早口で喋る少年を見下ろした。
 食事前でちょうど良かったですね。>>19

 強かに他人の腹を殴りつけたばかりの手を、口元へ添える。
(21) 2021/09/26(Sun) 22:07:06
黒塚 彰人は、欠伸をした。
(a51) 2021/09/26(Sun) 22:07:21

普川 尚久は、述べられたもの>>20に疑問はあったが、後でいいやと放り捨てた。自覚している癖だった。
(a52) 2021/09/26(Sun) 22:40:21

黒塚 彰人は、言われたことのほとんどを、ただしいのだろうなと思った。>>+73 >>+75
(a53) 2021/09/26(Sun) 23:02:23

【人】 8435 黒塚 彰人

>>暴行現場

「ああ、……そうだな、部屋にいようか」

 ここにいるのはそもそも、普川に呼び止められたからだ。
 その彼がこれ以上、用が無いのなら留まる理由もないだろう。

「……すみませんが、力加減を誤りました。
 何か食うのなら、手当てしてからにしてください」

 己が殴った彼の方を向いて、そんな言葉を寄越して。
 集まった少年らへと背を向け、立ち去った。その足取りは早くもなく、かといって遅くもなかった。

 割り当てられている、数日前までは小さな少年と過ごしていた部屋へと戻るのだろう。
(22) 2021/09/26(Sun) 23:11:37

【人】 9949 普川 尚久

>>暴行現場

「ああうん、次があったらリョウちゃんにお願いする」

 拒否の言葉を返す方が面倒なので、適当な事を置いた。>>+73
実際はどうするんだろう。きっとその時に考える。

 リョウちゃんは黒塚さんの何がそんなに気に入らないのだろう。何かが合わなくて、気に食わなくなるような事が起こっていておかしくない人種だとは思っているが。

 本当に、なんだか大事になってしまった。みんなみんな、別に気にしなくっていいのに。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 何かを言おかと考えて、結局面倒になる。ため息すら、何かを言われそうで、開いた口は呼吸をするだけになった。みんなみんな、見たいようにものを見る。
だから自分はここに来られたし、居続けられていた。
(23) 2021/09/26(Sun) 23:46:00
普川 尚久は、貴戸に頷いた。>>+75 「そうね、行こう」
(a54) 2021/09/26(Sun) 23:46:06

普川 尚久は、「手当てはへいき」と言った。実際問題ない程度だったので。それでもしたがる人がいればしてもらった。
(a55) 2021/09/26(Sun) 23:46:17

普川 尚久は、煮物foodを食べることになった。
(a56) 2021/09/27(Mon) 0:36:55

【人】 4274 素崎 真斗

「…………」

食堂でいつものように食事を調達して食べている。
今日の昼食はシュールストレミングfoodのようだ。
(24) 2021/09/27(Mon) 11:40:46

【人】 4274 素崎 真斗

>>24

「臭……」

流石に嫌になって捨てた。
というか流石に缶詰ってどうなの、ねぇ。
(25) 2021/09/27(Mon) 11:42:50
普川 尚久は、付け足して言った。「二桁いかんくらいなら、いいよ」
(a57) 2021/09/27(Mon) 12:05:08

普川 尚久は、この企画中、異能での治癒を何度か受けている。
(a58) 2021/09/27(Mon) 12:05:13

市川 夢助は、食堂に充満したやばい匂いに気が遠くなった。
(a59) 2021/09/27(Mon) 12:17:30

【人】 9949 普川 尚久

>>+77 貴戸

「んー……? うん」

 寄ってくるあなたの動きをぼんやりと目で追って。それでいて、耳に入ってきた音には淀みなく答えられた。

「涙を流したら、スッキリするだろ? そのくらいのことさ」

 それくらいのことか? 自問したが、そうだからそう言ったのだろう。

「ふつうは人にたのむことでないし、見せるもんでもないな。
 もっと気をつかうべきだった。さわぎにしてごめんなさい。
 おなじことがないように、よくよくかんがえてこうどうします」

 渡された反省文を読み上げただけのような、誠意のない言葉だった。
(26) 2021/09/27(Mon) 12:23:48
榊 潤は、流石にその缶を開けた食堂に行きたくないと思った
(a60) 2021/09/27(Mon) 13:08:18


「……多重人格か」

 少年の言葉を反芻し、時間をかけて嚥下し。そんな推察をぼそり、呟いた。
 回答を期待しない、会話未満の音だった。
 
……つくづく、似て非なる。



 ベッドに押し倒され、抑えつけられたまま下半身の服を脱がされ、そのまま行為が始まった。どうしてか追い詰められたようになっていく朝倉を余所に、普川は困惑気味ながらも冷静なように見える。

 その内に感情の堰を切ったように喚き出す朝倉。一瞬の間、その後。殴られたように普川の頭が弾かれる。それを皮切りに、見えない拳と独り善がりの律動との暴力が始まった。

 押さえつけられたまま、痛みに耐えるように身をよじる普川の姿は正しく『強者に抵抗できずに理不尽を受ける弱者』で、そのくせ表情だけはひんやりとしたままだった。


「……アレの言葉を借りるなら」
「『人格』とは、人に存在するものでしょう」

「ならば多重人格でも何でもない。
私は、
本当の『南波靖史』は最初から私しかいない。


「──アレは、
貴方達がずっと『南波靖史』と認識し続け、この舞台上で話し続け、人を『幸せ』にしようとし続けていたあの存在は、」


「名付けいわく本名は、」

  ネウロパストゥム・パトロヌス
「neuropastum patronus」
(操り人形の守護者)


「──自我が芽生えた、私の『異能そのもの』です」



だから、多重人格と言うのはおかしい。
経緯を知らない人間なら、最早それは『寄生』にも聞こえるような話。ただ、この『本人』はただ諦観しか見せていないが。



 ダウンした榊に縋りつかれたまま、ひとつずつ制御装置を外して台に置いた。鍵を使っている様子はなかった。

 ほどなくして影が盛り上がり、榊にまとわりつく。その黒は意思を持って動いていた。彼を普川から引き剥がし、軽く持ち上げる。

 影は触手のように何本にも枝分かれして、榊の着衣を脱がしていく。下半身をうまれたままの姿にしたところで、影がローションのボトルの蓋を開け、小指よりも細い細い影の束に垂らして広げた。
 一本、二本、三本……少しずつ増やされていく影は、結局何本榊に咥えられていただろう? 榊は抵抗しているようだが、人形と変わらないくらいにいとも簡単に動かされていた。

 一方の普川はトロピカルな色のカクテルを飲み切ってから、榊が残していた透明な酒に口を付けていた。ちょっとふわふわしてきたみたい。

「異能に、自我。そうか」

 ここまで、さほど気にかけてもいなかった言葉を思い出す。
 ああ。だから人間ではないと言ったのだな。そういう、答え合わせ。

「……つくづく、似て非なるな」

 そうして今度ばかりは思考の外、声になった。
 もっとも、一番初めに抱いたのは『難解な本名だな』という間の抜けた感想だったのだけども。

「初めまして――か? 『本当の』『南波靖史』。
 ……で、お前のことはどう呼ぶべきだろうな」

 遠回し、一人と一つを別物として扱うべきかと問うている。俺がアレを靖史と呼ばわることは知っているんだろう?
 直截的でないのは、この男にしては、たぶん珍しいことだった。

【人】 9949 普川 尚久

>>【食堂】>>+84>>+85

 三人からはちょっとだけ離れた、それでも会話をするには遠くない所に座っている。料理を作り始めるのに少し問答をしていた貴戸と闇谷には「僕お腹いっぱいになる量取ってくから」と暗に自分の分は作らなくていいとの発言をしていた。

「ふぅん……プリンを毎日食べられるようになりたいも、
 空を飛びたいじゃなくて飛行機になりたいも、
 別に立派な夢なんにね」

 暗に笑うことはないのにと言っている内容を、事も無げに呟いた。笑う人間の心理は分からないでもないので、普川本人としてはそう思っているわけではなかったりする。
 普川はリョウちゃんに本当の願いがあるだなんて知らない。それを欠片でも察せる鋭さを持っていたら、普川はもっと思い通りに人生を過ごして来られた。
(27) 2021/09/27(Mon) 15:34:22

【置】 8435 黒塚 彰人

 一人、少しばかり草臥れた寝具の上に横たわる。上着だけは壁のハンガーにかけて、履いたままのスラックスに皺が寄るのも構わず天井を眺める。
 視界の外にある、畳まれたままの布団の存在を意識する。ここ数日、背景と同化しているそれ。今日もきっと、少年は戻ってこないのだろう。

 随分と嫌われたものだな。そんな感想を抱く。抱いたものに、大した感慨も無かった。
 
本音を言えば、好意よりは敵意の方がいくらもマシだった。明確な何かがあれば、あるだけ。


 しばらくは――二、三日程、ほとぼりが冷めるまでは――顔を出さない方がいいのだろうかと考える。
 しかし問題があればあちらが避けるだろうかと考える。模範的な在院者は、おおよそ決まった時間に顔を出しているのだから。
 そろそろ、この馬鹿げた企画も終わる頃合いだろうかとも、考える。
 
期待と落胆とを、思い起こす。


 寝返りを打つ。慣れた匂いに、目を瞑る。
 早く、早く、…………
はやく。ここから、出してくれ。


 いつかの暗闇よりは浅い、浅い眠りへ落ちる。
 瞼の裏、焦がれる姿が映ったような気がして、けれどもぼやけていたので、いっそ世界ごと終わってくれと、さほど本気でもない、自暴自棄を願った。
(L0) 2021/09/27(Mon) 15:42:01
公開: 2021/09/27(Mon) 16:00:00
黒塚 彰人は、ノックの音で、浅い眠りから覚めた。
(a61) 2021/09/27(Mon) 15:47:53

【人】 9949 普川 尚久

>>+86 貴戸

「……? 慣れてたらもっとそれらしく言えるんと違うかな」

 我ながら相当気持ちが籠っていない謝罪だったと思っている。口だけで守る気が特にない、そんなふうには聞こえなかったのだろうか? 普川は首を捻った。

「貴戸さんがそういうことを言うと思って、
 だから先に言われそうなことについて言ったよ。
 意図のりかいはします。先のはつげんどおりです」
(28) 2021/09/27(Mon) 15:49:57

【人】 9949 普川 尚久


あとは?


(29) 2021/09/27(Mon) 15:50:41
普川 尚久は、なんとなくおかしくなって、笑った。何がおかしいのかは、分からなかった。>>28>>29
(a62) 2021/09/27(Mon) 15:51:21

素崎 真斗は、窓を開けて換気した。「死ぬかと思った……」
(a63) 2021/09/27(Mon) 16:12:13

普川 尚久は、「うれしいな、ありがとう」 少し的外れな言葉を返した。
(a64) 2021/09/27(Mon) 16:19:00

普川 尚久は、それから、食堂へ向かった。>>+88>>+89>>a64
(a65) 2021/09/27(Mon) 16:19:46

【置】 9949 普川 尚久


「素直に努力する子は応援したくなるな、上手くいくといいね」

 そう寄り添うように言って、返ってきた言葉に対して
 『ああ、うん、やっぱりなぁ』なんて思ったことだけを、
 僕は形にしたことにした。
 きっと誰も良いことだなんて言いやしない。  
 だからお揃いの少年に向けた言葉は素直だった。




「小さな失望が沢山積み重なってそ。可哀想に」

 そう嘲るように言って、返ってきた言葉に対して
 『
            
』とか思ったことを、
 僕は全然形にしていない。
 ただ、この後からは出来たら叶えたげようと思った。  
 お揃いが素直にいやだった。鏡に映したみたいなとこに居ないでほしい。




「そうしてほしい気分だったから」

 そうなんでもないように言って、返ってきた言葉に対して
 『悪いことをしたな』と思いそうになったのを、
 僕は形にしなかった。
 別にどうでもいいと思ってくれると思ったから、頼んだのに。なぁ……。  
 悪いことなんてしなかったから、自己満足だけ後でしに行こう。



ちょっとした何かくらいは、叶っていいはずなんだよ。ああいう人ら。
(L1) 2021/09/27(Mon) 17:10:41
公開: 2021/09/27(Mon) 17:10:00
9949 普川 尚久(匿名)は、メモを貼った。
2021/09/27(Mon) 17:10:46

普川 尚久は、「ね。全然同じじゃないの」 一部だけ拾って、呟いた。>>+92
(a66) 2021/09/27(Mon) 17:25:42

 
「へぇ。珍しい事を言いますね。非なるとは散々言われましたが、
 “似てる”が入っているのは初めてです。どう言う事ですか?」

気だるげな顔から少しだけ疲れが消える。
少し前に期待して、また落胆する羽目になったから止めようと思ったのだが。これは期待とは少し違う、同類の可能性への興味だからいいだろう。

「別に“お前”でいいですよ。気付かれたくないって言いましたし。
 下手に名前をつけると、アレにバレると困ります。

 ……アレの中では私、もう消えた事になってるので。
 思い出すと暴走しかねませんから。私の事大好きすぎるので、あの子」

最後の最後、気を抜いたせいか、
今までの声色と違って少し苦笑に近いものが零れた。

「俺も、人間ではないからだよ」

 ちらりとカメラを、マイクを気にする動きを見せつつも。
 記憶を選り分け、言葉を選んで話を続ける。

 最も簡単な方法と知りながらも口を噤むことを選ばなかったのは、たぶん、ただ話をしたかったから。
 同類への――普通でないものへの、期待。それをこの男も有していた。

「異能によってうまれた生き物。
 ……まだ人間として認められていないと言えばいいか?」▼

「『父親』が……俺を作った、あの人は。
 そうだな。俺のことが、好きだったんだろう」

 瞼を伏せ、言葉を吐く。
 笑いの一つも零れていないのに、どこか穏やかな声色をしていた。

「おかげさまで、難儀している。
 ――で? お前、“アレ”は“お前”をどう好いたんだ」

 少年に倣って、呼び分ける。
 消えたはずのお前の話を、聞いてみようかと思った。それが短くとも、長くとも。

 
「成程。私の場合は、一時期は半共存のような形でしたが。
そちらはそもそも“別個体”として存在は出来るんですね。

それ、アレが知ると喜ぶから教えてあげるとどうですか?
最も私が見ていない際に、そう言う会話は出ていたかもしれませんが。あくまで私は“本元”ですし、近いのはアレの方でしょうから」

別段、今の『南波靖史』をしている異能は、自分が人ない事を隠してはいない。話に流れがあれば、容易に話していた。

それでもまさか“自分と同じ異能そのもの”が居たとは想像だにしていなかっただろうから、知ると喜ぶのはそうだろう。

 ▼

 
「そうですか」

貴方の気にする先を、視線の先を薄ら確認する。
この状況で、全てを正直に話す気がない──そもそも不可能な事も勘付いている。

本当に貴方の言う相手が『父親』なのか、違う存在なのか。気にはなったが確かめられる状況ではないけれど、どちらにしてもその声色だけで少しだけ慰められた気分になった。

……自身の異能に対しての罪悪感は、0ではないから。


「中身や記憶が同一なのかは、気になるし本当はお話したかったのですが。……もうあまり時間もないでしょうし、それは“全部終わった”後に。気が向いたらアレに話してあげて下さい」

この演劇が終演を迎えた時、ここまで監視も盗聴も厳重じゃない──個人の会話同士くらい、誰にも聞かれない時間が生まれる。それは、この役職についてる自分だからこそ、知っていた。

 ▼

  

「──この現代社会における、」

「“ただしい好き”と言う感情を、持って生まれませんでした」



それを指す対象は、これを語る『本人』か『自我のある異能』か。或いは──『両方』なのか。そのどれかは、語らない。

「どう好いたんだ」の問いに、ただ。
「うまれつき他者の事を正しく愛せなかった」
と、付け加えた。

曖昧な言葉のそれは、少なくとも『ただしさ』を重視する社会では、許される方向性の愛ではなかった事は理解できるだろう。
 

普川 尚久は、ごちそうさまでした。そのまま話を聞いている。
(a67) 2021/09/27(Mon) 20:43:04

「そうか」

 少年の話を聞いて。短く、もはや口癖に近い三音節を返した。

 
ただしく在れない生き物は、それでもまだ、ただしさを求めている。
たとえ未練がましいと言われようと。
この房の中、朽ち果てるのは御免だった。


「……気が向いたらな」

黒塚 彰人は、手を伸ばし、“お前”の頬を一度、撫ぜた。
(a68) 2021/09/27(Mon) 20:56:30

【置】 0043 榊 潤


タイムリミットはもうすぐだ。慌ただしく上の連中は何かを用意していて。
思い残すことが無いわけではないが、彼らに挨拶をする必要があるだろう。
適当にばらまいただけのあの環境は、上の人間にお気に召しただろうか。
そして、褒美が与えられたとして。俺に意味をなすものなど無いのだが。

榊潤の罪は、既に全て証明されている。
"事故"で病院を経営していた両親を亡くして製薬会社を率いる叔父に引き取られ、裏で麻薬の密売人をしていた。
それが悪事だと知る前に、たたき込まされ、そのクスリの正体を知ってもそれが罪であるとは認識することが出来ない。

罪は、軽い。一年もすれば出されるものだ。だから"出所"は近い。


―――眠れなくなったのはいつからだった。
―――それは何年前だった?
―――一体いつから、俺は。

―――17の誕生日を祝われたのは、何年前だ?


教わったことが本当ならば。
今の俺には、どうでもいいことなのだが。
(L2) 2021/09/27(Mon) 20:57:12
公開: 2021/09/27(Mon) 23:55:00

【置】 8435 黒塚 彰人

【プロフィールカード】
 番号:8435
 名前:黒塚 彰人(クロツカ アキヒト)
 年齢:推定18歳

 異能:
伏せる
クローン生成。昨日までの己の複製を生成可能。

 収容歴:6年(うち、当院に1年数ヶ月)
 犯罪歴:
保護者
 殺人罪、および複数の余罪により死刑判決、執行済み。

保護者
未成年への暴行罪、および複数の余罪により服役中。

     
それにより保護処分とされている。

 ひとこと:「これでいいでしょうか」
      
「開示する必要があると思いました」

 同室:迷彩リョウ
(L3) 2021/09/27(Mon) 20:57:17
公開: 2021/09/27(Mon) 21:00:00
黒塚 彰人は、プロフィールカードを書き換えた。
(a69) 2021/09/27(Mon) 20:57:25

 




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