ハッ！　運のいい小僧だな！
　もっと絶望と恐怖を味わわせるには

　貴様のお仲間から殺すのが一番か！！


[ギラリ。獣のごとき赤き吸血鬼は
再びクラレンスを操ろうと洗脳を試みる

そう赤き吸血鬼の目的は
ミゲルの力を喰らうこと。

再覚醒したことで、より強く求めるように
周囲の空気は仄暗い赤の気配に包まれる]*

[指先ひとつ動けなくなった吸血鬼が呻く
グール達は自然に主人たる吸血鬼を守るように壁となる

あの能力は危険だが────。

この連中にあの小僧は殺せはしない。
そこに隙が出来ると打算して、僅かの合間の体の膠着の間に

闘気を高める。]


　　気が変わった…小僧…貴様から殺してやる！　　　
　
　
[迫り来る半吸血鬼に再び洗脳を掛けようと試みる
仲間を殺しきれない甘さが致命的となる得る

狡猾で悪質なやり方を一切躊躇することはない]*

[赤き吸血鬼は紅蓮を纏う
ギラリ────見定めたのは、体勢を崩しかけた己のもとの獲物へと

吸血鬼たる真価を発揮して
一気に間合いを詰め業火を纏った鋭い爪を見舞う

半吸血鬼2人は間に合わない
殺戮の確信を得て吸血鬼は皮肉に嗤う]*

[銀は例外を除く総ての吸血鬼への有効な金属
故に吸血鬼の中には銀をこの世から排除しようとする者も多い。

この世界では金よりも希少価値が高いものは
見習い風情が持っている訳がなく────。]


[腕を斬り裂かれたことで
獲物へと一歩鋭い爪は届かなかった

八年。吸血鬼にしては短い最中であろうとも。
熟成させ長く獲物と定めた]




[悔恨の怨嗟の咆哮をあげていた赤き吸血鬼が
途端に静けさを増す

戦闘で対峙する時よりも、なお威迫を漂わせていた]

[悔恨の怨嗟の咆哮をあげていた赤き吸血鬼が
途端に静けさを増す

戦闘で対峙する時よりも、なお威迫を漂わせていた]



　　小僧、貴様はおのれを知らない

　　貴様は我らの贄と宿命は終わりはしない
後悔するだろう……