人狼物語 三日月国


52 【ペアソロRP】<UN>SELFISH【R18G】

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視点:


到着:Conqueror リヴァイ

【人】 Conqueror リヴァイ



  (あの手紙が燃え尽きた時、
   私の心も消し炭のように砕けて消えた。
   ……あの時迄は、そう思っていた。)


 
(32) 2020/11/26(Thu) 0:57:54

【人】 Conqueror リヴァイ



[受取人が読み終わると同時に発火する、
火の魔法を折り込ませた羊皮紙に刻んだ
たったの6文字のメッセヱジ。


         
大好きでした。



過去形にして締め括ったのはそれが終わったものだから。
返事を求めないのは叶わぬものだとわかっていたから。

冷えて凍った我が身には、照らされる陽だまりの熱があまりにも暖かすぎて全てが溶けてしまいそうになる。]



[数ヶ月、この手で窓辺の花を差し替え続けた花瓶の下に封を隠す。両手に抱えた花束の中からコルチカムを選び抜き、最後の仕上げに飾り付ける。

卒業当日の放課後に訪れるには酷く不似合いな保健室という空間、苦笑と共に出迎えてくれた養護教諭に最後とは思えぬ取り留めのない世間話を持ち出して───別れ際、惜しむかのように手を差し出したのは、疼く胸の痛みを悟られぬようにするためか。]


(33) 2020/11/26(Thu) 1:22:56

【人】 Conqueror リヴァイ



   『リヴァイさん、身体には気をつけるんだよ。
         どうか元気で、“また会おう”。』


   …………ええ、ミズナギさんもお元気で、
               ……“
さようなら



[再会を望まれているかのような「またね」の言葉に胸の高鳴りを打ち消すように放った「別れ」の言葉は随分と震えて、冷たい響きを帯びていた。

……嗚呼、きっと随分と酷い顔をしている。
交わされた握手を離してしまえば焦った様子で踵を帰し、そそくさ出口扉に手をかける。

  頬の火照りを覚ますには暖かすぎる陽だまりだった。
  歪んだ顔に涙を流すには似合わないぬくもりだった。
  病に浸された殺戮者には勿体ないほどの幸福だった。


……虚ろな未来に歩むための足取りは重く、赤い絨毯の引かれた花道にそぐわぬ音を立ててしまう。 
思わず立ち止まって腕の中の花束を抱きしめれば、細い花首がぴきぱきと悲鳴をあげるものだから、我に返って動作を止める。]

 
(34) 2020/11/26(Thu) 1:44:05

【人】 Conqueror リヴァイ




(───きっとこの花だけじゃない。
 いつかは、近いうちに、私はもっと多くのひとを……)



[折れてしまった儚いそれに、鼻先を埋めた。
植物にこころなどある筈もないのに、
自身で定めた道を外れることなど許されはしないのに、
此方に痛みを訴えかけているような気がして、
苦痛に耐える誰かの声が思い出されて、


         ────少女は大きな溜息をついた。]*
(35) 2020/11/26(Thu) 1:50:42
Conqueror リヴァイは、メモを貼った。
(a6) 2020/11/26(Thu) 2:03:33

Conqueror リヴァイは、メモを貼った。
(a7) 2020/11/26(Thu) 2:12:32

Conqueror リヴァイは、メモを貼った。
(a10) 2020/11/26(Thu) 18:23:05

Conqueror リヴァイは、メモを貼った。
(a11) 2020/11/26(Thu) 18:23:36

【人】 動物擬 リヴァイ


[怪物というのは、いつの時代も忌み嫌われる存在だ。

だが、怪物は本当に全てにおいて害悪なのだろうか?
私は生まれてこの方、そうは思わなかった。
苦しむ民から税を搾り取り、悠々と暮らす貴族たち、
叶わぬ妄執に焦れる教会の上層部。
戦から帰還しても尚優しき友に石を投げる元友人。

心の臓まで腐り果てた醜き者を怪物なのだというのなら、
そんな怪物を退治すべきだというのなら、
言葉通り、鉄槌を下すべきなのは寧ろ────……]


    『君を見て疑問は確信に変わった。
     生きた屍のようにさ迷い続ける君を見る迄は
     歴史の暗部等知らずに生きていられたのに!』


 
(91) 2020/11/27(Fri) 2:38:05

【人】 動物擬 リヴァイ


 美しき獣
「Behemahに嫉妬しているだけだろう。
 あれ程強く優しい存在など居ないと言うのに。」



(怖がるのは噂を鵜呑みにする無学な阿呆共だけ!
 君は神の最高傑作、完璧な獣そのものではないか。
 他人に慈悲を与える綺麗な心まで持っているのに
 分からないやつらの目は節穴以下なのではないか?)


[だからこそ、優しき獣の友を支えるために、密かに禁忌の変身術へと手を染めた。
成功したのはひとつの奇跡。変身体に彼が飢えを感じなかったのはふたつめの奇跡。
幸運を重ねて、気休めだとしても薬を運び続けた。地獄のような月夜を二人で乗り越えられるように。]



 
(92) 2020/11/27(Fri) 2:38:21

【人】 動物擬 リヴァイ


[─────だからこそ。
有象無象に弄ばれ、裏切られ、揺らされたって、君は何も出来やしないんだ。

   君の目に浮かぶ絶望が許せなかった。
   君の目に浮かぶ涙粒が赦せなかった。
   君の目に浮かぶ往生が宥せなかった。

誰も知らない森の奥、2人っきりで過ごす時間。戦の合間に見たという広い世界を語る君は輝きに溢れていたけれど、満月が空に昇る日は実に悲しそうだった。
塵が積もれば山となるように、心に刻み込まれた傷が徐々に血飛沫を上げ、かりそめの笑顔は何時しか苦痛に塗り替えられる。
何度も、何度も、辛そうな顔をする君を見るのが辛かった。

…………故に、その扱いに耐えきれず、断頭台に自ら登ろうとする君をどうしても救いたかったから、私は……、]

      
 
(93) 2020/11/27(Fri) 2:38:57

【人】 終焉の獣 リヴァイ



        
君の呪いを私に喰わせろ。

「תן לי את הקללה שלך.」




[───腐った国家の手に落ちるくらいなら、自分が手をかけた方がマシだと思ったからこそ。
その弱々しい獣の背中に襲いかかり、力尽きるまで引き止め続けた。
眼球からは涙の代わりに血を流し、理性のあるままに貪り食らった動物もどきは、ある日を境にその術が自由に扱えなくなってしまった。……特に満月の綺麗な夜なんかには。]




 
(94) 2020/11/27(Fri) 2:39:22

【人】 終焉の獣 リヴァイ


[孤独の牢獄に閉じ込められていた君を「守った」あの日から、二人で歩いた緑の小道を傷だらけの素足が踏むことはなくなった。
君が歩む筈だった永久の地獄を身体ごと喰らってしまった後は、この胸に宿る使命は、湧き出る飢餓の対象は、たったひとつだけ。
君の歯車を狂わせたこの国を───全て
らい尽くすこと。
ただそれだけを胸に、必要知識を詰め込む目的で学び舎に足を踏み入れていた。]

    無二の親友は喰らってしまった。
    慕ってくれた後輩の背中を黙って押して、
    寮の中の喧しい絵画との糸は絶ってしまった。
    最後に焦れていた恋心さえも燃やし尽くして
    “首席兼寮長”の少女は今、この場で“死んだ”。


[それで、良かったのだ。
月夜の冷たい光に当てられた凍土が溶けてしまえばこの決心もきっと揺らいでしまうから。
この孤独は、私の望んだものだった。
私は、誰とも寄り添えずに狂ってしまっても構わなかった。]

(これは始まる前から既に定められていたラグナロク。
 赤獅子の出逢いはただの一夜の幻で、
 重なった影は一夜の瞞しに過ぎないのだと───…… )


 
(96) 2020/11/27(Fri) 3:16:34

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[────そんなことでは済まされなかった。]


[たった2人で明かした夜は、話す内容こそかけ離れていれど、あの日目を輝かせて過ごした夜に酷似している。
得体の知れぬものにその身を蝕まれながらもたち続ける神経は必死に笑顔を保ち続ける誰かの姿と重なってしまう。

まぼろしとするには輪郭が成り立ちすぎていて、まやかしとするには現実性がありすぎる。

全て指の隙間から零れ落ちる筈だった掌の上に、たったひとつの「約束」が残されることを、少女はまだ知らない。]*


(97) 2020/11/27(Fri) 3:25:11
Conqueror リヴァイは、メモを貼った。
(a13) 2020/11/27(Fri) 4:03:45

【人】 Conqueror リヴァイ




  『…………  Lev.
   おまえは絶対に、
   ひとごろしになんかなるんじゃないぞ。』



      (君を救ったあの日から、
       私はきっと、ひとごろしだった。
       ……そうですよね? ミズナギさん。
       ……そうだよな?   ───…、)


 
(124) 2020/11/27(Fri) 15:58:23

【人】 Conqueror リヴァイ



[古いビデオテープを巻き戻すような光景は、現実であるからこそ、過去と重ならぬ事象だって存在する。
“あんな言葉”が出てくるほど此奴に慈悲なんか存在してはいないから、……秘密と称するにしては重すぎるものを互いに持っていたからこそ、月夜に狂う鋭い鉤爪を“今はまだ”抑えていられた。

覇道の道に一生を誓わされた獅子に比べて、普通の道が与えられる筈だった田舎娘にとって茨の道は果てしなく険しいから、少女は自分の情を殺そうとした。
学び舎で築かれる人脈も、女子寮長としての責務も、自分をステップアップさせるための手段でしかなかった。人と心を通わせることに何の価値も見いだせず、ただ自分がのし上がるために必要なスキルであり、何れ来る終焉に向けての損得勘定でしか無かった……筈なのに。]



[不意に与えられた温もりと同じように、秘め事を語るその時が、日常に有り触れた勘違いの火種にもなり得る口喧嘩が、もう戻る事のできない幸福な記憶を呼び起こす。
打算以外の関係性に慣れ切っていれば、気休め以上に刺激は強く、許容範囲を悠々と超える。戸惑って、……戸惑って、自分に咲いた感情の名前を処理できないままでいた。]


 
(125) 2020/11/27(Fri) 15:58:29

【人】 Conqueror リヴァイ



[壇上に上がってたどたどしく送辞を述べる同学部の後輩は、予定外の代役であると風の噂で聞いていた。>>78
生徒会の依頼を突っぱねた元凶の名前を聞いた時は、「彼奴らしい」と思わず笑息が漏れたくらいだ。
おべっかばかりの上流社会に疲れ切ったような愚痴をさんざ零す帝国学部生様には堅苦しい式への出席なんぞ似合わないにもほどがある。

なにか文句でも言いたげに隣に佇む男子寮長の肩を宥めるように叩き、形式ばった式殿を終えてしまえばよいだけだった。]


[なのに。どこか清々しい心地さえしてくるくせに、胸元につっかえたものがどうしても消えてくれなかった。
或る時から毎夜、苦しまずに済む欠月の日に決まって密かに自室で行っていた研究成果。寝不足が増えてうまく回らぬ脳みそで、「王子様が不在」なのだと騒ぐどこぞやのファンクラブの騒動を聞き流しながら完成させたそれを渡すことは叶わないのか、と─────………]


 
(126) 2020/11/27(Fri) 15:58:33

【人】 Conqueror リヴァイ



[もの思いにふけっていれば、不意に巻き起こる騒動に気づくのも遅い。
気づいた時には毛並みの良い馬が花道を踏み、眼前で止まった頃合いだった。>>80

  別れは全て済ませていたから、
  己の背を見送る者はいたとしても、今向き合う者は皆無。
  昔みたいに突っかかるときの薄ら笑いを間に合わせられず
  驚愕の中にどこか心細ささえ感じる表情は隠し切れない儘
  はくはくと動く唇からは疑問さえも碌に出せない。


頭上から降る言葉の意味を理解するよりも早く、翻った緋色が一瞬視界を覆う。取り出されたものの正体を脳が判別する前に、反射的に片手が伸びていた。]


[戦闘よりも実験に興じる少女には酷く不釣り合いな───その割には両手によく馴染む。
強張っていた唇を噛みしめたのは、交わした
誓い
の重さを思い出してしまったから。
眉間の皺が和らいだのは、返礼のような
願い
を押し付ける言い訳が生まれたことへの安堵感。]


 
(127) 2020/11/27(Fri) 15:58:46

【人】 Conqueror リヴァイ



[たどたどしい手つきで、日に輝くのであろう刀身が治められた鞘を、花束を抱え込んだ片手に持ちかえる。
刹那俯いたかんばせが再度上がる頃には、不安感も驚愕もなりを潜めて、随分と穏やかな──慈愛さえ感じられる表情が浮かんでいた。
皮肉に皮肉を返さないのは、今日が区切りの日であるからなのか、それとも……]


   …………もう、今日は来ないかと思っていたんだが。


[第一声は、たったひとこと。
やっと燃えるような色の瞳と真正面から向き合えば、内に秘められた感情でさえも感じ取れたような気がして、思わずため息を初春の風に混ぜ込んだ。
祝いの代わりに告げられる、激励にも似た言葉は今まで捧げられたどんな言葉よりも受け入れやすく、心地が良くて。]



        ……有難う。
        まさか皇族様から餞別を頂けるとは予想外だ。
        此方も答礼品を渡さなければ失礼だろうか。

 
(128) 2020/11/27(Fri) 15:59:05

【人】 Conqueror リヴァイ



[返事を待たずに制服の懐に空いた手を突っ込み、取り出したのは小さな小瓶。
とろみのある薄い桃色の液体は、コルクを開ければ甘い香りが鼻孔を刺激し、その味も似通ったもの。

   良薬が口に苦いのならば、
は甘美な罪の味。

愛の妙薬とは似て非なる見目をした、細い飲み口に赤いリボンの結ばれた劇薬を、ゆっくりとした動きで相手の胸に押し付ける。]



[世界の終末に至った際の怪物の運命は、神の食事として供されるばかりで安息など訪れることはない。
養護教諭でも解決の糸口を見いだせなかった呪いじみた病は徐々にその身を蝕み、月夜が過ぎてもひとの身体を取り戻せなくなってしまうのが落ちだった。
生きたまま獣の本能に呑まれてしまえば自我は消え去り、真の怪物として世に放たれておしまい。
最初こそそれで良いと思っていたのだ。仇さえ打ち滅ぼせればそれでいい。自分の生きる意味はただそれだけであるのだと信じ続けてきたから……]


 
(129) 2020/11/27(Fri) 16:02:03

【人】 Conqueror リヴァイ



[この病の解決方法は未だ見つかっていないのだ、と絶望的な事実を誰にも打ち明けなかったのは、もう絶望に他人を縛り付けることを良しとしなかったから。
運命に未来を定められ、雁字搦めの目の前の相手に、更に鎖を巻く事なんてできるものか。

……これは約束の延長線のようなもの。少女の願いのひとかけら。]



 無暗にそれを開けようとするんじゃないぞ。毒薬だからな。
 ……なに、心配することはないさ、“常人には効かない”。

 効果があるとしたら───そうだな。
 “お前の命を脅かす怪物”なんかに最適なんじゃないだろうか。
 まあ、まじないのようなものだと思っていればいいさ。


[彼と最初に過ごした夜が、つい最近の様に思い出された。
首筋に突きつけられた刃の感触も、その冷たさも、月光に当てられた白き煌めきも、何もかもを覚えている。

彼からの餞別を握りしめた掌に力を籠めれば、映画のワンシーンの様に脳裏を描いた。]

(頽れることを良しとしないのならば、
 最後くらいは見知った相手の手で幕引きをしてほしい。
 ……お前の未来をこれ以上強制させない代わりに
   ちっぽけな願いを託すことくらいは許してくれないか。)


 
(130) 2020/11/27(Fri) 16:18:51

【人】 Conqueror リヴァイ



[まるで第二ボタンを渡し合うような行為に見えたのかもしれない。
遠目で盛り上がる野次馬の方向をふと睨みつけ、
「喧しい!鬱陶しいぞッ!」
と叫び付ければ委縮したように小さくなった。

付き合っているのかと聞かれた際にはぴしゃりと即答、否定の言葉。彼に向ける感情に色恋等存在したことはなかった。重ねていたのは過去の憧憬で、焦れた感情を向けていたのは寧ろ────……


再度向き直れば、意識を向けるのは目の前の相手たったひとりに。
最後の最後に告げられた再会の言葉は何度も聞いたような響きを持っていながら、その重みは天と地ほどの差があった。]


   その時まで精々首を洗って待っているんだな。
   ────“また”逢う時には私のことを燃やすなよ。


[「別れ」ではなく「再会」の言葉を返したのはこの日は彼が最初で最後だった。
彼の横を通り過ぎるように進めた足は、前よりも迷いがなく、しっかりと絨毯を踏みしめる。
正門付近に止められた黒い馬車には、御者も馬も存在せず、違和感ばかりが醸し出されているのだが───少女はそれに歩み寄り、まるで馬がいるかのように虚空を撫でた。]

 
(131) 2020/11/27(Fri) 16:35:20

【人】 Conqueror リヴァイ



[祖国が学生を出迎えるために寄越した馬車は、どこまでも不気味だった。
そこに繋げられた、ドラゴンじみた羽根の生えた骨と皮ばかりの馬は、「死」を見た者だけがその姿を目視できるようになるらしい。
幼馴染をその手に掛けた少女はその哀れな姿が嫌と言う程見えていた。]



 ────お別れだ!
  
Wilhelm Herrman Joshias Leopold von Arenbergくん!

 精々のたれ死なんように学業に励むといいさ!


[黒い馬車に花束を預けてしまえば、自由になった腕を上にあげ、渡された刃を天へと掲げる。
決して振り向かず、背を向けた儘、初めて彼のフルネームを言いきって
──過去に名前が長くて覚える気が起きんと言ったくせに──
ひらりと中に飛び乗った。
惜しむ時間も与えないまま、馬車は天へと飛び上がり、迷いなく乗客を目的地へと送り届ける事だろう。]
[懐かしい祖国へ───血濡れた反逆の狼煙をあげる運命へ。
陽だまりを捨て去り、過酷な死しか存在しない寒さの中へと身を投じる少女の表情はまた、氷の様に無に返っていた。]*


 
(132) 2020/11/27(Fri) 16:46:48

【人】 Conqueror リヴァイ




[普通の生活をしていれば、
“血の繋がった親が娘のことを忘れる”なんて、
到底起こりえないだろう───そう、唯の田舎娘であったなら。]



 
(160) 2020/11/27(Fri) 23:37:50

【人】 Conqueror リヴァイ



[両親のことは嫌いじゃなかった。
寧ろ、人一倍暖かな愛情を与えてくれたことに感謝している。
偏見や差別の溢れた社会の中で、その考えを植え付けずに分け隔てなく接せる精神を抱くことが出来たのは紛れもなく彼らのお陰だったから。

────だからこそ、自らの行いによって彼らの顔に泥を塗るわけにはいかなかった。
征服者の血濡れた道に、優しき平民が存在してはいけなかった。]


[黒き馬車から足を下ろし、故郷の牧草地を踏むのは随分と久しぶりだった。

  学生生活も終盤を迎えると、卒業論文、進路関連……
  そこに“個人的な深夜の研究”迄も加われば、
  休暇中でさえも帰郷の暇を失くしてしまうものだ。


暫く見ていなかった母の顔は皺が増えていて、父の髪には白髪が目立つようになっていた。
見目は変われど関わり方は変わらぬように、少女を抱きしめ、帰宅を喜ぶ言葉をくれる。長旅を労わるように椅子に座らせ
──それでも多少は手伝ったのだが──
その日の夕食は好物ばかりが食卓に並んだ。]

 
(161) 2020/11/27(Fri) 23:38:00

【人】 Conqueror リヴァイ



[一度過ぎ去った安らぎが、突然帰ってきたかのような時間だった。
母の料理の味は変わらず素朴なまま、父が好む珈琲の味は変わらずブラックのまま。
望んでしまえば永遠に享受できる平凡な幸福が目の前に広がっている。

  今まで学んだ学業のこと、学友や教師の事、
                 

  ───────これからやりたい夢のこと。

(どんな人も治せる薬師になんてなれるわけないのに。)


彼等は柔らかな表情を浮かべて聞いていた。つかの間の一家団欒の時間は瞬く間に過ぎていき、三日月が天盤に昇った頃合い。
父親が「家族旅行」を提案するのと、写真立ての家族写真から娘の姿“のみ”が夢のように消えたのはほぼ同時───突然のことだった。]

 
(162) 2020/11/27(Fri) 23:38:12

【人】 Conqueror リヴァイ



  なあ、暫くしたら家族で旅行に行かないか。

  あら、素敵。蓄えもあるし、羽根を伸ばしましょう。
  ……海のある場所なんかどうかしら。

  いいじゃないか!ここは緑ばかりだからな、
  どこか遠い浜辺の綺麗なところにしよう。
  あの子が帰ってきたんだ、三人でゆっくり────……


        あれ?どうして三人って言ったんだ、俺は。

        あら貴方、疲れているの?
        
私たちには子供なんていなかったじゃない。



[────消えていく。消えていく。
彼等の記憶から アルバムの写真から 食卓のカトラリーから
身長を刻んだ壁から 子供部屋の存在自体に至るまで

         少女の痕跡が、欠片も残さず溶けてゆく。]


 
(163) 2020/11/27(Fri) 23:38:19

【人】 Conqueror リヴァイ



[食事の配膳を手伝った際に、スープの中に忘却薬を混ぜ込んだ。
そこに学び舎で身に着けた消去魔法を合せてしまえば、ひと一人が生きていた証拠なんて───容易にもぎとってしまえた。]


[征服者は何もかもを奪ってしまう存在だ。
命を奪うこともある。暴虐を尽くし、反抗心を削ぐことも。

少女がその全てを是、とした瞬間から
或いは親友から全てを奪った瞬間から
犠牲者の叫びと返り血色に染まる以外の路が無かったのだ。


         
“ 小手始めといこうか ”

     ────少女は記憶を、 彼等から奪った。]


    (奪う喜びなんかじゃない。
      自我が或る内に行った、最後の慈悲だ。)


     
(164) 2020/11/27(Fri) 23:38:38

【人】 Conqueror リヴァイ




   寒さ無しには 冬の恐怖を感じぬように
   痛み無しには 命の感触が分らぬように


      ……記憶が無ければきっと辛くはないでしょう。
      実の娘が反逆罪に問われることになったとしても。

(さようなら。どうか、どうか幸せに。
 貴方達のことを心の底から愛していました。)

        
     
 
(165) 2020/11/27(Fri) 23:38:45

【人】 Conqueror リヴァイ




[───
しているから、
ってやるのだ。]



  [そうやって、守れるのなら、救えるのなら。
   私は幾らでもヴィランになってやる。
   蓋の空いた地獄の窯に落ちてしまっても構わない。
   心臓ごと凍りそうな孤独に打ち震えても構わないから。]


 
(166) 2020/11/27(Fri) 23:38:49

【人】 Conqueror リヴァイ



  (願うとするならば、どこか遠い……異国の海辺で。
   二人っきりで、幸福な休暇を過ごせばいい。
   何も知らずに平凡に生きて、生涯を終えればいい。

   そこに私がいる必要性なんてもうなくなったから。)



[赤い外套を翻し、暖かな実家の扉を静かに開ける。
暖炉の前で寄り添う仲の良い夫婦の姿に背を向けた。
初春の夜は、雪が溶けても尚寒い。未だに白い息を吐き、鼻を啜ったのは微かに吹いた北風のせいだったのか───それとも。

目の前に広がる破滅の道に進むために、大切なものを捨てて、捨てて、どんどん独りになっていく。温もりを失っていく。
憂いのような色合いを浮かべて歪む表情も、涙の池が枯れきっていれば濡れることすら叶わない。]

(感情も持たぬ獣になりかけた心の中に、
 傷ではない“痛み”だけが違和感の様に蓄積されていく。)*


 
(167) 2020/11/27(Fri) 23:38:56