人狼物語 三日月国


52 【ペアソロRP】<UN>SELFISH【R18G】

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【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 
[ 数万と続く人の群れは帝都に近付くにつれ数を減らし、
  最後には千人程度が主君に続く様にして残った。
  王宮務めの騎士達を中心とした軍勢は
  昼過ぎには隔壁の麓まで辿り着き。

  堆い門をくぐれば、直ぐ様視界に赤い吹雪が舞った。
  使い鳥の報せを受けて待っていた民衆達が終戦を祝う。
  そして二百年前の皇族に因んだ薔薇の花弁を投げるのだ。

           
再びの力と栄光を祝して

     “Gewinnen Sie Macht und Ruhm zurück!” ]


 ( ────こんな光景を待ち望んでいた訳じゃない。 )


[ 飽くまで戦争に携わらなかった賓客に出る幕は無いが、
  この国の頭目のすぐ後ろを馬で着いていけば
  散々、赤薔薇に塗れる羽目になるだろう。

   民家が立ち並ぶ狭い路地を抜けて大通りに出れば
   視界を覆う程の花吹雪も少しは収まるが。
   見慣れぬ女の姿を民衆が気に止める事はなく、
   手を振り返す君主の立ち振る舞いに誰もが夢中だ。 ]
 
(10) 2020/12/11(Fri) 10:06:49

【人】 征伐者 ヴィルヘルム




 [ 結局は、全て殺めた所で満たされはしなかった。
   正しくは、解放される事に安らぎを見出したのだ。
   ……最期を看取る者が既に在る安心感を。 ]

 [ 薄い笑顔の下、死を恐れぬ戦士の殺伐とした希望 ]


 
(11) 2020/12/11(Fri) 10:07:10

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 

[ 日がだいぶ傾く頃合には王宮へと戻った。
  南西の夕空に浮かぶ白い半月が、
  一週間にも満たない残りの時間を指し示している。


  賓客に与えられるのは寮長時代の自室より大きな部屋と、
  専属の侍女、絢爛豪華な衣装、食事、其れから自由。
  熱い湯を浴び、傷を癒すのも思いの儘だったが、
  たった数日で満喫するには少々此処は広過ぎる。 ]


 ( 『茶でもどうだ』とつい声を掛けたのは、
   もうじき終わる人生だとしても
   積もる話が山程あるからだ。

        その中に、長らく抱き続けた違和感の
        手掛かりがあるのではないか、と。 )


 
(12) 2020/12/11(Fri) 10:07:23

【人】 征伐者 ヴィルヘルム



 ……俺の死が予定調和の上と教えた時、
   おまえは散々俺を咎めたな。

     だが、おまえと其の旧友の過去を聞いた時も
     俺は同じ様に咎めた。
     “誰かの為に死ねる程その命は安いのか”と。

[ 誰にだってもう、死んで欲しい訳じゃない。
  いつか口に出した息苦しさは消えていたが、
  次に苛まれたのは毛色の異なる■の苦しみ。

      収拾のつかない心を見つけ出す為に問う。 ]

 
(13) 2020/12/11(Fri) 10:07:40

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 

[ 薄く口の広いティーカップに注がれたダージリンは
  秋の終わりに摘まれたばかりの皇室御用達の品。
  何度も品種を変えながら、五年の間の出来事を
  心行くまで語り合った。

  何かと口煩いから甘すぎぬケーキを従者に出させて、
  陽の差し込む庭園でなく敢えて自室を選んだ。
  ……本当は、事ある毎に小言を差し込まれることも
  いつからかは鬱陶しく感じなかったのだけれど。


  彼女の“獲物”と看做された夜に、
  どの様な情緒の変化があったのか。それが知りたくて。 ]


   遠い昔の邂逅だったとは言えど、
   おまえが“そんなもの”の為に命を投げ打ったのかと
   苛立ちさえ覚えたものだ。

    ……抱いたことの無い奇妙な思考だった。


[ 彼女にとっては何にも代え難き幼馴染であるとは
  分かっているのに、どす黒い気持ちが抑えられない。
  そうしていつか冷たい言葉を吐いた事さえあった。

     己は運命“如き”の為に魂さえ捧げたというのに。 ]

 
(14) 2020/12/11(Fri) 10:07:59

【人】 征伐者 ヴィルヘルム



( あれからずっと、気の浮き沈みを繰り返していた。)



   おまえも似たような心持ちだったのか?
   肯定するならば、詳しく考える事は止めておく。
   同じだと言うのなら、其れだけで充分だ。


[ 誰かの運命を自分のそれより煩わしいと思ったのも、
  其れが永遠に訪れなければ良いと考えたのも、
  生まれてこの方経験がなかったものだったから。
  凸凹の感情にもいつか当て嵌る時が訪れるだろうか。

 
『満月の晩、夜半過ぎに謁見の間まで来てくれ』
 
  ……そう告げれば、此度の茶会は締め括られる。]*

 
(15) 2020/12/11(Fri) 10:08:18

【墓】 盗人 アシュレイ

 
[ 物言わぬ人形は今日も館の掃除を行う。
  館の主人の気持ちを知る事もなき儘で。


  そんなある時、進行方向に立ち塞がる影。
  館の主たる魔王その人である。>>+14

  彼の手が頬に触れても、何か反応を返す事はなく
  そのまま横を通り過ぎては掃除を再開するのであった。


  声は届いているのかもしれない。
  それでも表情は冷たく凍った儘。

  手を動かしてははたきで埃を落としていく。]
 
(+15) 2020/12/11(Fri) 14:44:19

【墓】 盗人 アシュレイ

 
[ それからも、掃除を日課として
  物言わぬ儘館のあちこちへ足を運んで。

  日々を過ごす内、ほとんど何も変わらずに。


  けれども少し内側で変化があったのか。

  空を飛ぶ小鳥を指差しては
  「ちゅん、ちゅん」を小さく声を零しては
  両腕をぱたぱたとさせたり、
  オークを目にしては「ぶーぶ」と呟いたり。

  まるで小さな子供のような反応を示していた]*
 
(+16) 2020/12/11(Fri) 14:44:23

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[搾取ばかりを繰り返し、戦乱にあけくれ、絢爛豪華な閉鎖空間で悦を得るばかりの祖国を見てきた自分には、英雄の帰還を祝うような他国の雰囲気が少しばかり眩しく見えた。]


[場違いなのだとわかっていても、飛び交う真紅に圧倒される。
君主の振る舞いに刮目し、称賛を述べられ、それに応える姿は幼い頃に夢見た理想の国の姿と重なってしまう。

(権力の全てが憎らしいとさえ思っていたが、
 民主主義を声高々に掲げようとも思わないのだ。
 誰も搾取されず、貧困に喘がず、差別もされず、
     幸福に生きていられるのなら……それで。)


数日経てば馬の扱いにも慣れ、指定された立ち位置を保ちながら民に揉まれる元学友の姿を唖然と見つめている他無かったのだ。]


(ひとつの国が長年の屈辱から解放される瞬間。
 誰もが縛られることがない。誰もが自由を喜んでいる。
 誰もが不安を抱えることなく生きている。

 血と断末魔を乗り越えた先に存在するエデンの証明。
 こんな場所で、あの子と生きてみたかったとさえ。)


 
(16) 2020/12/11(Fri) 21:15:49

【人】 終焉の獣 リヴァイ




  
(…………でも、 お前は?)

  [前よりもやや逞しくなった後ろ姿からでは
  彼の表情なんかわかりやしないのだろうが、
  彼が本当に心から笑っているのか自信が無くて、
  やや俯いた表情を曇らせてしまった。

        手元に残るは、引き裂くべき生命の運命。]

  (私が此処迄穢れる道を辿らなければ、
   お前は唯、誰にも知られず孤独に燃え尽きたのか?)


 
(17) 2020/12/11(Fri) 21:15:52

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[まるで帰りを悲しむ輝夜姫のようだ。
道行く月を見上げては意識を遠ざける日々が続いていた。
毎晩毎晩戒めるように刺し込む注射器の数は日々減っていき、その効力も定かなのかさえわからなくなってくる。
悪夢に苛まれる時間が増え、学生の頃よりも寝不足になっていたのかもしれない。
煌びやかな衣装は元々余り惹かれる性格でもなければ、刻限が迫る時の中で侍女と話して交友を深めようとも思えない。
削れていく自我を徐々に感じながら、残った意識を手繰り寄せるように食事だけは噛みしめていた。人間以外で湧き出る涎こそが自分を自分たらしめる証拠だとでもいうように。]


[声を掛けられたのは、夢遊病のように部屋を彷徨っていた時だった。
少し瞬いた後二つ返事で向かった先はどの部屋よりも広々としており、彼の権威を思い知らされる。
権力を何より嫌っていた癖に、大人しく王宮に収まる自分の今の状況に心の中で苦笑しながら席に着く。

────随分と昔、学び舎の一室で似たようなことをしたことを思い出していた。]

 
(18) 2020/12/11(Fri) 21:15:55

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[日頃の彼の暴食っぷりを見ていれば、
糖質控えめのものでも少々眉を顰める要因にはなろう。
……けれど、もう今は小言を言う気にもなれなかった。言えるような精神をしていない、と言うべきなのか。

つかの間に与えられた安らぎに浸るように言葉を紡ぎ、低体温症の身体に暖かな紅茶を流し込んでいく。
茶会の席で彼女が選んだドレスコードは、最初に与えられたものと同じ。黒を基調としたロング丈のワンピースの上に、男物の軍服。]



  お前と私じゃ価値観が違う。
  生まれも育ちも違えば何れ突き当たる常識だな。
  昔は全くもって理解出来やしなかったが、
  今ならなんとなくわかる気がする。

    私はお前では見ている景色が違いすぎるだけだ。
                   だけど……な。


  
(19) 2020/12/11(Fri) 21:15:58

【人】 終焉の獣 リヴァイ



(自分の決めた道を真っ向から突き放すような言葉を吐かれ、
 思わず頭に血が上り、我を忘れて相手を貶したことを思い出す。
 あの時は互いに守りたいものが異なっていただけだというのに
 馬鹿の一つ覚えのように傷つけあって、おかしなことだ。

 ……どちらも決めた道から逸れないのだと知っていたのに。)



   ────そう聞かれれば、そうなのかもしれないな。
   私もどうしてなのかは全くもってわからないのだが
   もう二度と自分の目の前で、自分以外の誰かが
   相手自身のためではないことに苦しむことが
   見ていられなかっただけなんだろうさ。


(自分は守られたいだなんて思っちゃいなかったのに、
 守護の代わりに命を捨てる誰かの姿を思い浮かべて目を細めた。
 ……相手の中に渦巻く感情を理解できてもいないから、
   平然とそんなことを言っていられた。)



[死刑宣告のような重みのある言葉に隻眼を軽く向け、返事は瞬きを数回。……承諾なんて声に出さなくてもいい筈だ。
その呼び出しの意味を、どうしようもなく理解できていたから。]


 
(20) 2020/12/11(Fri) 21:16:02

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[初めて触れる重い扉を押せば────案外呆気なく視界は開けた。
壁を飾るステンドグラス、眼前に聳え立つ階段の先に見える鉄の玉座はどこまでも冷たい温度を感じさせるようで。

未だに長い袖の下の手をぐ、と握りしめたのは、伝わる寒さに耐えようとしたのか。
凍土の色を抱く瞳で頂上の主を真っすぐ見つめる。その目は昔のように燃え盛るかの如く光っているのだろうか。

月は未だに雲間に隠れ、その正体を現していない。自分の病の発作が現れる予兆が無いのなら、少し位の言葉は交わせたのかもしれないが、]


        ………………どうやら、もう時間のようだな。


[最後の会話がどんなものであれ、満月の衣は何れは流れ去ってしまうから。
徐々に訪れる視界の揺らぎと、頭痛の初期症状を鈍いながらも感じれば、か細い声で非道な運命のカーテンコールを告げようか。*]


 
(21) 2020/12/11(Fri) 21:16:14

【人】 征伐者 ヴィルヘルム



 [ 幼き我が子を腕に抱く慶びも、
   長らく別れていた妃との再会も、
   戦場を共にした戦士達との祝賀も、
   『我等の王』と慕う民草の言の葉も、

    ────全てすり抜けて、過去の幻燈となる。 ]


 ( 宿業から解き放たれて尚、刻限は迫る。
   何を遺そうにも時間は足らず……
   とうとう遺言は書き上がらなかった。

    新たな国土統治の取り決め及び相続、
    そして新帝が成人する迄の代理人を立て。

     誰にも終わりを仄めかさず、
     終ぞ彼奴にも秘めた
約束
の話はしなかった。 )



 
(22) 2020/12/11(Fri) 22:58:40

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 


  [ 其の理の外側に在る至高の獣が、
    この冠ごと打ち砕いてくれる瞬間を望む。

      冷えた鋼鉄の玉座は心まで蝕む様で、
      黙した儘、目を閉じ其の刻を待った。 ]


 
(23) 2020/12/11(Fri) 23:02:46

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 

[ ────聞き慣れた、鈍い音色が鼓膜を震わせる。
父帝もまた、この玉座であの扉が開く音を聴いたのだ。


  緩やかに瞼を上げれば、謁見の間へと訪れる
  唯一人の姿を視界に収める。

  篝火だけがその輪郭を轟々と照らし、
  朧気な光を受けて佇む王の姿とは対照的でもあった。 ]


   [ 足取りを、佇まいを、揺れる漆黒の髪を。
     大理石の階段の遥か上から、瞳に焼き付けて。 ]



[ 誰もが主君を仰ぎ見る様に造られた百の階段から、
  僅かな囁き声でさえも降ることはなく。
  砂時計の最後の粒が落ちようとしていた。 ]

 
(24) 2020/12/11(Fri) 23:03:05

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 

 [ 隻眼の冷たい色合いと搗ち合えば、
   少しばかり背を伸ばして薄い微笑みを投げ掛けた。 ]


      ( 餞別など必要でない。
         我々は同じ場所へ至るのだから。 )



 [ 糸が切れた様に王座へと深く座り込み、項垂れる。
   肘置きから零れ落ちた片腕がだらりと垂れては
   二度、復元力に引かれる儘に力なく揺れた。 ]

 
(25) 2020/12/11(Fri) 23:03:49

【人】 征伐者 ヴィルヘルム




  ( また直ぐに逢える。おまえを信じているから。 )

  ( 何があろうと殺す。おまえを■しているから。  )


 
(26) 2020/12/11(Fri) 23:04:10

【人】 征伐者 ヴィルヘルム



 [ ────雲間から顕れた月光が、鉄の玉座を照らす。


      冠は真白く煌めき、
         傍らの剣は炎を発し、
            大地は俄に震え出す。


   裸の氷輪と、其れに呼応して姿を変え行く怪物に
   共鳴するかの様に、階段の頂点に黒い霧が掛かる。 ]



 [ 誰も来る事は無い、冷たく孤独な二人だけの世界。
   女の眼前で其れは冒涜的な存在へと姿を変え、

   立ち込めた霧は衝撃波を伴って四方八方へ飛散した。 ]


 
(27) 2020/12/11(Fri) 23:04:34

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム



 獅子の頭に、不確かな影、然して巨大な剣。
 魔力を纏う体躯は到底王座に収まらず。
 数倍に嵩んだ人ならざる姿は憤怒に
える瞳で
 遥か下方の怪物を見下した。


  永く肉体を持てず彷徨い続け、
  漸く再臨の叶った悪魔は未だ不完全であった。
  故に、滅ぼすべきは今この刻のみ。


    砕けた硝子が降り注ぐのをものともせず、
   『其れ』は剣の柄から離した片腕を振るった。


 
(28) 2020/12/11(Fri) 23:05:09

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム

 

  
とは到底呼び難い火が降る。
  頂上から階下へ、命脅かすモノを撃ち落とす為に。


   この瞬間、彼女は救うべき獲物ではなく
   退けるべき怨敵でしかなかった。
   そう、現界を果たした悪魔にとっては。



       

    
   涙  走    

     球       り    の
               
  




  風を唸らせて飛来する無数の焔は、
  逃げ場を無くすかの様に降り注いだ。

   鱗を灼き、尾を焦がし、瞳を煙と変え、
   何れはこの城ごと焼き落とす事さえ厭わなくなる。


 
(29) 2020/12/11(Fri) 23:05:30

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム

 




    今こそ一度限りの舞台へ駆け上がり、
     呪われし運命に終止符を打つ時。*

 月光だけが微笑みながら、其の終幕を見詰めている。


 
(30) 2020/12/11(Fri) 23:05:47

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[────静寂だけが二人の繋がりを証明する手段のようだ。
投げかけられた微笑みとは対照的に、見上げる夜色の女は唇を噛みしめ顔を歪ませる。

(同じ場所へ至れるとまでは思っていない。
 微かな願いは届くわけがないとさえ思っている。
 今まで通り送り出すのみの略奪者の仮面を被り、
 血に塗れた腕を伸ばすだけの未来を見ていた。)


     ────力尽きたようなさまを見開いて認めると同時、
     この世の終わりのような痛みが脳を襲って頽れた。]


 
(31) 2020/12/12(Sat) 1:07:05

【人】 終焉の獣 リヴァイ




  (お願いだから持ってくれ、私の自我よ。)

  (どうか、楽に逝ってくれ、私の…………)



           
[意識がノイズに乱される。]

 
(32) 2020/12/12(Sat) 1:07:09

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[噫!
頂点に聳え立つのは月をも喰らいつくさんとする百獣の王を模した幻影の如き虚な姿と
(影と混ざり合う、まるでキメラのようなそれは、月光病さえも彷彿とさせるような…)

そこに至る迄の試練の如く降り注ぐのは
灼熱地獄にも似て非なる───冷酷非道な怪物の命をかき消さんとする

        随分と”洒落た”カーテンコール!!]


 
(33) 2020/12/12(Sat) 1:10:36

【人】 終焉の獣 リヴァイ




     ────────……… 
ッ !!



[温度が上がる。
     
         裁きの炎が堕ちてくる。

ばらばらと崩れ落ちる硝子片たちを避けながら、
ステップを踏めば、遥か頂上の仇を睨み上げるのだ。
そうして口の中に仕舞い込んだ短剣を砕かぬように感触を確かめ──────、]

 
 
(34) 2020/12/12(Sat) 1:10:42

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[────苦痛と共に硬い表皮に覆われた巨大な身体を大きく振るわせる。
燃え盛る火炎に呼応するように、ひとたび大きな咆哮を上げた。
鱗を舐める高音をものともせず、嘗て諸国を超えて彼の元へ辿り着いた四足歩行が空間ごと揺らす勢いで何段かもしれぬ階段を登り始める。
目指すは頂上一点のみ。その先に臨む宿敵を───神を欺く憎き悪魔から大切なものを奪い取るために。

  数多の武器を跳ね返す鋼の如き身体でも、
  あの日の銃弾が脇腹を抉ったように、弱点はある。
  女が完璧な怪物になりきれぬ証のように。
  ちりちりと焦げる熱が臓器まで浸そうとも、
  この自我だけは……生命だけは、燃やさせない。


大昔の聖人が海を割った逸話を繰り返すわけではないが───目には目を。歯には歯を。炎には炎を。
ご お ぉ───……
と、鋭い牙の生え揃った顎を大きく開け、蒼く燃え盛る
を吐いた。

      
(35) 2020/12/12(Sat) 1:11:52

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[怪物の吐息にも似たそれは、見た目に似合わず凍えそうな死の温度を纏っている。
試練に立ちふさがる灼熱の壁を溶かし、一本道の活路を切り開けたのかどうか。]



[否、作れなくとも構わない。その壁を突破し、彼奴に届けばそれでいいのだ。

どこまでも彼に温もりを与え続けた怪物が最後に届けるのは終焉を知らせる冬の到来。
左手には闇を、左手には約束を。誰よりも憎み■したかった者たちを壊すために目覚めたのだから。


凍てつく波動じみた炎を、遥か上の相手へと叩きつけるように吐いた後、
切り開いた活路を───開かれないのであれば、腹を焦がしながら。重い身体を引きずらせ、只管に玉座を目指し続ける。
口内にしまい込んだ短剣を振りかぶる時を待ちわびながら、燃え盛る瞳は真っすぐに相手を打ち付けながら。]*


 
(36) 2020/12/12(Sat) 1:14:16

【人】 荊冠の王 ヴィルヘルム



 互いにヒトとしての自我を無くしたならば、
 同様に言葉さえも不要。

 燃え落ちよ、この足許へ至る前に灰と化すべしと
 降り頻る焔が幾千と連なる山脈の如き鱗を灼く。



  不確かな体躯はたった一撃、
  魔除の加護を受けた刃で貫けば跡形もなく消えるだろう。
  故にこそ近付けさせてはならない。
  玉座に至る前に滅しなければならない。



 火球の一つが怪物の顎門に直撃しようかという寸前で
 其れは吐き出された絶対零度の前に掻き消える。
 覆う空気が凍て付けば、焔とは影も形も無くすもの。


 
(37) 2020/12/12(Sat) 1:56:12